土屋政雄のレビュー一覧
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何かおかしい、なにかを隠されてる…と疑問だったけど、それが明かされても、特に反発もなく受け入れる。なんの隔たりもないような、向こう側の世界には、どうしても行けない。生まれながらに違う世界だから。自分の運命を、自分に課された役割を、目の前のことをこなすだけ。
不思議な話だったけど、実際に生まれた環境や時代で、搾取される側の人は確実にいる。低賃金で死ぬまで働かされたり。でも、私達はそこは見て見ぬふり。人格や感情や鮮やかな人生があることを、知らない。その方が私たちの精神衛生上いいから。…そんなアイロニーかな。
繊細な生き生きとした感情描写を読めば読むほど、なんか憐憫や哀れみが浮かんでくるのは、後ろめ -
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ネタバレ視点の使い方が特徴的。
クラリッサの視点かと思えば次のページではレーツィアに、はたまたメイジーに……それだけでなく一人称で語られたり三人称で語られたり……忙しさを感じる記述だった。
これにより個人的には読みにくく感じたが、ひとつの物事を複数人の視点から見れるのは面白い。
話の軸はクラリッサとセプティマスの2軸。
終盤までこの軸は独立を保ったまま同時並行的に話が続いていく……
正直、この2軸(幸福の中の不幸を見出す視点・不幸の中の幸福を見出す視点)は交わりようがあるのかと思いながらページをめくっていたが、交点を見つけた時は驚いた。
パーティという幸福の象徴的なものの中に自殺という不幸の象徴的なも -
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これぞカズオ・イシグロ!という名作。
英国の美しい情景や伝統を描きながら、人間ってこうだよね…というリアルが詰め込まれている。
英国の執事の一人称視点で物語が描かれる。
人生をかけて仕えた主人への尊敬や、世間からの評判への後ろめたさ、後悔、恥辱、仕事への誇り、不器用な恋愛等、主人公の中で色んな感情がごちゃ混ぜになった結果、自分に不都合な事実や出来事に蓋をして、自分に都合の悪い部分を隠した主人公の語りが続く。
そのため、話の核心にもやが掛かったような進行に気持ち悪いなあと思うのだが、これが人間のリアルだよね、ということなのだろう。
日本にはない執事の文化が興味深かった。 -
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ネタバレ評価は正確にいうと⭐︎3.5。
学生時代に読んだ『わたしを離さないで』の世界観が好きだったので、あらすじから似たような雰囲気を察知してこちらも読んでみた。
AIロボット視点で語られる美しくて精細な情景描写に対し不穏な気配が根底に漂っていて、そのアンバランスな雰囲気が本当に良かった。
ただ、ディズニー的なファンタジー要素があるとは思ってなくて、そこだけちょっと拍子抜けだったかも。
作中でたびたび登場する用語の意味を調べたときに、検索結果に出てきたAIによる要約で物語の核となる計画のネタバレを喰らってしまったことが本当に悔やまれる。
それさえ無ければもっと衝撃を味わえたかもしれない。
ラスト -
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「クララとお日さま」を読んで著者の別作品に興味が湧き、英国最高の文学賞ブッカー賞を受賞作と知り、期待して読み始めましたが、取り立てて特別の感動を感じませんでした。
英国の品格ある執事としての理想を追求する主人公スティーブンス、女中頭として同じ館で働き始めたミス·ケントン、主人公に思いを募らせるケントンと執事としての役目に没頭してその思いに気づかないスティーブンスとの切ないやり取り。
ダーリントン卿に絶対の信頼感を抱き、その高潔な人格を持つ主人に仕えることこそ執事の本望であると仕えるも、敗戦国ドイツと祖国イギリスの間を取り持とうと卿が奔走するも人々から中傷を浴び、また、自分の過ちもあったことを吐 -
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イシグロの作品って、今にも駆け出しそうなのにずっと腕を掴まれてるような感覚に陥る。細部をしっかり見せて静かなフィナーレを迎える、そんな感じ。この本もそうだった。青空が広がっているはずの描写でさえも少し灰色がかっていて常に唯ならぬ空気を纏ってる。
ディストピアとは思わず読んだので心の準備ができておらず...。人生を全うするのが最善と言われているけど、彼らもそうなんだろうか?介護し提供するだけ人生が最善?...そんなのあまりに悲しすぎる。
私にとって死は常に意識しているわけではないから、突如その場面に出くわすと恐怖を覚える。なら彼らは?意識せずとも隣にある死と向き合いながら前向きに生きることは -
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両親を亡くしたとある兄妹の家庭教師として、イギリスはエセックスの屋敷に赴任した主人公「わたし」の手記によって展開されるホラー小説。今作の興味深い点は何と言ってもやはり、「信頼できない語り手」の存在である。物語にて2人の幽霊が度々登場するのだが、唯一の語り手である主人公の「わたし」を除き、それらをはっきり見たとされる登場人物がいないため、そもそも幽霊がいるのかという疑問が読み進めていく中で湧いてくる。また、主人公と狡猾な兄妹との間で繰り広げられる緻密な心理戦も今作の見どころである。兄妹と幽霊の関係やマイルズの退学の理由など、主人公が対面する数々の謎は読者の興味を強くそそるに違いない。
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20世紀を代表するイギリス文学と評判こそ聞き知っていた作品。
歴史的傑作をたっぷり読む! という目標のもと、今回入手して挑戦してみました。
第一次世界大戦後のイギリスで上流階級のダロウェイ夫人が晩餐会を開く準備をしています。その一日を、数人の登場人物の内的独白に迫りながら描いています。
物語は最初から最後まで章や切れ目がなく、一つの大きな塊として始まり終わります。ある人物の意識の流れを丹念に追いながら、そのあと別の人物の意識に移行し、筋は続いていきます。この作品には、2つの読み方があるようです。最初から最後までまとめて一回で読み終える。または少しずつ、描写を味わいながら読み、お気に入りの栞をは