感情タグBEST3
欺瞞に満ちた社会に対して
・悲しい時には悲しい音楽を聴くとよい。「悲しいのは自分だけではない」と無意識のうちに感じるため、
少しづつ悲しみが癒されていき、やがて立ち直る事が出来る。
泣くという行為には浄化作用がある。本当に辛い時は言語化も出来ず、意識も出来ない。
ひどい時には蕁麻疹や円形脱毛症などの症状として現れる。
しっかり意識して泣けているのは、癒されている途中であり、精神状態としてはとても望ましい状態だ。
・子供たちは「人を殺してはいけない」と教わって育つ。
だが現実にはそうなっていない。戦争に行ったら人を殺せと命令される。実際に人を殺している大人たちはたくさんいる。
それで平気な顔をしてのうのうと生きている者も存在する。歴史上そうしたことは山ほど行われてきて、今も行われている。
それなのに、なぜ自分たちは真実を教わることなく、それを否定することだけを教えられているのか?
「それは欺瞞でないか?」。そう感じながら育つ子供たちはとても多いのだ。
・人は人を殺すように出来ている。そうでなければ私たちはここまで生き残ってこられなかった。
これまで戦闘行為や戦争は数え切れないほど行われてきたし、日常的に殺人行為も起こる現実の中で、
それに目をつぶって「人を殺してはいけない」とあえて言わなければならないほど、
私たちは人を殺してきた事実を知るべきなのだ。
そのためには、やはり「人を殺してはいけない」と繰り返し言い続けるしかないが、
一方で公共の場では「人は人を殺すように出来ている」といった主張は排除される。
・条件さえ整えば、時と場合によって誰でも簡単に人を殺してしまうのが、人間の厳然たる本質である。
「自分もやっていたかもしれない」と思うことで初めて、人間がこれまで行ってきたことや、
社会で今行われている事に対して、より真っ当な理解を深めることが出来る。
そして、より自分の行動を深く見つめて、律するべきところは律しようと思うきっかけになるのではないだろうか。
・欺瞞に満ちた社会に対して、暴力に拠らずに音楽の力で強烈な一撃をくらわすこと、それこそがメタルの存在意義なのだ。
Posted by ブクログ
テレビでもよく見る脳科学者・中野信子先生が、自身も好きなメタルが好きな人達を脳科学的に分析した本。2019年作品。
まず最初に、孤独感を感じていた少女時代の先生がメタルに出逢う、という自分語りから始まっています。それがあまりにも感動的で、1ページ目から泣きそうになりましたよ。第1章は、こうした中野先生の中高生時代の音楽体験が書かれていて、偏差値高め少女のメタル話はボンクラ男子のメタル好きしか知らない自分には、非常に新鮮で興味深く読みました。
第2章以降では、メタル好きな人達に特有の気質を見事に言語化してくれていて、所々で脳科学の専門用語が使われる難しさはありましたが、色々と納得する事が多く楽しめました。
中野先生の冷静に分析した文章も良かったですが、それ以上に感動したのはメタル好きだという中野先生の知人の言葉。
ミュージシャンとファンの絆を「メタルミュージシャンたちは、デビューアルバムを出したときにすでにファンと“盃”を交わしているんだ」と言い、自分が好きになったバンドを誰かに勧めて気に入ってもらいたくなる衝動を「まるで離れ離れになった家族を捜しているような気持ちになる」と言う熱さ。
こうしたメタル好きの熱さが不思議に思う人は、是非この本を読んでいただきたいですね。
Posted by ブクログ
元メタラー(今コンスタントに聴いているのはアイアン・メイデンとメタリカくらい)なので、タイトルに興味を持って読んでみた。
本書は音楽本というよりも、脳科学と心理学(特にパーソナリティ理論)の解説本。したがって、メタルという音楽とアーティストを脳科学の観点から掘り下げる本だと期待して読むと、期待外れと思う可能性が高い。
つまり本書に対して何を求めるかによって、評価が全く変わるということである。メタルという音楽についての深い洞察を求めるのであれば、伊藤政則氏の本を読んだ方がはるかに満足できるだろう。
読んで思ったのは、脳科学と心理学には非常に密接な関係があること。おおよそメタルとは関係ないことを本書から感じ取ってしまった。
ただ著者のメタル愛は強く感じるし、メタルという音楽に対するステレオタイプを打破しようという意気込みも感じる。
一つ「なるほど」と思ったのは、落ち着こうと思って静かな音楽を聴くとかえって落ち着けないというくだり。たしかに落ち着こうと思ってバラードを聴くとかえって落ち着かなくなる一方で、ハードな音楽、バンドで言えばアーチ・エネミーや、メタルではないがラモーンズなどを聴くと気分が落ち着くということは多々ある。
おそらく、パーソナリティ理論でいう「最適刺激」が関係しているのだろう。
Posted by ブクログ
メタラーならなるほどと思ったり、とても共感できることが脳科学や心理学の見地から書かれている。専門的な言葉も多々出てくるが、それをわかりやすく置き換えたり具体例を示したりしながら説明してくれているので、読みやすい。
メタルなんて…というステレオタイプな反応をする人たちは、この本の言葉を借りるなら、脳が未熟な「子ども脳」であって、自分達のことをメタ認知できない人たちなのだという。
未熟な子ども脳の「大人」が声高に叫ぶせいで、世の中があらぬ方向に流されてしまうという危惧もある。
メタルという切り口ながら、世界の趨勢にまで言及されているのはとても面白い。
Posted by ブクログ
枠の中に収まるのではなく、ストッパーを掛けずに突き抜けたところにあるものを楽しむ姿が、荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』(集英社新書)で語られていた考え方に似ているように思った。
Posted by ブクログ
もちろん筆者のことはテレビで知っていて、
「なんかヘンで説得力ある人だな」
と気になっていました。
このタイトルからしてヘンです。
でも、期待通り、ヘンで興味深いものでした。
音楽は好きですが、メタルは避けていました。
でも共感できた、残念ながら笑
聴いてみようかな、メタル。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった!テレビで見るレベルでしかないけど著者が好きだし、あの淡々とした分析が納得感もあり楽しい。オキシトシンの効果が、一般的に言われているもの以外にも多くあり、それがこれに繋がるのかととても興味深かった。小難しいこともなく、さらっと読めるのがまた良い。
Posted by ブクログ
まぁ、自分が好きなことを脳科学者が論理的に説明するので、分かりやすく、腑に落ちる。自分の感情を覗かれているようで不思議です。
誇大化しすぎてると思うけど、他人からの干渉を嫌がり、とは言え他人にも共感してもらいたい、育てたという誤った感覚を持ち新境地にはアンビバレントな感情を持ちならが否定する、孤独を受け入れている
うーん、その通り。メタル好きはそういった傾向にあるね、特に日本は、と思うなぁ
Posted by ブクログ
「天才は残酷な音楽を好む」/著者中野信子は、残酷な音楽であるメヴィーメタルを好む/だから脳科学者中野信子は天才の一人である、、といった自惚れた本ではない(笑)。
前半、自身の性格とか辛かった過去を赤裸々に告白しながら、メタルという音楽によって救われてきた体験を語り、メタルという音楽の影響力を自身の体験を通じて語る。
この時点では、単なる著者のこだわりからくるコジツケなのか、脳科学の分析に基づく客観的発言なのかが不明であった。
ただ、著者が述べるメタルファンの特性のとらえ方は、自分(メタルの一世代前のハードロック世代ではあるものの)に当てはめてみてもかなり共感できる部分があったのは事実だ。
さて、後半に入ると、徐々に脳科学者の本領を発揮してくる。
著者自身、過去に「脳と音楽」についての研究を真剣に行っており、本書についてはずっと書きたいと思っていたテーマだったようだ。
大学や学者の「音楽のジャンルと個人のパーソナリティ」の関係性の調査結果などをもとに、クラシックのファンとメタルのファンの共通する特性を明かしたり、またはメタルファン独自の特性を明かしたり、脳の部位の働きとパーソナリティとの関係性を述べたりしている。
さらには、世界中で台頭しつつあるポピュリズム(=端的に言えば付和雷同的な風潮)を著者は、民主主義崩壊の危機と懸念しており、それにストップをかけられるのは、大衆迎合を嫌うメタル的な思考であるとまで論旨を広げている。
本旨の受け取り方は、読者様々だろうが、世間にウザい音楽と認識される傾向の強いメタルこそが、実は若年期の傷つきやすい心をケアするものであり、嘘を許せない正義感の強いものが好む音楽であり、これからも期待されるべきジャンルなのだというビュアな訴えに好感をもって読むことができた。
Posted by ブクログ
読んでいて頭を過ったのが、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長が説く「脳幹論」であった。人には苛める快感がプログラムされているという件など当に戸塚先生が以前より力説している論と被る。
Posted by ブクログ
「脳科学から見たメタルとは」という本を出しただけで、勝ち誇っていいと思う。
内容は「メタル脳」というよりも「脳科学的鋼鉄魂」という感じか。冒頭の「著者が語るメタル」は、この著者が書かれたこれまでの著書ではなかった姿勢の書き方でこれはこれでたのしいと思う。
「あ、サミー・ヘイガーの声が苦手なのね、俺は好きだけど」とか、これこそ音楽を語る楽しみのひとつなのだから。
肝心の「メタル脳科学」は読んでいて思わずドキッとするようなところが随所にあっておもしろい。
Posted by ブクログ
【自分はやっぱりメタルファン】
中野氏のチョイスは自分の範囲よりディープでコア、あまり踏み込んでない領域。良いバンド知ることができた!
メタルは「非社会性」の音楽であり、排他的な面がある。カラオケに行って歌うものがない、流行歌を歌う人とは違うのだよと思う。
自分はメタルファンだと感じる典型的な場面だ(笑)
自分が人と違うことの「快感」を後押ししてくれる音楽がメタル。エナジーをもらえる音楽がメタル。
今年の目標はライブに行って「毛穴」で体感してきたい!
Posted by ブクログ
著者と同じく、学生の頃からメタルを聴き続けている者として、その深層には何があったのかを知るべく読んでみた。
メタルと言ってもサブジャンルを含めてとても幅広く、私自身、メタル以外を拒絶する訳でもないので、解釈が難しい面もあるが、純粋にメタル好きとしては仲間がいて嬉しい面もある。
一方で、言及されているように、天邪鬼な面もあるので、「へっ、関係ねえよ」と思う自分もいたりする。
モーツァルト効果というものが否定されていることは知らなかったが、未だに胎教にはモーツァルト、みたいな風潮があるのは、その子の成長に影響する要因が多すぎて、相関関係がよくわからないという面があるんだろう。
そういう意味で著者の研究分野は難しい分野だなと思った。
章内のサブタイトルが多過ぎて、せっかくの文章が途切れてしまって少々読みづらかったかな。
ミシュクル、知らなかった。
Posted by ブクログ
私も自称ではあるがガチのメタラーだと思う。
自分のトリセツを読んでいるかの如く頷けることが多々ある。
完全な読み物として暇つぶしに読んでほしい。
Posted by ブクログ
著者は、これまでに脳科学という学問領域から得た知見を
一般向けに分かりやすく解説してきた。
過去には
「ヒトはいじめをやめられない」
「不倫」
等、時流に乗ったテーマを脳科学の視点から
学者らしくロジカルに分析している。
しかし。
今回、「ヘヴィメタル」と意外な領域を取り上げた。
それは何故か。
著者は思春期にヘヴィメタルの「洗礼」を受ける。
周りの女子が光GENJI等、流行りの音楽に熱中する中、
とても「ヘビィメタ」とは口にも出せない自分に
苦悩を抱える。
実はそんな時期が自分の「個」を形成したプロセス
だったと振り返る。
「内面性の高さが、同時に社会からの影響の受けにくさ
であるなら、それはこれからの社会を生きるうえで
強力な武器になるでしょう。
なぜなら、いまの時代というのは社会そのものが
リスクだから。」
ロジカルな著者が、今回は非常にエモーショナルな
一面を見せてくれた。
Posted by ブクログ
おもろいです。「メタルの嗜み」を文章化した初の試みって感じ。ちょっと俺と守備範囲が違うのだが、メタル好きの雰囲気がよくでている。「脳」関係ある?って気になるところだが、それもギャグ。文章自体にリフが利いてる。
Posted by ブクログ
非社会性が大きなテーマになっていますが、側からはとても社交的に見える人も本人に聞くと本当は人に合わせたりするのは苦手と言う人が多い気がします。
本書は、メタラーのメタラーによるメタラーの為のメタルアルバムような本Deathlml