土屋政雄のレビュー一覧

  • 夜想曲集

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    読みやすく、面白い短編ばかりでページを捲る手が止まらなかった。くすりとさせられる描写も多くて身構えずに読める、いい短編集だった。

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    2026年07月11日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    キャシーの回想から始まるこの小説。序盤から強く引き込まれる。介護人、提供者、どれも聞き慣れない言葉。
    彼女達が幼い頃を過ごした学園。幼き頃の思い出はとても鮮やかなもの。些細なことで友人と喧嘩したり、仲良しグループで固まったり、実は気があることを悟られぬようようこっそり異性の友達と落ち合ったり、どこにでもある、私たちにでもあるような子供時代。だけどとこか私たちとは違う。
    少しずつ浮き彫りになっていく学園と自分たちの未来の真実。
    学園で過ごした側の立場と、運営側の立場の違い、それ故の残酷さが、なんとも言えなかった。人間らしく扱うことに意味があると思っている側と、だうせ提供されるのなら教育も道徳も無

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    2026年07月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    個人的にはトミーに共感することが多く、深く感情移入した。感情の爆発を抱えながらも不器用にしか生きられない彼が、どこか他人事に思えなかった。

    トミーが介護人を変えてから亡くなるまでの日々が、穏やかであったらいいなと願う。キャシーのことを、静かに思い出しながら逝ったのだろうと思う。

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    2026年07月05日
  • クララとお日さま

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    クララは子供の成長を手助けするAF(人工親友)として開発された人工知能搭載ロボット。
    人間の言葉を理解できて、見た目で人間の年齢も推定し、人間の感情を理解しようと努める。
    ショーウインドーから街ゆく人々や来店するお客を観察し、外の世界を学び続け、自分を買ってくれる人が現れるのを待っている。
    ある日クララはジョジーという病弱な少女と出会い、この少女の家に買い取られてゆくのですが、それはとても感動的なシーンでした。

    今やAIアプリなどの普及で「人工の友人」との関わりが身近になってきている時代。
    新型のAFがどんどん開発され、お店で売られる日が本当に来るかもしれない…。

    クララは献身的で感受性豊

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    2026年07月02日
  • 日の名残り

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    再読。前に読んだ時は語り手のことに気付かず読み流していた。改めて物語の構成を理解して読んだが、クライマックスの場面は感極まるものだった。フレーズ的な良さよりはストーリー的な良さ。

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    2026年07月01日
  • イギリス人の患者

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    第二次大戦末期、イタリアの元野戦病院であった廃墟のような屋敷で顔と名前の無い患者と看護する女性が暮らす。
    そこへ女性の父の友人、爆弾処理班の工兵が集まり4人での生活がはじまる。

    過去と現在、二つの愛、患者の正体、戦争の中で起きた様々な出来事、イギリスの事、爆弾、欧州とアジア様々な事象が絡み合い物語を成していく。

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    2026年06月27日
  • クララとお日さま

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    ノーベル文学賞受賞後の第一作目の作品。
    人工親友AFと呼ばれる太陽光エネルギーの人型ロボット、クララが販売店に陳列され、ジョジーという女の子に買い取られます。

    物語はAFのクララ目線で回想されるところから始まります。

    その語り口は優しく、常に敬語で、人間を敬っているのが読み取れます。そう開発されたのでしょう。それがいじらしく、切なく、親しみを抱きます。

    ジョジーに愛され、ジョジーの困難を全力で救い、自分の身を犠牲にしていくクララ。きめ細かい気遣いを見せるクララ。ロボットでありながら感情も情緒もあるクララ。だからこそその姿勢は痛ましく、涙を誘います。

    二人の関係は、あたかもドラえもんとの

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    2026年06月25日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    すごい話だった...

    優秀な介護人キャシーの1人語りで描かれる回想のストーリー。キャシーは誰に話しかけていたのかなあ
    "提供者"という言葉、ヘールシャムでの講師陣の謎の発言など、平和な幼少時代の描写の隅々に少し不穏な空気が漂う。
    どんどんキャシーたちの立ち位置が明らかになり、物語に引き込まれていった。
    真相、物語の運び、全てが美しく整った完璧なフィクションだったと思う。
    如何にも近い未来起こりそうな...倫理を考えさせられる話。

    情景描写が細やかで、海外文学独特の読みにくさが無かった。すごく良い文章。
    キャシーのトミーに対する態度・心情のすべてがもどかしい恋心に基づいた

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    2026年06月21日
  • 日の名残り

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    スティーブンスは後悔したのだろうか?

    彼が長年仕えたダーリントン卿は、歴史的には誤った判断をした人物として描かれる。利用されていたとも言える。
    ミス・ケントンと再開し、昔の恋を打ち明けられた後、スティーブンスは「その瞬間、私の心は張り裂けんばかりに痛んでおりました。」と語る。

    スティーブンスは後悔したのか? 何かを失ったのか? という問いだけで読むと、少しずれる気がする。
    彼は、何かを犠牲にして職務に逃げたのではない。彼にとっては、職務をまっとうすることこそが、自分の人生をまっとうすることだった。主人が政治的失敗をおかしたとしても、ミス・ケントンとの愛を取り逃がしたのだとしても、だからとい

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    2026年06月20日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    あらすじを読まず何も前情報なしに読むのが自分流 途中まで 学校での思い出 恋愛の話なんだ とささーっと読んでて、途中から、うん、?提供者??うん!?
    となり、後半は切ない気持ちになった。。
    運命の残酷さがいい感じに俺に刺さった、、また読み直す時は、時間をかけて、しっかり読みたい!

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    2026年06月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    このお話を読んだのは何年前だろう。もう優に10年ぐらいは経っているのかもしれない。
    そのせいでキャラクターの名前や、展開までもが朧げだ。それでもこの話の醸し出す空気感は今でも忘れられないままで、私が数冊本を選べと言われたらこれが出てくるだろう。
    それぐらい当時の私にも、今の私にも強烈な印象を残している。

    まず特色として感じたのは、主人公および世界が、正常を持ち合わせていないことだ。
    よくある物語では、正常の中の異常が書かれる。
    つまり、異常な出来事は異常として書かれる。
    「そんなのおかしい!」みたいなことを、誰かは言ってくれる。
    この物語ではそんな救済はほとんどない。
    主人公たちがおかしいこ

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    2026年06月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    語れるほど本を呼んでいないけれど、今まで読んだ本では一二を争うほどの作品でした!

    カズオ・イシグロは「日の名残り」を読んでとても良かったと思ったのですが、これはそれを遥かに越えた読書体験でした!

    自分と他人の心の動きや、繊細で不完全な人間関係の動きが、過剰なまでの記憶の詳細な描写から知らず知らずに身にしみて、ある時ぶわっと感情があふれる瞬間があって、泣いてしまったシーンや泣きそうになったシーンがいっぱいありました。
    今までどこか登場人物と読者である自分の間に見えない壁があったような気がしましたが、この作品では、主人公のキャシーの体験を一緒に体験しているかのようで、余韻がすごく、忘れられない

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    2026年06月09日
  • 日の名残り

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    特にラストがgood ワイは学がないので世界史とか全然わからないですが、そういうものを知っているとより面白いのかなと思います

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    2026年06月07日
  • イギリス人の患者

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    オンダーチェは3冊目です。
    第二次大戦末期、砂漠に墜落し燃えた飛行機から生き延びた顔も名前も分からない患者とかつて野戦病院だった修道院で患者を看護する若い女性。2人の暮らしに外部からの来訪者が加わり、不思議な共同生活が始まる。
    博識な患者の話に耳を傾け、または図書室の本を患者に読み聞かせ、来訪者の1人、若い爆弾処理班の工兵と恋に落ちる看護師。
    登場人物の日常が描かれたと思えば波のように追想が始まり、患者の様々な古典についての語りがあり…風に揺れるカーテンのようにストーリーが移り変わって、何とも言えない不思議な心地良さの中読み進めました。
    解説によれば、オンダーチェは詩人でもあるとのこと。それで

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    2026年05月20日
  • クララとお日さま

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    とても素晴らしい作品だった!

    同じくカズオイシグロの「わたしを離さないで」と通じるところがあって、生きるとは何か、その人らしさとは何か、それを問い続けることがカズオイシグロのテーマの1つなのだろう。

    この作品でも、思いもかけないアプローチで生きることへの問いかけを試みている。

    最後に再びクララの前に現れる店長の姿は何を物語っていたのだろう。あれはもしかしたら「わたしを離さないで」とリンクしているのかもしれない。

    そして読後はもう、なんとも言えない気持ちに襲われてしまった。
    AIであるクララの言葉が清らかで淡々としていて、そのことがより一層読み手の感情を揺さぶるのだろう。

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    2026年05月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    未来の話ではなく過去であるという設定がとても気に入った。歴史を学ぶとなぜそんなことが?ということが平気で起こっている。でもそれが現在に住んでいるということ。生活そのものが不条理に包まれていることを染み込ませられながら生きていく、そこから抜け出すという発想すら無に帰すどうしようもない空気はすごくクリーンな灰色で軽やか。

    キャシーは結局誰に話しかけていたんだろう。

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    2026年05月14日
  • 日の名残り

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    いいお話でした。
    スティーブンスの執事に徹した生き方は、それはそれで素晴らしいものだと思いました。

    「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」
    優しい言葉。

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    2026年05月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    カズオ・イシグロの本を読んだことがないなぁと思い、手に取ってみました。
    まったく何の前知識もなく読み始めたのですが、最初は、何のことを語っているのか分からない表現があり、頭の中に、すこし「?」をもちながら読み進めました。物語は、ある種の青春群像かなと思いながら、話に引き込まれていったのですが、物語後半で、彼らが何者であるか分かったときの、ショックというか、悲しさというか、虚しさというか…
    読後感は、必ずしもすごくいいものではないと思いますが、読書体験としては、他に代えがたいものがあるのではないかと思います。

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    2026年05月04日
  • 日の名残り

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    イギリス文学最高峰のブッカー賞を受賞したという本、ようやく読む機会ができました。忖度なしで面白かった。私は「クララとおひさま」ではじめてイシグロ氏の本に出会い、これが2冊目ではありますが、共通して感じるのは「静謐さの中にある感動」。本書で扱われている時代は2つの世界大戦をはさむ激動の時期なのですが、あえて舞台は牧歌的風景の広がる英国貴族の屋敷(その意味でドラマ「ダウントン・アビー」を彷彿させる)。しかも主人公はその貴族ではなく執事です。このアプローチは「クララとおひさま」にも共通していると思います。クララとおひさまでは、貴族にあたるのがジョジ―という少女で、執事にあたるのがAI搭載ロボットのク

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    2026年05月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ヘールシャムやコテージでの生活を回想するパートが、丁寧ですごく好き。外の世界について想像を巡らせたり、ちょっとしたことで激しく動揺したり、友達と険悪になったり、保護官のあれこれについて仲間と議論し合ったり…。施設で育った主人公たちの描写がリアルで、辻村深月さんの「琥珀の夏」を思い出した。
    訳もきれいで、すっと入り込めて一気に読んでしまった。

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    2026年04月30日