土屋政雄のレビュー一覧

  • 忘れられた巨人

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    読んでいくうちにこれは童話ではないか、と思うようになった。守り人と同じようなプロットである。挿絵がないだけで、漢字にルビを振れば子どもが読める本である。竜退治という最終目的とアーサー王の騎士が出てくるのでイギリスであるが、日本の子どもでも読める。

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    2022年05月05日
  • 月と六ペンス

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    四十歳にして全てをなげうち、画家になった男の物語。
    面白くってあっという間に読んでしまった。
    光文社古典新訳文庫は読みやすくていい。

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    2022年04月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    購入済み

    淡々とした中にあるインパクト

    特殊な暮らしにおける日常の描写、心情が淡々と書かれているものの、ミステリーがちりばめられているよう不思議な小説でした。

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    2022年03月18日
  • 月と六ペンス

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    めちゃくちゃ面白い。
    これは本当に小説という媒体で表現されるべきもの、という感じがした。

    個人的には終盤、ブリュノ船長のエピソードが好き。

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    2022年03月06日
  • 千の輝く太陽

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    本当によくできていて、大いに泣いたし、未来が少し明るくて慰められた。
    アフガニスタンの70年代から今を生きる2人の女性の物語。
    アフガニスタンに共産主義者居たんだという驚きや、どのように情勢が変わっていったかよく分かるし、その中で翻弄されていく女性達の痛みや苦しみがひしひし伝わる。
    遠い国の話だが、そんな彼女達の感情に共感できる事も多く、人間の普遍的なものを辿っていく小説でもある。
    昔は、各国の小説はそれぞれの文化や歴史の差異を読んでいたが、今は見た目・境遇がちがっても本質的には同じだ、という同質性を読む時代、らしい。それだけ多様化してグローバルな時代になったということなんだろう。
    所々に出て

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    2022年02月27日
  • 千の輝く太陽

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    人を想う強さ、愛する強さに心打たれました。アフガニスタンでタリバンが政権を奪取した2021年。改めて注目されてほしい作品だと思います。

    信仰や文化のため男尊女卑的な考えの残るアフガニスタンを舞台に、二人の女性が歴史や文化、そして暴力に虐げられながらもわずかな希望を信じ、強く生きようとする姿を描いた作品。

    お金持ちの主人とお手伝いの間の子として生まれ、現在は母と二人で粗末な小屋で暮らすマリアムが、何回りも年の離れた男と結婚させられ、さらなる悲劇に見舞われるまでを描いた第1部。

    女性の教育に対しても理解を示す父と、戦線に旅立った兄たちを想う母を持つライラ。兄の方ばかりを気にかける母に複雑な思

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    2022年02月12日
  • 月と六ペンス

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    ネタバレ

    男は自己充足のために、絵を描いていた。しかし、彼の死後に、作品は多くの人に評価され、消費される対象となった。富と名声は、彼が求めていたものだったのだろうか。

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    2021年11月13日
  • 千の輝く太陽

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    昨今の情勢を受け、アフガニスタンに生きる人たちのことを知りたくなった。爆撃、難民、タリバン。。ニュースで聞くだけではぼんやりしてしまう、想像の範疇外のアフガニスタンのことを知るためにまず、あえて私にとって身近な小説という媒体を選んでみた。

    この小説は、国連で難民支援のために働いていた著者によるもの。この小説には、政治情勢の変遷とともに主人公たちを取り巻く環境の変化、そしてその影響をどのように受けているのかが、ありありと描かれていた。

    当たり前のように描かれる衝撃的な日常風景に、展開される主人公達の処遇。まずこの国のもともとの姿にもものすごく本当にびっくりした。でもその全ての驚きの根底には、

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    2021年09月10日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念講演の日本語訳。
    毎日新聞のウェブサイトで英語・日本語訳の両方とも読めるので少し迷ったが、やはり、手元に置いておこうかなと。
    生い立ち、何に気をつけて小説を書いているか、今の時代とこれからの未来について思うこと、丁寧に語られています。
    I'll have to carry on and do the best I can.
    左ページは英語、右ページは日本語。赤いハードカバーの小さな素敵な本でした。

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    2021年06月04日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ネタバレ

    2017年12月7日ストックホルムでの
    スピーチを左ページに英語、右ページに翻訳
    を載せた本。

    1979年秋24歳から始まり、子供時代、
    自分の心の中の日本とそれを書くこと、
    プルーストや歌手などから作品に影響を受けたり、
    人間間の関係を書くことの大切さに
    気付いたり、現在の世界の状況を憂い、
    自分がその一助となれるか、若い作家への
    期待と希望、文学は多様になるべき、など
    が語られています。

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    2020年10月30日
  • 日の名残り

    mac

    ネタバレ 購入済み

    人生の黄昏

    一部ご紹介します。
    ・「わしはあんたの言うことが全部理解できているかどうかわからん。
    だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っとるよ。
    いいかい、いつも後ろを振り向いていちゃいかんのだ。
    後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。
    なんだって?昔ほどうまく仕事ができない?
    みんな同じさ。いつか休む時が来るんだよ。
    わしを見てごらん。隠退してから、楽しくて仕方がない。
    そりゃ、あんたもわしも、必ずしももう若いとは言えんが、それでも前を向き続けなくちゃいかん」
    「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。
    みんなにも尋ねてご

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    2022年09月30日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    mac

    ネタバレ 購入済み

    人生の尊厳

    一部ご紹介します。
    ・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
    形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
    「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
    あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
    「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
    ・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
    ・すぐにも行動を起こさないと、機会

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    2022年09月30日
  • 月と六ペンス

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    自分以外の何かに取り憑かれ、その衝動に従って生きることを余儀なくされる。その様子を目の当たりにするとき、憧れを抱きつつも、それが自身には不可能であることも悟っているからか、衝動は自分にも感じている、しかし、その衝動を乗り越えられるのが人間なのだという、結論ありきの理論を展開して自身を守ろうとしてしまう(まさしくそれが人間であることの証明なのかもしれないが)。

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    2020年08月14日
  • 夜想曲集

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    なんかこう切ない雰囲気がとても好き。

    イシグロさんって、淡々と進む情景描写に、綺麗な色の哀愁を乗せるのがとても上手な作家なんだと思う。たぶん、情景と感情の絵をいつも思い描いている人。うまく色が溶け合わさせて、読者を癒してくれる。
    この本はそれがすごく出てる。

    サンマルコでいつかこんな音楽家に会えますように。

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    2020年03月28日
  • ねじの回転

    匿名

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    古いお屋敷のクリスマスイブ、赤々と燃える暖炉の前で語り始められる怖い怖い物語。
    19世紀のイギリスのお屋敷というだけでも楽しそうなのに、緊張と恐怖もしっかりと味わえる。
    ゴシックホラーの最高峰。

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    2019年11月20日
  • 千の輝く太陽

    購入済み

    抑圧される少女たちの姿に胸が痛くなります。
    しかし、「暗い」「重い」というだけの話ではありません。
    過酷な状況の中でも生きる強さ。何もかも奪われても大切な人に手を伸ばす優しさ。
    周りがどんなに彼女たちを黒く塗りつぶそうとしても、彼女たちの命は輝いています。

    カズオ・イシグロ作品の翻訳もされている土屋政雄さんの、読みやすくも格調高い翻訳が素晴らしい。

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    2019年11月20日
  • 忘れられた巨人

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    やはりカズオ イシグロの作品はとても面白いですね♪
    記憶が霧に消されている時代の老いた夫婦が息子を訪ねる旅に出るところから始まった物語は不思議な臨場感を伴いながら読者をブリテンの神話世界に誘うけど門外漢の私達にも違和感無くいにしえの世界を旅させて呉れる。「忘れられた巨人」との邦題になっているけど原題(埋められた とか葬られた)のほうがピッタリな気がする。それにしても面白かった!

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    2018年12月14日
  • 千の輝く太陽

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    読んで良かった。
    約半世紀に渡って、アフガニスタンで女性が置かれた過酷な状況について、どんなノンフィクションよりも雄弁に伝えているのではないかと想像する。同じ名前の女性が同じ場所に実際にいたわけではないはずだが、マリアムとライラに自分の人生を重ね合わせられるアフガニスタン女性がたくさんいるのだろう。
    とにかく重い。

    マリアムとライラに、そして彼女たちの子どもたちにも共通しているのは、幼い頃からそれが当たり前の状況の中で成長しているということ。まだ判断力のない幼い子どもたちにそのような思いをさせないために、大人はもっと思慮深くなければならないと思った。

    重い話だがラストはとても感動的な余韻が

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    2018年11月23日
  • 忘れられた巨人

    購入済み

    忘れられた巨人

    ともかく、読んで下さい
    全ての描写に感動する筈です

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    2017年10月12日
  • ダロウェイ夫人

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    ヴァージニアウルフは『灯台へ』と本作しか読んでいないけれど、最も魅了される作家のひとり。

    意識の流れを繊細に描写した文体は、登場人物への深い共感を可能にし、内容は一見すると平凡だが作品は不思議な明るさに包まれている。

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    2017年01月21日