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「架空戦記」の金字塔。
2023.7読了(再々読)。
'90年代頃から「架空戦記」ブームは始まりました。
それまで『戦国自衛隊』ぐらいしか無かったので、世間的にもあまり定義付けし兼ねる感じで、作家さんも、皆さん「恐る恐る…」と言った感じで書かれ始めたのを、記憶しています。
個人的には「大逆転!」シリーズ檜山良昭先生や、「八八艦隊物語」の横山信義先生等が好みでしたが、それらがヒットし始めた頃には正にブーム到来と云った趣で、正に「雨後の筍の如く…」、粗製濫造も甚だしい「架空戦記」が嫌に成るほど出版され、本作の著者である田中光二先生が前書き、後書きでも仰有っている通り「何でもアリの超兵器が大暴れして、何処の国でも薙ぎ倒す」様な稚拙で醜悪な「戦記物」が流行った事も有りました…。
その点、本作の田中先生は「極力、歴史を変えずに、ちょっとした部分のターニングポイントを変えるだけで、こんなに結果は変わってくる」と云う事を、圧倒的な迫力と巧みな歴史改変で、読者の心を掴んで離さなくしてくれました。
土台が違うんだから、逆立ちしたって勝てっこない「あの戦争」を、ここまでギリギリな熱い闘いにしていただいて、本当に読んでいて涙が出そうでした。
最近は「架空戦記」も、完全に虚構の世界の物語へと変貌しつつ有りますが、こうした「本当の歴史(事実)」に根差した作品は、もう読めなくなって行くんでしょうかねぇ……。
最後に、個人的な気持ちとしては、大和と武蔵に正確無比な主砲着弾のシーンを書いてあげて欲しかったです。