土屋政雄のレビュー一覧

  • 月と六ペンス

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    自分以外の何かに取り憑かれ、その衝動に従って生きることを余儀なくされる。その様子を目の当たりにするとき、憧れを抱きつつも、それが自身には不可能であることも悟っているからか、衝動は自分にも感じている、しかし、その衝動を乗り越えられるのが人間なのだという、結論ありきの理論を展開して自身を守ろうとしてしまう(まさしくそれが人間であることの証明なのかもしれないが)。

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    2020年08月14日
  • ねじの回転

    匿名

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    古いお屋敷のクリスマスイブ、赤々と燃える暖炉の前で語り始められる怖い怖い物語。
    19世紀のイギリスのお屋敷というだけでも楽しそうなのに、緊張と恐怖もしっかりと味わえる。
    ゴシックホラーの最高峰。

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    2019年11月20日
  • 千の輝く太陽

    購入済み

    抑圧される少女たちの姿に胸が痛くなります。
    しかし、「暗い」「重い」というだけの話ではありません。
    過酷な状況の中でも生きる強さ。何もかも奪われても大切な人に手を伸ばす優しさ。
    周りがどんなに彼女たちを黒く塗りつぶそうとしても、彼女たちの命は輝いています。

    カズオ・イシグロ作品の翻訳もされている土屋政雄さんの、読みやすくも格調高い翻訳が素晴らしい。

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    2019年11月20日
  • 忘れられた巨人

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    やはりカズオ イシグロの作品はとても面白いですね♪
    記憶が霧に消されている時代の老いた夫婦が息子を訪ねる旅に出るところから始まった物語は不思議な臨場感を伴いながら読者をブリテンの神話世界に誘うけど門外漢の私達にも違和感無くいにしえの世界を旅させて呉れる。「忘れられた巨人」との邦題になっているけど原題(埋められた とか葬られた)のほうがピッタリな気がする。それにしても面白かった!

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    2018年12月14日
  • 千の輝く太陽

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    読んで良かった。
    約半世紀に渡って、アフガニスタンで女性が置かれた過酷な状況について、どんなノンフィクションよりも雄弁に伝えているのではないかと想像する。同じ名前の女性が同じ場所に実際にいたわけではないはずだが、マリアムとライラに自分の人生を重ね合わせられるアフガニスタン女性がたくさんいるのだろう。
    とにかく重い。

    マリアムとライラに、そして彼女たちの子どもたちにも共通しているのは、幼い頃からそれが当たり前の状況の中で成長しているということ。まだ判断力のない幼い子どもたちにそのような思いをさせないために、大人はもっと思慮深くなければならないと思った。

    重い話だがラストはとても感動的な余韻が

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    2018年11月23日
  • 忘れられた巨人

    購入済み

    忘れられた巨人

    ともかく、読んで下さい
    全ての描写に感動する筈です

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    2017年10月12日
  • ダロウェイ夫人

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    ヴァージニアウルフは『灯台へ』と本作しか読んでいないけれど、最も魅了される作家のひとり。

    意識の流れを繊細に描写した文体は、登場人物への深い共感を可能にし、内容は一見すると平凡だが作品は不思議な明るさに包まれている。

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    2017年01月21日
  • ダロウェイ夫人

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    存在するっておかしなこと。

    昔読んだ時は、クラリッサ=セプティマスなのがよくわからなかった。読み返してみて、本当に、ものすごいシンクロっぷりに驚いた。どうして前読んだ時、気づかなかったんだろう。

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    2016年02月20日
  • ねじの回転

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    霊を見た人の手記を他者が朗読するという形式の物語。ゆえに現実と虚構の境界がゆるゆるで、この本が多層的に理解可能になっている。いろんな気づきがあった面白い本です。

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    2016年02月07日
  • 千の輝く太陽

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    アフガニスタン人筆者によるアフガニスタン女性二人の話。因習、歴史、文化、戦争、政治、色んなことが絡み合って動いていくアフガニスタンで、「実際に」生活を送る人の様子にすごく臨場感があった。少しアフガニスタンが自分の中で近くなったと思った小説だった。こんな人たちが暮らしてて、その人たちがこんな風に苦しんで、こんな風に翻弄されているんだ、と。

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    2014年09月21日
  • 日本文学史 古代・中世篇四

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    いよいよ歴史は武士の時代へ。歴史(政治)が文学を変えていく動因だということがよくわかります。そして、そんな変化の時代は、芸術が一瞬のきらめきを放つ時代。平家物語、新古今和歌集、方丈記が、13世紀初頭という同時代に成立しているんですね。キーン氏の筆もさえにさえてます。

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    2014年08月09日
  • 守備の極意(上)

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    2年前に原書で読んで、今回は訳書で再読。
    再読すると、アパリシオの『守備の極意』が小説全体のテーマになっていることに(ようやく)気づいて、「ああ!」となる。この「守備の極意」の文章、冒頭の練習場面の文章など、まさにきらきらしていてかっこいい、達意の訳文。原文ではあまりに時間をかけすぎて、かえって味わいきれなかったところを、たっぷり愉しみながら上巻を読み終えた。

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    2014年05月30日
  • ねじの回転

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    なんだろう、天使のような子供たちが一転、悪魔のような振る舞いを見せ始める、というモチーフはこの作品からなんだろうな。

    確かに恐怖を感じるかも知れない、先生なような潔癖そうな人物は特に。
    子供の不気味さを感じる。
    幕切れはあっけない。

    恐怖を感じるのは、あくまで子供の悪意にであり、底知れなさ。
    2人の幽霊には恐怖は覚えない。

    巻末の解説で詳細に語られるが、2人の幽霊の怖さは、社会的にタブーな領域に踏み込む怖さらしい。


    恩田陸が大好きそうだが、恩田陸は怖いと言うより賢い子供が出てくるし、子供視点で話が進む。

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    2012年11月11日
  • ねじの回転

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    ひええ。おそろおもしろい。イギリス。お屋敷。家庭教師。ひたひたと忍び寄る恐怖。恐ろしいのは、亡霊か、人間か。みんな大好きイシグロ作品でお馴染みの信頼感がある土屋訳。圧倒的に美しい日本語。読書会の課題本にしたい。
    (再読)一日で二回も読んでしまった本は久しぶり。

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    2012年10月06日
  • ダロウェイ夫人

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    ネタバレ

    とても好き。
    どうやったら、この内容で、こんな文が書けるのかわからない。
    事件といえるような事件はおこっていないと思う(ピーターが帰ってくることや、サリーがパーティにやってくることは事件にはいらないと思った)。それでも読ませる力があるし、心を動かされる。それがすごい。本当にすごい。

    これを読んだ後に、「めぐりあう時間たち」(映画)を見ると、また二つの作品が相互に影響しあって、より楽しむことができる、と思う。

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    2011年11月19日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    内省的で抑制された文章、よく考えられたプロット。
    イギリスを舞台とした日本の私小説のようでいて、
    それでいて英国精神がに根底に流れる本。
    日本の作家でいえば村上春樹氏と近いのかもしれないが
    イシグロの方が剛直か。

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    2026年04月20日
  • ダロウェイ夫人

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    6月のとある一日における、ダロウェイ夫人を初めとした登場人物たちの意識の流れを描いた小説。
    改段もなしに別の人物の意識に次々とすり変わっていくので、あまり真面目に読み込もうとすると大変だけど、さらさらと読み流していけば、様々な人々の様々な意識の流れの交差点が見えてきて面白い。
    生と死、若さと老い、美と醜、性、金銭・・・誰もがそれぞれの頭の中でそうしたものに囚われて生き続けるわけだ。

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    2010年08月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    chatGPTと話してると、よくオススメされるのと、SF好きなので一度は読んでみたかった本作。
    展開が遅いのと、徐々に徐々に設定が明らかにされていく構成で、あと一歩で積読になりそうだったんですが、奥歯にものが挟まったかのような書き方が逆に、これどうやって風呂敷畳むの?作者はこの作品で何を描きたいの?という疑問を増幅させ、無理やり60%くらい読み進めたところ、やっと没入できてそこからラストまでは速かったです。
    で、読後感が異常なほど切ないのと、結局作者が何を描きたかったのかはバシッとわかりませんでした。
    ただ、ヘールシャム〜介護人になるまでが、リアル人生でいうところの学生〜社会人 介護人〜提供者

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    2026年07月20日
  • 日の名残り

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    30年ぶりの再読。素晴らしい本でした。若い頃は、女中頭の好意にまともに応えられない執事の臆病さを歯がゆく思いながらも、品格を追求する姿勢に共感して自分もそんな風でありたいと思ったものでした。それから30年が経って品格とは程遠い自分を見ながらこの本を読むと、この執事の臆病さと愚かさは自分と変わらないと感じてしまいます。
    旅に出て昔を回想しながら徐々に自分の過ちに気づき、最後に再会した女中頭との話のなかで自分の臆病さのせいで失ったものに気づいて涙する。しかし日の名残りの時こそが人生の最良の時だと思い至って、これからのことを前向きに考える。
    自分の気持ちに正直に自分の人生を一生懸命に生きる女中頭のミ

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    2026年07月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    約ネバ


    どんな本か忘れないためだけに書いた感想です。読まなくて大丈夫です。


    提供されることが普通であると、内臓が悪くなったら“提供者”の内臓をもらえると当たり前に思えてしまう世界怖すぎる。

    マダムや先生たちは、提供者たちが家畜ではなく価値のある人であることを世界に伝えるために、絵を描かせていたのね。

    技術が進歩し始めた時くらい、内臓移植ができるようになったくらいの時代に、人間という、提供者という家畜のようなものが生まれなくて(日本だから知らないだけかもしれないけど)よかったと思う。
    もし戦争中だったら、相手国の捕虜とかとっ捕まえて提供者にしてそうだな。

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    2026年07月05日