上念司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大東亜戦争が起きた経緯を経済的な観点から読み解く一冊。
そもそもの悪は、金本位制にあったと著者は考える。
金本位制では、各国の通貨発行量は、国の金保有量に縛られるため、国が成長する過程においては、どうしても通貨が足りなくなる。
通貨が足りなくなると、デフレになり不景気になり、国民は困窮する。
国が通貨発行量を調整できるようにするためにも、各国は金本位制から脱却するべきだったのに、金本位制に縛られてしまったがために、経済は混乱し国民は困窮した。
平和な時は見向きもされない極端な思想も、生活が逼迫すると、危険思想に国民は飛びついてしまう。
こういった経緯で日本は、大東亜戦争に突っ込んでしまった。
そして、ドイツでは第一次世界大戦の賠償に苦しめられた国民が困窮し、ヒトラー政権が誕生した。
歴史は繰り返す。再び国民が、極端な危険思想に染まってしまわないように、経済を安定させることが国の責務であると著者は主張する。
戦争は政治の失敗であると再認識した一冊。 -
購入済み
わかりやすい
直近の出来事なので非常に分かり易い内容と構成になっているとと思った。経済の絶頂からずっと日本経済は低迷、そもそも格差を広げた景気浮揚策は海外の富裕層と一部の富裕国民のみ恩恵を受け、大部分の国民はギスギスして先の見えない長いトンネルに入ってしまったようだ。早く脱出するには格差是正が最も急がれる施策ではないか。
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Posted by ブクログ
経済で読み解く日本史シリーズを楽しく読ませてもらいましたが、その著書が書かれた本です。自らの経験をベースに、どのような視点でビジネスを起こすべきかの考え方を解説しています。
さらには稼いだお金を何に使うべきか、投資すべきかについてもアドバイスしています。彼が定義するところの「地位財=マイホーム、高級車、ブランドもの等」を溜め込んでも満たされる事はないという考えには同意するものがありました。私としては、借金を早めに返す予定での持つマイホームは良いとは思いましたが。
以下は気になったポイントです。
・傍から見れば何の価値があるかわからない「非地位財」は、その人のアイデンディに深く結びついているため、他人から見ると楽しいのかよく理解できない場合が多い。しかし、非地位財を持つ人はそんな他人の目などハッキリ言ってどうでも良い話である。なぜなら、それは自分の存在に関わる重大な問題だから(p28)
・収入の7割から8割で生活する習慣の重要性を強調する、例えば口座から2割を天引きしてドルコスト平均法で投資し、残りのお金で日常を設計する(p51)
・世の中に頼れるものがある優先順位をつけると、1)自分のお金、2)自分の実力、3)利害関係を共有する仲間、そして全く当てにならないのは、利害関係を共有しない友達である。これは金持ちになるための活動を推進するにあたり、当てにしてはいけないものである(p73)
・みかん畑に転用された桑畑というのは、戦前の日本の主な輸出品だった絹製品を生産するために、山の斜面を切り開いて造成されたもの。桑畑を持て余していたところへ、みかんブームが到来したので、みかん農家がたくさん出てきた、みかん農家に壊滅的な打撃を与えたのは、オレンジの輸入自由化ではなく、一発屋的なビジネスモデルであった(p81)
・自分自身で敢えて否定側に立って反論してみる「一人ディベート」で明らかにすることは以下の2つ、1)ある主張に「反証可能性」がある、2)その主張は「反証可能性」があるにもかかわらず現時点では論破できない。ここで、反証可能性とは、これが証明されできたら自分の主張を撤回しても良い条件を明確に提示することである(p84)
・世の中には2つの不確実性がある、1)リスク(確率分布が計算できる不確実性)、2)真の不確実性(ほとんど発生しないが、一度発生したら天文学的な被害を及ぼす不確実性)である(p89)
・何かにチャレンジする時、成功の見通しが7割になったらGOとする。これは3割以上のリスクを冒してはいけないということ。切り捨てる部門が、全体の収益や企業価値の3割を超えてはならない、7割残っていれば全滅することはない(p119)手持ち資産を三分割する、その一つが大きく育ったら、それをまた三分割する(p126)
・ビジネスを始めるのであれば、世の中が回復基調にある時にやるのではなく、危機に陥っている時に始めておいたほうが良い(p156)
・2018年のIMFの財政モニターという調査によれば、日本政府は負債(1517兆円)も多い代わりに資産(1482兆円)も多く、債務の純額はゼロ(36兆円であり、GDP500兆円に比較して小さい)であると評価された。この点について、政府資産は売れないとか、日銀が保有する国債をカウントするなとか、文句をつける人がいる。しかしそんなことを言い始めたら、トヨタの巨大なプリウスの製造工場もすぐには現金化できないので、トヨタの財務諸表は間違っっていることになる(p204)
・やめるべきことのリストを作って、即座にそれを実行する、それにより、あなたの行動を素早く変化させることが重要である(p220)
・金持ちになるために長期計画を作るために大事なポイントは、1)自分教を確立して着地点を決定、2)やめるべきリストを作成して即実践、3)低空飛行でも飛び続ける、4)ネガティブシンキングで最悪の事態を想定、5)最悪のピンチはチャンスと捉えて投資機会を探る(p229)
2021年2月27日作成 -
購入済み
大まかな負けない人生指南書
テクニック本ではなく、人生における指針や価値観の持ち方についての本なので、即効性はないが本質に触れている本だとは思う。著者の転職、起業、家の購入などの経験から感じた本音と実践がベースにあり、語り口も面白いのでサクサク読める。ただ、就活における自己分析本に当たるような本なので、この本から個別の人生や投資における選択をどのように行えば経済的な成功を得られるかという点までは得られないので、他のキャリア構築本なり投資指南本なりで補足する必要はある。
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Posted by ブクログ
上念氏による「経済で読み解く日本史」シリーズの最終版・平成時代(6冊目)です。文庫版サイズが今年(2020.7下旬)に出版されて夏休み中に読み終わったのですが、レビューを書くのが今になってしまいました。
歴史を学ぶのは楽しいですが、上念氏のこのシリーズのように「経済=お金の流れ」という切り口から、歴史上で行った事件を見てみると新たな気づきがあって面白いですね。
どの時代も面白かったですが、戦国時代や明治〜昭和について、もう一度読み直してみたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・三重野日銀総裁のインフレファイター的な金融政策のスタンスは引き継がれていった、平成大不況の原因はまさにこれである。この姿勢を改めるのに20年以上の歳月が必要であった、大蔵省の総量規制に加えて、三重野総裁は利上げをして景気を冷ましてしまった(p19、35、100)
・本シリーズの一貫したテーマは「経済的に困窮した人々はヤケを起こして危険思想に走る」1980年代末から始まるバブルの生成と崩壊、その後の長期停滞に至る流れはこの法則に当てはまる(p27)
・1990年頃のフリーアルバイター(フリーター)を経済的に支えていたのは、有り余るほどの求人であった、賃金は1980-97年までは右肩上がりであった、93年入社と94年入社の間でバブル崩壊の中でのターニングポイントとなった(p31、65)
・イトマン事件の3年後の1993年に引当金の計算式が、高橋洋一氏によって作られた(p57)
・郵政民営化の本当の理由は、あのまま続けたら郵貯は破綻し、多額の国民負担が発生する可能性が高かった(p135)
・変動相場制の国において金融政策のサポートなし(金融緩和をしない)に財政政策を発動すると、円高を通じてその効果は逃げてしまう、マンデル=フレミング効果である。これが2008年-09年にかけて起きたこと(p179、181)
・政府が日銀に売却した国債は、返さなくても良い借金である、金利は国庫納付金として政府に還流、元本も同額の国債を渡すことで永久に借り換えができる、日銀は448兆円の国債を保有(2018.3末)これを資産に加えるとと政府の債務超過は52兆円に激減する(p211)
・非正規社員が増えているのは高齢化という日本全体の問題である、正規社員が200万人増えていることはアベノミクスの成果(p235)
・実質経済成長率と輸入伸び率は相関関係がある、中国の2015年の輸入は14%減少しているので、経済成長率がプラスであったと考えられない(p244)
・国債のマイナス金利が実現しているということは、日本国債が市場から非常に信頼されているから、日本政府が将来返済できないなら、多くの人は国債を売却して国債価格が暴落、金利は上昇する(p250)
・米中の関税の掛け合いをした両国の勝敗を決するのは物価上昇率である、相手国の物価を上昇させた方が勝ちとなる、中国の物価は高くなった(p264)
・日本のコロナ対策戦略の肝は「大きな感染源=クラスターを見逃さない」である、感染源を正確に把握し、その周辺をケア、小さな感染はある程度見逃しを許容する(p284)
2020年9月26日作成 -
購入済み
勉強になりました。
経済は分かりにくい専門用語があるので、敬遠
しがちでしが、歴史という鏡に照らすことで、
理解が進みました。平成編も読みたいと思います
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Posted by ブクログ
この本の著者、上念氏の本は今までにも何冊か読んでいます。公開情報を基に数字で自分の考えを述べてくれるので読んでいてイメージが湧きます。今回は上念氏が取り上げる数々の事象が、日本経済にどれだけの損失をもたらしているかを解説しています。
すべての事象をすべて「カネ換算」して議論するのはどうかな、と思ったりもしますが、他の人に説明する場合、私の経験を通して最も有効的なのは「数字」だと実感している私は、彼がどのような根拠または推定をもとに、この本で紹介されている「数字」をたたきだしたか、今後の私の課題としたく思いました。
以下は気になったポイントです。
・高卒者の人数を100とすると、50人が大学進学、37人が正社員就職・2人が非正規雇用、6人が大学院進学する。給料面で恩恵を受けるのは43人、生涯賃金の差は男性で6000万円程度、大学の学費および奨学金の金利がこの差額より少なければ大学進学のほうが得になる(p35、36)
・最大の問題は保育園が巨大な補助金事業である、公立保育所は支出が収入の4倍あり、赤字はすべて税金で補填される。私立認可保育園は9割以上は税金補填(p53)
・出産退職により一人当たり8300万円所得が減る、出産退職者が7.9万人とすると、経済損失は6.5兆円となる(p53)
・NHKが保有する資産のうち、放送に使われているものは半分程度である(p95)
・以前なら泣き寝入りするしかなかったが、ネット炎上のおかげで警察も相手にしてくれないような案件でも個人が戦う手段を得たことになる(p101)
・ソフトバンクグループの展開するPAY PAYは、売上6億円で368億円の赤字、371億円もの販売費および一般管理費、最終的には極めて利の薄い商売である(p119、122)
・フェイスブックの仮想通貨リブラがアメリカ財務省やFRBによって事実上差し止められている事実は重く見るべき、理由はマネーロンダリング対策が不十分(p121)
・国債を買う人は現金または銀行預金を国債を交換しているにすぎない、埋もれていた資金が復興事業というリターンの大きい事業に投資されることを意味する。一気に大量に国債を調達しても国民の財布になんの影響もない。もともとなんらかの資産を持っていた人がそれを国債と交換するだけだから、阪神大震災の復興事業10兆円の財源は国債により調達されたが、その後2年間は景気が良かった(p128、129)
・産業連関表によると生産活動に中間投入される電力はGDPの2.3%程度、逆数をとると約44、電力の代えが効かないとなると経済活動は、電力コスト1の投入を前提に、その44倍の付加価値を生み出している。1日の発電コスト:17億円とすると、これを44倍した791億円が1日の電力コストを消費して得られる経済的な付加価値(p135)
・空き家は危険度に関わりなく周辺100メートル範囲に悪影響を及ぼしている。法律が定義する「特定空家等」はあくまで倒壊の危険、または衛生上有害な空き家のみ。法律制定から4年経過しても118件のみ(p145)
・鉄道インフラが整備されたことで大量の船大工が失業したが、物流を廻船から鉄道に変えたことで、内陸部から大量の生糸、絹織物を輸送することができるようになった。これを海外に輸出することで多くの外貨を稼いだ。江戸時代の物流網では生糸等の製造販売、サプライチェーンは構築できなかった(p153)
・日本の年間休日数はフランスより多いが、フランスの有給休暇取得率は100%に対して、日本は5割なので日本の休日数は129日でフランスの137日より少ない(p156)
・日本の投資率が上がらないのは、モノに対してお金不足であるから。お金の不足によりお金の価値が上昇、人々はお金を溜め込んでモノを買わなくなる。モノが売れなくなりモノの値段が下がり企業収益は悪化する(p169)
・韓国はホワイト国認定解除となったが、台湾やタイなど韓国以外のアジア諸国はもともとホワイト国リストに入っていない(p191)
・2015年中国公式統計の実質経済成長率は6.9%であったが、本当はマイナスだった可能性が高い、輸入の伸び率がマイナス17%であったので(p202)
・イランは欧米による経済制裁下にあるが、例外的に特定国(中国、インド、韓国、日本、台湾、トルコなど)に対する原油輸出(上限100万バーレル)が認められている、これらはホルムズ海峡を経由して行われておりイランにとって重要な収入源である(p207)
・ロシアは緊縮財政により1バレル40ドルでも均衡財政が実現可能だが、サウジアラビアは80ドル程度の原油価格を必要としている(p211)
2020年4月19日作成