土屋政雄のレビュー一覧

  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    アメリカの映画やドラマを見ていると、本好きの女性が必ずといっていいほど好きな作家にヴァージニア・ウルフを挙げるようなので、読んでみなければとずっと思っていて、やっと読んだんだけど。。。
    うーん、バカなわたしにはまったくといっていいほど、ピンとこなかった。「ダロウェイ夫人」はタイトルは昔から知ってはいたけれども、こんな話だったのか。。。上流階級のダロウェイ夫人の一日のうつろいゆく思い、みたいな感じで、ストーリーらしいストーリーがない。とりとめのない思いがとりとめなく描かれていて、あまり強い感情はない。一瞬、強く思ってもすぐほかのことに移っていく感じで。
    しかも、ダロウェイ夫人だけじゃなくて、登場

    0
    2017年06月15日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アーサー王伝説の舞台を借りたファンタジー。人々が物忘れをするようになり、おぼろげに息子のことを覚えている老夫婦が息子の住む村に向けて旅立ちます。旅の過程で、物忘れの原因を突き止め、断ち切ることに成功します。その結果記憶は戻ってきましたが当然幸せなことばかりではなく。そして「巨人」の意味も分かります。
    Buried giantが「忘れられた」に訳されているけど、これは読んでみて初めてわかるネタばれ。
    相変わらずイシグロらしい独特のじれったい語り口です。

    0
    2018年11月05日
  • ねじの回転

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何回読んでも後味の悪い作品だぁ(誉めてます)
    物語はクリスマスイブの真夜中に行われたイギリス版百物語を発端として始まります。
    その中の一人が、その中で語られたどの物語よりも恐ろしい話を知っている。しかも手記があるということで、場を改めてその手記を朗読することに……。
    その手記はある屋敷に住んでいる兄妹の家庭教師になった女性が語ったことを記録したもの。
    天使のように美しく愛らしい、そして聡明な兄妹。それは本当の姿なのか、そして家庭教師が見た不審な人物は兄妹とどんな関係なのか?
    薄気味が悪いというのが初めて読んだ時の感想でした。
    改めて読み返すと、うむむ、という感じで視点を変えると全く違う考えも出

    0
    2015年07月16日
  • 日本文学史 古代・中世篇五

    Posted by ブクログ

    古代・中世篇 五 とは対照的に、馴染みのない作品ばかり。知っていたのは徒然草ぐらいで、聞いたことのない物語や日記文学、学校では習わなかった連歌など、敷居が高くて読むのに時間がかかりました。
    それにしても、古代・中世篇ものこすところ、1冊。土屋政雄氏の素晴らしい訳文が読めなくなると思うと、寂しいです。

    0
    2014年08月10日
  • 日本文学史 古代・中世篇三

    Posted by ブクログ

    いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。

    おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論。河合隼雄氏の浦島太郎論“このヒーローは英雄的な戦いで女性を獲得するのではなく、むしろ女性によって捕らえられる”を引用し、日本的ヒーローは受動的で、西洋人にとっては不完全と思われる、と述べています。これも、日本が女系社会だったということと関連していそう。

    西洋の視点からみた日本文学史っていうのも、この本の面白さの一つ

    0
    2013年12月02日
  • 日本文学史 古代・中世篇二

    Posted by ブクログ

    古代・中世篇一を読んで、ドナルド・キーン氏の吸引力に巻き込まれ、篇二を購読。そして、篇二を読み進めるうちに、その吸引力がキーン氏の論旨によるものというより、その文章・文体に端を発していることにハタと気が付く。そう、その訳文自体に心が持っていかれている。訳者は土屋政雄。調べてみると、その昔、麻薬のようにうっとりとさせられた「イギリス人の患者」の訳者だ。なんてことだろう。ホント、びっくりした。「イギリス人の患者」もストーリーよりも訳文の方にうっとりきてたのかも。

    閑話休題、古代・中世篇二は、古今和歌集に始まる勅撰和歌集と平安時代の日記文学。花といえば桜、桜といえば吉野といった、日本人の常識がこの

    0
    2013年09月17日
  • 日本文学史 古代・中世篇一

    Posted by ブクログ

    気軽な気持ちで何気なく手に取ったのに、著者の日本文学を愛する情熱に引きずり込まれて、なんだか全巻読まなければならいような気にさせられてしまった。といっても、全巻あわせると18巻にもなるから、とりあえず、古代・中世篇は購入しよう。おそるべし、ドナルド・キーン氏の吸引力。

    古代・中世篇一は、古事記から平安時代前期の漢文学まで。特に、山上憶良に対する見方が変わった。子煩悩なお父さんってだけではなく、社会派だったのね。あとは、空海。“文学史に空海?”って思ったけど、「三教指帰」という戯曲仕立ての著作について、扱われている分量としては少ないながら、その特異性が際立っている。まずは、司馬遼太郎の「空海の

    0
    2013年05月12日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    「意識の流れ」という手法と内容との関係についてを主に、
    作者であるウルフ自身の証言が載せられているのが良かった。
    これについては、必ずしも手法が先になってできたものではないということ、
    自殺する準主役は、後付けで生まれたキャラクターであることなど。

    非常に面白かった。

    0
    2013年05月06日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    シームレスで視点となる人物が切り替わり、想像力を刺激する豊かな表現。小川のせせらぎのように流れる文章で「わあ、キレイ」と、手を入れてみるとその冷たさに驚く物語。そう感じるのは、登場人物の誰もが、心の歯車の油が切れかかっているような人たちだからかもしれません。老いが生む寂しさや疎外感を嫌々受け入れつつもなんとか虚栄心を満たそうとしたり、過去に縛られて悪ぶったり、叶いそうにもない理想を求めたり、今にも崩れそうな危うい足元でぎりぎり持ちこたえている人たち。人類絶滅も地球滅亡もないけれど、終末感漂う小説でした。

    0
    2013年03月17日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    以前に「灯台へ」を読んでいたのでウルフの独特な文体については、一応免疫ができていると思う。その分、まだ入りやすかったのかなとは思うが、意識の流れで視点がどんどん変わっていく文体に、とりとめのないストーリー、かなり読みにくい小説である。

    このふわふわした文体、主人公である「クラリッサ」ダロウェイ夫人の、その日のパーティの成功だけを考えているような地に足のつかなさに、うまくマッチしているような気がする。

    「アンジェラの灰」「コールドマウンテン」「ダロウェイ夫人」と続いた土屋政雄さんの翻訳もの。これで小休止。

    0
    2012年09月09日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    話が激しく展開していくのとは裏腹に、読みながらゆったりまどろむような気持ちになって、まるで童話のようだった。

    男女の機微が随分ミステリアスに描かれていてかわいいなあ、と思っていたのですが最後の解説を見て腑に落ちました。まあそんなの抜きにしてもオトコとオンナのことは第三者が見てわけわかんないくらいの方が素敵だと思います。恋や愛を言葉で説明したってしょうがないや。

    しかしこの登場人物と読み手の間の絶妙な距離感はなんだろう。冗談でも「あーわかるわかる」なんて言えない彼らのシンプルな神々しさは。

    どの登場人物をとっても「このひとはきっとどこで何しててもこういう風にしか生きられなかったろうな」と思

    0
    2012年05月23日
  • ダロウェイ夫人

    Posted by ブクログ

    人々と意識、思考が交錯して複雑なものが流れているように思えもするんだけど、本の中に流れているリズムや意識にとってもリアリティを感じる。
    人の中に潜ったらこんな感じかなって。

    本を読み終えた時、もう一度読み返した時何を感じるか想像してしまうのは嬉しいことだ。
    生き物みたいな作品というものは存在するね。
    そういうものに出会えた時はとても興奮する。
    多面的とも少々違う。
    有形でありながら、可変。という感じか。

    0
    2012年01月22日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    Nocturnes(2009年、英)。
    音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。

    「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になっ

    0
    2022年09月06日
  • 月と六ペンス

    Posted by ブクログ

    物語の展開が、ものすごくドラマチックな小説だと思った。
    この小説のストーリーテリングの巧みさは、最初から最後まで見事だった。そもそも、「月と六ペンス」というタイトルの付け方からしてスゴい。
    モームは、現代であれば名うての構成作家になるような人だったのだと思う。

    自伝的小説でありながら、本人の手による記録ではなく、それを観察する「私」の視点からの描写になっていることで、とても客観的にストリックランドという人物の特異性が浮かび上がるようになっている。
    「私」の考え方は、常識的で、大衆的で、大きく偏ったところがほとんどない。いわば、当時のヨーロッパの社会通念そのものを代表する立場として、ホームズを

    0
    2020年07月15日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。主人公の仕事一筋という精神に感銘を受けた。やはり、そのような人間は、ある意味女性的な繊細な感情というのを排除することが得意なのかもしれない。主人公の父親が、黙々と階段の上り下りの練習をするシーンが感動した。心と体が一致しない老いの残酷さを悲壮感たっぷりに演出されていて、それでも死ぬまで仕事を全うするという、果てしない一流の召使いとしての意地のようなものも感じた。主人公の父親の生き様そのものを表していて涙が出た。「かつての主人は、自分の意思で選択をして間違われた、それに対して自分は選択すらしていない」というのは印象に残るフレーズだった。主人に対する深い尊敬と謙遜をここまで客観的に捉え

    0
    2026年06月16日
  • ねじの回転

    Posted by ブクログ

    英ガーディアン紙「史上最高の小説100選」より、ヘンリー・ジェイムズ/ねじの回転。
    屋敷で亡霊を目撃した家庭教師が教え子を守ろうと奮闘するが、次第に彼女自身が…。
    ---
    すべては主観で語られ、亡霊なのか幻覚なのか曖昧さが増してゆく。孤立した状況の中、「子供を救う」という使命感が次第に独善的な狂気のようになる。
    人間の強固な思い込みがいかに他者を無自覚に侵蝕していくか。

    ガーディアン紙の100選は、文筆のプロたちにより選ばれたランキングとのこと。
    幽霊を外敵ではなく人間の狂気・内面として描く、という心理サスペンス要素が当時画期的だったり、「主観の暴走」という現代にも通じるテーマ性によって、長

    0
    2026年06月14日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    感慨文学ほぼ初めて挑戦しました。
    向いていないかも、、。
    登場人物たちの感情がなんとなく掴みづらかった。

    物語の雰囲気はとても好き。人物たちには入り込めなかったけど物語の風景とかは想像しやすかった。
    いつもは人物に感情移入をして小説を楽しむけど、今回は物語に入って登場人物達を傍観してる感じで、違った楽しみ方ができました。

    キャシーとトミーが一緒にテープを探すシーン大好き。
    淡くてキラキラでふわふわの映像が脳に流れてきた。

    0
    2026年06月11日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    翻訳が硬めでなかなか読み読みづらくはあったものの、それでも最後まで読みきれたのは、内容が勝っていたからだと思います。
    人工知能を持ったロボットが織り出す物語ですが、人間とロボットの間にある感覚の違いを見事に表しています。
    ロボットだからお役御免でいいのかと思ってしまいました。
    ふと自分も壊れた機械を何も考えず燃えないゴミで出してるなと思い、その感覚に近いのかなとも思いました。

    0
    2026年06月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    前にドラマでありましたね。衝撃を受け全話みたのですが原作と出会えたので一読。
    こんな話だったな…と思いながら独特の怖さと隣り合わせ。
    こういう事はもちろん許されてはならないが、形は違えどどこかで行われてかも。と妙に現実味も感じ取れ…
    誰か幸せになれなんだろうか?

    0
    2026年06月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    仮に自分の将来が、誰かのために捧げられるものだと決まっていたら、どのように人生を生きれるのだろうか?
    そのように、生きる意味を考えさせられる作品だった。

    物語は主人公の淡々とした回想によって進んでいく。
    施設で過ごした幼少期の日々や仲間たちとの交流が静かに描かれ、その穏やかな語り口だからこそ、登場人物たちに課せられた過酷な運命がより際立って感じられる。

    読み終えたあとには強いやるせなさが残った。
    人間らしく生きることの意味や尊厳について深く考えさせられ、読後に長く余韻を残す一冊。

    0
    2026年06月03日