【感想・ネタバレ】自省録のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年03月06日

第16代ローマ皇帝であり、ストア派の哲学者であるマルクス・アウレーリウスが自身のために書いた文章をまとめたもの。

怠け者な私にとっては、さすがにストイックすぎるわ〜と思う部分もあったけど、読んでいるとなぜか心が落ち着く感覚があって、ゆっくりじっくり読んだ。

特に印象に残ったのは、人が持っているも...続きを読むのは「現在」のみで、持っていないものは失うことはできないということ。

長く生きたとしても、短い生涯だったとしても、亡くなる時に失うものは誰でも「現在のみ」なのだということ。

私はこれまで、長く生きればその分、過去の思い出や周りの人との関係など多くのものを失い、若くして亡くなることはこれから先に起こるであろう全てを失うことだと考えていて、結局どちらにせよ死が怖いと感じていた。

けれど、宇宙や地球、自然から見れば人の一生など一瞬であり、死後はあっという間に忘れられる存在なのだと言う。我が子を亡くすことに対しても、穀物の穂を刈り入れることと同じように自然のことなのだから、それさえも自然のこととして受け入れるべきだと。

このような趣旨のことが、何度も出てくる。彼は何度もそう自分自身に言い聞かせていた?彼もまた、死への恐怖や我が子を失うことへの恐怖と戦っていた?と思うと、すごく共感してしまう。

さらに、その一瞬である人生の短い時間を無駄に使うな、善き人間であれ、と彼は言う。

『あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。』

この言葉は結構ガツンときた。私は1万年も生きるかのように行動してるな…と。今まで本当に膨大な無駄な時間を過ごしてきたし、特に社会のためになるようなこともしていない。年々洞察力や注意力、思考力も無くなっていくのが自然なのだから、短い人生の中でも社会のためになるようなことができる期間は限られているのだということが、怠け者の私には本当に響く。若いうちはこの言葉の意味を理解できないかもしれないけど、折を見て娘に話して聞かせたい。

☆恥ずかしながら、翻訳者の神谷美恵子さんのことを知らなかったのだけど、実は本文の前に、『母親としての多忙な生活のほんのわずかな余暇をさいての仕事なので、意にみたぬことのみ多い。』と書いてあったことが、この本で1番の衝撃だった。検索したら『天才』と書かれていたが、昭和初期に、子育てしながら仕事もして、さらにこんな素晴らしい翻訳までするなんて、便利な家電やサービスを使いながらもヒーヒー言ってる私からしたら神様のよう!

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Posted by ブクログ 2024年02月17日

思想はエピクテトスの影響を受けていると言われている通り、自由意志を以って悪徳を排除せよという主張が繰り返される。本書では指導理性という用語が頻繁に使われている。エピクテトスのような冗長な表現は少なく大変読みやすい。
皇帝としては内政・外政ともに超多忙で、ストレスも相当なものだったはず。エピクロス派で...続きを読むあれば避けるべきと言われる状況だっただろう。しかし彼はストア派の徒であり、公への奉仕が善という価値観で生きている。皇帝ゆえ受けるストレス、お追従への自惚れ、平穏な暮らしへの憧れ等を振り払うべく、内省が繰り返される。
また宇宙から見れば人間なんてどれほど小さい存在か、と言う視点も繰り返される。人間の一生は短く、死んでしまえば皆同じ。死は当然のこととして受け入れ、現在にフォーカスして生きること。
現代人が読んでもハッとさせられる主張や表現に満ちている名著だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年01月16日

まだ途中だが、太古の人間が考えていることを、本という形で現代まで語り継がれていることが改めて有り難く思った。

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Posted by ブクログ 2024年01月01日

・今ある事実にだけ目を向ける。事実をどう捉え行動するかは自分次第。
・自分にコントロールできないことは干渉しない。気に食わない人がいても強制しようとするのでなく、自分の正義に従って行動する(指導理性)。人に期待しない。
・着飾らない。見栄を張らない。努力のアピールをしない。
・常に理性的に思考する。...続きを読む感情的に怒ったりしない。
・部分でなく全体を見よ。

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Posted by ブクログ 2023年09月16日

読む前は、明君と讃えられる皇帝が書き残した事だから私には共感できないかもと思っていた。

読み始めると、皇帝ってこんなに自分を鼓舞していたの??と驚いた。「俺はできる!俺は皇帝!宇宙の一部!やればできる!」という勢いを感じる。
部下の謀反や妻の死など大変だったんだな。比べられるものではないが、彼と日...続きを読む々のつらさを共有できた気持ちになった。
哲学の思想からの引用が多いので、引用元のエピクテトスなどストア派の本も読みたくなった。
→まだ書物に対する渇きを捨てられない(第2巻3章、第8巻8章 より)

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Posted by ブクログ 2023年05月10日

マルクス・アウレーリウスの思想が綴られた本。
マルクスの深い思索が読み取れるが、一方でその思想の根底で「悩みすぎないこと、考えすぎないこと」が大切にされていると感じる。色々な人と接したかと思えば、暇があればスマホをいじり、常に外との関わりに晒されている身にとっては、こうした思考や感情のデトックスを促...続きを読むす考え方は大切にしたいと感じた。
原題『自分自身に』からわかるように、人に読ませる前提で書かれた本でないため、章構成や主張の流れがあるわけではない。皇帝のTwitter垢を覗くくらいの気持ちで、文体の軽快さや身近さまで楽しむとよいと思う。

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ネタバレ

マルクス・アウレリウス帝

mac
2023年04月08日

・マルクス・アウレリウス帝(ローマ帝国最後の五賢帝)のパルティア戦役→勝利→
帰還兵たちが新感染症(天然痘か麻疹と言われている)をローマに持ち込んだ=『アントニヌスの疫病』→
6000万人のローマ帝国で、1000万人の人が死亡→急激な人口減少→ローマの経済力の減退→
国家の安全保障に揺らぎ→ゲルマン...続きを読む民族がドナウ川口境を脅かすようになっていく。
・マルクス・アウレリウス帝「まもなく土は我々全てを覆い隠してしまうだろう。
次に土自身も変化し、更には次から次へと無限に変化して行く。
この変化と変形の波の動きと、その速さを考えて見る者は、諸々の死すべきものを軽蔑するに至るであろう。
全て君の見ているものは、まもなく消滅してしまい、その消滅するところを見ている人間自身も、
まもなく消滅してしまう。極めて高齢に達して死ぬ者も、結局は夭逝した者と同じことになってしまうであろう」
・マルクス・アウレリウス帝の死→ローマ帝国衰亡の始まり→
かつては享楽的で世俗的であったローマ帝国→三世紀にはキリスト教的(禁欲的で来世的)な雰囲気に変わった→
「神々はローマを見放した」「それならキリスト教だ」→
キリスト教「肉体の死を恐れてはならない」「魂を滅ぼすことのできる方、即ち神を恐れなさい」
「疫病による死は現世からの解放であり、キリスト教徒を天国での新たなる生へと導くものである」
→キリスト教徒は死や感染を恐れず病人を看護し、病院の経営も行った→
キリスト教の勝利→ローマの滅亡→中世の時代へ。

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Posted by ブクログ 2022年12月07日

死に対する想念というか諦念というか、巻末の分かりやすい解説に、ストア哲学の考え方が色濃く反映されているようですが、これくらい俯瞰して奮い立たせなければならなかった境遇に思いを馳せてしまいます。
また、絶えず自らを叱咤し、ときに嘆き、自らに語りかける様が、とても深く心を打ちます。

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Posted by ブクログ 2022年08月03日

古代ローマ帝国皇帝、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの自著として伝わる書物の日本語訳。
彼には哲人皇帝の呼び名があり、軍事にはそれほど縁のない方だったようだ。

しかし、彼の治世には突発的な災害、疫病や時代の変化が表面化した北方戦争の勃発などが起こり、家庭では次々と子どもが亡くなり、また恐らく公...続きを読む私で接する多くの「人間ども」にも悩まされる日々であった。

彼は本書に散文的に多くの苦悩を記しているが、それら散文は自暴自棄的な話しにはほぼ至らない。
むしろそれら苦悩を力強く、神々の恩寵とすら捉え、苦悩の中で独り「良く」生きるための糧としようとするのである。
これは皇帝の清らかな心が発する「もがき」であると考えた。そして、この清らかなもがきに、私は心を打たれた。

帝国全てを背負うという、それだけですでに偉業であるそれを、ひたむきに背負いかつ担い続け、いつか来る死に向けて、清らかにもがき、足掻き続けた偉人の魂の結晶の一部に触れるという、至高の体験ができる、至高の一冊である。

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Posted by ブクログ 2022年07月02日

ローマ帝国の五賢帝の一人、マルクス・アウレリウス・アントニヌスが心の在り方、物事に対する姿勢を綴ったもの。哲学者的な側面もあるが上に立つものの心構えを学ぶ上で非常に勉強になった。何度も読み返したい作品です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月24日

「神が賞め給うであろうことのみおこない、神の与え給うものをことごとく受け入れる一なんという素晴らしい能力を人間はもっていることであろう。」

そのまま、ありのままを受け入れるような清々しい感覚がある。実にその通り。

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Posted by ブクログ 2022年03月29日

岩波文庫を読むのは2冊目
「読みやすい」というレビューが多く見られたので購入
(読みやすかったけど、内容が理解できるかは別でした)
(もっとたくさん古典を読みます)

非常に納得する項目と、全く意味が分からない項目があったが
総じてこれから先、何度も読み返す本だということは分かった
(どこから読み始...続きを読むめても良いし、
 どこから読んでも素晴らしいことが書いてある)

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Posted by ブクログ 2022年03月01日

【理想とは異なる人生だったとしても】

史上稀にみる哲人皇帝だったとされる、ローマのマルクス・アウレーリウスが、自身の生き方に関する思いを、ひとり内省しながら書き留めた手記。

巻末に収録された訳者の神谷美恵子さんの解説が素晴らしくて、そこにマルクスは平和を好んだにもかかわらず、生涯の多くの時間を戦...続きを読む場で過ごさざるを得なかったこと、そのことに傷つきながらも哲学に救いをもとめて前進する生き生きとした姿が本書の魅力になっていることが書かれていて、はっとさせられました。
最近、人生でいうと立派な”半ば”に差しかかって、ちっとも若いころに思い描いたように人生が進んでいないことを、どう受け止めたものか……と悶々とする時間が増えつつあります。
理想とする人生を歩んで、そのような自分に満ち足りて過ごすことができれば、それは確かに幸せなことだけれど。
でも、そうじゃない人生だったとしても、それを懸命に生きる人は限りなく美しい……はず。
ていうか、そうでなきゃ、やだ!

個人的に特に好きだったのは、制約を受ける人生を炎に例えた次の一節。

「小さな灯りならば、これに消されてしまうであろうが、炎々と燃える火は、持ち込まれたものをたちまち自分のものに同化して焼きつくし、投げ入れられたものによって一層高く躍りあがる」

赤々と燃える炎のかけらを、自分のうちにも宿らせてもらった気持ちで読み終えた一冊でした。

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Posted by ブクログ 2023年12月03日

哲学は素晴らしい、どれをとっても本質的なことばかりだ。自省の大切さがよく分かる一冊だが、やっぱり行動しないと何も変わらない。

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Posted by ブクログ 2023年04月02日

『ミステリと言う勿れ』の影響で購入。翻訳は分かりやすい。たまにパラパラと眺めてみるとよいフレーズが見つかったりする。

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Posted by ブクログ 2023年03月10日

 読み始めたときは「あぁそうだ。ほんとにそうだ」「んーんわかる!これからはそれを意識して生きていこうかな」などと思いながら、現れる金言の数々に目を開かれつつ、何本も線を引いていた。これらの全てを、自分が遵守できたならば、どのような人格になれるのかなどと夢見心地に思ったりもした。
 しかしずっと読んで...続きを読むいるとその金言があまりにもたくさんなので、最後には「それができたら苦労しないよ!」と諦めの気分も出てきた。
 筆者も決してこれら全てを実行、遵守できたわけではないだろう。彼ができたかどうかは当然問題にはならない。1人の人間が生きながら自分を注視し、反省し、ここまで簡潔かつ一般的に物事をまとめ上げたことが素晴らしいのだ。

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Posted by ブクログ 2023年02月18日

ミステリという勿れでこの作品が出てきたので気になって読んでみました。流石にこの本全てを実行するのは難しいですが、意識してみます。最初が短文が多く理解するのが難しいですが、後半は比較的読みやすくなります。

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Posted by ブクログ 2023年02月07日

2000年近く前の哲学者が書いた本と思いながら読んでも当時の生活や教育などは想像すらできない。けれどもここに書かれた悩みをみれば、人間の本質はあまり変わらないのかなとも思う。
以下、印象的な二文。
・変化することは物事にとって悪いことではない。同様に変化の結果として存続することは物事にとって善いこと...続きを読むではない。
・ある人はこう祈る。「あの女と一緒に寝ることができますように」と。ところが君はこう祈るのだ、「あの女と一緒に寝る欲望を持たないことができますように」と。他の者は祈る。「あの人間を厄介払いできますように」と。ところが君は「厄介払いする必要を感じないことができますように」と祈るのだ。もう一人の人間は祈る。「どうか私の子供を失うことのないように」と。ところが君は「失うことを恐れずにいることができますように」と祈るのだ。

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Posted by ブクログ 2022年12月25日

皇帝も様々なことで悩んでいた!
君が常に自然ということ。自然の一部ということ。
人間と器の関係は、職人と斧、もの書きとペンのようなもの。
魅力的なダンス、舞踏、格闘、それらは分解すると大したことではない→人生にも応用出来る。

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Posted by ブクログ 2022年11月01日

論語とかと違ってひたすら自分自身に語りかける

●学問の心

一人の哲学者はシャツなしで暮らし、一人は書物なしで、もう一人は半裸でいる。彼はいう「私はパンを持っていない、しかし理性に対する忠誠を守っている。」私はいう「私は学問から生活の資を得ていない、しかし理性に対する忠誠を守っている。

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Posted by ブクログ 2022年09月19日



君が心を傾けるべき最も手近な座右の銘のうちに、次の二つのものを用意するが良い。その一つは、事物は魂に触れることなく静かに立っており、煩わしいのはただ内心の主観からくるものにすぎないということ。もう一つは、全て君のみるところのものは瞬く間に変化して存在しなくなるであろうということ。そしてどれだけ多...続きを読むくの変化を君自身見届けことか、日夜これに思いを潜めよ。宇宙即変化、人生即主観。


以下は神谷美恵子の解釈


「人生即主観」であるから、我々は自分の感覚や知覚からくる印象や、事物に対する判断や意見をよく吟味せずに無差別に受け入れてはならない。まずこれを正しく定義し、分析することによってその真偽を確かめなくてはいけない。「自分は何も損害を受けなかったと考えよ。そうすれば君は損害を受けなかったことになる」とマルクス・アウレーリウスはいう


自分の解釈

すべては主観であり、だから自分の感情に支配されるのではなく、理性によって世界を見つめなくてはいけない。そのようにマルクス・アウレリウスは教えてくれます


以下はマルクス・アウレリウスの主観に関する名言


今日私はあらゆる煩労から抜け出した。というよりもむしろあらゆる煩労を外へ放り出したのだ。なぜならそれは外部にはなく、内部に、私の主観の中にあったのである。
すべ

すべては主観に過ぎないと思え。その主観は君の力でどうにでもなるものだ。したがって君の意のままに主観を除去するが良い。するとあたかも岬をまわった船のごとく眼前にあらわれるのは、見よ、凪と、まったき静けさと、波もなき入江。



主観を外へ放り出せ。そうすれば君は助かる。誰が放り出すのを妨げるのだ。


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Posted by ブクログ 2022年01月29日

学生時代に手にした時はまったく理解できず、すぐに挫折しました。今、読むとマルクス・アウレリウス・アントニヌスの言葉がスッと入って来ました。少し心gs疲れたときに読むといいかも。

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Posted by ブクログ 2022年04月19日

コンプライアンスなんて言葉では語れない個人がもちうる倫理感の最高峰。ローマ帝国の皇帝という責任の重さとキリスト教成立以前という時の流れを超越した言葉の数々。奇跡のような本です。ものすごい大きなプロジェクトを成立させた責任者がいつも鞄に入れていると聞いて手に取りました。

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Posted by ブクログ 2024年03月31日

自省録とあるだけに、著者が考えたこと感じたことをメモのように綴ったものであり、他人に向けたものというよりかは自分に向けたものという印象だった。彼の禁欲的で寡黙そうな性格が見て取れて面白かった。
もし自分が著者だったらこういった自分の思想を書き留めたメモを世にさらされたら恥ずかしくてたまらないと思う笑...続きを読む

内容としては、いわゆるストア派の思想をさまざまな比喩でもって書き記している。
ストア派の思想についてよく知らず、当初は、人の運命は全て最初から決まっている、といった後ろ向きなものであまり好かないなと思っていたが、共感できる、心に響く内容がそれなりにあり、現代の自分達にとっても役に立ちそうであった。

全ては宇宙の法則に従っており、宇宙がより良くなるために万物は動く。それゆえに人間のなすことや、この世界で起こるあらゆることに悪いものはない。だから人のなすことにいちいち腹を立てたり、死を恐れたり、悲劇に悲しむのはナンセンスだ。それに他人の言動や世の中で起こることは変えられないが、それに対する自分の心の反応は変えることができる。自分の考え方次第で世界をどうにでも変えられるのだ。

上記のような嫌なことをとるに足らぬものと考えるためには、そのような物事を細かく構成要素に分解し、それぞれ分析することで、それが大したことでないと実感することである。
例えば嫌な人がいればその人と話し、その人の思想、考えを知ることである。またそこで自分の考えに相手を引き込むのもよい。

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Posted by ブクログ 2024年02月15日

皇帝かつ哲学者という歴史上(解説によれば唯一)非常に稀有な人、マルクス・アウレーリウスが折に触れて書いた手記なのだそうだ。誰かの目に触れることを念頭に置いていないので、つらつら「他人のことなんかに嘴を挟まず、自分が、今、善く生きることに集中しとけ」的なことが書いてあるかと思えば、急にキャッチコピーの...続きを読むような一文が書かれていることもある。「宇宙即変化。人生即主観」は諸行無常、色即是空みたいで面白い。

何度も似たようなことが書いてあると、「この人は本当は、他人からとやかく言われたくないんだろうな」「つまらないことで大騒ぎしたり、見栄を張ったり、怒ったりする人たちが周りにいてうんざりしちゃったりして、あーまたつまんない事で今日も腹を立てちゃったよ、とか思ったんだろうな」とか、凡人の私は、ついつい邪推してしまう。多分、違うだろうけど。きっと、立派な人だったんだろうけど。でも本当に自分の身についている生き方なら、こんなに何度も似たようなことを繰り返し書くだろうか。こんなふうに本当は生きたいのにな……という心の表れだとしたら。

一番好きな部分は第10巻の16
「善い人間のあり方如何について論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ」
確かに、口や頭だけ動かしてないで、行動にしないと意味ないな、と笑ってしまった。行動が伴う生き方をしたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月19日

人に読ませるために書かれたものではないので、日記状で箇条書きのような形なのが
細切れで流れのある書物ではない為読みづらく感じるところはある。
逆に比較的さくっと読めるという利点でもある。


以下抜粋メモ(多少の簡略化あり)

公益を目的とするのでないかぎり、他人に関する思いで君の余生を消耗してしま...続きを読むうな

あたかも一万年も生きるかのように行動するな。

君の肉体がこの人生にへこたれないのに、魂のほうが先にへこたれるとは恥ずかしいことだ。
手など体の一部を切り取られて、残りの肢体から少し離れたところに横たわっている。起ってくる事柄をいやがったり、他の人たちから別になったり、非社会的な行動を取ったりする者は、それと同じようなことを自分にたいしてするわけである。君は自然による統一の外へ放り出されてしまったのだ。君は生まれつきその一部分だった。ところが現在は自分で自分を切り離してしまったのだ。ただし君は再び自分を全体の統一にもどすことが許されている。
不正は不敬虔である。なぜならば宇宙の自然は理性的動物を相互のためにこしらえ、彼らがそれぞれの価値に応じて互いに益し合うようにしたのであって、決して互いに害し合うようにはこしらえなかったのである。嘘つきもまた同じ神にたいする不敬虔である。

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Posted by ブクログ 2023年04月28日

ローマの時代から人はなにも進化していないのだなと感じた。便利な道具はたくさん増えたけれども、それは楽をすることが目的だったのか。誰しもが幸せに生きていける、そんな世界がずっと続く、それは月に行くよりも難しいことなんだろうか。難しいとしたらそれはなぜか。無理だと諦めて結局なにもしてこなかったんじゃない...続きを読むか、と自戒を込めて。

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Posted by ブクログ 2023年01月30日

ミステリと言うなかれに影響され、読んだ人間のひとりです。こんなもろな古典を読むことはめったにないので、読むのにやたら時間かかりました。
注があっても、なんだかよく意味がわからないものも数多くありましたが、読んでいるとこの人は本当にストイックで素晴らしい人間になろうと常に自分を戒めているすごい人だなと...続きを読む感じました。
それにしても、こんな断片的な記録が、今の時代まで語り継がれていることがすごい。

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Posted by ブクログ 2022年10月25日

2000年近くも前に記されたもの。気付かされる部分がある。


今読んでも古臭くない、人間として基本的な考え方にハッとさせられる。

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Posted by ブクログ 2022年07月06日

どうやら「ミステリと言う勿れ」というドラマに自省録が大きな意味を持つから話題を呼んでいるらしい。ドラマは興味がないが、なぜこのような古書が若者世代が見るドラマに関係してるからと言って人気なのだろうかと気になり購入。

マルクス・アウレリウスは二世紀後半ローマ皇帝で五賢帝の1人で、またストア派の哲学者...続きを読むでもある。
ある1つのテーマを深掘りして哲学が語られる訳ではなく、ざっくりとしたテーマで全12巻で構成された格言集のような本。長い文も有れば短く端的に示した文もある為読みやすい。また全体として繋がりを持っている訳ではない為何処かでつまずいたとしても読み飛ばせるから人気なのかなと思った、哲学書の中では読みやすい方です。

p117の三「〜ただし人間各々の価値は、その人が熱心に追い求める対象の価値に等しい、ということを理解していること。」
この考え方は似ているなと思った。以前「それしていないのは人生の半分損しているよ」という言葉を言われたことがあるが、それに対して貴方の人生を半分を占めるものがそれなのだなと思ったことがある。それは良い方にも悪い方にも転ぶ。それだけでその人間の価値を計るのはどうかと思うが、その人がどんな人間であるかを示す一つの指標であると思う。学問を追い求める者もいれば、他者のゴシップを追い求める者もいる。つまりそういうことだ。
 このような格言集のようなものを読むと自分の考えを支持するような文にばかり目がいってしまい、考えの偏りが起きてしまうなと思った。

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Posted by ブクログ 2022年01月08日

0108002
1900年近く前のローマ人も同じ悩みを抱えて、それをどう解決するか考えていたんだな。

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