土屋政雄のレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    登場人物たちの置かれている状況や世界観は現実に存在しない異様なものである。
    その異質さによって読み手は興味をそそられるが、だんだんとその異質さが当たり前のように感じられる説得力がある語り方だった。
    実際、物語が進んで彼らの置かれている状況が明確になっても、読んでいる側はそれが当たり前のように受け入れられるような作品だった。

    そのような特異な状況の中で描かれるのは、登場人物たちの繊細な人間関係の描写である。
    自分たちとは異なる環境で描かれる、人間関係における微妙な心の動きを描かれることで、よりリアルに感じることができた。

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    2026年01月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    文章の所々にこの本の世界の残酷さが織り交ぜてあって、読み進めていくうちに世界観を理解することになる。
    最終的に提供者になると分かっている環境で、逃亡する人がいないことを不思議に思った。諦めから来る義務感なのか、責任感なのか、どうなんだろう。

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    2026年01月04日
  • 日の名残り

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    ひたむきで有能な執事の残りの人生を失意の中に放り込まず、ユーモラスに締めくくってくれたイシグロに拍手。

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    2026年01月03日
  • 月と六ペンス

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    現実なのかドラマなのかぼやけてくるような不思議な感覚で、読み入ってしまった。
    1人の天才に周囲の人間が狂わされてしまう異様な光景を想像するのと併せて、頭の中で凄まじい美術を思い描いた。
    自分的には距離を取っているつもりが、傍目から見たらとっくに魅了されている主人公の姿も、ストリックランドの恐ろしさを加速させていた。

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    2026年01月01日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    お話としての面白さはそれはそうとして、読んでて印象的だったことが色々とあったので書いてみる

    ・読み始めた日に仕事で調べたことがあって、出てきたパソコン知恵袋みたいなページの質問者の名前が主人公の名前だった。キャシーH。これ、すさまじい偶然じゃない?しかもそれに答えてるのがAIっぽいのがまた面白すぎる。読んだことある人だったのかな?ユーザーネームとしてめっちゃセンスある。巡り巡ってこんな偶然が知らないところで生まれてるわけだし。

    ・1ページ目読んだ途端に、前読んだ執事のおじいさんの話の情景が浮かんできて、まぁそれは同じくカズオイシグロが書いた「日の名残り」なんだけど、
    「日の名残り」とそのお

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    2026年01月06日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロは好きで何冊も読んできたが、なぜか読んでいなかったクララとお日さま。ノーベル文学賞受賞でものすごい話題になってからの第一作目で、推しがとんでもなく有名になりすぎてなんだか距離が…みたいな感覚?

    ようやく文庫版を手に取る。読み始めたらもう一気に読んだ。相変わらず静謐でシンプルな素敵な文章。「私を離さないで」のような、読者に隠されたままの世界の秘密(今回はとうとう最後まですべては明かされなかった)。そして、人工知能ロボットという、人間の世界を学習中の、語り手として信頼をしきれない主人公クララ。読者は足元がぐらつき、視野が制限されたまま、クララの目を通して、クララの主であるジョジー

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    2025年12月28日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんの講演録です。
    興味深い内容でしたので、イシグロさんのルーツについてもっと知りたいと思いました。

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    2025年12月19日
  • 日の名残り

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    おじさんの虚無。

    読んでいる途中、激しい感情の起伏は起こらないけれど、執事さんの脳内トークの言い訳に味があって、だんだんと面白くなってくる。
    そして、しみじみとする。

    品とノスタルジアの小説。

    仕事ばかりしてプライベートを台無しにする日本のおじさんに(おばさんにも)お勧めする。

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    2025年12月19日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    途中までは退屈な思い出話を聞いている感覚だったが、ヘールシャムの存在理由がわかるにつれて、自分が彼らの立場だったらどうするだろうと思い悩んでしまうような話だった。
    どこか運命を受け入れつつも、愛し合おう、幸せになろうとする姿に切なくなった。失うと分かっている人を愛するのは幸せなんだろうか?

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    2025年12月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    なかなか残酷で悲しいお話。表紙だけ見ていると、正直こういう話だとは全く予想していなかった。

    何と言えば正しいのだろう。物語が淡々と進み、淡々と悲しい事がたくさん起こる。そこに諦念や怒り、憎しみも感じづらく、年頃の子達がよくある悩みや不満をぶちまけている様子が物語の大半だ。

    こういう子ども時代を過ごせることは幸運なのか、幸運とも言えるかもしれない、ただ、そもそも臓器提供をする為だけに産まれてきた子達がいる事が衝撃ではないか、その視点からみると、エミリ先生たちが行った事は、自己満足の欺瞞かもしれない。それに翻弄されたキャシー達は一体何なのか。まだ自分の中でうまく感想が言えない。

    読み手によっ

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    2025年12月11日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    まずページを開いた印象、文字多い。。端から端までびっしりと文字で埋め尽くされている。

    正直かなり読み辛かったが、ページをめくる手が止まらないという不思議な読書体験。

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    2025年12月03日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    クララはユア・フォルマの通常アミクスのようではなく、自律的に思考する感情のある存在だったので、あのラストにはうーんとなってしまった。そんなことある?
    ラストでクララが廃棄場にいる時に店長さんが話しかけてくるシーン、あれってこれから廃棄されるクララたちAFにまた会えて嬉しいってどうなの。普通感情移入しない? ジョジーも、本当の親友って言いながらこれから廃棄されるクララに手を振りますか?
    人と見分けのつかない形をしているのかはわからなかったけれど(登場人物たちがクララをAFだと迷いなく判断していたので割とメカっぽいのかも?)、今まで幼少期に寄り添ってくれた存在をここまでぞんざいに扱えるものだろうか

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    2025年12月03日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    後悔と過ちの日々。ただその一切はすぎていく。

    品格のために執事の服を常に脱がずにいたスーティーブンスが、最後に「自分で決断しなかったこと」を悔いて泣いてるシーンがとても印象的だった。
    いままでほぼ全編にわたってスティーブンスの仕事の素晴らしさ、正しさを説かれていた身としては冷や水をかけられる思いだった。

    ただ、後悔した先の、過ちを犯した先の日々が目の前にはただ広がる。もし過去に戻ってそこ後悔を解消したところで、自分の望む未来が手に入るなんて確証はない。

    「これでよかったんだ」と、ただただ明日に向かって歩いていく事。明日をより良いものにするために、ジョークの勉強をしようと決めるスティーブン

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    2025年11月30日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    目的がわかりやすく終盤に配置されていて、読み進めるほどに何が起きるのか期待させられてしまう物語だった。はじめ、スティーブンスはたいへん有能な執事かのように見えるのだが、だんだんと信頼できなくなっていく。どうも仕事一辺倒で、他の面が疎かになっているのではないかと。だが全てがスティーブンスの語りゆえに、その疑念が読者に伝わっているのは、だんだんとスティーブンスの自信が揺らいでいることの表れでもあるという構造がおもしろい。

    物語終盤、スティーブンスのこれまですべての自信が一気に崩れ落ちてしまう。そこから終わりまでがあまりにも短いのもこの物語の特徴のように思う。だから、「昔ほどうまく仕事ができない?

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    2025年11月29日
  • 日の名残り

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    主人公に比べるとまだまだ若輩者だけど、過去の自分の行動や選択を振り返って、選ばなかったその先の人生について考えることがある。まぶしく輝くような時間が過ぎ、まばゆさが薄闇に包まれていく時間こそが一番いい時間だと、人生になぞらえながら読んだ。美しい物語だった。

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    2025年11月22日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    読者として気になることや知りたいことにはっきりと触れることはないけど、ちゃんと所々から読み取れるようになってて、読後良いモヤモヤしか残らない加減がすごいなと思った。
    感情があるということと心があるということは別なのかな。
    クララには心がないのかも知らないけど、語り手がクララなのもあってすごく共感とか同情とか感じながら読み進めてた。
    クララが最後に言った、特別な何かはジョジーの中ではなくジョジーを愛する人々の中にある、というセリフが本質だと思う。

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    2025年11月22日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    回想を追体験しながら徐々に明かされてゆく真実。語り手の記憶に基づき物語が進行することで、読者はのちの結末を予感しながらも、その細部の主観的な現実を受け入れてゆく。記憶の曖昧さや運命の抗えなさを精緻なディテールで描かれていた。

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    2025年11月15日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    何喰ったらこんな残酷な話を思い付くのか?と言うほどに救いのない話だった。

    教育を経ているとは言え、非人道的な使命を当たり前のように受け入れて疑問にも思わず反抗も逃げ出しもしないのを見るに、悲しいかな結局彼らは制御された家畜でしかないと言うことなんだろうな。作品内で"魂"について追求しつつもそれすらもコントロールされた心底悲しい存在でしかない。本当に残酷。

    作品全体がキャスの回顧録と言う体裁も疑うべきもので、通常の人間と彼らが感じる外界からの刺激や情報の感じ取り方も実はまったく違うものなんじゃないかな。キャスの目から見た世界は存外優しく穏やかなものだけど、先生やマダムの働

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    2025年11月12日
  • 日の名残り

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    序盤から執事として勤めてきた過去回想とミスケイトンとの馴れ合いが続く。

    物語の後半まではスティーブンスが行なってきた仕事ぶりと、そこで巻き起こる歴史の変革に自分がいる感覚に没頭しているようにも見えた。

    この作品が信頼できない語り手の回想だったことを理解し始め、「今までのあのシーンのこういう事だよな!!」と私も解釈しながら読めて面白い。

    ラストスパートでは、過去ばかり目を向けてはいけないというメッセージ性が沢山書かれており、自分に言われてるかのようで、前を向こうと思いました。

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    2025年11月06日
  • クララとお日さま

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    読んだ後になんとも言えない感情、余韻に浸らせてくれる。
    明記はしないけど、ところどころに物語のキーとなる事柄が散りばめられてて、結局それは最後まで明かされないものもある。
    読み手に考える余白を与えてくれて、読んだ後も余韻に浸れるのが良い。

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    2025年11月01日