【感想・ネタバレ】黒と茶の幻想(上)のレビュー

あらすじ

太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。

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Posted by ブクログ

恩田陸の作品で最も好きな本。関連のあの学園も合わせて読むと、登場人物のその後を見た気がしてなお楽しめる。前半からの特に何も大きなことは起こらない中で繰り広げられる会話劇が既に恩田陸ワールド全開で魅力的。どことなく不穏な空気もちらつかせつつ、物語は大きく急展開することもないまま登場人物それぞれが語り手としての役割を担い始まる。屋久島に行きたくなった。逆さ杉を私も見てみたいと思った。みんなどこか屈折しつつも、こんなに語り合える深い友人たちが居たとしたら楽しいだろうな。
恩田陸好きの中でも大人にハマると感じる本。

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2020年12月05日

Posted by ブクログ

(他の方々の感想読んではじめて知ったんだけど、シリーズものだったの…!!!)
何も知らない私でも楽しめました。笑
ずっと不穏な感じ。会話のテンポが良いし、赤裸々な心情も読んでいて面白い!
蒔生がクズすぎて嫌い。笑

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2025年08月27日

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途中で本を閉じてもしばらく頭の中で尾を引いているような、没入感のある小説を久しぶりに読んだ気がする。

登場人物の男女4人がそれぞれの視点で語る4章構成(文庫では上下巻で)となっているのだが、それぞれに感情移入できた。また、メインテーマに据えられている過去の事件(?)の謎解きだけでなく、それとは無関係な会話も、軽快かつ知的で面白い。

人は思い出したくないことは思い出せないようになっている。自分にもそういうことがあるだろうか、と考えてみたけども、彼らの「Y島旅行」のように、過去を共有する人たちと、がっつり向き合う機会でも作らなければ気がつかないものだろう。

#ところで、この書名はどこから来たんだろう。内容からすれば紫か赤か、あるいは緑だと思うが、なぜ黒と茶? 別作品「三月は深き紅の淵を」に出てくる作中小説のタイトルでもあるらしいけども...

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2025年05月06日

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世界観が素晴らしい
4人の同級生と旅をするだけの話だが、それぞれの視点に立って各章が語られている

恩田陸の本の中ではベスト

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2025年02月04日

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利枝子と彰彦の心や親友との関係が自然な色の文章で入ってきて自分の何かにも照らし合わせながら心地よい時間を過ごせました。

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2024年05月24日

mac

ネタバレ 購入済み

・人間は自分の手を動かさないと、どんどん他人に対して冷たくなるし、想像力が鈍ってくる。
・毎日少しづつ。いつのまにか取り返しのつかない大きなものになっている。
・人によって、老化のスピードがこうも違うものかと、たまに誰かに会うと思い知らされる。
それは肉体の老化のスピードではなく、精神の老化のスピードなのだろう。
その人の生活圏が老化のスピードを左右する。職場や住環境、接する人間の種類、出入りする店など。
辛気臭い職場で辛気臭い仕事をし、辛気臭い人間としか付き合っていない人間は、当然ながら早く辛気臭くなる。
・幸福な時の思考はワンパターンに陥りがちだが、不幸になると実に様々な事を考えるものだ。
特に、大事にしていたものを失った時には。
・よく似た二人は、自分の似ているところに共感する。
何故こんなに感じるところが似ているんだろうと感動する。
しかし、以心伝心はやがて空虚になり、単なるコミュニケーションの欠如になっていく。
そっくりだからこそ、欠点も鏡のように自分に跳ね返ってくる。
それは自己嫌悪になり、ついには相手への憎悪になる。
同じ部分の欠けている二人は、どんなにもがいても欠落している部分を互いにフォローすることが出来ない。
・旅先で写真を撮るのは社会的な行為なのだ。一緒に旅行したメンバーと、社会的な絆を確認する行為。
それこそ、、証拠作り、アリバイ作りだ。
だから逆に、これだけくだけた利害関係のないメンバーだと、その必要を忘れてしまう。
身体の中に残る旅。そんな旅が出来るのは幸運だろう。そして、恐らくこの旅は、その幸運な旅の一つなのだ。

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2022年11月13日

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ネタバレ

何回読み返しても面白い。下巻もあり結構長いけどとにかくよく喋る登場人物たちで、テンポもよく飽きない。章の構成もすごく腹落ちするものだった。特に会話の内容が好きで、本人たちの言い回しを積極的に使いたくなってしまう。
あの憂理がこんな結末を迎えてたなんて信じたくはないけど、、とにかく面白いおすすめの本です。

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2021年12月25日

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大学生時代の友人がY島に行き過去の清算なのか、4人が思惑を胸に旅行をする。
上巻は利枝子と彰彦が主役で過去を振り返って胸のうちを解放させる。
2人の気持ちや考えにのめり込んであっという間に読み終わってしまう。
前に読んだのにほとんど記憶に残ってないのは何故なのだろう?
でも毎回のめり込んで読んでしまうのでつまらない訳ではない。

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2021年09月04日

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三月は深き紅の淵を に出てくる幻の本の、1話目に当たる話なのでしょうか?
ほんとに面白いですよね。
毎日の暮らしの中で遭遇する小さな謎(待ち合わせして、同じ時間に同じ場所にいたはずなのに会えないとか)から、一時期ニュースにもなった話題性のある謎まで、たくさんの美しい謎だらけ。解決するものもあれば有耶無耶になるものもあって、こんなにたくさん楽しんじゃっていいのー?!という感じ。
4人の登場人物がいて、それぞれが一章ずつ語っていくのだけど、この4人なら蒔生が最後なのかと思いきや、節子がトリというのもなんだか不穏だし。
恩田陸さんの作品の中では、これが1番好きです。

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2021年05月09日

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タイトルに入る色は黒と茶という2色ですが、作品で細部に散りばめられたのは紫という色。そして、差し色のように使われる赤。

恩田陸さんの表現するミステリーのようなリアルな世界が読んでいてとても心地よかったです。

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2020年05月27日

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久しぶりの再読。
語り手が替わる事で視点が変わって面白い。
細部を色々と忘れていて読み返してはっとする事が多かった。
相談できる人とできない人のくだりが個人的に好き。自分はできない人だといつ読んでも思う。

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2020年05月14日

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「夜のピクニック」の大人版とでも言うべきか、大学時代の友人グループ4人が、4人それぞれのナレーションで、屋久島(本文中はY島)の4泊5日の旅を通じて、長らく思い出さなかった過去や、過去の様々な謎を解き明かしていく物語。秀作だとは思うのだが、蒔生があまりにもゲスな男で、がっくし。

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2025年08月10日

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ネタバレ

これはミステリーなのかファンタジーなのか……。
現実世界の出来事の話ではあるんだけど、そもそも理瀬シリーズに出てくる学校?が現実感が全然ないしよくわからない。

一応、理瀬シリーズの1作に入ってるけど、、全然関係ない人たちが出てきて???となっていたけど、全員憂理の友人だったのか。

アラフォーの男女4人が、日常を離れてY島(おそらく屋久島)に旅をする。
一章ごとに視点が変わっていく。
その度に、視点となる人物の過去や、封印していた思いが明らかになっていく。

展開的にラストは蒔生だと思ってたんだけど、違った。

そして、憂理はもう死んでいるのか!?

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2025年07月14日

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ネタバレ

『美しい謎』を考える、学生時代中の良かった男女四人がY島を旅する話。
理瀬シリーズが大好きなのだが、この話は優理がチラチラ出てきていてお気に入り。
個人的には彰彦が1番自分に近く感じた。

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2025年03月02日

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理瀬シリーズ。
ですが、理瀬は出てきません。
理瀬のルームメート憂理を知る4人の男女がY島に旅に出ながら、謎解きをする。
私にはなぜだか読むのに時間がかかりました。下巻を読みたいと思います。

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2024年09月08日

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理瀬は出てこないけど面白かった。理瀬の友達の憂理にスポットが当たってる。不思議な気持ちになった。下巻も楽しみ

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2024年08月28日

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古本屋で購入⑹

理瀬シリーズ3作目、スピンオフ。
1作目の、空想上の本『三月は深き紅の淵に』の第一章として語られていた『黒と茶の幻想』が本作に繋がる。この仕掛けが既にロマンチックに感じる。

「美しい謎」をテーマにかつての友人たちとY島を旅するあらすじ。
登場人物それぞれの推理に、各々の個性が感じられて面白かった。
会話を中心に物語が進んでいくので、4人の関係性や性格を把握するのに少々時間がかかったけれど、読むにつれて理解が深まってくる。

上巻は利枝子と彰彦の2人のみの視点だったので、下巻のほうが「謎」に対する展開に大きな動きがありそう。読むのが楽しみです。

印象に残ったフレーズ
・「彼は私にそのことを告げるその日までの間、どんな風に私を見ていたのだろう?嫌悪感か、哀れみか、無関心か。それはどんなスピードで彼の心を塗り替えていったのだろう?私の彼を信じきった笑顔を見ながら、私の笑顔の向こうに彼女の横顔を思い浮かべていたのだろうか。」

・「最初に伴侶に出会ってしまった者は不幸だと思う。それは回数を経たからといって、もっとよいものに出会うわけではないからだ。最初にほんとうの恋に出会ってしまえば、それ以上のものに出会えない限り、いつも物足りなさを感じてしまう。ほんとうの恋の巡ってくる順番はあとの方がいい。」

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2024年07月17日

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学生時代の同級生だった男女4人が十数年ぶりに会い、『非日常』というテーマの旅を企画する。
行き先はY島。太古の森の中での森林浴。
利枝子、彰彦、蒔生、節子の4人は30代後半で、それぞれ結婚して家族がいる。
山登りを体験しながら、同級生らしいとりとめのない会話が延々と続いていく。

過去に遡り、そこに何があり何が起きていたのかを探る旅は、ある時ぷっつりと消息を絶ってしまった4人の共通の知人、梶原憂理という美しい女性を浮かび上がらせる。
苦くせつない4人の物語は、これからどこへたどり着くのだろうか。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

男女4人の美しい謎を求めて旅する物語。
「美しい謎」とは??
上巻の大部分はぐだぐだしていた印象をうけた。
ラストにようやく殺人事件が登場。
真相に儚いと同時に憤りを感じた。
続けて読みたい。

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2024年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理瀬シリーズを最初から読み返す中で、本作はまだ読んでなかったことに気が付きました。
わくわくして読んでいても一向に理瀬が出てこないぞ・・・?と思っていたら、憂理の話なんですね。
「麦の海~」の中の憂理は、美人だけどあっけらかんとした印象で、あまり謎めいた雰囲気ではなかったのですが、「黒と茶の~」では謎めいた美しい女性という印象でした。
でもそれは、あの学園と理瀨やヨハンが謎めきすぎていたため、憂理が目立たなかっただけだったのかもしれません。

屋久島の美しい自然と非日常感が、参加者それぞれの心の中に眠っていた感情をあらわにするようでした。
読んでいくとどんどんそれぞれの人物の心の中に沈んでいくような不思議な感覚になりました。
上巻では利枝子と彰彦について。
それぞれがその時々の会話などからヒントを得ながら深堀していきます。
この構成になっていると知ってからは、蒔生の話を読みたいなと思っていましたが、彰彦の最後が衝撃すぎて、あっという間に読み終えてしまいました。
今のところ節子には何もなさそう(失礼)ですが、これは期待してしまいます。
下巻が楽しみです。

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2023年07月20日

Posted by ブクログ

家庭を持ついい年した美男美女四人組が旅行に行く話。思い出話や日常の謎を語り合う。
こんなのはやましい話に決まっている。是非とも旅行先で悲惨な目に遭ってもらいたいと期待しながら読む。くたばれリア充。
話の本筋に関係あるのかないのか分からない会話の数々に、何度もドキッとさせられたり興味深々になってしまう。こういうのが絶妙に巧い。これが恩田ワールドというやつか。
物語の内容そのものはどうでもよくなってきて、この会話を盗み聞きしている面白さに浸ってしまった。
くたばれリア充。

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2023年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「利枝子」
嫌いになりそうな女性と思わせてとても好きな人。冷静で、頭が良くて、蒔生のことがずっと好き。この旅に来て1番よかったのは利枝子なんじゃないかと思う。利枝子の想いはずっと蒔生に向かっていて、下巻だけれど、再婚しないでっていうとことは、特に好き。
「彰彦」
とても明るくて、とてつもない闇を抱えている。お姉さんの本当の気持ちにきっと気づいているのに、絶対に向き合いたくないと思っている感じ。友達だったら1番楽しい人。上巻は、本当に蒔生を愛したふたりの想い。

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

再読。
10年ちょっと前に、高校生だったときに読んだ時より格段に面白く読めた。
読む力が成長した…というよりは、当時は過去を顧みるなんてことを知らなかったし。
という具合に、登場人物たちの会話劇を楽しみつつ、自分と他者の関係や学生時代を思い出したりしてしまう力のある作品で、こういうところがこの頃の恩田作品が書評などで「ノスタルジー」で語られていた(そういう記憶がある)所以かな、と今更ながら思えた。

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2022年08月10日

Posted by ブクログ

ノスタルジーな雰囲気で、読み甲斐がある。会話が面白いし、こういう登場人物視点での章はあんまり得意じゃなかったけど、これは面白い。
そして、シリーズで世界が繋がってるのがまた良い。

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2022年01月21日

Posted by ブクログ

大学時代の同級生の男女4人が屋久島旅行にでかけ、「美しい謎」をテーマにいろいろな話を繰り広げていく。「三月は深き紅の縁を」の中に出てきた4話のうちの一つがここで現実に小説となっているのですね。

4人それぞれの視点で描かれていき、上巻での語り手は利枝子と彰彦。たわいのない話から核心を突くような深い話までがずっと話し続けられるなかで、4人の個性がいろいろと見えてくるのが面白い。けれど、だんだん「美しい謎」どころではない話に突入してきたところで、下巻に続く…気になる。

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2020年05月18日

Posted by ブクログ

再読7回目。
4人の男女が旅をしながら、ひたすら話をするお話。たぶん、それぞれの自分探しの旅。事件は何も起こらないのに、それぞれの中ではダイナミックに変化している。内省の旅。

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2019年05月04日

Posted by ブクログ

それぞれの視点で物語が進行し読み進めると、その章の主人公のことがわかってくるのが面白い。
ある人から見るとこう見えるんだけど実際の本人はこんな考えをしているなどが分かったとき登場人物をいろんな側面から見ることで伝わってくるものがあり繋がるにつれて一人一人の魅力が増してくる。

下巻は登場人物の人間像を掴みながら読むと、もっと面白そう。下巻も楽しみです。

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2025年03月11日

Posted by ブクログ

結構前の作品ですが、今更ながら初読み。過去の謎を解きながら現在のそれぞれの気持ちも絡み合うちょっとミステリアスな内容で、下巻も気になります。

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2023年03月04日

Posted by ブクログ

東野圭吾さん的なミステリ。構造がしっかりしてて、納得できる謎がうまいこと散りばめられている。
キャラクターが立っていて言葉遣いがきちんとかき分けられているのと、真理や風景描写がナチュラルで瑞々しいぶん、恩田さんの方が魅力的。
テーマの一つが男と女だから、少々生臭く、それが森との対比で浮き上がる。
こは好き嫌いが分かれるポイントかも。

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2022年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大学時代の友人4人で旅行をしながら、"美しい謎"について語り合ううち、あえて触れずにきた過去が明かされていく。

重い展開になりそうな予感がしつつも、先が気になる。。

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2022年08月09日

Posted by ブクログ

学生時代を共に過ごした男女四人が、大人になりお互い家庭をもつようになってから、ふとしたことをきっかけに屋久島旅行に向かう。
旅のテーマは、「美しい謎」の謎解きと、過去との対峙。

幻想的な太古の森を歩くうち、それぞれが今抱える問題や悩みを超えて、忘れかけていた過去と向き合い自分と直面する。
の疚しい人間には見えないという、伝説の三顧の桜は、果たして見えるのだろうか?




今年の夏に屋久島に行くので、屋久島舞台の小説をと思って読みました。
大人になっても学生時代の友人と変わらず会えるって、素敵なことですね!

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2020年05月13日

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