上念司のレビュー一覧
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貧民史観に毒されている、は名言だ
われわれが普段使っている1万円札にも千円札にも、金なんてこれっぽっちも含まれていない。電子マネーに至っては、言うまでもない。それなのに小判の金の含有率を下げることは「貨幣の改悪」と教えられた気がする。徳川5代将軍の綱吉に仕え、この改鋳を進言した荻原重秀は「悪い奴」だと思い込まされた。最近の教科書も、その刷り込み傾向ははっきりと見て取れる。山川出版社『詳説日本史』(2016年発行)には、「改鋳で幕府は金の含有率を減らし、質の劣った小判の発行を増加して多大な増収を上げたが、貨幣価値の下落は物価の投機を引き起こし、人々の生活を圧迫した」と書かれている。ちなみに、自 -
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こうだったのか臨済宗
寺社勢力とは単なる宗教団体ではありません。寺社は仏教留学僧が作った支那とのコネクションを生かして貿易業に精を出す巨大商社であり、広大な荘園を所有する不動産オーナーであり、土倉や酒屋といった町の金融業者に資金を供給する中央銀行でした。(中略)五山は金融と会計のプロフェッショナル集団「東班衆」を抱え、 幕府と結託して比叡山と張り合いました。(本書より)臨済宗がなぜ発展したのか、この記述に出会ってようやく理解した。高校の日本史の教科書では「禅宗のきびしい修行が武士の気風にあっていた」などと書かれているが、今一つピンと来なかった。仏教勢力の歴史は、経済面から説明した方が理解が圧 -
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支那と銀だよカギは。
16世紀後半には支那を中心としていた巨大な貿易ネットワークが構築され ていたということです。主に絹織物などの手工業製品が支那から世界各国に輸出され、支那には世界中から銀が集まってきたのです。(本書より)もううん十年前の自分の高校までの歴史学習を振り返ると、武家政権の時代は、平から徳川までの為政者の顔ぶれを中心に知識を蓄えただけだったんじゃないかと思う。歴史の流れを学ぶと言われても、ピンと来なかった。自分にとっては、為政者の顔が変わるだけだったから。まあ、こうした知識は受験と戦国ドラマを楽しむミニ知識にしかならなかったわけだけれども。でも、引用のように、支那と銀の流れを目 -
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至言あり
至言と感じた本書の部分を引用する。マルクスの主張はなんと完全に間違っていました。不況は資本主義の限界によって起こるものではなく、(中略)イギリスの不況の原因はデフレであり、デフレの原因は貨幣量の不足にありました。その貨幣量の不足をもたらしていたのは金本位制です。左翼が未来に理想郷を作ろうとするのとは反対に、右翼は過去に理想を求めます。(中略)答えはすでに出ているというのが彼らの考え方ですから。以上。明治時代の日英同盟の話も勉強になった。英国の事情として、ボーア戦争があった。現代に期待の声が高まる「新日英同盟」では、同盟に対する英国側の利点は何だろうかと考えさせられる。 -
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終章の題にじんときた終章の題
「みんな平成という時代を必死に生き抜いた」にじんときた。私事だが、新元号が「令和」と発表された時、おおかっこいいと感じた。それまでの平成という時代に暗さや停滞を感じていたのだと思う。でも平成は自分が大学や社会人生活を送ってきた最も長い時期だった。なのに負の思いを抱いてきたとは。自分が悪いばかりではない。世の中が暗く、その原因はデフレだったのだ。著者の上念司氏は私より一歳上。ほぼ同じ時代を生きている。本書の平成の経済史をたどり、その時の自分の年を考えながら読んだ。シリーズ前著までとは違った楽しみがあった。ありがとう。令和編が今から楽しみだ。著者が令和の終わりを待て -
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ネタバレ構成としては1,2章は経済学、3,4章は投資術。
以下、個人的に参考になった要点を抜粋。
【1,2章…経済学】
・日本企業の内部留保は不況時の備え。積極投資タイプの企業はデフレ期に壊滅し、現在の大企業はデフレ期を生き残った貯蓄タイプの企業の為、日本企業は内部留保が多い傾向。
・オーバーシュート型コミットメント…金融政策において、目標のインフレ率に達してもすぐには金利を引き締めず、一定期間は物価推移を観察してから、金利を引き締める手法。
【長所】物価の瞬間風速に惑わされない。(原油高などの一時的かつ瞬間的なインフレに反応して金利を上げてデフレ化、といった事態を防ぐ)
【短所】インフレ退治の対応 -
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この本は金融政策から見た歴史の流れを描いたもので非常に説得力がある。
本書の主題ではないが、面白い視点だったのでメモ。
帝国を解体すると、秩序が失われて、民族問題や宗教問題が再燃する。
オスマントルコ帝国やオーストリアハンガリー帝国の解体が、保っていた秩序を失わせ、民族問題や宗教問題を再燃させる。現代のバルカン半島や中東の不安定の原因はここにある。
第一次世界大戦前までは敗戦国を滅ぼし解体するような真似はしなかった。なぜなら秩序を崩壊させるコストがあまりに高いことを歴史の教訓により知っており、権力階級は帝王学で身につけていた。
ところが「民主主義」では階級に関係なく人気投票で選ばれるので、 -
ネタバレ 購入済み
通貨高
・変動相場制の国において、為替レートは中央銀行の政策スタンスによって、ほぼ決定する。
お金をたくさん刷れば通貨の希少性がなくなり、通貨安となる。
お金を刷ることを止めれば通貨の希少性が高まり、通貨高となる。
・通貨高が進むと大多数の人が損をし、過度に進むと国民のほぼ全員が損をする。
・輸出企業は、現地における製品の相場に合わせて、販売価格を決定する。
そのため、通貨高になっても販売価格は変わらないため、外国通貨ベースで売り上げは変化しない。自国通貨に換算すれば、売り上げは大きく減少する。
利益については自国からの部品などの仕入れ価格が通貨高によって上がってしまうため、外国通貨ベース