あらすじ
「大河」ファン必携の北条全史
鎌倉幕府百五十年の歴史をつくった謎の一族、北条氏。名もなき一介の武士の一族が、なぜ政権を奪取し日本を動かし続け、最後は族滅したのか。時政、義時、泰時……、歴代の北条家当主のリーダーシップから読み解く鎌倉通史の決定版。
――北条家のリーダーたちに学べ
第一章 北条時政 敵を作らない陰謀術
第二章 北条義時 「世論」を味方に朝廷を破る
第三章 北条泰時 「先進」京都に学んだ式目制定
第四章 北条時頼 民を視野に入れた統治力
第五章 北条時宗、貞時 強すぎた世襲権力の弊害
第六章 北条高時 得宗一人勝ち体制が滅びた理由
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Posted by ブクログ
注!
内容に触れていますが、触れても読む興味は失せないと思うのでネタバレ設定にはしていません。
大河ドラマなんて、最近は見たいとも思わないけど(^^ゞ
とはいえ、大河ドラマが始まると関連本がいっぱい発売されて。
多くの人がそれを買って古本として売っちゃうことで、翌年になるとそれらが安く買えるのは、とってもありがたいことだ(爆)
ということで、『北条氏の時代』だ。
これは、(いわゆる)鎌倉時代を、関東武士団による政権の始まり(時政→義時)、北条氏権力集中の時代(泰時→時頼)、つまづきの時代(時宗→貞時)、その終わり(高時)に分けて、わかりやすく説明している良書だ(^^ゞ
ただ、(大河ドラマ便乗本のせいか)前半に寄りすぎかな?
高時なんか、“高時は暗愚な得宗なのか?”と見出しを掲げたわりに、高時そのものの評価は書かれていない。
もっとも、歴代北条氏を300ページ弱で語るのは無理があるのか?
意外に重宝したのが、第二章(P125)に書かれていた、義時から派生した北条一族(分家)の紹介。
(大河ドラマの)「太平記」や「時宗」を見ていた時(昔は見ていたのだw)、わからなかったのが赤橋や金沢といった北条氏の分家だったので、あの時これがあったらなぁーとつくづく思った。
ていうか、それを言ったら、得宗と一族、御内人と内管領といった北条政権の仕組みが、もうちょっとわかりやすくなってたら…、という話ではある。
著者は学者なので。
資料から読み解く限り、あの出来事はこういうこと(だと想像される)。
その時、この人物は(資料によれば)こういう行動を取った。
そのことから想像するに、この人物はこういう人だったのではないか?
この本は、そういう風に書かれている。
今の世の中はアカデミズムこそが正しいだから、それはそれでいいんだろうけど、個人的には個々の人物の人となりがつかめないのがツマラナイところだ。
いや、この著者はそれでも人物の人となりを「こうなんではないか?」という風に想像して紹介してくれているように思う。
ただ、あくまで学者だから。
例えば、泰時の賢さというのは、京都に長くいたことで明恵という当時の一流の学僧と交流を重ねたことにある(と想像される)。
また、時頼の政治の「撫民志向(民を慈しむ)」は極楽寺重時(義時の子)の影響で、重時は京都にいた時に内大臣徳大寺実基と親しくしていた。
二人は浄土宗を厚く信仰していて、その信仰から徳政(借金棒引きの徳政ではなく、文字通り徳の政治)をするに至った。
さらに時頼は南宋から来た二人の禅僧に教えを受けた等、「撫民志向(民を慈しむ)」にはそういう背景があったんだろうと想像できる、という具合にわかりやすく説明してくれている。
でも、頼朝ってどういう人だったの?となると途端によくわからない。
その人となりが全くイメージできないのだ。
義時にいたってはなおさらだ。
もっとも、頼朝なんて日本人なら知らない人の方が少ないくらいの人物なのに、外見をよく伝えているとされるものは木像一つだし。
義時にいたっては、それが一つもないらしいから。
その人となりをイメージするというのは著者のような学者はもちろん、司馬遼太郎のような歴史作家ですら困難なのかもしれないけどね。
そういえば、『竜馬がゆく』だったか『翔ぶが如く』だったか忘れたけど、司馬遼太郎が「西郷のことなら何時間でも語れる。でも、(それらのことを踏まえても)西郷という人は結局わからない」みたいなことを書いていたが。
もしかしたら、頼朝や義時も西郷隆盛と同じように、今の世に住む常人にはわかりようのない人物なのかもしれない。
最近は本の帯というと、過大に煽ったり、読者の気持ちにベタベタすり寄ってきたり、あるいは、もはや中身と全然違う、みたいに全然信じられなくなったという印象があるが(爆)
この本の帯にある日本型リーダーシップの原型がここにある」というのは、読み終わった後、なかなか秀逸なコピーだなぁーと思った。
鎌倉の権力のありかというのは、源氏の嫡流である頼朝→御家人13人の合議制→執権である北条氏→得宗→御内人/内管領と、時代が進むにつれて地位が下のものに移っていくわけだが。
それが、「空気」によって移り変わっているように見えるのだ。
頼朝こそ、そのカリスマ性や武家の棟梁としての資質(と言っても、それらがどうだったのか具体的にはわからないわけだが)によって、御家人という坂東武士たちの上に(宗教のように?)君臨していたものの。
頼朝の子である頼家は、御家人同士の権力闘争で取り除かれ。
源氏の三代目実朝は、京都に寄りすぎて関東の意向にそぐわないからと御家人総意で取り除かれる(著者による説)。
後鳥羽上皇が義時追討の院宣を出すと、頼朝の妻である政子が「頼朝様の御恩に背くなんて恩知らずなヤツ、まさかアンタたちの中にはいないよね?」と頼朝教的な空気をつくって、御家人をまとめる(著者の説ではそれは義時プロデュースであるとしている)。
その後、泰時が御成敗式目や政治機構を整えたり、時頼は徳の政治を志したりするものの、一方で北条氏に権力を集中させるために有力御家人を粛清していくから。
御家人たちの中に、「鎌倉殿への御恩=北条得宗家への御恩」という空気が生まれていく。
一方で時宗の時代、北条得宗家への御恩が絶対的な空気になった頃、その得宗家の中で、御家人たちのポピュリズムによって生まれた「御家人ファースト」という空気と、御家人のワガママだけ聞いて、朝廷や寺社、他の武士、領民や商人を冷遇していたら政治が立ち行かなくなると考える「鎌倉による統治の継続こそが大事」という空気が生まれる。
その2つの空気は時宗の死後、元寇で戦っても恩賞がなかったことによる西国の御家人の不満(という空気)も重なり、御家人ファースト派の御内人(御家人ポピュリズムに寄り添うことで、得宗家の家来である自分たちの権力が守られると考えた)と、統治派の御家人安達氏がぶつかることとなる。
安達氏本家は御家人ファースト派の首魁である内管領平頼綱に滅ぼされ、地方の安達氏は御家人たちのポピュリズムという空気を盾にした内管領の指示によって粛清されていく。
そんな空気の果てに生まれたのが、特にこれといった官職でもない得宗家の御内人(得宗家の家来)による権力の専横。
そんな御内人の平頼綱も、執権貞時が長ずると滅ぼされるのだが。
貞時が安達氏も復権、頼綱系も復権させちゃうのは、やっぱりそういう空気があったからなのか?
それとも、どっちつかずが貞時という人物の特徴だったのか?
いずれにしても御内人の権力専横は、高時時代に頼綱の親戚筋とされる長崎円喜、高資へと引き継がれていく。
そんな中、朝廷ではいよいよ後醍醐天皇が即位。
鎌倉打倒に立ち上がった後醍醐天皇は、いったんは隠岐に流されるも、そこを脱出。
反鎌倉の狼煙を上げていた楠木正成追討に向かっていた足利高氏も途中で反旗を翻す。
鎌倉を攻め寄せてきた新田義貞によって、鎌倉とともに北条氏は滅亡していく(高時の子、北条時行は後に中先代の乱を起こす)。
この本の最後、著者はこう書いている。
“北条氏は、ライバルを倒し、その領地を奪って肥大化していきました。
滅亡時点で日本のほぼ半分の守護職を持っていたとされます。
つまり北条一族を族滅させれば、その土地が恩賞として配られることを誰もがわかっていたのです。”
「鎌倉殿への御恩」というと、鎌倉(政権)と御家人は忠義の関係で結ばれているようだが。
御家人たちにとって「御恩」というのは、鎌倉(政権)が個々の御家人の利益を守ってくれるからこそ「御恩」であり、「御恩」を果たすことで新たな領地(御恩)が授けられるという暗黙の了解があるからこそ「御恩」を介した忠義の関係を維持できるわけだ。
ただ、御家人たちが「御恩」を果たすことによって授けられる土地には限りがある。
つまり、御家人たちの欲望を叶え続けること(御恩に対する恩賞としての土地を授けること)で、得宗家の家来である御内人が自分たちの権力を維持し続けることは限りがあるということだ。
人々のわがまま(ポピュリズム)を利用する政権は、人々のわがままを正しいこととすることで支持を集めて絶大な権力を得る。
でも、人々の欲望には際限がない。
一つ欲望が叶えば、新たな欲望を求める。それが人間だ。
わがままを叶えてもらえないとわかった途端、人々はその政権をバッサリ切り捨てる。
それは鎌倉時代も今も同じだ。
Posted by ブクログ
北条時政から鎌倉幕府の滅亡まで辿るので、鎌倉時代の通史も知ることができる。大河ドラマは色々と研究の成果と史実に基づいていたんだな。鎌倉時代は日本史の大きな転換点で、それまで西高東低だった日本史だけど東に基礎を置いた。そして辺境の無名の北条氏が日本を動かすリーダーになった。
時政は当時の武士には珍しい文書が書ける人物だった。文書で行政が動いており、幕府の文官は貴重な存在だった。敵を殺し、実行犯も消すという北条氏の手口。承久の乱で戦争放棄した天皇。所領の分配で土地を保証する存在となった北条氏。義時の御家人中心主義と世論を納得させる力。六波羅探題として京から政治手法を学んだ泰時。他にも後代の北条氏と日蓮宗や禅宗、元寇、特政令等にも触れられている。
Posted by ブクログ
大河ドラマの予習です。
人名が混在していて難しいのは中世では当たり前ですが、きちんと系図も載っていて丁寧だと思います。
やはり人に焦点を当てると分かりやすいですね。
面白かったです。
Posted by ブクログ
文藝春秋社の「本の話 メールマガジン」に応募したら、この本が当たりました。
日本中世史(鎌倉時代)を専門とする本郷教授の執筆なので、応募したのですが、たまたま今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とぶつかりラッキーでした。NHKとしてこの時代をテーマにした大河ドラマは2012年の「平清盛」以来です。この時は低視聴率にNHKも悩まされたようですが、今回は汚名返上すべく豪華キャストで臨むようです。
本書は、当時辺境であった伊豆の田方郡を拠点とする平氏の在地豪族であった北条氏が、如何にして鎌倉幕府の中心的な地位まで登り、その後百年以上に渡り日本を動かす政治集団のリーダーに成り得たのか、かつ滅亡する原因は何であったのか等をリーダーシップのあり方を通じて論じたものです。
この本を読んで興味を引いたのは、以下の3点です。
1.北条氏の幕府内での地位
頼朝を支えた御家人を分類すると、
① もっとも重んじられたのが、頼朝の親族にあたる「下野の足利氏」「信濃の平賀氏」。 この一族は将軍になれる可能性があります。後の室町幕府を作った足利尊氏は、この一員です。
② 次に「家の子」と呼ばれる頼朝の親衛隊。北条義時や結城朝光等
③ 最後は「侍」。これは普通の御家人だが、この中でも大きな意味を持っていたのは、伊豆、駿河、相模、武蔵の南関東四か国の御家人で、ここの出身者であれば、幕府の中枢に入ることができた。北条氏、安達氏、三浦氏、和田氏、梶原氏、畠山氏、比企氏がこれに当たります。
北条氏もこの有力メンバーの一員ではあるが、飛びぬけて大きな存在ではなく、むしろ頼朝の伊豆時代を経済的に支えた比企氏の方が優勢で、頼朝は二代将軍となる頼家の妻をこの一族から迎えています。
そしてこの御家人の中から如何にして北条氏が抜けだしてくるか・・・は、省略します。
2.元寇の時の北条時宗は「救国の英雄なのか」
結論を言ってしまえば、著者の見解は、「外交能力の欠如した幕府崩壊の遠因となった無力なリーダー」というものです。詳細は本書に譲ります。
3.幕府の変遷という視点
① 鎌倉幕府1.0:頼朝の開いた幕府
② 鎌倉幕府2.0:承久の乱で朝廷を打ち破り西国進出
③ 鎌倉幕府3.0:元寇以降・・・幕府は、元寇による外からの脅威に対応した挙国一致体制を目指す「(オールジャパン)統治派」と「御家人ファースト派」との争いが続く。この争いは「御家人ファースト派」が勝利するのですが、その後の変遷を経て、執権職を誰かに譲ったのちに、北条本家の当主が権力を掌握し続けるという「得宗家ファースト」というべき偏狭な幕府に変わってゆきます。
しかも時代の流れでもある貨幣経済に上手く対応できないこともあり、御家人の離反を招き、その中から新しいリーダーとして足利尊氏が登場し、幕府の滅亡へと繋がってゆきます。
著者は「北条家の成長と安定、それに衰退の歴史を知ることは実に興味深い。足利氏も徳川氏も、家の歴史として見たときに、ここまでのダイナミズムはありません・・(略)・・私たちの視点からすると、なんだか不思議な一族。北条氏の足跡を追いながら、日本という国がもつ特質に思いを馳せて下されれば、書き手としてはこれに過ぎる喜びはありません」と結んでいる。
Posted by ブクログ
大まかに理解していると思っていたが、経済の変化 御家人との関係の変化なども含めて概観するとかなり興味深い時代だということがわかります。
自社巡りが好きなので、改めて鎌倉周辺を回ってみようと思っています。
Posted by ブクログ
如何にして北条氏は鎌倉幕府の中枢と成り、統治し、滅びたのか。
北条家のリーダーたちの実力、人脈力、「世論」力で、
鎌倉時代の姿を読み解き、歴史の流れを語ってゆく。
中世の鎌倉の地図 現在の都道府県と旧国名
北条氏系図/天皇家家系
第一章 北条時政―敵をつくらない陰謀術
第二章 北条義時―「世論」を味方に朝廷を破る
第三章 北条泰時―「先進」京都に学んだ式目制定
第四章 北条時頼―民を視野に入れた統治力
第五章 北条時宗、北条貞時―強すぎた世襲権力の弊害
第六章 北条高時―得宗一人勝ち体制が滅びた理由
北条氏との時代関連年表
地方の小さな一族が政治の表舞台に登場し、権力を掌握、
鎌倉時代を牽引し、滅びるまでの通史を、
核となる人物中心に分かり易く解き明かす。
それは、北条氏リーダーシップの歴史。
時代変革の波を乗り熟した、時政。
承久の乱をも乗り越える御家人中心主義の、義時。
最も優秀、あらゆることを吸収し行動するリーダー、泰時。
混乱の政局の末、連署の極楽寺重時と安定体制を整えた、時頼。
元寇と貨幣経済の浸透の中で揺れ動いた、時宗。
御内人の存在と得宗の権力による空虚な政権の、貞時。
御家人たちに見捨てられた鎌倉幕府と最後の得宗、高時。
そして、呆気ないほどの北条氏の滅亡。
知りたかった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のその後の歴史。
別に読んだ本は研究書で、人物関係が複雑で難解でしたが、
この本では親族関係とか、さり気なく補完しています。
「鎌倉殿の13人」の登場人物の子孫が多くいるのも面白い。
トリックスター三浦義村の子孫のその後や、
北条氏一族内での諍い、将軍や朝廷と幕府の対峙も、分かる。
陰謀、暗殺、実行犯の口封じ、一族殲滅、等々、血腥いこと。
ある意味、欲望の深さって果てしないんだなぁ。
Posted by ブクログ
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に先立って、その予習需要を狙って2021年の秋に出版された本書ですが、「鎌倉殿~」を全話視聴した後で復習の意味で読んでみました。本書は北条氏が執権を務めた時政(初代)から高時(14代目)まで、鎌倉時代をざっと通して北条氏がどのように権力を握って行ったのかを描いています。ですので、「鎌倉殿~」のキャストやシーンだけではなく、この時代を採り上げた大河ドラマ「太平記(1991年)」での北条高時(演:片岡鶴太郎氏)、赤橋守時(演:勝野洋氏)などのシーンも思い出しながら読みました。
鎌倉時代というのは日本史を高校できちんと勉強していないと、イマイチ理解が浅く、歴史上の位置づけがあいまいになりがちです。そのせいもあって「鎌倉殿~」を視聴しているときも理解に苦しむ場面が結構ありました。そういう人にとっても本書は各人物の言動や判断を分かりやすく追っているので、時代の流れをつかむ程度であれば丁度良い内容です。著者は「平清盛(2012年)」の時代考証を担当しているだけに情報量も新書1冊にしてはボリュームもあってお勧めの1冊だと感じました。
大河ドラマの先にある興亡史。
2023年1月読了。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の便乗…、いや失礼、本郷先生の解説本2冊目です。
本書は、大河ドラマへの解説と云うより「鎌倉幕府を支えた執権北条氏は、どう興り、どう栄え、そしてどう滅んだのか」迄を、年代順と云うより歴代執権の順に、当時の国難や政変等を交えて、「中世日本史に輝く鎌倉幕府の実態」を、豊富な史料と本郷先生独自の推理力でズバッと切り込んだ上質な歴史解説本でした。
大河ドラマは北条時政~義時~泰時迄の、鎌倉幕府草創期の動乱を描いた素晴らしい作品でしたが、本書は「その後の鎌倉は…?」と云う思いを抱いた方々へ、正に波瀾万丈の「中世日本史」を垣間見せてくれる、誰にでも読みやすく、分かりやすい良書です。
「明確な政治感覚を持っていた源頼朝」が、政治客体としては全く未成熟な「鎌倉幕府」を作り、(結果的に)それを継承し、一時は朝廷を含めた日本全国を完全に統治した「北条得宗体制」の驚く程簡素な人事機構に驚き、政治観や大局観を次第に失い、組織としてほぼ自己崩壊に近かった最期に至るまで、本郷先生御専門の時代と云う事もあり、筆の進みも流暢且つ巧みで、一気読みしてしまいました。
あとがきに有るように、天皇でも将軍でも無く、官位も低い儘だった「北条家」が、日本の全てを統治していたと云う事実(指摘)には、膝を打つ思いでした(そんなにわざわざ先生に怒ったりする人が居るんですかねww?)。
「鎌倉時代」と一般的には括られる歴史の中に、これだけの驚くべき史実が有ったことに驚き、又歴史を学ぶ事の楽しさ、豊潤な時間をたっぷりと味わえました。
本郷先生、ありがとうございました。相模国の一住人としても、心より感謝申し上げます。
Posted by ブクログ
「鎌倉殿の十三人」の放映開始前くらいに書かれた本。筆者は大河ドラマ「平清盛」で歴史考証を担当している。(一応)初代の北条時政から、鎌倉幕府滅亡時の高時までの各執権を中心に、北条氏よ足跡を追う。
関連する大河ドラマ(草燃える、鎌倉殿、時宗、太平記)の場面や登場人物を思い浮かべながら読んだ。この時代はとにかく縁戚者内での婚姻が盛んで、同時に「近親憎悪」とでもいうべきか、一族内部での権力闘争が全てのような印象さえ受ける。
傭兵のようなだけの存在だった武士達が国を統治する術を模索しながら身に付けていった努力に感心すると共に、限られた土地(富)を奪い合って分け与える仕組みがいずれは破綻していく姿が見て取れる。
北条氏が歴代、政敵を陰謀と口封じで倒してきた中で、義時に関する筆者の見方は「頼朝を参考にした」「鎌倉の全体のことを熟慮し、やむにやまれず、しかし根回しを周到にした上で政敵を倒してきた。」という立場を取っている。「鎌倉殿」で描かれている義時像に近い。しかし「やむにやまれず」が最初から狙っていたものなのかどうか、は興味深いところだ。
Posted by ブクログ
歴史の面白さを再認識させてくれた本郷先生のご専門である鎌倉時代を、特に北条氏を軸に読み解く一冊。
大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」時代から続く、政治システムとして機能した北条氏の解説書。
さまざまな文献、歴史書を基に、詳に解説される鎌倉時代はとてもリアル。
ぼんやりと認識していた、将軍頼朝と北条の関係をとてもクリアに学ぶことができる。
新書ではあるが、情報量が多すぎて、何度も読み返す必要がありそう。
読んでから買う本認定。
Posted by ブクログ
筆者独自の解釈、共感できる部分が多かった。
時宗の評価はまさに言う通りかなと思う。
複雑な人間関係を現代に置き換えて分かりやすく説明されていて、理解が進んだ。
Posted by ブクログ
分かりやすく、面白かった。
学校で教わった程度しか、知識が無かったが「なるほど〜」と感じる部分がたくさんあった。
ただ著者も書いているが、北条さんがたくさん出てくる上に、名前が似ていて(時がつく人がいっぱい!)私は少し混乱してしまいました…。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 北条時政~敵を作らない陰謀術
第2章 北条義時~「世論」を味方に朝廷を破る
第3章 北条泰時~「先進」京都に学んだ式目制定
第4章 北条時頼~民を視野に入れた統治力
第5章 北条時宗、北条貞時~強すぎた世襲権力の弊害
第6章 北条高時~得宗一人勝ち体制が滅んだ理由
<内容>
さすがに本郷さんの本職部分。わかりやすく、的確な史料が出てくる。解釈は相変わらずアバンギャルドだけど。ただ時宗のあたりは、納得の仕上がり。最近元寇の評価もかなり変わってきているので、鎌倉時代の再確認にいい本でしょう。
Posted by ブクログ
鎌倉時代の全体を北条宗家のトップ並びその周辺人物、さらに、対抗勢力を拾い上げて雑感するための辞書のような本。とにかく最初から最後までライバルを滅ぼす内戦ばっかりだった、平和な時代が泰時のいっときしかない時代。時政と義時は大河ドラマで登場人物キャラの顔が浮かぶ半面、泰時以降は似た名前も似た名前がずっと続くので一読はできるけどアタマにはほとんど残らない(さすがにラストの太平記時代は何人かわかるけど)。
Posted by ブクログ
NHK大河ドラマをより良く鑑賞するために読みました。
読み進めていくうちに気がついたのが、本の内容の信憑性を「吾妻鏡」に求めていることでした。それなので、今度は吾妻鏡に関する本を読んでみたくなりました。
ところで北条義時の章を読んでいる時に、TVで演じている小栗旬さんが常に念頭に浮かび何だか不思議な感じでした。