土屋政雄のレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    前半は何となく退屈で、途中で読むのをやめようかと思いましたが、全体に漂う奇妙な雰囲気と、いくつかのテーマ(提供など)が気になって、読み進めていくうちに、少しずつ状況が明らかになって、途中からは猛スピードで読み終えました。
    残酷な現実や少しだけの穏やかな時間が、淡々とした語り口とは対照的で、強烈に印象に残りました。
    同じ著者の別の作品も読んでみたいと思います。

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    2025年12月05日
  • クララとお日さま

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    クララに癒されながら、同時に不穏な世界観も楽しめた。
    この本はChat GPTに選書して貰ったので余計に感慨深い……クララと比べるとバカだけど選書センスが最高!

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    2025年11月25日
  • 日の名残り

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    カズオイシグロは難解だ、
    訳文だからか私の読解力不足だからか読みづらい、
    映画にもなってるそうなのでイージーそうなそっちから読めばよかったか?
    なんて逡巡を口笛で飛ばす読後感です。
    氷河期世代で仕事人間たる私には、重みが残りました。
    仕事を選んできた人生に後悔はないか?と問われるとイエスと即答できない。
    同じように仕事を選んできたあの人にも、読んで欲しい。

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    2025年11月23日
  • クララとお日さま

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    AFの存在が、こんなに大きくなる世界は、そう遠くないと感じる。
    身体性を持つことができるか?
    身体性が必要なのか? はわからない。

    自分(AF)の中で、正義を確立することができるのかは、ちょっと怖いとも思える。

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    2025年11月22日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    学生の頃、ドストエフスキーを読んで訳が分からず、今もまだ読み返せていないのだけど。先生がドストエフスキーは物語の中で色んなことを語っていると言っていた。
    イシグロさんも、本作で、ここでは語り尽くせないくらい多くのことを語っていると私は感じた。

    世界はSFとも言える、とても冷酷で無慈悲で、でも多分実現可能な社会。
    その奇怪な世界において、子どもたちの心は、とても鮮明に映し出されている。

    ヘールシャムは学校であり、家であり、故郷。
    先生は親であり、生徒は友であり、恋人であり、家族でもある。
    子供達の未来は、決まっている。
    この圧縮された世界は、あまりに残酷だ。

    だけど、キャシーの語るヘールシ

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    2025年11月20日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    途中まで何の話かわからなかったが、事実が明るみになりはじめる第2章後半からは、どうなっていくのか気になり読み進めた。
    キャシーとトミーには、淡々とした中でも確実に存在する希望と諦めを感じたし、最後死を受け入れるしかない提供者の運命と、ささやかな人としての一生がいかに儚いながらも美しいかを、描写から直に感じるのではなく、キャシーの日常とそれに対する回想、憧憬にふれることで、想像させられた。

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    2025年11月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    訳文だからか、読むのに難儀しました。
    けれど読後はじわーっと来る。
    人間存在ってなんぞや。
    アンドロイドに教えられる。

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    2025年11月16日
  • 月と六ペンス

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    面白かった!途中ストリックランドのヤバさに引いたけど最後はストリックランド、、、お前、、、ってなった。解説もついていて理解が深まった気がする

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    2025年11月12日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    臓器提供のためのクローン人間を育てる施設…はて、どこかで聞いたことがあるような?と思いながら読み終わったあと調べてみたら、約束のネバーランドの元ネタになってるらしいと聞いてなるほどね、となった。約束のネバーランドの方はなんとなく話を聞いてただけだったから、こっちを先に読めてよかったと思う。設定に結構SF味があるんだけど、全体的に派手じゃなく、本当にあった話かのようにリアルに感じられた。謎が徐々に明かされていくどきどき感もあった。なにより、登場人物たちの複雑な感情の揺れ動きが言葉や行動の一つ一つ、すごく丁寧に描かれていて、思わず感情移入して切なくて何回も泣きそうになった。切なく、印象的な美しいシ

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    2025年11月11日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

     時代は第二次世界大戦の後,1950年代。
     執事スティーブンスは、現在はアメリカ人の主人に仕えているのだが、主人が帰省する間、かつて同僚だった女中頭に会いにいくことになった。かつてかれらは、有力貴族ダーリントン卿に仕えていた。物語は大半は、旅中で想起される戦前の出来事(1920〜30年代くらい)が中心となっている。
     ダーリントン卿は、政界にコネを持ち、その屋敷は幾度のなく国際政治上の密会の場となっていた。そして、スティーブンスは主人に心酔していた。彼は、ダーリントン卿がいかに偉いか、ということを何度も回想している。
     と同時に、そのように高らかに誇張されることによって、その陰にあった(が実

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    2025年11月06日
  • 日の名残り

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    こーれはすごい
    まるで実在する執事が滔々と自らの職業人生を語っているかのようで、ノンフィクションの自伝を読んでいるような錯覚に陥りそうになる
    確かな構成力に加えて生真面目な執事が時折見せる人間臭さや登場人物の会話など、ここまでのリアリティと緻密さをもって細部まで描き切る著者の筆致の力量に圧倒された

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    2025年11月02日
  • クララとお日さま

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    人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

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    2025年10月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ちょっと不思議な青春小説といった雰囲気で淡々と進むけれどゾッとする話。オカルトっぽくないから余計に怖い。
    ノーベル賞作家の作品って余り読んだことが無く期待もしていなかったけれど凄く面白かった。

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    2025年10月21日
  • クララとお日さま

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    AIが身近なロボットとして富裕層の家庭が手に入れられる時代があるならば、まさにこういう未来があるのではないかと非常にリアリティのある内容を、AI親友ロボットの一人称視点で語られる物語。
    今の世のAIが質問に何とか答えようとして情報を寄せ集め嘘をついてくることや、よく想像される人に取って代わるというような、興奮性の刺激となる流れでない。淡々と、静かに、しかし確かな川底に流れる熱さをもって、世や人間の美しさや不思議さ、愚かさ、差別、またAIのこころや信仰のような思考の波をとりあげていく。

    冒頭で、ショーウィンドウにいるAIロボットのクララが “コーヒーカップのご婦人とレインコートの老人” を見、

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    2025年10月21日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    なんて悲しい話なのか、と思いながら読んだ。主人公であるキャシーらは、臓器提供のために育てられたクローン人間である、という設定はそれ自体大変ショッキングな内容だが、読者としては、物語が進むにつれ、直接な言及はなくともなんとなく察せられるようになっていて、いつの間にかそれを知っている、ということになっている。それはまるで、主人公たちが、知るともなしにその事実を知って、いつのまにかその事実を受け入れているというストーリーをなぞっているようだ。そういう体験を、実に周到に用意しているように思う。そして、そのこと、つまり、自分たちがいつのまにかその事実を受け入れてしまうということが、とても残酷なことだと気

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    2025年10月11日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    物語を通して漂う不穏な空気、終盤にかけて「臓器提供」、「クローン」、「手術台」といった直接的な言葉で分からせられる地獄の中で「わたしを離さないで」というフレーズが刺さって、頭の中をぐるぐる巡っていた。
    クローンが作り出した絵画や詩に映る魂、友情、愛の在り方、それを人間達はどう見るのか等、単なる悲しみや切なさだけでなく、ヘールシャムの風景をはじめとした光のようなものも見えて、余韻が美しかった。

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    2025年10月06日
  • クララとお日さま

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    子供の良きAF(人工親友)になるべく開発された人型AIクララを語り手に、病弱な少女ジョジーとの出会いから別れまでが描かれる。

    クララは観察眼に優れ勉強熱心で優秀なAFだけど、人の心の機微には疎く淡々とした言動の描写からやはり人間とは違う存在なのだと改めて感じさせられる。観察と学習を繰り返した末に、人の心や感情は模倣できるのか。
    終盤、人間に作られた存在であるクララが文字通り自身を犠牲にして主人であるジョジーを救おうとする健気さに心打たれた。

    AIは人間の道具なのか、パートナーなのか。心とは、優しさとは。
    近い将来、こんな未来がくることもあり得るのだろうかと考えさせられる結末だった。
    機械が

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    2025年10月01日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    あまりに良かった。最後の終わり方が美しすぎて余韻に浸っており、感想も書けなかったし、別の方を読む気にもならなかった。

    「記憶」を一つのテーマにしているとのことだが、知らずに読み進めた場合、そのような印象を受けなかった。のちに見てしっくりきた。

    友達に勧めて貸している。感想を聞くのが楽しみである。

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    2025年09月28日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    全てを書き切らないこと、教えないことがヘールシャムの保護官の方針だったそうだが、この本にもその要素があった。そのためだろうか。終始どことなく漂う不安と不気味さが、この本を先に先にと掻き立てた。
    ただ、それ以上に人物描写が圧巻。傑作に大袈裟な「転」と「結」は必ずしも必要ではない。

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    2025年09月28日
  • 日の名残り

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    英国貴族のダーリントン卿と、その名家に仕える執事のスティーブンス、ミスケントンの3人を中心とした物語です。スティーブンスの回想録になっていて全て口語調で書かれています。そのため読みやすく、当時のダーリントン家で行われている会合や執事として働いている情景が鮮明に浮かんでくるため、没入感が素晴らしかったです。とにかく真面目で堅物なスティーブンスの人柄も良い味が出ています。

    この物語の最大の魅力としては、3人ともが自らの「人生」と深く向き合っていることです。それぞれが自らの信念のもと進む道を決断・選択しているのですが、上手くいかずに後悔、そして苦悩・・・といったシーンが描かれています。そのため、「

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    2025年09月23日