
macさんのレビュー一覧

レビュアー
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ネタバレ
・人間は5万年前(石器時代)から変わっていないハードウェアだ。脳はその時代から進化していない。
それなのに受け取る情報は、その時代に生きた人の一生分の量である。
限られたハードディスクには、不必要な情報が満載。貴重なメモリは、他人の目線を気にして、モノを追いかけ、
管理することに大きく割かれる。本来の大事な事に手をつけられなくなる。
そして束の間の娯楽を消費し続ける。
ゴシップやアルコールなど簡単に自分をごまかせるものに手を出すようになる。
まるで「処理中」のアイコンがぐるぐるしている、「重い」パソコンのように。
・重いパソコンをキビキビと動かすには、ハードディスクのデータを「減らす」。
起動 -
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保身の連鎖
・「データや常識と整合性のある道理だけじゃなくて、個人的な動機で判断してしまう時が、人間にはあると思うんです。
人の数だけ個人的な動機があって、それが複雑に絡み合っているのが社会なんです。
IDMC委員も30人の人間だと考えることも重要なのではと」
・「IDMC委員たちの動機って、恨みとか理想とかじゃなくて…上下関係ってないですかね?
働いている場所も仕事も違う30人が一致する動機を探してましたけど、もう理由とか事情とかないのかも」
・「医学界って医学部から徹底して年功序列世界ですから…他業種から見たら異常なくらい。
その状態を常識だと思って疑わないから、中熊先生伝ての脅しが効くと思ってる」
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・親から虐待を受けた子供が、自分より小さくか弱い生き物に暴力を向けてしまうことはある。
虐待の連鎖である。しつけか虐待か、親の言動は子供にどれほどの影響を及ぼすか。
それらをジャッジする見積もりの甘さが、虐待の連鎖を生み、この世界の不幸を拡大再生産してしまう。
・ハッピーエンドの恐ろしさは、そこに至る過程で主人公の身に起きた辛く苦しい出来事が、
終わりよければすべて良しのノリでなかったことにされてしまう点にある。
少なくともハッピーエンドの印象故に事態は甘く見積もられることとなる。
・因果律では捉えられない不合理なことも、現実にはあり得る。
人間は、特に現代人はあまりにも因果律に囚われている。 -
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どこかで奇跡は起きている
・「『わからない』というのは、不安であり、怖いものでしかありません」
・「赤ちゃんと母親に寄り添えなくなったら、その出産はもううちらのものじゃない」
・「感染対策のために外部から院内に入る人を最低限にってのは分かるけど、
旦那が立ち会いも面会もできないなんて異常だよ」
・「感染病棟(ここ)に入院している患者は、みんな怖くて不安なんです。
それに、まるで自分が特別悪い事をしたかのような気持ちになって苦しんでる。
そんな時は誰かにそばにいてほしいし、誰かにそっと手を握って貰いたい。
本当は家族がそれをしてあげられれば一番いいけど、今それをしてあげられるのは看護師(うちら)しかいないでしょ。
看護師 -
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・「達也さんにはわからないでしょう。愛する人とともに生きることを許されたあなたには」
「達也さんの人生が順風満帆だったとは思いません。僕には想像もできないような陰惨な経験だってしてきたと思います。
そうでなければ、あんな風に世界と戦おうなんて思えないでしょうから」
「でも達也さんは一人じゃない。過去のことは知りませんが、現在と未来は、一人じゃない」
「分かっているんです。僕は一人じゃなかった、今だって死のリスクを冒して付き合ってくれる仲間がいる」
「こうなってしまったのは誰のせいでもない。僕自身の選択です。
ベストではなかったかもしれないけど、正しい選択だったと思っています」
「あなたは強い人 -
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・「失敗したからとか、質問に答えられなかったらとか、あんまり考えすぎない方がいいよ。
わからないことは「わからない」と正直に答えればいい。そのあと調べたり、人に聞いたりして、
患者のために行動する事が重要なんだから。
俺たちの仕事は、事なかれ主義でやっててもある程度は成功しちゃうけど、
まずは一歩踏み出さないと、自分が何をすべきか見えてこない。
それに捌く数とか気にせず患者に時間をかけられること、この先なかなかないよ。
この機会をフルに活用しないともったいないって」
・「同じ立場を経験しないと相手を思いやれないなら、誰も医療者になれないよ。
みんな最初からできるわけじゃないし、私だってまだまだ -
ネタバレ
・「小説よりも奇妙な現実なんて、誰も求めてないよ!」
・「僕は今幸せなんです。現実ってそんないいものですか?この世界で歌っていてはいけませんか?
誰にも迷惑かけてません。一人でいるだけなのに」
「現実だって、それほどいいものじゃない。だがなあんたがそうやって現実から逃げているあいだも、
現実を支えるために必死で戦ってるやつらがいる。誰にも迷惑をかけてないと言うが、
あんたの幸せは、彼らの犠牲で成り立ってる」
・効率優先、生産性第一の社会、即ち若いことが価値だとされる社会では、
人間的な豊かさや幸せは二の次になりがちだ。
・人類が到達した「無眠社会」。それは人が起きたまま睡眠できるようになり -
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男の温泉
・群馬県の四万温泉積善館『元禄の湯』:美しいアーチ。
・温泉は世界に誇る日本の文化。江戸時代より湯治場として、病の治療をした伝統がある。人と人との裸の交流。
・北海道河東部の幌加温泉:露天。
・青森県黄金崎の不老ふ死温泉:海と同化している温泉。海の方は冷たい。
・秋田県川厚毛の大湯滝:大滝の温泉
・岡山県の湯原温泉砂湯:ダムの温泉
・静岡県の河津原温泉:共同露天風呂(バスタブ様):湧きだす温泉が余ったので作った温泉
・新潟県苗場の赤湯温泉:標高1060メートルにある秘湯。車から下りて5キロ歩く。
登り2時間かかる、山の上の温泉。
・大分県の天ヶ瀬温泉:玖珠川のほとり。共同露天風呂。
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コンパクト化
・思い出屋敷化しやすい人の特徴:根が几帳面、思い出が多すぎて物が捨てられない、
物に囲まれている幸せを感じる。そういう人は「データ」だけあってもダメ。形が必要だ。
・ビデオテープの場合:DVDにする数が多すぎる場合は、
大容量ハードディスクと、それに対応するプラスチックケースとプラスチックフレームだろう。
見たいナンバーをパソコンに入力し、ハードディスクから選び、好きな物が見られるように。
チケットもプリントアウトできるように。
・本の場合:大容量ハードディスクと、それに対応する本を模したプラスチックケース。
あるいはマイクロブック(1/100)。マイクロブックを読む時は、ページをピンセットで -
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ゴミ屋敷
・ゴミ屋敷の裏側には、体力の低下や認知症、また精神疾患などがあって、
その結果「片付けられない」「捨てられない」「増やしてしまう」ということになってしまう。
・ゴミ屋敷はいろいろな問題が見える形になった現在進行形の結果である。その最終地点は孤独死。
・ゴミ屋敷になる原因は複雑でも、大きな共通点はある。それはセルフ・ネグレクト(自己放任)だ。
健康、生命、および社会生活の維持に必要な個人衛生、住環境の衛生、もしくは整備、または健康行動を放任・放置しているということ。
・「自分のために何かするってすごーく難しいじゃない?」
・「どんなに頑張っても自分のこと大切に出来ないと元も子もないって俺は思うね -
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ヤングケアラー
・ヤングケアラー:本来、大人が担うとされている家事や家族の世話など、日常的に行っている18歳未満の子供や若者。
過度な負担により学業などに支障が生じたり、子供らしい生活を送る権利を侵害されている状態。
介護や育児といったケア労働は家族の中で解決する、という価値観の延長線上にヤングケアラーはいる。
ヤングケアラーの一番の問題は、彼らの存在が気付かれないことだ。
・「ねえ、犬飼さん。俺、お父さんの力にちゃんとなれてるかな?」
「景都くんはもう十分頑張ってるよ」
「…だといいなあ。俺の家族の話、聞いてくれてありがとね」
・「患者と家族の意見が反映されていない支援計画なんて、成立する以前の問題。誰が金 -
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脳卒中
・MSW:医療ソーシャルワーカー。患者の病気や怪我、その後遺症から起きる問題や不安に寄り添い、
その後の治療や日常生活をスムーズに送れるよう、社会福祉の立場から患者を支援する人々。
・「お金って大事ですよ。だって生きてるんですから!」
・「まだ自分の身体の変化を受け止められていない。今までできていたことができなくなって、
日々少しづつ無力感が蓄積されてしまう。そんな中で自分が本当はどうしたいのかなんて考える余裕もない」
・「会社って「人」で出来ているのに、その「人」を守らない会社ってどうなんですか?」
・「私どもの仕事は患者が中心なので、どうしても御社が組織として個人を特別扱いできない、と言う -
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マルクス・アウレリウス帝
・マルクス・アウレリウス帝(ローマ帝国最後の五賢帝)のパルティア戦役→勝利→
帰還兵たちが新感染症(天然痘か麻疹と言われている)をローマに持ち込んだ=『アントニヌスの疫病』→
6000万人のローマ帝国で、1000万人の人が死亡→急激な人口減少→ローマの経済力の減退→
国家の安全保障に揺らぎ→ゲルマン民族がドナウ川口境を脅かすようになっていく。
・マルクス・アウレリウス帝「まもなく土は我々全てを覆い隠してしまうだろう。
次に土自身も変化し、更には次から次へと無限に変化して行く。
この変化と変形の波の動きと、その速さを考えて見る者は、諸々の死すべきものを軽蔑するに至るであろう。
全て君の見ているも -
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合成の誤謬
・個人経済から見る時と、国家経済から見る時とは、大変な相違がある。
例えば、ここに一年五万円の生活をする余力のある人が、倹約して三万円を以って生活し、
あとニ万円はこれを貯蓄する事となれば、その人の個人経済は、毎年それだけ蓄財が増えていって結構なことである。
しかし、これを国家経済の上から見る時は、その倹約に依って、これまでその人が消費していったニ万円だけは、
どこかに物資の需要が減る訳である。その分、国家の生産力はそれだけ低下してしまう。
故に国家経済より見れば、五万円の生活をする余裕ある人には、それだけの生活をして貰ったほうがいいのである。
また、別の例えをすると、仮にある人が待合へ行って -
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医学について
・石鹸の元となるアルカリ:「オリーブオイルと石灰」<「炭酸カリ(ポタシュ)かソーダ灰、塩」<
「灰汁(植物の灰を水に浸して出来た上澄み液」
・石鹸:アルカリ+油・脂肪→鹸化
・避妊:禁欲(性交を行わない)≧経口避妊薬(血栓症のリスク)
>母乳を与える(出産後6か月まで。その子は母乳だけで育てなければならない。日中は4時間おき。夜間は6時間おき)
>避妊リング(感染による骨盤内炎症のリスク)>コンドーム>膣外射精(一部の精子は射精前から出ている)
>排卵(生理の12~16日前)日を避けて性交をする>洗浄法(性交後に膣を洗浄する)
・肉離れと捻挫:負傷した部位を冷水に浸す(軽度の火傷による損傷と痛 -
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人の心は繰り返す
・あまりに災厄が酷くなると、人は神聖や清浄さ、更には葬儀などの宗教的な感情を顧みなくなる。
神々なんかいないじゃないか、と人々は自暴自棄に陥り、信仰は廃れていく。
・集団免疫:多くの人が罹患した結果、殆どの人が免疫を持つこと。
・内省的な思考(仏教など)は、人々が豊かになり、社会がどんどん発展している時には、なかなかメジャー化しない。
逆に全てが崩壊して行く時には、「自分たちが求めたものに意味があるのだろうか。
もっと大事なものがあるのではないのか」と、人々がその教えに耳を傾ける傾向がある。
・感染症の爆発は、細菌やウイルスが伝染することに加え、免疫機能の低下によって起こる。
慢性的な飢えで栄 -
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お金
・お金自体に価値は無い。価値があるのはそれによって交換できる物資やサービスなのだ。
お金とは、何とでも交換できる万能の有価証券に過ぎない。
お金とは、その国に流通する物資の供給力を映す鏡である。
・中央銀行の役割は、お金の乱高下が起きないように調節しながら、通貨を発行することで、
「安定した経済を保つこと」である。その為にいくらのお金を刷るのかは、「インフレターゲット」によって決める。
中央銀行が発行しているお金は、経理上『政府の負債(借金)』として計上される。
そのお金が国内を巡り、日々の経済活動に使われる。
・『国の借金(政府の負債)』が無い状態というのは、貨幣経済が破綻した(あるいは物々 -
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・保守とはなにか。自国の伝統や文化、習慣や社会の在り方、
さらにはこれらのものの考え方を尊重し、長い歴史の中で培ってきた自国の良いところを大切にしていこうと態度だ。
先人が築いてきた自国の歴史の素晴らしいところを継承し、
国民としての誇りを保持していこうとするのが、大人としての生き方だろう。
そうしたものに敬意を払うことなく、自分たちの利益や気まぐれによって、安易に変えてしまおうとするのは愚かだ。
時代とともに世の中は形を変えていくものではあるが、形は変わっても本質的な自国の良さは大切にしなければならない。
・憲法で大事なのは、自国の歴史を見直すこと。
占領体制で強制された憲法を -
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外交の武器としての歴史
・歴史問題の解決とは、もう一度戦争に勝たなければ解決できないほどの難題である。
では、歴史とは何か。外交の武器であり、支配の道具なのだ。
「正しい歴史を知っているということは、それだけでその人間を殺す十分な理由になる」
という価値観で諸外国は動いている。
・参政権とは、戦争に参加した義務の見返りである。
婦人参政権が、第一次世界大戦後、各地で実現したのは、
兵器と戦術の発達により、前線と銃後の区別が曖昧になったからである。
戦争は民主制を促進する。そして、民主制は戦争を残酷にする。
民衆の憎悪は、相手の抹殺へと国家を駆り立てる。
民主政体により選出された政治家が、適度な和平な -
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姉妹の戯言
・「知らないと不安になる。だからみんな本や漫画を読む。ネットで調べる。映画を観る。
賢い人に聞いたりする。熱中して、それらを体験していれば、まるで物語の中に入ったみたいに、
旅をしているみたいに、錯覚できる。気分は、心は夢は、自由に、いろんなところを巡っている。
でも、ほんとに自分の目で見なければ、手で触れなければ、知識は知識のまま。ただの想像のまま♪」
「ゲームの中で、どれだけダンジョンを攻略しても、アイテムを集めても、魔王を倒して世界を救っても、
どんな大冒険をしても、実際には一歩も進んでないの。知らないまま、想像だけが膨らんでいくの」
「知識だけあっても意味はないの。だから想 -
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統計学のさわり
・世の中にある統計学の入門書は「大学で初めて学ぶ人向け」に作ってある。
従って中学・高校で数学を諦めた人が読みこなすのは不可能だ。統計学は数学嫌いの人を想定していない。
とはいえ数学嫌いでも現代人の教養として知っておいた方がいいこともある。
データ社会を生きるサバイバル術の一種でもあるからだ。
・インターネット投票は”調査もどき”。その結果を「世間の声」と判断してはならない。
・真実を知りたかったら、母集団を調べるしかない。
どうやって標本を抽出したのかの情報が書かれていない調査結果は検討に値しない。
・買い物やサービスを選ぶ時に、レビューや星(評価)の数が出てくるが、
母集団 -
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AIと統計と数学
・途中で「もういいや」と諦めた瞬間に成長が止まってしまうのが、
数学や理科系を始めとする「積み上げ式」の学問の難しさだ。
一方で、教師は生徒達が中学の内容を理解している前提で授業を進めていく。これが一斉授業の限界だ。
ただ、そこで耐えて、中学、高校で習う数学のアイテムを一つひとつ習得していくと、
高校のある時点から急に視界が広がるようになる。「実用的だ」「こういうことに応用できる」と実感できるようになる。
・等差数列の和の計算の仕方は「ひっくり返して足す」ことだ。そして最後に半分にする。
・等比数列の和の計算の仕方は「かけてずらして引く」だ。
・エクセルの「E」は「エラー」ではな -
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思考体力
・数学の目的の一つは、世の中の課題を解決すること。日常の困りごとをクリアするために進化した。
・「公式を覚える」よりも、意味を理解して「論理的に考える」ことが大切。
・思考体力その1:「知りたい」「解決したい」という想い。思考のエンジン。
・思考体力その2:粘り強く考え続ける力。思考のスタミナ。
・思考体力その3:自分の判断や答えを疑う力。計算ミスなどを防ぐ。
・思考体力その4:物事全体を俯瞰して眺められる力。目的(全体像)を見渡す力。
・思考体力その5:複雑な課題で選択しがいっぱいある時に、正しく評価する力。
・思考体力その6:閃き。
・数学は「課題解決武器」「社会人として必 -
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ラジオの作り方
・物理を学ぶ目的は、この宇宙、この世界の「仕組み」を少しでも知ることにある。
人間もこの宇宙の一部であり、「仕組み」を知らなくても生きていけるが、
知っていることが増えると普段の生活が少しだけ、でも確実に面白くなる。
・身の回りの現象は「熱」「力」「波動」「電磁気」で基本的に説明がつく。
・「量子力学」「相対性理論」は難しい。私たちにとって身近な世界ではないからだ。
・単純なラジオには電池は不要だが、コンデンサとコイルは要る→
コンデンサには電気が溜まっている→コイルがないと、回路をつないだ瞬間ショートする→
シーソーのように電流の向きがコロコロ変わって、しかもその電流自体はコン -
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科学と文学
・「待てよ、このまま終われるわけがないだろ。患者に会わない病理医が今、臨床医をまとめてバカにしたんだぞ。
患者のことを何も見ない、悪しきパターナリズム(「患者のために、医師が責任を持って、専門的判断と意志決定を行うべき」
とする考え方。行き過ぎると患者の意思を無視したお節介になる)に堕した集団だとな。
岸先生、俺はあんたとは違う意見だ。敢えて患者に言うべきではないケースは絶対にある。
患者の性格次第で対応は変わる。接し方一つで患者の人生が変わるからだ。
だから臨床医は毎分毎秒常にたくさんの選択肢からやり方を選んでいる。
そのために俺たちは日々、気力を費やして患者を観察しているんだ。 -
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欺瞞に満ちた社会に対して
・悲しい時には悲しい音楽を聴くとよい。「悲しいのは自分だけではない」と無意識のうちに感じるため、
少しづつ悲しみが癒されていき、やがて立ち直る事が出来る。
泣くという行為には浄化作用がある。本当に辛い時は言語化も出来ず、意識も出来ない。
ひどい時には蕁麻疹や円形脱毛症などの症状として現れる。
しっかり意識して泣けているのは、癒されている途中であり、精神状態としてはとても望ましい状態だ。
・子供たちは「人を殺してはいけない」と教わって育つ。
だが現実にはそうなっていない。戦争に行ったら人を殺せと命令される。実際に人を殺している大人たちはたくさんいる。
それで平気な顔をしてのうのうと -
ネタバレ
・「私は闇を見た。全てが夢ではない夢を。太陽の輝きは失われ、星々は道に迷い…」
・深海の本当の恐ろしさはベンズ(減圧症。語源はbend=曲げる)にある。
我々が吸う空気の80%は窒素だ。人体に圧力がかかると、窒素は小さな泡となり、血液や組織に入り込む。
圧力の変化があまりに急激(ダイバーが速く浮上しすぎた場合のように)だと、
体内に閉じ込められたその泡が、栓を抜いたばかりのシャンパンさながらに発泡し、毛細血管を詰まらせる。
細胞から酸素を奪って、地獄の痛みをもたらす。あまりの激痛に体を二つに折り曲げるから、ベンズ。
高圧の環境を完全に避けること以外に、減圧症を防ぐ術は二つしかない。 -
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・「君は、神が事実を知っているとは思わないのか?」
「思うさ。神は事実を知っている。が、僕の目に映る事実はご存じない」
・生命は、化学的にはごく平凡な構造物だ。炭素と水素、酸素と窒素、少々のカルシウム、微量の元素。
その他ありふれたいくつかの元素を、ほんの少しずつ混ぜ合わせるとできあがる。
われわれを創る原子たちの非凡なところは、ただ一点、われわれを創っているというその事実にある。
それこそが、生命の奇跡だと言っていい。
・宇宙の果てには決して辿り着けない。まっすぐ外に向かって行っても、出発地点に戻ってきてしまう。
なぜなら、われわれの想像力が及ばないあり方で宇宙が曲がっているか -
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通貨高
・変動相場制の国において、為替レートは中央銀行の政策スタンスによって、ほぼ決定する。
お金をたくさん刷れば通貨の希少性がなくなり、通貨安となる。
お金を刷ることを止めれば通貨の希少性が高まり、通貨高となる。
・通貨高が進むと大多数の人が損をし、過度に進むと国民のほぼ全員が損をする。
・輸出企業は、現地における製品の相場に合わせて、販売価格を決定する。
そのため、通貨高になっても販売価格は変わらないため、外国通貨ベースで売り上げは変化しない。自国通貨に換算すれば、売り上げは大きく減少する。
利益については自国からの部品などの仕入れ価格が通貨高によって上がってしまうため、外国通貨ベース -
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・粉ミルクは牛の乳を濾過、脱脂、加熱殺菌、成分調整、乾燥させて作る→
ここまで厳密な品質管理を行っても、完全なる無菌状態にすることは困難→
対して母乳の場合、ウイルスの母子感染があり得るし、
麻疹、結核、単純ヘルペス感染などは授乳時に感染が成立する。それぞれが一長一短だ。
・微生物の世界では、楽観で始まる見解は、たいてい悲観的に終わるとされている。
・患者が訴えないからといって、症状がないとは限らない。
・結核に罹患→体重減少→貧血で顔は白っぽくなる→熱で頬に赤みが差す→
消耗で眼の周りの肉が落ちて、大きなつぶらな瞳になる→ぼーっとしていて眼のうるうるした美人になる→
ボッティ -
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医学について
・もっとも基本的な感染対策は、手洗いとうがい。
飲料水が排泄物で汚染されないように対応すること。
・腸管感染症に対する治療の基本は、水分補給。
塩大さじ1杯+砂糖大さじ3杯→1リットルの水でかき混ぜる。
・単純な顕微鏡:透明なガラスを温めて引き延ばす→細いひも状にする→熱い炎でこの先端を溶かし、垂れさせる→
ガラスの滴は落ちる間に冷え、球形の極小のガラスビーズに→金属の薄片か、厚紙の真ん中に穴→
この穴に球形のレンズを乗せたものを作る→それを試料の上にかざす。
・難産の時に赤ん坊を取りだす、手術によらない方法:産科鉗子を産道まで差し入れる→
胎児の頭蓋骨をしっかり注意深くつかむ -
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・感染経路を遮断すること「そのもの」が感染対策。
・「みんなで一つの病気」だったり、「一つが様々な病気」。
・スタート地点は常に「現象(病気)」であって、微生物ではない。
・入院している人は皆、身体が弱っている→医療行為そのものも院内感染のリスクを増やす→
医療行為を止めるわけにはいかない。元の病気を治さなければならない→
「院内感染」をゼロにすることはできないが、少なくすることは出来る→
・抗菌薬は微生物を殺すが、その目的はあくまでも感染症の治療にある。
・抗菌薬は感染部位に到達しなければ効かない。
・抗菌薬は感染症の原因微生物「だけ」を殺し、他の菌はできるだけ殺さないのが望 -
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障害ある者に対する差別と反動
・歴史的に見て、障害者は差別的な扱いを受けることが多かった。
→古代ギリシアのスパルタ「優れた者だけが生きることを許される。容姿の醜い者に結婚する権利などない。
身体に障害のある者は役立たずだから、社会から排除するべきだ」
→キリスト教が広まったヨーロッパ「全知全能の神が意図せず不完全な体の子を造られるはずがない。
もし障害者を神が造られたとしたら、それは罰を与えられた子だ。悪魔の子だ」
→こうした理由づけは、その時代、その時代の価値観に合わせて後から取ってつけたものであって、
その根底にはスパルタ的価値観が流れているだけに過ぎない。
→進化論が広まったヨーロッパ「進化論が正しい -
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スタートライン
・「怖いでしょうね。尊敬する上司が突然いなくなって、自分が残るなんて」
・「あれは良くないです。真剣に言ってて、とてもつっこめなかったんですよ。
上司(あんた)への100%の感謝と尊敬でそういうこと言ってるんです。
病理医として対等な関係に修正するよう指導してください。あれじゃ崇拝だ。
それが病理診断科としてどれだけヤバいことで、病理医にとってどれだけ致命的なのかわかってますよね」
・「六川師長、あなたはきっと自分の部下にも古い採血手順を見せている。
新しい手順を知ってるはずの若い看護師の中にそれを指摘する人は今まで誰もいなかった?
だとしたら一日も早く改善してください。そんな組 -
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人間なるもの
・逆転の発想:「自分」という存在は、他者との関係によって、見え方が変わる。常識と思われている関係が全てではない。
自分はダメだと感じても、それは「ある規準」の世界でのこと。視点が変われば短所も長所になり得る。
・小人の国:「どうでもいいこと」による戦争→戦争で敵の艦隊を拿捕→ただし敵兵はそのまま→皇帝の不評→
英雄ガリバーは、小便で宮殿の火災を消した→「侮辱罪」→死刑?両目をつぶす?
→政争→亡命→ボート発見→帰還→次の旅へ。
・巨人の国:一見、牧歌的な理想郷。ガリバーは愛玩動物の扱い。(常に死と隣り合わせのか弱い存在)
どんなに魅力的なものでも、超拡大すれば歪な面が見える。
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言葉の使い方
・過去に起きた事実は変えられないが、事実の解釈を変えることはできる。
・コミュニケーションのひな形は、幼いころに形作られるとはいえ、
経験を重ねる中で意識すれば変えていけるものである。
・自分の満足度の方に重きを置こうと決めれば、かなりのことが楽に捌けるようになる。
・社会人として生きていくには、言語の運用スキルが極めて重要だ。役に立つのは、攻撃された時の身のかわし方。
・耳触りのいい言葉は、ほとんどの場合、不都合な真実とセットである。
短期間のうちに起こされる大きな変化の後には、弱者が犠牲になるものだ。
そしてまた、適応しすぎた者も、新しい環境では生き延びられない。
多様な可 -
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知識と実践
・努力が無駄になることはない。努力することを止めた瞬間、それまでの努力が無駄になるだけだ。
・成功の対義語は「失敗」ではなく「行動を起こさないこと」。
・何をやってもダメな人=すぐに手段と目的を混同し、本来の目的を見失ってしまう人。
・戦略:最終目的を達成するためのおおまかな計画方針。
・作戦:戦略を成功に導くための個別的かつ具体的な計画。
・戦術:作戦を成功に導くための現場での手段、方術。
・戦術でどれだけ勝利を重ねようとも、戦略で失敗したのでは何の意味もない。
逆に戦術でどれだけ失敗を重ねようとも、最終的に戦略を損なうことがなければ、問題ない。
事において、常に「戦略」を見 -
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・人間の思考パターンが形作られる上で、科学が重要な役割を果たしていると同時に、
科学理論を作る上で人間の思考パターンが重要な役割を果たしている。
・型にはまった考え方は、科学者や革新を目指す人にとって好ましい態度ではない。
科学は、先入観や権威の天敵だ。
革新的なブレークスルーを起こすには、誰もが真実だと信じている事柄に逆らって、
古い考え方を新しい信頼できる考え方に、置き換えようとする意欲がどうしても必要である。
科学の歴史および人間の思考全般の歴史に立ちふさがる、前進を妨げる障壁が一つあるとしたら、
それは過去や現在の考え方に対して、必要以上に忠実であることだ。
かつて、古 -
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警戒するべきは
一部ご紹介します。
・OSやウェブサイトなどのソフトウェアを常に最新の状態にしておく
・ウィルス対策ソフトは常に最新の状態に更新し、定期的にウィルスチェックをする
・電子メールに添付されているファイルを安易に開かない
・匿名で投稿できる掲示板などに掲載されたリンクやメール本文のURLを安易にクリックしない
・作成者の分からないプログラムを安易に実行しない
・国際政治では、人を疑う、人を騙すことが常識だ
・感染症の予防は、うがい、手洗い、手袋とマスクの着用
・チャイナ、南北コリアが、日本に対して攻撃を仕掛けた場合、外地の日本人と日本企業は人質にされる。内地のチャイナ人、コリア人は -
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・自分以外のどんな人からも学ぶべきことはある。
・学んだことは実行に移す。
・自分が持っている知識をわかりやすくアウトプットし、興味を引くように話す。
・人の心を開くためにまず、ささいな共通点を相手に伝える。
・徳川家康「人間の一生は、重い荷物を背負い、遠くを目指して道を歩いていくようなもの。
急いではいけない。不自由が当たり前だと考えていれば、まだ足りないという気持ちは生まれない。
心に欲望が湧いてきたら、困った時のことを思い出そう。
我慢すれば平穏無事が続く。怒りは敵と思うこと。
勝つことばかり考えて、負けることを知らなければ、いつか自分自身に災厄が降りかかってくる。
い -
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現在進行形の間接侵略に対して
・現実の人間社会において、正義は人の眼を曇らせる。
人間社会は矛盾と摩擦によって成り立っている以上、どこかで妥協しなければならない。
もし神の正義を実現しようとしたら、悲惨な宗教戦争が巻き起こるだけだ。
・地球侵略を狙うメフィラス星人の手口は、インディアンから土地を奪ったアメリカ人そのものである。
メフィラス星人は、最も純情な年齢にあるサトル少年を選んで、
「どうだね?この私にたった一言、”地球をあなたにあげます”と言ってくれないかね」と語りかける。
友好的な口調で話しながら、一方でバルタン星人、ザラブ星人、ケムー人を巨大化させてみせ、
「みんな私の命令で地球を攻撃することができ -
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日本の現状
・日本の教育の問題:予め決められた模範答案にいかに早くたどりつけるか、という情報処理能力ばかりを重視→
「ああすればこうなる」で凝り固まる
・国際連合(連合クラブ):安全保障理事5大国(米英仏露中)に限り、拒否権発動で武力制裁ができなくなる
=5大国だけが好き勝手に軍事行動(侵略)が出来る→
安保理5大国(米英仏露中)が引き起こす戦争を止める権限を国連は持たない
=日本と5大国(ロシアや中国)との間で領土紛争が起こった場合、
もし日本が安保理に提訴したとしても拒否権を発動されておしまい→
また、旧敵国(日独伊)に対しては、安保理の承認なしに軍事的強制力を発動でき(国連憲章第53条 -
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・関係が気まずくなった時に、男は口を開くことが苦痛になるが、女は沈黙が苦痛になるらしい。
・実際に付き合ってみるということは、憧れていた対象が自分のところに降りてくるということだ。
それは素晴らしい体験ではあるが、同時に幻滅でもある。
・女は場所や雰囲気に共鳴することを拒まないが、男はそれを拒むのが習性になっている。
・森は様々なものを捨てる場でもある。白雪姫も、ヘンゼルとグレーテルも、森の中に捨てられた。
・友達が欲しいと目を血走らせている人間を、人は拒むのだ。
もの欲しそうな人間を、人は敬遠する。お願いですからお金を貸してくださいと頭を下げる、
本当に今そのお金を必要としてい -
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・人間は自分の手を動かさないと、どんどん他人に対して冷たくなるし、想像力が鈍ってくる。
・毎日少しづつ。いつのまにか取り返しのつかない大きなものになっている。
・人によって、老化のスピードがこうも違うものかと、たまに誰かに会うと思い知らされる。
それは肉体の老化のスピードではなく、精神の老化のスピードなのだろう。
その人の生活圏が老化のスピードを左右する。職場や住環境、接する人間の種類、出入りする店など。
辛気臭い職場で辛気臭い仕事をし、辛気臭い人間としか付き合っていない人間は、当然ながら早く辛気臭くなる。
・幸福な時の思考はワンパターンに陥りがちだが、不幸になると実に様々な事を考 -
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夢魔子
・「あたしの質問に答えて。君は今何を考えてたの?」
「何も…ぼくは頭の中をカラッポにしてポケーッとしてるのが好きなんだ。
ぼくは人と競争して、猛烈に頑張ることがとてもできないんだ。
ぼくの夢はどこか遠くの、誰も来ない所で、ぼくだけの城に独りっきりで済むことなんだ。
でもそんな夢、一生叶えられないだろうなあ」
「そんなことないわよ。祈るのよ、念じるのよ!
こうやって耳を塞いで、ジーッとただそれだけを念じるの。
もしそれが君にとってどうしても必要なことなら、きっと叶えられるわ」
・「私は弱い人間、競い合いや争いは嫌。叫びや罵りが怖くて耳を塞いで祈る」
・「できたわね。これで君はも -
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・世界の歴史は人間の欲望によって作られていく。
・民族の違いは環境が決める。気候や風土が違えば、人間の生活を成り立たせるもの全てが異なってくる。
この環境は、そこに暮らす人々にとっては、変えることのできない宿命といっていい。
大自然を前に、我々は如何に適応するか考え、文化や歴史を作り上げてきた。
・環境によって形成された国民性は、たやすく変わるものではない。
武器を持たなければ、奪われ、殺されるだけだ。
・一定の大きさのコミュニティにとって、都合の悪い者を排除する行為は、我々の生活の中にも見ることができる。
排除される者に非があるために起きることが殆どだろうが、中には例外もある。 -
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・「どうしてこいつ(AI手術ロボット。《サージェリー・プロ》)は、わたしのやってほしいことがわかるんだ?」
・「そうです、ブラック・ジャックさん。《サージェリー・プロ》にはこれができるんです。
誰よりも早くあなたの思ったところへ先回りして、サポートすることができるんです。
なんといっても《サージェリー・プロ》のAIの学習には、ブラック・ジャックさん、
あなたの手術の映像をいくつも使ったんですから…!」
・「まったくおまえさんには驚かされる。未来にはこのわたしが、世界中の病院でメスをふるっているというわけか。フフフ…。
この手術代は全てひっくるめておまえさんに請求するから、そのつもり -
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・「人は誰でも完璧ではありません。むしろどこか破れて穴の見える人の方が、
長いお付き合いができるんじゃないでしょうか?」
・「やっぱり食事は好きな人と一緒に食べるのが一番ですね」
・「部屋というのは最終的にプライバシーが守られていないと辛いですよねえ」
・「何事も無心でやる人にはかないませんよねえ」
・「ホテルというのは、外から見ている方が夢があるような気がしますねえ」
・「人の肉体は滅びても、ヒトの魂や想いは永遠に漂い続けている、
と昔から言われていますがどうでしょうか?」
・「自分だけの個性的な仕事を選ぶ方が、人生に喜びを持てるんじゃないでしょうか」
・「人と人との出会い