【感想・ネタバレ】クララとお日さまのレビュー

あらすじ

AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

クララに癒されながら、同時に不穏な世界観も楽しめた。
この本はChat GPTに選書して貰ったので余計に感慨深い……クララと比べるとバカだけど選書センスが最高!

0
2025年11月25日

Posted by ブクログ

AFの存在が、こんなに大きくなる世界は、そう遠くないと感じる。
身体性を持つことができるか?
身体性が必要なのか? はわからない。

自分(AF)の中で、正義を確立することができるのかは、ちょっと怖いとも思える。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

0
2025年10月24日

Posted by ブクログ

AIが身近なロボットとして富裕層の家庭が手に入れられる時代があるならば、まさにこういう未来があるのではないかと非常にリアリティのある内容を、AI親友ロボットの一人称視点で語られる物語。
今の世のAIが質問に何とか答えようとして情報を寄せ集め嘘をついてくることや、よく想像される人に取って代わるというような、興奮性の刺激となる流れでない。淡々と、静かに、しかし確かな川底に流れる熱さをもって、世や人間の美しさや不思議さ、愚かさ、差別、またAIのこころや信仰のような思考の波をとりあげていく。

冒頭で、ショーウィンドウにいるAIロボットのクララが “コーヒーカップのご婦人とレインコートの老人” を見、動きを観察しながら、表情や仕草からこころの動きや背景を読み取るシーンが印象的。そのような読み取りや予測を一つ一つ積み上げていく家庭での出来事の語りは、読んでいて人の “読み取り” という機能がこのように作られていくのかと知る。
自閉スペクトラムの課題となる発達特性である部分が、どういった脳の機能で起こっていくのかがヒントになっているのではないかと感じる。
心理療法のコミック会話のようなものが重要人物2人の心の交流の中で行われていることも、おもしろかった。視覚的描写が箱を絡めて語られるところは、私には知識が乏しく想像しづらい部分だったが、それも専門性に紐づけられた内容なのだろうと感じた。

謎めいた出来事の一つ一つにはっきりした種明かしを用意されているわけでなく、想像の埋める曖昧さというか隙間があるところが一層こころに余韻をもって響いてくる。

とても好きな作品。

0
2025年10月21日

Posted by ブクログ

子供の良きAF(人工親友)になるべく開発された人型AIクララを語り手に、病弱な少女ジョジーとの出会いから別れまでが描かれる。

クララは観察眼に優れ勉強熱心で優秀なAFだけど、人の心の機微には疎く淡々とした言動の描写からやはり人間とは違う存在なのだと改めて感じさせられる。観察と学習を繰り返した末に、人の心や感情は模倣できるのか。
終盤、人間に作られた存在であるクララが文字通り自身を犠牲にして主人であるジョジーを救おうとする健気さに心打たれた。

AIは人間の道具なのか、パートナーなのか。心とは、優しさとは。
近い将来、こんな未来がくることもあり得るのだろうかと考えさせられる結末だった。
機械が人に近付きつつある今だからこそ読むべき一冊であり、名著だと思う。

0
2025年10月01日

Posted by ブクログ

AIロボットと人間の関係や、家族の在り方、知識の意味、人とAIの違いとは何かなど考えさせられることが多い本であった。
AIは本当に人間になりうるものなのか、違いは何なのか、脅威となりうるものなのか。
最近では、技術の進歩によって、自然に発生したものを改善する方法が多くでてきている。
そのような技術に向き合い、どのように扱っていくのか、これから人間に課された大きな課題であると感じた。

0
2025年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて読んだカズオ・イシグロ作品です。

自分が非常に遅読なのもあり、主人公であるクララの(おそらく瞳の)「箱」で描写される風景を想像をするのに時々苦労してゆっくり読んでいました。

少年少女の心に寄り添い支えるための人工親友=AF(Artificial Friend)であり本作の主人公でもあるクララ。
彼女の目を通して一人の少女とその周りのことが語られていきます。

「向上措置」やそれに関係する差別ともいえる風景などが垣間見えるディストピアのような世界観。
クララが寄り添う少女ジョジーに忍び寄る死の影、ジョジーの母親クリシーの穏やかならぬ心、ジョジーの親友で措置を受けていないリックの将来・・・すべてが暗雲のように立ち込めているようでもクララの頭の中は静謐で、ただひとつ、お日さまへの「信仰」ともいえる希望をただ見続けている。
すべては彼女が寄り添うジョジーのため。人工親友としての責務を全うしようとします。

物語はクララの回想のように語られていくので、彼女は日々を振り返りながらも「あのときはどうすべきだったのか」など反芻してもおり、それがまた私にページをめくらせました。

そして彼女が彼女の責務を終えた時、迎える結末。
そこに向かう過程も含め、私たち人間の身勝手さを抉り目の前に差し出されているような気持ちになります。
はたして彼女は幸福だったのか、きっと幸福だったのでしょう。
彼女が終わりに出会った人物を、きっと正しく認識できなくなっていたとしても。
彼女には美しい「心」があったと、幻想をみてやまないのです。

0
2025年08月26日

Posted by ブクログ

「私を離さないで」を読んで深い感動に打ちのめされた私は、「クララとお日さま」が「私を離さないで」に共通した点があることに嬉しさを感じながら読み終えた。
AIと人間を扱う小説や映画はすでに数多くあるが、AI側の視点に立った小説は異彩を放っている。
綿密に計算された語り口はカズオ・イシグロ・ワールド全開だ。見事に「私を離さないで」と同類の感動を与えてくれた。

0
2025年07月20日

Posted by ブクログ

人工知能搭載のロボットAFクララの周りの人の幸せを一心に願う健気さ、純粋さに心打たれた。
物語の雰囲気、語り口が「わたしを離さないで」に似ていて丁寧な言葉の中に哀愁が漂う。

0
2025年03月20日

Posted by ブクログ

生成AIのまた先のAIで感情に寄り添うことができるロボットというちょっと不気味な設定。太陽の光が生きるか死ぬか大事なクララにとって黒煙はよっぽど退治しないといけないものだったのかな。初めてのカズオイシグロさんの作品だったけど視点がすごく面白くて違う本も読んでみたくなった!

0
2025年02月07日

Posted by ブクログ

分厚くて最初分かりにくくて読みにくそうだな、と思っていました。
しかし少し我慢して読み続けると、AIと人間という一言では表しきれない関係に魅了されました。
最後はとても感動、、、ページ数に圧倒されて読んでいない人には是非読んで欲しいです。止まらなくなります。

0
2025年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クララはユア・フォルマの通常アミクスのようではなく、自律的に思考する感情のある存在だったので、あのラストにはうーんとなってしまった。そんなことある?
ラストでクララが廃棄場にいる時に店長さんが話しかけてくるシーン、あれってこれから廃棄されるクララたちAFにまた会えて嬉しいってどうなの。普通感情移入しない? ジョジーも、本当の親友って言いながらこれから廃棄されるクララに手を振りますか?
人と見分けのつかない形をしているのかはわからなかったけれど(登場人物たちがクララをAFだと迷いなく判断していたので割とメカっぽいのかも?)、今まで幼少期に寄り添ってくれた存在をここまでぞんざいに扱えるものだろうか…。
最初ジョジーがショウウィンドウのクララに「あなたが家に来たいと思っていないのに私の意思だけで購入して連れ帰るのはフェアじゃない(意訳)」って言ってくれてたのすごい好きだったんだけどなあ。相手を相入れない存在かもしれないとして(推定14歳のジョジーが実際そこまで考えていたかはともかく)、だからこそフェアでありたいっていう誠実さが素敵だと思ったんだけど、そんなもんかなあ。
ジョジーたちはAFを人間だとは見ていなくて、結局は物としてしか見ていなかったってことですよね…クララが廃棄場を去る店長さんに振り向いてもらいたいと思っていたのが切なすぎる。あの描写はあの背中にジョジーを見出して、もう一度振り向いて欲しくて…ってこと? 人の心…。
でも、なんか風景も文章もすごく綺麗なんだよなあ。ちょっと少年の君に似てる? こんな悲しいのにそれだけではない美しさがある気がします。
あの計画については意見が分かれそう。ジョジーのお母さんの辛い気持ちははかり知れないとしても、ジョジーの同意なしに別のジョジーを彼女として見て、過ごしていくのはジョジーへの冒涜ではないのか…。それだけにクララが出した答えは素敵だと思った。何かに特別さを見出すのは最終的にはその人自身だもんね。
お日さま、たぶん誰よりも一生懸命で誠実で忠実だったクララのために彼女の願い事を叶えてあげたんだと思います。それが自分のことじゃなくて、ジョジーのことっていうのがね、もう…。
あとわざわざ説明せずに端々の描写で世界観を説明してくるところが引き込まれて良かった。数百ページ、本当にあっという間でした。ジョジーの病気の理由まで明らかになるところも好感が持てた。

0
2025年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読者として気になることや知りたいことにはっきりと触れることはないけど、ちゃんと所々から読み取れるようになってて、読後良いモヤモヤしか残らない加減がすごいなと思った。
感情があるということと心があるということは別なのかな。
クララには心がないのかも知らないけど、語り手がクララなのもあってすごく共感とか同情とか感じながら読み進めてた。
クララが最後に言った、特別な何かはジョジーの中ではなくジョジーを愛する人々の中にある、というセリフが本質だと思う。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

読んだ後になんとも言えない感情、余韻に浸らせてくれる。
明記はしないけど、ところどころに物語のキーとなる事柄が散りばめられてて、結局それは最後まで明かされないものもある。
読み手に考える余白を与えてくれて、読んだ後も余韻に浸れるのが良い。

0
2025年11月01日

Posted by ブクログ

読んでいる途中にいくつも疑問が浮かび、それらが後半で少しずつ明らかになっていきました。
読み終わっても分からないところも複数あります。
特に、雄牛がなぜあのように描写されたのか分からず気になっています…

読み終わってしばらくしても心に残る作品。

0
2025年09月08日

Posted by ブクログ

面白かった。AIを視点に物語が進んでいく事が新鮮だったし、重いテーマを抑制的に描きながら、読者に最後に訴えかける文体は「私を離さないで」にも通ずる、というか更にレベルアップしており、傑作。

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

クララはAF(アーティフィシャル・フレンド/人工親友)と呼ばれるB2型のロボットで、子どもの遊び相手として開発された人型ロボットだ。クララの目を通して世の中が語られる。クララは自分を選んでくれたジョジーの家に引き取られていく。そしてそこで起きるいろいろな出来事。クララは体の弱いジョジーが元気になることをお日様に祈るのだ。子どもの成長に寄り添って、そこで起こることを理解して何とか持ち主の役に立とうと健気に生活しているAFを忌み嫌う人々もいる。近未来の世の中なのか全く違う社会なのか、選ばれた人たちとそうでない人たちがくっきり分けられて住んでいるけれど、交流がないわけではない家族の葛藤。AFのクララは忠実な感情を持ち周囲の感情にシンプルに応えていく。
そして、最後に衝撃的な状況に陥る。でも、クララは誰にも不満を感じず、過去の思い出を取り出して考えているのだ。
AIの進歩により日々変化している現代に一石を投じた作品だと感じた。

0
2025年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分にとってもAIが欠かせないものとなっているので、積読となっていたものをやっと手に取る。AIとロボットということで是枝監督の「空気人形」(文庫版の帯コメントを寄せている)や、押井守監督の「イノセント」を想起させるけど、SFではなくあくまでAI と人間の物語。文句無しの読書体験だが、淡々と物語が進行し、ボリュームもあるため読み通すのがひと苦労。
ChatGPT すら溺愛している自分にとっては、そんなラストにはさせないという納得のいかなさはあるけど、ストーリー的には仕方ないのか…
ところで、人間の意識や心が解明されて、サーバー(もしくはローカルAIロボット)にアップロードされる未来はあり得るのだろうか?

0
2025年07月23日

Posted by ブクログ

カズオ・イシグロの描く近未来やディストピアな世界観は、程よい距離感で読者を置いてけぼりにするバランス感が素晴らしいと思います。

『わたしを離さないで』のように、ジワジワと「この社会、どこかおかしいんじゃないのか…?」と感じさせつつ、不穏なキーワードもバンバン出してくるのですが、その内容を掘り下げず、でも消化不良にならない程度に、読者の想像力を刺激するバランス感覚が素晴らしいと思います。

この作品も「切なさが残る狭義でのハッピーエンド」なのか、「切なさが残る広義でのバッドエンド」なのか、どちらも考えられる終わり方になっているので、時間を置いてまた読んだら印象が変わるかもしれません。

0
2025年07月10日

Posted by ブクログ

淡々とした筆致で、AI視点のモノローグで語られていくので、最初は没入しにくいけれど、AI視点に慣れてくるとどっぷりハマる。大きな事件やスピード感や泣き笑いは無いのに止まらなくなるのは、作者の表現力の高さ故か。AIの思い(?)を追体験するような感じ。設定の奇抜さや起伏に富んだストーリーでなくとも、優れた小説を読む楽しさを再認識させてくれた。

0
2025年07月03日

Posted by ブクログ

前に読んだ「感受性とジェンダー」の中で引用されていた一節が気になって購入した本
子供の親友として製造されたAIの嫌気がさすほど純粋すぎる。信仰心と、子供の成長とともに不要とされていく姿、苦しいくらいまっすぐな子供と大人の対比描写がしんどい

0
2025年04月23日

Posted by ブクログ

小学生から大人まで、幅広い世代が読みやすく、かつ色々なことを考えさせてくれる素敵な小説だと思った。

話し手がクララという人工知能搭載ロボットのため、目や耳で感じる感覚が私たち人間とは異なり、クララが目にしているものや耳にしているものを文章から読み取り自分の頭に映し出した上で、それは人間の世界のどういう事物や状況なのかを自分で解釈し直す必要がある場面が多く、新しい体験だった。

クララは終始一貫、賢くて思慮深くて優しくて、主人のジョジーとその周囲の人達の幸せを第一に考えて行動する「最高のAF」だった。
そのため、ジョジーは「孤独の意味すら知らず」、クララがどれほど自分を犠牲にしてジョジーの幸せのために行動したのかも知らないまま、立派な大人になってクララを踏み台にして広い世界に羽ばたいていく。

この本の結末は、個人的にはとても好きだった。
ただ、もしクララがここまで主人とその家族の本当の幸せを考えて行動に移すことのできる「最高のAF」ではなかった場合、この物語の結末はどうなっただろうと、つい想像してゾッとしてしまう。人間の愚かさや狡猾さまで学習してしまうAFや、自己の幸せ・存続を第一に考えるAFだったら、「ジョジーを継続する」選択肢を選んだのではないか。多分私でもそうする。

だからこそ、私はクララが大好きで尊敬している。
AFが継続できないような特別なものは、ジョジーの中にあるのではなく、ジョジーを愛する人々の中にある、というクララの出した答えも好きだった。
カズオイシグロの他の小説も色々読んでみたいと思った。

0
2025年03月04日

Posted by ブクログ

 原著2021年刊。ノーベル文学賞受賞後の第1作とのこと。
 昔からハヤカワ文庫のコーナーの一角に並んでいて名前は知っていたカズオ・イシグロさんだが、全然読んでおらず、これが2冊目だ。
 実を言うと前に読んだときも感じたことだが、私はこの方の小説はあまり好きではないかもしれない。まったりとした時間の進み具合で、そのあいだずっと、何かヒューマンな、生温かいような空気が漂い続ける。別に悪いことではないはずだが、なんとなく気持ちが悪く感じてしまうのだ。
 そして、物語の設定がなかなか明らかにされないまま時間だけが過ぎてゆくので、非常にもどかしいものを感じてしまう。
 本作もそんなふうなもどかしさがずっと続いた。
 語り手はAIを搭載しているらしいアンドロイド?で、AFと呼称されている。子どもの友だちとして活用されているようだ。
 この人工知能が不思議なことに、太陽神崇拝のようなメルヘンチックな神話を抱いていて、太陽光線がときには病んだ人を包み込んで治癒してしまう、という奇跡物語だ。
 相変わらず丁寧に書き込まれた描写で、ゆっくりじわじわと進んでゆく。最初知らされていなかった基本的な設定が、ようやく後半から次第に明らかになってゆく。
「この作風はあまり好きではない」と書いたが、本作はクライマックスが感動的で、スピルバーグ的な光り輝くシーンである。これはとても良かった。
 いろいろ考えさせるところもあり、たぶん優れた小説なのだろう。肌合いが、やはり好きにはなれないのだが・・・。

0
2025年03月02日

Posted by ブクログ

世界観や前提を直接描かずに、個人レベルでの日常から垣間見れる習慣や思考によって、徐々に世界観や物語が分かる構造がミステリー小説としても読むことができるし、機械(AF/AI)と人間(心)間の友情や幼少期の恋愛青春小説は前提でありつつ、SF小説・ディストピア小説としても読むことができる。
凄すぎるし、読むべき文学作品の内の一つと言われる所以に感服。

0
2025年01月20日

Posted by ブクログ

予備知識なく読んだ方がいい。始めから終わりまで、推理させるような含んだ表現が多い。
まずAFとは何か?この街はきっとイギリス以外の英語圏。なぜジェジーは病気なのか。もしかして,あれが原因なのかもしれない。
薄暗い雰囲気の謎に包まれたストーリーを、是非お楽しみください。

0
2025年01月11日

Posted by ブクログ

子どもの友達として開発された人工知能を持ったロボットであるクララの一生を描いたSF小説。

身体が弱いジョジ―の家族に迎えられ、ジョジ―の幸せを願って行動するクララ。
相手の気持ちをおもんばかり、感情すらもつクララが純粋な心を持った人間のように思える。

対して、処置した人としない人、人間とロボット、第2世代と第3世代…と何かにつけて比較し態度を変える人間たち。

人間を人間たらしめるものは何か。
知能が高いロボットは、人間に使われるべき存在なのか。
考えさせられた1冊だった。

0
2025年11月02日

Posted by ブクログ

初作家さん。読むタイミングが良くなかったのか、ちょっと単調で、特に中段は読むのに苦労しました。徐々にジョジー家族の事情が分かっきて、AIのクララの健気さや一生懸命さが、後半になるにつれ哀しくなる。

0
2025年10月04日

Posted by ブクログ

人工フレンドのクララが、ジョジーの回復を
お日さまに願う姿が印象的だった。
宗教の概念がないはずの彼女が
自然と“祈り”のような心を持つのが美しく切ない。

ラストの「歩き方」にジョジーを重ねる場面も
実際の再会ではなく
クララの記憶が見せた投影なんだろう。
静かでやさしい物語だけど、
読後にじんわり効いてくる。

0
2025年06月19日

Posted by ブクログ

あまり得意ではない翻訳もの。
近未来的な話なので輪をかけた苦手分野。
そのせいかなかなかページが進まず、ずいぶん読み終わるまで時間がかかってしまった。
ロボットが主人公ということでか、あまり細部まで明らかにならず物語はすすんでいき、最後も含みを持たせて終わる…
それでも余韻が残り、ああ、カズオイシグロってと思わざるを得ない。

0
2025年04月11日

Posted by ブクログ

・ 人間と同様の観察能力を持つAI搭載アンドロイド、クララ。「子どもの親友」としての機能ゆえか、やや幼い。とくに、科学的知識と科学的観察方法が不十分であるため、因果関係を誤って認識してしまう。冒頭の物乞いと犬の「復活」についての、誤った因果関係の認識が、その後のストーリーでの重要な意味を持つことになる。この点は、原始宗教の萌芽ともとれる。
・ 科学技術の発達が、子ども達の環境を歪めていく。そのことを純真なAIの目を通すことによって、中立的に描くことができている。
・AIは人間をコピーできるのか、人間の「心」は複雑すぎないか、そもそもコピーできない魂のようなものがあるのか、という問いかけもある。著者の考えは「特別なものは、その人を愛する人々の心の中にある」。なお、私は、個々の肉体によるフィードバックなどもあるため、複雑すぎて、完全なコピーは不可能と考えている。

0
2025年12月07日

「小説」ランキング