土屋政雄のレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    どうやって提供を受け入れたのか、、受け入れる他に選択肢がなかったから諦めたのか。愛し合う二人への猶予は与えられず、展示会はただの社会へのアピールだったなんて知ったら絶望してしまう。世論がヘールシャムの人権尊重に賛同しなくなる流れは実にリアルだった。 キャスの視点で読むと、提供者を恐ろしく思うマダムやメアリ先生に疑問と悲しみを感じるけれど、私もクローン人間ににこやかに話しかけることはできないだろう。 トミーとキャスが愛し合ってるとルース含めわかっていたのが驚いた。訳がとても自然で落ち着きのある文章で良かった

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    2026年05月16日
  • 日の名残り

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    夕方の窓辺に座って読んでみたりした。エモ。
    一番好きなシーンは何度か出てくるスティーブンスがアメリカのジョークを習得しようと試みるシーン。後書きで失われる英国の伝統と栄光を表した物語と紹介されていたが、それを読んでから、このシーンで、新生アメリカに時代の主導権を奪われて、それに迎合していくイギリスをスティーブンスが体現してるように思えた。カズオイシグロはこれで三冊目、とても気に入ったので全制覇を目指したい。

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    2026年05月11日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    忘れられた巨人

    はじめての「カズオ イシグロ」でした。
    物語はアーサー王時代直後のイングランド。血で血を洗う争いが収まり、竜の吐息のせいで人々が諍いを忘れ平安に暮らしている。
    アクセルとベアトリスの老夫婦はある日忘却の彼方にある息子の元へ旅立とうと決意する。
    鬼を退治した戦士と鬼にさらわれて咬まれてしまったために村を追われた少年と旅を続けるうち、忘却の原因が竜の吐息のせいだと知り、その竜退治につきあうことになる。
    竜退治のために派遣され長年それを果たせずにいるドンキホーテのような騎士も加わりますが、騎士の本当の目的は・・・
    竜が退治され記憶が甦ることによって、甦る殺戮の記憶、そして復讐の念。

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    2026年05月11日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    「品格の有無を決定するものは、みずからの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だ」
    「私はダーリントン卿にお仕えしたことで、この世界という車輪の中心に、夢想もしなかったほど近づくことができた」
    「もしかしたら実現していたかもしれない別の人生を、よりよい人生を──たとえば、ミスター・スティーブンス、あなたといっしょの人生を──考えたりするのです」

    品格という言葉が多く出てきて、仕事のスタンスや取り組み方が良くも悪くも硬派だなと。プロフェッショナルであることに疑いはないが、いまのライフを重んじる考え方とはまた違うかも。
    別の人生があったら…と思ってしまうのは古今東西変わらないのだろうと。最後は夕焼

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    2026年05月10日
  • 日の名残り

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    アメリカ人の主人ファラディは、旅をすることに通じて、自国のことやスティーブンス本人に自身に目を向けさせようとしたのだろうか。短い旅が始まり、スティーブンスが過去を見つめ始める。彼は仕えていたダーリントン卿を救うことは叶わなかった。また彼自身の私生活も失敗であったと断定せざるを得なかった。旅の最後にそれに気づいた彼は、選択の余地があるとは思えない人生の中でも少し前を向いて進もうとしているのかもしれない。

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    2026年05月06日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    最初はちんぷんかんぷんやったけど、途中からは主人公キャシー、ルース、トミー3人の人間模様にやきもきしつつも共感した。最後はヘールシャムができた経緯を知って、何のために生きるのか、幸せな人生とは?を考えさせられた。
    3人の哀しい運命は最初から決まっていてそれを変えることはできなかったし、先生がヘールシャムで実現したかったことはただのエゴかもしれない。それでも結果的にヘールシャムでの豊かな日々はその後のキャシーの人生を彩り、心の支えになっていたんだろうなと思う。
    誰かとぶつかったり愛し合ったり共に楽しく過ごす、何気ない日々の瞬間にこそ生きる醍醐味があるのだと再認識した。
    でもヘールシャムで豊かな生

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    2026年05月05日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    献身的なクララが運命を変える、的なハートフルな話と思いきや、かなりブラックな話だと感じた
    確かに、クララ目線ではジョジーが回復して、様々な体験ができてハッピーなのかもしれないが、実際は用済みとして廃棄されている
    途中にもところどころ、向上手術を受けたか受けていないかで格差が決定づけられている描写や、ジョジーの母親の言動に違和感しかないなどの要素が散りばめられており、現代の能力主義の行き着く先として、人の心の温かみが軽視され、誰もが取り替えのきく代用品になる暗い未来が描かれていると感じる

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    2026年05月01日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロの文章は主人公(語り手)が必ずしも正しいことを言っている訳では無いので、少し混乱する部分もあった。
    AIは優秀であり能力的には人間以上の働きができるが、特定の人間の代わりになることは出来ないという、人間の尊さが描かれている。
    その一方で、格差社会や心を失いつつある人間達への警鐘を鳴らすような面もあり、自分を見つめ直すきっかけになる作品だった。

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    2026年04月30日
  • 月と六ペンス

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    最初の3章はつまらなく感じて、なんの本を読んでいるのか分からなかった。
    でも、次第にほんの世界にのめり込んでいって結局夢中で読みました。
    時代も土地も違うから、俯瞰で読んでいる。なのにすごく想像ができる、不思議な本でした。
    画家はとんでもない人間で、周りの人々の人生をめちゃくちゃにする、とあらすじを(途中で)読んだので、ストリックランドには嫌悪感を覚えてこの本を読み終わるのだろうと思っていました。
    しかし、たしかにストリックランドはめちゃくちゃですが、とても魅力的に描かれていて、彼を嫌いだと思う暇はなかったです。

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    2026年04月17日
  • 日の名残り

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    優しい文章。読みやすい。
    イメージする執事の典型な感じ。執事としての矜持が素晴らしい、古き良き時代を感じた。

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    2026年04月16日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    描かれている物語は残酷なのに
    登場人物は自分たちの人生に対して残酷だと思っていない
    クローンであることを当たり前のこととして認識している

    『運命を仕組まれた子供達』的な設定が大好きだけど
    この作品はまた違った良さがあった。

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    2026年04月15日
  • クララとお日さま

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    AFという存在が子どもにとってなくてはならない親友なのに、成長したら型落ちの廃品扱いなのが悲しい。
    どこかディストピア感があって、カズオイシグロらしい寂寥さがあちらこちらにあるのが良い。

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    2026年04月15日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    読み終えると様々な思いが生まれ、不思議と心がかき乱される。古くからある題材だし、結末も予想できるものなのに。劇的な展開を排し、我々と変わりない日常生活を丹念に描き、理性的な主人公にその心情を語らせる。その手法が共感を生むのだろう。この悲劇の裏側では、我々の現実世界では救えない命が救われている。どちらがディストピアか。エミリー先生とルーシー先生のどちらが正しいのか。登場人物たちが行わなかった手段(反乱や逃亡や抗議の自死など)を自分はとるか。我々の人生もこの物語の悲劇性を内包しているのではないか。どれも答えはでない。

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    2026年04月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ゆっくりと謎が明かされていく構成で、静かに進むが読後強く心に残る作品。
    ヘールシャムとは何だったのかを考えながら読む中で、登場人物たちの何気ない会話や感情に、言いようのないもやもやが残った。
    当たり前のように与えられている「選べる将来」について考えさせられ、時間の大切さを改めて感じた。
    これまでにない、少し変わった読書体験だった。

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    2026年04月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    約ネバすぎるのがノイズだった
    でもすごく物語の構成も、文体も、登場人物も、綺麗な小説だった
    抽象化すると全体的に"合理"VS"非合理"で対立してたなあ
    最初の方にでてきた先生も、展示会の真の意味も、エミリー先生団体の動機も

    でもやっぱりメインは郷愁だとおもう
    最初の方に現れた提供者がヘールシャムの話を自分の子供時代と混同させて楽しみ聞きたがったように、僕も暖かいベールシャムでの思い出を読むのが楽しかった
    小学生時代のいじめ、芸術作品という評価基準、全寮制の中での秘密の話、時々見える大人の仮面が剥がれた大人の不思議な部分、中学生時代の音楽の流行り、先生に

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    2026年04月07日
  • 夜想曲集

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    「イシグロってこんな作品も書けるのか!」とにっこりしてしまう、小粋な短編集でした。

    私のお気に入りは「降っても晴れても」。
    妻の不機嫌を直してくれと旧友に頼まれ、とんでもない窮地に陥ってしまうさすらいの語学教師レイのどたばたぶりが笑えます。しかも、密かに好意を抱いていた友人の妻には「頭がおかしくなったとのでは」と思われてしまうという、哀しいおまけつき。
    レイのために、サラ・ボーンの唄う「パリの四月」がいつまでも終わりませんように。

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    2026年04月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    抑制のきいた端正で静かな語り口で、かえって事実やそれに関わる人たちの不気味さ異常さに慄いた。将来の選択肢はないのに、計画の詳細を曖昧にしたままに感受性豊かに理知的に育てる教育は、教師や利用者の罪悪感を薄めるだろうけれど、子供達にとってとても残酷に思えた。

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    2026年04月02日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ真面目な執事が暇を貰い、思い出を回想。そしてあとでその回想に出てきた仕事で共にした女中頭と再会。
    恋とかそういうのには、結局生真面目なので発展しない。だが、そこがいい。
    そしておじさんとの会話で新たな気付きを得る。ジョークを覚えようか…と次なる道へと進む。

    3日目の夜から一気に物語が変わる印象。
    大変良い教訓を得たと思います。

    また歳をとってから読み返したい。

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    2026年03月29日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    複雑で色んな立場の人の思いだったり希望がすれ違ってるのが読んでて切なかった、
    提供者に感情を持たせるのは人道的にも取れるけど、それ以上に酷な気がしちゃった
    キャシーは提供者の番になったのかな
    あと信じたがり屋か知りたがり屋は人それぞれ違そうで面白いと思ったー

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    2026年03月26日
  • クララとお日さま

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    クララに感情移入してラストは寂しく悲しい。
    ジョジーの存在は本人そのものよりジョジーを愛する周りの人々によって作られていく、ということがラストに実感。クララが言うように、どんなにクララが学習してジョジーを継続してもジョジーにはなり得ないのだ。私もまたクララとの関係においてそうなったのだから。

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    2026年03月25日