・変動相場制の国において、為替レートは中央銀行の政策スタンスによって、ほぼ決定する。
お金をたくさん刷れば通貨の希少性がなくなり、通貨安となる。
お金を刷ることを止めれば通貨の希少性が高まり、通貨高となる。
・通貨高が進むと大多数の人が損をし、過度に進むと国民のほぼ全員が損をする。
・輸出企
...続きを読む業は、現地における製品の相場に合わせて、販売価格を決定する。
そのため、通貨高になっても販売価格は変わらないため、外国通貨ベースで売り上げは変化しない。自国通貨に換算すれば、売り上げは大きく減少する。
利益については自国からの部品などの仕入れ価格が通貨高によって上がってしまうため、外国通貨ベースで見ても減ってしまう。通貨高では輸出企業は儲からなくなってしまう。
・通貨高によって国内でモノを作ることは割高となる。
すると多くの内需系製造業は、労賃の安い海外でモノを生産したり、海外産の製品を輸入したりした方が、儲かることになる。
国内の生産を縮小すれば、その分だけ労働者の賃金が減り、人々の財布の紐は固くなる。
内需の減少である。
・輸出業者と内需関連業者のマイナス分を輸入業者のプラスで埋め合わせることはできない。
輸入業者の仕入れ価格は通貨高になると安くなる。
しかし、それを販売するための店舗の賃料や人件費は、もともと自国通貨である。
したがって、為替レートに関わらず一定である。
さらに輸出業と内需関連産業が不振に陥った分だけ、経済が縮小する。
・そのため、いままでどおり商品を売ろうと思ったら値下げをするしかない。
このとき、通貨高で得した分を吐き出さざるを得なくなる。
そして、過度な通貨高は海外の高級ブランドにとっても大きなマイナスとなるのだ。
・基軸通貨であれば、お金をするだけで、世界中の産品を取り寄せることができるか?
不可能である。国民が働かずに、紙幣だけを海外製品と交換することはできない。
そういうことをしていると発覚した瞬間、その通貨の価値は、各国通貨に対して暴落する。
紙幣の交換価値はほぼゼロとなる。
世の中、そう甘くはないのだ。