あらすじ
■映像はすべてを語っていた
■JFK暗殺から60年、アメリカ史そのものを問う!
■なぜアメリカの大統領暗殺の真相を隠さねばならなかったのか?
文書公開で浮上した驚愕の真実
JFK暗殺陰謀論の歴史的意義
オリヴァー・ストーンの『JFK』公開の意義
元CIA職員ロバート(ボブ)・ベアによる新証拠発見
カストロと亡命キューバ人の暗躍
オズワルドの背景にソ連・キューバの謀略
米ソの全面戦争に発展する可能性があった!?
新しいマフィア暗殺説の登場とキューバとの繋がり
ヴェノナ文書が明かす、国際共産主義の陰謀
日本の左翼マスコミが軍産複合体説を報じる理由
魚雷艇艦長時代とその映画化の意味
なぜマスコミはアメリカの不都合な話を報じないのか
安倍元首相暗殺が酷似しているのは偶然ではない
ケネディ大統領が暗殺された時、私はまだ小学校五年生だった。
今から約六〇年前の出来事だが、母親の「ケネディ大統領が殺されたわよ」という声で、朝、眼が醒めたのをよく覚えている。
暗殺の第一報は、偶然にも日米のテレビ衛星放送開始日と重なっていた。
この大事件は、少年時代の思い出と深く結びついているため、本書の出版は、私にとっても極めて重要な意味を持つ。
少年期が、人間形成にかけがえのないものだけに、ケネディ暗殺の真相を追求するのは、過去の真実を知るだけでなく、人生にとって貴重な日々の意味を考え直す作業を伴う。
悲劇が起きた一九六三年前後の雰囲気は、今でもありありと脳裏に焼き付いている。
(中略)本書は、一九六三年一一月二二日のダラスでの悲劇の今日における歴史的意義を、映画やドキュメンタリー作品を基に明らかにしたものだ。
執筆しながら、再認識したのは、映画、映像のもつ絶大な力である。
そしてケネディ暗殺は、決して過去の出来事などではなく、現代に生きる我々の将来と固く結びついていることに他ならない。(本文より)
※権利上の都合により一部画像は掲載されておりません。
【著者プロフィール】
瀬戸川宗太(せとがわ・そうた)
1952年、東京都生まれ。
上智大学法学部卒業後、中学・高校の教員、立教大学法学部客員研究員(ケネディ政権とキューバ危機の研究)を経て、映画評論家となる。社会派・サスペンス映画に詳しい。
現在、「夕刊フジ」「正論」「Hanada」「Voice」等の新聞・雑誌に映画評論を寄稿。
著書に、『世界を予言した映画80本』『世界の戦争映画100年』(ともに潮書房光人新社)、『「JFK」悪夢の真実』(社会思想社)、『懐かしのテレビ黄金時代』『思い出のアメリカテレビ映画』(平凡社)などがある。
感情タグBEST3
2024年2月読了。
著者は「映画評論家」として以前から知っていたが、《JFK問題の専門家》と云う顔をお持ちだと云うのは、本書が刊行されるまで全く存じ上げなかった。
いわゆる「ネタバレ」もしたくないし、著者個人を〝非難する意図なども全く無い事〟を先に強調した上で、個人的な読後の感想を書かせていただく。
先ず、本書はタイトルからも分かる通り「JFK暗殺事件から60年が経過し、様々な資料が徐々に明らかにされる中、決定打とも云うべき資料・証言等が明るみに出て、それ等に基づいて書かれた真相」を記した本の〝筈〟である。
ところが、一番核心の《今まで取り沙汰されてきた、数々の謎》については、「元CIA職員だった者が証言した『ヒストリー.チャンネル』と云うペイチャンネル番組で全て明らかに成り、今迄の謎は全て解けた」と、いきなり序盤で言い切ってしまう。
それも、諸々の権利関係が有るとは言え、具体的な証拠や説明は全て「読者もその番組を見ていただければ全ての謎は解ける」と繰り返し書かれるだけで、一体〝何の謎が具体的に立証されたのかが全く分からない〟のである。
そこから先は、1940年代のFDR時代のアメリカ政府が、いかにソ連のスパイやエージェント等に侵食されていたかと云う事、その後の朝鮮戦争で「共産主義の恐ろしさ」を思い知った政府が、180度態度を変えて「冷戦」へと繋がったこと等が、その当時の映画と共に語られていく。
しかし、この本の読者は〝JFK暗殺の謎の核心〟が知りたくて購入なり借りるなりして読んでいるのだ。「『ヒストリー.チャンネル』を観てもらえば全部分かる」のなら、本書の刊行の意味は一体奈辺に有ると云うのか。
名のある映画評論家である著者が、個人的理由で今までに出会った「関連する映画」や、近年の世界的危機に関して共産主義は《ソ連・キューバ⇒ロシア・中国》に変わっただけで依然として〝世界的脅威である〟話を、映画等と絡めてお話ししているのを拝聴するのに、この対価及び内容では全く釣り合っているとは思えない。
なまじ自分と基本思想が似ている為に「そんな事ぁわざわざ言われなくても知ってるよ。それより肝心の〝謎の話〟を聞かせておくれよ」と言うのが、読後の率直な感想である。
ちなみに本書を読んで「わざわざ『ヒストリー.チャンネル』に加入して見てみよう」とは金輪際思わなかった事だけ、最後に附言する。