土屋政雄のレビュー一覧

  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    2017年ノーベル文学賞の受賞記念講演。
    今までの生活、文章を書き始めた時のこと、ターニングポイントや自分にとっての物語とはなどが、わかりやすい英語(日本語訳も)で表されている。
    左ページに英文、右ページに日本語訳が掲載されているので、英文を読みながら日本語も確認できてとても読みやすかった。

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    2021年10月27日
  • 夜想曲集

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    音楽とすれ違う男女の仲をモチーフにした短編5編。
    特にオチがあるわけでなく、各主人公の人生のうちの少しを覗く。
    細かく計算し尽くされた描写が続く(描写の謎解きをしているサイトもいくつも)ので、自分的には読み取るのが苦手。
    解説を読んで、また今度2回目読もうかな。

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    2021年08月07日
  • 月と六ペンス

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    ゴーギャンがモデルとばかり思っていたが、性格とかかなり異なるとの事。名作として読み継がれてきたが、発表当時は世俗作家との評価だったらしい。書名の解題も解説で触れられ、合点がいく。知人の裏切り方が人非人で、憑かれたような行動は体格もさながら怪人。求めるものが多数の人のそれと違っても幸せな人生を全うした。2021.7.13

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    2021年07月13日
  • 月と六ペンス

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    富や名声、安定した生活。
    そういったものを投げ売ってでもやらねばならないことに取り憑かれた男の物語。

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    2021年07月01日
  • ねじの回転

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    オチは今となっては珍しく無いが、神に背くゴーストやモンスターを祓って終わり!ハッピー!な内容ではない。脅威が迫ってきているのに上手く行かない、守る子供も邪悪な幽霊に魅了されている絶望的な状況が終始主人公の視点で展開されていく。100年以上前の作品とは思えないほど状況は分かりやすく書かれていて読みやすい。

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    2021年05月24日
  • 夜想曲集

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    ヨーロッパ・アメリカが舞台の話。
    音楽をやっているというのは自分と同じ共通点だが、あまり自分が知らない世界感を覗かせていただいた。
    後書きを書かれた作家さんも言っていたが、真面目な文章の中に、ユーモアな発言や行動が沢山散りばめられていたため、こんな素敵な情景が思い浮かぶ大人な話の中なのだけど、その中に楽しさがあった。
    最後の「チェリスト」は、結果どうなったとか結論とかはっきりとしたものがないんだけど、その謎めいたものに全くイライラせずむしろしっくりきた。

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    2021年05月17日
  • 月と六ペンス

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    明かすのも恥ずかしいが、途中まで実話だと思って読んでた。実在した画家と記者の話かと。もちろん、そうではないんだけど。
    まあ、それぐらいリアリティのある、描写豊かで人間臭さのある文章だということで、自分を慰めておこう。
    モームの本は初めて。
    主人公の記者は傍から見ればかなりのひねくれ者。実際、人はこれぐらい当たり前にひねくれ者だけど。対象の画家は、これまたビックリするほどの変わり者。いや、本当は羨ましい。こんなに自分に正直な人がいるのか?と疑ってしまう程に。
    日本では特に他人様に迷惑をかけないように言い聞かされて育つことが多いように感じるが、実際のところ何が迷惑なのかは分からない。自分だったら不

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    2021年04月18日
  • 月と六ペンス

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    ネタバレ

    語り手に一番共感した。若い人の感性はわからないしきっと素晴らしい物があるんだろうけど、きっと自分はそれが評価されなくなっても古い物にこだわり続けてる。それに絵のセンスも自分と全く一緒……。その辺通して、勝手にモームとお話出来たら絶対楽しいんだろうなあって想像してた!!
    ストルーブとその妻の話が一番面白かった。どうして妻がストリックランドを好いたのか最初全然わかんなかったし、むしろストルーブみたいな人と私も結婚出来たらなあって思ってたけれど、妊娠していた話を聞いて印象が一変。でもストルーブみたいな可哀想なくらい滑稽な人、確かにこういう人どこかに居るよね……ってなる、本当に描くの上手い。ストリック

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    2021年03月07日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    雌龍の息によってさまざまな記憶を失った老夫婦が息子がすむ村を目指して旅をする。例によっていつまでも辿り着けず、そこはもう慣れたものであります。鬼とか妖精などが日常的に登場して、アーサー王のころの神話が舞台になっています。きっといろいろな伏線や神話との合致点があるのでしょうが、そこを楽しめないのが残念です。だから☆4つ。

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    2021年01月09日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    はじめて読んだカズオイシグロ。これで彼の作品を判断するなんてできないのですが、平坦でわかりやすい文章が意外だった。作品を読んでない分、この本への理解はかなり浅くなってしまうが、最後に書かれた、未来への普遍的かつ重要な願いを読んで、ノーベル文学賞を獲るような方の思想の本質はそこにあるのか! となかなかの発見があった。未来がもっと多様になること、そしてよりよく進歩すること。凡人の私でもその理想に突き進んでいきたいと強く思ったし、世界で評価される作品の本質はこうでなくちゃと勇気づけられた。ちゃんと彼の作品も読みます。

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    2020年08月15日
  • 月と六ペンス

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    お~久しぶりに一冊の本を読みきった気がする…。
    「モームブーム」って何だか口に出したくなる言葉。解説読んで面白いな~とも思ったけど、もうちょっと深入りした論文的なの読んでみたくなった(っていっつもこういうこと言いながら調べていない)。言葉遣い、知らないことわざがいっぱいあって調べるの楽しかった。やっぱり外国語の本読んでると、原文が気になりますね!(と言って、これも調べない)

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    2020年06月23日
  • 夜想曲集

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    全体的に充たされざる者のようなシュールな雰囲気がある不思議な短編集。やっぱりカズオイシグロの小説は結末の曖昧さが良いですね。中では老歌手が一番好き。

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    2020年06月17日
  • 月と六ペンス

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    題名に惹かれて読み始めた。エキセントリックな画家を、近くで見ている主人公の視点から描く。ゴーギャンをモデルとした画家のキャラクターが印象的。偏屈でぶっ飛んでいて、「こんな人現実には存在しない」と思わせる反面、生き生きとしたリアリティを持って描かれているため「作家とゴーギャンは知り合いだったのか?」と想像させられる。解説でモームが同性愛者であったことについて触れられていたが、画家を近くで見守り観察する主人公の視点にその片鱗が感じられるような気がした。

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    2020年05月05日
  • 月と六ペンス

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    イギリスからはじまり、パリ、タヒチへと旅し、最後にイギリスへ戻る。スタートとゴールは同じ場所だが、価値観が180度回転している。いや、もしくは回転していないのかもしれない。つまり、ストリックランド夫人は最初も最後もスノッブだったということだ。夫どう評価しようと、彼女の根幹は揺るがなかったとも言える。
    それはともかく、おもしろい小説だ。おとなしく、特徴もなかったストリックランドがパリで鬼のような生活をして、タヒチで魂の自由を手に入れる。土地が人に影響を与えるのだろうか。それとも、人は自分にあった土地をそのつど見つけるのだろうか。

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    2020年02月11日
  • 月と六ペンス

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    ゴーギャンの絵が好きになった頃、講師に教えていただいて知った本。人間的にあまり好きではないけれど、自分の意思を貫く頑固さは、私も少しは見習いたい。ストリックランドはちょっとやりすぎですがね…。

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    2020年01月28日
  • ダロウェイ夫人

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    ドイツの音楽家マックスリヒターが、ウルフ原作のバレエ音楽の作曲をしていて、この作品を知った。
    世界的に有名な女流作家といえば他にブロンテ姉妹やオースティン、パールバックなどがいるけれど、ウルフの作品からは最も純度が高く痛々しいほどの女を感じる。
    ブロンテ姉妹やオースティンの作品は、物語として筋が通っていて、長いながらも読者が型を見失わない作りになっている気がした。
    ダロウェイ夫人の場合、一つ一つの動作や空気感の描写が優れているがゆえに全体像が見えにくい。
    扱っている時間的な流れは小さいのに、絶えず繰り広げられる感情のスペクタクル。
    まさに、有機的で予測がつかない女性の繊細な心を表していると思う

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    2019年09月12日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    極めて明確に、簡潔に、美しく、イギリスの地で創作を開始した日本人の血を持つ作家が、半生を語った。ノーベル文学賞受賞記念講演。

    始まりの2冊は日本を舞台にした英語の文学だった。次は、きわめてイギリス的な話なのに、世界的な世界観を描いた。らしい。

    私はカズオ・イシグロの小説は読むまいとしてきた。人生は短く、読まなければならない本ははるかに多い。読み始めたならば、一冊だけで済むとは思えなかった。ただ、この小さな講演記録文章によって、世界基準とも言えるかもしれない文学を見渡す地図を貰った気がした。「遠い山なみの光」と「日の名残り」と「わたしを離さないで」を読んでもいいかもしれないと思い始めている。

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    2019年09月03日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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     途中で投げ出したりしないで、最後まで読んでほしい。一読に値します。2017年ノーベル文学賞受賞記念講演。英文と和訳が左右のページにそれぞれ掲載されています。英文は平易です。

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    2019年08月25日
  • 忘れられた巨人

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    母の本棚に残されていた一冊。
    「何を忘れ、何を記憶するのか」によって人や共同体の考え方は大きく影響される。読みながら、頭の中をモヤモヤとした霧がかかった中を少しずつ物語が進んでいく。少し読みにくい文章ではあるが、それもまたこの物語の雰囲気にあってたような気がする。
    自分の記憶しているものの上で、自分の人生は進んでいく。同じ事実でも記憶により別の人生が生まれる事を認識させてくれた作品。

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    2019年03月25日
  • ダロウェイ夫人

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    「意識の流れ」という手法を使った作品を読むのは初めてだったが、なかなか好感を持った。他の作品とは違った種類のいわく言い難い感動や恍惚感があったように思う。

    《クラリッサは、わたしを連れていって、と衝動的に思った。だが、次の瞬間、全五幕の芝居を見終わったような気分に変わった。とても感動的で興奮する芝居だった。自分もその中で一生を過ごした気分。ピーターと駆け落ちし、一緒に暮らした。でもその芝居も終わった。》P87
    こことか凄い感動してしまった。刹那的な想像のほとばしりとその満足感。そしてその満足感が人の生きるエネルギー(行動するエネルギー)を生み出している事実。それをこんなにも鮮烈に捉えるとは。

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    2018年10月09日