koccoさんのレビュー一覧
レビュアー
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杉下さんは御歳73歳!!!
2026年2月読了。
水谷豊と云う人は、個人的には『熱中時代』(刑事編もね)が一番強い印象の役者さんだったのだが、令和の世にインタビューされればそりゃ『相棒』の杉下右京に成るわけで、真ん中から以降はほぼ『相棒』の話が続いている。『相棒』ファンの方にはとても面白い本だろうと思う。
個人的に知りたかったのはデビュー〜『相棒』に至るまでの部分だったので、その分だけやや喰い足りない感はあったが、聞き手(書き手)があの松田美智子さんとあっては、昔語りに花が咲いただろうと思い、購読した。
『自伝』と云うからには生い立ちから語っているわけだが、旧知の仲ゆえか砕けた雑談の様にワーッと語られている為、読む側がシッカリと意識的に事実確認しながら読み進めないと、サーッと終わってしまうような一冊だった。
ご本人曰く「スピリチュアルな事は信じない」と言いながら、ロケ先の天気を変えてしまうエピソードや、若かりし頃に松田優作ととても親しくしていた話等も聞いたので、その辺りは面白かった。前の奥様(ミッキー!)との話はもっと聞きたかったが、現状を考えればそう根掘り葉掘り聞ける筈も無く…、主に過去出演してきた作品の話を中心に語られている。その点においては幸せな再婚をし、素敵な家庭に恵まれ、今は73歳にして現役の役者でありお祖父ちゃんである事を、楽しそうに自身で噛みしめているような一冊だ。『相棒』はまだまだ続くし、身体が動く限り監督業にも今後も挑戦したいなど、お元気で何よりですと、読後感はサラッとほんわかした気分だった。
しかし『相棒』ももう四半世紀に成るのだ、テレ朝もそろそろ手放す頃合いなのでは…、とファンではない自分には感じられた。 -
ネタバレ
映画より原作が上!
2025年12月読了。
原作未読のままで映画を観たのたが、これだけの原作量に対して、圧倒的に尺(時間)が足りなかったため、山田くんのセリフが終盤へ向かうにつれて早口言葉のように速く成ってしまい、正直ストーリーに付いていくのが精一杯な感じで終幕となり、消化不良感満載で原作を読み始めた。
やはり謎解きのロジックはゆっくり分かりやすく説明してもらわないと「???」の連続に成ってしまう。その点でせっかく好演していた佐藤二朗の役どころがよく見えていなかったのが、原作を読んで非常に腑に落ちた感があった。
とは言え、原作にも全く瑕疵が無いとは言えない。山田くんが扮した類家の推理は、仮定や拠り所の薄い土台で論理展開しているので「仮に…、仮に…、」が多く、結果的にそれが当たりと成る辺りは、若干の都合の良さも感じてしまった。
但し、それを差し引いても、犯罪者の独白から始まる序盤の展開の薄気味悪さと、それに対峙する警察との攻防は素晴らしいものだと思う。そして奇抜なストーリー展開は他の追随を許さないリーダビリティも相俟って、極上のミステリーを読めたことに心から敬服する。
そして、この小説には続きがあるので、順次追いかけていきたいと思う。 -
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《歌舞伎》への底しれぬ愛情。
2025年7月読了。
話題に成っている映画の方を先に観て、映画は映画でとても素晴らしかったのだが、3時間の尺でも『何かのダイジェスト版を見されられている』様な気がして、速攻で原作を読んだ。
映画を先に観ていたお陰で、名前と顔が直ぐに浮かび、劇場で「喰い足りない感」が有ったのを、原作を読むことで本当に心から堪能した。
ただ、劇場版が笑いなしのシリアスタッチだったのに対し、原作は笑い有り涙ありの波瀾万丈な物語だった事が一番意外に感じた事だ。まぁこれだけの作品を映画化するには、ストーリーを相当にカットしなければ3時間どころでは済まないことに成ったのであろうから、致し方無かったのかもしれないが…。
本当に、吉田修一が此処まで《歌舞伎の素晴らしさ》を描き出せるとは思っていなかったので、その事も意外で有り、こうした伝統芸能について《がっぷり四つ》でぶつかった文芸作品は早々出会えないので最大の賛辞を送りたい。
又、映画の方も原作とは異なる解釈では有ったが大変素晴らしかったので、原作と映画、両方とも違う味合いで魅了された事が何よりの喜びだった。
映画はスゴい興収に成っているそうだが、原作ももっともっと多くの人に読んでいただきたい《大傑作》である。
映画を観て、原作を読んで、今また『映画』が観たいな…と思っている。つくづく《歌舞伎の世界》は素晴らしい…。 -
ネタバレ
便乗本の悪い例…。
2025年6月読了。
元々『京都ぎらい』で有名になった井上章一先生のファンなので、「光秀とガラシャの話かぁ」と何となく気になって拝読した。
それぞれ立場の違う専門家が、この二人について論証(推論?)した本では有るのだが、興味は『細川ガラシャ(お玉)は美人だったか?!』に集中しており、それ以外は付け足し程度で読んでいて「力が抜けていく思い」で読了した。
呉座先生の光秀考は一読に値した(確かに本能寺の変は“光秀単独犯説”が正解だろう)が、それ以外はバラバラに『細川ガラシャ』について、参考文献も統一せず思い思いに語ってしまっていて、「そんなにガラシャが美人だったかどうか、未だに気にしてる人なんて居る?!」と云う感想しか出てこなかった。
井上先生も『美人論』の延長線上で、“別途書けば良い程度の事”までしか追えていない感ありあり。
それから、(当時の)イエズス会の活動については、ひたすら『布教活動に尽力した美談』ばかりで、貿易(鉄砲等の武器)や奴隷(人身)売買と言った『負の側面』を只管無視して書かれているのも、「よくもまぁぬけぬけと…」と云う感じで、読んでいてシラケる事ばかりだった。
秀吉が「バテレン追放令」を出した一番の理由は、宗教云々なんかより、日本から貧民を奴隷として、ドンドン海外へ売り飛ばす行為が目に余るからだったのは、最近の研究で明らかになっています。『独裁者のワガママ』だけでは酷過ぎます。
概して、こういうテーマで本を出したいなら、どなたか一人で別々に書いたら宜しいのでは?と、冷めた思いで本を置いた。『麒麟がくる』の頃に当て込んだ本なのだろうが、構成からしてバラバラなのだけはよ〜く分かった。 -
超空の艦隊 (1) Z部隊出撃す!
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ネタバレ 購入済み田中先生だけは信じてたのに…。
2025年3月読了。全巻(『ファイナル・カウントダウン』まで)纏めたレビューです。
精神的に落ち込んでいた為、まともな本はとても読めず、冷やかし半分で本書を手に取った。『新太平洋大戦記』シリーズが、嘘八百の「超兵器」の類を使わず、「あの時…たら…れば」だけをいじって戦ってみせると云うとても健康的な設定でw、当然結果は変わらないものの、当時の日本軍が充分に機能していれば『結構良いところまで行けた』のを、じっくりと描いていたからだ。
本書はいわゆる「タイムスリップ物」であり、古くは半村良の『戦国自衛隊』のような設定で、平成の自衛隊がミッドウェイ直後の日本へタイムスリップし、「積極的に歴史を変えようとしたら…?」と云う物語である。
そんな訳でマンガでも読む様な気分で、『新太平洋大戦記』を書いた田中先生を信じて、楽しみに読み始めた。
ところが…お歳を召されたのか、本来の戦争史への拘りが強過ぎたのか、自由に暴れ回って書ける筈の《架空戦闘》よりも、「旧史(実際の戦史)では…」と、昔の話ばかりに気持ちが行ってしまって、中々話が進まない。これが先ずイライラの始まり…。
又、架空戦記とは言え「彼我の戦力差が有り過ぎる」事が気になったのか、とにかく日本軍は〈徹底的に優しい〉のである。
その為、物語の進みは恐ろしくのろく、同じ「旧史では…」が何度も繰り返される等の停滞気味な筆により、読んでる方のストレスの方が強くて、最終巻の最後に至っても『こんな中途半端なところで終わるの?!』と、ガッカリなエンディング…。
確かに御高齢でしたでしょうし、『架空戦記ブーム』の最中、《超兵器》等と云う'70年代のロボットアニメみたいな何でも有りの子供騙しの小説を量産して書いていた某作家等と「同じ土俵で書きたくない」と思われたのかもしれませんが、それにしても昔話の重複や、殲滅戦を避けようとする優しさが、かえって読む側にとっては『じゃあ何の為に書き始めたんですか?』と聞きたくなる展開に、ほとほと悲しい気持ちで読了。
これに続く話があるのかも分からないので、ここで撤退します。
やっぱり『架空戦記モノ』って、書き手と読み手の知識や感情のズレが絶対に出ちゃうから、読んではいけないものなんだね…。
そんな事を学ばせていだきました。田中先生、お健やかにお過ごしください。
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三谷幸喜 創作の謎
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購入済み
ネタバレ 購入済み『三谷幸喜、興る』後編だねw。
2025年3月読了。
前の対談本を読んだので、直ぐに此方も…と購読。
個人的に『鎌倉殿…』は、大河史上一,二を争う程の出来だったと思う。鎌倉時代は余り題材に上がらないのが不満だったので、血腥くも真っ直ぐな生き方をしていた鎌倉武士の物語が見られたのは、本当に嬉しかった。そして撮影技術の向上はその当時から感じてはいたが、そこまで進化していたとは思ってなかったので、良い話が聞けた。
その前の『真田丸』も面白かったが、最後の《大坂夏の陣》でガッカリした。ただ、三谷さんがそれ程までに「合戦を描いてもしょうがない」と考えていたとは思わなかったので、当時「どうせNHKの予算が尽きたんだろ…」ぐらいに思っていたが、まさか意識的に省いていたとは思わなかった。
その点で個人的な感想で言えば、「《大坂夏の陣》をしっかり描かないのなら、幸村は何の為に最期に突撃したのかが曖昧に成ってしまう」と考えているので、その点では昔々の『真田太平記』に軍配を上げる。草刈正雄演じる幸村の突撃シーンは、あんなに気の毒な程の低予算だったにも関わらず、素晴らしかった。原作にかなり近付けた演出だったと思う。
それにしても前の本とこの本を読んでつくづく思ったのが、三谷さんが何度も口にする『違和感』だった。〈そこいら辺の他の脚本家や演出家と、自分とは違う〉と言いたいのか分からないが、此処までしつこく『違和感』について言及しているのを読むと、「本当にこの人は向いていないのでは…?」とすら思えてきてしまった。古畑…や他の映画でも自分は楽しめたが、創っている当人がここまで『違和感』を口にしていると、観ている側も「(三谷さんが言いたい意図を)取り違えてるんじゃ…」と云う気にすら成ってしまうのだ。
しかし、何だかんだと言いながら、観ていた作品は好きだし、観忘れていた作品は「追っ掛けなきゃ」と思わせる才能は、やはり三谷幸喜と云う人の大きな才能の賜物だと言わざるを得ない。
舞台は物理的に中々観に行く事が難しいが、映画やTVドラマはこれからも良い作品を作り続けて欲しい。特に大河は、最近とみに情けない脚本の作品が多いので、多少の年数が掛かっても良いから、又いつの日か新しい三谷幸喜の物語を観たい。
まだまだ〈残りの年数〉なんて考える御歳じゃありませんよ、頑張ってください!!!
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ネタバレ 購入済み
『三谷幸喜、興る』前編みたい。
2025年3月読了。
気には成っていたのだが、ずっと積ん読状態だったものを、ようやく読んだ。
「創作を語る」と云うタイトルより『三谷幸喜、興る』の前編を読んだような気がした。
作品の一つ一つを語っているが、やはり三谷幸喜と云う才人の《生き様》が語られていたように思う。
ファンとしてはこの上ない喜びだった。そして、意外と見落としている作品が有るのにも気付いたので、これを機会に過去の作品を見てみたいと心から感じた。
三谷さん、あなたは日本の演劇〜映画…全ての芸能の世界の希望です。これからもまだまだ残りの年数等考えず、ドンドン新しい作品を創ってください。ずっと追いかけていきます! -
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野暮を承知で…。
2025年1月読了。
映画好きだし、役者さんの伝記的な本等も大好きなのだが、今作ほど《意外な読後感》に成ったのは初めてで、正直自分でも戸惑いが隠せないし、菅原文太と云う人の〈意外性〉に心底驚いた。
「東北育ちで親の愛を受けずに育った」「そこそこ頭が良いのに進学を諦め、なし崩し的にモデル〜役者へ」「世間で思われているよりも遅咲き」「人間関係は意外な程ドライで、ベタベタした付き合いを嫌った」「奥様の影響でバリバリの左翼思想に成っていた」…等、驚くことばかりで〈菅原文太〉のイメージが全く違うものに変わってしまった…。
特に晩年の「改憲反対」「原発反対」「米軍の辺野古移転反対」「安倍政権反対」…等を読むと、奥様の影響とは言え『右翼から左翼へ鞍替えしちゃったみたい』と云うデコトラの会長さんの言葉が、何とも重たく(悲しく)響いたのだ。これだけの〈ビッグネームな役者さんが政治問題に強く発言するのは、左右はどうあれ、読後、彼を慕うファンもさぞかし意外だっただろうし困惑しただろうなぁ…〉と。そして大変な読書家で、東映会館の自分の楽屋でも台本ではなく持ち込んだ本を読んで過ごしていたと云うのも、驚きだった。
彼の話をする際にはどうしても『仁義なき戦い』を避けては通れないが、彼自身がそれ程愛着を持っていなかった点などは、後年に成って「何かといえば『仁義なき戦い』のことばかり聞かれることにウンザリしていた」のは、武田鉄矢が「『金八先生』のことばかり聞かれることにウンザリだ」と語っていたのと共通していて『言われてみれば確かに…』とは思ったが、業界内での人間関係もバサバサと絶ってしまうくだりは初耳で本当に意外で驚いたし、とかくこの業界は《話を都合良く盛る》人たちばっかりなので、春日太一さんの著書等を読んでいても思うのだが、此処まで踏み込んだ話は初めて聞く事ばかりで驚きの連続だったのは、ひとえに著者の丹念な聞き取りの賜物だと感じ入った。
人の人生なのだから、他者がその生き方にどうこうケチを付けるものではないのは至極当然な事なのだが、それを上回る程の意外性がとにかく印象に残った(それも想像していたのとは正反対に)。
「こういう人生を送った役者だったんだ…」と云う想いを持って、彼の出演した映画を又見返してみたくなった。特に『トラック野郎』や『仁義…』以前の作品等は、また違う味わいに変わって観られそうだ。
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哲学〜仏教〜禅で繋がる!!!
2024年12月読了。
西洋哲学を読んだので、東洋も…と思い読んだ。
元々の釈迦の主張は「宗教」と云うより「哲学」で有る事は、今まで読んてきた本でうっすら判ってきたが、『インド哲学⇒釈迦の哲学(原始仏教)⇒中国仏教⇒日本の禅宗で繋がる』と云う此処までハッキリとした解釈は聞いたことが無かったので、正に≪目からウロコが落ちる≫思いがした。
そして、何かと関係性において胡散臭がられる「大乗仏教」も、その「釈迦の哲学」を何百年と云う時間を超えて伝えていく為に、そして「現世利益」や「今そこに有る貧困」に振り回されている一般大衆の為に、解釈方法を変えて一つの≪宗教≫足らしめたと云う著者の論理には、心から『恐れ入りました』と頭が下がる思いがした。何かモヤモヤしたものが一気にクリアに成ったようで、日本の○○宗の信者でも釈迦の原始仏教と繋がっているのだと云うこの安心感は、何にも勝る思いだ。
飲茶さん、本当に勉強に成りました。これから本腰を入れて≪原始仏教≫からアタックしていこうと思います。
時間の経った本ですが、この本に出会えて、心から感謝します。
…と、此処まで読んで『何のこと…?』と思っている其処のアナタ、西洋編から是非読んでみてください。絶対に「!!!」と云う経験が得られますよ。 -
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手軽な哲学史大全。
2024年12月読了。
前々から積ん読状態だったものから手を付けた。哲学自体は好きで、大学時代も講義を採っていたが、何せ古代から現代まで数多の星のごとく《哲学者が居るため》、フォローしきれずに終わってしまった記憶が強かった。
その後、社会人と成ってからもチョコチョコ読もうとするのだが、古代から現代までは果てしなく遠く、いつも『近代の途中』で断念していた。「哲学史大全」の様なものは沢山出版されているが、どうしてもカタログ的で喰い足りない印象に成り、遠ざかってしまってからもう数十年…。
五十路を過ぎて《これが最後のチャンス》とばかりに本書を購入したが、中々手に付けられず月日は流れ…、先日ふと思うことがあり『やはり死ぬまでにはキチンと概観だけでも理解しなくては』と思い読み始めた。
読みやすさ、ポイントの付き方、前後の哲学との繋がりや相関関係が、見事なまでに《要を得て簡潔に》書かれているため、本当に楽しい時間を過ごしながら読破した。この《読みやすさ》に特化した本は、市場には余るほど溢れているが、著者の『前後関係をハッキリさせること』『その人の主張のポイントを(例え本当は複数の主張が有っても)出来るだけ少なく簡潔に纏めること』に非常に力を注いでいる為、読者が《置いていかれない》工夫がされている点も非常に高く評価したい。
哲学は底の無い井戸のようなもの、これをスタートに現代哲学を新たな気持ちで勉強し直そうと決意した。そんな事を考えさせてくれた著者に対して、本当に厚く感謝したい。
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ネタバレ 購入済み
より多くの人に読んでほしい。
2024年12月読了。
ず〜っと気にして買っていたのに、中々手が伸ばせずに積ん読状態だったのだが、数年前にTVでオードリーの若林さんが称賛していたのを見て興味が湧き、読み始めたのだが、自分はうつ病を患っており、その時は具合が悪く途中で手を止めてしまった。
その後(つい最近だが)思うところがあり、改めて初めから読み返したところ、夢中に成る面白さで、半日弱で読み終えてしまった。
哲学書でこんなに読み易い本は、早々お目に掛かれない良書だと思った。そして若い読者にも理解しやすい書き方で、現国のテキストに使われたのも頷ける内容だった。
中身を多くは語るまい。読み終えた人だけが、感想をスタート地としてそれぞれに思考を進めていければ良いのだ。
恐ろしく単純に云うとしたら、凸凹の「凹」の真ん中(低い所)に居ると思っている人達に、「そうじゃないんだよ、貴方の居る(べき)場所は、実は凸(の高い所)なんだよ。だから右往左往しないで世の不条理に惑わされず、絶えず《学ぶ》ことが一番大事なんだよ!」という、素晴らしく明快な答えを教えてくれる良書だと云う事だ。
と言っても、コレは読んだ人なら分かる、読んだ人にしか意味が分からない感想かもしれないけどw、補編の《痛みについての考察》は、心の痛み(うつ病)を抱える身の自分にもヒットする部分を感じて、とても嬉しかった。再読して、この病と闘っていこうとも強く思った。
國分先生、病と立ち向かう勇気を貰えました。ありがとうございました。
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承久の乱 日本史のターニングポイント
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ネタバレ 購入済みちょっと《手抜き感》…。
2024年11月読了。
読み忘れていたので、ふと思い立ち読んだ。本郷先生の著書は日頃から好きでよく読んでいるのだが、NHKの『鎌倉殿の13人』の頃にドカドカっと類似本が出版されていたので、この辺りはかなり詳しくなっていた。本郷先生の(本書ではない)著書も他の先生の本もね。
それらを経て本書を読むと、大河ドラマを思い出して懐かしい気分と、史実としての当時の血腥い抗争劇に対する《(史料から類推して)明解な部分と曖昧な部分とのギャップへのもどかしさ》をとても強く感じた…と言いたいのだが、本書は『承久の乱』に的を絞って書いているとは言え、何だろう《サッパリと史実を追っているばかり》印象で、あっという間に読み終えてしまい、食い足りない思いが残った。
それにしても、この時代の本を読んでいていつも考えてしまうのが、何処にでも居る田舎の武士だった「北条時政、義時父子」が、そのまま何事も無く進んだら『只の田舎武士』て人生を終えていたであろうのに、いつの間にこれほどの《権謀術数を身に着けて行ったのか》と云う疑問だ。
《佐殿》の側に居ただけで、これ程の短期間で《腹黒く薄汚い謀略》を思い付けるものなのか、そこの部分が本当に理解出来ない。
と云うのも、他の主要な御家人達だって《佐殿》を中心として、ほぼ同じ時間を共に過ごして、時には騙し合い、時には助け合いしてきているのだ。北条氏以外の武士だけ、そんなに学びが無いと云うか《純情だった》訳は有るまい。
『吾妻鏡』は北条氏の都合の悪いことは殆ど書いていないのだから、これ以上史料的にその点を明らかにする様な物は見つからないだろう。
江間小四郎義時!お主は何処でそんなに腹黒さを身に付けたのだ!!! -
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山の民から海の民へ…。
2024年11月読了。
実を言うと、この本は30年以上の間、読めずに遠ざけてきた本だった。前著『武王の門』に、又北畠顕家卿を描いた『破軍の星』に、自分の心、より大袈裟に言えば
自分の魂を吸い取られる程魅了されてしまったからだ。
『武王の門』の続編が出たと聞いた時、日本史を嗜んでいる人なら誰でも、その後の史実を理解しており、《喪われた南朝の末裔の物語》等、悲し過ぎて到底読めないと、ずっと思ってきたからだった。
しかし、今の自分は若かった頃ほどの《熱狂》は無く、征西将軍宮懐良親王の子、月王丸の物語を受け入れる様な歳に成っていた。
月王丸側からではなく、九州探題の今川氏側の視点から物語が語られていったのには、当初少々面食らった気分だったが、考えてみれば『懐良親王の子孫の歴史など何処にも遺されていないのだ、当たり前じゃないか』と気付かされた。それを受け止められた時、この物語に惹き込まれていった。
足利頼冬がジョーカー的な存在で話を掻き回したが、《足利義満が天皇に成ろうとしていた説》は実際に有るので、「こういう展開に成るんだなぁ…」と一つ一つ納得するような思いで読み進めた。虚実皮膜の間を中々に上手くアレンジされていて読後感も良かった。
ただ、ただ、どうしても前作を何度も読んで涙した自分からすれば、《月王丸よ、それで良いのか?!》と云う寂寞感の様なものを感じてしまい、「海の果てに消えていった有る貴種の物語」として諸手を挙げて最高だとは言えなかったのも又事実である。
北方南北朝シリーズは、コレで30年越しにようやく全て読破したが、「判官贔屓」と嗤われてもやはり『南朝方への切ない想い』は変わらなかった。そして最後まで《足利尊氏》を書けなかったのであろう著者の、(どれほどの資料を読み込んでも見出せない)尊氏と云う男の胸の内の不可思議さに、一人の人間として改めて興味が湧いてきた。
この人と楠木正成は、本当に《何を考えて生きていたのか》分からない事が多過ぎるのだ…。
さらなる歴史研究の促進を望みたい。でも、自分が生きている内に「何か新たな資料」が出てくるような事も無いだろうなぁ…。
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「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで
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ネタバレ 購入済み「鬼平ファンクラブ会報」みたい
2024年10月読了。
現時点で吉右衛門さんは鬼籍に入られ、新たに《甥っ子の》十代目 松本幸四郎が、自分の息子を引き連れて新たな《鬼平》企画が始まると聞いている。
それを踏まえて本書を読んでいて、やはり「中村吉右衛門」と云う名優の大きさを感じた。彼は兄である松本白鸚の陰のように、若い頃は目立たないイメージが強かった。兄が積極的にテレビや舞台へ打って出たのと異なり、控え目なイメージが有った。
でも何十年も前に一度だけ、歌舞伎で実際に観た際「ひょっとしてお兄さんより《力強さ》が有って良いのでは…?」と思った記憶があった。
だから『鬼平犯科帳』が始まった時《役とのジャストフィット感》があった。バブル期と云う幸運な時代も有って、フジテレビが長きに渡り続けられた事は本当に素晴らしいことだったと思う。それは主役に限らず、脇役の面々の人選もピタリと合っていて、『幸せな時代劇ドラマ』だったと思う。
令和に成って、新たな《鬼平》が始まるが、色んな意味で「同様の高評価」を得られるとは正直思えないが、前作の評価を貶めない事を祈っている。 -
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日本の戦争映画
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購入済み
ネタバレ 購入済み「解説本」としては字足らず。
2024年10月読了。
日本の「戦争映画」の歴史を、時代の変遷とエポック・メイキングな作品から紹介していこうと云う趣きの書。
映画一つにとっても思想的な偏りは、その時代によっても、又は社会的状況によっても左右にブレるのは致し方無いとして、『そういう点で(思想的な)文句はぶつけてくるな』と最初に宣言しているのは良かったが、やはり著者も『戦後教育を受けて育った世代』の為、《右左でケチを付けられたくない》と云う恐怖心が見え隠れしていて、作品の説明や褒め方がぎこちなく、又一つ一つの作品に割けるページ数が限られているのか、突っ込んだ所まで語り切れてないのが残念な本。文春新書で『日本の戦争映画』と云うタイトルが、著者の腰が引ける原因になったのではないか?と思われる。
もっとも著者は、別の本で世界の戦争映画ともごちゃ混ぜで共著の本も出しているので、本音のところはソッチを読んだ方が良いだろう。
何本か観ていない映画もあったので、機会があれば観てみようかな?と思った程度で終わっている。
ただ個人的な意見として言わせてもらえれば、日本の戦争映画は『反省』『慚愧』『憤怒』『恨み辛み』『悲劇』等が通奏低音の様に下地に有り、いつまででも《体験者、被験者の声》が何よりも金科玉条の様に成っている事と、戦後の日本が本当の意味での『歴史的総括』を出来ていない事が、総体的に『(日本の戦争映画が)面白くならない』その原因だと思っている。今の時代に『娯楽性満点の日本の戦争映画を作る』と言ったら、色んな方向から石や矢が飛んでくるのだろう。
《戦前(=昭和初期)は暗黒時代》の様な、安直な国民的歴史認識は、某公共放送局を含めて思想的に偏ったメディアの責任であり、『国家の安全保障』と云う世界中どの国でも当たり前の認識を他国任せで有耶無耶にしてきた政治の責任でも有ろう。
「言霊思想」辺りから国民総出で学び直さない限り、先進国の輪からもいずれ外される未来と成るだろう。たかだか『戦争映画』一つで、国の未来も変わることにも気付かない《暢気な国家》で有り続ける限りは。 -
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懐かしいなぁ、松方さん…。
2024年10月読了。
本人へのインタビューと、今でも見られる過去の作品レビューで構成された一冊。インタビューでは、本人は『時代劇』への拘りを熱く語っていたが、後半の作品レビューはいわゆる『ヤクザもの』が多く、古い時代劇が正当に評価され後世に残されていない現実をまざまざと感じさせる。
何事も《ゼニ勘定》の時代になり、『儲からない作品は商品化しない』と云う日本の映画会社のだらし無さと、プライドの無さを思うと、亡くなる直前まで《時代劇を熱く語っていた》松方さん達に本当に申し訳無い気持ちに成る。
『あの頃は良かった…』と昔の作品を懐古することが決して《後ろ向き》な態度なのではないこと、むしろその中から《後世に文化的遺産として残すべき作品》が在るのを(当事者が)語る事の重要性に、映画会社は勿論、『映画はその国の歴史であり文化である』と考えれば、国家レベルで保存や修復、商品化までフォローする事が、後の世の人達の為にも大いに役立つと思うのだが…。
著者は『時代劇を語り継ぎ、風化させない』ことを至上命題としているが、現物(フィルム)が無ければ、後世の人には分からない。
折角、文化庁が京都へ移ったのなら《映画は単なる娯楽産業の一つ》《時代のあだ花》などではなく、『遺すべき国家的遺産』としてその保存等に力を入れて欲しいと心から思った。
補足:『真田幸村の謀略』は、「真田丸」で満足出来なかった人が仮に見ても「???」となるばかりの映画なので、(著者には失礼だが)正直お薦めしない。《当時(昔)の日本の時代劇》をある程度理解している人にしか、心響くものは無いと思う。最後の《ビックリ》も、『柳生一族…』同様、現代の若者には「オモチャ」にしか映らないだろうからだ。
全く個人的には《大好きな作品》なのだが、オジサン世代にしか分からないよねw。
それと松方さん晩年の『13人の刺客』は、監督の演出が下品で全くお薦めしない。白黒時代の旧作の方が余程出来が良い。 -
ネタバレ 購入済み
規格外≧破茶目茶…。
2024年7月読了。
かねてから気に成っていたのだが、長らく積ん読状態だった本。ふと思い立ち読み始めたら…、まぁ〜止まらない!!!『ヤマト』の話と成るとシャキッとしてしまうほど大好きな自分が、こんなに長い間放置していたことを後悔した。
西崎氏の《破滅的な》生き方は色んなメディアで見聞していたし、子供心にも「この出たがりなプロデューサー、胡散臭いなぁ…」と四十数年前から感じていたので、ある程度予想はしていたがここまで破茶目茶な人生だったとは。
しかし著者が何度も書いているように、あれだけのスケール感、そしてしっかりとした物語の世界観を持ったアニメーション作品は、やはり『ヤマト』以外には当時存在しなかったと心から思う。
最近作られたリメイク版の『2199』シリーズを観ていると、思想が《お花畑》と云うか、『平和』なら何でも良い(=誰からもクレームが来ない)と言うような《覚悟の無さ》を感じて寂しくなってしまったが、これも「アニメ村はどんどん縮こまっていっている」のか…と溜め息が出た。
「時代が違う」と言うのは簡単な言い訳だが、昔の『さらば…』に流れている《日本人なら絶対に響く精神的な核》の様なものを描く度量がドンドン小さくなり、「波動砲を封印する」なんていう馬鹿な物語に成ってしまうのだろう。
文中にも有ったが、勝新や三船、角川春樹…といった様な《規格外な創造者》が、将来の日本には現れないのかと思うと、一層寒々しい気分にさせられた。
さぁて昔の『さらば…』でも見よっと…!
補記:2024年10月。遂にアノ庵野秀明が『ヤマト』に手を出す(失礼)、全く新しい続編を作るとのニュースが流れた。『ゴジラ』は良かったが『ウルトラマン』『仮面ライダー』とハズし続けている庵野さん、今度はキッチリしたもの作ってね!それと現場で我儘言い過ぎないでねw!! -
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勝新と云う宇宙…。
2024年10月読了。
春日太一著『天才・勝新太郎』を読んだ後で、この本をずっと読み忘れていたことに気付き、慌てて読んだ。でも、春日さんの本も《本書の参考文献》に入っていたから、刊行順としては合っていたのだ。
読後の感想については、解説の吉田豪さんが簡潔且つ的を射ており、正にその通りと云う感じ。正直、12章以降とそれ以前で全く別の本かと思うぐらい、著者の熱量が違う。
資料は駆使しているものの、基本的に『映画』や『時代劇』への思い入れ度が、春日さん等と違い過ぎて、11章までは《週刊誌の特集記事》の域を超えていない。着眼点も《如何にも週刊誌が喜びそうな》興味本位(や俗っぽい逸話)等のエピソードが多く、事実確認が不正確な部分も散見されたが、
それでも《12章以降を読めただけで充分満足》な内容だった。勝新が某政治家の様に『半径○mの男』と呼ばれるに相応しい、愛すべき人物であったことが、文章から伝わってきた。それにしても《資金繰り》の一点だけで、まるで喜劇の様に何度も失敗を重ねる勝新は、笑ってしまう程《純粋》あり、そう云う人に限って「とびきり怪しい儲け話」に引っ掛かってしまうのも、哀しかった。
あと、付け加えるとしたら、やはり黒澤明との確執だ。こういう話はやはり《両方の言い分を聞かなくては、正確な事実は分からないものだな》と、つくづく可笑しく感じた。
アチラはアチラで同様に、資金繰りや製作プランで大きく躓いており、年の差は有っても『(相手に)素直になれない』要素があったのだろう(黒沢年雄のエピソードも可笑しかった)。
何にせよ、『日本の映画製作には、《資金調達》と云う点において、世界中のどの国よりも難しく、公的に援助するシステムが全く介在しないこと(=国によっては国家補助が出るところもある)』
『《ジャパニメーションがどうのと》口では何と言っても、わが国の政治家達は国家的な補助や予算を補助するシステム(例えばアメリカの金融融資方法等)を、何も考えていないこと』
『海外からも指摘される“アニメーション(実写も)の現場の超低賃金問題”について、《国の文化を守る》と云う観点を全く持ち合わせていない政府』…
こうした点からの“問題解決に向けた方策”が考えられなければ、日本の映画やアニメ業界はいずれ他国に取って奪われ、廃れていく一方であるのは昔も今も変わっていない。 -
仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版
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購入済み
購入済みここまで語らせるなんて…。
2024年10月読了。
毎回、読むのが楽しい春日先生の『徹底密着インタビュー』だ。仲代達矢さんは未だに現役なのが本当に素晴らしいし、嬉しかった。
そして彼の口から語られる往年の名監督,名役者,そして陽の当たることのない沢山の裏方の人達の物語は、本当に読んでいて止まらない楽しさだった。
この前に『天才・勝新太郎』を読んでいたので、彼との関係性や裏話も楽しく読ませてくれ、個人的に《憧れの》黒澤明と三船敏郎との話も聞けて、大満足。それにしても仲代さんのお元気さには脱帽。まだ『三屋清左衛門』が出来るんじゃないww?
日本映画の繁栄と衰退の歴史を知りたい人には必読の書。面白かった!!!
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あかんやつら 東映京都撮影所血風録
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購入済み
ネタバレ 購入済み熱き『カツドウ屋』達の物語。
2024年10月読了。
春日さんの著作は折に触れて読んでいるのだが、順番がめちゃくちゃなのか、どうもしっくり来ないので、既読感は有ったが本書を購入。
ところどころ「あれ、この話聞いたことあるな…。」と思いつつも、映画に命を懸けた人たちの物語は読んでいて飽きることが無い。
又、著者の春日さんが余り「大御所に阿ったり」「映画会社に気を遣い過ぎたり」せず、ズカズカと書いてくれるので、大物の情けないところや、一流と言われる役者の失敗談なども読めて、本当に飽きることを知らない楽しい読書時間を過ごせた気がする。
それに、文中に出て来る映画も「そこまで言われると観たくなっちゃうな…」と、古い映画であっても観たくなる気にさせてくれる、素晴らしい本だと思う。
2024年、今の娯楽業界は映画どころかテレビ(地上波)さえも廃れてしまい、BS,CS等のペイチャンネルが世界を席巻している。
娯楽業界はいつの時代も“栄枯盛衰”を繰り返しているのだなとつくづく思わせる現在、今の若い人達にも“ちょっと昔の映画でも観てほしいなぁ”と伝えたくなる『アカンけど熱い奴らの本』だった。「映画を愛する人」全てに読んでいただきたい良書である(但し『東映嫌い』を除くww)。 -
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天才 勝新太郎
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購入済み
ネタバレ 購入済み「99%の汗と1%の閃き」…。
2024年10月読了。
大好きな著者の本で有るのだが「刊行順に読みたい」と思っていても、いつの間にか自分の好きな本を手にとってしまい、この本を読むのがこんなに遅くなってしまった(他の本でも勝新について触れていたと云うのあるが)。
読後、心から泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、こんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人の記憶から忘れ去られていると云うことに。
本書内で書かれてはいなかったが、『影武者』の撮影時、黒澤がカットを掛けて「違うよ〜、勝っちゃん」と言うと、彼は「俺は今『武田信玄公』なんだよ、勝っちゃんじゃない!」と言い返したと云うエピソードを、昔聞いたことがある。私自身、『黒澤明ヲタク』を自認しているが、それでもあの作品は正直《駄作》と言わざるを得ない作品だと思う。しかし、万が一主演が勝新のままであれば、何らかの《化学反応》で、もっと面白い作品に成っていたかも知れない。こと映画の事となると≪まるで子供≫に戻ってしまう二人の天才の、些細な行き違いで、私達は『傑作』を一本見逃したのではないかとも感じる。
天才といえばもう一人、(昔々の)北野武が初めて勝新と会った時のことを嬉々として喋っていたのを思い出した。「オメェのところの弟子に『負古太郎』ってのが居るんだって?全く面白れぇ事を考え付くもんだな、アンタは。」と愉しそうに笑っていた、と。
黒澤との対談でも、面白可笑しく「自分だったらこんな『座頭市』を作って笑わせたい」とコントのようなネタ話を話し、黒澤も「僕みたいな人間は全然そっち(コメディ)の方は駄目だから、アナタがそう云うの作ってよ」と笑いながら話していた数十年後に、武が本当に作った時には驚いた。
例の事件後に、武が「アノ人には(罰として)公民権(=選挙権等)を剥奪した上で、映画だけは作っても良いよ、と云うような≪超法規的措置≫を国(政府)が考えてほしい。そうしないと、日本の映画文化にとって多大な損失を被る事に成る」と、真面目に話していた事もあった。
…と話が逸れたが、とにかく勝新の偉大さを日本の文化人はもっと称えるべきだし、『愛嬌のあるトラブルメーカーな役者』程度で片付けてほしくない。これが本心である。何があったにせよ、彼の作品はもっと広く公開されるべきだ。『めくら』と云う言葉だけで放送できない等と言うのは『茶番』以外の何物でもない。 -
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ネタバレ 購入済み
『疑心暗鬼を生ず』…。
2024年10月読了。
オンタイムで《あの事件》を見た世代として、定期的に『オウム本』は読むようにしている。『二度とあの様な事件を起こさせない気持ち』からである。
著者は昔から、なかなか読ませるノンフィクションを書く人なので、今回も久々に購入して読んだ。『國松長官狙撃事件』の犯人については、正直NHKで採り上げられた《一匹狼の御老人(既に故人)》だと、個人的には確信しているが、凡そ《オウムと云う組織》については、世界を股にかけて悪事を企んでいた為、未だに現在でも不穏な事態が進行しているのは知らなかった。
まぁ「○レフ」が又あの様なことをくり返すとは思えないが、今の二十代以下の人達はあの恐怖を知らないので、いつかまた新たに違う集団があの様な《狂気の沙汰》を起こすのでは…と考えると、より多くの人にも読んでいただきたいと思う。 -
ネタバレ 購入済み
これはちょっと…。
2024年10月読了。
「12講」と云うタイトルで、何だか大学の授業みたいだなと何気無く購入。
今、仏教書をよく読んでるので、その勢いで読み始めたのだが…、本書は初心者にはお奨め出来ない。
『仏教』と一言で言っても、「原始仏教」「大乗仏教」「上座部仏教」「日本で分派した○○宗」、、、と、釈迦入滅後比較的早い時期に書かれたお経から、全く釈迦と関係無い(=エッセンスを活かした創作)お経まで、本当に多岐に渡っているのが実態だ。
それを、全部一緒くた(バラバラ)に引用して語られる為、読んでいて「や,や,や」と積んのめる感じになってしまい、なかなか講義内容が入ってこなかった。
引用するお経(や宗派)を、ある程度時系列にするなどにしないと、『単語レベル』でゴチャ混ぜに使って説明されても、かえって頭に入らないと云う、「解説書」としては些か残念な結果でした。時代が変われば『言葉の意味合い』も微妙に変わってくるのでは……。 -
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『歎異抄』は難しい…と思う人に
2024年10月読了。
『原始仏教』『大乗仏教』と読んできて、ふと『歎異抄』の事が頭を過った。たまたま自分の
母方が浄土真宗なのだが、浄土真宗は…と云うか、『歎異抄』と云う読み物が何やら≪ヌルヌルして掴み辛い鰻≫の様で、若い頃から何度も解説書を読むのだが一向に『腹落ち』してくれないのだ。
こんな事を言うと信者の方からお叱りを受けそうだが、「ただひたすら『南無阿弥陀仏』と称えなさい」と言われても、それで『日々の暮らしの不安が明るくなる訳でも無し』、何と言うか≪やったぞ!!!≫感が起こらないのが、何とも腑に落ちなくて、さりとて坐禅やらお遍路三昧する様な気力も無く、我ながら「酷い凡夫だ…」と思いながら、いつも空しい空振り三振した気分で本を読み終えるのが常だった。
しかし、本書で初めて知って嬉しかったのは、親鸞の師である法然の時代から≪同様の言い争い≫が起きていた事を知ったことである。鎌倉時代初頭の時代でも『念仏するだけで良いのか』『もっと他に重要な何かしらの行(か真理のような物)が有るのでは…』と、取り沙汰されていた事を知り、「現代を生きる自分と何か(時空を超えて)繋がった思い」がしたのである。
勿論、それは「悪い方向への考え方」であり本書でも否定されてはいるが、いつの時代も考えることはそう変わらない事に、何だか嬉しさを感じたのは、本書を読んでの『収穫』であった。
父方は日蓮宗なので、そちらの勉強も怠ってはいないのだが、幸い私の両親は凡そ「宗教・信心」で喧嘩や言い争いなどしたことも無い、至ってよく有る(?)家庭だったので、五十路を過ぎた今、自分の行く末を考える為にも、仏教書を読む生活は続けたいと思っている。
…と、そのぐらいの理解度・信心の人が読むにはうってつけの書である事、大変読みやすい書であることは、断然保証する。ま、私の保証など意味は無いが…w。
それにしても「日本人の特性」に(日本の)仏教は他のどんな宗教よりも馴染みが良く、『国民性』にも浸透している事が、こうして雑読していても良く分かる。素晴らしいことだ。 -
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『大乗仏教』入門書として最適!
2024年10月読了。
佐々木先生の前著『100分de名著〜ブッダ・真理の言葉』を読んで、中村元先生の『原始仏教』の方へ行こうとしたのだが、「大乗仏教の総括が出来ていないじゃないか」と思い立ち、本書を購入。流石は著名な仏教学者、限られた文量の中で《大乗仏教と云う大きな教え》をスパスパッと気持ちよく捌いてくれ、私の様な凡愚の者でも「(大掴みだけど)分かったような気持ち」にさせてくれた事に、最大級の賛辞を送りたい。本当に勉強になりました。
前にも書いたが、呉智英先生がその著書で『似ても似つかない嘘八百だ…』くらいにケチョンケチョンに貶されていたので、「そうかも知れないけど、大乗仏教だってこれだけの歴史が有るのだし…」と云う一種寂しい思いをしていた為、本書の様に『全くの別物。でも、そう成ってきた事には理由も経緯もあり、又、それによって救われた人々が居る以上、≪擬い物扱い≫するのはおかしい』と言って頂けただけでも救われた気持ちになった。
前著もそうだが本書もあくまで『初心者の為にかい摘んで解説した本』である。これらを二読三読するのは勿論、今度こそ中村元先生や鈴木大拙先生の著書へと、頑張って読み進めなければと、怠惰な自分に言い聞かせる思いで読み終わった。
もう一点、文末に著者が『凡そ宗教者たる者が世俗の問題に軽々に口を出す』のはおかしいと書いていた点について、仏教だけと言わず、世界中の宗教が≪醜い争いや殺し合い≫等を肯定している筈は無いのに、現代において何故これほどの諍いや戦争が無くならないのか、世界の宗教者そして「その信者だ」と強く自分を恃む者たちが争いを止めないのか、『争いを止めよ』と誰も発信しないのか、今こそ≪宗教の力≫が必要な時は無いと、誰にとはなく腹立たしい思いで本を閉じた。 -
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大乗仏教を信仰する私達には…。
2024年10月読了。
先日まで禅宗(曹洞宗)の本を読んでいたが、いわゆる『大乗仏教』に関するものばかり自分は読んできたなぁと感じた。但しこの本(テキスト)の基であるテレビ番組は見ていたのだが、その後サッパリ綺麗に忘れているwことに気付き、本書を購入。
数年前に、呉智英先生の『つぎはぎ仏教入門』という本を読んで、頭を殴られたぐらいのショックを受け、「今まで信じてきた(大乗)仏教はまるで無意味なのか!?」と呆然とした記憶があった。
その後、『原始仏教』と呼ばれるものも、釈迦入滅後数百年を経てから作られたものと知り、又、上座部(=いわゆる小乗)仏教と在家信者との確執や、時間が経つにつれ変様していく教義や制度への反発等のややこしい歴史を経て『大乗仏教』が生まれたと云う経緯を知り、漠然と『採るルートは違うけど、目指すところは同じ』くらいの認識で、様々な書をあたっていたが、本書は入門編としては最適だった。
しかし読むにつれ、「こんなに違いが有るのかぁ…」と驚いたのは事実だ。特に『空』の思想の重さの違いなど、目からウロコだった。
これから、中村元先生の著作等を当たってみようと思う。それにしても『一切皆苦』とはなんという重い言葉だろう…。俗世に塗れ、そこら辺りで躓いている様な自分に、次の『四諦八正道』なんかへ辿り着けるのか、甚だ心許ない思いが残った。 -
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禅宗(曹洞宗)を学ぶには最適。
2024年10月読了。
長らく積ん読状態だった本の中から、今年の《余りにも異常な夏》に苦しめられた心から、『何か自分の心を落ち着かせるものを…』との思いで引っ張り出した。
日本史において「曹洞宗は只管打坐」「臨済宗は公案」と教育されてきた私からすれば、道元と云う人は『多くを語らず只管に座禅せよ』というイメージが強く、ここまで饒舌に(=懇切丁寧に)仏道について語っていた事 自体に驚いたし、又感動した。
そもそも私自身、臨済宗系の学校に通っていた事も有り、曹洞宗とは距離を感じていたが、有る御縁で、今は亡き佐藤俊明先生の著書と出会い、禅宗の奥深さに触れてはいた。だが中々『正法眼蔵』そのものにまでは手が伸びず、この《随聞記の解説本》である本書に辿り着いたと云う次第である。佐藤先生の著書は宗派に拘らず《広く禅のこころを伝えたい》と云う啓蒙書であったが、本書は『正法眼蔵』の解説書の解説書という趣きで、心を打たれることが多く、(戯れに言えば)鎌倉時代の偉いお坊さんから長〜い棒が伸びてきて、愚かな私の頭を叩いて戴いた気持ちになった。
禅宗は、大きな三宗(臨済宗,曹洞宗,黄檗宗)の下に、更に「○○寺派」が十数派も枝分かれしており、個人的にそれらが「宗派同士で仲違いしているのなら嫌だなぁ」と思っていたが、本書と、そして嘗て読んだ佐藤先生の書も同様に、宗派に囚われず又「自力」「他力」等に拘っているのは大変愚かなことで、全ては『仏力本願』なのだと喝破されていた事に、非常に強い感銘を受けた。
とは言え『公案等を弄り返すような事はせず、只管座禅を全ての大元』にする宗派(=曹洞宗)でも、学びの段階では公案は勿論のこと故事,説諭話を沢山学ぶ行程がある事に、矛盾と納得も感じたのは素直な気持ちである。
と、ここまで語っておいて、自身は実は日蓮宗なのだがww、仏道は広く融通無碍であり、やはり日本人には『大乗仏教』が一番こころに響くものがあると強く感じた。本書も二読,三読するに値する貴重な本である。又、現在絶版している佐藤俊明先生の書も、本書より更に初心者向けの好著なのだから、曹洞宗本部からの再版を強く希望する。 -
購入済み
会話の文書化は難しい…。
2024年9月読了。
今の時点で自民党総裁選は決まっていない。が、こんな調子で「自民党が財務省の言いなり」が続けば、日本は滅びると強く感じた。
石破さんは地方再生こそ力強いが、中央の財政はオンチだし、横須賀の二代目は「ペーパーが無いと碌な喋りも出来ない」と来ている…。
ソレがトップ2なんて、情けない話だ。
本書は、私自身がこの番組を見ていないので、その代わりにと思って読んだのだが、やはり《会話本》はどうしても『掘りが浅くなって』しまい、知りたい事の半分も情報を得られなかった。やはり活字媒体は、しっかりとしたデータや様々な人の意見も盛り込んで、一定の方向性を持って文書化しないと、ダラダラと喋っているのを聞いているだけの様に成ってしまう。
これは著者お二人の責任では無く、《対談》と云う形式を取る以上致し方の無いことではある。
『日本保守党』、来たるべき衆院選の時には、期待してまっせ!!! -
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今こそ『日本保守』の再生を!
2024年9月22日読了。(自民党総裁選前)
安倍元首相亡きいま、自民党の、いや日本の『保守』は破滅の危機に瀕しています。《リベラル》を気取る「ただの左翼やそのシンパ達」は小躍りして、自民党が矮小化していくのを見て喜んでいます。
目先の経済や賃金引上げなどばかりに目が囚われ、大局観、世界の中の日本と云うスタンスを、私たち国民も忘れているのではないでしょうか!?
いま世界は複数の地域で《戦争が続行され》、国の舵取り選びを間違えれば、世界はアッという間に《全体主義の国々》に蹂躙されてしまうのです。
そんな時に、わが国を正しく毅然とした姿勢で導いてくれる政治家は、ヘナチョコな自称リベラルの類では到底真っ当出来る筈が有りません。
理論ばかりで経済に疎いだけの、平気で(過去に)仲間を裏切ったような奴や、声だけが大きくてその中味はスッカスカの二世議員などに総裁の椅子に座らせたら、直ぐに国内外で軋轢を起こし、酷ければミサイルが飛んでくる事にも成りかねません。
今こそ真の『保守』を担って、世界とも充分に渡り合える政治家は、高市さんを置いて他には居ません。
この本を読めば、その事が痛い程分かります。日本の未来を暗澹たるものにしない為にも、高市さんの具体的な説明に耳を傾けて欲しいと思います。
ちなみに、私は党員でも何でも有りません。「こんなスゴい政治家が居たのか!!」と云う思いで、コレを書いています。
総裁選後、このレビューを悲しい思いで読み返すことの無いよう祈ります…。
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購入済み
長い!割には面白くない!!
2024年9月読了。
前から気になっていた作家さんだったので購入即読み。
小説家や出版業界をテーマにしたミステリーと云うのは、無さそうで質は結構多く、その中で比べれば「中の下」ぐらい…。
盗作疑惑、失踪した謎の作家、本人しか知らない様なことを知っている赤の他人……等、その類のミステリーではよく扱われるので、途中「ホラー方向へ向かうのかな」とも思わせたが、大体序盤に想像した通りの結末。
矢鱈と時制に拘り、『○○年○月○日△時△分…』の記述が多く、その度に「さっき書いてあったのは何年だっけ?」と一々前に戻ってチェックして読んだが、その年月日自体はそれほど『衝撃のトリック』に繋がると云う訳でも無く、その後シリーズ化して主人公と成るライターさんも、その前に出てくる編集者と同じ様に謎を辿ったりして、行動が重複する部分や中弛みする部分が多く、正直途中で読むのを止めようかと思った程、展開が遅過ぎる。
又、これだけの登場人物でケリの付く話なら、前半はほぼ《叙述トリック》に近い展開で、そういう話にしたいなら、尚の事、後から出てくる探偵役との対比をクッキリさせて方が良かったと思う。何だか、探偵役がひたすら「事件の進行に」くッついていくばかりで、推理の冴えもあまりハッキリしなかったのも弱い。
この手の《作中作》や出版業界、人の生死観をテーマとしたミステリでは、篠田節子さんの『聖域』がベストだと思っているので、興味のある方はお薦めしたい。読む者を《引き摺り込む》力に溢れており、これぐらいの《圧倒的な力》が欲しい。 -
『破軍の星』を読む前に。
北方《南北朝》シリーズは、今作から始まります。
「太平記」の時代、足利初期の頃の話と言えば、どうしても『関東〜鎌倉〜京都』の物語として取り上げられがちですが、奥州地方だけでなく九州地方でも《血みどろの時代》が有りました。
尊氏も一度は破れて、九州へ落ち延び、見事に反転攻勢を掛けて天下を取りました。
その後の《南北朝期》、南朝はしっかりと九州へも足場を構築し、熊本の菊池氏を従え、かなりの期間、足利に入らせない勢いが有ったのです。その初期から末期までを手に汗握る濃厚な物語が《北方調で》語られていきます。
何度読んでも、心が熱く滾る、涙無くしては読めない物語です。
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購入済み
もっと評価されて良い名作。
初版時に読みました。電子で再読しようと購入。
映画化もされています。宝塚を退団して間もない天海祐希さんが、一世一代の《エロス》に挑戦していて、原作同様、もっと評価されて良い名画でした。
著者の「日本の古い因習に囚われた地方社会」を描いているのですが、単純におどろおどろしい話を書くのでは無く、そこに現代的な視線を当てて書いているので、読んでいて単純に恐がると云うより『日本史の陰には、こういう因習が在ったのかぁ』と、勉強している様な気分にも成り、よくある「怖い話」よりも文学的な、歴史学的な香りがあります。
『死国』もそうですが、読後考えさせられるものが残ります。 -
ネタバレ 購入済み
最高です!!!
初版時に読んてるから、もう何十年(?)前になるのか…?
柴田よしきさんは本当に多種多彩な作品を書かれる方で、シリアスからこうしたSFまで幅の広い事でも有名な方ですよね。
どの作品でもテーマ性がしっかりしていて、本当に「読ませる」作品ばかりなのですが、このシリーズだけは、初めシリアスな感じで始まり『日本沈没』的なストーリーに成るのかと思いきや、天狗がノートPCを使いこなしたり、様々な生物や妖怪(?)か普通に人間と会話するなど、楽しい物語も混じってきて、著者自身も楽しそうに書いているのが想像出来て、本当に大好きな作品です。
『奇想天外な物語』と言ってしまえばそれまでですし、「ふざけ過ぎ」だと怒るような方にはオススメ出来ませんが、笑ったりハラハラしたりジーンとしたりと、サービス盛り沢山なお話が好きな方には打ってつけの小説です。
但し『宙都』シリーズまで進んでいく行くと、始めの頃から話が拡がり過ぎて、ちょっと冗漫に成って行ってしまっているのが残念。 -
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新田次郎の最高傑作。
イマドキの歴史小説家さんは、結構大胆にキャラ設定して、割と自由に立ち回るじゃないですか?
でも、新田次郎が書いていた頃は、実在する歴史上の人物を主人公とする時、歴史文献や史実の確認をしっかりと踏まえた上で書かないと、『キワモノ小説』扱いされるし、地元住民から怒られる様な時代だったんですよ。多少の贔屓目は有りとしてもね。
そういう意味で、重厚且つじっくりと話が進みますので、気の短い方には不向きかもしれません。でも、それを乗り越えて読み進めていくと、信じられないほどの一体感と云うか《同じ場所にあたかも自分がいる様な》錯覚すら受ける瞬間がやってきます。その時の感動と言ったら…!!
そういう時に「読書の至福」が味わえるのだと思います。
当然、この作品が書かれた時点での歴史資料ですから、ここ最近の新しく発見された資料等は、当然のことながら反映されていません。だからと言って、この作品の価値が下がってしまう訳では有りません。《武田好き》の人間の心を掴んで離さないだけの魅力が、此処には描かれています。“武田信玄と云う人物”に興味を持った人には必ず読んでほしい作品です。
又、続編にあたる『武田勝頼』(全3巻)も有りますので、お好きな方は是非チャレンジして下さい。《悲しい結果》と分かっていても、心に迫るものが有ります。
「贔屓目」と云う言葉で思い出すのが、海音寺潮五郎の『天と地と』です。アチラは上杉謙信か主役で、信玄は《欲望深き人物》として(何しろ仇敵ですからw)描かれています。
その為、二人の歴史的評価はこの2作の《互いの敵の評価》ぐらいで丁度良い、と出版当時は言われていたそうです。言い得て妙かもしれません…。アッチはちゃんと読んでないけどww。
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未完の大作。
池波正太郎と云う作家は、『真田太平記』のような歴史小説より、本作のような時代小説の方が面白い、といった評価がよく聞かれます。確かに『鬼平犯科帳』『仕掛人梅安』も有りますから、そういう意味では当たっていると思います。
しかし自分は「歴史小説」から入ったクチなので、池波正太郎の作品に触れたのは遅い方でした。『真田太平記』がドラマ化されていなかったら、もしかして未だに一作も読んでいなかったかもしれない。
何せ、中学時代に司馬遼太郎『竜馬がゆく』『燃えよ剣』から日本史にドドーンと目覚めたものですから、ソレ等と「小兵衛さんの話」では、まるで正反対ですもんね…ww。
そんな訳で、大分回り道をして本作と出会いました。もう大学生ぐらいの頃かな。飄々としたキャラクターが出て来て、のどかな小説かと思わせておきながら、突然ズバっと血しぶきが飛ぶ、この鮮やかな斬り口の物語にすっかり魅了されてしまいました。その後は『鬼平』ですから、『真田…』を読んでから二十年近い歳月が掛かりました。
池波正太郎の『映像的な描写表現』『人の心が一番のミステリ』と言った《オトナの楽しみ》を知ってからは「時代小説」の虜に成りました。
思い切って電子書籍でまとめ買いしたのも、一々本を探さずとも出先でヒョイとスマホで読めるから。本当に便利ですね、電子書籍は…ww。 -
ネタバレ 購入済み
「帯に短し襷に長し?」
2024年9月読了。
本書が本屋大賞(時代小説部門)受賞作と聞き、ふと手にした。著者は『宇喜多の…』シリーズで知っていたのだが、本当にコレで受賞したのかと首を傾げるレベルで、非常に残念な出来だった。
以下、マズいと思った点を挙げると…、
この作品の褒め言葉で「どんでん返しのミステリー…」とか「山田風太郎ぱりの…」等の惹句が書かれているが、そういう要素はほぼ無いと断言できる。
「犯人探し」と言っても、宮本武蔵が行き当たりばったりに犯人を探して右往左往するだけ。特別にアッと言わせる要素も無し。
それから《山田風太郎ばりの…》と言うには、『呪いの仕組み』の辺りの設定がチャチ過ぎる。又それを、作中で著者自身が「呪とは、所詮は人間自身が引き起こすものであって、呪い単独では成立しない」と文中で書いてしまっている為、元も子も無い結果に…。散々、多くの人々を惑わせる本作の『妖刀村正』とやらも、迫力も妖気も感じさせない刀で面白味が無かった。
そして、宮本武蔵が心身共に「軽過ぎる」と云うか、チョイチョイ騙されたり、手傷を負ったりと、わざわざ彼を主役に持ってくる意義を感じなかった。武蔵を主人公とした小説は沢山有るが、こんなに「普通の剣術使い」で面白味の無い主人公も珍しかった。
それと、大坂の陣の描写が、武将(大名)レベルの動きと、足軽以下の下々の醜悪な殺し合いの書き分けの構成がゴチャゴチャしていて、読んでいて不快なことこの上無かった。
ついでに、この時代ならお約束の歴史上の人物もチラホラ出て来るが、全く見せ場無しで残念。
以上、悪口ばかり書いたが、実力のある著者への期待度の高さ故と思っていて頂きたい。
ここ数年「今で散々書かれてきて、もう書く事無いだろ」とまで言われた《戦国時代》を舞台にした作品でも『黒牢城』『塞王の盾』『八本目の槍』『チャンバラ』等の優れた小説が席巻している。本作ぐらいのレベルでは太刀打ち出来ないモノがどんどん出版されている。著者の今後の御健闘を祈る。
それにしてもつくづく思うのは、この時代の《戦国武将》って、家族筋,親族筋,公家衆,寺社関係,家来衆(+家族),その他領土拡大に伴って関係してくる敵.味方,その上下剋上で成り上がって来る奴まで考えると、一人の武将がその全ての顔と名前と因果因縁まで、憶え切れてたのかな?って、ちょっと気の毒に成るね…。現代の政治家より過酷なんじゃない -
ネタバレ 購入済み
イスラム教の功罪とは…?
2024年8月読了。
著者は、と云うより《著者の御意見》は色んな所で拝聴しているので、読むのが遅くなってしまった。
それにしても、つくづく日本のパヨク系と云うのは……、溜め息しか出て来ない。
自分の国の政治や憲法もそうだが《いい子の考え=恒久的な平和》と、この長〜い戦後80年程で様々な《洗脳》によって擦り込まれてきたモノがそうさせるのだろうか?!
日本の左翼、若しくは左翼メディアと呼ばれる人達は、ある程度の『覚悟』と云うか信念を持って「左翼的言動」をやっているが(それはそれでどうかとは思うけど)、そういう人達の怪しい言説を丸呑みして信じ込んでしまう、『パヨク化』している人間の多いこと……。
こういう人種が増えるから、先日の長崎市の8/9に、「イスラエルは出席断るけど、パレスチナは呼ぶ」なんて馬鹿な事をやらかす《お花畑》な対応で、世界中から嘲笑されている事にも気付けないんだよ!
イスラエルは立派な「国家」だけど、パレスチナはそもそも「国家」じゃないんだよ!その人達を呼んで良いなら、世界○○教会とか元△△△真理教の人達だって呼んでも構わないって理屈なんだよ!そんな馬鹿な対応しておいて、長崎市は『特に政治的な意図は無い』なんて寝惚けた事を言っていて、それを平然と報道するメディア…。
この絶望的な気分は、首相が誰に成っても、野党が変な野合を繰り返しておかしな事をやらかしても、消えないんだろうなぁ……。
飯山さん、政治の世界に乗り込むのは大変だろうけど、変な勢力に呑み込まれず頑張ってくださいね!
追伸:この本の中に登場する『イスラムに詳しい専門家を称する極めて危険な思想を持つ(左翼)活動者』の方々の名前を検索して《お顔を拝見しよう》とすると、大概あの○日新聞が絡んだ画像ばかり出てきます。やっぱり飯山さんの言う通り、『左翼』って恐ろしい程分かり易く《集団化して異端者を葬る》事に長けているんですね…。これからは『中東問題』『イスラム教』に詳しい《専門家》は、疑って話を聞くようにしようと強く思いました。皆、虫も殺さぬ様な顔をして、図々しい…! -
日本『保守』再生の為には必読。
2024年7月読了。
個人的に「ずっと好きだった政治家」の一人であったので、新聞掲載後書籍化されると聞いて購入。
やはり、この人の誠実な人柄には敵う理由もなく、ただただ頭の下がる言葉に《汗顔平伏》の体で読み終えた。
『徳は孤ならず』『誠は天の道、これを誠にするは人の道』等の言葉も、心うたれる想いで響いた。
又、自分自身のしてきた事も『失われた○十年』で片付けられてしまうのか…と考えると、ハッとする思いがした。
自転車事故の件が有ったとは言え、日本の政治家には珍しく《誰に対しても誠実であり、恬淡として、その地位に恋々としなかった出処進退》が、政界を去っても尚、往時の官僚や政治家の訪問が絶えない現在の氏の様子でもよく分かる。
こういう政治家が、これからの日本にも現れてくれれば、まだこの国の将来は《絶望》せずに済むのに…、と祈るような思いで本を閉じた。
日本の『保守』再生の道を考える上でも、貴重な書であると思った。
「政治家」の悪口を言うのは簡単なことだが、「公(国の政治)を担う事」の難しさや重要性を語る時、それを茶化したり揶揄するのは「卑怯であり逃げ」でしかないだろう。《引退した政治家の回顧録》等と安易なレッテルを貼って退ける様な輩で無ければ、より多くの人々に一読を推奨する。 -
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通常ドラマ回、一本分…。
2024年6月読了。
性懲りも無くまた東映が作った『帰ってきたあぶない刑事』を観て、こんな本が有るのかと知り購入。
柏原さんは実際のドラマでも結構書いてた方なので期待していたが、、、正直言って『う〜ん、通常回のドラマの台本ってこんな程度だったのか…』と云うやや粗っぽい出来。
これぐらいなら、恭サマもアドリブの演り甲斐が有ったんだろうなぁ…と、(悪い方で)逆に腑に落ちてしまった。
この話は、通常回で『近藤〜、出て来い!!!』って過去に恨みの有る犯人が港署まで押し掛けてくる回の話と展開はそう変わらなくて、《殺し屋》も劇場版1作目の菅田俊さんと殆ど変わらない設定…。(そしてトオルのシーンはスベリっぱなし…。)
実際も、このぐらい《粗め》の台本にしておいて、「後は現場で好きに調理してください」って感じだったのかな…。主役の二人を初めとして、殆どの人物が《均等に》書かれていて、演出陣の「お好み」でシーン毎に「誰か」を膨らます製作システムだったのかな…と考えると、《使われなかった台本》を読ませてもらった気分―。ま、こんなもんなんだね。
新作映画の感想は「ここで書くこと」じゃないから割愛するけど、ちょっとだけ言えるとすれば『恭サマが(インタビュー等で)仰有っている程、《新しく》は感じなかったし、今回の興収次第で《もし次を…》と考えてる東映やセントラル…の方々が居るのなら、もう38年間の《推し》も降りよう』と思いました。今度こそ、コレで最後にしといてくださいね…。
いつまでも『古い金看板』にしがみついてちゃダメです。若い製作陣も《オリジナルのスゴい作品》を作って、私達を喜ばせて欲しいです。
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ネタバレ
スゴい!!としか言い様が無い!
2024年5月読了。
38年を誇る《推し》である『あぶない刑事』の、ドラマ立ち上げ時からのキャスト・スタッフへのインタビュー本とあり、速攻で購入。
まぁこの手のインタビュー本と言えば、キャストとスタッフと言っても、精々監督,脚本,プロデューサー辺りまでが相場かと思うが、この本はそんな次元じゃない!
カメラマン,美術さん,編集さん,メイクさん……、何と総勢50人!!!
それもズーッと『あぶ刑事』一筋の人じゃない方々にまで聞いてますから、聞かれた側が「三十ウン年前に、2,3回担当したぐらいで…」と逃げを打とうとしても、その場で『あなたの担当回はコレですね?』とばかりにPC(か何か)から映像を見させて、半ば強制的に《記憶を呼び起こさせる》と云う鬼の様なインタビューっぷりにww、皆さん「あぁそう言えばこの時……」と、スゴ〜くマニアックな記憶を呼び起こしたりして、三十数年来の《推し》としては『本当に有難うございます!!!』と最敬礼したくなる内容。
軽い辞書ぐらいの分厚さですが、日本の映画界を牽引してきた様々な熱い心を持つ人々の貴重な記録でもあり、《同好の士》の方々には是非ともお奨めしたい貴重品です。
それにしてもつくづく思うのは、日本の映画界(テレビ界も含めて)の裾野の狭さ、と云うか《深刻な担い手不足》に、暗澹たる気分になります。
ちなみに、今回の劇場版『帰ってきたあぶない刑事』とは直接関係無い話も多いので、今さくで初めて『あぶ刑事』の世界に触れたような方には、ちょっと敷居が高いかと。
春日太一さんもそうですが、こうやって《日本の映画界の
灯を絶やすまい》と努力されている方には、本当に感謝の言葉しか有りません。
本当に読めて幸せでした!!! -
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33年振りの…。
大学生の頃には、何度も読み返して、NHKでドラマ化された時には『鮫島は舘さんじゃない!!』って怒ったり、この小説が切っ掛けで《新宿御苑》が大好きに成ったり、想い出深い作品です。
鮫島と云う刑事(警部)は《恐れ知らずの一匹狼》かの様に思われがちですが、決して強面のタフガイだからではなく、強い使命感と正義感を持った《信念の刑事》なんです。
だから、台湾の“海兵隊”上がりの殺し屋や刑事には敵わなくても《信念》の部分で共鳴しあえる。そして皆、互いの信念を貫き通す為にぶつかり合うんです。台湾マフィアが傍若無人に新宿中を暴れ回るストーリーですが、彼がそこに立ちはだかる事によって、事件は解決します。
哀しい物語ではあるけれど、新宿という土地の物語でもあるんですよね、『新宿鮫』の魅力は。
今作と『無間人形』は群を抜いて素晴らしい作品です。 -
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青春の想い出…。
2024年3月読了。33年振りの再読。
正直1作目はそんなに好きじゃなかったのでw、こんなに間が空いたけど、これだけの時間が過ぎたのだなぁと云う感慨に包まれ、そして自分も大好きだった新宿歌舞伎町が目の前に広がって、何とも言えない気持ちで読み終えた。
携帯電話はデッカくて、公衆電話はまだまだ何処にでもた〜くさん有った時代、留守電は着信時刻が分からなかった時代w、そして何より《歌舞伎町はヤバいけど、と〜っても刺激に満ちていた時代》だったなぁと、読んでいて泣きそうになった。
まだまだ生意気な大学生が、噴水広場で歌ったり騒いだり。たまに本職の方々が通る時はス〜っと除けてたあの頃。渋谷や池袋なんか目じゃない、最高の《解放区》でした。
でも、その事を教えてくれたのも本書が有ってこその話。2作目の『毒猿』を読んだ時も直ぐに《新宿御苑》へ彼女を連れて行ったなぁ…。
…と、個人的な感傷に耽ってしまってすみません。でも、《新宿の熱さ》を憶えている(知っている)人には是非とも初めから読んでいただきたい、日本のハードボイルド警察小説の逸品です。
最近は刊行もめっきりスローペースにも成り、「鮫島と云う男が主人公でなければ成立しないストーリー」からは、離れていっている気がします。
大沢先生、そろそろ店仕舞いしても良いですよw! -
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常に走り続ける『発想』に脱帽。
2024年3月読了。
もう何年振りだろう…、『新宿鮫』の刊行ペースが遅くなってきた頃から徐々に遠ざかっていて(待ってる方もイライラするんですよw!)、本当に久方振りの大沢作品でした。
相変わらず《常に新しいトレンドや先端技術、犯罪傾向》等を採り入れていて、読む度に感心していたのですが、まだまだその力は衰えていない様で、本作と次の『爆身』を一晩で一気読みしちゃいました。
《有り得ない》事を『有り得るかも…』と思わせるこの筆力!!! 『鮫』に酔い痴れていた頃と全く変わらなくて本当に楽しいひと時を過ごせました。
ただ、このシリーズは独特の《軽やかさ》が有って、その点では読後の印象はちょっと薄いかな…。でも、これどけのサービス精神で何十年と書き続けている大沢センセイには頭が下がります。
肝心の『鮫』の方も、宜しくお願いしますね!! -
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この「語り口の巧さ」よ…。
2024年2月読了。
もうず〜っと前から存じ上げていましたし、凄まじい多作でも有名な著者の作品。本書も2時間ドラマでも観たような話…。
ちょっとした切っ掛けで読み始めたのですが、気軽にちょっと手を伸ばして読み始めたらグイグイと惹き込まれ…数時間で読了。この「語り口の巧さ」には、ほとほと脱帽しました。
『多作と言えど必ずしも不作ならず』と自身で意志表明し、「そんな事を言ったってどうせ…」と鼻で笑っていたのが私の学生時代の頃ですから、もうかれこれ30年近く昔の話…。
久しぶりに読んで、本当に著者の《圧倒的な筆力》に参りました。こんなに爽やかな読後感は久し振りかも。
こんなに沢山の著作で、今だにこれだけのレベルの小説を量産出来る作家は、国内ミステリ界でも相双居ないと思います。
最近は、しっかりした構成の「推理小説」といわゆる 「ラノベ」の類の境界線が崩れてきていますが、同じ土俵で書くのなら、著者のような『読者を引き摺り込む巧さ』を、若い作家の方々にはしっかり学んでほしいと切に願います。出版社の方々も、もっと厳しく育てて欲しいですね。
とにかくひたすら『堪能』しました。これからも良い作品を書いていって欲しいと思いました。感謝です。 -
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Critical Hit!!!
2024年2月読了。
少し前に映画化されており、世間を賑わすヒットでは無かったが、観た人の「これはスゴい!」と云う感想を聞いて、興味を持って読んだ。
感想としては「法律をど真ん中の基軸に置いた、スピード感の有る優れたミステリ」だと思った。法律を扱ったミステリ自体は多いが、(著者の意図かは不明だが)感情的な人間関係の展開や、ゲームの様な無茶苦茶なプロットの物が多く、正直あまり素直に面白いと思える作品は、多いとは言えない。
何十年か昔に、海外の法廷ミステリが大流行した事も有ったが、どうしても『陪審員制度』を意識したアッと言わせようとする展開が多く『そんな(大事な)証拠や事実を、誰もその時点まで気付かない訳が無いやろ〜』と思ってしまい、あんまり嵌まらなかった。
その点で本作は、上記の色々なツッコミにも耐え得る優れたプロットのミステリだと思う。こういう小説に『人間が描けている、いない』のレベルのケチを付ける人は、単なる《意地悪》でしか無いだろう。小説全体に漲るスピード感と過不足の無い法律説明は、著者の強い《武器》にも成っている。これは例え本職の人もだからといって簡単に出来ることでは無い。現に、昔々本職でミステリ作家を名乗っていた或る《大御所》は『結局、断崖絶壁で決着付ける』様な作品ばかりを書き、2時間ドラマ等で著作権料を稼ぐ様に成ったら、かなりのゴーストライターを囲っていた事でしか有名に成らなかったものだ。
ただ、敢えて《意地悪》を言わせて貰えるのなら、主役とヒロインの二人だけでも、もう少し人物、性格の描写を入れてあげられれば、言う事無しの大傑作に成れたかもしれないと思う。この辺りは、今後も作品を書いていくことで《筆力》として付いてくるとは思うが…。 -
ネタバレ
2024年2月読了。
著者は「映画評論家」として以前から知っていたが、《JFK問題の専門家》と云う顔をお持ちだと云うのは、本書が刊行されるまで全く存じ上げなかった。
いわゆる「ネタバレ」もしたくないし、著者個人を〝非難する意図なども全く無い事〟を先に強調した上で、個人的な読後の感想を書かせていただく。
先ず、本書はタイトルからも分かる通り「JFK暗殺事件から60年が経過し、様々な資料が徐々に明らかにされる中、決定打とも云うべき資料・証言等が明るみに出て、それ等に基づいて書かれた真相」を記した本の〝筈〟である。
ところが、一番核心の《今まで取り沙汰されてきた、数々の謎》については、「元CIA職員だった者が証言した『ヒストリー.チャンネル』と云うペイチャンネル番組で全て明らかに成り、今迄の謎は全て解けた」と、いきなり序盤で言い切ってしまう。
それも、諸々の権利関係が有るとは言え、具体的な証拠や説明は全て「読者もその番組を見ていただければ全ての謎は解ける」と繰り返し書かれるだけで、一体〝何の謎が具体的に立証されたのかが全く分からない〟のである。
そこから先は、1940年代のFDR時代のアメリカ政府が、いかにソ連のスパイやエージェント等に侵食されていたかと云う事、その後の朝鮮戦争で「共産主義の恐ろしさ」を思い知った政府が、180度態度を変えて「冷戦」へと繋がったこと等が、その当時の映画と共に語られていく。
しかし、この本の読者は〝JFK暗殺の謎の核心〟が知りたくて購入なり借りるなりして読んでいるのだ。「『ヒストリー.チャンネル』を観てもらえば全部分かる」のなら、本書の刊行の意味は一体奈辺に有ると云うのか。
名のある映画評論家である著者が、個人的理由で今までに出会った「関連する映画」や、近年の世界的危機に関して共産主義は《ソ連・キューバ⇒ロシア・中国》に変わっただけで依然として〝世界的脅威である〟話を、映画等と絡めてお話ししているのを拝聴するのに、この対価及び内容では全く釣り合っているとは思えない。
なまじ自分と基本思想が似ている為に「そんな事ぁわざわざ言われなくても知ってるよ。それより肝心の〝謎の話〟を聞かせておくれよ」と言うのが、読後の率直な感想である。
ちなみに本書を読んで「わざわざ『ヒストリー.チャンネル』に加入して見てみよう」とは金輪際思わなかった事だけ、最後に附言する。
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