【感想・ネタバレ】ゆめにっき あなたの夢に私はいないのレビュー

あらすじ

あなたは歩く。何もない暗闇のなかを、独りぼっちで――伝説のフリーゲーム『ゆめにっき』ノベライズが待望の文庫化! 執筆・日日日(『ささみさん@がんばらない』)、挿絵・有坂あこ(コミック『マグダラで眠れ』)、気鋭の制作陣が『ゆめにっき』の世界観を紡ぎだす。俊英たちが描きだした夢の世界の答えとは……!? 【あらすじ】あなたは、ちいさな部屋に立っている。ほんのわずかな物音もしない、薄暗くて寂しい小部屋……。そのうち、己が立っている部屋を恐る恐る調べ始める。自分の行動に、何らかのリアクションがあるべきだと思い込んでいるみたいに。だって、歩き回って動き回ってそれでも周囲に影響を与えられないんじゃあ――何ひとつ変わらないんじゃあ、まるで生きてないみたいじゃないか。夢を見てるのと、同じじゃないか。

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姉妹の戯言

・「知らないと不安になる。だからみんな本や漫画を読む。ネットで調べる。映画を観る。
賢い人に聞いたりする。熱中して、それらを体験していれば、まるで物語の中に入ったみたいに、
旅をしているみたいに、錯覚できる。気分は、心は夢は、自由に、いろんなところを巡っている。
でも、ほんとに自分の目で見なければ、手で触れなければ、知識は知識のまま。ただの想像のまま♪」
「ゲームの中で、どれだけダンジョンを攻略しても、アイテムを集めても、魔王を倒して世界を救っても、
どんな大冒険をしても、実際には一歩も進んでないの。知らないまま、想像だけが膨らんでいくの」
「知識だけあっても意味はないの。だから想像だけしても意味はなかったの。
あなたはどこにも行けなかったの。いろんなところに、わたしを連れて行ってくれるつもりだったのに、
どこにも行けなくて、だから何も知らないの。見えないの。蓄積されず、成長もなくて、からっぽのまま」
「でも、これもあなたが望んだことなの。夢には願望が象徴となって現出する事もあるの。
あなたは、漫画や絵本を読み聞かせてあげたかった。共に空想上の世界で遊びたかったのかも。
でもそれができなくて」
「夢を見ているだけなの。いろんなところに行きたかったのに、あなたは行けなかったの。
ねえ、どうして知らないふりをするの?知らないふりをしている限り、どれだけ歩いたって無駄。
実際に歩きださないと、一歩も進んでいないのと同じなの。
全速力で走っているつもりでも、現状維持しかできないの。どこへ行っても、どこを探しても、
あなたが欲しいものは見つからないの。距離は縮まらないの。哀しいだけなの。決して赤の女王には追いつけないの」
・「息苦しいのは我慢してるからですよ」「呼吸を止めたら死んじゃうでしょ!」
「ねえ、どうして大事に隠して、宝箱の奥に仕舞っておくんですか?」
「隠すことで、我慢することで、歪んで形を変えて、毒や怪物になっちゃうかもしれないのに?」
「食べずにずっと仕舞っておいたら、冷蔵庫に入れても腐っちゃうよ!」

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2023年03月18日

Posted by ブクログ

わたしとあなた。
それはコインの裏表のように何よりも強く存在を認識できるが、決して顔を合わせることはできない。

フリーゲームの『ゆめにっき』が小説となったもの。
過去に実況プレイ動画で拝見はしていたが、作者の構想が小説に落とし込まれている?でOKなのかな。

深く理解しようにも、序盤、中盤は核心が全く見えずに、奇妙な夢の世界が描かれている。

終盤になり、ようやく物語の輪郭が見え始めるのだが、曖昧さは回避できずに終わる。

生きる、生かす、死ぬ、殺す。
嫌悪や罪悪感、犠牲や罪の更に奥の意識へ。
潜在的無意識に手を伸ばす。

最後に幸福が待っているなら読者としてもありがたい。

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2020年07月06日

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