土屋政雄のレビュー一覧

  • 夜想曲集

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    短編集。カズオイシグロの「少し前に一世を風靡したのに今はもう若い世代の尊敬を受けられない初老の男」に対するこの執着はなんなんだ。日の名残も含めていろんな人種、いろんな職業を着せ替えては、若い頃から繰り返し「昔はすごかった男」の物語を描き続けていてcreepyでさえある。

    2話目の音楽の趣味のいい英語教師の話がいちばん書き手自身が投影されていそうなのに、プロットはメチャクチャで笑ってしまった。

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    2026年01月24日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル文学賞受賞記念講演
    途中で止めて、いったんトムウェイツのRuby's Armsを聴かずにはいられなかった

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    2026年01月24日
  • クララとお日さま

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    気になっていたクララとお日さま

    正直、読み進めるのに苦労した。
    それもそのはず。
    この物語は、人工知能搭載ロボット(AF)のクララが
    主役なのだから。

    子供の成長を手助けするロボット、クララ。
    病弱な少女ジョジー。
    ふたりの友情が育まれつつ、ジョジーを取り巻く
    大人たちの問題にクララが巻き込まれていくが、
    クララは、見聞きしている情報を正確に捉え分析し、クララなりの答えを出していく。
    その結果は。。。

    この物語は、クララを通じて多くのことを考えさせ
    られた。
    子供に対する大人の倫理観と感情論。
    環境に対する問題。
    クララは静かに分析し。
    ジョジーは冷静になりつつも大人達の考えに
    導かれる

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    2026年01月17日
  • 月と六ペンス

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    現実なのかドラマなのかぼやけてくるような不思議な感覚で、読み入ってしまった。
    1人の天才に周囲の人間が狂わされてしまう異様な光景を想像するのと併せて、頭の中で凄まじい美術を思い描いた。
    自分的には距離を取っているつもりが、傍目から見たらとっくに魅了されている主人公の姿も、ストリックランドの恐ろしさを加速させていた。

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    2026年01月01日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロは好きで何冊も読んできたが、なぜか読んでいなかったクララとお日さま。ノーベル文学賞受賞でものすごい話題になってからの第一作目で、推しがとんでもなく有名になりすぎてなんだか距離が…みたいな感覚?

    ようやく文庫版を手に取る。読み始めたらもう一気に読んだ。相変わらず静謐でシンプルな素敵な文章。「私を離さないで」のような、読者に隠されたままの世界の秘密(今回はとうとう最後まですべては明かされなかった)。そして、人工知能ロボットという、人間の世界を学習中の、語り手として信頼をしきれない主人公クララ。読者は足元がぐらつき、視野が制限されたまま、クララの目を通して、クララの主であるジョジー

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    2025年12月28日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんの講演録です。
    興味深い内容でしたので、イシグロさんのルーツについてもっと知りたいと思いました。

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    2025年12月19日
  • クララとお日さま

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    人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

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    2025年10月24日
  • 夜想曲集

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    カズオ・イシグロを読むのは、「日の名残り」について2冊目。「日の名残り」が長編であったのに対して、本書は、「音楽と夕暮れをめぐる」5つの連作短編集である。いずれも、書下ろしとのこと。
    5編の短編は、物語としてとても面白いものであった。
    どれも面白いが、どれか1つを選べ、と言われれば、私であれば「老歌手」を選ぶ。老いた歌手は、まだ年老いたとは言えない妻に、ベネチアの運河でゴンドラに乗り、妻のいる運河沿いのコンドミニアムに向かって歌う。愛し合っていながら、別れを選択するという不思議な世界に生きる2人の、しみじみとした物語として、私は読んだ。

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    2025年07月14日
  • イギリス人の患者

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    ネタバレ

    読書会の課題本で読みました。読むのに時間がかかって、主人公は砂漠に落ちて大火傷追ってベドウィンに助けてもらった後にイタリアの廃墟の病院で花と言う看護師と2人で療養しているところ、そこにカラバッジョ、インドのシーク教徒の名前なんだったっけ?爆弾処理が仕事。それぞれが戦争の傷を抱えつつも、戦争の空白地点みたいなところで、日々を過ごすところ、日本に原爆が落ちたり、そのことに憤ったインドの青年はその場を去るんだけど、その時の人々は原爆のことを知らないんだろうけど、もう知っている前提で書かれている。最後まで読み終わったら、詩人の書いた美しい物語だなと思えた。とにかく読みにくい。映画は評判は本を読んだ人に

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    2025年06月10日
  • ねじの回転

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    『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。

    あらすじ:
    物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯

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    2025年05月31日
  • ねじの回転

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    ヘンリー・ジェイムズ初読み。
    というかその御名すら寡聞にして存じ上げなかった。
    タイトルもジャンルを窺わせない謎めいたもので(原題:The Turn of the Screw)、これがゴシックの系譜を継ぐホラー小説の先駆にして心理小説の傑作でもあるとは、このタイトルからはとても判断できない。
    あっさりした文体ながら、そこから「え、こんな重大事をさらりと出す?」みたいな海外文学ならではのドライな意外性の味わい深さ。
    まあこんな楽しみ方は邪道なのだろうが、近年においても何作も映画化されているのは本物の証左。

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    2025年05月17日
  • 夜想曲集

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    音楽にまつわる短編が5編収録された作品
    いずれの作品もとくに盛り上がりは感じませんでした
    それなりに楽しめた感じではあります
    映像化しても楽しめるかもとも感じました

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    2025年03月31日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した際のスピーチ。彼の真面目で優しい性格がよくわかるが、内に秘める情熱も見え隠れする。
    よく知られている通り、彼は5歳まで日本で暮らした後、日本人の両親と渡英し移民した。その後大人になるまで日本に行くことはなかったが、彼の心の中には常に(想像による)日本があったという。その「記憶」をとどめようと書いた小説が評価された。
    日本への憧憬を持ちつつもイギリスをいかに愛しているかが綴られている。また、小説と全く関係のないことから、ハッとするアイデアが浮かび、それが自分のスタイルを決定的に変えたことも書いてあった。
    彼の小説は胸がじんわりと痛むものも多いが好きだ。

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    2025年03月28日
  • 夜想曲集

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    全体的な曇り空がずっと続いているようなノスタルジックな雰囲気を纏っている短編集。本作はクスっと笑えるシーンも多くて、新鮮な気持ちになった。

    個人的には「降っても晴れても」がお気に入り。
    まず主人公があまりに不憫すぎる。やる事なす事想像の上をいってて面白かった。それと対比するように、出てくるジャズの選曲がどれも本当に最高で。この話を読んでジャズにハマった。ぜひサラ・ボーンの“April in Paris”を聴きながら読んでギャップを楽しんでほしい。

    それにしても土屋さんの訳は何度読んでも素敵だなぁ。一節読むだけでカズオ・イシグロの世界にどっぷり浸かれる。さらに読みやすい。次作も期待したい!

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    2025年03月02日
  • 夜想曲集

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    大人というかシニアの恋愛小説を読みたくて手に取った初めてのカズオイシグロ。叙情的で常に儚い雰囲気が漂っている、好みな作風。出てくる音楽、特にジャズにとてもハマってしまった。降っても晴れてもに出てくる音楽と、それに似つかわしくないドタバタ感のギャップが良い。
    身体の関係の描写がないところも良かった。

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    2025年01月13日
  • 夜想曲集

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    音楽と夕暮れという副題の通り、ミュージシャンや音楽に想いを馳せる人々が集う作品集。目に浮かぶような情景描写は、音楽をテーマにしても変わらず。登場人物たちがステージやレコードについて語るシーンがこんなに生き生きと書かれるとは!
    コメディライクな作品もありかなり読みやすい。
    個人的には『夜想曲』がとても好みだった。テレビ映画くらいの長さで映像化してほしいくらい。

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    2025年01月03日
  • 夜想曲集

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    カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。
    作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。
    整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。
    そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに不安やプレッシャーを感じているということ。
    「インタビュー症候群」と命名されていたけど、新作を書いて最長2年をかけて世界各国をまわり、膨大なインタビューを受ける。そのときに、翻訳された言葉について不安を感じる場面があったのだろうか。
    それにしても1、2年もかけて世界中をプロモーションするなんてすごすぎる。村上春樹さんは

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    2024年09月03日
  • 月と六ペンス

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    ネタバレ

    『存在のすべてを』の登場人物が読んでいた本というのでどんな本か読んでみた。『存在の~』はいまいちだったけど、この本は最高だった!
    空想上(ゴーギャンがモチーフになってるとかなってないとか?)の芸術家を追って一人の作家がまとめた物語という設定なんだけど、ただただ原田マハさんのようにきれいに積み重ねられた物語だけでなく、モームの哲学を楽しむことができた。いつものことながら文章表現も豊かで巧みであるので行間もなく延々と文字が連ねられていても全く負担にならず面白いようにページが進んでしまう。
    このタイトルも意味深で、ついついwikiでその意味まで調べてしまうと、ああ、なるほど深いわぁってなる。ストリッ

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    2024年08月20日
  • 日本文学史 古代・中世篇四

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    作品だけでなく作者の人物像まで言及されており読み応えがあったが、新古今歌人としてのピックアップが定家と西行だけだったのはそれでいいのかと思ってしまった….

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    2024年03月09日
  • 日本文学史 古代・中世篇三

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    中世の物語文学を、源氏物語との比較や影響関係をもとに説明されておりわかりやすい。あとは源氏物語が王朝文学のなかで最高峰であることの理由説明がもう少し詳しく欲しかった。

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    2024年02月29日