土屋政雄のレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    生まれた時から自分の使命が決まっている。見ず知らずの人のために生きて、覚悟して、自分で選択して終わりを迎える。どんな気持ちなのだろうか。
    私はこれまで、自分のことは全て自分で選択してきた。それがどれだけ恵まれている環境だったのかと改めて感じた。親にも、夫にも、感謝しかない。
    医学のために存在するクローンの人権についても考えさせられた。現代の医学では、「臓器だけ」だけ作る、よりも「人間」の方が作りやすいんだって。誰かが犠牲にならなくてはいけない世界。今後もより良くなることを願うばかり。研究者の方、日々ありがとうございます。

    キャシーとルースは、私と親友Aにとても似ていて何度も思い出さずにはいら

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    2026年02月28日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    面白かった…再読すると思う

    運命に悲しくなるんだけど
    青春時代を感じてどこか胸が温かくなる

    ノーフォークでキャシーとトミーが2人になりテープを探すシーン
    何だか私まで学生時代のきゅんきゅんした気持ちを思い出させてもらったよ…

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    2026年02月27日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    自分のためじゃくてジョジーのためだけに全てを尽くすクララが持ってるのは、果たして人間的な心なのか。思いやりや憐憫は確かに心の一側面ではあるやろうけど、保身、嫉妬、依怗みたいな醜い感覚が排除されてるそれを心と呼んで良いのかは難しい。
    とはいえそんなクララが、人間を特別たらしめるものを看破してるのが何よりも尊い。

    お日さまとの約束とかいう、信仰に近い論理に心からの希望を見出してる感じ、映画『A.I.』と同じくSF作品の中でファンタジーに解決策を見出す矛盾と無力感があった。このパターン心が苦しいからやめて欲しい。

    最後の店長の「B3型には愛情を感じられなかった」という言葉、人間に近づき過ぎたもの

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    2026年02月21日
  • 夜想曲集

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    人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。

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    2026年02月21日
  • 日の名残り

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     終始穏やかで、優しくて、温かい小説。執事・スティーブンスが語るダーリントン・ホールでの出来事や旅先の田園風景から、イギリスの歴史や魅力がじんわりと心に伝わってくる。
     ミス・ケントンの「言いたいことはきっぱりと言う」キャラクターや、執事業一筋なスティーブンスとの凹凸感が微笑ましい。特に、2人が小競り合い的に会話を交わすシーンでは、互いの丁寧な口調の中にイギリス仕込みの皮肉が詰まっていて堪らない。また、世間での評価が芳しくないダーリントン卿に対し、一途に敬慕の念を抱き続けてきたスティーブンスに感じる哀愁は、何とも筆舌に尽くし難い。

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    2026年02月19日
  • 日の名残り

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    映画公開時に、映画を見て小説も読んだんだけどまったく理解してなかった、と思う。
    カズオ・イシグロのノーベル賞受賞(受賞から数年経っちゃってるけど)でちゃんと読んでみることにした。

    1956年、オックスフォードの由緒正しいお屋敷ダーリントンホールに勤める初老の執事スティーブンスは、今のご主人ファラディ氏の休暇に伴い小旅行を計画した。ダーリントンホールは以前は名門貴族ダーリントン卿の持ち物だったが、卿の死後アメリカ人富豪ファラディ氏が屋敷を買い取り、スティーブンスはそのまま新しいご主人に仕えている。政財界に携わり世界の情勢に影響力を持つイギリス人貴族と、戦後の自由なアメリカ人。ご主人の違いにも悩

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    2026年02月01日
  • 月と六ペンス

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    名著と言われ尻込みしていたが、面白かった!話に緩急があって飽きさせない。ストリックランド(≒ゴーギャン)は確かにこういう人間だったんだろうと思わせる。自分勝手で女への愛情はほとんどないが、人目を一切気にせずひたむきに美を求める男。本当はストラードみたいな男と一緒にいた方が幸せになれるんだけど、結局ストリックランドみたいなやつを好きになり破滅するんだよね。

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    2026年01月29日
  • 日の名残り

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    途中まで、いや、6割読むまで!何が面白いんだろう。ここから何が起こるんだろうと考えながら読んでいましたが、最後まで何も起こりませんでした。

    ネタバレとなりますが、この、「信頼できない語り手」の無意識のバイアスを上手に表現していて、読後は、スティーブンへ思いを馳せ、作者の技巧に感嘆することになると思います。

    興味があれば!ぜひ!

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    2026年01月26日
  • クララとお日さま

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    悲しい終わり方。クララに感情移入してしまった。そこは筆者の力技ともいうべきか。映画A.I.に近い筋立てだが、こちらは、人間の心の核というものを掘り下げている。登場人物は、現代と変わらない心の浮き沈みがあり、そこの描写も面白い。

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    2026年01月23日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    希望が砕け散り、真実が明らかになっても絶望せず、平穏な日々を送り続けるトミーとキャシー。

    割と中盤で彼らはクローン人間で、臓器提供の為に作られたと明かされる。が、臓器提供の為に死ぬっておかしくね?ってなるはずなのにそのまま物語が進んでいくのが少し怖いまであった。

    君たちはどれだけ恵まれた人間かを説くエミリが印象に残る。諦念を避けるために全てを教えないという意見は筋が通っているが冷酷で、むしろそっちの方がルーシー先生の意見よりも理論的ではと思った。

    仲間の死を見届ける役割までもクローンにやらせるという自己完結性は彼らの制限された世界を象徴していると思う。(オリジナルによる良心の呵責や罪悪感

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    2026年01月20日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロさんの『クララとお日様』を読みました。

    物語は、AF(人工親友)であるクララの視点で語られます。
    最初は聞き慣れない用語が多く出てきて少し戸惑いますが、丁寧な筆致を読み進めるうちに、徐々にこの世界の輪郭が見えてきます。

    ハッキリとは描かれていませんが、科学技術が進歩しすぎたことで様々な分断が生まれている、そんな「ディストピア」な社会であることが想像できます。

    そんな厳しい世界の中で、常に人に寄り添い、優しくあろうとするクララ。人間よりも、信仰心を持ち続ける彼女の方が、よほど人間味を感じられる点がとても印象的でした。最後にクララが見出した、「人間を人間たらしめるものは何か?

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    2026年01月17日
  • 日の名残り

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    品格とは何かを問う素晴らしい小説。

    主人公のスティーブンスは偉大なる執事として、感情を排した献身こそが品格であると信じ生きてきた。
    しかし、幾つかの出来事が示す様に、その信念によって自らの人生を縛り、結果として取り返しのつかない後悔を生んでいった。

    では彼は自らの心に誠実でなかったから、品格がなかったのか?そうは思えない。

    もしここで彼が過去を否定し、失敗を他人のせいにし、感情を受け入れていなければ品格のない人間に成り下がっていたのかもしれない。
    しかし、彼は旅の中で、自らの後悔を受け入れ、人生を投げ出さず、執事として生き続けることを選んだ。

    自らが生きてきた人生に向き合い、後悔を受け

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    2026年01月11日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    キャシー、ルース、トミーの微妙な距離感は何なんだろう。ただの三角関係だろうか。トミーからキャシーまたはルースにアプローチする場面は印象に残っていない。であれば、トミーの魅力はどこにあったのだろう。目立つ子供ではあったが癇癪持ちで扱いにくく、ヘールシャムの生徒同士で尊敬を受けるバロメータである「どれだけいい作品を作れるか」という点ではからきしである。しかし、キャシーもルースも他の男性とも関係を持ちながら、最終的に大事に思っていたのはトミー。この点に限らず、本作は色々な問いを立てることができるように思う。

    読書中の予想として「作品」は何かの犠牲者である生徒それぞれの記念品ではないかと考えていたが

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    2026年01月06日
  • 日の名残り

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     訳者が相当に技量のある人なのだと思う。特に感嘆詞などは、一体これに該当する英語は何になるのだろうと想像しても全く思い浮かばないが、不自然に思う瞬間や違和感を感じる瞬間は全くなかった。物語を楽しめた。
     一方、訳者の技量に頼らず生の英語によってダイレクトに本書を読みたいという気持ちも芽生えた。日本語でこんなに心地よく読めたなら、英語ならどれだけ素晴らしいか、、。
    次は英語で読むべきだろう。

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    2026年01月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    前情報が「信用できない語り手」しか無く、この言葉を理解できていなかったため、変に期待して読み進めてしまったためあっさりとした読後感になった。

    この本は、というかカズオイシグロというかキャシーは(トミー〜ヘームシャル含め)記憶をテーマにしていて、p426に一度だけ「これをお読みの方も」と出てくる。これは、私が途中から感じていたこの回想は誰に向けての語りだろうというものの終着点であると感じた。つまりキャシーに、ヘームシャルのことを、読者である私たちが教えてもらう体験型小説のような感覚のため、没入して読めたのかもしれない。

    回想形式で進められて行くためたった1人の語り手であることに気付いてからそ

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    2026年01月16日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    無駄な装飾が無く淡々と進むのに、惹きつけられ深みのある文章だった。ある意味近代的なテーマなのに古典のような安定感がある。
    また幼少期から思春期を超え、大人になるまでの登場人物の絶妙な関係性の揺らぎがものすごいバランス感覚で描かれていて、ノーベル賞作家の格の違いを感じた。

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    2026年01月04日
  • クララとお日さま

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    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

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    2026年01月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    話の中で出てくる主人公の友達に対する複雑な感情は共感できるものもあり、共感できなくても何故か懐かしい気持ちにさせられた。ハッピーエンドとは言えず、決まった運命どおりの最後を迎えることになる。最後キャシーは自分の人生をどのように振り返ったのか。後悔したのだろうか。キャシーは3人でいることの関係を強く重視していたと思う。だから自分のトミーに対する思いを封じてでも、3人でいることを選んだ。自分も含め、誰かが1人だけ除け者になることを嫌がっていた。最後のシーン。キャシーは1度だけ空想を許した。これはもっと早くトミーと一緒になりたかったという空想だったのではないだろうか。3人でいることを重視したことを後

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    2025年12月31日
  • 日の名残り

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    『正しい人生』などというものがこの世にあるのだろうか?そんなことは誰にも分からない。
    それゆえに、人生を捧げて全力を尽くした「何か」が、今思えば間違っていたということもあるだろう。
    でも、それでいいのかもしれない。
    燦然と輝いた太陽が沈む頃、『日の名残』とも言うべき光もまた美しいものなのだ。

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    2025年12月30日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    物語の設定、主人公たちが核心に迫る過程は勿論面白かったですが、何よりも、著者の表現力が素晴らしかったです。
    情緒あふれる表現はあまり多くなく、比較的簡単で丁寧な言葉のみで語り手が思っている事、感じている事がありありと伝わってきます。また、話題にする出来事が生き生きとしています。誰しもが持つ大切な記憶を覗いているようで、ノスタルジーを感じることができました。

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    2025年12月28日