土屋政雄のレビュー一覧

  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    名著と言われ尻込みしていたが、面白かった!話に緩急があって飽きさせない。ストリックランド(≒ゴーギャン)は確かにこういう人間だったんだろうと思わせる。自分勝手で女への愛情はほとんどないが、人目を一切気にせずひたむきに美を求める男。本当はストラードみたいな男と一緒にいた方が幸せになれるんだけど、結局ストリックランドみたいなやつを好きになり破滅するんだよね。

    0
    2026年01月29日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    悲しい終わり方。クララに感情移入してしまった。そこは筆者の力技ともいうべきか。映画A.I.に近い筋立てだが、こちらは、人間の心の核というものを掘り下げている。登場人物は、現代と変わらない心の浮き沈みがあり、そこの描写も面白い。

    0
    2026年01月23日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロさんの『クララとお日様』を読みました。

    物語は、AF(人工親友)であるクララの視点で語られます。
    最初は聞き慣れない用語が多く出てきて少し戸惑いますが、丁寧な筆致を読み進めるうちに、徐々にこの世界の輪郭が見えてきます。

    ハッキリとは描かれていませんが、科学技術が進歩しすぎたことで様々な分断が生まれている、そんな「ディストピア」な社会であることが想像できます。

    そんな厳しい世界の中で、常に人に寄り添い、優しくあろうとするクララ。人間よりも、信仰心を持ち続ける彼女の方が、よほど人間味を感じられる点がとても印象的でした。最後にクララが見出した、「人間を人間たらしめるものは何か?

    0
    2026年01月17日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

    0
    2026年01月03日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。

    0
    2025年12月13日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    面白かった!途中ストリックランドのヤバさに引いたけど最後はストリックランド、、、お前、、、ってなった。解説もついていて理解が深まった気がする

    0
    2025年11月12日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    「わたしを離さないで」について

    ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが端正な筆致で綴る、ある女性の人生の物語。

    提供者を慰める介護人の職に長くついていた女性。彼女が職を辞めるにあたり、自分のこれまでの人生、特に生まれ育ったヘールシャムで仲間と過ごした日々を回顧する。

    提供者、介護人など説明なく出てくる言葉の意味が、女性の回想から次第に明らかになってくるにつれ、世界の残酷な姿が浮かび上がってくる。
    この世界の真実は、SF小説のファンならばすぐに見当がついてしまうだろう。

    読みどころは、むしろ小説としての巧さ、人間描写の厚みの部分だ。大きな状況に翻弄される主人公たちが、小さな人間関係にすがる姿がなんとも哀しく映るのだ。

    #切ない

    0
    2025年08月29日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    老歌手からもうすでにいい。構成とキャラ設定、ストーリーの流れ、全部拍手喝采。行を追うのが止まらない。

    0
    2025年08月19日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    翻訳ものは誰が翻訳したかによっても評価が分かれると思いますが、とても読みやすかったです。訳されることを前提に書いていると知った時は驚きました。
    音楽をテーマに5つの短編が収録されていますが、一つ一つ異なるテイストで楽しく、すぐに世界に引き込まれました。
    余韻のある読後感も心地よい一冊だと思います。

    0
    2025年08月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    物語はキャシーの回想
    何者として生まれたのか 保護官 提供者といった聞きなれないワードが並ぶ中…人と同じように成長する人生が端正な語りで描かれてゆく

    まず第一印象は静かな長編だった。思い出の美しさ昔の宝物の箱を覗いたようなイメージが、そして物語の世界観の異様さ、これは読中も読後ももどう受け入れるべきか…倫理的問題があったと思う
    物語序盤で少なからず読者は気づくのでネタバレではないと思うがクローン人間の世界ということ。しかし普通に教養をうけ青春も、何者なのかを明かされた時 息が止まってしまった。生徒たちは抗うことなく静かに飲み込んでゆく、自分だったら狂ってしまうのに静かに受け入れた彼らをどう思

    0
    2026年06月27日
  • イギリス人の患者

    Posted by ブクログ

    「教皇選挙」を観て、レイフ・ファインズ熱が再燃。
    自分的No.、最も美しく儚い姿だった「イングリッシュ・ペイシェント」を思い出した。
    原作は読んでいなかったな、ということで手に取る。

    本書の解説にもあるが、映画と小説はかなり別物であった。
    なので、映画が好みだからと言ってこちらも気にいるかは別問題。

    しかしながら、小説にはこの形式でないとできないだろう展開・発展があり、その揺らぎが文庫版の訳者曰く「読む人を選ぶ本」だそうだが、私には合っていてすぐこの世界感に没入した。
    話者がコロコロ変わる、時間が自在に行き来する、ということだったがその変化に反発せずについていけ、こちらも時間も空間も地図上

    0
    2025年05月09日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    これまで読んで一番面白かった小説を一つ挙げて、と言われたら、有力候補の一つとしてこの本が挙がってくると思う。それくらい面白い。魅力的な本。

    本書のクライマックスは、やはりストリックランドがタヒチに行ったのちに命をかけて最高傑作をかけ上げていくシーンなのかもしれない。ただ個人的には、前半のパリでの出来事や、あのいかれていると思われるほど、お人好しの彼の切ない感じが大好き。

    自分にはストリックランドのような圧倒的な才能も、なぜだか女性を惹きつけてしまう野生的、セク書なるな魅力もないと自覚しているので、それに圧倒されつつも惹かれてしまう彼や彼の奥さんの気持ちがなんとなくわかる気がするのだ(もちろ

    0
    2025年05月06日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    ゴーギャンをモチーフにした小説。相変わらずモームの人間への洞察力はすごい。ストリックランドという人間を通じて、人間とはどうあるべきなのかわからなくなる。

    彼は確かに家庭を顧みずに絵画の道を選ぶものの、それが彼にとっての生きがいでもあった。そして多くの人に影響を与えた。何が良いかということは、本人しかわからないし、現世での評価が全てでもないのかもしれないと思う。

    0
    2025年02月13日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    5篇の短編からなる。
    「夜想曲」などに出てくるリンディーガードナーはカズオ・イシグロのお気に入りキャラだろう。
    天真爛漫なセレブに売り回されるミュージシャンたち。
    5篇の短編はすべて音楽に関係のあるストーリーで、切なく、ときにクスッと笑える要素を含む。

    0
    2025年02月02日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    月と六ペンス読みました。
    終盤のところが1番印象的で好きでした。
    生まれる場所を誤る人がいる、とゆう一文から始まる文章のところや、タヒチでのストリックランドの様子。
    物語中盤にストリックランドがブランチのことを、支配欲は激烈で魂の支配までする、ただ自分のものにしたかっただけだ、と言い放っていましたが、タヒチのアタは自分をほっといてくれるからこれ以上は望まないといい、最期をそこで過ごす。このふたりの対比は痛々しく、ブランチに同情してしまう私は似たものをどこかで持っているからなのかなと思ったり。
    世間はどうでもいいストリックランドと、ブランチの夫の他者に執着にも感じるような介入をしたがる様子との対

    0
    2025年01月20日
  • イギリス人の患者

    Posted by ブクログ

    読んでいる際の雰囲気が池澤夏樹さん著の”夏の朝の成層圏”に似ている気がしました。
    両方ともなんとなくモヤモヤしている気持ちへの処方箋として良いのではと思います。

    0
    2024年11月30日
  • 夜想曲集

    購入済み

    副題から分かるように全ての短編に音楽の要素が出てきますが、もうひとつの「夕暮れ」はどういうことだろうと思いながら読んでいました。訳者あとがきにも書かれていましたが、音楽以外にももうひとつ男女関係・夫婦関係の危機というモチーフも全ての短編に共通しています。登場人物皆もう若くなく、ある人は結婚した時の状況とはお互いの関係や自分の感情や人生に求めるものが変わっていたり…。こういう人生の盛りを過ぎてそれでも残りの人生を生きていく人々を「夕暮れ」という言葉で表現しているのでしょうかね。思えば『日の名残り』もそのような意味合いでしたか。
    ひとつひとつ心にしんみりとした感覚を残す短編でおすすめです。

    0
    2024年08月17日
  • 日の名残り

    購入済み

    面白くてすんなり読めました

    サー・カズオイシグロの作品を読むのはこれが初めてでしたが、冒頭からすんなり読めて良かったです。
    大好きなドラマ「ダウントンアビー」の世界を楽しめました。主人公のドライブ中の描写も以前旅行した時のイギリスの田園風景が目に浮かぶようでした。
    どちらかというと主人公より元女中頭のミス・ケントンに感情移入して読後感はどことなく悲しかったですが、他の方のレビューを読むと主人公もミス・ケントンも過去を振り返った上で希望を持って未来に歩み出す物語なのかもと思います。なかなか深い物語です。

    #深い

    0
    2024年04月16日
  • イギリス人の患者

    Posted by ブクログ

    1992年のカナダ総督文学賞とブッカー賞受賞。2018年にブッカー賞50周年記念の歴代受賞作で最も優れた作品として、ゴールデン・マン・ブッカー賞受賞。『イングリッシュ・ペイシェント』の名で映画化され、アカデミー賞9部門受賞しています。

    著者はスリランカ生まれのカナダ在住。カナダ文学ですぐに思い浮かぶのは、モンゴメリやマーガレット・アトウッドくらいでしたが、こんな凄い作家がいたのですね。

    長らく新潮文庫で絶版でしたが、創元文芸文庫で復刊。東京創元社も、白背表紙の文芸文庫シリーズを始めて間もないので、ラインナップ充実を図ってのことでしょう。手に入りやすくなったのは喜ばしい限りです。

    さて、詩

    0
    2024年04月07日
  • イギリス人の患者

    Posted by ブクログ

    あー。すごい。すごい、これ。それ以外まず言葉が出ない。
    ブッカー賞を受賞した中でも最も素晴らしい作品を選ぶという企画の中で選ばれた本作。ブッカー賞オブブッカー賞。

    「イングリッシュ・ペーシェント」という題で映画化され、かつアカデミー賞も受賞したとのことだがその筋に疎い私はそんなことも知らず。
    この小説が最初ですべてだったわけだが、すごい。

    私が海外文学が好きな理由の一つに「絶対に日本人には書けない物語を書ける」ということがあるのだが(もちろんその理由で日本の文学も好きだけれども)、この小説は日本人には絶対書けない。
    第二次世界大戦が舞台で、かつ、ヒロシマナガサキの描写が物語のキーになっても

    0
    2024年03月10日