上念司のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
脆弱なマネジメントに対して
・「脆弱なマネジメント」による優柔不断な経営は、常に現場の頑張りによって支えられている。しかし、負担に耐えかねた現場は反乱を頻繁に起こし、場合によっては暴走が止まらなくなることもある。これは組織における永久運動みたいなものだろう。
・転職とは、「ただ新しい組織に移ること」であって、「組織を抜ける」ことにはならない。
・資格取得も、スキル獲得も、結局は脆弱なマネジメント組織から逃れることにはならない。
準拠する法律や、監督官庁、資格ホルダーたちの組織(ギルド)のしがらみから逃れられない。どんな仕事も、何らかの形でどこかの組織のお世話になっているからだ。
・「世捨て人」として生きられるかど -
ネタバレ 購入済み
住まいと医療の問題
一部ご紹介します。
・「金持ちは資産を買う。貧乏人の家計は支出ばかり。中流の人間は資産と思って負債を買う」
「資産は私のポケットにお金を入れてくれる。負債は私のポケットからお金をとっていく」
・不動産物件は、購入した瞬間、「固定資産税」「維持費」という負債が発生する。
そして、経年劣化により、物件の価値は下がっていく。瀟洒な家もいつかは「古びた家」「冴えないマンション」に変わり果ててしまう。
・不審な人が近所に住んでいなくても、経済情勢の変化や体調悪化で、住宅ローンの返済計画は大いに狂ってしまう。
賃貸マンションなら、そうしたときでも、すぐに逃げ出すことができる。
しかし、マイホ -
Posted by ブクログ
上念氏の本は以前から読んでいたのですが、最近ネットにて「経済で読み解く日本史」のシリーズとして全5巻セットが文庫本で出ていることを知りました。文庫本なので持ち運びがしやすく、どこででも読めて助かります。
最後に読んだ五冊目は、江戸時代③です~
以下は気になったポイントです。
・有史以来、日本経済においてあれほど大きな存在感を示した寺社勢力は、江戸時代に入って没落した、その理由は秀吉の治世から日本が独自に通貨を発行することになったから(p2)
・日本は大東亜戦争の最中であっても憲法は停止せず、選挙も実施されていた。憲法停止、権力をすべてヒトラーに集中したドイツとは異なる(p34)
・危険 -
Posted by ブクログ
上念氏の本は以前から読んでいたのですが、最近ネットにて「経済で読み解く日本史」のシリーズとして全5巻セットが文庫本で出ていることを知りました。文庫本なので持ち運びがしやすく、どこででも読めて助かります。
第二冊目は、明治時代④です~
以下は気になったポイントです。
・明治4年の新貨条例は、新しい通貨単位を「円」として、金1.5グラムを含有した1円硬貨を発行した、これは当時のアメリカ1ドルであった、当時の基軸通貨だったメキシコドルラルと同量に定めた貿易決済用の一円銀貨を鋳造した(p49、51)
・明治3年の米価が1石9.30円であったが、新貨条例が制定されて5.63円に大暴落している、これ -
Posted by ブクログ
ネタバレ室町時代に続き発見が多く非常に面白かった。
歴史の教科書やドラマでは、「室町時代は武家の幕府があったものの権力を握ることが出来なかったが、戦国時代を勝ち残った信長・秀吉により天下統一された。信長・秀吉は偉大。」程度の描写であると思う。
しかし、当書を読むと信長・秀吉の天下統一は様々なパラダイムチェンジを伴う改革であることが分かった。
そのパラダイムチェンジとは、長篠の戦いにおける鉄砲隊の三段撃ちではなく、経済的な部分と、武士と大名の考え方であると思う。
室町時代において武家が力を持ちきれなかったのは、寺社仏閣が経済を握っていたからだ。
関所を設けて貿易を取り仕切り、貿易から得た通過で中央 -
Posted by ブクログ
このシリーズのいつものごとく、タイトルに出てくる大東亜戦争への流れは後半の終わりの方まで出てきません。
第一次世界大戦までの世界の情勢と経済の変動から大戦後の各国の動き、『金本位制』の始まりとそこからの脱却が主な軸です。
この本が発売されたのは2015年2月ですが、2019年5月現在も、この本の終盤に書かれている状況はあまり変化がありません。 未だに増税やむなし論を強弁している人たちにはどんな思惑があるのでしょうか。
民主党政権下の経済政策の論調と大東亜戦争突入前に経済失速させた連中の言ってることが同じなので政策失敗は当然だが、なぜ今の自公政権も同じ轍を踏もうとしているのか理解に苦しみま -
Posted by ブクログ
過去に起きた様々な事件、国や組織による諜報活動、それによって何が引き起こされたのか。 主にソ連、中国、アメリカ、日本の歴史の裏側を様々な資料から経済の動きと絡めながらあぶり出していく。
この本が書かれたのが2012年。5年以上前に書かれた本ではあるが、ここで書かれているあまりよろしくない状況にい2018年の今現在なりかけている感じがする。
ここに紹介されている工作活動の手順よんでて、過去を振り返るとそういえばこれに近いことは結構あったなぁと背筋が寒くなった。あのシナリオのかなりヤバイ所まで進んでしまった印象。
しかしこれが書かれた年より遥にネット環境が発達しているので、その環境をある程 -
Posted by ブクログ
この本、著者曰くシリーズの中では最速でタイトルに合った人物が出てきたらしいけど、シリーズのコンセプトとしてそこに行きつくまでの周囲の事象と経済的な流れを丹念に描こうとしているってな事なので、なんだかんだで織田信長の登場は最終章です。
そうは言っても、そこまでの流れが面白い。 寺社勢力の強大さや怖さ、どのようにして経済的にそれまでの権力に関わってきたかがよくわかる。 教科書読んでるだけじゃこの時代の面白さは判らないね。 経済だけがすべてではないけど、各勢力の行動原理の中に確実に経済問題は関わっていたのだろう。
意図的に信長を盲目的に称賛するのを避けているので、信長の有名エピソードも理論的に