水谷淳の一覧
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ユーザーレビュー
一見難しいパズルが、見方を変えることで簡単な問題に置き換えられる様を体験できる。パズルはすぐに覚えられる短いもので、本を閉じて他のことをしながらゆっくり考えることができる。自力で解けた時も楽しいし、より簡単に解ける解答を読むのも楽しい。発想の転換はどれも物理や数学で重宝されるもので、その一端を知れる
...続きを読む のもよき。
Posted by ブクログ
やさしそうな見た目とは裏腹になかなか読み応えのある難しさの本でした。
かつて、数学とは何かを数値化するために使うものでありましたが、現在、さまざまなことが自動化されたおかげで、使うものではなくなってきています。
例えば、お釣りの計算はレジでやってくれますし、目的地の最短ルートはわざわざ地図と睨
...続きを読む めっこする必要もなくなりました。
数学はこうして使うのではなく、「欠かせないもの」として変化していった、と冒頭で述べられています。
また、数学は、作られた当初の目的とは思いもよらない形で利用されていることが多く、この本においても、そんな数学が主に取り扱われております。
何か新しいものを生み出すとき、予想もしていない使われ方をすることはよくあります。もちろん悪用も含まれています。
しかし、技術を自分のものだけとせず(ただし、誰が作ったか、は明確に残す必要はあります。)誰もが使えるようにすることで、驚くほど快適に過ごす環境づくりの役に立つかもしれません。
…ただし、この本はやはり難解で、読み終わりましたが消化不良に陥りました。時間をおいて再トライしてみようかと思います。
Posted by ブクログ
・人間の思考パターンが形作られる上で、科学が重要な役割を果たしていると同時に、
科学理論を作る上で人間の思考パターンが重要な役割を果たしている。
・型にはまった考え方は、科学者や革新を目指す人にとって好ましい態度ではない。
科学は、先入観や権威の天敵だ。
革新的なブレークスルーを起こすには、
...続きを読む 誰もが真実だと信じている事柄に逆らって、
古い考え方を新しい信頼できる考え方に、置き換えようとする意欲がどうしても必要である。
科学の歴史および人間の思考全般の歴史に立ちふさがる、前進を妨げる障壁が一つあるとしたら、
それは過去や現在の考え方に対して、必要以上に忠実であることだ。
かつて、古代ギリシアのアリストテレスが奴隷制を擁護していたように。
・「すべての出来事には理由がある」という考え方は、
自然災害などの惨事を受け入れようとしている人を慰めてくれるかもしれない。
科学の考え方は違う。我々の人生は、偏見を持たない法則の結果だ。
良かれ悪しかれ究極的には、この世界を支配する中立的な数式から生まれた賜物、奇跡であるとする考え方だ。
・社会、ビジネスの世界では、他人にうまく溶け込めない人は避けられがちだ。
しかし、他人が気付かないことを見抜けるのは、そういう人たちに他ならない。
・革新は、それにふさわしい物理的および社会的環境の中で起こるもので、
遠い地の人たちが革新にほとんど貢献しないのは偶然ではない。
・我々人間は、自然の中に美を見出し、その意味を探す。
宇宙の仕組みを知りたいだけでなく、自分がその中にどのように調和しているかも理解したい。
自分の人生とその限りある存在を他のものと関連付けて、他人やその喜びと悲しみ、
そしてその喜びと悲しみがちっぽけな役割しか果たさない広大な宇宙とのつながりを感じたい。
・成功した科学者は柔軟で型破りな考え方をし、忍耐強く取り組み、他人の考えに拘らず、
見方を変えることを重んじ、答えは確かにあってそれを見つけられると信じていた。
・科学に終わりはない。
mac
こんなに分厚い本、しかも超一流科学者が考えた内容なんて、ちゃんと最後まで読めるかなーーー???と思いつつまえがきを読み始めたところ、そのまま引き込まれて一気読みしました。
詳しい科学の内容が理解できたわけではないけれど、「ネコひねり」が写真術から始まって、宇宙やロボットetc.といろんなところへ広
...続きを読む がっていくのがすごい。
いやーーー、科学者ってすごい。
ネコが愛されているってこともよく分かりました!
Posted by ブクログ
著者は頭の子音を揃えた、原題「Falling Felines & Fundamental Physics」というタイトルがお気に召しているようだけれど、もし書店の本棚にこの背表紙の本が在ったとしても目にとまるか微妙だなと、まず思う。それは米国流のエスプリなんだろうと思いつつ、邦題の少々くどい言い回し
...続きを読む の方がより多くの人の好奇心を刺激するだろう(猫だけに)。ただし、本の内容としては原題の方が正確に内容を要約していて、うっかり「ネコひねり」の問題のみ取り上げた本だと思って読み始めると、あちらこちら寄り道するように語られる物理の基礎的な法則に関連する逸話とかが少々余計に思えてしまうかも知れない。でも基本的に著者が目論んでいるのは日常の些細と思える現象に実は物理学の根本に関わるような問題が絡んでいるってことに専門家以外の読者にも気付いて欲しい、興味を持って欲しい、ってこと。
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」で有名な物理学者ファインマンも、自身の研究対象であった量子電磁力学に関する啓蒙書を書いているけれど(そのタイトルはズバリQED。量子電磁理学、Quantam ElectroーDynamicsの略でもあるけれど、もちろん証明終わり、Quod Erat Demonstrandumも意識はしているんだろう)、こういう科学啓蒙書を欧米の科学者は比較的熱心に出版するという印象はあって、なるほどこれもそういう一冊なのか、と読み終えて腑に落ちた。確かに、特に米国では、そういう出版物はポピュラーだしね。
日本でも講談社がブルーバックス・シリーズを出し続けて、いわゆるポピュラー・サイエンスというジャンルの本はあるにはあるけれど、少々残念なのは、新書ではなく単行本として本格的にそのジャンルを手掛ける専門家が少ないこと。また海外で話題となって翻訳されて日本で紹介される際にも、どうかすると「話題性」のようなものに焦点が先に当たった形で紹介されることが多く、科学的好奇心が喚起されるかどうかは二の次的な感じがしてしまうところ(出版社の責任ではないけれど)。例えば少し前に話題となったカルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」とか、更に遡ればスティーヴン・ホーキングの「ホーキング、宇宙を語る」とか。もちろん、それはそれで専門家が考えていることが広く知られるようになったという意義はあっただろうけど、読んだ人が自分でも考えてみるように仕向けた本というのは、日本では余り人気がないような気がする。ファインマンが「QED」を道端で嬉しそうに読む少年の写真を研究室に飾っていたという逸話を何処かで読んだ記憶があるけれど、そういうレベルで科学に対する啓蒙活動というのがもっと盛んになればいいのにといつも思う。なんて言いつつ、自分も原題通りの邦題なら手に取ってないかも知れないので、他人事じゃないんだけれど。そんなことを考えていて思い出したけれど、ポピュラー・サイエンスの本を何冊も翻訳している青木薫さんの仕事にはいつも感心しているってことは書いておきたい。
さて、本の内容としては、確かに猫が空中で行うくるり一回転の宙返り(ニャンコ先生は三回転もできるけど)は、どんな力学的な運動として説明できるかということを中心に書かれており、それが思いの他深遠な物理学的難問であることが徐々に明かされていくという筋立て。そういうと何だかハリウッド映画の宣伝みたいな「ストーリー」に聴こえてしまうけれど、実際には、如何に人間が物事をなるべく単純な原理で説明したがる生き物であるかということの裏返しの話とも言える。実際、物事を深く理解すればする程、実態はより複雑であることが解ってくるというのは、きっとあらゆる分野の実務経験者が実感していることなんじゃないだろうか。データ解析の例を取ると、最初は直線回帰で推定することで満足していたものを、より精度よく推定できる関係式を導こうと多次元化、非線形化して推定誤差を小さくしようとするのはよくあること。けれど、それが実際の現象の「正確な」描写なのかは別問題。実は、本書のいいところは、その視点をちゃんと押さえているところだと思う。
世の中ビッグデータ解析だのマシンラーニングだのと人が単純にイメージできる関係を越えたデータ解析の結果を志向する方向に流れているけれど、現象を再現することと現象を理解することは違うってことがはっきり認識されていないことが多い気がしてならない。理解とは所詮人間の脳が持つ能力で因果関係を見出すということなのだから、ともすればカオス的なふるまいが絡んでくる自然現象の詳細全てを説明することとは自ずと意味が異なっていて当然だ。本書の話で言えば、猫が角運動量や重力場の影響や流体力学を駆使して空中で回転する筈もないけれど、その動きの大まかな必然性を物理の言葉で言うこともできるというのが、本書の提示する「理解」であり、Fundamental Physicsという言葉のニュアンスでもある。一方で、猫は進化の結果得た生物学的能力や個体の経験値(当然、宙返りにだって個体差はある)を基に何気なく宙返りをやってのける。人間の体操選手だってもっと複雑な動きを、訓練で覚え込ませた身体と脳の出力結果としてやってのける。もしも違いがあるとすれば、人なら力学的に分析した結果を運動野ではなく前頭葉でも理解して改善できるってことかも知れないけれど、猫の宙返りの研究を体操選手が参考にしたという話は本書では少なくとも取り上げられていない(ただし宇宙飛行士が宇宙空間に漂う船内でどう姿勢を制御するかに応用したという話は出てきます)。
Posted by ブクログ
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