あらすじ
ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
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人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。
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カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。
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翻訳ものは誰が翻訳したかによっても評価が分かれると思いますが、とても読みやすかったです。訳されることを前提に書いていると知った時は驚きました。
音楽をテーマに5つの短編が収録されていますが、一つ一つ異なるテイストで楽しく、すぐに世界に引き込まれました。
余韻のある読後感も心地よい一冊だと思います。
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5篇の短編からなる。
「夜想曲」などに出てくるリンディーガードナーはカズオ・イシグロのお気に入りキャラだろう。
天真爛漫なセレブに売り回されるミュージシャンたち。
5篇の短編はすべて音楽に関係のあるストーリーで、切なく、ときにクスッと笑える要素を含む。
副題から分かるように全ての短編に音楽の要素が出てきますが、もうひとつの「夕暮れ」はどういうことだろうと思いながら読んでいました。訳者あとがきにも書かれていましたが、音楽以外にももうひとつ男女関係・夫婦関係の危機というモチーフも全ての短編に共通しています。登場人物皆もう若くなく、ある人は結婚した時の状況とはお互いの関係や自分の感情や人生に求めるものが変わっていたり…。こういう人生の盛りを過ぎてそれでも残りの人生を生きていく人々を「夕暮れ」という言葉で表現しているのでしょうかね。思えば『日の名残り』もそのような意味合いでしたか。
ひとつひとつ心にしんみりとした感覚を残す短編でおすすめです。
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カズオ・イシグロ(1954-)は、『日の名残り』(1989年)で、イギリスで最も権威ある賞「ブッカー賞」を受賞した、世界的作家。長崎県長崎市で、日本人の両親の元に生まれましたが、5歳でイギリスに移住。成人までは日本国籍、その後、イギリスに帰化しています。2010年に映画化された『わたしを離さないで』で、また、2012年4月に、NHKで「カズオ・イシグロを探して」と題したドキュメンタリーが放送され、日本でもより知られるようになりました。
『夜想曲集』(2009年)は、「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題が付いた、初の短編連作集。どの物語も、人生の後半や終盤にある人物が、自らの過去(=夕暮れ)を、ジャズ、クラシック、ポピュラーなどの音楽とともに振り返ります。
この連作短編集を読んで私は、自分が若い頃にこの本に出会ったならば、今とは違い、ストーリーの展開や場面設定の巧妙さにばかり感嘆しただろうと思います。しかし、人生も優に半ばを過ぎ、振り返る時間が堆積した今、私がこの短編集から読み得たのは、感情の渦に巻かれ、愚かしい選択を繰り返してきた人間の、それでも肯定する他ない人生への愛着でした。
いずれにせよ、これが私の人生だった。そしてこれからもそれは同じ――。作家と出身地を同じくする私は、身勝手にも、遠いイギリスからそんな激励をもらった気持ちなのです。(K)
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2012年1月号掲載。
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表紙と、そして『音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』という副題から簡単に想像できる通り、この作品集には、人生の黄昏時の雰囲気漂う男女の別れを描いた短編が、五編収められている。
思えば夕暮れは、最もロマンチックな瞬間ではないだろうか。
一日で限られた特別な時間帯にだけ、目に映る独特の斜光。それは人によってはただの黄色い光線にしか映らないかもしれない。
だがよくよく考えてみると、その光線とそっくりそのままの夕陽が、将来再び僕らの下を訪れることは決してないのである。
そのような夕暮れ時に、同様にかけがえのない相手であったに違いない男女が、お互いに最後の別れを交わすのだ。
この作品集は、このような悲哀を求めている人に向いていると言えそうだ。
小説のイメージを示すのに、世俗的な表現として『喪失と再生の物語』というものがある。ここではただ『喪失』にのみ焦点が当てられていると言えるだろう。
しかしその雰囲気は決して暗くない。始終、どこかユーモラスというか喜劇的な空気が、そこかしこに漂っているのだ。
それゆえに読者は明るさと、何かしらの爽やかささえも持って、この短編集を閉じることもできるのではないだろうか。
才能はあるものの、あまりに感情的な男性を語り部に置き、時にヒロインや、その他の登場人物と感情をぶつけ合いながら、破局に進んでゆくという、退廃的ながらも情熱的な短編が多い。
短編集全体を包み込む喜劇的な雰囲気が、語り部たちのこの傾向にあることは、おそらく間違いないだろう。
彼らは他者の心理を読むことに長けているものの、「この人はこう思っているに違いない」と思い込んで、それで暴走してしまったりするのである。この傾向はとくに二編目、三編目、四編目の主人公に強い。
ここまでくると少し情緒不安定とも言えそうで、彼らの私生活がどこか案じられるのであるが、イシグロの世界の中では、彼らも彼らなりにうまく生きることができているようである。
僕の推測だが、彼ら語り手たちには、おそらく過去のイシグロの自己投影が多分に含まれているのだろう。
その意味でこの短編集は、イシグロ自身のサクセス・ストーリーを、僕らが垣間見るヒントになるかもしれない。
そして、このような特性が一読者である僕自身にも多少あるがゆえに、僕もこの本に安心して心を委ねることができた。
やはりイシグロは居心地のよい作家である。
これより以降、話の具体的なネタバレが少し入るので、今後読みたい方は気をつけてほしい。
個人的には五編目の『チェリスト』が好みだった。この作品だけ語り部と主人公が別人物である。
そして主人公ティボールは、心中に熱情を秘めている点では変わりないものの、それまでの主人公とは明らかに趣きを異にしている。
ティボールは、あたかもそれまでの激動的な主人公たちの領域を乗り超えて、ある種の悟りを開いたかのようだ。つまり非常に心穏やかなのである。
彼の内に秘められた熱情は、ただの感情の奔走としてではなく、柔らかく優しい形で表現されていく。
ロンドンの王立音楽院(日本でいえば東京藝術大学のようなところだろう)で英才教育を受け、アドリア海沿岸で粛々とチェロを弾く彼は、物語が進んで、一人のアメリカ人女性に魅力される。
このプロのチェリストを名乗る女性はきわめてミステリアスかつチャーミングだ。
彼女はティボールの演奏に数多くの有用な指摘をし、指導をしてくれるのだが、彼は次第に彼女を疑いはじめる。
だがそれと同時に、彼女の指摘や指導方針も的確であるため、彼は彼女とどう折り合いをつけるか困ってしまうのである。
そこに彼女の婚約者が現れ、、
いかがだろうか。この流れに何かワクワクするものがあったとしたら、あなたもきっとこの作品をうまく咀嚼できるだろう。
結論を言うと、僕は彼女がティボールを欺いていたとは思わない。
彼女が行動していなかったことは事実だとしても、その指導は少なくとも彼にとっては本物だったのだし、彼の眼には、彼女の才能も本物と映っていた。
その意味で彼女は、おそらく彼の中にこれからも棲み続けることだろう。
本物と偽物の相違とは、一体どこにあるのだろうか。
この考察の答えを出すのは難しいが、最後に一つの事例を示して、この感想文の括りとしよう。
昔に読んだ国語の教科書における、ある哲学者の言葉である。
「宵闇の樹木が人に見えたままだったとしたら、その樹木は、見た人にとっては、確かに人だったのである」
カズオ・イシグロの文章は一見すると平易だが、その内容は深く難解だ。
時にはその深遠な世界にどっぷりと浸ってみるのも、いい読書体験になるのではないだろうか。
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短編集。カズオイシグロの「少し前に一世を風靡したのに今はもう若い世代の尊敬を受けられない初老の男」に対するこの執着はなんなんだ。日の名残も含めていろんな人種、いろんな職業を着せ替えては、若い頃から繰り返し「昔はすごかった男」の物語を描き続けていてcreepyでさえある。
2話目の音楽の趣味のいい英語教師の話がいちばん書き手自身が投影されていそうなのに、プロットはメチャクチャで笑ってしまった。
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カズオ・イシグロを読むのは、「日の名残り」について2冊目。「日の名残り」が長編であったのに対して、本書は、「音楽と夕暮れをめぐる」5つの連作短編集である。いずれも、書下ろしとのこと。
5編の短編は、物語としてとても面白いものであった。
どれも面白いが、どれか1つを選べ、と言われれば、私であれば「老歌手」を選ぶ。老いた歌手は、まだ年老いたとは言えない妻に、ベネチアの運河でゴンドラに乗り、妻のいる運河沿いのコンドミニアムに向かって歌う。愛し合っていながら、別れを選択するという不思議な世界に生きる2人の、しみじみとした物語として、私は読んだ。
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音楽にまつわる短編が5編収録された作品
いずれの作品もとくに盛り上がりは感じませんでした
それなりに楽しめた感じではあります
映像化しても楽しめるかもとも感じました
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全体的な曇り空がずっと続いているようなノスタルジックな雰囲気を纏っている短編集。本作はクスっと笑えるシーンも多くて、新鮮な気持ちになった。
個人的には「降っても晴れても」がお気に入り。
まず主人公があまりに不憫すぎる。やる事なす事想像の上をいってて面白かった。それと対比するように、出てくるジャズの選曲がどれも本当に最高で。この話を読んでジャズにハマった。ぜひサラ・ボーンの“April in Paris”を聴きながら読んでギャップを楽しんでほしい。
それにしても土屋さんの訳は何度読んでも素敵だなぁ。一節読むだけでカズオ・イシグロの世界にどっぷり浸かれる。さらに読みやすい。次作も期待したい!
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大人というかシニアの恋愛小説を読みたくて手に取った初めてのカズオイシグロ。叙情的で常に儚い雰囲気が漂っている、好みな作風。出てくる音楽、特にジャズにとてもハマってしまった。降っても晴れてもに出てくる音楽と、それに似つかわしくないドタバタ感のギャップが良い。
身体の関係の描写がないところも良かった。
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音楽と夕暮れという副題の通り、ミュージシャンや音楽に想いを馳せる人々が集う作品集。目に浮かぶような情景描写は、音楽をテーマにしても変わらず。登場人物たちがステージやレコードについて語るシーンがこんなに生き生きと書かれるとは!
コメディライクな作品もありかなり読みやすい。
個人的には『夜想曲』がとても好みだった。テレビ映画くらいの長さで映像化してほしいくらい。
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カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。
作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。
整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。
そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに不安やプレッシャーを感じているということ。
「インタビュー症候群」と命名されていたけど、新作を書いて最長2年をかけて世界各国をまわり、膨大なインタビューを受ける。そのときに、翻訳された言葉について不安を感じる場面があったのだろうか。
それにしても1、2年もかけて世界中をプロモーションするなんてすごすぎる。村上春樹さんはこれを最初から断って批判されたそうだけど、たしかに途方もないことだものなぁ。
そうなると毎年のように作品を発表している有名英語圏作家は超人なのだな。
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4冊目のカズオ・イシグロの作品である。
カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。
そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとして味わうように求められており、すべてミュージシャン(もしくは音楽愛好家)を題材としている。
今まで読んだ中で、最も読みやすい、ムード漂う作品集である。ドラマ性や落ちはなく、人生の一瞬を描く趣向となっている。長編小説とは全く異なる素顔のイシグロの感性が垣間見られた。
主人公は皆、才能はあるが認められておらず、たゆたゆと人生を彷徨っている。読み手も、物思いに耽りながら、カフェで頁をめくるのにうってつけの良書ではなかろうか。
私のお薦めは、コメディタッチの強い中盤3作品よりも、コリッとした読後感のほろ苦さ(これが著者の本領)がある「老歌手」、「チェリスト」。
ヘンな言い方だが、カズオ・イシグロって大家のように思って見てたけど、現代作家なんだよね。
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常に音楽が流れている短編集。
冷めきった関係を復元しようとする老歌手や、メジャーデビューのために整形手術を受けるミュージシャンとか、設定が微妙に現実離れしているところに面白さがあって、すぐ読めてしまいます。
面白くて品のある短編集です。
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副題は「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。
全盛期を過ぎた歌手が再起を目指して愛する妻と別れようとする「老歌手」。
音楽の趣味でつながった大学時代の友人夫妻との、今となっては埋めようもない価値観の溝をコミカルに描く「降っても晴れても」。
メジャーデビューに目指し作曲にいそしむ主人公が旅回りの音楽家の夫妻とのわずかな交流の中に、人生のままならなさを感じる「モーバンヒルズ」。
「夜想曲」は、「老歌手」で出てきたリンディが再び登場する。
風采の上がらないサックス奏者が整形手術を受けさせられ、術後を過ごすホテルの隣室に彼女がいる。
二人とも顔を包帯でぐるぐる巻きにされている中で、退屈しのぎに深夜の高級ホテルの中を歩き回る。
なんとなく『ローマの休日』のような、昔の映画にあるロマンチックコメディ風のドタバタ。
が、結末はちょっとほろ苦い。
最終話は、音楽院を出たものの、その後の演奏活動で行き詰っている若手のチェリスト、ティボールの物語。
広場で出会い、彼にレッスンをする謎の女性。
彼女はいったい何者なのか。
才能と教育の問題を考えさせられる。
どの話も、主人公は天才的な音楽家というわけではない。
音楽に関わりながら、時にままならぬ人生を生きる人々だ。
割とドライな筆致でありながら、どこかにこうした人々の哀感がにじんでくる。
すばらしい短編集だった。
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カズオ・イシグロ氏の初短編集。「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」は、どれも夫婦や男女の微妙な関係や人生における変化を音楽をキーワードに綴られた、個性と雰囲気あふれる作品ばかり。著者の「五篇を一つのものとして味わってほしい」という言葉にも納得、シングルカットではなく、アルバムとして美しく秀逸なCDを聴いたような読後感があった。それぞれに異なる都市の映像も目に浮かぶよう。個人的には冒頭の「老歌手」が印象深かった。ちなみにここに出てくる人物が他の一篇に出てきて「おっ!」と思うのも楽しかった。
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Nocturnes(2009年、英)。
音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。
「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になってしまうところが笑えるのだが。「イシグロ史上最も冴えない語り手(解説者談)」は、「最も心優しき語り手」でもあると思う。素っ頓狂な友人チャーリー(そもそもこいつが全ての元凶だ)とのやり取りも絶妙で、ベストコンビ賞を贈りたい。それにしてもチャーリー、最終試験のあと泥酔して何をやったんだろう?
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大きなドラマが待ち受けているわけではないが
あとがきを読むと、カズオイシグロはチェーホフに大きく影響を受けているようなので
なるほどと思う
5篇目のチェリストにて
まだ足を踏み入れたこともない庭園が遠くに見えました。
という節がとても羨ましく思えた
わたしもミス・マコーマックのような人からそのようなレッスンを受けてみたい
まだ足を踏み入れたこともない庭園、そんな世界を私も自分の音で見てみたい
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カズオ・イシグロに触れたのはほんの数冊(その内一冊は二十年近く前に読んでよく分からなかったというオチまである)なので今作の軽やかで、時に切なく、時に楽しいバラエティに富んだ内容なのは驚かされた。
人生の出会いと別れ、それら一つ一つに悲しんでどうするのか。いつか必ず終わる一時のどんちゃん騒ぎ──そんな風に言われたようだった。
文体も優しく包み込むような雰囲気があり、静かにジャズをかけながら浸りたい。
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繊細な台詞と開かれた結末。読後、何日も心に残り続けるイメージが、まるで作品自体が語りかけてくるかのようだ。ただし、英語版で読んだほうがイタリアの情緒や登場人物の感情が’、より生々しく伝わったかも知れない。
Posted by ブクログ
好きな作家の短編集。もう少し音楽に造詣が深ければ (背景が分かれば) より味わえるのだろうが、分かったのはABBAのdancing queenだけというお粗末な自分には少々 (?) レベルが高かった。音楽と男女の関係をモチーフに、時の流れの残酷さ (過去も未来も) と共にどこか「日の名残り」を連想させるノスタルジックな雰囲気や人間関係の機微を感じさせられる。
全般読みやすい文章で、ハチャメチャなものから、コメディタッチなものまでテイストが違う作品も含めてサラッと楽しめるのは短編集ならでは。音楽に疎くても。
Posted by ブクログ
2024/6/9
初イシグロ
淡かった
五個?の短編
あのイギリス田舎の、ホテル勧める話が一番すき
あと友達の家めちゃくちゃにする話もいいな
内容というより、ジャズ聞にながら時間を楽しむ本だわ
Posted by ブクログ
カズオ・イシグロの短編集。
音楽と夕暮れって、本当によく付けたタイトルだと思う。いわゆる人生の黄昏時を表現してるんだけど、短編の主人公5人とも自分とはかすりもしない人生を歩んでいながら、もう節々に「その気持ち分かるわー」と感心する時がある。
カズオ・イシグロって、そういった誰の人生でも経験する言葉にし難い気持ちを文章に表現するのがすごく上手い。
正直ストーリー的にはそれほど引き込まれなかったんだけど、その絶妙な文章に出会いたいために、また他の作品も読みたくなってしまうんですよ。
Posted by ブクログ
なんかお洒落な感じの短編集だった。人生の黄昏的なところを描く人なのかな。ちょっと沁みるところもある。夫婦関係が悪化する様子とか。
若いとき読んだ「日の名残り」はものすごい退屈だったけど、今読んだら面白いのかな。クララ~は面白かったし。
Posted by ブクログ
カズオイシグロの短編集。タイトルにある「夕暮れ」とは、サンセットタイムだけではなく、人生の夕暮れ(中年から初老の世代)とか男女関係の夕暮れ(別れの予感がある状態)を指しているようだ。熟年離婚、旅先での喧嘩、不安を感じる結婚相手など、何かしら影を感じる設定である。
登場人物はいずれも「若さ」「付き合いたての頃」「才能」への憧れを持っており、やるせなさを織り交ぜながら切ないストーリーが展開する。それでも、コメディの要素が含まれる話も2話入っていて、ユーモアたっぷりの登場人物とぶっ飛んだ展開に驚かされ、思わずクスッと笑ってしまう場面もあった。切ないストーリーでテンションが下がった読み手としては救われる。