・「知らないと不安になる。だからみんな本や漫画を読む。ネットで調べる。映画を観る。
賢い人に聞いたりする。熱中して、それらを体験していれば、まるで物語の中に入ったみたいに、
旅をしているみたいに、錯覚できる。気分は、心は夢は、自由に、いろんなところを巡っている。
でも、ほんとに自分の目で見なけ
...続きを読むれば、手で触れなければ、知識は知識のまま。ただの想像のまま♪」
「ゲームの中で、どれだけダンジョンを攻略しても、アイテムを集めても、魔王を倒して世界を救っても、
どんな大冒険をしても、実際には一歩も進んでないの。知らないまま、想像だけが膨らんでいくの」
「知識だけあっても意味はないの。だから想像だけしても意味はなかったの。
あなたはどこにも行けなかったの。いろんなところに、わたしを連れて行ってくれるつもりだったのに、
どこにも行けなくて、だから何も知らないの。見えないの。蓄積されず、成長もなくて、からっぽのまま」
「でも、これもあなたが望んだことなの。夢には願望が象徴となって現出する事もあるの。
あなたは、漫画や絵本を読み聞かせてあげたかった。共に空想上の世界で遊びたかったのかも。
でもそれができなくて」
「夢を見ているだけなの。いろんなところに行きたかったのに、あなたは行けなかったの。
ねえ、どうして知らないふりをするの?知らないふりをしている限り、どれだけ歩いたって無駄。
実際に歩きださないと、一歩も進んでいないのと同じなの。
全速力で走っているつもりでも、現状維持しかできないの。どこへ行っても、どこを探しても、
あなたが欲しいものは見つからないの。距離は縮まらないの。哀しいだけなの。決して赤の女王には追いつけないの」
・「息苦しいのは我慢してるからですよ」「呼吸を止めたら死んじゃうでしょ!」
「ねえ、どうして大事に隠して、宝箱の奥に仕舞っておくんですか?」
「隠すことで、我慢することで、歪んで形を変えて、毒や怪物になっちゃうかもしれないのに?」
「食べずにずっと仕舞っておいたら、冷蔵庫に入れても腐っちゃうよ!」