土屋政雄のレビュー一覧

  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

    Posted by ブクログ

    カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞講演を翻訳、書き起こしたもの。左に英文、右に日本語訳が載っている。受賞時期にネットに毎日新聞の訳文が載っていたが、やはり本の方が読みやすく、文もこなれている感じがして購入。訳者はイシグロ氏の本を多数訳した土屋政雄さんだった。

    20代、30代、40代、の区切りをつけながら、小説を書くに至った経緯や書きながらの分岐点などが語られ、氏の歩んできた道と、文学に対する信頼や希望が語られ、改めて氏の人となりに好感を持った。

    0
    2018年08月30日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    日本語タイトルは「忘れられた巨人」ですが、原語の意味は少し違うようです
    それは、今の日本そのものなのかもしれません

    訳本なので原作はどうか分かりませんが、とても読みやすい物語です
    舞台はあの有名ファンタジーを彷彿とさせますが、内容は作者の今までの作品との共通性を感じさせます
    物語の結末が明解にされないところもそうですね

    様々な人物が登場し、そちらの方が大きく変化していくのですが、主人公たちはどこか坦々と自分たちの人生を歩んでいきます
    しかし、その人生にも紆余曲折があったことが明かされていきます

    何かを得たようで、何を得たのか分からないそんな話でした

    0
    2018年03月08日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    とうとう読みましたよ!
    今までのカズオ・イシグロさんの中では、一番読みやすかった。
    みんなで竜退治をしよう!というファンタジー。
    いや、もちろんディストピア小説ではあります。
    希望を持って読み進めていくんだけど、まただんだんいやーーな気持ちに(苦笑)

    「忘れられた巨人」とはなにか、わかったときにどーんとまたいやーーな気持ちに…

    浅いレビューですみません。(あずきこ)

    0
    2018年02月03日
  • 守備の極意(下)

    Posted by ブクログ

    上巻前半はどんどん成長していく気持ちいい物語やけど、途中からズブズブのドロ沼に。それも、誰も悪くない、自分がプレッシャーに負けてるだけっていう、なおさら救いのないドロ沼。しかも男女のゴタゴタからそうじゃない色恋沙汰から詰め込んだねー。最後はいちおうまとめるべきところにまとめて落とし込んだかな。

    0
    2017年12月13日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    購入済み

    話題作

    ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
    初めてですが読んで見ることにしました
    最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
    思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
    自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
    認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います

    0
    2017年10月16日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    アメリカの映画やドラマを見ていると、本好きの女性が必ずといっていいほど好きな作家にヴァージニア・ウルフを挙げるようなので、読んでみなければとずっと思っていて、やっと読んだんだけど。。。
    うーん、バカなわたしにはまったくといっていいほど、ピンとこなかった。「ダロウェイ夫人」はタイトルは昔から知ってはいたけれども、こんな話だったのか。。。上流階級のダロウェイ夫人の一日のうつろいゆく思い、みたいな感じで、ストーリーらしいストーリーがない。とりとめのない思いがとりとめなく描かれていて、あまり強い感情はない。一瞬、強く思ってもすぐほかのことに移っていく感じで。
    しかも、ダロウェイ夫人だけじゃなくて、登場人物すべて、すごい脇役みたいな人たちもすべての思いが、つながるように書かれているので、正直、え、今だれの話?と何度も見失っていた。。。。
    確かに、文章は詩的で美しいとは思ったけれども。
    あと、ときどき、人々の人生への思いとか、50歳をすぎた人々の老いることへの感情とか、いろいろ、はっとする文章はあった気がするけれど、それも一瞬で流れていって、あまり残らなくて。。。一度でさらっと流して読むのではなく、一文一文じっくりと読んでいくべき本なんだろうなー。そういうのがわたしは苦手だけど。
    あと、ヴァージニア・ウルフって、フェミニストで、孤高の強い女性、ってイメージなんだけど、この小説、解説含めて読んでも、あんまりそういうイメージがわかなかったなあ。。。

    訳者あとがきがおもしろかった。フランク・マコート「アンジェラの祈り」が読みたくなった。(ダロウェイ夫人の靴が何色だか知ったことか!とキレる生徒が出てくるとか)。あと、ヴァとバの表記についてとか。

    映画「めぐりあう時間たち」は見てみようと思う。原作も読みたい。

    0
    2017年06月15日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アーサー王伝説の舞台を借りたファンタジー。人々が物忘れをするようになり、おぼろげに息子のことを覚えている老夫婦が息子の住む村に向けて旅立ちます。旅の過程で、物忘れの原因を突き止め、断ち切ることに成功します。その結果記憶は戻ってきましたが当然幸せなことばかりではなく。そして「巨人」の意味も分かります。
    Buried giantが「忘れられた」に訳されているけど、これは読んでみて初めてわかるネタばれ。
    相変わらずイシグロらしい独特のじれったい語り口です。

    0
    2018年11月05日
  • ねじの回転

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何回読んでも後味の悪い作品だぁ(誉めてます)
    物語はクリスマスイブの真夜中に行われたイギリス版百物語を発端として始まります。
    その中の一人が、その中で語られたどの物語よりも恐ろしい話を知っている。しかも手記があるということで、場を改めてその手記を朗読することに……。
    その手記はある屋敷に住んでいる兄妹の家庭教師になった女性が語ったことを記録したもの。
    天使のように美しく愛らしい、そして聡明な兄妹。それは本当の姿なのか、そして家庭教師が見た不審な人物は兄妹とどんな関係なのか?
    薄気味が悪いというのが初めて読んだ時の感想でした。
    改めて読み返すと、うむむ、という感じで視点を変えると全く違う考えも出来るなと……。
    彼女が見たものは妄想か、それとも現実か。真実はどこにあるのか、考え始めるとものすごく怖い^^;

    0
    2015年07月16日
  • 日本文学史 古代・中世篇五

    Posted by ブクログ

    古代・中世篇 五 とは対照的に、馴染みのない作品ばかり。知っていたのは徒然草ぐらいで、聞いたことのない物語や日記文学、学校では習わなかった連歌など、敷居が高くて読むのに時間がかかりました。
    それにしても、古代・中世篇ものこすところ、1冊。土屋政雄氏の素晴らしい訳文が読めなくなると思うと、寂しいです。

    0
    2014年08月10日
  • 日本文学史 古代・中世篇三

    Posted by ブクログ

    いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。

    おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論。河合隼雄氏の浦島太郎論“このヒーローは英雄的な戦いで女性を獲得するのではなく、むしろ女性によって捕らえられる”を引用し、日本的ヒーローは受動的で、西洋人にとっては不完全と思われる、と述べています。これも、日本が女系社会だったということと関連していそう。

    西洋の視点からみた日本文学史っていうのも、この本の面白さの一つです。

    0
    2013年12月02日
  • 日本文学史 古代・中世篇二

    Posted by ブクログ

    古代・中世篇一を読んで、ドナルド・キーン氏の吸引力に巻き込まれ、篇二を購読。そして、篇二を読み進めるうちに、その吸引力がキーン氏の論旨によるものというより、その文章・文体に端を発していることにハタと気が付く。そう、その訳文自体に心が持っていかれている。訳者は土屋政雄。調べてみると、その昔、麻薬のようにうっとりとさせられた「イギリス人の患者」の訳者だ。なんてことだろう。ホント、びっくりした。「イギリス人の患者」もストーリーよりも訳文の方にうっとりきてたのかも。

    閑話休題、古代・中世篇二は、古今和歌集に始まる勅撰和歌集と平安時代の日記文学。花といえば桜、桜といえば吉野といった、日本人の常識がこの時代に始まっている。日記文学では、歴史の教科書では影の薄い堀河天皇の人気ぶりが意外。藤原長子の『讃岐典侍日記』や右大臣藤原宗忠の『中右記』に若くして亡くなった賢帝への思慕がつづられていて、心打たれる。

    0
    2013年09月17日
  • 日本文学史 古代・中世篇一

    Posted by ブクログ

    気軽な気持ちで何気なく手に取ったのに、著者の日本文学を愛する情熱に引きずり込まれて、なんだか全巻読まなければならいような気にさせられてしまった。といっても、全巻あわせると18巻にもなるから、とりあえず、古代・中世篇は購入しよう。おそるべし、ドナルド・キーン氏の吸引力。

    古代・中世篇一は、古事記から平安時代前期の漢文学まで。特に、山上憶良に対する見方が変わった。子煩悩なお父さんってだけではなく、社会派だったのね。あとは、空海。“文学史に空海?”って思ったけど、「三教指帰」という戯曲仕立ての著作について、扱われている分量としては少ないながら、その特異性が際立っている。まずは、司馬遼太郎の「空海の風景」を読まないとな。あ~、ますます読みたい本が増えてしまう。

    0
    2013年05月12日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    「意識の流れ」という手法と内容との関係についてを主に、
    作者であるウルフ自身の証言が載せられているのが良かった。
    これについては、必ずしも手法が先になってできたものではないということ、
    自殺する準主役は、後付けで生まれたキャラクターであることなど。

    非常に面白かった。

    0
    2013年05月06日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    シームレスで視点となる人物が切り替わり、想像力を刺激する豊かな表現。小川のせせらぎのように流れる文章で「わあ、キレイ」と、手を入れてみるとその冷たさに驚く物語。そう感じるのは、登場人物の誰もが、心の歯車の油が切れかかっているような人たちだからかもしれません。老いが生む寂しさや疎外感を嫌々受け入れつつもなんとか虚栄心を満たそうとしたり、過去に縛られて悪ぶったり、叶いそうにもない理想を求めたり、今にも崩れそうな危うい足元でぎりぎり持ちこたえている人たち。人類絶滅も地球滅亡もないけれど、終末感漂う小説でした。

    0
    2013年03月17日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    以前に「灯台へ」を読んでいたのでウルフの独特な文体については、一応免疫ができていると思う。その分、まだ入りやすかったのかなとは思うが、意識の流れで視点がどんどん変わっていく文体に、とりとめのないストーリー、かなり読みにくい小説である。

    このふわふわした文体、主人公である「クラリッサ」ダロウェイ夫人の、その日のパーティの成功だけを考えているような地に足のつかなさに、うまくマッチしているような気がする。

    「アンジェラの灰」「コールドマウンテン」「ダロウェイ夫人」と続いた土屋政雄さんの翻訳もの。これで小休止。

    0
    2012年09月09日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    話が激しく展開していくのとは裏腹に、読みながらゆったりまどろむような気持ちになって、まるで童話のようだった。

    男女の機微が随分ミステリアスに描かれていてかわいいなあ、と思っていたのですが最後の解説を見て腑に落ちました。まあそんなの抜きにしてもオトコとオンナのことは第三者が見てわけわかんないくらいの方が素敵だと思います。恋や愛を言葉で説明したってしょうがないや。

    しかしこの登場人物と読み手の間の絶妙な距離感はなんだろう。冗談でも「あーわかるわかる」なんて言えない彼らのシンプルな神々しさは。

    どの登場人物をとっても「このひとはきっとどこで何しててもこういう風にしか生きられなかったろうな」と思わせる凄みがあって、人はそれを生命力と言うのかもしれないし、使命とも宿命とも、あるいは呪いの様にも見えるんだけど不思議と恐怖も嫌悪も感じなくて、ただ愛おしい。或いはもしかしたら、羨ましい。

    その性格の頑固は、多くの人にはきっと滑稽だったろうけれども本人たちはなかなか満足そうだし私みたいな他人はなにも言えませんのである…。

    でもせつないなあ。寂しいなあ。
    こっそり言うけど。

    0
    2012年05月23日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    人々と意識、思考が交錯して複雑なものが流れているように思えもするんだけど、本の中に流れているリズムや意識にとってもリアリティを感じる。
    人の中に潜ったらこんな感じかなって。

    本を読み終えた時、もう一度読み返した時何を感じるか想像してしまうのは嬉しいことだ。
    生き物みたいな作品というものは存在するね。
    そういうものに出会えた時はとても興奮する。
    多面的とも少々違う。
    有形でありながら、可変。という感じか。

    0
    2012年01月22日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    映像を見て言葉にしているかのように鮮明でリアリティのある一方で、題材は空想のようであり現実と地続きのような話だった。
    海外文学だからなのか、主人公にとっての親友が特別気の合うひとにも大切にしたいと思えるような人物像にも思えなかった。

    0
    2026年09月26日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何より面白かったのは、語り手の視点の冷静さ、観察の細かさ、対象との距離の取り方だ。登場人物の虚栄や自己欺瞞を容赦なく見抜きながら、それを露骨に断罪するのではなく、イギリス風京言葉のような上品な皮肉に包んで差し出してくる。描写は美しく、文章のキレも最高。

    登場人物は悉く魅力的。ストリックランドは「安定した生活を捨てて夢を選んだ人」ではないと思う。そもそも選んでいない。描かずにはいられず、そうせざるを得なかった、そういう習性の生き物だ。社会や家族や身体からは自由でも、美への衝動には完全に隷属している。

    中でも一番魅力的だったのはストルーブ。善良だからストリックランドを助けるのではなく、美の基準に抗えないから助ける。道化に見え、自分では凡庸な絵しか描けないのに、審美眼だけは確か。妻を奪い、自分を徹底的に傷つけた男の絵なら駄作であってほしいはずなのに、傑作を傑作として認め、破壊することができない。単なる善良な寝取られ亭主ではない。私情によって美の価値を曲げられない、ひどく純粋な狂信者。最高です。

    エイミー、ブランチ、アタもそれぞれ好き。置かれた場所も欲しいものも違うが、三人とも欲しいものは欲しいと言い、自分から取りに行く女たちだ。

    誰もが同じ月を見ているわけではない。ある人物には六ペンスにしか見えないものが、別の人物には月なんだろう。

    前半の怒涛の展開とキレに対して後半、ストルーブが去り、タヒチへ着いてからは少し勢いが落ちている。タヒチの風景描写はひたすら美しい。ストリックランドが求めた場所へ行き着き、あるいは帰り着き、完成したことはわかる。ただ、病や身体の崩壊が彼にとって無関係であることは、もうこちらは十分に知っている。前半の「悍ましいほど美しくて目を離せない」から、後半は「美しい場所で美しいものを完成させる」へ移り、美と醜の摩擦が弱くなったように感じる。

    ストルーブが絵を切れなかった場面で、作品の主題はほぼ決着している。妻の死、屈辱、憎悪より美が勝つ。これ以上、何を証明する必要があるのか。そこへ病、失明、壁画、死、焼却まで積むから、証明ではなく列聖の儀式に見えてくる。

    美しい蛇足。それよりもう少しストリックランドとストルーブを見ていたかった。

    0
    2026年09月04日
  • ねじの回転

    Posted by ブクログ

    カテキョで行ったところの兄妹さんたちと亡霊さんたちのお話(?)。

    兄妹さんたちの意図、亡霊の存在、何から何まで疑問のまま、ひたすら突き進み、最後まで真相は明かされずに(?)終わってしまう。

    読者の解釈に投げっぱなしジャーマン?。

    これでいいのだ。

    0
    2026年09月03日