koccoさんのレビュー一覧
レビュアー
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これは、う〜ん…。
2023年12月読了。
著者のファンであり、美術系のお話もキライではないので期待して読み始めました。
今作は京都の市立美術館で「美術館あるある」をテーマとしたミステリーなのだが…、かなりディープと云うか、およそ京都にお住まいの方々へ向けたお話のようで、細かい説明も読んでいてピンと来ない点と、刀剣にしろ上方浮世絵にしろ相当に専門的な知識が無いと、想像が付きにくく、せめて刀の構造図程度は載せてほしかったという思いがあります。
肝心の謎解きに付いても、説明の仕方が専門的過ぎて伝わりにくい点、キャラクターの描き分けが足りないのか、そんなに登場人物は必要無いのか?…等、首を傾げてしまう部分が多く、あ -
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楽しい「歴史推理小説」ww。
2023年12月読了。
《漂流巌流島》シリーズがとても好きだったのだが、その後あんまり作品を出されていない(自分が、文庫化しないモノには知らん顔してるからかw?!)感が有り、すっかり御無沙汰していたのだが、ちゃ〜んと執筆為さっていた様で、大変失礼しました。
著者は、他のレビュアーの言及にもある通り、鯨統一郎氏の『邪馬台国は…』シリーズと同じ特徴を持つ「そんな解釈が成り立つのかぁ〜!!」と膝を打つ、真面目に歴史事件を考証しつつも、《本当の真実》なんて「誰にも分かる訳無いじゃんか〜!」と、まるで読者を“膝カックン”するかの様に、歴史の迷宮に誘ってくれる、優れたミステリー作家だと思っている。
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う〜ん、これはちょっと…。
2023年11月読了。
「その夜の雪」の直後の物語として、連載当時執筆されており単行本化もされたのだが、著者自身から「もう少し手直ししたい…」的な言葉が有った為に、今まで文庫化されてこなかったのだそう。
かなりの意気込みで読み始めたのだが、ちょっと登場人物が多過ぎると言うか、人間関係が入り組んでいるので、感情移入がしにくかった点、人が増えた分「キャラクターの設定や書き込み」が足りなく感じられる点、慶次郎さんの物分りがやけに良過ぎて、その後の短編で見せる「若くして失った娘への想い」と、ちょっと繋がり難く感じられる点などが有り、著者自身が「手直ししたい」と感じていたのが理解できる、とっても残念 -
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何回読んでも…涙。
2023年11月読了。
もう刊行されてから何十回と繰り返して読んでいるシリーズなのに、一番初めの「その夜の雪」を読むと、必ず涙が溢れてしまう。
こういう手合の連作短編小説で、一発目にこんな物語を書けるのは、著者が女性だからかな…と思ってしまう。男の作家では、こんな悲惨なエピソードから書き始める度胸は無いんじゃないかと…w。
二篇目以降は(その悲劇を通奏低音にはしているものの)オーソドックスな「江戸時代の市井を描いた小説」に成っていくので、この最初の一篇の峻烈な悲しさは読者にとっても「いつまでも引っ掛かる《傷》」と成り、他の作家では作られない見事な「味」に昇華している。
著者が早逝され、もう -
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藤沢周平《珠玉の》名作。
初めて読んだのが高校生ぐらいだったので、もう30年ぐらい経ちますが、何十回読んでも何かしら必ず「気付き」が有り、「どうやったら、こんなに素晴らしい作品が書けるのか……」と毎回読後、至福のため息をついています。
昔々、NHKのドラマで『腕におぼえあり』と云う作品になったのですが、その時の配役も素晴らしくて、小説を読む度に脳内再生され、一読で何回も楽しめる、素晴らしい時代小説の傑作だと思っています。
その昔は歴史、時代小説の名手として、司馬遼太郎、池波正太郎と並び称された3人ですが、作品に漂う抒情性や人の心のきめ細やかさに於いては、藤沢先生が一歩抜きん出ていると思います。
作品数等から、軽妙洒 -
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ネタバレ 購入済み人が人を殺すと云う事…。
2023年11月読了。
長らく板倉さんのファンであったのに、彼が書いた本を全く読んでいない事に気付き、探していたのだが中々見付からず、ある日偶然何時もは素通りする『ラノベ』コーナーで発見して、直ぐに購入した。
板倉さんの「優しさ」と「銃器への愛着ww」と、「人が人を裁くことの難しさ」が程良くブレンドされた連作短編集だと思った。
こういう《極端な設定》は、『バトルロワイヤル』がヒットした前後に様々な作品が刊行されたが、どういう設定にしてみてもやはり《読後感の悪さ》が目立ってしまい、ブーム的に売れていても「殺伐とした気分が残るだけだ」と思い、この手の小説は読まなかった。
しかし本書は「法治国 -
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歴史学者の偽らざる『告白』。
2023年11月読了。
著者は最近、テレビ等の媒体でもよくお見掛けするし、著作や連載等も楽しんできた一読者であった。
だから本書も「何か歴史学のトリビアが…?」くらいの気安さで読み始めたのだが、読んでビックリ!
これは、一人の日本史の歴史学者の嘘偽りない懺悔であり告白であり、尚且つ『このままでは歴史学が形骸化してしまう!』と云う告発の書ではないか!!
「歴史」特に「日本史」と云うものは、小説や漫画で読む分には楽しいものの、「学校の教科」として見れば《年号の暗記ばかりでちっとも楽しくない科目》であるのは、誰一人として否定しないと思う。実際「古文書等を調べて、コツコツと実証していく地味な学問」 -
ネタバレ
う〜ん…。
2023年10月読了。
自分も日蓮宗に属する者なのですが、「法華経」の素晴らしさは(かろうじて)理解するものの、「日蓮」と云うあらゆる意味で“パワフル”であり、また他宗への攻撃も激しかった「アクの強さ」に正直付いて行けない気持ちが有りました。
かと言って、そこから分派した某宗教法人は、法華経を唱題しこそすれ、強引な勧誘,布施の徴収,どころか政治団体への票集めまで行い、代表者一人を祀り上げた「○○教」の如き存在には正直辟易しており、また本家(即ち日○○宗)にも近寄り難い雰囲気があり、何故この宗派は心穏やかに「信仰させて」くれないのかしらと、重ね重ね思ってきました。
本書で畫かれた日蓮上人が、 -
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他宗派の人にも読んで欲しい一冊
2023年10月読了。
長らくの積ん読本から。最近世界を騒がせる紛争地域を眺め、己の信ずる教え(幅広い意味での仏教)について思いを致し、一番「解りにくくて、敬して遠ざけていた」本を読もうと思い立ち、じっくりと読んだ。
かく云う自分は他宗の人間だが、別に出家している訳でも、宗派に拘り信心が取分け篤い人間でも無いので、予てから親鸞と云う人物や『歎異抄』には、少なからず興味があった。
ただ「自家撞着しているかの様な、出口の無い迷路の様な考えの書」と云う勝手なイメージが強くて《迂闊に触れられないぞ》と云う一種の恐さもあったのは、正直に認める。
幸いにして、ここ数年間仏教に関する本を読むことが増えて -
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《理知的》に日本を見つめる。
2023年10月読了。
前作に引き続き、科学的視点から「日本史」を見つめ直してみようと云う、今まで有ったようで無かった素晴らしい企画趣旨の本。
著者が《造船関係》を専門とする為、”海“が絡む歴史に偏ってしまうのは致し方無いが、島国日本であればテーマも少なくはない事も、これまた事実だ。
前作のインパクトの強さのせいで、今作はやや地味に感じてしまったが、中々の考察であり、歴史史家の方々も《素直に》こういった視点からの考察も受け容れていくべきだと強く思った。又、著者の”イデオロギーに左右されない中立な視点“を保っている事も、非常に好ましい長所だ。
理知的に日本史を見つめ、”正当に評価すべき自 -
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変わらぬ冴えの「井沢節」。
2023年10月読了。
著者が『言霊』についての著作を始めてから、もう何十年経つのだろう?詳しく調べる術が無いが、少なくとも30年近くは経過しているだろう。かく云う自分がまだ学生時代に読んでいたのだから、それは確実だ。
何十年か振りに相変わらずの「井沢節」を堪能した。決して嫌み等ではなく、変わらぬ切れ味である。彼が提唱し続けている事柄は、少しずつではあるが人口に膾炙するように成ってきただろう。決してサザンの歌からでは無く、「言霊」と云う言葉に市民権が得られている気がするからだ。
それでも、まだまだ「歴史学」と言われる世界では、甚だ通用していないのは、「そういう教科書」しか読んでこなかった -
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これは歴とした「歴史小説」…。
2023年10月読了。
『光秀の定理』で腰を抜かす程驚いたので、続巻(と云うより姉妹編?)が有ると知り、直ぐに読み始めた。
前作が「歴史小説の皮を被った現代小説」だったのに対して、本作は「歴とした歴史小説」であり、信長が拘った“原理”を中核として、非情なる采配の末に迎える最期まで、一気に駆け抜けた戦国物語だった。
尾張内部の統一から本能寺へ至るまで、彼の行動をかなり「歴史史料を読み込んで」迫力ある一編として書き上げた著者の筆力には敬服する。余り知られていない幼少期〜尾張平定までの過程は、正に“紙上再現”されているかのような気持ちで読めた。又、前作『光秀の定理』と同じく《主人と使用人の関係》 -
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歴史小説ではなく現代小説。
2023年10月読了。
「歴史小説」に於いて、これ程有名で王道のテーマであるのに、現代の日本人に“今、此処に在る私達が考えるべき問題”として直接突き付ける「現代小説」として書き切った、著者の筆力と発想の奇抜さ、そして論理構成の巧みさに、心からの拍手を送りたい。
小説内の人物は(架空であるにせよ)、意図的に「現代の言葉」で語っている。それは「ある一時代の歴史」ではなく「普遍的な真理」について、有る者を糾弾し、また別の者を弁護しているからだ。そしてそれらは、決して小説内ではなく、恐ろしい程の精度で読者、即ち”読んでいる私達“へと向けられているからなのだ。
未読の方には、篠田節子氏の簡潔にして -
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この国の礎、如何に為すべきか。
2023年9月読了。
個人的に、「石田三成」が大好きである。自身の論理が冴え渡り過ぎて、其を理解に及ばない人達と「仲良く」する事が苦手だった、戦に不器用な、同じ職場に居たらさぞかし煙たがられる人だったと思っているが、その一途さえ故の儚さが、この武将の堪らない魅力であろうとずっと思ってきた。
秀吉の朝鮮出兵は、この小説にもある通り、秀吉独自の発案ではなく、当時から「遠い脅威」の予感がした〝南蛮〟と云う勢力が攻めてくる前に、日本,中国,朝鮮を一つの国として固めておくことが、未来の南蛮との戦いに「力を発揮する時が必ず来る」と云う、信長の発想が先にあったのだと感ずる。
国内統一も終わりきらないまま -
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北条家って、つくづく…。
2023年8月読了。
昔から「鎌倉好き」だったのだが、昨年の大河ドラマで久々に〝燃え上がる程の鎌倉愛〟が甦り、最近の研究成果を踏まえた研究書を漁り出したのだが、やはりNHKの力はスゴいもの。
本書と出逢えて、非常にラッキーだった。
『「執権」で有り続けた北条家は、何故〝将軍〟を欲しなかったのか?』をメインテーマとして、歴代執権の中でも対称的なイメージの有る北条義時と時宗を徹底的に“深掘り”した、とても興味深い本だった。
大河ドラマでもそうだったが、あれだけ血腥い事をやり尽くした感の有る義時が、後の時代では『頼朝と並ぶ卓越した得宗(政治家)』として、室町幕府やその後の武家政権からこんなに高 -
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ソッチへ走ったかぁ…w。
2023年8月読了。
間を置かずに読んだ。茫漠としていた前巻とは打って変わり、このデスゲームの目的も、黒幕やそれに関わる人物達がほぼほぼ揃い踏みして、いよいよ佳境に入ってきた。
今巻は、剣戟シーンも技がハッキリしてきて、「○○流」ばかりではない、国籍も越えたジャンルの果し合いと成って「異種格闘技戦」の趣もあり俄然面白くなってきた。
御一新後のドサクサな時代の組織作りの拙さで、当時本当にこうした内乱が起こっても(こんな「もっとも危険なゲーム」は有り得ないけどw)、不思議では無かったのかなと思うと、「警察官より先に、郵便局員が拳銃を携帯していた」事実も抵抗無く読めてしまう(「当時は現金書留なんか -
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漫画かゲームの世界観…。
2023年8月読了。
著者にしては珍しく、実際の歴史に全く絡めないエンターテイメントばりばりのアクション小説に成っている。
当然、一巻目と有ればアレコレと謎のネタばらしをする訳にも行かないのだろうが、その為に時代背景、背景描写、人物描写をキチッと描く訳にも行かず、漠然としたスタートを切った感じだった。
未だ「アニメのノベライズ本」程度しか提示されていないので、若い方々には取っ付き易い小説だと思う。この一冊でどうこう評価のしようが無い。
この先の展開が楽しみだ、と云う所で、やや厳しめの評価だが、著者のことだ、この先胸のすく展開が拡がることを期待している。
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新しい「ムサシ」像…。
2023年8月読了。
中世フランスを舞台とした小説や、突然「アル・カポネ」や「モハメド・アリ」の人生を冴えた筆致で描いてきた著者ですから、それほど驚きは無かったんですが、今「宮本武蔵」をやるのか…、と虚を突かれた思いでした。
数多ある剣豪小説で散々書かれてきた〝武蔵〟を、「剣聖」「日本一の剣客」と云うより、その場,その場で必死に相手の出方を窺い、物理的な“理”で勝ち抜く方法を考え出す、極めて現代的な思考をする人物像に成っています。
有名な「吉岡一門」との決闘も、むかし“下り松”を見たことがあるので、まるで映画を見ている気分で圧倒されました。
やがて、戦国乱世も終焉し、「豪快な武芸」がどん -
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ちょっとミステリーとしては…?
2023年8月読了。
TVドラマを先に観ていたのだが、あまりにもドタバタが過ぎて、一体どんな原作なのかと調べたら、自分の大好きな「孤狼の血」の原作者!!!
勇んで読み始めた。
ドラマがつまらなかった理由は読後に直ぐ分かった。この短編集は、情緒や心理描写を極力省いた連作なので、映像化するには「今一つ華が無い」から、天海さんにあの様なコント的な演技をさせたのだろう…。
さて、原作自体の評価だが、正直「ミステリー」と言うより「推理クイズ」の様で、一直線に解答へ向かってしまう為、読み甲斐が無く、スーッと読んでしまい、キャラクターへの想いも没入しづらく、かなり「薄味」な読後感で残念だった。
ドラ -
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今こそ「地球儀外交」の出番!
2023年8月読了。
この御二人は、予々様々なメディアで恐ろしく冷静且つ正確な「インテリジェンス」を教えてくれる、日本でも貴重な存在だと思っている。
今回の戦争にあたっても、新聞,テレビ,その他メディアからの情報について「本当にそうなのか…?」と云う疑問点が少なくなく、隔靴掻痒の感が有ったのだが、正にドンピシャリ!生々しい国際状勢の深淵を覗かせて頂いた。
このぐらいの「情報収集能力」「情報分析力」が、今の岸田政権内でグリップされているのか甚だ疑問であり、それだけ将来への不安感が増大している。
文中にもあったが、先入観やそれまでの「常識」に囚われず、虚心坦懐に情報を集め、分析する力が、今現在 -
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スタイリッシュなアクション小説
綾瀬はるか主演で映画化すると聞き、大慌てで2023年8月初旬読了。
「東京大震災」直後の帝都・東京と云う、あまり小説の舞台設定としては、あまり御目に掛からない素晴らしい時代にしたことは、とっても高く評価します。
この頃の日本について、テレビやメディアが「軍部がのさばっていた、言いたい事も言えない暗い日本」みたいな、碌に調べもせず勝手なイメージを植え付けているので、伸びやかにカッコよく行動するヒロイン、リリーは読んでいてとても新鮮でした。玉の井界隈の描写も素敵でしたね。
これは「映画のノベライズ本なんじゃないの?!」と、読後強く感じたぐらい映像的な描写が多く楽しめました。
物語自体は、か -
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今となっては・・・。
2023年7月読了。
ずっと積ん読状態だったので、この際と思い一気に読了。
安倍さんへの敬意とその功績を讃えたい。
それにしても、故人も「回顧録」で話しておられたが、日本の外務省と云うのは、「真に日本の国益」を考えているとは到底思えない。財務省や厚労省等と同様、「任期が来たら居なくなる様な政治家等に聞く耳は持たず、自分達の省益のを追い求める」だけの集団であり、正に「税金泥棒」ではないかと、本当に腹が立った。
安倍さんのように、それを承知で各省と闘いながら政治を進めて行けるだけの強い意志を持った政治家が、今後表れるのかどうか、薄~く期待して待つしかないだろう。
少なくとも、現在の岸田首相 -
ネタバレ
ただただ、涙・・・。
2023年7月読了。
出版されて直ぐに買ったのに、どうしても手が伸びなかった一冊。
先日、「元番記者」を自称する元NHK解説委員の方の『実録…』とやらを読み、「それでは本人自身のお話を伺いましょう」と決意し、本を開いた。
読み始めて直ぐに、あの懐かしい舌っ足らずで、幾分セカセカと話す口調の、故人の声が聞こえてきて、一気に読了した。
まるで安倍さんが目の前で喋っているのを聞いているようだった。
「回顧録」として読むには幾分生々しい話題が多く、「もう済んだ事」として受け止められない部分は有るが、もう二度と話を聞く事の出来ない人の語りだと考えれば、より多くの善男善女に読んでほしい一冊だと、強 -
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購入済み
購入済み「架空戦記」の隠れた名作。
2023年7月再々々読了。
もう何度も読んでいますが、読む度に色んな気付きが有って、楽しめます。
30年程昔にブームと成った「架空戦記」モノと呼ばれるジャンルで、実際の史料等をキチンと盛り込んで、「もしあの時この作戦を取っていたら…」と云う仮定のもとに、日本軍がアメリカへ直接戦争を仕掛けていく物語です。
「そんなに上手く行く訳が…」と思う方も多いかもしれませんが、陸軍と海軍の連携がキチンと為され、一致した行動が取れてさえいれば、これは夢物語では無いと、自信をもってお奨めします。
まぁ米艦隊の判断ミスがちょっと多過ぎるきらいは有りますけどね…www。 -
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「政治家の評価は」多角的に…。
2023年7月読了。
今、世界は一部分の戦争のせいで、世界的な食糧難、世界経済の低迷、覇権主義の台頭…等、様々な事象が起きている。
そんな世界の中で「日本」と云う国は、どう立ち回れば良いのか、どの様に世界各国と渡り合って行けば良いのか、大袈裟な表現をすれば「夜も眠れぬ…」程不安な社会である。
国情的に、政治的に且つ経済的に安定している国、などは至って少なく、世界情勢に疎い南半球の島嶼国まで、標的にされる時代である。
その事を誰よりも自覚的に知っていた、「地球儀俯瞰外交」の先駆者たる故安倍晋三氏が、もし、今生きていたならば……と、ついつい考えてしまうのは、恐らく私だけでは無いだろう。
最近 -
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購入済み「架空戦記」の金字塔。
2023.7読了(再々読)。
'90年代頃から「架空戦記」ブームは始まりました。
それまで『戦国自衛隊』ぐらいしか無かったので、世間的にもあまり定義付けし兼ねる感じで、作家さんも、皆さん「恐る恐る…」と言った感じで書かれ始めたのを、記憶しています。
個人的には「大逆転!」シリーズ檜山良昭先生や、「八八艦隊物語」の横山信義先生等が好みでしたが、それらがヒットし始めた頃には正にブーム到来と云った趣で、正に「雨後の筍の如く…」、粗製濫造も甚だしい「架空戦記」が嫌に成るほど出版され、本作の著者である田中光二先生が前書き、後書きでも仰有っている通り「何でもアリの超兵器が大暴れして、何処の国 -
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世界に誇れる「本格推理小説」!
この小説が、現代においてこんなに過小評価され続けていること自体が信じられません。
冒頭の「幻想(妄想?!)の様な事象」を、全て論理的に解明していくこのスゴさ!
電車を乗り継いだり、日本の観光名所を辿っているだけの「つまらないミステリ」とは、格段に違い、海外への翻訳も進めて欲しい作品です。
日本の推理小説の世界に〝革命を起こした〟島田荘司先生の「本格推理の金字塔」だと思います。
〝無冠の帝王〟呼ばわりされた時期も有りましたが、今の日本の世に、これだけ種類の豊富なミステリ小説が溢れているのは、ほぼ全て「島田荘司と云う先達(今も活動中ですがw)有ってのお陰」だと、老若男女を問わず自信を持ってお奨め -
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日本の経済界の恐ろしき闇…。
もう10年以上昔に読んだ作品ですが、初めて読んだ時の衝撃度と、モデルとされた御本人側から著者への執拗な恐喝や妨害が有った経緯等を聞くにつれ、「現代の日本にも〝アンタッチャブル〟な存在は居るのだ」と、背筋が凍る思いがしました。
こんな極悪非道なやり方で、企業から金銭を掠め取りながら、政財界とのコネを最大限利用して、正に「鵺(ぬえ)」の如く現代日本を跋扈し続けた人物が〝自分と同時代に生きていた〟事、そのものがショックでした。
その御方はもう既に身罷られていますが、その雑誌は今尚発行され続けており、御本人に関する情報は現代のネット時代にも拘わらず、未だにまともな情報は「一切無い」儘に成っています -
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大河ドラマの先にある興亡史。
2023年1月読了。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の便乗…、いや失礼、本郷先生の解説本2冊目です。
本書は、大河ドラマへの解説と云うより「鎌倉幕府を支えた執権北条氏は、どう興り、どう栄え、そしてどう滅んだのか」迄を、年代順と云うより歴代執権の順に、当時の国難や政変等を交えて、「中世日本史に輝く鎌倉幕府の実態」を、豊富な史料と本郷先生独自の推理力でズバッと切り込んだ上質な歴史解説本でした。
大河ドラマは北条時政~義時~泰時迄の、鎌倉幕府草創期の動乱を描いた素晴らしい作品でしたが、本書は「その後の鎌倉は…?」と云う思いを抱いた方々へ、正に波瀾万丈の「中世日本史」を垣間見せてくれる -
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大河ドラマの為の、特別授業。
2023年1月(ドラマ放映終了後)読了。
前年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放映に先んじて、東大資史編纂所の本郷先生に「ドラマで採り上げられそうな部分を中心に」ピックアップして、解説していただいたと云う感じの本です。
ドラマはドラマ、歴史考証する方は居ても「史料に無い」からと言って、お話を飛ばす訳にはいかないのですから、当然脚色が入ります。
そこは承知の上で、信頼できる史料面や本郷先生らしい独特の推理力で、実際の「鎌倉殿の13人」を炙り出してみようと云う試みの一冊でした。
ドラマを全て見終わった後から読んだせいか、「現実的な史料考証すると、こんな話なのか!」と驚く点も多々 -
倉山さんは……。
この方の著書を読んでいていつも思うのが、「言葉遣いが乱暴」な事。
主張している内容には賛同できるし、現代の日本の体たらくに腹立つ思いも同じだが、あまりに言葉遣いが乱暴過ぎて、本当の事(真実)を書いているのかまでも、かえって疑われてしまうと云う、知らない人には最悪の読後感を持たれてしまう傾向が強い。
又、左翼メディアに苛立つ気持ちも分かるが、こうも「彼等(左翼)が馬鹿に見えてしょうがない」と云わんばかりの口の悪さでは、向こうはかえって相手にしなくなってしまうし、著者に賛同していると「急進的な極右の仲間」に見られてしまうようで、いささか辟易することがある。
他の著書でも、取り上げた「 -
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死ぬ前に完結して良かった!
さっき調べてみたら、書き始めたのは自分(私)がまだ小学生の頃で、腰が抜けるほどビックリしました!
それで完結が2018年…。まだ4年ぐらいしか経ってないじゃんよww。
著者曰く「最初はもっと早く書き上げる予定だったし、巻数ももっと少ない積もりだったんだけど…」と、いつだったかお話ししていましたが、結果的にはこの歳月…。
(年老いた)実家の母は、当初「早くこの続きが読みたい!」と、新刊が出る度に買ってくる私へ催促していたものでしたがw、途中で認知症を患い、今この本の話をしても「あ~、そんな物語を読んでいた様な気がするねぇ…」等と切ない事を語っておりました。
だから、その分だけ自分 -
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わが国最後の希望…。
わが国のメディアは元総理が「暗殺」されても、その死を悼まずに葬式の費用を騒ぎ立てる。
この国の歴史に於いて、「首相が暗殺される」と云う事態がどれ程の痛恨事であり、「国家の危機」が近付いているのか、を真剣に考えよう、検証しようともせず、何十年も前に自分達がバカ騒ぎしていたくだらぬ宗教と故人に「浅からぬ密接な関係が有った」等と具体的な証拠も無いのに、初めて聞いた様な顔をして騒ぎ立て、徒に暗殺された自国の名宰相の功績にも泥を浴びせ、今や死んだことも忘れて現首相を些末な閣僚スキャンダルで追い詰めて意気揚々たるものである。
明日、飛んでくるかもしれないミサイルに対して何の備えも無く、今決めても -
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完全なる『傑作』!
今から15年程前に成りますか、NHKのスペシャルドラマと、劇場版映画でほぼ同時期にリリースされたんですよね。
そんな情報を聞き、テーマが「日航機墜落事故」でしたので、当時まだ中学生で夏休み中の事故で深夜まで報道番組に齧り付いて見ていたり、色々と想い出の多い悲しい事故でしたから、直ぐに原作を手に取りました。
「こんなドキュメンタリーみたいな生々しい、火傷しそうに熱い物語が有ったのか」と読後、ブルッと震えた記憶が未だに残っています。
ただ単にあの悲惨な事故を描くのではなく、あの事故でスクープをスッパ抜いてやろうと云う地元新聞社が舞台の、男たちが熱くぶつかるひと夏のお話と、主人公の親友 -
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日本生粋のピカレスクロマン。
初読は30年程前に成ります。
丁度、同じ河内山を主題としたSF(?)小説『講談 碑夜十郎』半村良著を読んだばかりの時でした。
なにぶん学生で歌舞伎の「河内山」など縁も所縁も無かった年頃でしたので、「悪党だけれど、本物の悪党は容赦なく懲らしめる」と云う筋立てにスッカリ嵌まってしまい、同様に河内山を主題とした作品を探していて、見つけたのが本書でした。
半村良さんの作品の方が色々と独自の脚色をしていたので、基本となるストレートな物語が読みたかったので即買いして読みました。
まだまだ若かったので、多岐川恭先生の作品も初読で、粋で衒いの無い作風に酔いしれました。この作品が切っ掛けで歌舞伎に興 -
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「国益」<「省益」志向の売国共
「財政再建派」(=健全財政派)の看板を掲げる財務省は「失われた20年」どころか、それを更に更新しようと躍起に成っている。
政治家が言う「積極財政」など「自分達が選挙で落ちたくないから、国民に媚びを売っている」としか見ていないのだろうが、この20年以上、そうした不毛な争いの末、どっち付かすの中途半端な財政政策を続けた為、日本の国力がドンドン低下している現在、彼等は何故そこまで「財政再建」に拘るのか?本書もそうだが、互いに自分達の主張をぶつけ合うばかりでは、話は進展しない。財務省への悪口も同様で、子供の喧嘩に等しい。
国力が低下し、国内経済が立ち行かなくなっても、「借金の無い健全な財政に戻 -
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新たな物語の方角へ…!!
デビュー当時から拘ってきた「お隣の国」からようやく御卒業に成られたようで、先ずは祝着至極。
彼の国は、現代においても「正常な国交関係」を結べているとは思えない為、いくら「伝奇小説だから…」「ホラ話だから…(失礼!)」と言われても、読んでいて「何とも表現の仕様がない不快さ」が拭えず、正直全ての作品を諸手を挙げて賛美する気持ちには成れませんでした。
でも、とは言え「嫌い」にも成れなかったのは、一重に著者の「山田風太郎テイスト」が何よりの大好物だったからに他成りません。
「でもまぁ、よくもこんなに沢山の作品が…」と半ば呆れ、半ば称賛してはいたのですが、流石に「読者も飽きてきた」と見たの -
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「例繰方」なる役職の妙。
昔からず~っと読んでいます。著者は、これ以外では人物伝など結構硬派な作品が多いですが、この作品は日溜まりの縁側の様なぽかぽかとした、尚且つ人の世の厳しさや難しさをサラリと描く、素晴らしい時代小説です。
最近は、「エラく腕の立つ剣客」や「○○屋に身を窶しながらも、世の悪を暴く」と言った類よりも、多少の緊張感は持たせつつも、のほほんとした温かい人情系や「日常の謎」を解き明かす様な穏やかな時代小説が主流に成ってきましたが、その源流に当たるのが本作なのではと常々思っています。
「ナルコレプシー」と云う現代でも厄介な病の上、とても「実入りの良い八丁堀」とは言えない、有る意味気の毒さも感じる主 -
ネタバレ 購入済み
やはりこの手は・・・。
2022年11月読了。
TVドラマが始まる前に入手していたのだが、何だかんだで積ん読していて、ネットニュース等で「信じられないどんでん返し」等の字句を見て、それなら「早く原作読まないと、碌にドラマも観られないな」と急いで読んだ。
感想としては、「○○が犯人」のパターンはそれ程世に珍しくは無いのだが、主人公が「全く○○の○力を持っていない」と云う点が、今までに無かったタイプなのかなと感じた。
ただ、この手法を使ってしまうと、その後のシリーズは初作の「神秘性」を全放棄することに成るので、主人公の魅力が半減してしまうのでは?と云う気持ちも残った。
正直言って、ラストのタネ明かし -
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ネタバレ 購入済み本当の真実は何処に有るのか…?
2022年11月読了。
つい先月、工藤會幹部、佐藤容疑者が逮捕された。本書内で「暴力団幹部X氏」とされていた人物だ。
本書では「餃子の王将」に関する、あらゆる後ろ暗い闇の部分を全て洗い直しているが、結局確定的な説は見出だせず、著者にしては珍しく前後に起こった同様の事件や、闇社会に関する独自ルートから仕入れた情報等を色々とまぶして「どうにか一冊の本にした」感じで、とても「真相に迫る本」とは言い難かった。
ただ、叩けば色々と埃の出る過去を持った企業であるのは間違いなく、著者としては本書中に記した怪しい闇社会の何れかか、怨恨の線も捨てきれないと踏んで、両論併記のまま書き終えている。
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ネタバレ
ただ只管に、感謝。瞑目…。
日本に於いて、こんな事が起こり得る等とは露ほども考えていなかった。
寄りにも寄って、安倍元総理を狙うなんて…。
その宗教団体の話は、20年以上昔から突っついて来た筈なのに、今初めて知ったかのように「カルト宗教」扱いで与党をひたすら攻撃するメディアには、ほとほと呆れる想いしかない。
今まで放ったらかしてきたのは、どっちなのか?それに踊らされている民衆は何処までお目出度いのか?
与野党含めて多くの政治家が関わりを持っていたのは自明の事実なのに、故人を筆頭に叩き放題叩き、国葬すら否定する恥知らずなメディアには反吐が出る程の不快感しか無い。
そろそろ頭を冷やして、元々の故人を悼む -
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私は「反安倍」を許さない!!!
2022年8月読了。
参院選の最中、7月に安倍元総理が暗殺された。
初めは「民主主義への挑戦」だの何だのと言っていたが、犯人の動機に某宗教団体が絡んでいると分かった途端、大半のメディアはこの約20年以上、自分達が放ったらかしにしていたネタを、初めて知ったかの様な振舞いで取り上げ、不発に終わった「モリカケ桜」の次のネタとして与党攻撃に利用するため故人を冒涜し、憲法上認められている事も知りながら「政治と宗教の癒着」等と日夜騒ぎ立てている。
ウクライナの戦争すら終わっていないのに、与党攻撃をすれば改憲阻止が出来るとでも思っているのだろう。
何がハト派だ!どこにタカ派が居る?!
日 -
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今まで何故隠されてきた?!
2022年8月読了。
「左翼系知識人」と云われる方々は、決まって百田氏を「浅薄な知識で捲し立てる、おしゃべりな右翼」扱いしますが、本書のような「歴史書に記載されている事実」に対して、何故何も発言しないのでしょう?
天安門事件も、今の中国では「絶対タブー」ですが、日本で取り上げ、論考する分には一向に構わない筈なのに、「歴史の一コマ」扱いです。
本書では、私たち日本人から見れば「常軌を逸した民族の悲惨な歴史」を、正に「忖度無し」で正史(!)から導きだし、暴露しています。
しかし、本来全てが翻訳されていれば、誰にでも理解出来たおぞましい残酷な歴史を、日本人は何故忖度し隠してきたのでし -
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素直に「司馬史観批判」と。
2022年6月読了。
近著『頼朝と義時』が大変面白かったので、こちらも、と思い、購入。
さて本書、好き放題書いたりメディアで訳知り顔で喋ってる「在野の」歴史家さん達の振舞いが目に余るので、『本職の研究者』として、(歴史を)分かった風に勝手に語るな!って思いが沸き上がってきて書かれたのかなw?と云う様な印象を受けました。
自分はたまたま愛読紙で、東大史料編纂所教授である本郷和人先生の連載コラムをいつも読んでいるので、研究者ならではの「そんな事、どの一次史料にも書いてないんだってば!」と云う忠告(お怒りw?)の気持ちはよく分かります。
確かに、巷間言われている事で「ソレって -
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大河ドラマの副読本として最適!
2022年6月読了。
「鎌倉殿の13人」を見ていて、「これは何処まで史実なの?何処からが創作なの?」と感じることが多く(それだけ三谷幸喜氏の脚本が素晴らしいのだが)、副読本に成るような文献を探していたが、単なる便乗本や執筆年月が古過ぎる本など、色々有って困っていたのだが…、コレは正にドンピシャ!!と膝を打つ良書だった。
当の著者が、そのドラマの歴史考証から外された事は全然知らなかったが、正直視聴者としては史実について教えてくれればそれで良いのだ。
読了後に感じたのは、脚本の三谷氏は「あくまで『吾妻鏡』を原作として書いている」と仰っていたけれど、中々どうして、著者の様な専門の研 -
結末の改竄を許しません!
長年のファンです。
講談社文庫で出された著書は、ほぼ全て作者の手によって書き改め、非常に残念の改竄が行われてしまいました。
独特な体現止めや、「キザ」と言われてしまう領域へ、寸止めのギリギリな痺れる台詞の数々に、当時の私達読者は「国産冒険小説であっても、ここまで格調高い文体をもって、世界へ勝負出来るのでは?」と云う儚い期待をしていました。
当時は、往年のJ.ヒギンズやギャビン.ライアル等も、一時の隆盛が収まり、「東西冷戦が一定の終息を迎えた時期~ポスト冷戦時代はどうなるのか」と、世界中がその先について色々と暗中模索をしている時期に、堂々と冷戦時代の「属国下であった日本の悲哀」を真 -
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新しい視点からの戦国絵巻!!
2022年6月読了。
新しく見付かった一次史料等も織り込ませて、「もう書く事が無いだろう」と云うくらいに沢山の小説や映画で取り上げられてきた秀吉~家康の時代を、全く新しい発想・視点から描き出した、大変に優れた連作短編集である。
確かに「賤ケ岳七本槍」自体は有名だが、その一人一人に着目した小説は意外と少なかったかもしれない。
その七人の青春時代(出逢い)から人生や様々な想いに至るまでを緻密に描くことで、実はその七人と密接な関係に有った「八人目」の石田三成を、鮮烈なイメージで浮かび上がらせる、この着想が先ず素晴らしかった。
主題の七人も、それぞれ複雑な事情やコンプレックスを抱え
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