土屋政雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
漂うような不安定さ…が読後の第一の感想。
美しくはあるけれど、時間も場所も目まぐるしく変わり、浮かぶ画像もゆらゆらと揺蕩うようで。
この物語りは読むものを選ぶ。そう言われる所以が良くわかった。おそらくは、脈絡の無いような物語りと物語りが続き、かつ、過去と今とが入り乱れて、尚且つ、美しくはあるけれど難解な文章だ…読み始めて数ページで放り出したくなる人も多いと思う。
忍耐はいる。
映画化された「イングリッシュ・ペイシェント」はアカデミー賞を受賞し、一躍本書をも有名にしたようだが、原作とは大きく異なる点も多く、自分は見ないことにした。(アマプラでは吹き替え版が見られる)
実を言うと…読み始めてすぐに「あー、えらいものに手を出したな…」と思い始めて少しでも理解を早めようと映像の冒頭を見た…見てしまった。
本書ではすでに亡くなりミイラ化していると思われる「女」が、映像では眠っている?いや、注意すれば亡くなっていることはわかる…つまり、あたかも飛行中に亡くなった?或いは直近に…と思われる、姿形をとどめて、彼女の髪が風に乱れるシーンは美しいとさえ思える。。。そんな出だしであったので、あー、これは随分と違うのかな…と感じて…見るのをやめた。
ならば、独力で、と読み終える覚悟を決めた…笑。
好きか嫌いか、或いは、読めるか読めないか…
二つに分かれるだろう、という多くの感想通りに、詩的ではあるものの、個人的にはイマイチでした。
ブッカー賞の中のブッカー賞…というからには、、、との思い入れもあったので、そこは仕方なし。
他にも秀作は沢山ある。
カズオイシグロを抑えた…とは言えない…と、これもまた個人的には思います。
まあ、「不倫」を美談にしている時点で相容れないものはありますが。。。
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Posted by ブクログ
ネタバレブッカー賞の一番(?)になったと聞いて,読んでみた。難しかったけど(何回イングリッシュ・ペイシェントのウィキペディアを見たことか),没入感がすごい。話としても面白かった。「原爆投下をラジオで聞いてぶち切れする」はないだろうと思ったけど,解説で言われてるみたいに知識の下地があったらあり得るかなとか,プレスコードは日本だけで外国では詳しくオープンにされてたのかな(むしろ成果を喧伝されてたのかな),と考えると面白かった。映画でバッサリ切られているらしいのもなるほどなという感じ。
映画を見たことがないのは,なんか官能的自伝的な感じで興味もてなかったからな気がするが,原作が先で良かったよナイスな判断だったよ,と思う。ウィレム・デフォーはナイスキャスト!と思うけど(めっちゃ見たい),ジュリエット・ビノシュは違わないか?と思う。 -
Posted by ブクログ
強いイメージをよびおこす美しい小説には違いないのだが、消化しきれなかったかも。詩的散文か。実はわたくしのように詩がわからない人のための詩なのかもしれないが
なお、フォーサイスの漏らしたという感想は、わたくしとしてもそんなこと言っても仕方ないよなと思いつつも共感するところで、そうしたリアリズム二の次なところは引っかかるといえば引っかかる
エジプトあたりが舞台であったり、エスピオナージュ風味であったり、多層的な語りであったり、アレクサンドリア四重奏を思い出す。あの本も読んだ直後は消化できなかったと思ったが、自分の中で長く余韻を引いている感じがある。この小説もそうなればうれしい
ところで訳者あとがきにある「四人の物語が終わろうとする最後の最後に、作者オンダーチェ自身がひょいと顔をのぞかせたりもする」とは、どこを指しているのだろうか?十数年後のキップを作者に重ねているのかな? -
Posted by ブクログ
ゴーギャンをモデルにしつつ、かなり相違点多いそうです。いろいろぶっとんだイカれ男だったので、史実とは異なると知ってなぜか少し安心した。
株式仲買人→画家、西洋文明→未開のタヒチ、まるで対極にあるようなものを切望しながら前半生を苦しみ生き続けてある日ようやく解放されたのか、あるいは漠然とした憧れを秘めたまま平穏に生きていたところ、ある日突然天啓にうたれて考えが変わってしまったのか、ぜひゴーギャン本人に聞いてみたい。
ストリックランドのねじくれた天邪鬼な嫌らしい性格、個人的には読んでて全然嫌ではない。一応は筋が通っているし、なんなら魅力的ですらある。
彼の人生そのものへのスタンスとして、知人・世間のことは気にもかけず、とにかく自己を追求する姿勢はかっこいいが、とても真似できるものではない。
でも本人は生きにくいとも思ってなかったんだろうな。
絵画をみて、そこから何かを感じ取れる人でありたい。 -
Posted by ブクログ
"まるでおじいちゃんおばあちゃん版のドラクエみたいだな"のレビューが気になって手にとりました♪
ドラクエと言えばFC版のドラクエⅢ
あのこわ〜い音楽に合わせて、「おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいました」のメッセージが出たときのショックは今でも覚えています…w
けど、本書は大丈夫!
途中でしおりを挟んでおけば消えることはないでしょう!
安心して続きから始めれます!
ドラゴンクエスト風に
カズオ・イシグロエスト 〜忘れられた巨人〜
主人公はアクセルとベアトリスの老夫婦
遠い地で暮らす息子に会うために冒険に出かけます
冒険に出るこの大地は人の心や記憶に影響を及ぼす「奇妙な霧」に覆われている
ルイーダの酒場はありませんが、戦士や少年、老騎士たちと出会い旅を共にします
スライムは登場しないが悪鬼、悪魔犬、妖精、竜などが登場
これら魔物たちに立ち向かい次々と襲いかかる試練をクリアすることはできるのか…
そして、息子と再会することできるのか…
ほん3さん、ドラクエを紹介して頂いて…
じゃないっ!w
『忘れられた巨人』を紹介して頂いてありがとうございました♪
楽しい冒険でした(^^) -
Posted by ブクログ
ネタバレ奇妙。読みにくいことはないのだが、なにやら奇妙な話だったなあっというのが正直なところ。
アーサー王伝説あたりの知識があればもっと面白かったのかも。
大事な記憶をいつのまにかなくしてゆく。
それは悲しいことだけれど同時に救いでもあるのかもしれない。
記憶をなくす原因が竜、というのはなにかの比喩的なものなのかとおもっていたけど、ほんとにいた。
確かにファンタジー。
でもそうしたのはマーリンだったという驚き。
憎しみを忘れさせることで、平和を保つ。
そもそも憎しみが生まれるようなことをするなよ、と思うのだけれど…
メインの老夫婦は強く想いあっているようで、
決定的に分かり合えてないのでは、とも思ったり。
原文だとどういう呼びかけなのか、と思うのだが、「お姫様」が、最後までなんか慣れんかった。
普通に名前で読んだのじゃダメなのか。
船頭さん、どうあってもアクセルを渡しそうにないよなあ
つーかあの島に息子のはかがあるとか言ってたけど、
もしかして死者の島ってことなの?
うーんよう分からん。
村上春樹っぽいなー
謎めいたところを読み解くのが向こうの人は好きなのかなあ? -
Posted by ブクログ
カズオ・イシグロがファンタジーを!という点で話題になっているようだが、確かに竜や鬼や妖精などが出てくるものの、さほどファンタジー色は強くなく、やっぱり純文学の印象。
6世紀頃のイングランドが舞台で、ブリトン人とサクソン人の争い、とかあんまりピンとこないのだが、荒涼とした自然を舞台にした冒険旅行記である。
といいつつも、旅をする主人公は老夫婦であり、その他老騎士なども登場して、アクションシーンはあるものの全体としての流れはゆったりとしている。
夫が妻を「お姫様」と呼ぶ、老夫婦の純愛が全編に通底し、『日の名残り』にも通じるような気品が漂っているのだが、その一方、霧が晴れたときにあらゆることが覆されて惨禍へと陥る予感に満ち溢れる不穏さが常につきまとう。
その妙味に身を委ねるのがこの小説を読む醍醐味だろう。
けっして「面白い」小説ではないが。