Posted by ブクログ
2015年12月07日
「対称性」ということなので、素粒子理論やひも理論のことが出てくるのは分かっていた。ただ、その説明のために高次方程式の解を導く公式から始まるのは想定外。ただ、読み進めていくと納得できる。高次方程式の解法が、何かが不可能であることを証明することや、複素数という新しい「数」の発明、という数学の歴史の中でも...続きを読む大きなステップにつながる出来事でもあったということがわかるからだ。そして何より、現代物理学にとって重要な「対称性」の鍵となるガロアの群論がここから始まったからだ。
(群論は、大学のときに全く頭に入らなかったことで覚えている。大事なんだろうなとは思っていたのだけれど...)
量子力学の歴史や、ひも理論、多宇宙理論などの歴史を綴った科学書はいくつか読んだが、「対称性」を鍵に、さらにレイヤを上げてそれらの歴史を再構成したようなイメージの本だ。「対称性」ということが理解できたかというと、できてはいないのだけれど、そのフレーバーは感じることができた。8元数の性質が、ひも理論の次数が10次元であることを基礎づけるかもしれない、ということが出てくると、数学と物理学(現実)がつなが意外なところでつながるようで、心惹かれるものがある。
数学と物理学のダンス。物理学にとって「真」とは何か。数学にとって「美」とは何か。決して簡単な本ではないが、改めてそういったことを考えさせてくれる本。でも、ちょっと難しいね。