土屋政雄のレビュー一覧

  • クララとお日さま

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    AFのクララの語り口に時々違和感を感じ
    これがAIだからか、と思う。
    AIとの向き合い方をいろいろ考えた

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    2026年07月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    終盤の先生の告白がとても残酷だった。とても良い人なのだろうけれど。
    キャシーを生き直せるくらい情景と感情が鮮明。
    なかなか救いを見出せないので、よくドラマにしたな、と思う

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    2026年06月30日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    AF(Artificial Friend:人工親友)の女の子であるクララの目線で語られる、未来の世界の物語。
    他のカズオ・イシグロ作品でもしばしば見られるように、柔らかく優しい語り口でとんでもないディストピアを描き出す。(好き!)

    クララは病弱な女の子、ジェシーの家に買い取られ、ジェシー、その母親および家政婦と共に暮らすようになる。ジェシーの"親友"としての役割に邁進するクララだが、ジェシーの病状は次第に悪化し、さらに家族の仄暗い秘密も明らかになっていく。
    物語の世界において当たり前に存在するらしい、優勢思想的な技術もストーリーに影を落とす。

    クララは非常に優れた人工知能を有しているが、人間と比較すればその思想は単純である。それでも、登場人物の中で、彼女が一番優しく、信心深く、そして正しく感じられる。しかし、ラストシーンで彼女がハッピーエンドを迎えられたわけでもない。

    知性の複雑さが正しさに直結するわけではないこと、そして正しくあることが幸せに直結するわけでもないことが見につまされる。
    愛、知性、信仰、倫理観、家族、友達…どこまでが人間だけのものなのか。愛、知性、幸せとは一体何なのか。読者の心に投げかける物語。

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    2026年05月24日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    忘れられた巨人

    はじめての「カズオ イシグロ」でした。
    物語はアーサー王時代直後のイングランド。血で血を洗う争いが収まり、竜の吐息のせいで人々が諍いを忘れ平安に暮らしている。
    アクセルとベアトリスの老夫婦はある日忘却の彼方にある息子の元へ旅立とうと決意する。
    鬼を退治した戦士と鬼にさらわれて咬まれてしまったために村を追われた少年と旅を続けるうち、忘却の原因が竜の吐息のせいだと知り、その竜退治につきあうことになる。
    竜退治のために派遣され長年それを果たせずにいるドンキホーテのような騎士も加わりますが、騎士の本当の目的は・・・
    竜が退治され記憶が甦ることによって、甦る殺戮の記憶、そして復讐の念。
    戦いとは?平和とは?
    そのんなことを考えさせてくれる正統派の物語でした。
    英語は疑似古語で書かれているということで、そういった文体に直接触れたい場合は英文で読まなければならないようです・・・

    竹蔵

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    2026年05月11日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    献身的なクララが運命を変える、的なハートフルな話と思いきや、かなりブラックな話だと感じた
    確かに、クララ目線ではジョジーが回復して、様々な体験ができてハッピーなのかもしれないが、実際は用済みとして廃棄されている
    途中にもところどころ、向上手術を受けたか受けていないかで格差が決定づけられている描写や、ジョジーの母親の言動に違和感しかないなどの要素が散りばめられており、現代の能力主義の行き着く先として、人の心の温かみが軽視され、誰もが取り替えのきく代用品になる暗い未来が描かれていると感じる

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    2026年05月01日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロの文章は主人公(語り手)が必ずしも正しいことを言っている訳では無いので、少し混乱する部分もあった。
    AIは優秀であり能力的には人間以上の働きができるが、特定の人間の代わりになることは出来ないという、人間の尊さが描かれている。
    その一方で、格差社会や心を失いつつある人間達への警鐘を鳴らすような面もあり、自分を見つめ直すきっかけになる作品だった。

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    2026年04月30日
  • 月と六ペンス

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    最初の3章はつまらなく感じて、なんの本を読んでいるのか分からなかった。
    でも、次第にほんの世界にのめり込んでいって結局夢中で読みました。
    時代も土地も違うから、俯瞰で読んでいる。なのにすごく想像ができる、不思議な本でした。
    画家はとんでもない人間で、周りの人々の人生をめちゃくちゃにする、とあらすじを(途中で)読んだので、ストリックランドには嫌悪感を覚えてこの本を読み終わるのだろうと思っていました。
    しかし、たしかにストリックランドはめちゃくちゃですが、とても魅力的に描かれていて、彼を嫌いだと思う暇はなかったです。

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    2026年04月17日
  • クララとお日さま

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    AFという存在が子どもにとってなくてはならない親友なのに、成長したら型落ちの廃品扱いなのが悲しい。
    どこかディストピア感があって、カズオイシグロらしい寂寥さがあちらこちらにあるのが良い。

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    2026年04月15日
  • クララとお日さま

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    クララに感情移入してラストは寂しく悲しい。
    ジョジーの存在は本人そのものよりジョジーを愛する周りの人々によって作られていく、ということがラストに実感。クララが言うように、どんなにクララが学習してジョジーを継続してもジョジーにはなり得ないのだ。私もまたクララとの関係においてそうなったのだから。

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    2026年03月25日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を取った作家の自叙伝

    カズロ・イシグロさんのことを全然知らなかったので読んでみた。(そもそもノーベル文学賞もちゃんと認識できてなかったです。m_ _m)

    日本生まれながら、海外育ちという特殊なアイデンティティと歴史の波がグッと噛み合い生まれた作品たちなんだなと感じた。
    「記憶の中の「日本」を保存する」というのはオシャレな考えだった。

    また、常に自問自答と、作品を皆に見せフィードバックをもらいなら制作している様子は素敵だった。

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    2026年03月24日
  • 千の輝く太陽

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    マリアムとライラ、激動のアフガニスタンで生きる2人の視点で描かれる悲劇。

    女よ、聞け。常に家の中にとどまれ。女が目的もなく通りを歩くのは、正しい行いではない。

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    2026年02月18日
  • ダロウェイ夫人

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    ネタバレ

    第一次世界大戦を終えたイギリスの、6月のある1日を描き出す作品。
    「ダロウェイ夫人」が中心に据えられているが、作品の視点は周囲の人の頭の中を飛び回るような、独特の浮遊感で移り変わっていく。

    大勢を招いたパーティを開くくらい精力的で、魅力的でもあるようなクラリッサ(ダロウェイ夫人)が内面で仄暗いものを飼っていて、誰かわからない人の自殺を知りなにかしら自分の中に落とし込むくだり、表面的にはなにひとつ変わらないこのことを真に迫って伝えてくるのは正に小説の力だと思う。

    一番印象的だったのはヒュー。「完全無欠」ながら、本を読まない、ものを考えないと切って捨てる人もいるけれど、本人は本人の価値の置く世界で幸せに過ごしている。物事を考え過ぎないからこそ幸せでいられる、という暗喩のようでもある。

    表現が芳醇で読んでいる間はとにかく至福の時間で、この内容で読ませるなんてほんとすごいと感嘆し通しだったけれど、最後の終わり方はえっえっこれで終わり??と何度も読み返してしまった。
    この物語が終わるのには最上のタイミングだけれど、終わる予測をしてなかったので寂しい気持ち。

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    2026年02月07日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル文学賞受賞記念講演
    途中で止めて、いったんトムウェイツのRuby's Armsを聴かずにはいられなかった

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    2026年01月24日
  • クララとお日さま

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    気になっていたクララとお日さま

    正直、読み進めるのに苦労した。
    それもそのはず。
    この物語は、人工知能搭載ロボット(AF)のクララが
    主役なのだから。

    子供の成長を手助けするロボット、クララ。
    病弱な少女ジョジー。
    ふたりの友情が育まれつつ、ジョジーを取り巻く
    大人たちの問題にクララが巻き込まれていくが、
    クララは、見聞きしている情報を正確に捉え分析し、クララなりの答えを出していく。
    その結果は。。。

    この物語は、クララを通じて多くのことを考えさせ
    られた。
    子供に対する大人の倫理観と感情論。
    環境に対する問題。
    クララは静かに分析し。
    ジョジーは冷静になりつつも大人達の考えに
    導かれる。
    さて、その先の答えは。。。

    日本のある食べ物をジョジーたち家族が食べに行く
    シーンで、日本の少子高齢化、環境問題などが
    この先の日本を危惧してるように思われた。
    いつかは人間に代わって人工知能搭載ロボットが
    この日本を救うような。。。
    そうでないような。。。
    日本に『お日さま』を!!

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    2026年01月17日
  • 月と六ペンス

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    現実なのかドラマなのかぼやけてくるような不思議な感覚で、読み入ってしまった。
    1人の天才に周囲の人間が狂わされてしまう異様な光景を想像するのと併せて、頭の中で凄まじい美術を思い描いた。
    自分的には距離を取っているつもりが、傍目から見たらとっくに魅了されている主人公の姿も、ストリックランドの恐ろしさを加速させていた。

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    2026年01月01日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんの講演録です。
    興味深い内容でしたので、イシグロさんのルーツについてもっと知りたいと思いました。

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    2025年12月19日
  • クララとお日さま

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    人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

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    2025年10月24日
  • イギリス人の患者

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    ネタバレ

    読書会の課題本で読みました。読むのに時間がかかって、主人公は砂漠に落ちて大火傷追ってベドウィンに助けてもらった後にイタリアの廃墟の病院で花と言う看護師と2人で療養しているところ、そこにカラバッジョ、インドのシーク教徒の名前なんだったっけ?爆弾処理が仕事。それぞれが戦争の傷を抱えつつも、戦争の空白地点みたいなところで、日々を過ごすところ、日本に原爆が落ちたり、そのことに憤ったインドの青年はその場を去るんだけど、その時の人々は原爆のことを知らないんだろうけど、もう知っている前提で書かれている。最後まで読み終わったら、詩人の書いた美しい物語だなと思えた。とにかく読みにくい。映画は評判は本を読んだ人にはイマイチみたいだけど併せて観ると筋が追えました。

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    2025年06月10日
  • ねじの回転

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    『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。

    あらすじ:
    物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯父から「いかなる事態が起こっても彼には一切連絡しない」ことをいい使っておりました。

    屋敷に着いた彼女は、そこで働くグロース夫人と懇意になったり、教え子となる二人の美しい兄妹、マイルズとフローラにすぐに惹かれることになります。ただ、マイルズに関しては、学校に通っていたのに放校になって帰ってきたことが気掛かりではありましたが。

    そんな中、彼女は屋敷で不穏な気配を感じるようになります。グロース夫人の語るところによると、この屋敷に勤めていた召使いのクイントと前任の女性家庭教師であるジェスルが不可解な死を遂げているとのこと。やがて彼女は、亡霊となった二人が子どもたちに取り憑いているのではと思い至り、子どもたちを守ろうと決意しますが……。

    と、全体的に不穏な雰囲気と不思議な緊張感が終盤まで続くストーリー展開に引き寄せられますが、読み終えるとその結末は曖昧模糊とした亡霊の謎も相まって、なんだかスッキリしない。ただし、その亡霊を認識しているのが誰なのか、また大袈裟とも思える子どもへの偏愛、そして日記を書いた本人が既にこの世にいないこと、さらには日記に書かれている事を全て正しいと思うのは誤りなのではと思うと、『ねじの回転』のタイトルがしっくりきます。まるでゴシック・ホラーの形式で綴られた、著者のイタズラに翻弄されて、読者の”頭のねじ”の締まり具合を嘲笑われているかのようにも思われます。最初に”ネジ舐めした状態”と書いたのは、自分としては、P235を家庭教師が”本当にしてしまったこと”に書き変えると……可愛さ余って……ということなのかなと。あくまで個人的な推測ですけど、気狂いな家庭教師による○人じゃないかと思っていますが真相やいかに?ホームズが生きていた時代なので、ちゃんと仕事しなさいとまで思った自分は考えすぎでしょうか?それにしても、残酷なシーンも無ければ、読み手を怖がらせようとするわざとらしさも無いのに、妙に情景が脳裏に残る著者の書きようには感心しましたね。

    ところで、古典の宿命で複数社から出版されている中で、光文社古典新訳文庫を選んだのはただの消去法です。新潮文庫は、2人の子どもの幽霊がこっちを見ていてヤダなと……読んでみて壮大な勘違いでしたが(笑)。
    あと、岩波文庫は『デイジー・ミラー』とのカップリングで、タイトルが『ねじの回転 デイジー・ミラー』なのに、ページを開いたら『デイジー・ミラー』『ねじの回転』の順に掲載されていました。訳者は『アスパンの恋文』『ワシントン・スクエア』の行方さんなので好きですが、たまたま腹の虫の納まり具合が悪かったのか、頭に来て買うのをやめたという、なんともまあ、そんなこともあるのです。未読の『デイジー・ミラー』を読むときには岩波文庫にしようかな。

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    2025年05月31日
  • ねじの回転

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    ヘンリー・ジェイムズ初読み。
    というかその御名すら寡聞にして存じ上げなかった。
    タイトルもジャンルを窺わせない謎めいたもので(原題:The Turn of the Screw)、これがゴシックの系譜を継ぐホラー小説の先駆にして心理小説の傑作でもあるとは、このタイトルからはとても判断できない。
    あっさりした文体ながら、そこから「え、こんな重大事をさらりと出す?」みたいな海外文学ならではのドライな意外性の味わい深さ。
    まあこんな楽しみ方は邪道なのだろうが、近年においても何作も映画化されているのは本物の証左。

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    2025年05月17日