【感想・ネタバレ】日の名残りのレビュー

旅は、人生を思い返すきっかけになったりします。
この物語は、執事であるスティーブンスが、旅の最中に自身の人生を思い返す物語です。
どこまでも完璧な執事であり、どこまでも完璧な執事であろうとするスティーブンス。そんな彼の働き方や生き方を、自分の働き方や生き方と比べて読み進めると面白いと思います。
登場人物が多く、すべての登場人物の名前がカタカナのため、最初は混乱しやすいですが、主要な登場人物は複数回出てきてだんだん人柄をつかめるようになってくるので、とにかく読み進めることをお勧めします。
また、スティーブンスの語りで進んでいくため、文章が丁寧で読みにくく感じるかもしれません。こちらについても、とにかく読み進めてみていくと、次第に慣れて心地よくなっていくと思います。

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購入済み

面白くてすんなり読めました

2024年04月16日

サー・カズオイシグロの作品を読むのはこれが初めてでしたが、冒頭からすんなり読めて良かったです。
大好きなドラマ「ダウントンアビー」の世界を楽しめました。主人公のドライブ中の描写も以前旅行した時のイギリスの田園風景が目に浮かぶようでした。
どちらかというと主人公より元女中頭のミス・ケントンに感情移入し...続きを読むて読後感はどことなく悲しかったですが、他の方のレビューを読むと主人公もミス・ケントンも過去を振り返った上で希望を持って未来に歩み出す物語なのかもと思います。なかなか深い物語です。

#深い

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Posted by ブクログ 2024年01月17日

今現在就活中ということもあって、複雑な気持ちになった。あたたかくも痛く苦しくなる。スティーブンスの生き方は後悔するものではないと思うしらしくて好きだが、本人が涙を流すのもわからんでもない。
最後のところ、何度でも読み返したいと思う。
というか全体的に何度でも読み返したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月11日

執事という職業に誇りを持ち、人生をかけてきた主人公。そんな主人公が旅をしながら、過去を振り返っていく。

品格とは、他人の前で衣服を脱がないことだと主人公は言う。
執事という衣服を常に身に纏った彼は、父親の死に際しても、女中頭の涙に際しても、執事としての仕事を全うしようとする。

執事としての主人公...続きを読むは、確かに素晴らしいものだった。
だが歳を取り衰える父親に対して、女中頭に対して、執事ではなく一人の人間としてもっと向き合うことが出来たはずだ。あの日、あの時、もっと違う選択をすれば、より良い人生があったかもしれない。
そんな悲しみ、もどかしさを抱えながら、それでも人は前を向いて歩んでいくしか無いのである。人間は完璧な存在ではないのだから。日は昇り、いつか沈みゆく。日が沈む前の夕日を前に、あなたは何を思うだろう。あなたの隣に、ジョークを言い合える存在が居たとしたら、それはどんなに幸せなことだろう。

人生を振り返り、またこれからの人生を豊かにする一助となる一冊。

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Posted by ブクログ 2024年02月19日

友人から勧められた作品。
土屋政雄氏の見事な訳も手伝って、素晴らしい読書体験を味わうことができた。

常に『品格』を追い求めた執事・スティーブンズは、現在の雇主・ファラディに進められて休暇をもらい、英国南西部への旅に出る。
息を吞む田園風景や暖かい人々との交流、そして過去共に同じ雇主に仕えたミス・ケ...続きを読むントンへ会いに行く旅の中で、スティーブンズはかつての雇主・ダーリントン卿への敬慕や、同じ館で十年以上の時を共にした女中頭であるケントンへの淡い恋心といった過ぎ去りし思い出を振り返ることになる。

スティーブンズは執事として自他ともに認める有能ぶりで、ダーリントン卿が保有していた館での仕事はまさに完璧といっていいほど。彼の気品あふれる語りと、時折見せるユーモラスさのコントラストが非常に愛おしく、それを見ているだけでじんわりと幸せになれた。

そんなスティーブンズが旅のなかで思い出すのは過ぎ去りし日々。
亡き父の死に目、自身へ向けられたミス・ケントンの想い、盲信的に尽くしたダーリントン卿の末路。
自身の求めるものや時代のうねりのなかで失ってしまったものの数々を思い出すスティーブンズ、だが時計の針は巻き戻せない。
古人から現代人に至るまで、人間として生きるのであれば逃れることのできない苦しみ。それを改めて考えさせられる。
ノスタルジックな雰囲気に浸れる作品ではあるものの、終わり方はどこか未来を感じさせ、じんわりと心に染みわたる作品だった。

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Posted by ブクログ 2023年12月03日

貴族の屋敷での執事としての人生を振り返る主人公の語りは、飽くまでも丁寧な口調と柔らかな物腰で、読んでいると、とても癒される。悲しみを描いても陰鬱さはなく、静謐という言葉が浮かぶ。何度でも繰り返し読みたくなる名作だと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月23日

自分の仕事に誇りを持ち、どこまでも極めていく人間はかっこいい。

スティーブンスが最後に「主人が変わって、私には何も残っていない」と珍しく弱音を吐いていたけれど、ドライブにより過去を振り返ることでーーその話を読者代表であるベンチの男に語ることでーー最後は自分が苦手としていたジョークについてトライして...続きを読むみようと考え、今後も自分の人生を歩んでいこうと前に一歩踏み出せた彼は偉大な執事以外の何者でもないと思いました。

【心に残った台詞】
351
私どものような人間は、何か真に価値あるもののために微力を尽くそうと思い、それを試みるだけで十分であるような気がいたします。そのような試みに人生の多くを犠牲にする覚悟があり、その覚悟を実践したとすれば、結果はどうあれ、そのこと自体がみずからに誇りと満足を覚えて良い十分な理由となりましょう。

(余談)
⚠️以下、『レベッカ』のネタバレを含みます。

スティーブンスが主人を慕った想いの強さを考えると、ダンヴァーズ夫人があれほどまでにレベッカを慕っていた気持ちが理解できるような気がした。

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Posted by ブクログ 2023年05月18日

カズオ・イシグロ初邂逅。
名家に仕える執事、スティーブンスが、久々に与えられた余暇に英国をドライブ。
既に辞めてしまった女中頭のミス・ケントンに会うことを目的の一つに。

その道すがらに起こる出来事をきっかけに、お仕えしている家で発生した様々な出来事を思い出しながら滔々と語り、そこから執事としての品...続きを読む格や、あるいはかつて一緒に働いていた女中頭の行動の理由などを深く考察していく。

とりたてて大きな事件が起こるわけではない。
モノローグの中には、かつて自らも巻き込まれた、主人が起こした政治的な動きなども語られるが、執事の口調はあくまでおだやかで紳士的。最初はどこか退屈な感じもした。
ただ、読んでいくうちに美しい英国の景色だったり、スティーブンスの仕事に対する熱い想いなどが手に取るように伝わるようになり、そして終盤、ミス・ケントンに会うくだりではすっかりスティーブンスに感情移入してしまっていた。
解説では丸谷才一が、この物語の背後に潜むイギリスという国の政治的なありかた的なことを語っていたが、そういう小難しいところは抜きにして、私は仕事に対して丁寧であること、一生懸命であることの重要さとか、その勇気みたいなものをもらった。
とてもいい小説だった。読んで良かった。

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Posted by ブクログ 2023年05月09日

特に大きな事件もなく、淡々と進む文章なので好き嫌いが分かれそう。
読み終えたあと、なんだか朝日を見たあとのような不思議な爽快感と暖かさがある。

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Posted by ブクログ 2023年05月07日

大学の合格祝いとして担当の歯科医師の方に頂いた本なのですが、まるで1本の映画を観ているような時がゆっくりと流れる気品溢れる物語でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月04日

カズオイシグロの中でも特におすすめ。主人公の執事が以前の主人との日々を旅しながら回想していく。品格を求める仕事人間の主人公。最後には何も残らず…

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Posted by ブクログ 2024年02月21日

スティーブンスが途中で「もしかしてダーリントン卿のもとでかつて働いていた執事かい?」と聞かれ、「いいえ。一度も。フィラディという方にお仕えしております。」と答えるシーンがある。

これは決してダーリントン卿に仕えていたことを恥じて昔の関係を秘密にしているのではなく、イギリスでは執事と主人の関係は離婚...続きを読む歴のようなもので、前の主人のことを一切口にしないというのがマナーだということだった。しかし一方で、ダーリントン卿が主人だとはもう言うことが叶わないという哀しさが漂うシーンでもあり、個人的に好きなシーンだった。

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ネタバレ購入済み

人生の黄昏

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
・「わしはあんたの言うことが全部理解できているかどうかわからん。
だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っとるよ。
いいかい、いつも後ろを振り向いていちゃいかんのだ。
後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。
なんだって?昔ほどうまく仕事ができない?
みんな同...続きを読むじさ。いつか休む時が来るんだよ。
わしを見てごらん。隠退してから、楽しくて仕方がない。
そりゃ、あんたもわしも、必ずしももう若いとは言えんが、それでも前を向き続けなくちゃいかん」
「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。
みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ」

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Posted by ブクログ 2023年07月08日

よく「旅行に持って行きたい本」という特集があったりするけど、
これもそんな小説のような気がする。
オレもこれを金沢を旅しながら読んだのでなおさらね。



主人公も旅をしていて、イギリスの各地を巡る。
けど、旅自体が主題ではなく、人生の回想が中心となっている。
旅しながらいろいろ考えるってよくあるじ...続きを読むゃない。
落ち着いた調子がそういうのに向く。
(そういえばカズオ・イシグロの作品は回想調の作品が多いね。
なんかあるのかな?)

ジジくさいけど、面白いよ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月31日

終始、表紙のイラストのような哀愁漂う雰囲気のお話です。
自分の執事としての人生を誇らしく思う一方で、徐々に明かされていくある一つの後悔。自分の人生が無価値だったのではないかと思い知らされたくない。そんな思いで隠されている真実を、主人公が少しずつ受け入れていきます。この絶妙で複雑に入り組んだ心情描写が...続きを読むカズオ•イシグロさんの好きなところです。
その心情をゆっくりと辿っていくことで物語の世界に没入していく感覚が好きです。
自分が欲しかったもう一つの人生。旅の終わりにそこに辿り着きます。しかし、やっとの思いで辿り着いたそこは既に手遅れの状態でした。
何もかもが完璧に手に入る人生なんてないと思います。選択した先に起こる後悔も自分の人生の一部。
その美しさがこの小説の醍醐味だと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月04日

夕方は一日の終わりで後ろ向きな印象、前を向くなら日の出の朝がいい気がした。スティーブンスはこれから前向きになれるのか。ジョークを学ぼうとしてるから、前向きではあるのかな。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月27日

AIのような、私情を挟まない完璧な執事スティーブンスが、かつての女中頭のミス・ケントンに屋敷への復帰を打診するために旅をする話。回想形式の部分が多いが、品格ある真の執事を目指して滑稽なまでに淡々と執事業をこなすスティーブンスと周囲との微妙なズレにクスッとさせられる。
スティーブンスは品格ある執事を目...続きを読む指すあまり、主人ダーリントン卿を盲信して、自分で考えて行動することがなかった。そのうちにダーリントン卿はナチスに取り込まれ、無自覚のうちにナチスのイギリスにおける傀儡として利用されてしまっているのだが、周りからどんなにそれを指摘されても、そうとしか思えない指示をされても、スティーブンスはそれに気づかない。最終的にはダーリントン卿はそれを新聞で糾弾されて、名誉を失い人生を終えていく。また、ミス・ケントンはスティーブンスを愛しているのに、それにも気づかず二人のやりとりは空回りとすれ違いばかりでもどかしい。他の人と結婚して、もう今はその夫と共に生きる覚悟をして孫まで生まれようとしているミス・ケントンが奥ゆかしくその頃の思いをほのめかす場面が美しかった。スティーブンスは、敬愛するダーリントン卿も失い、無自覚ではあったかもしれないが愛していたミス・ケントンも失い、自分は自分の判断で行動していたわけではなく主人を信じていただけの品格を欠いた人間であったことに気づき、夕日に向かって涙する。
夕方が一番美しいんだ、と見知らぬ男から言われる最後の場面は、そんな人生の絶望を優しく勇気づけてくれる言葉に思われた。ミス・ケントンに会う直前の「四日目午後」まではかなり長く、というかこの作品の8割くらいを占めるのに、その後記述が再開されるのが「六日目夜」だから、それだけ打ちひしがれていたんだろうなと思うが、最後に見知らぬ人々がジョークを言いながら親交を深めているのを見て、ジョークの練習をしようと改めて思うスティーブンスで締めくくられているのが前向きでよい。

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Posted by ブクログ 2024年01月31日

初カズオ・イシグロ
ドラマで観た「私を離さないで」が重くて暗かったので、なんとなく遠ざけていた。この「日の名残り」は静かだが暗くはない。謹厳実直な執事には可笑しみさえある。日の名残りの頃「夕日が一日でいちばんいい時間なんだ」と教えてくれた。今まさに人生のその時間辺りにいる私にはタイムリーな作品だった...続きを読む

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

スティーブンスは父を偉大な執事だったと言う。そう思う理由の一つに、兄を無駄死にさせた将校を完璧にもてなしたエピソードを挙げる。そして自分が仕えたダーリントン卿が外交の深みにはまって溺れかけそうになっていた最悪の瞬間に、自分は執事として最高の車輪の中にいると感じて、幸福感ではなく「勝利感」を得る。正し...続きを読むいことをしたからだとは言わず、品格を保ち続けられたからだと言う。スティーブンスは、主人が間違っていることを知っていたかもしれない。だから、ベンチに座って「ご自分が過ちをおかしたと……言うことが〝おできになりました〟」と泣いたのではと思う。だが、主人に忠告することは「わきまえた」ことではないし、執事としての品格も保てたものではない。主人を信じてはいたけれども、結果として見捨てたとも言える。自分の品格を保つために「正しい」ことをしてきた人生だったのだと思う。当然、女中頭との駆け落ちなどあり得るわけがない。アメリカ人の主人に仕える今になってベンチで泣くことさえ、「執事」としての品格を保った結果だと思う。この悲しさが美しいのだと思っていることも大いにあり得そうである。だが「人生、楽しまなくっちゃ」とアドバイスをもらったのも確かである。楽しい人生だった、でいいのだろうと思う。

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Posted by ブクログ 2024年01月04日

書評にもあったが時間経過の表現が巧みで、すぐ本の世界に浸れた。そしてこんなに自然で読みやすい翻訳は初めてでは、と感激した。

旅を続け、栄光と衰退の過去と向き合うスティーブンスはどこか寂しそうにみえた。自分の半分を失ったことで、どこに心を置いていいのか分からなくなったんだろうな、と。

だからこそ海...続きを読む辺のシーンが輝いてみえて、少しホッとした。自分の役割を達成することが仕事だと改めて気づいたスティーブンスには明かりが灯ったようで、それが未来を照らしているように感じた。
気品溢れるステキな本だった。

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Posted by ブクログ 2023年10月12日

過去の出来事を回顧しながら物語が進んでいくが、最後の最後になって、自分の過ちを見つめることになり、取り返すことのできない時間が静かに押し寄せてくる。どれだけ悔やんでも、取り戻すことのできない時間が。

誇りに思っていた執事としての"品格"。
しかし、信じていた主人は歴史から見ると...続きを読む誤った判断をしていて、さらに自分が拘る品格を保つためにミスケントンとの関係を蔑ろにしていた。

人生って…と考えてしまう。
読後はものすごい寂寥感が。

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Posted by ブクログ 2023年10月02日

ブッカー賞がどれだけ凄いのか、カズオイシグロがどれだけ凄いのか、まあ答えは簡単でノーベル文学賞を受賞した出来るごくごく限られた人間って事。イギリス文学は推理小説ならあるけど、純文学、明治大正の古風な時代を感じるわ、それとスティーブンスの執事とは、この突き詰めた物語だった。旅先の風景が全く出ないしほと...続きを読むんど回想記と旅する惚れた同僚に会う旅と思った自分にさようなら。難しい構成なのにもっと読みたい欲求で、引退した執事と会話して自分の愚かさに涙して認めずに、執事の仕事に帰る。地団駄だよ、泣いた部屋のドアを開けてくれって事。初めて手に取って 凄いのと2冊目も行けそうだと思います。海外の棚にあるカズオイシグロ、さすがだよ。

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Posted by ブクログ 2023年07月08日

品格のある執事を目指す、スティーブンスと女中頭のミスケントン。二人の絶対に噛み合わない関係、わざとやっているのかと思えるほど、向いている方向の違い。まるで漫才のような、ツッコミを入れて欲しいのかというくらいのボケ具合がなんか面白かった。大きな展開があるのではなく、過去の思い出を巡りながら、最後まで向...続きを読むき合わない。そんな不思議な関係。はっきり書かれない「思い」がいっぱい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月24日

ダーリントン卿に仕える執事の一人語り。
主人公スティーブンスについて、最初は良き執事と感じ、読み進めるが、徐々にモヤモヤしてくる。
スティーブンスの言動に共感できないのだ。
過去が甦るにつれ、彼の執事としての栄光と闇が見えてくる。
確かに執事としての仕事を忠実に全うしたのだろう。だが、実直過ぎて、柔...続きを読む軟性に欠けるというか、思慮が足りないというか…
ターニングポイントはいくつかあり、違う行動に出れば、結果は違っていたと思う。

最後の夕暮れの場面で、スティーブンスは涙ぐむ。人生を後悔し、やっと人間らしい正直な感情が表出された。
この先、彼はどうなるのかなぁ、まさか…最悪の終わり方なのか?と、心配したのも束の間、
新しい主人の為に、下手なジョークの練習をしようと切り替えるくだりで、ズコーっと転けてしまった。(笑)そして安心した。
最後まで、愚直さを貫き通す姿に正真正銘の品格ある執事だと納得した。
そして良くも悪くもイギリスらしさを感じた。

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Posted by ブクログ 2023年05月29日

イギリスの田園風景の品格。わかりやすいドラマや「見せ場」がないからこそ偉大。美しさの持つ落ち着き、慎ましさ。自らの美しさと偉大さをよく知っているので、大声で叫ぶ必要がない。

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Posted by ブクログ 2023年04月28日

ポスト資本主義のような考えが、イギリス紳士の中に少しあるような気がした。
自分として、見習いたい部分だと思った。

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Posted by ブクログ 2023年04月23日

ずいぶん前に映画を見て気になっていた作品。
やっと読めた。

主人公のスティーブンスがいかにもな英国執事という設定。古き良き時代を、長年仕えてきたダーリントン卿や執事として大先輩の父、仕事の同士である女中頭ミス・ケントンとの思い出を振り返りながらドライブ旅行は進む。

執事としてダーリントン卿を心か...続きを読むら敬愛し信じたスティーブンス。執事としての仕事に心から誇りを持ち真面目に打ち込んだスティーブンス。結果、父の最期の瞬間に立ち会うことは出来ず、自身のミス・ケントンへの想いにも気付かず、主は敬愛したダーリントン卿からアメリカ人のファラディに変わり、美しく維持されたダーリントン・ホールも大勢いた雇人も極限まで減る。

ドライブの最大の目的はミス・ケントンとの再会だが、その再会が出来るのかどうか、また出来たとしてスティーブンスの思惑通りに進むのかが、回想を読み進むほど心配になってくる。

時に健気で時に滑稽、時に痛々しいほど真摯に理想である「品格ある」執事の仕事に突き進んだ彼が、旅の最後にたどり着いた答えは。
心配したような結末でなくて良かった。

ファラディの元で、スティーブンスがどのような執事振りを見せてくれるのか、渾身のジョークはどんなものなのか、想像すると楽しい。

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Posted by ブクログ 2024年03月06日

外国ルーツを持つイギリス人であるカズオ・イシグロがイギリスの伝統を描いた作品。
後に彼が「生きる」の英版脚本を手がけると思うと一層感慨深い作品でもある。

時代の移り変わりで、アメリカ人の主人を迎えた老境の執事。
彼のかつての主人は、戦間期に戦前よりのドイツのlordとの絆からベルサイユ条約を親子の...続きを読む協定ではないと嘆き、ドイツの立て直しのために各国の有力者の結社を作るという立場にあった。
戦中は敵として戦うが、終われば紳士の友情という世界観。だが実際にこういう結社の在り方もあっただろう。
奇しくもこの辺り、キングスマン:ファースト・エージェント見てると実感が湧いてくるというか..
あちらは第一次世界大戦が舞台だし、ロシアの階層ラスプーチンとドイツをぶっ倒せ!という脳筋状態の結社ではあったけど..
執事らが関与する形で、国同士というか貴族同士の国境を超えた外交(shadow cabinet ならぬshadow Abby)が重要な選曲を握るという状態は面白い。

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Posted by ブクログ 2023年11月02日

ここまで「品格」について考えさせられたことは、ありませんでした。イギリスならではの文化というか、国民性というのか、真面目で忠誠心の
強い執事のスティーブンスのお話で、過去現在と
自分が執事であることに対しての誇りというものが、沸々と伝わってきました。ダーリントン卿への忠誠心には、人一倍強いものを感じ...続きを読むました。

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Posted by ブクログ 2023年09月18日

母の友人(終活中)から回ってきた一冊。
ノーベル賞授賞後、いつかは読みたいと思っていたので、これを機会として初カズオ・イシグロに挑戦。
ダウントン・アビーを見ていたので、イギリスの執事の話という点ではイメージはしやすかったですが、私には読みにくい文体で、読むのに時間がかかりました。

前の主人(貴族...続きを読む)とその友人が、執事に政治談義を吹っ掛けて、庶民には政治なんてわからない、とバカにする場面が印象に残った。

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Posted by ブクログ 2023年09月11日

世界的な名著
だが、何がそこまで凄いのかさっぱり分からなかった。
イギリスの執事の話で、日本人にしては全く馴染みのない文化を丁寧に、そして哀愁を持って理解させてくれる。
面白く読めるのだけど、死ぬまでに読め!みたいな風潮の凄みは分からなかった

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Posted by ブクログ 2023年07月02日

2017年のノーベル文学賞に選ばれた著者。長崎市出身の日本人で、現在はイギリス国籍でSir.の称号を持つ。この「日の名残り」はもともと英文で、原文は本場の英国人も驚くような格調高い文体を使っているそう。翻訳版では執事が丁寧な言葉遣いをしており、うまいこと日本語で原文の雰囲気を表している。内容は非常に...続きを読むイギリスらしい。主人公である執事が過去の経験を通して深い自己認識を得るもので、イギリスならではの階級意識が強く反映された物語。

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Posted by ブクログ 2023年06月07日

主人公の語り口が独特
品格とはなにか考えさせられた
起承転結はないが読んでて心地よかった
イギリス旅行に行く前に手に取った本

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