土屋政雄のレビュー一覧

  • ダロウェイ夫人

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    ネタバレ

    とても好き。
    どうやったら、この内容で、こんな文が書けるのかわからない。
    事件といえるような事件はおこっていないと思う(ピーターが帰ってくることや、サリーがパーティにやってくることは事件にはいらないと思った)。それでも読ませる力があるし、心を動かされる。それがすごい。本当にすごい。

    これを読んだ後に、「めぐりあう時間たち」(映画)を見ると、また二つの作品が相互に影響しあって、より楽しむことができる、と思う。

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    2011年11月19日
  • ダロウェイ夫人

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    6月のとある一日における、ダロウェイ夫人を初めとした登場人物たちの意識の流れを描いた小説。
    改段もなしに別の人物の意識に次々とすり変わっていくので、あまり真面目に読み込もうとすると大変だけど、さらさらと読み流していけば、様々な人々の様々な意識の流れの交差点が見えてきて面白い。
    生と死、若さと老い、美と醜、性、金銭・・・誰もがそれぞれの頭の中でそうしたものに囚われて生き続けるわけだ。

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    2010年08月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    面白いよりすごいなって作品

    印象に残ってるのは、最後にエミリ先生とキャシーが話すシーン。人間はどんなに正義を掲げても理念があっても、良いことをしているつもりでも1つの立場をとって発言したり行動すると、一気にエゴになるんじゃないかと思わされました。あの人たちは確かに善人で、ヘールシャムの生徒に一種の幸せを与えたと実感している。でも、求めてるのはそれじゃない。人の勝手な善意に振り回されるキャシー達を見て、絶望と虚無感と、終わりを迎えることに変わらない彼女達にとってあの人達の善意は何の意味もないと思わされるのがすごい作品だなと。

    それでも思い出のヘールシャムと仲間は確かに存在はしているのに。

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    2026年09月04日
  • 日の名残り

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    第一次大戦後、ドイツが重い賠償責任を負っていた時代に、そういう責任の負わせ方は紳士的ではないと考えていたダーリントン卿と、彼に忠誠を尽くすスティーブンスが執事という役割に徹する姿は、いかにも英国的で読みごたえがある。
    品位とは何かを突き詰め、「公衆の面前で衣服を脱ぎ捨てないこと」という比喩で表現している。それが父親や女性に対する感情を押し殺した対応につながり、人生の岐路でもしかしたら過った選択をしたかもしれないという、スティーブンスの後悔につながっていて、この物語の大きな軸を作っているように見える。
    大まかに受けた印象では、そこに至った思考回路はどうであれ、卿はやはり第一次大戦後から、第二次大

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    2026年08月31日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    とても辛い内容でした。
    ふんわりとわかるようでわからず色々想像しながら読み、最後の最後で全てが繋がる構成が、主人公達と同じ体験をしているような演出でしょうか。
    読むたびに感想が変わり、新たな発見もありそうです。もう一度読みたくなりますが、心が持たないのでいつか機会があれば。
    日の名残りがとても面白かったので、著者の他の作品も読もうと思います。

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    2026年08月29日
  • 日の名残り

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    以前読んだ『文学効能事典』に本作が載っており、気になったので今回読みました。

    正直、読み切れるか不安がありました。
    というのも、以前イシグロさんの別の作品を読んだ時に読みきれず途中で断念してしまったからです。

    しかし、本作は楽しく、そして心地よく読むことができました。うれしいです。

    その理由を考えてみると、
    小説では珍しく文章が丁寧語で読んでいて心地よさがあること、また執事という仕事を通して「品格」「偉大さ」「紳士」とは何かについて一緒に考えるのが楽しかったからだと思います。翻訳が良かったというのもあるのかもしれません。
    品格について、スティーブンスの父(父も執事)の
    怨みを抱いている指

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    2026年08月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    臓器提供のためのクローンたちの物語という、色々な展開をさせられそうな突飛な設定でありながら、終始抑制のきいた文章で「人生の中で選ばなかった(選べなかった)選択肢」を見つめる主人公の胸の内を描いているのが唯一無二だと感じた。

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    2026年08月23日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    日記帳を覗き見している感覚になる小説でした。友人との出会いと別れ、保護官の葛藤が終始辛かったです。立場が変わると今まで仲が良かった友達と距離ができてしまうのは現代でも当てはまってしまうのかな?と切ない気持ちになりました。

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    2026年08月22日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    純文学っぽい、文章に浸る感覚のある本だったと思う。
    最初はなんのお話かわからなかったけど、読み進めていくと徐々に明らかになっていく流れが面白かった。

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    2026年08月19日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    良かった!!!さすがカズオイシグロ、全然裏切らない。
    病気の子どもをAIロボットに学習させて、もしも死んでしまったらそのロボットに成り切ってもらおう、という計画。その計画を巡って、その人たらしめる唯一無二の何かはあるのか?という疑問の答えが、その人自身にはないかもしれないけど、周りの人からのその人への想いは、絶対何にも代えられないものだ(だからロボットには代替できない)、という結論だったのが、何となくわかる気がするし、ジーンとしみじみ良いなあと思う。
    あとカズオイシグロの書く子どもは、ただ可愛いだけの存在ではないところが好きだ。子ども同士の微妙な関係とか、他の人の前では別人になってしまうところ

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    2026年08月15日
  • ダロウェイ夫人

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    角川を途中まで読んで苦痛だったので新訳に切り替えました。
    めちゃくちゃ読みやすく、とても面白かった。登場人物一人ひとりがとても活き活き描かれていて面白い。
    伏線の回収からラストに向かって駆け上がっていく感じも素晴らしい。

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    2026年08月07日
  • 日の名残り

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    映画が好きで、この度原作も読んでみようと。
    最初はなかなか進まなかったけど、後半にかけてグンと惹き込まれた。

    映画では掴み切れなかったダーリントン卿の立場、それに対するスティーブンスの思いなんかも分かって、切なくなった。
    スティーブンスに対するイメージもかわったな。また映画もみなおしたい。

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    2026年08月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    解説に「細部まで抑制が効いた」とあるけど、本当にそんな感じ

    序盤のまだ何もわからない状態での一歩進んだと思ったらまた振り返ってみたいな文章が中々きつかったのですが、施設はなんなのか、そもそも彼等はなんなのかがわかってからはスラスラ読み進められた。

    読み終わってみたは彼等はしっかり「人間的」であったと思うし、ヘールシャムは「特別」だったと思う。

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    2026年08月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    昔に映画を見た作品。

    ようやくいまになってというのが悲しいと言うトミーの気持ちが、とてもつらい。嬉しいのに、悲しい。

    自分たちが提供者として育つことに何の疑問も持たない、当たり前となっている。受け入れている。誰も取り乱さない。
    クローンの性格はポシブルを反映しているのか。
    キャシーがこのまま提供者になることなく、寿命を全うするとしたらどうなるのだろう。そういった人はこれまでにいたのだろうか。

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    2026年08月01日
  • 日の名残り

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    英国の執事であるスティーブンスが、思い出を振り返りながら旅をする話。記憶の儚さとか、主人公の鈍感さなどが、人間らしくて興味深かった。

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    2026年07月22日
  • 日の名残り

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    30年ぶりの再読。素晴らしい本でした。若い頃は、女中頭の好意にまともに応えられない執事の臆病さを歯がゆく思いながらも、品格を追求する姿勢に共感して自分もそんな風でありたいと思ったものでした。それから30年が経って品格とは程遠い自分を見ながらこの本を読むと、この執事の臆病さと愚かさは自分と変わらないと感じてしまいます。
    旅に出て昔を回想しながら徐々に自分の過ちに気づき、最後に再会した女中頭との話のなかで自分の臆病さのせいで失ったものに気づいて涙する。しかし日の名残りの時こそが人生の最良の時だと思い至って、これからのことを前向きに考える。
    自分の気持ちに正直に自分の人生を一生懸命に生きる女中頭のミ

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    2026年07月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    約ネバ


    どんな本か忘れないためだけに書いた感想です。読まなくて大丈夫です。


    提供されることが普通であると、内臓が悪くなったら“提供者”の内臓をもらえると当たり前に思えてしまう世界怖すぎる。

    マダムや先生たちは、提供者たちが家畜ではなく価値のある人であることを世界に伝えるために、絵を描かせていたのね。

    技術が進歩し始めた時くらい、内臓移植ができるようになったくらいの時代に、人間という、提供者という家畜のようなものが生まれなくて(日本だから知らないだけかもしれないけど)よかったと思う。
    もし戦争中だったら、相手国の捕虜とかとっ捕まえて提供者にしてそうだな。

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    2026年07月05日
  • クララとお日さま

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    AFのクララの語り口に時々違和感を感じ
    これがAIだからか、と思う。
    AIとの向き合い方をいろいろ考えた

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    2026年07月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    終盤の先生の告白がとても残酷だった。とても良い人なのだろうけれど。
    キャシーを生き直せるくらい情景と感情が鮮明。
    なかなか救いを見出せないので、よくドラマにしたな、と思う

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    2026年06月30日
  • 日の名残り

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    日本人作家による英国文学を読むのは初めてだ。著者がノーベル文学賞を受賞した際に話題となり、読もうと思いつつも長年積読状態だったが、ようやく読み終えた。

    まず感じたのは、翻訳の秀逸さである。翻訳文学特有のぎこちなさは皆無で、まるで日本語で書かれた物語を読んでいるかのようだった。

    本書は、執事スティーブンスが休暇中の旅を通して、自らの半生を一人称で振り返る物語である。序盤では、自らが立派な執事であったことを誇り高く語る。しかし回想が進むにつれ、その言葉の隙間から、動揺や疑念、そして決して表には出さなかった感情が静かに滲み出てくる。それは後悔なのか、それとも取り返しのつかない人生への失意なのか。

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    2026年06月28日