koccoさんのレビュー一覧
レビュアー
-
ネタバレ 購入済み
《歌舞伎》への底しれぬ愛情。
2025年7月読了。
話題に成っている映画の方を先に観て、映画は映画でとても素晴らしかったのだが、3時間の尺でも『何かのダイジェスト版を見されられている』様な気がして、速攻で原作を読んだ。
映画を先に観ていたお陰で、名前と顔が直ぐに浮かび、劇場で「喰い足りない感」が有ったのを、原作を読むことで本当に心から堪能した。
ただ、劇場版が笑いなしのシリアスタッチだったのに対し、原作は笑い有り涙ありの波瀾万丈な物語だった事が一番意外に感じた事だ。まぁこれだけの作品を映画化するには、ストーリーを相当にカットしなければ3時間どころでは済まないことに成ったのであろうから、致し方無かったのかもしれないが…。 -
ネタバレ
便乗本の悪い例…。
2025年6月読了。
元々『京都ぎらい』で有名になった井上章一先生のファンなので、「光秀とガラシャの話かぁ」と何となく気になって拝読した。
それぞれ立場の違う専門家が、この二人について論証(推論?)した本では有るのだが、興味は『細川ガラシャ(お玉)は美人だったか?!』に集中しており、それ以外は付け足し程度で読んでいて「力が抜けていく思い」で読了した。
呉座先生の光秀考は一読に値した(確かに本能寺の変は“光秀単独犯説”が正解だろう)が、それ以外はバラバラに『細川ガラシャ』について、参考文献も統一せず思い思いに語ってしまっていて、「そんなにガラシャが美人だったかどうか、未だに気にしてる人なんて -
-
購入済み
ネタバレ 購入済み田中先生だけは信じてたのに…。
2025年3月読了。全巻(『ファイナル・カウントダウン』まで)纏めたレビューです。
精神的に落ち込んでいた為、まともな本はとても読めず、冷やかし半分で本書を手に取った。『新太平洋大戦記』シリーズが、嘘八百の「超兵器」の類を使わず、「あの時…たら…れば」だけをいじって戦ってみせると云うとても健康的な設定でw、当然結果は変わらないものの、当時の日本軍が充分に機能していれば『結構良いところまで行けた』のを、じっくりと描いていたからだ。
本書はいわゆる「タイムスリップ物」であり、古くは半村良の『戦国自衛隊』のような設定で、平成の自衛隊がミッドウェイ直後の日本へタイムスリップし、「積極的に歴史を変え -
-
ネタバレ 購入済み
『三谷幸喜、興る』後編だねw。
2025年3月読了。
前の対談本を読んだので、直ぐに此方も…と購読。
個人的に『鎌倉殿…』は、大河史上一,二を争う程の出来だったと思う。鎌倉時代は余り題材に上がらないのが不満だったので、血腥くも真っ直ぐな生き方をしていた鎌倉武士の物語が見られたのは、本当に嬉しかった。そして撮影技術の向上はその当時から感じてはいたが、そこまで進化していたとは思ってなかったので、良い話が聞けた。
その前の『真田丸』も面白かったが、最後の《大坂夏の陣》でガッカリした。ただ、三谷さんがそれ程までに「合戦を描いてもしょうがない」と考えていたとは思わなかったので、当時「どうせNHKの予算が尽きたんだろ…」ぐらいに思って -
ネタバレ 購入済み
『三谷幸喜、興る』前編みたい。
2025年3月読了。
気には成っていたのだが、ずっと積ん読状態だったものを、ようやく読んだ。
「創作を語る」と云うタイトルより『三谷幸喜、興る』の前編を読んだような気がした。
作品の一つ一つを語っているが、やはり三谷幸喜と云う才人の《生き様》が語られていたように思う。
ファンとしてはこの上ない喜びだった。そして、意外と見落としている作品が有るのにも気付いたので、これを機会に過去の作品を見てみたいと心から感じた。
三谷さん、あなたは日本の演劇〜映画…全ての芸能の世界の希望です。これからもまだまだ残りの年数等考えず、ドンドン新しい作品を創ってください。ずっと追いかけていきます! -
ネタバレ 購入済み
野暮を承知で…。
2025年1月読了。
映画好きだし、役者さんの伝記的な本等も大好きなのだが、今作ほど《意外な読後感》に成ったのは初めてで、正直自分でも戸惑いが隠せないし、菅原文太と云う人の〈意外性〉に心底驚いた。
「東北育ちで親の愛を受けずに育った」「そこそこ頭が良いのに進学を諦め、なし崩し的にモデル〜役者へ」「世間で思われているよりも遅咲き」「人間関係は意外な程ドライで、ベタベタした付き合いを嫌った」「奥様の影響でバリバリの左翼思想に成っていた」…等、驚くことばかりで〈菅原文太〉のイメージが全く違うものに変わってしまった…。
特に晩年の「改憲反対」「原発反対」「米軍の辺野古移転反対」「安倍政権反対」…等 -
ネタバレ 購入済み
哲学〜仏教〜禅で繋がる!!!
2024年12月読了。
西洋哲学を読んだので、東洋も…と思い読んだ。
元々の釈迦の主張は「宗教」と云うより「哲学」で有る事は、今まで読んてきた本でうっすら判ってきたが、『インド哲学⇒釈迦の哲学(原始仏教)⇒中国仏教⇒日本の禅宗で繋がる』と云う此処までハッキリとした解釈は聞いたことが無かったので、正に≪目からウロコが落ちる≫思いがした。
そして、何かと関係性において胡散臭がられる「大乗仏教」も、その「釈迦の哲学」を何百年と云う時間を超えて伝えていく為に、そして「現世利益」や「今そこに有る貧困」に振り回されている一般大衆の為に、解釈方法を変えて一つの≪宗教≫足らしめたと云う著者の論理には、心か -
ネタバレ 購入済み
手軽な哲学史大全。
2024年12月読了。
前々から積ん読状態だったものから手を付けた。哲学自体は好きで、大学時代も講義を採っていたが、何せ古代から現代まで数多の星のごとく《哲学者が居るため》、フォローしきれずに終わってしまった記憶が強かった。
その後、社会人と成ってからもチョコチョコ読もうとするのだが、古代から現代までは果てしなく遠く、いつも『近代の途中』で断念していた。「哲学史大全」の様なものは沢山出版されているが、どうしてもカタログ的で喰い足りない印象に成り、遠ざかってしまってからもう数十年…。
五十路を過ぎて《これが最後のチャンス》とばかりに本書を購入したが、中々手に付けられず月日は流れ…、先日ふと -
ネタバレ 購入済み
より多くの人に読んでほしい。
2024年12月読了。
ず〜っと気にして買っていたのに、中々手が伸ばせずに積ん読状態だったのだが、数年前にTVでオードリーの若林さんが称賛していたのを見て興味が湧き、読み始めたのだが、自分はうつ病を患っており、その時は具合が悪く途中で手を止めてしまった。
その後(つい最近だが)思うところがあり、改めて初めから読み返したところ、夢中に成る面白さで、半日弱で読み終えてしまった。
哲学書でこんなに読み易い本は、早々お目に掛かれない良書だと思った。そして若い読者にも理解しやすい書き方で、現国のテキストに使われたのも頷ける内容だった。
中身を多くは語るまい。読み終えた人だけが、感想をスタート地として -
-
購入済み
ネタバレ 購入済みちょっと《手抜き感》…。
2024年11月読了。
読み忘れていたので、ふと思い立ち読んだ。本郷先生の著書は日頃から好きでよく読んでいるのだが、NHKの『鎌倉殿の13人』の頃にドカドカっと類似本が出版されていたので、この辺りはかなり詳しくなっていた。本郷先生の(本書ではない)著書も他の先生の本もね。
それらを経て本書を読むと、大河ドラマを思い出して懐かしい気分と、史実としての当時の血腥い抗争劇に対する《(史料から類推して)明解な部分と曖昧な部分とのギャップへのもどかしさ》をとても強く感じた…と言いたいのだが、本書は『承久の乱』に的を絞って書いているとは言え、何だろう《サッパリと史実を追っているばかり》印象で、あっとい -
-
ネタバレ 購入済み
山の民から海の民へ…。
2024年11月読了。
実を言うと、この本は30年以上の間、読めずに遠ざけてきた本だった。前著『武王の門』に、又北畠顕家卿を描いた『破軍の星』に、自分の心、より大袈裟に言えば
自分の魂を吸い取られる程魅了されてしまったからだ。
『武王の門』の続編が出たと聞いた時、日本史を嗜んでいる人なら誰でも、その後の史実を理解しており、《喪われた南朝の末裔の物語》等、悲し過ぎて到底読めないと、ずっと思ってきたからだった。
しかし、今の自分は若かった頃ほどの《熱狂》は無く、征西将軍宮懐良親王の子、月王丸の物語を受け入れる様な歳に成っていた。
月王丸側からではなく、九州探題の今川氏側の視点から物語が語られ -
-
購入済み
ネタバレ 購入済み「鬼平ファンクラブ会報」みたい
2024年10月読了。
現時点で吉右衛門さんは鬼籍に入られ、新たに《甥っ子の》十代目 松本幸四郎が、自分の息子を引き連れて新たな《鬼平》企画が始まると聞いている。
それを踏まえて本書を読んでいて、やはり「中村吉右衛門」と云う名優の大きさを感じた。彼は兄である松本白鸚の陰のように、若い頃は目立たないイメージが強かった。兄が積極的にテレビや舞台へ打って出たのと異なり、控え目なイメージが有った。
でも何十年も前に一度だけ、歌舞伎で実際に観た際「ひょっとしてお兄さんより《力強さ》が有って良いのでは…?」と思った記憶があった。
だから『鬼平犯科帳』が始まった時《役とのジャストフィット感》があった。バ -
-
ネタバレ 購入済み
「解説本」としては字足らず。
2024年10月読了。
日本の「戦争映画」の歴史を、時代の変遷とエポック・メイキングな作品から紹介していこうと云う趣きの書。
映画一つにとっても思想的な偏りは、その時代によっても、又は社会的状況によっても左右にブレるのは致し方無いとして、『そういう点で(思想的な)文句はぶつけてくるな』と最初に宣言しているのは良かったが、やはり著者も『戦後教育を受けて育った世代』の為、《右左でケチを付けられたくない》と云う恐怖心が見え隠れしていて、作品の説明や褒め方がぎこちなく、又一つ一つの作品に割けるページ数が限られているのか、突っ込んだ所まで語り切れてないのが残念な本。文春新書で『日本の戦争映画』と云うタ -
-
購入済み
ネタバレ 購入済み懐かしいなぁ、松方さん…。
2024年10月読了。
本人へのインタビューと、今でも見られる過去の作品レビューで構成された一冊。インタビューでは、本人は『時代劇』への拘りを熱く語っていたが、後半の作品レビューはいわゆる『ヤクザもの』が多く、古い時代劇が正当に評価され後世に残されていない現実をまざまざと感じさせる。
何事も《ゼニ勘定》の時代になり、『儲からない作品は商品化しない』と云う日本の映画会社のだらし無さと、プライドの無さを思うと、亡くなる直前まで《時代劇を熱く語っていた》松方さん達に本当に申し訳無い気持ちに成る。
『あの頃は良かった…』と昔の作品を懐古することが決して《後ろ向き》な態度なのではないこと、むしろその -
-
ネタバレ 購入済み
規格外≧破茶目茶…。
2024年7月読了。
かねてから気に成っていたのだが、長らく積ん読状態だった本。ふと思い立ち読み始めたら…、まぁ〜止まらない!!!『ヤマト』の話と成るとシャキッとしてしまうほど大好きな自分が、こんなに長い間放置していたことを後悔した。
西崎氏の《破滅的な》生き方は色んなメディアで見聞していたし、子供心にも「この出たがりなプロデューサー、胡散臭いなぁ…」と四十数年前から感じていたので、ある程度予想はしていたがここまで破茶目茶な人生だったとは。
しかし著者が何度も書いているように、あれだけのスケール感、そしてしっかりとした物語の世界観を持ったアニメーション作品は、やはり『ヤマト』以外には当時 -
購入済み
勝新と云う宇宙…。
2024年10月読了。
春日太一著『天才・勝新太郎』を読んだ後で、この本をずっと読み忘れていたことに気付き、慌てて読んだ。でも、春日さんの本も《本書の参考文献》に入っていたから、刊行順としては合っていたのだ。
読後の感想については、解説の吉田豪さんが簡潔且つ的を射ており、正にその通りと云う感じ。正直、12章以降とそれ以前で全く別の本かと思うぐらい、著者の熱量が違う。
資料は駆使しているものの、基本的に『映画』や『時代劇』への思い入れ度が、春日さん等と違い過ぎて、11章までは《週刊誌の特集記事》の域を超えていない。着眼点も《如何にも週刊誌が喜びそうな》興味本位(や俗っぽい逸話)等のエピ -
-
購入済み
購入済みここまで語らせるなんて…。
2024年10月読了。
毎回、読むのが楽しい春日先生の『徹底密着インタビュー』だ。仲代達矢さんは未だに現役なのが本当に素晴らしいし、嬉しかった。
そして彼の口から語られる往年の名監督,名役者,そして陽の当たることのない沢山の裏方の人達の物語は、本当に読んでいて止まらない楽しさだった。
この前に『天才・勝新太郎』を読んでいたので、彼との関係性や裏話も楽しく読ませてくれ、個人的に《憧れの》黒澤明と三船敏郎との話も聞けて、大満足。それにしても仲代さんのお元気さには脱帽。まだ『三屋清左衛門』が出来るんじゃないww?
日本映画の繁栄と衰退の歴史を知りたい人には必読の書。面白かった!!!
-
-
-
購入済み
ネタバレ 購入済み熱き『カツドウ屋』達の物語。
2024年10月読了。
春日さんの著作は折に触れて読んでいるのだが、順番がめちゃくちゃなのか、どうもしっくり来ないので、既読感は有ったが本書を購入。
ところどころ「あれ、この話聞いたことあるな…。」と思いつつも、映画に命を懸けた人たちの物語は読んでいて飽きることが無い。
又、著者の春日さんが余り「大御所に阿ったり」「映画会社に気を遣い過ぎたり」せず、ズカズカと書いてくれるので、大物の情けないところや、一流と言われる役者の失敗談なども読めて、本当に飽きることを知らない楽しい読書時間を過ごせた気がする。
それに、文中に出て来る映画も「そこまで言われると観たくなっちゃうな…」と、古い映画であっ -
-
ネタバレ 購入済み
「99%の汗と1%の閃き」…。
2024年10月読了。
大好きな著者の本で有るのだが「刊行順に読みたい」と思っていても、いつの間にか自分の好きな本を手にとってしまい、この本を読むのがこんなに遅くなってしまった(他の本でも勝新について触れていたと云うのあるが)。
読後、心から泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、こんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人の記憶から忘れ去られていると云うことに。
本書内で書かれてはいなかったが、『影武者』の撮影時、黒澤がカットを掛けて「違うよ〜、勝っちゃん」と言うと、彼は「俺は今『武田信玄公』なんだよ、勝っちゃんじゃない!」と言い返したと云うエピソードを、昔聞 -
ネタバレ 購入済み
『疑心暗鬼を生ず』…。
2024年10月読了。
オンタイムで《あの事件》を見た世代として、定期的に『オウム本』は読むようにしている。『二度とあの様な事件を起こさせない気持ち』からである。
著者は昔から、なかなか読ませるノンフィクションを書く人なので、今回も久々に購入して読んだ。『國松長官狙撃事件』の犯人については、正直NHKで採り上げられた《一匹狼の御老人(既に故人)》だと、個人的には確信しているが、凡そ《オウムと云う組織》については、世界を股にかけて悪事を企んでいた為、未だに現在でも不穏な事態が進行しているのは知らなかった。
まぁ「○レフ」が又あの様なことをくり返すとは思えないが、今の二十代以下の人達はあの恐怖 -
ネタバレ 購入済み
これはちょっと…。
2024年10月読了。
「12講」と云うタイトルで、何だか大学の授業みたいだなと何気無く購入。
今、仏教書をよく読んでるので、その勢いで読み始めたのだが…、本書は初心者にはお奨め出来ない。
『仏教』と一言で言っても、「原始仏教」「大乗仏教」「上座部仏教」「日本で分派した○○宗」、、、と、釈迦入滅後比較的早い時期に書かれたお経から、全く釈迦と関係無い(=エッセンスを活かした創作)お経まで、本当に多岐に渡っているのが実態だ。
それを、全部一緒くた(バラバラ)に引用して語られる為、読んでいて「や,や,や」と積んのめる感じになってしまい、なかなか講義内容が入ってこなかった。
引用するお経(や宗派 -
ネタバレ 購入済み
『歎異抄』は難しい…と思う人に
2024年10月読了。
『原始仏教』『大乗仏教』と読んできて、ふと『歎異抄』の事が頭を過った。たまたま自分の
母方が浄土真宗なのだが、浄土真宗は…と云うか、『歎異抄』と云う読み物が何やら≪ヌルヌルして掴み辛い鰻≫の様で、若い頃から何度も解説書を読むのだが一向に『腹落ち』してくれないのだ。
こんな事を言うと信者の方からお叱りを受けそうだが、「ただひたすら『南無阿弥陀仏』と称えなさい」と言われても、それで『日々の暮らしの不安が明るくなる訳でも無し』、何と言うか≪やったぞ!!!≫感が起こらないのが、何とも腑に落ちなくて、さりとて坐禅やらお遍路三昧する様な気力も無く、我ながら「酷い凡夫だ…」と思いな -
ネタバレ 購入済み
『大乗仏教』入門書として最適!
2024年10月読了。
佐々木先生の前著『100分de名著〜ブッダ・真理の言葉』を読んで、中村元先生の『原始仏教』の方へ行こうとしたのだが、「大乗仏教の総括が出来ていないじゃないか」と思い立ち、本書を購入。流石は著名な仏教学者、限られた文量の中で《大乗仏教と云う大きな教え》をスパスパッと気持ちよく捌いてくれ、私の様な凡愚の者でも「(大掴みだけど)分かったような気持ち」にさせてくれた事に、最大級の賛辞を送りたい。本当に勉強になりました。
前にも書いたが、呉智英先生がその著書で『似ても似つかない嘘八百だ…』くらいにケチョンケチョンに貶されていたので、「そうかも知れないけど、大乗仏教だってこれだ -
購入済み
大乗仏教を信仰する私達には…。
2024年10月読了。
先日まで禅宗(曹洞宗)の本を読んでいたが、いわゆる『大乗仏教』に関するものばかり自分は読んできたなぁと感じた。但しこの本(テキスト)の基であるテレビ番組は見ていたのだが、その後サッパリ綺麗に忘れているwことに気付き、本書を購入。
数年前に、呉智英先生の『つぎはぎ仏教入門』という本を読んで、頭を殴られたぐらいのショックを受け、「今まで信じてきた(大乗)仏教はまるで無意味なのか!?」と呆然とした記憶があった。
その後、『原始仏教』と呼ばれるものも、釈迦入滅後数百年を経てから作られたものと知り、又、上座部(=いわゆる小乗)仏教と在家信者との確執や、時間が経つにつれ変様して -
ネタバレ 購入済み
禅宗(曹洞宗)を学ぶには最適。
2024年10月読了。
長らく積ん読状態だった本の中から、今年の《余りにも異常な夏》に苦しめられた心から、『何か自分の心を落ち着かせるものを…』との思いで引っ張り出した。
日本史において「曹洞宗は只管打坐」「臨済宗は公案」と教育されてきた私からすれば、道元と云う人は『多くを語らず只管に座禅せよ』というイメージが強く、ここまで饒舌に(=懇切丁寧に)仏道について語っていた事 自体に驚いたし、又感動した。
そもそも私自身、臨済宗系の学校に通っていた事も有り、曹洞宗とは距離を感じていたが、有る御縁で、今は亡き佐藤俊明先生の著書と出会い、禅宗の奥深さに触れてはいた。だが中々『正法眼蔵』そのものにま -
購入済み
会話の文書化は難しい…。
2024年9月読了。
今の時点で自民党総裁選は決まっていない。が、こんな調子で「自民党が財務省の言いなり」が続けば、日本は滅びると強く感じた。
石破さんは地方再生こそ力強いが、中央の財政はオンチだし、横須賀の二代目は「ペーパーが無いと碌な喋りも出来ない」と来ている…。
ソレがトップ2なんて、情けない話だ。
本書は、私自身がこの番組を見ていないので、その代わりにと思って読んだのだが、やはり《会話本》はどうしても『掘りが浅くなって』しまい、知りたい事の半分も情報を得られなかった。やはり活字媒体は、しっかりとしたデータや様々な人の意見も盛り込んで、一定の方向性を持って文書化しないと、ダラダラと喋 -
ネタバレ 購入済み
今こそ『日本保守』の再生を!
2024年9月22日読了。(自民党総裁選前)
安倍元首相亡きいま、自民党の、いや日本の『保守』は破滅の危機に瀕しています。《リベラル》を気取る「ただの左翼やそのシンパ達」は小躍りして、自民党が矮小化していくのを見て喜んでいます。
目先の経済や賃金引上げなどばかりに目が囚われ、大局観、世界の中の日本と云うスタンスを、私たち国民も忘れているのではないでしょうか!?
いま世界は複数の地域で《戦争が続行され》、国の舵取り選びを間違えれば、世界はアッという間に《全体主義の国々》に蹂躙されてしまうのです。
そんな時に、わが国を正しく毅然とした姿勢で導いてくれる政治家は、ヘナチョコな自称リベラルの類 -
購入済み
長い!割には面白くない!!
2024年9月読了。
前から気になっていた作家さんだったので購入即読み。
小説家や出版業界をテーマにしたミステリーと云うのは、無さそうで質は結構多く、その中で比べれば「中の下」ぐらい…。
盗作疑惑、失踪した謎の作家、本人しか知らない様なことを知っている赤の他人……等、その類のミステリーではよく扱われるので、途中「ホラー方向へ向かうのかな」とも思わせたが、大体序盤に想像した通りの結末。
矢鱈と時制に拘り、『○○年○月○日△時△分…』の記述が多く、その度に「さっき書いてあったのは何年だっけ?」と一々前に戻ってチェックして読んだが、その年月日自体はそれほど『衝撃のトリック』に繋がると云う訳でも -
『破軍の星』を読む前に。
北方《南北朝》シリーズは、今作から始まります。
「太平記」の時代、足利初期の頃の話と言えば、どうしても『関東〜鎌倉〜京都』の物語として取り上げられがちですが、奥州地方だけでなく九州地方でも《血みどろの時代》が有りました。
尊氏も一度は破れて、九州へ落ち延び、見事に反転攻勢を掛けて天下を取りました。
その後の《南北朝期》、南朝はしっかりと九州へも足場を構築し、熊本の菊池氏を従え、かなりの期間、足利に入らせない勢いが有ったのです。その初期から末期までを手に汗握る濃厚な物語が《北方調で》語られていきます。
何度読んでも、心が熱く滾る、涙無くしては読めない物語です。
-
購入済み
もっと評価されて良い名作。
初版時に読みました。電子で再読しようと購入。
映画化もされています。宝塚を退団して間もない天海祐希さんが、一世一代の《エロス》に挑戦していて、原作同様、もっと評価されて良い名画でした。
著者の「日本の古い因習に囚われた地方社会」を描いているのですが、単純におどろおどろしい話を書くのでは無く、そこに現代的な視線を当てて書いているので、読んでいて単純に恐がると云うより『日本史の陰には、こういう因習が在ったのかぁ』と、勉強している様な気分にも成り、よくある「怖い話」よりも文学的な、歴史学的な香りがあります。
『死国』もそうですが、読後考えさせられるものが残ります。 -
ネタバレ 購入済み
最高です!!!
初版時に読んてるから、もう何十年(?)前になるのか…?
柴田よしきさんは本当に多種多彩な作品を書かれる方で、シリアスからこうしたSFまで幅の広い事でも有名な方ですよね。
どの作品でもテーマ性がしっかりしていて、本当に「読ませる」作品ばかりなのですが、このシリーズだけは、初めシリアスな感じで始まり『日本沈没』的なストーリーに成るのかと思いきや、天狗がノートPCを使いこなしたり、様々な生物や妖怪(?)か普通に人間と会話するなど、楽しい物語も混じってきて、著者自身も楽しそうに書いているのが想像出来て、本当に大好きな作品です。
『奇想天外な物語』と言ってしまえばそれまでですし、「ふざけ過ぎ」だ -
購入済み
新田次郎の最高傑作。
イマドキの歴史小説家さんは、結構大胆にキャラ設定して、割と自由に立ち回るじゃないですか?
でも、新田次郎が書いていた頃は、実在する歴史上の人物を主人公とする時、歴史文献や史実の確認をしっかりと踏まえた上で書かないと、『キワモノ小説』扱いされるし、地元住民から怒られる様な時代だったんですよ。多少の贔屓目は有りとしてもね。
そういう意味で、重厚且つじっくりと話が進みますので、気の短い方には不向きかもしれません。でも、それを乗り越えて読み進めていくと、信じられないほどの一体感と云うか《同じ場所にあたかも自分がいる様な》錯覚すら受ける瞬間がやってきます。その時の感動と言ったら…!!
そういう時に「読 -
購入済み
未完の大作。
池波正太郎と云う作家は、『真田太平記』のような歴史小説より、本作のような時代小説の方が面白い、といった評価がよく聞かれます。確かに『鬼平犯科帳』『仕掛人梅安』も有りますから、そういう意味では当たっていると思います。
しかし自分は「歴史小説」から入ったクチなので、池波正太郎の作品に触れたのは遅い方でした。『真田太平記』がドラマ化されていなかったら、もしかして未だに一作も読んでいなかったかもしれない。
何せ、中学時代に司馬遼太郎『竜馬がゆく』『燃えよ剣』から日本史にドドーンと目覚めたものですから、ソレ等と「小兵衛さんの話」では、まるで正反対ですもんね…ww。
そんな訳で、大分回り道をして本作と -
ネタバレ 購入済み
「帯に短し襷に長し?」
2024年9月読了。
本書が本屋大賞(時代小説部門)受賞作と聞き、ふと手にした。著者は『宇喜多の…』シリーズで知っていたのだが、本当にコレで受賞したのかと首を傾げるレベルで、非常に残念な出来だった。
以下、マズいと思った点を挙げると…、
この作品の褒め言葉で「どんでん返しのミステリー…」とか「山田風太郎ぱりの…」等の惹句が書かれているが、そういう要素はほぼ無いと断言できる。
「犯人探し」と言っても、宮本武蔵が行き当たりばったりに犯人を探して右往左往するだけ。特別にアッと言わせる要素も無し。
それから《山田風太郎ばりの…》と言うには、『呪いの仕組み』の辺りの設定がチャチ過ぎる。又それを、作中 -
ネタバレ 購入済み
イスラム教の功罪とは…?
2024年8月読了。
著者は、と云うより《著者の御意見》は色んな所で拝聴しているので、読むのが遅くなってしまった。
それにしても、つくづく日本のパヨク系と云うのは……、溜め息しか出て来ない。
自分の国の政治や憲法もそうだが《いい子の考え=恒久的な平和》と、この長〜い戦後80年程で様々な《洗脳》によって擦り込まれてきたモノがそうさせるのだろうか?!
日本の左翼、若しくは左翼メディアと呼ばれる人達は、ある程度の『覚悟』と云うか信念を持って「左翼的言動」をやっているが(それはそれでどうかとは思うけど)、そういう人達の怪しい言説を丸呑みして信じ込んでしまう、『パヨク化』している人間の多いこと…… -
日本『保守』再生の為には必読。
2024年7月読了。
個人的に「ずっと好きだった政治家」の一人であったので、新聞掲載後書籍化されると聞いて購入。
やはり、この人の誠実な人柄には敵う理由もなく、ただただ頭の下がる言葉に《汗顔平伏》の体で読み終えた。
『徳は孤ならず』『誠は天の道、これを誠にするは人の道』等の言葉も、心うたれる想いで響いた。
又、自分自身のしてきた事も『失われた○十年』で片付けられてしまうのか…と考えると、ハッとする思いがした。
自転車事故の件が有ったとは言え、日本の政治家には珍しく《誰に対しても誠実であり、恬淡として、その地位に恋々としなかった出処進退》が、政界を去っても尚、往時の官僚や政治家の訪問が絶 -
ネタバレ 購入済み
通常ドラマ回、一本分…。
2024年6月読了。
性懲りも無くまた東映が作った『帰ってきたあぶない刑事』を観て、こんな本が有るのかと知り購入。
柏原さんは実際のドラマでも結構書いてた方なので期待していたが、、、正直言って『う〜ん、通常回のドラマの台本ってこんな程度だったのか…』と云うやや粗っぽい出来。
これぐらいなら、恭サマもアドリブの演り甲斐が有ったんだろうなぁ…と、(悪い方で)逆に腑に落ちてしまった。
この話は、通常回で『近藤〜、出て来い!!!』って過去に恨みの有る犯人が港署まで押し掛けてくる回の話と展開はそう変わらなくて、《殺し屋》も劇場版1作目の菅田俊さんと殆ど変わらない設定…。(そしてトオルのシーンはスベリ -
ネタバレ
スゴい!!としか言い様が無い!
2024年5月読了。
38年を誇る《推し》である『あぶない刑事』の、ドラマ立ち上げ時からのキャスト・スタッフへのインタビュー本とあり、速攻で購入。
まぁこの手のインタビュー本と言えば、キャストとスタッフと言っても、精々監督,脚本,プロデューサー辺りまでが相場かと思うが、この本はそんな次元じゃない!
カメラマン,美術さん,編集さん,メイクさん……、何と総勢50人!!!
それもズーッと『あぶ刑事』一筋の人じゃない方々にまで聞いてますから、聞かれた側が「三十ウン年前に、2,3回担当したぐらいで…」と逃げを打とうとしても、その場で『あなたの担当回はコレですね?』とばかりにPC(か何か)から映 -
-
ネタバレ 購入済み
33年振りの…。
大学生の頃には、何度も読み返して、NHKでドラマ化された時には『鮫島は舘さんじゃない!!』って怒ったり、この小説が切っ掛けで《新宿御苑》が大好きに成ったり、想い出深い作品です。
鮫島と云う刑事(警部)は《恐れ知らずの一匹狼》かの様に思われがちですが、決して強面のタフガイだからではなく、強い使命感と正義感を持った《信念の刑事》なんです。
だから、台湾の“海兵隊”上がりの殺し屋や刑事には敵わなくても《信念》の部分で共鳴しあえる。そして皆、互いの信念を貫き通す為にぶつかり合うんです。台湾マフィアが傍若無人に新宿中を暴れ回るストーリーですが、彼がそこに立ちはだかる事によって、事件は解決します。
-
購入済み
青春の想い出…。
2024年3月読了。33年振りの再読。
正直1作目はそんなに好きじゃなかったのでw、こんなに間が空いたけど、これだけの時間が過ぎたのだなぁと云う感慨に包まれ、そして自分も大好きだった新宿歌舞伎町が目の前に広がって、何とも言えない気持ちで読み終えた。
携帯電話はデッカくて、公衆電話はまだまだ何処にでもた〜くさん有った時代、留守電は着信時刻が分からなかった時代w、そして何より《歌舞伎町はヤバいけど、と〜っても刺激に満ちていた時代》だったなぁと、読んでいて泣きそうになった。
まだまだ生意気な大学生が、噴水広場で歌ったり騒いだり。たまに本職の方々が通る時はス〜っと除けてたあの頃。渋谷や池袋なんか目 -
購入済み
常に走り続ける『発想』に脱帽。
2024年3月読了。
もう何年振りだろう…、『新宿鮫』の刊行ペースが遅くなってきた頃から徐々に遠ざかっていて(待ってる方もイライラするんですよw!)、本当に久方振りの大沢作品でした。
相変わらず《常に新しいトレンドや先端技術、犯罪傾向》等を採り入れていて、読む度に感心していたのですが、まだまだその力は衰えていない様で、本作と次の『爆身』を一晩で一気読みしちゃいました。
《有り得ない》事を『有り得るかも…』と思わせるこの筆力!!! 『鮫』に酔い痴れていた頃と全く変わらなくて本当に楽しいひと時を過ごせました。
ただ、このシリーズは独特の《軽やかさ》が有って、その点では読後の印象はちょっと薄い -
購入済み
この「語り口の巧さ」よ…。
2024年2月読了。
もうず〜っと前から存じ上げていましたし、凄まじい多作でも有名な著者の作品。本書も2時間ドラマでも観たような話…。
ちょっとした切っ掛けで読み始めたのですが、気軽にちょっと手を伸ばして読み始めたらグイグイと惹き込まれ…数時間で読了。この「語り口の巧さ」には、ほとほと脱帽しました。
『多作と言えど必ずしも不作ならず』と自身で意志表明し、「そんな事を言ったってどうせ…」と鼻で笑っていたのが私の学生時代の頃ですから、もうかれこれ30年近く昔の話…。
久しぶりに読んで、本当に著者の《圧倒的な筆力》に参りました。こんなに爽やかな読後感は久し振りかも。
こんなに沢山の著作で、今 -
購入済み
Critical Hit!!!
2024年2月読了。
少し前に映画化されており、世間を賑わすヒットでは無かったが、観た人の「これはスゴい!」と云う感想を聞いて、興味を持って読んだ。
感想としては「法律をど真ん中の基軸に置いた、スピード感の有る優れたミステリ」だと思った。法律を扱ったミステリ自体は多いが、(著者の意図かは不明だが)感情的な人間関係の展開や、ゲームの様な無茶苦茶なプロットの物が多く、正直あまり素直に面白いと思える作品は、多いとは言えない。
何十年か昔に、海外の法廷ミステリが大流行した事も有ったが、どうしても『陪審員制度』を意識したアッと言わせようとする展開が多く『そんな(大事な)証拠や事実を、誰もその時点まで -
ネタバレ
2024年2月読了。
著者は「映画評論家」として以前から知っていたが、《JFK問題の専門家》と云う顔をお持ちだと云うのは、本書が刊行されるまで全く存じ上げなかった。
いわゆる「ネタバレ」もしたくないし、著者個人を〝非難する意図なども全く無い事〟を先に強調した上で、個人的な読後の感想を書かせていただく。
先ず、本書はタイトルからも分かる通り「JFK暗殺事件から60年が経過し、様々な資料が徐々に明らかにされる中、決定打とも云うべき資料・証言等が明るみに出て、それ等に基づいて書かれた真相」を記した本の〝筈〟である。
ところが、一番核心の《今まで取り沙汰されてきた、数々の -
ネタバレ 購入済み
アイデア勝負の一作。
2023年11月読了。
映画化されると聞き(大好きな菜々緒サマも出演と聞きw)、そそくさと読んだ。
解説者や他のレビュアーの方々も言う通り、『文章の稚拙さ』は今後著者を苦しめるだろうことは必至。もっと沢山の本(ジャンルレスで!)を読んで、語彙力や筆力を付けた方が宜しいかと。
ただ、今作に関してはその『稚拙さ』が良い方に回っていて、中々《真犯人》を特定出来ない結果と成っており、そういう意味では《ラッキー》な作品かと。自分はてっきりパートナーの○○君が裏切る展開を予想してたんだけどw、それだとゴチャゴチャに成っちゃうかww。
『連続殺人鬼vsサイコパス』と云う宣伝文句も、正直言って正確には
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。