土屋政雄のレビュー一覧

  • ねじの回転

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    『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。

    あらすじ:
    物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯

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    2025年05月31日
  • ねじの回転

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    ヘンリー・ジェイムズ初読み。
    というかその御名すら寡聞にして存じ上げなかった。
    タイトルもジャンルを窺わせない謎めいたもので(原題:The Turn of the Screw)、これがゴシックの系譜を継ぐホラー小説の先駆にして心理小説の傑作でもあるとは、このタイトルからはとても判断できない。
    あっさりした文体ながら、そこから「え、こんな重大事をさらりと出す?」みたいな海外文学ならではのドライな意外性の味わい深さ。
    まあこんな楽しみ方は邪道なのだろうが、近年においても何作も映画化されているのは本物の証左。

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    2025年05月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    もっと分かりやすく動きがある方がいいかな 期待していただけに、展開がよく見えないまま淡々としていて、ある程度見えた頃でも、素晴らしいとか心が締め付けられる、とか残念ながら全く感じなかった。まだこの境地に至ってないんだと思う。

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    2026年03月14日
  • 夜想曲集

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    音楽にまつわる短編が5編収録された作品
    いずれの作品もとくに盛り上がりは感じませんでした
    それなりに楽しめた感じではあります
    映像化しても楽しめるかもとも感じました

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    2025年03月31日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した際のスピーチ。彼の真面目で優しい性格がよくわかるが、内に秘める情熱も見え隠れする。
    よく知られている通り、彼は5歳まで日本で暮らした後、日本人の両親と渡英し移民した。その後大人になるまで日本に行くことはなかったが、彼の心の中には常に(想像による)日本があったという。その「記憶」をとどめようと書いた小説が評価された。
    日本への憧憬を持ちつつもイギリスをいかに愛しているかが綴られている。また、小説と全く関係のないことから、ハッとするアイデアが浮かび、それが自分のスタイルを決定的に変えたことも書いてあった。
    彼の小説は胸がじんわりと痛むものも多いが好きだ。

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    2025年03月28日
  • 夜想曲集

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    全体的な曇り空がずっと続いているようなノスタルジックな雰囲気を纏っている短編集。本作はクスっと笑えるシーンも多くて、新鮮な気持ちになった。

    個人的には「降っても晴れても」がお気に入り。
    まず主人公があまりに不憫すぎる。やる事なす事想像の上をいってて面白かった。それと対比するように、出てくるジャズの選曲がどれも本当に最高で。この話を読んでジャズにハマった。ぜひサラ・ボーンの“April in Paris”を聴きながら読んでギャップを楽しんでほしい。

    それにしても土屋さんの訳は何度読んでも素敵だなぁ。一節読むだけでカズオ・イシグロの世界にどっぷり浸かれる。さらに読みやすい。次作も期待したい!

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    2025年03月02日
  • 夜想曲集

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    大人というかシニアの恋愛小説を読みたくて手に取った初めてのカズオイシグロ。叙情的で常に儚い雰囲気が漂っている、好みな作風。出てくる音楽、特にジャズにとてもハマってしまった。降っても晴れてもに出てくる音楽と、それに似つかわしくないドタバタ感のギャップが良い。
    身体の関係の描写がないところも良かった。

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    2025年01月13日
  • 夜想曲集

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    音楽と夕暮れという副題の通り、ミュージシャンや音楽に想いを馳せる人々が集う作品集。目に浮かぶような情景描写は、音楽をテーマにしても変わらず。登場人物たちがステージやレコードについて語るシーンがこんなに生き生きと書かれるとは!
    コメディライクな作品もありかなり読みやすい。
    個人的には『夜想曲』がとても好みだった。テレビ映画くらいの長さで映像化してほしいくらい。

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    2025年01月03日
  • 夜想曲集

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    カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。
    作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。
    整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。
    そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに不安やプレッシャーを感じているということ。
    「インタビュー症候群」と命名されていたけど、新作を書いて最長2年をかけて世界各国をまわり、膨大なインタビューを受ける。そのときに、翻訳された言葉について不安を感じる場面があったのだろうか。
    それにしても1、2年もかけて世界中をプロモーションするなんてすごすぎる。村上春樹さんは

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    2024年09月03日
  • 月と六ペンス

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    ネタバレ

    『存在のすべてを』の登場人物が読んでいた本というのでどんな本か読んでみた。『存在の~』はいまいちだったけど、この本は最高だった!
    空想上(ゴーギャンがモチーフになってるとかなってないとか?)の芸術家を追って一人の作家がまとめた物語という設定なんだけど、ただただ原田マハさんのようにきれいに積み重ねられた物語だけでなく、モームの哲学を楽しむことができた。いつものことながら文章表現も豊かで巧みであるので行間もなく延々と文字が連ねられていても全く負担にならず面白いようにページが進んでしまう。
    このタイトルも意味深で、ついついwikiでその意味まで調べてしまうと、ああ、なるほど深いわぁってなる。ストリッ

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    2024年08月20日
  • 日本文学史 古代・中世篇四

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    作品だけでなく作者の人物像まで言及されており読み応えがあったが、新古今歌人としてのピックアップが定家と西行だけだったのはそれでいいのかと思ってしまった….

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    2024年03月09日
  • 日本文学史 古代・中世篇三

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    中世の物語文学を、源氏物語との比較や影響関係をもとに説明されておりわかりやすい。あとは源氏物語が王朝文学のなかで最高峰であることの理由説明がもう少し詳しく欲しかった。

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    2024年02月29日
  • 日本文学史 古代・中世篇二

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    八代集のうち古今集と新古今集以外のものはさほど注目されないことが多いため、この本ではそれぞれの性格と繋がりが丁寧に示されており特に読み応えがあった。読みながら手元に国語便覧が欲しいと何回も思った…

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    2024年02月23日
  • 日本文学史 古代・中世篇一

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    この粒度でこれだけの範囲の時代•ジャンルに言及できるというのはさすがキーン氏…
    主流とされる説を紹介しつつキーン氏の持論も展開されていて読み応えがある。古事記のパートはかなり勉強になった。

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    2024年02月07日
  • 夜想曲集

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    4冊目のカズオ・イシグロの作品である。
    カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。
    そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとして味わうように求められており、すべてミュージシャン(もしくは音楽愛好家)を題材としている。
    今まで読んだ中で、最も読みやすい、ムード漂う作品集である。ドラマ性や落ちはなく、人生の一瞬を描く趣向となっている。長編小説とは全く異なる素顔のイシグロの感性が垣間見られた。
    主人公は皆、才能はあるが認められておらず、たゆたゆと人

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    2023年08月20日
  • 忘れられた巨人

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    記憶がなくなる、ということは、嬉しいことや悲しいこと、怒り、憎しみなどの全ての感情を忘れていくこなのだ、と感じた。
    忘れるということは、ある意味幸せなことなんだろうな。

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    2023年07月14日
  • 月と六ペンス

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    『ブルターニュの光と影』展に行って、ゴーギャンの初期の鉛筆画を見た。
    あまりにも落書きで、これがあの有名な!みんなを苦笑させた絵か!と、納得した。

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    2023年05月24日
  • ダロウェイ夫人

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    印象派やマリー=ローランサンの絵画のような淡い色彩を思わせる作品。全体的に少々退屈で、主人公ダロウェイ夫人がお上品すぎるきらいはある。ただ、第一次大戦に従軍した青年セプティマスのPTSDに苦しむ心理描写や、ダロウェイ夫人の回想の中の女友達とのキスシーンなどは大変素晴らしい。

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    2023年04月26日
  • 日の名残り

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    まず読み終わって感じたことは、読みやすかったと言うこと。外国の翻訳された本が苦手な私でも楽に読めた。日本の本でも同じなのだが、その国の人ならある程度分かる事でも、他国の人には分かり難い事がある。その国の歴史、文化、地理的な事とか。例え注釈があっても、その注釈を見ながら読むと話の流れが途切れ途切れになり話に入り込めない。この点、この小説は分からない事は分からないなりに読んでいっても話に入り込めた。これは作者、翻訳者の力量もさることながら、この小説が「昔ながらの品格ある執事」の1人称の語りという形をとっているからだろうと思う。この語りで、話の内容も雰囲気も分かりやすくなっていると思う。「昔からの由

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    2026年03月19日
  • ダロウェイ夫人

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    感想が上手く書けないけれど、ゆっくり反芻してみている。そんな小説。
    ロンドンのストリートが交差し、全ては同じ空間ヘ、時間も空間も超えて、交差し、つながっていく。
    道行く人も人生を変えた人も、今というこの瞬間につながる感覚をふと覚える。

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    2023年03月31日