土屋政雄のレビュー一覧
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日本人作家による英国文学を読むのは初めてだ。著者がノーベル文学賞を受賞した際に話題となり、読もうと思いつつも長年積読状態だったが、ようやく読み終えた。
まず感じたのは、翻訳の秀逸さである。翻訳文学特有のぎこちなさは皆無で、まるで日本語で書かれた物語を読んでいるかのようだった。
本書は、執事スティーブンスが休暇中の旅を通して、自らの半生を一人称で振り返る物語である。序盤では、自らが立派な執事であったことを誇り高く語る。しかし回想が進むにつれ、その言葉の隙間から、動揺や疑念、そして決して表には出さなかった感情が静かに滲み出てくる。それは後悔なのか、それとも取り返しのつかない人生への失意なのか。 -
Posted by ブクログ
イギリスの大きな屋敷で執事をしている主人公は、雇い主からの提案で小旅行をする。
旅行中、
以前の雇い主の元での様々な出来事を思い出し、
読み手に語る。
その語り口調がイギリス上流階級の、
伝統を重んじるかんじで、
主人公の真面目さを感じた。
真面目さでいうと、
ジョークをよく飛ばす今の雇い主への対応に
気を揉んでいる様子が面白かった。
ラジオや本を読んでどう冗談を言ったらいいか
勉強して雇い主のジョークに適切に答えることを
「新しい任務」として大真面目に頑張ったり、、
冗談を冗談で上手く返して、
雇い主を楽しませられないのは職務怠慢にあたるのではと考えたり、、
架空のことをいつまで -
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ネタバレAF(Artificial Friend:人工親友)の女の子であるクララの目線で語られる、未来の世界の物語。
他のカズオ・イシグロ作品でもしばしば見られるように、柔らかく優しい語り口でとんでもないディストピアを描き出す。(好き!)
クララは病弱な女の子、ジェシーの家に買い取られ、ジェシー、その母親および家政婦と共に暮らすようになる。ジェシーの"親友"としての役割に邁進するクララだが、ジェシーの病状は次第に悪化し、さらに家族の仄暗い秘密も明らかになっていく。
物語の世界において当たり前に存在するらしい、優勢思想的な技術もストーリーに影を落とす。
クララは非常に優れた人工知 -
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ネタバレ忘れられた巨人
はじめての「カズオ イシグロ」でした。
物語はアーサー王時代直後のイングランド。血で血を洗う争いが収まり、竜の吐息のせいで人々が諍いを忘れ平安に暮らしている。
アクセルとベアトリスの老夫婦はある日忘却の彼方にある息子の元へ旅立とうと決意する。
鬼を退治した戦士と鬼にさらわれて咬まれてしまったために村を追われた少年と旅を続けるうち、忘却の原因が竜の吐息のせいだと知り、その竜退治につきあうことになる。
竜退治のために派遣され長年それを果たせずにいるドンキホーテのような騎士も加わりますが、騎士の本当の目的は・・・
竜が退治され記憶が甦ることによって、甦る殺戮の記憶、そして復讐の念。 -
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ネタバレ「品格の有無を決定するものは、みずからの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だ」
「私はダーリントン卿にお仕えしたことで、この世界という車輪の中心に、夢想もしなかったほど近づくことができた」
「もしかしたら実現していたかもしれない別の人生を、よりよい人生を──たとえば、ミスター・スティーブンス、あなたといっしょの人生を──考えたりするのです」
品格という言葉が多く出てきて、仕事のスタンスや取り組み方が良くも悪くも硬派だなと。プロフェッショナルであることに疑いはないが、いまのライフを重んじる考え方とはまた違うかも。
別の人生があったら…と思ってしまうのは古今東西変わらないのだろうと。最後は夕焼 -
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最初はちんぷんかんぷんやったけど、途中からは主人公キャシー、ルース、トミー3人の人間模様にやきもきしつつも共感した。最後はヘールシャムができた経緯を知って、何のために生きるのか、幸せな人生とは?を考えさせられた。
3人の哀しい運命は最初から決まっていてそれを変えることはできなかったし、先生がヘールシャムで実現したかったことはただのエゴかもしれない。それでも結果的にヘールシャムでの豊かな日々はその後のキャシーの人生を彩り、心の支えになっていたんだろうなと思う。
誰かとぶつかったり愛し合ったり共に楽しく過ごす、何気ない日々の瞬間にこそ生きる醍醐味があるのだと再認識した。
でもヘールシャムで豊かな生