土屋政雄のレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    豚や牛といった家畜が人間に食われるために生きていることを考えて暗い気持ちになりますが、この小説もそれに劣らぬ真っ暗な読後感を持ちました。読み終えて6年以上経つが、思い出して震えが止まらなくなる怖さがある。

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    2026年04月08日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    先日読んだ『わたしを離さないで』から2冊目のカズオイシグロ。免疫(?)がついた状態だったので語り手をかなり疑いながら読んでいました笑

    スティーブンスの自己イメージは完璧主義なプロフェッショナルなんだと思うけど、それとは裏腹に人間らしいところが垣間見れてなかなか愛おしいおじさんだった…ミス・ケントン惹かれていたらしい(スティーブンスの独白によるとだけど)のも理解できるかな。

    ラストのシーンは閉鎖的だった空間がひらけてふっと風が通り抜けるような感覚があり、かわいそうとも尊いとも笑いともつかない、色々な感情がないまぜになり泣けてしまった。

    イギリスとナチスドイツの関係やスエズ危機など、歴史に疎

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    2026年04月09日
  • クララとお日さま

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    個人的に、カズオイシグロ作品で1番好みの一冊。

    主人公であるロボットから語られる世界からは、穏やかながらも残酷に、確かに、すぎていく時の流れを感じます。
    またクララが太陽を頑なに信じる姿は、人間で言うところの信仰にも近いものを感じます。人とロボットの境目なんて考えようによっては、もはや存在しないのかもしれないですね。

    映画化が楽しみ!

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    2026年03月28日
  • 忘れられた巨人

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    愛と平和は、雌竜が吐く霧によって保たれている。夫婦の愛と社会の平和は、忘却によって保たれている。
     雌竜の霧。いい表現だ。
     それはともかくカズオ・イシグロが導き出す現実は、身も蓋もないぐらいに厳しい。『私を離さないで』を読んだ後、目の前が真っ暗になるような思いをしたが、この『忘れられた巨人』も同様の読後感を持った。アーサー王物語も古代ブリテンの歴史も知識がほとんどないまま、ファンタジー的な物語なのかと思って読み進めていたが、終盤の終盤に一気に心が鬱になりかけた。
     夫婦の旅の目的地は、三途の川の向こうの死の世界だ、と私は読んだ。結局、死は一人で迎えるしかないものである。最後の場面、主人公の決

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    2026年03月29日
  • クララとお日さま

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    病弱な少女のために神頼みをするAIクララ。終始悲壮感が漂っていて切ない物語だった。 クララの意図を理解して協力してくれた父親に好感を抱いた。

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    2026年03月27日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    自分のためじゃくてジョジーのためだけに全てを尽くすクララが持ってるのは、果たして人間的な心なのか。思いやりや憐憫は確かに心の一側面ではあるやろうけど、保身、嫉妬、依怗みたいな醜い感覚が排除されてるそれを心と呼んで良いのかは難しい。
    とはいえそんなクララが、人間を特別たらしめるものを看破してるのが何よりも尊い。

    お日さまとの約束とかいう、信仰に近い論理に心からの希望を見出してる感じ、映画『A.I.』と同じくSF作品の中でファンタジーに解決策を見出す矛盾と無力感があった。このパターン心が苦しいからやめて欲しい。

    最後の店長の「B3型には愛情を感じられなかった」という言葉、人間に近づき過ぎたもの

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    2026年02月21日
  • 夜想曲集

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    人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。

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    2026年02月21日
  • 日の名残り

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     終始穏やかで、優しくて、温かい小説。執事・スティーブンスが語るダーリントン・ホールでの出来事や旅先の田園風景から、イギリスの歴史や魅力がじんわりと心に伝わってくる。
     ミス・ケントンの「言いたいことはきっぱりと言う」キャラクターや、執事業一筋なスティーブンスとの凹凸感が微笑ましい。特に、2人が小競り合い的に会話を交わすシーンでは、互いの丁寧な口調の中にイギリス仕込みの皮肉が詰まっていて堪らない。また、世間での評価が芳しくないダーリントン卿に対し、一途に敬慕の念を抱き続けてきたスティーブンスに感じる哀愁は、何とも筆舌に尽くし難い。

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    2026年02月19日
  • 月と六ペンス

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    名著と言われ尻込みしていたが、面白かった!話に緩急があって飽きさせない。ストリックランド(≒ゴーギャン)は確かにこういう人間だったんだろうと思わせる。自分勝手で女への愛情はほとんどないが、人目を一切気にせずひたむきに美を求める男。本当はストラードみたいな男と一緒にいた方が幸せになれるんだけど、結局ストリックランドみたいなやつを好きになり破滅するんだよね。

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    2026年01月29日
  • クララとお日さま

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    悲しい終わり方。クララに感情移入してしまった。そこは筆者の力技ともいうべきか。映画A.I.に近い筋立てだが、こちらは、人間の心の核というものを掘り下げている。登場人物は、現代と変わらない心の浮き沈みがあり、そこの描写も面白い。

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    2026年01月23日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロさんの『クララとお日様』を読みました。

    物語は、AF(人工親友)であるクララの視点で語られます。
    最初は聞き慣れない用語が多く出てきて少し戸惑いますが、丁寧な筆致を読み進めるうちに、徐々にこの世界の輪郭が見えてきます。

    ハッキリとは描かれていませんが、科学技術が進歩しすぎたことで様々な分断が生まれている、そんな「ディストピア」な社会であることが想像できます。

    そんな厳しい世界の中で、常に人に寄り添い、優しくあろうとするクララ。人間よりも、信仰心を持ち続ける彼女の方が、よほど人間味を感じられる点がとても印象的でした。最後にクララが見出した、「人間を人間たらしめるものは何か?

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    2026年01月17日
  • クララとお日さま

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    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

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    2026年01月03日
  • 夜想曲集

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    カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。

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    2025年12月13日
  • クララとお日さま

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    クララに癒されながら、同時に不穏な世界観も楽しめた。
    この本はChat GPTに選書して貰ったので余計に感慨深い……クララと比べるとバカだけど選書センスが最高!

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    2025年11月25日
  • クララとお日さま

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    AFの存在が、こんなに大きくなる世界は、そう遠くないと感じる。
    身体性を持つことができるか?
    身体性が必要なのか? はわからない。

    自分(AF)の中で、正義を確立することができるのかは、ちょっと怖いとも思える。

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    2025年11月22日
  • 月と六ペンス

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    面白かった!途中ストリックランドのヤバさに引いたけど最後はストリックランド、、、お前、、、ってなった。解説もついていて理解が深まった気がする

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    2025年11月12日
  • クララとお日さま

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    人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

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    2025年10月24日
  • クララとお日さま

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    AIが身近なロボットとして富裕層の家庭が手に入れられる時代があるならば、まさにこういう未来があるのではないかと非常にリアリティのある内容を、AI親友ロボットの一人称視点で語られる物語。
    今の世のAIが質問に何とか答えようとして情報を寄せ集め嘘をついてくることや、よく想像される人に取って代わるというような、興奮性の刺激となる流れでない。淡々と、静かに、しかし確かな川底に流れる熱さをもって、世や人間の美しさや不思議さ、愚かさ、差別、またAIのこころや信仰のような思考の波をとりあげていく。

    冒頭で、ショーウィンドウにいるAIロボットのクララが “コーヒーカップのご婦人とレインコートの老人” を見、

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    2025年10月21日
  • クララとお日さま

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    子供の良きAF(人工親友)になるべく開発された人型AIクララを語り手に、病弱な少女ジョジーとの出会いから別れまでが描かれる。

    クララは観察眼に優れ勉強熱心で優秀なAFだけど、人の心の機微には疎く淡々とした言動の描写からやはり人間とは違う存在なのだと改めて感じさせられる。観察と学習を繰り返した末に、人の心や感情は模倣できるのか。
    終盤、人間に作られた存在であるクララが文字通り自身を犠牲にして主人であるジョジーを救おうとする健気さに心打たれた。

    AIは人間の道具なのか、パートナーなのか。心とは、優しさとは。
    近い将来、こんな未来がくることもあり得るのだろうかと考えさせられる結末だった。
    機械が

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    2025年10月01日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    「わたしを離さないで」について

    ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが端正な筆致で綴る、ある女性の人生の物語。

    提供者を慰める介護人の職に長くついていた女性。彼女が職を辞めるにあたり、自分のこれまでの人生、特に生まれ育ったヘールシャムで仲間と過ごした日々を回顧する。

    提供者、介護人など説明なく出てくる言葉の意味が、女性の回想から次第に明らかになってくるにつれ、世界の残酷な姿が浮かび上がってくる。
    この世界の真実は、SF小説のファンならばすぐに見当がついてしまうだろう。

    読みどころは、むしろ小説としての巧さ、人間描写の厚みの部分だ。大きな状況に翻弄される主人公たちが、小さな人間関係にすがる姿がなんとも哀しく映るのだ。

    #切ない

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    2025年08月29日