土屋政雄のレビュー一覧

  • 日の名残り

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    再読。前に読んだ時は語り手のことに気付かず読み流していた。改めて物語の構成を理解して読んだが、クライマックスの場面は感極まるものだった。フレーズ的な良さよりはストーリー的な良さ。

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    2026年07月01日
  • イギリス人の患者

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    第二次大戦末期、イタリアの元野戦病院であった廃墟のような屋敷で顔と名前の無い患者と看護する女性が暮らす。
    そこへ女性の父の友人、爆弾処理班の工兵が集まり4人での生活がはじまる。

    過去と現在、二つの愛、患者の正体、戦争の中で起きた様々な出来事、イギリスの事、爆弾、欧州とアジア様々な事象が絡み合い物語を成していく。

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    2026年06月27日
  • クララとお日さま

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    ノーベル文学賞受賞後の第一作目の作品。
    人工親友AFと呼ばれる太陽光エネルギーの人型ロボット、クララが販売店に陳列され、ジョジーという女の子に買い取られます。

    物語はAFのクララ目線で回想されるところから始まります。

    クララの語り口は優しく、常に敬語で、人間を敬っているのが読み取れます。そう開発されたのでしょう。それがいじらしく、切なく、親しみを抱きます。

    ジョジーに愛され、ジョジーの困難を全力で救い、自分の身を犠牲にしていくクララ。きめ細かい気遣いを見せるクララ。ロボットでありながら感情も情緒もあるクララ。だからこそその姿勢は痛ましく、涙を誘います。

    二人の関係は、あたかもドラえもん

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    2026年06月25日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    すごい話だった...

    優秀な介護人キャシーの1人語りで描かれる回想のストーリー。キャシーは誰に話しかけていたのかなあ
    "提供者"という言葉、ヘールシャムでの講師陣の謎の発言など、平和な幼少時代の描写の隅々に少し不穏な空気が漂う。
    どんどんキャシーたちの立ち位置が明らかになり、物語に引き込まれていった。
    真相、物語の運び、全てが美しく整った完璧なフィクションだったと思う。
    如何にも近い未来起こりそうな...倫理を考えさせられる話。

    情景描写が細やかで、海外文学独特の読みにくさが無かった。すごく良い文章。
    キャシーのトミーに対する態度・心情のすべてがもどかしい恋心に基づいた

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    2026年06月21日
  • 日の名残り

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    スティーブンスは後悔したのだろうか?

    彼が長年仕えたダーリントン卿は、歴史的には誤った判断をした人物として描かれる。利用されていたとも言える。
    ミス・ケントンと再開し、昔の恋を打ち明けられた後、スティーブンスは「その瞬間、私の心は張り裂けんばかりに痛んでおりました。」と語る。

    スティーブンスは後悔したのか? 何かを失ったのか? という問いだけで読むと、少しずれる気がする。
    彼は、何かを犠牲にして職務に逃げたのではない。彼にとっては、職務をまっとうすることこそが、自分の人生をまっとうすることだった。主人が政治的失敗をおかしたとしても、ミス・ケントンとの愛を取り逃がしたのだとしても、だからとい

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    2026年06月20日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    あらすじを読まず何も前情報なしに読むのが自分流 途中まで 学校での思い出 恋愛の話なんだ とささーっと読んでて、途中から、うん、?提供者??うん!?
    となり、後半は切ない気持ちになった。。
    運命の残酷さがいい感じに俺に刺さった、、また読み直す時は、時間をかけて、しっかり読みたい!

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    2026年06月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    このお話を読んだのは何年前だろう。もう優に10年ぐらいは経っているのかもしれない。
    そのせいでキャラクターの名前や、展開までもが朧げだ。それでもこの話の醸し出す空気感は今でも忘れられないままで、私が数冊本を選べと言われたらこれが出てくるだろう。
    それぐらい当時の私にも、今の私にも強烈な印象を残している。

    まず特色として感じたのは、主人公および世界が、正常を持ち合わせていないことだ。
    よくある物語では、正常の中の異常が書かれる。
    つまり、異常な出来事は異常として書かれる。
    「そんなのおかしい!」みたいなことを、誰かは言ってくれる。
    この物語ではそんな救済はほとんどない。
    主人公たちがおかしいこ

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    2026年06月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    語れるほど本を呼んでいないけれど、今まで読んだ本では一二を争うほどの作品でした!

    カズオ・イシグロは「日の名残り」を読んでとても良かったと思ったのですが、これはそれを遥かに越えた読書体験でした!

    自分と他人の心の動きや、繊細で不完全な人間関係の動きが、過剰なまでの記憶の詳細な描写から知らず知らずに身にしみて、ある時ぶわっと感情があふれる瞬間があって、泣いてしまったシーンや泣きそうになったシーンがいっぱいありました。
    今までどこか登場人物と読者である自分の間に見えない壁があったような気がしましたが、この作品では、主人公のキャシーの体験を一緒に体験しているかのようで、余韻がすごく、忘れられない

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    2026年06月09日
  • 日の名残り

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    特にラストがgood ワイは学がないので世界史とか全然わからないですが、そういうものを知っているとより面白いのかなと思います

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    2026年06月07日
  • イギリス人の患者

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    オンダーチェは3冊目です。
    第二次大戦末期、砂漠に墜落し燃えた飛行機から生き延びた顔も名前も分からない患者とかつて野戦病院だった修道院で患者を看護する若い女性。2人の暮らしに外部からの来訪者が加わり、不思議な共同生活が始まる。
    博識な患者の話に耳を傾け、または図書室の本を患者に読み聞かせ、来訪者の1人、若い爆弾処理班の工兵と恋に落ちる看護師。
    登場人物の日常が描かれたと思えば波のように追想が始まり、患者の様々な古典についての語りがあり…風に揺れるカーテンのようにストーリーが移り変わって、何とも言えない不思議な心地良さの中読み進めました。
    解説によれば、オンダーチェは詩人でもあるとのこと。それで

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    2026年05月20日
  • クララとお日さま

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    とても素晴らしい作品だった!

    同じくカズオイシグロの「わたしを離さないで」と通じるところがあって、生きるとは何か、その人らしさとは何か、それを問い続けることがカズオイシグロのテーマの1つなのだろう。

    この作品でも、思いもかけないアプローチで生きることへの問いかけを試みている。

    最後に再びクララの前に現れる店長の姿は何を物語っていたのだろう。あれはもしかしたら「わたしを離さないで」とリンクしているのかもしれない。

    そして読後はもう、なんとも言えない気持ちに襲われてしまった。
    AIであるクララの言葉が清らかで淡々としていて、そのことがより一層読み手の感情を揺さぶるのだろう。

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    2026年05月17日
  • 日の名残り

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    いいお話でした。
    スティーブンスの執事に徹した生き方は、それはそれで素晴らしいものだと思いました。

    「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」
    優しい言葉。

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    2026年05月10日
  • 日の名残り

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    イギリス文学最高峰のブッカー賞を受賞したという本、ようやく読む機会ができました。忖度なしで面白かった。私は「クララとおひさま」ではじめてイシグロ氏の本に出会い、これが2冊目ではありますが、共通して感じるのは「静謐さの中にある感動」。本書で扱われている時代は2つの世界大戦をはさむ激動の時期なのですが、あえて舞台は牧歌的風景の広がる英国貴族の屋敷(その意味でドラマ「ダウントン・アビー」を彷彿させる)。しかも主人公はその貴族ではなく執事です。このアプローチは「クララとおひさま」にも共通していると思います。クララとおひさまでは、貴族にあたるのがジョジ―という少女で、執事にあたるのがAI搭載ロボットのク

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    2026年05月02日
  • 日の名残り

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    過剰なまでの遠慮ともてなしとこだわりには日本と通じるものを感じる。ただ翻訳文だからか、「執事なのにその言い方は無礼では!?」みたいな箇所もときどきある。日本とイギリスの文化の対称性の分析とかで深めるのも面白そう。
    この本を読んで、品格は何に宿るのかを考えた。主人公が毎日こだわり抜いて磨いた銀器が要人の機嫌をよくするのに一役買ったことを、自分の仕事が世界情勢の好転に少しでも寄与したと誇っているシーンがあって、毎日積み重ねたこだわりや努力が実を結んだときにこう思えることこそが報いであって、そのために自分が是とすることを粛々と継続することは、どのような立場にあっても高貴なのだと思った。モットーと言い

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    2026年04月21日
  • クララとお日さま

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    AFという新たな存在が、成長段階の子どもに寄り添い家族全体のお守りをするという発想。薄々感じているが、ゲームやパソコンから移行しつつある何かがやはりAIでよいのか。人間同士では不可能なのか。人間に失われた信仰心を設定し、神秘的な秘密裏の行動をAIが成せるのか。思いもしなかった内容に引き込まれた。
    恋愛相談をAIにするという冗談のような話に笑っていられない。

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    2026年04月12日
  • クララとお日さま

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    個人的に、カズオイシグロ作品で1番好みの一冊。

    主人公であるロボットから語られる世界からは、穏やかながらも残酷に、確かに、すぎていく時の流れを感じます。
    またクララが太陽を頑なに信じる姿は、人間で言うところの信仰にも近いものを感じます。人とロボットの境目なんて考えようによっては、もはや存在しないのかもしれないですね。

    映画化が楽しみ!

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    2026年03月28日
  • 忘れられた巨人

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    愛と平和は、雌竜が吐く霧によって保たれている。夫婦の愛と社会の平和は、忘却によって保たれている。
     雌竜の霧。いい表現だ。
     それはともかくカズオ・イシグロが導き出す現実は、身も蓋もないぐらいに厳しい。『私を離さないで』を読んだ後、目の前が真っ暗になるような思いをしたが、この『忘れられた巨人』も同様の読後感を持った。アーサー王物語も古代ブリテンの歴史も知識がほとんどないまま、ファンタジー的な物語なのかと思って読み進めていたが、終盤の終盤に一気に心が鬱になりかけた。
     夫婦の旅の目的地は、三途の川の向こうの死の世界だ、と私は読んだ。結局、死は一人で迎えるしかないものである。最後の場面、主人公の決

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    2026年03月29日
  • クララとお日さま

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    病弱な少女のために神頼みをするAIクララ。終始悲壮感が漂っていて切ない物語だった。 クララの意図を理解して協力してくれた父親に好感を抱いた。

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    2026年03月27日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    自分のためじゃくてジョジーのためだけに全てを尽くすクララが持ってるのは、果たして人間的な心なのか。思いやりや憐憫は確かに心の一側面ではあるやろうけど、保身、嫉妬、依怗みたいな醜い感覚が排除されてるそれを心と呼んで良いのかは難しい。
    とはいえそんなクララが、人間を特別たらしめるものを看破してるのが何よりも尊い。

    お日さまとの約束とかいう、信仰に近い論理に心からの希望を見出してる感じ、映画『A.I.』と同じくSF作品の中でファンタジーに解決策を見出す矛盾と無力感があった。このパターン心が苦しいからやめて欲しい。

    最後の店長の「B3型には愛情を感じられなかった」という言葉、人間に近づき過ぎたもの

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    2026年02月21日
  • 夜想曲集

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    人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。

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    2026年02月21日