土屋政雄のレビュー一覧

  • ねじの回転

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    英ガーディアン紙「史上最高の小説100選」より、ヘンリー・ジェイムズ/ねじの回転。
    屋敷で亡霊を目撃した家庭教師が教え子を守ろうと奮闘するが、次第に彼女自身が…。
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    すべては主観で語られ、亡霊なのか幻覚なのか曖昧さが増してゆく。孤立した状況の中、「子供を救う」という使命感が次第に独善的な狂気のようになる。
    人間の強固な思い込みがいかに他者を無自覚に侵蝕していくか。

    ガーディアン紙の100選は、文筆のプロたちにより選ばれたランキングとのこと。
    幽霊を外敵ではなく人間の狂気・内面として描く、という心理サスペンス要素が当時画期的だったり、「主観の暴走」という現代にも通じるテーマ性によって、長

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    2026年06月14日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    感慨文学ほぼ初めて挑戦しました。
    向いていないかも、、。
    登場人物たちの感情がなんとなく掴みづらかった。

    物語の雰囲気はとても好き。人物たちには入り込めなかったけど物語の風景とかは想像しやすかった。
    いつもは人物に感情移入をして小説を楽しむけど、今回は物語に入って登場人物達を傍観してる感じで、違った楽しみ方ができました。

    キャシーとトミーが一緒にテープを探すシーン大好き。
    淡くてキラキラでふわふわの映像が脳に流れてきた。

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    2026年06月11日
  • クララとお日さま

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    翻訳が硬めでなかなか読み読みづらくはあったものの、それでも最後まで読みきれたのは、内容が勝っていたからだと思います。
    人工知能を持ったロボットが織り出す物語ですが、人間とロボットの間にある感覚の違いを見事に表しています。
    ロボットだからお役御免でいいのかと思ってしまいました。
    ふと自分も壊れた機械を何も考えず燃えないゴミで出してるなと思い、その感覚に近いのかなとも思いました。

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    2026年06月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    前にドラマでありましたね。衝撃を受け全話みたのですが原作と出会えたので一読。
    こんな話だったな…と思いながら独特の怖さと隣り合わせ。
    こういう事はもちろん許されてはならないが、形は違えどどこかで行われてかも。と妙に現実味も感じ取れ…
    誰か幸せになれなんだろうか?

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    2026年06月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    仮に自分の将来が、誰かのために捧げられるものだと決まっていたら、どのように人生を生きれるのだろうか?
    そのように、生きる意味を考えさせられる作品だった。

    物語は主人公の淡々とした回想によって進んでいく。
    施設で過ごした幼少期の日々や仲間たちとの交流が静かに描かれ、その穏やかな語り口だからこそ、登場人物たちに課せられた過酷な運命がより際立って感じられる。

    読み終えたあとには強いやるせなさが残った。
    人間らしく生きることの意味や尊厳について深く考えさせられ、読後に長く余韻を残す一冊。

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    2026年06月03日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    父親の臨終に立ち会わず、道を過つ元主人ダーリントン卿を止めず、ハウスキーパー(家政婦長)だったミス・ケントンの想いに一切気付かず……。

    常に「品格」を意識して「偉大な執事」たらんと長年努めてきたスティーヴンス。そうして得たのは冷淡、無関心、傲慢、空虚——傍から見ればおよそ人間的な温もりを感じられない立ち居振る舞いと半生だった。終盤にようやく少し認識できた彼のこれから先や如何に。

    己の領分に留まり、そこで全うする。——程よければまっとうだが、過ぎれば世界に対して無自覚・無関心・無批判で空っぽになる恐ろしさ。世界情勢はおろか目の前のミス・ケントンの気持ちにすら暗すぎるスティーヴンスが、彼の上品

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    2026年06月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    救いようもない話だが、彼らは「不幸」だったのか?
    子供時代からヘールシャム(施設)を出るまではクローンである事を除けば普通の学生達のような穏やかな青春群像だった。
    時は過ぎ当時の仲間とも関係は希薄になっていきやがて「提供者」としてどんどん消えていく。
    ラストで有刺鉄線を見つめる主人公が想像した世界とはどんなものだったろう。
    クローンをモノとして扱う華やかな外の世界の残酷さとクローンである事も自分の運命も淡々と受け入れている彼らの対比が切ない。それでも彼らの人生には間違いなく感情という「彩り」は存在していた。「かわいそうな子たち」と切り捨てられてはたまらない。何が正解だったのか。重たい問いだけが

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    2026年05月26日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    やっぱりカズオ・イシグロの本。情景描写が上手くてどんな風景を見ているのかよくわかる。あと登場人物が時々出てくるやつとかが多くてあれ?こいつ誰だっけと思うことがあったり。あなたも当然知ってるよねのスタンスで新キャラを出してくる。
    話はかなりグレーな感じだけど、やっぱり落ち着いた雰囲気を出しながら読者に考えを出させようとする。
    ほんの中には答えがありそうでない感じ最高にカズオ・イシグロ

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    2026年05月20日
  • イギリス人の患者

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    「読む人を選ぶ作品」というものに私は大体選ばれない読者なんですが、やはり選ばれなかったよう思います。
    誰が誰の話をしてるのかわからない、現実の話なのか空想なのかつかめない。筋が追えない、そもそも筋が無いかもしれない。読むのに難儀しました。読み終わっても一度頭から読んでいたら少し楽になったので、何度も読める本かもしれません。

    映画もみましたが、映画は小説とは別になっていてアルマーシ伯爵とキャサリンの不倫物語が大筋です。アルマーシ(レイフ・ファインズ)の執着を露わにした目が怖かったです。これでアカデミー賞を複数部門獲得した90年代はいくら恋愛至上主義時代だったとはいえ野蛮だったなと感じました

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    2026年05月18日
  • 日の名残り

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    真面目な執事の生涯を綴った物語。執事としてのプライドと、仕事第一が故に見過ごした男女の機微。
    豊かな情景描写と細やかな心の動きの表現が淡々とした日常を鮮やかに思い浮かばせる。

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    2026年05月14日
  • 日の名残り

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    イギリスの歴史本を借りたのでせっかくならイギリス文学を、と一緒に借りた本。

    「この人、執事としての矜持にこだわり過ぎて生きにくそうだなぁ」と思いながら読み進めていたが、最後はとても哀愁を感じる終わり方だった。

    当時のイギリスの貴族文化がどんなものだったのかわかっておらず、教養のなさが浮き彫りになるような感想しか浮かばなかった。
    解説でこの作品の読み方を学んだ。

    この作品から味わえることの半分も味わえてない気がしている。

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    2026年05月06日
  • クララとお日さま

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    静謐
    映画化良さそうじゃねと思った、、
    明言せずに設定を雰囲気とか背景で匂わせてくる本だった

    『でも、カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それはジョジーの中ではなく、ジョジーを愛する人々の中にありました。』

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    2026年04月29日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル文学賞受賞記念講演を文庫化したもの。
    イシグロ作品、2020年くらいまでに日本語で出版されたものについては全て読んでいるので、作品に関するちょっとした解説のようなものもご本人の口から聴くことができてとてもありがたかった。私なりの作品に対する解釈が大きく外れていないことも嬉しかった。
    イシグロ作品はどれも、語り手である主人公が根本的な部分で嘘をついていて、それ分かるとき深淵が顔を出す…という内容なのだけれども、どうしてこのスタイルで小説を描こうと考えたか、ヒントを得た別の作品(音楽や映画など)についても紹介しながら解説されていてとても面白かった。
    彼の中での『日本』という国についても言及

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    2026年04月05日
  • 日の名残り

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    カズオ・イシグロはディストピア小説しか読んだことがなかったので、これもあらすじを見ずにSFだと思って読み始めた。
    主人公が普通の人間か、中盤まで疑いながら読んでしまった笑

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    2026年04月04日
  • 日の名残り

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    私が未熟だからなのか、イギリスの歴史に無知だからなのか、感動できずに終わってしまった。
    自分の仕事に誇りを持つことと、作り上げた考え方に固執すること、そのバランスが難しい。
    そして執事の文化がわからないけれど、主人に忠誠を誓いどんな要望にも従うのか、時には主人よりも賢く主人の道を正す方が良いのか、そのあたりがものすごく難しい世界だと思った。
    もっと歳を重ねたら共感できるようになるのか。。。
    今の所女中頭のスティーブンスへのもどかしさが1番共感できるポイントだった。

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    2026年04月01日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    最初の方は読みやすくすらすら読めましたが、途中気が滅入ってしまいました。
    特に、リックとヘレン、その昔の恋人とのやり取りは、この物語の中でも特に醜悪なやり取りだったと思います。
    クララが純真で愛情深く謙虚なAFであるからこそ、そのやり取りがより醜く見えてしまい、そこから読み進めるのが億劫になってしまいました。
    また、その反面、クララのお日さまに対するあまりにも真っすぐな感情には、「そんなことで病気が治るわけがないのに……」という苛立ちのようなものを覚えてしまいました。
    なので、最後にジョジーの病気が治ったことにはとても驚きました。ご都合主義的というか、ファンタジーなシーンだと思いましたが、その

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    2026年03月24日
  • 夜想曲集

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    大きなドラマが待ち受けているわけではないが
    あとがきを読むと、カズオイシグロはチェーホフに大きく影響を受けているようなので
    なるほどと思う

    5篇目のチェリストにて
    まだ足を踏み入れたこともない庭園が遠くに見えました。
    という節がとても羨ましく思えた

    わたしもミス・マコーマックのような人からそのようなレッスンを受けてみたい
    まだ足を踏み入れたこともない庭園、そんな世界を私も自分の音で見てみたい


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    2026年02月26日
  • ダロウェイ夫人

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    ネタバレ

    視点の使い方が特徴的。
    クラリッサの視点かと思えば次のページではレーツィアに、はたまたメイジーに……それだけでなく一人称で語られたり三人称で語られたり……忙しさを感じる記述だった。
    これにより個人的には読みにくく感じたが、ひとつの物事を複数人の視点から見れるのは面白い。
    話の軸はクラリッサとセプティマスの2軸。
    終盤までこの軸は独立を保ったまま同時並行的に話が続いていく……
    正直、この2軸(幸福の中の不幸を見出す視点・不幸の中の幸福を見出す視点)は交わりようがあるのかと思いながらページをめくっていたが、交点を見つけた時は驚いた。
    パーティという幸福の象徴的なものの中に自殺という不幸の象徴的なも

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    2026年02月18日
  • 月と六ペンス

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    10年以上前に読もうとして挫折してたけど、評価が高い名作なので再チャレンジ。
    最初なかなか読み進まなかったけど、徐々に面白くなってきた。

    ゴーギャンをモチーフに書かれた小説で、実際にここまで命を削りながら描いていたんだろうと思う。
    これほどまでに、自分に何が必要かを悟って、それ以外は一切不要と捨て去り生きていくことで見えてくるものがあるんだと思う。
    こんなふうに、他人の評価を一切気にしない生き方ができれば理想かもしれない。
    でもそれができない。

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    2026年02月07日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    評価は正確にいうと⭐︎3.5。
    学生時代に読んだ『わたしを離さないで』の世界観が好きだったので、あらすじから似たような雰囲気を察知してこちらも読んでみた。

    AIロボット視点で語られる美しくて精細な情景描写に対し不穏な気配が根底に漂っていて、そのアンバランスな雰囲気が本当に良かった。
    ただ、ディズニー的なファンタジー要素があるとは思ってなくて、そこだけちょっと拍子抜けだったかも。

    作中でたびたび登場する用語の意味を調べたときに、検索結果に出てきたAIによる要約で物語の核となる計画のネタバレを喰らってしまったことが本当に悔やまれる。
    それさえ無ければもっと衝撃を味わえたかもしれない。

    ラスト

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    2026年01月04日