【感想・ネタバレ】塞王の楯のレビュー

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Posted by ブクログ

自分にとって初の今村省吾さんの作品。
最近神保町に新しいスタイルの書店をオープンされたニュースを見て、執筆活動以外にも別に本に関する事業にも積極的に展開されている事を知った。
まだ30代と若いのにそういった販売、流通の活動にも視先が届くとは素晴らしい感性の持ち主であろう。その行動力に凄く好感を持っている。
今村さんの作品は色々と読んでみたいと思わされる作品が多く、まずはこちらの直木賞受賞作品から読んでみた。

舞台は戦国時代末期の近江国(滋賀県)、大津城。天下分け目の関ヶ原の戦いの一部になるのであろうか。
物語は石工職人と鉄砲職人とのプライドの攻防戦。凄い臨場感と緊張感で終盤の物語は圧巻。

以前フジテレビで「ほこ×たて」という番組があったが、ズバリこの作品のことではないか。非常に面白かった。
この作品が直木賞作品だと思わされるのが、混沌とした時代だからこそ石工も鍛冶屋も両者が平和の世を目指し腕を磨いているところ。
太平の世を自分達の腕と技術で平定するという理念、ここがプライドのぶつかり合いになり凄く面白い。
簡単にライバルという言葉では足らない、己らの意地と命と精神と使命の攻防戦がお見事だった。

この作品を読んで、現代社会にも通ずる話だと感じた。
その卓越した伝統技術を弟子にしっかりと受け継がせ、独り立ちさせている塞王。素晴らしいリーダーだ。
自分も飲食店の店主、部下は何人もいるのに教えきれているのか?導いているのだろうか?
なんとも言えないとしか言いようがない。

そしてプライドの部分。ここまでのプライド持って仕事に取り組んでいないなと反省。今からまた気持ちだけでも前進していこうと決意を固めさせてもらった。

最高だった。
今後、何作か続けて今村さんの作品を読んでみたい。

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2024年05月18日

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最高。城の石垣の話、大名の話、そしてストーリー、その全てが。この作品のお陰でまた歴史小説が大好きになりました。

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2024年05月11日

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歴史小説は武士が主役であることが多いが、これは戦国時代を陰で支えたとも言える石垣積み職人の物語。直接刀で戦わなくとも、おのれの信念のために石垣に命を懸けた男の生き様に引き込まれた。
師匠や同僚、ライバル、そして大名など登場する人物がそれぞれ個性的でありながらも人間味があり、素晴らしく魅力的に描かれている。
戦国時代と一括りに言っても、それぞれの身分や立場で正義があり、果たすべき役割や仕事があり、プロフェッショナルとしての自覚・誇りがあり。皆が平和で楽しく暮らせる世の中にするために、争いが生じ、戦わねばならないという、まさに矛盾。
物語としても文句なく面白いだけでなく、現代社会にも通ずる様々な考え方のヒントも与えてくれるような素晴らしい作品。必読の一冊。

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2024年05月06日

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物語は圧倒的な力によって蹂躙される民の様子から始まり、戦国の世へと引き込まれてゆく。
特化した分野において人並み外れた才能を持つ二人が、奇しくも真逆のアプローチを以て泰平の世を目指す。互いの信念は導かれるように天下分け目の戦でぶつかり合い試されることになる。手に汗握る攻防の行方は、そして二人の思いは
結末まで飽きることなく楽しく読める作品。歴史小説にハマっていた頃を思い出した。

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2024年04月30日

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お城の石垣職人である穴太衆と鉄砲職人の国友衆の戦い。
どちらも目指すわ泰平の世。
皆が鉄砲を持つ事で平和を目指す国友衆は今のアメリカとも重なって見えた。
この小説で、お城に対する見方も変わった気がする。
大河ドラマ以上の深い大河ドラマのようで楽しすぎた。
また、この著者の本を読んでみたいと思います。

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2024年04月26日

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塞翁の盾

人が紙に残した歴史には書いた者の思惑が介在するが、土は、石は、大地は何も隠さずに事実を告げてくれる。

決死の100人だけならば如何なる恐怖にも耐えれるかもしれない。

たがそこに100人の心弱い者が加われば、瞬く間に恐怖は伝播して200人が慄くようになる。

人は誰かを傷つけた手で、別の誰かを守ろうとする。

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2024年03月27日

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時代小説なのだけど少年漫画を読んでいるみたいだった。成し遂げたい夢、仲間、ライバルが揃い、絶対に諦めない。みんなが活き活きとした、気持ちの良い小説だった。

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2024年03月13日

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ネタバレ

最近読んだ小説の中では群を抜いてよかった。
史実に即しながらも、大胆な表現で、ページを捲る手が止まらなかった。
特に「何と言おうが破られないものが最上(の美しさ)、人の命を守るものが醜いはずがない」「だがそれが難しい。人が造ったものは人の手で必ず崩せる」という所に自身の仕事にも似た所があり、モノづくり、特に人の命に関わるモノ作りの本質をよく捉えているなと思った。
また、「人の技は連綿と受け継がれていき、それが時に自らの命を縮めることになろうとも、研鑽の道を歩むことを止めない。それは人が技を生んでいるのではなく、技という得体の知れないものが自らを世に出すために人に憑依して操っているようだ」というのもすごく納得できるカッコ良い表現だった。

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2024年03月03日

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ネタバレ

矛盾の頂上決戦。源斎が死んでしまったのは悲しいけれど、匡介がその意志を引き継ぎ、懸を発令するのは胸アツ展開だった。
匡介は彼にできる最大の方法で王を守っている。

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2024年03月01日

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関ケ原の戦いの小説なのに、スポーツアニメを見ているようなわくわく感と没入感に浸りました。今、油がのりきっている作者の面目躍如でした。ライバル2人によるまさかの続編が出ませんかね?

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2024年02月24日

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「じんかん」の読後、また今村翔吾の作品を読んでみたいと思っていた。
じんかんの読後、歴史に少し興味ありみたいな空気感を出した私やったけど、やはりそこから変化は無い私。

またもや、もっと歴史を知っていたらもっと楽しめたであろう、塞王の楯。

が、しかし無知も無知な私でも楽しめた!石垣を積む男が主人公。それに対峙するのが鉄砲を作る男。矛と楯。

匡介が大津城を守る為京極高次に呼ばれる。
高次がまた魅力ある描かれ方。その周りの人もまた良し。あまりにも愛のある人たちなので、この人達が死ぬなんて絶対無いやろ!!と無知過ぎるが故に、後半は勝手に盛り上がり勝手に太鼓判を押し読み進める事が出来た。

戦。絶対良くはない!  
でも、いろんな思いがあって色んな考えがあってこれが最善と決断してお互いがぶつかり合っている。

でもやっぱり戦は良くない。

匡介たちは戦を終わらせたくて腕に磨きを掛けてきた。


高次も魅力的やった!
なので、、歴史勉強すっか?!私!
とテンションは上がっていますが、早朝出勤に備え就寝準備に、、、

さて歴史ブームは来てくれるでしょうか、、
2024の私、さあどう出る!?(笑)


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2024年01月25日

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矛盾ー絶対に敵を斃す武器と絶対に敵を防ぐ楯が相対するとどうなるのか。時は関ヶ原の戦い直前に「大津城の戦い」と呼ばれる攻城戦があった。

都に近く人々が行き交う近江国には、様々な技能を持つ集団がいた。一つは穴太衆、石積みの職能で全国の城郭の石垣を積むことで絶対に破れない城を目指す。その頂点に君臨する達人は「塞王」と呼ばれる。

もう一つは鉄砲鍛冶の集団で圧倒的な性能を持つ火縄銃をつくる国友衆で、このライバルが戦国期には切磋琢磨してきたのだ。ある時は琵琶湖水面の上に水堀を張り巡らし、ある時は雨天でも連射できる火縄銃を繰り出し、双方の攻防戦はやがて天下分け目の戦いに影響を与えていく。

戦国時代と言えば武士が主役のものが大半だが、いわゆる百姓の中でも特殊技能に属する集団が実は戦いの趨勢に影響を与えたというのは面白い。実際に大津城の天守が移築された彦根城では、天秤櫓の左右で野面積みと打込み接の両方が見られる。

直木賞受賞作品

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2024年01月16日

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石垣を組むことを生業とする職人たち穴太衆を率いる頭の匡介と鉄砲作りを生業とする彦九郎の技と技のぶつかり合いが戦を通して繰り広げられ、武士による戦話とは違った趣の小説だった。
望むのはどちらも泰平の世なのに戦により対決する矛と盾、その攻防がヒリヒリする。圧巻の戦国小説。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

魅力的な登場人物とストーリー展開に、ページを捲る手が止まらず、寝不足になってしまった。胸の熱くなる一冊。
人を率いるということがどういうことか、成し遂げる人とそうでない人の差は何なのか、いろんなことを考えさせられた。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

圧巻の時代小説。めちゃくちゃ面白い!
お城を見るたび、昔の人はこんな城壁を重機も使わずにどうやって積み上げていたんだろう?
そんなことを思ったものです。
石工職人の技術とプライドが余す所なく書き綴られた戦国時代小説です。

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2024年01月06日

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まるで実際に戦場となった大津城における石積みをその場で経験してきたかのように書かれており、臨場感たっぷりです。
攻める側と守る側の視点が交互に入れ代わるので、今どういう状況で何をしようとしているのかがわかりやすいです。
なにより次の展開が気になります。
攻め手が策をめぐらし城を落とそうとする。
対して守り手側はどう対抗していくのか。
石工と鉄砲職人の攻防はかなり面白かったです。
また当時の石工や鉄砲など職人の生き様を大量の資料を読み込んで執筆されているのがわかり、大変感銘を受けました。
この一冊に読書の楽しみがつまってましたね!

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

塞王の生き方、弟子に託する思いに完動した。人は誰かを傷付けた手で別の誰かを守ろうとする。とても共感した一節だ。

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2023年12月16日

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なかなかこれは面白かった。名のある武将の歴史物語ではなく、そこに関わる一人の人生の生き様がドラマチックに描かれている。登場人物の構図もとてもよく、小説全体を盛り上げている。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

穴太衆 国友衆 どちらも戦いを終わらせたい想いは同じ。なんのための戦なのか 振り回されるのはいつの世も権力の下にいる人々。

極限状態に追い込まれて 技術や新たな力が生まれたりするのかな なんともやるせない気がする一方で、穴太衆を本気で心配したり 応援して ハラハラドキドキでした。
-京極宰相の戦いぶり、真に見後なり。
一命を許される。ここが良かった。
この本に出逢えて またひとつ視点が増えました。
ありがとうございます。

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2023年12月23日

Posted by ブクログ

最強の盾を誇る穴太衆(石垣造)と、最強の槍を誇る国友衆(鉄砲)の職人の意地とプライドを賭けた因縁の対決。
戦国時代の中で武士ではなく技能集団に着目して歴史の流れを魅せる手腕は極上。
文句なし、おもしろかった。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

石を積み続け、城、民、高次を守る穴太衆、かっこよかったー。
戦国時代ものは、名前が覚えづらくて言い回しが読み進めるのを妨げられるけど、この本は全くそんなことはなく、一人ひとり、とても魅力的に書かれていて、ストーリーもどんどん読み進めたくなる内容だった。
大津に石垣見に行きたい!

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

どこまでがフィクションでどこまでが史実なんだろうか?やっぱりこの作者の作品は凄いです。
スピーディな展開に手に汗握りながら読みました。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

題がかっこいいのでずっと読みたいと思っていた。
まずその分厚さにちょっと怯む
正直真ん中辺まで読み心地としては冒頭は印象的だったのだが、
そっからがなんか話の流れが緩いなあと思っていたのだが、
大津城での戦いからは一気読みした。
玲次が帰ってきたとことか鳥肌ものだ
気がついたら日が暮れてた
なるほど、ここに全てが集約されているのか、と
こーゆープロフェッショナルものはめっちゃ好き
一本筋が通っててみんながかっこいい
京極の殿様のキャラもいい
関ヶ原直前の史実を踏まえて書かれているんだろうが、
今村先生の、こーゆー史実の中で本当にあったかのような物語はとても好き
面白い
それぞれがそれぞれの精一杯を積み重ねて、
そうやっていろんなものは進んでいくんだよなあっと
なんかいい感じの大円団にまとまっているところも読後感よし
おもしろかった

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2024年02月13日

Posted by ブクログ

なかなか手が出しずらい分厚さ!
完読にてこずるかと思いきや、意外と読みやすくさくさく進みました。

鉄壁を誇る石垣と至高の矛鉄砲。最強対最強の宿命の対決。お互いが「戦を無くす」ためを目的として技術を高めるライバル同志が大津城で激突。
両者が限界ギリギリまでしのぎを削る攻防
ハラハラドキドキ面白い!圧巻の読みごたえ

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

歴史小説なので読み難いかなと思ったら、ほぼ、現代語だったので凄く読み易かった。鉄砲作りの職人と石積み職人の矛と盾の戦いに焦点を当てて描いた作品。とても斬新な設定で面白かった。武将の勝利に職人有り!でした。

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

後半の大津城攻めの攻防は圧巻。読みごたえ十分です!
実家の土台は切込接ぎ、土手は野面積みです。小さい頃から野面積みの方が難しくて強いねんで、と聞かされて不思議におもったものです。この本を読んで深く納得。
この作品は石垣造りのスペシャリストが活躍して、まるで戦国武将小説さながらの迫力でした。戦国時代は大好きで、吉川英治作品以下、色々読み漁ったこともあり、史実から鑑みるとさすがにフィクションが過ぎるだろう…ということで星4つ。

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2023年12月16日

Posted by ブクログ

鉄壁の石垣を積み上げる「塞王」のあと継ぐ者と数々の新しい銃を生み出す、「砲仙」とよばれる二人の天才的職人。国友彦九郎と飛田匡介。戦の最中、敵の動きに合わせて石垣を積み替えるというようなことがありうるとは考えても見なかった。蛍大名と呼ばれた京極氏は大津城で長く持ち堪えることによって、結果的に毛利元廉らを引き付けたことで、関ヶ原の勝利に貢献した。書き尽くされたかに見える時代であっても、視点を変えればこんなにも面白い小説が書けるのだということを読者に知らしめたところが、すごい。

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2023年12月09日

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戦乱の時代に城の石垣を作る穴太衆と鉄砲を作る国友衆。矛と盾それぞれが、圧倒的な物を作れば泰平の世を作ると信じて技を磨いていく塞王と砲仙。
でも、最後には決めるのは人の心であると気づく。
「人は誰かを傷つけた手で、別の誰かを守ろうとする。人の心の矛盾の象徴こそ、己たちなのだろう。」
今の時代も変わらない。
どんどん武器を進化させていく世界各国。
防衛費を増やしていく日本。
核という抑止力?
やまない戦争。考えさせられつつ、でも、
ホッとする、心温まるラストが良かったです。

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2023年12月04日

ネタバレ

著者らしい爽やかさ…。

2023年9月読了。

避けていた訳では無いのだが、しばらく積ん読状態だったので、手を延ばしました。

著者特有の爽やかで、思い遣りの有る優しい作風が、読んでいて本当に読書の醍醐味を教えてくれる、本当に「直木賞に相応しい傑作」だと思います。

徳川幕府に成ってからの綺麗な並びの石垣よりも、豊臣時代のいわゆる「野積み」の石垣の方が、強度も強く、難易度も高かったのは知りませんでした。
てっきり「綺麗な積み方」の方が強いんだと思い込んでいたのですが、世が平和に成り「強さよりも見た目の良さ」にシフトしていったから、後世の石垣は綺麗なのかぁと、目からウロコでした。

一方「矛方」である国友衆ですが、「そんなに素晴らしい精度の」鉄砲や大砲が作れていたのか、ちょっと疑問でしたがw、このお話にはこれで丁度良いのかも知れませんね。
こんなに精緻な大砲が作れたんだったら、「大坂の陣」の時、どうして家康は南蛮の大砲(仏狼機)を使ったのかなぁ~?って、ちょっと意地悪なことも考えちゃいましたww。

なんて御託はここまでにして、読後感の爽やかさと、「人の生死については、どんな時代も関係無く尊いもの」と云う、著者の信念も伝わって、大変面白く読み終えました。素晴らしいです。

#アツい #切ない #ドキドキハラハラ

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

盾と矛。命を賭けて戦う男達の奮闘ぶりに胸が熱くなった。城が堕ちるとどうなるのか、城主はもちろん家臣も家来も町人も女、子供も悲惨な末路を辿る事になる。
戦は武将だけが行っているのではない。要塞として城の石垣をいかに強固に作り上げるか、
また、それを打ち破る為の武器をどれだけ開発するか、石垣作りの職人集団、穴太衆(あのうしゅう)飛田屋にスポットを当てた物語。
時代物が苦手な私にも本作は読み易く、戦国時代に興味が湧いた。今後は各地のお城を見る目が変わるだろう。数多くの職人の血と汗の染みついた石垣を戦いぶりに思いを馳せながら眺める事としよう。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

大河ドラマもそうだけれど、戦国時代の三英傑にはちょっと飽きてきたんだよなぁという人には、こういうちょっと一本脇道に逸れたような物語は面白い。
野面積みとか、穴太衆とか、聞いたことはあるけどあまり詳しくはない分野で、だからこそ興味深く読んだ。
石垣造りのプロ穴太衆vs.鉄砲の国友衆の攻防も、手に汗握る
戦国武将ではない職人衆が、それぞれ「戦のない世界」を目指して行動するところに胸を打たれた。
読後感もさわやか。

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2024年04月04日

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