あらすじ
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸
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Posted by ブクログ
キャシーの回想から始まるこの小説。序盤から強く引き込まれる。介護人、提供者、どれも聞き慣れない言葉。
彼女達が幼い頃を過ごした学園。幼き頃の思い出はとても鮮やかなもの。些細なことで友人と喧嘩したり、仲良しグループで固まったり、実は気があることを悟られぬようようこっそり異性の友達と落ち合ったり、どこにでもある、私たちにでもあるような子供時代。だけどとこか私たちとは違う。
少しずつ浮き彫りになっていく学園と自分たちの未来の真実。
学園で過ごした側の立場と、運営側の立場の違い、それ故の残酷さが、なんとも言えなかった。人間らしく扱うことに意味があると思っている側と、だうせ提供されるのなら教育も道徳も無意味だったと思う側。でもその教育らがなければ家畜のように扱われることと同等になってしまう。
キャシーとトミーは再会するのだが、結ばれるのがもっと早ければ、というシーンはすごく切ない。2人にはとにかく時間がない。
ラストの先生方との再会。家族をおらず、仲間だけを頼りに生きてきたキャシー達。自分たちが生きてきた学園の意味。全てが切ない。
読みながら、思わず、何度も自分の娘を抱きしめてしまった。
そういう気持ちにさせられる作品。名作だと思う。
Posted by ブクログ
個人的にはトミーに共感することが多く、深く感情移入した。感情の爆発を抱えながらも不器用にしか生きられない彼が、どこか他人事に思えなかった。
トミーが介護人を変えてから亡くなるまでの日々が、穏やかであったらいいなと願う。キャシーのことを、静かに思い出しながら逝ったのだろうと思う。
Posted by ブクログ
すごい話だった...
優秀な介護人キャシーの1人語りで描かれる回想のストーリー。キャシーは誰に話しかけていたのかなあ
"提供者"という言葉、ヘールシャムでの講師陣の謎の発言など、平和な幼少時代の描写の隅々に少し不穏な空気が漂う。
どんどんキャシーたちの立ち位置が明らかになり、物語に引き込まれていった。
真相、物語の運び、全てが美しく整った完璧なフィクションだったと思う。
如何にも近い未来起こりそうな...倫理を考えさせられる話。
情景描写が細やかで、海外文学独特の読みにくさが無かった。すごく良い文章。
キャシーのトミーに対する態度・心情のすべてがもどかしい恋心に基づいたものであるように感じた。
これは長い時間を経た恋愛の物語であるとも捉えられるような。
あまりに救いのない残酷な物語だと思ったけれど、静かな諦念と共に運命を受ける主人公たちの強さに心を打たれた。私だったら受けいられらない。
ヘールシャムの思い出は、私が受け取った以上に大きな心の支えになって、強さに繋がってるんじゃないかと思った。
Posted by ブクログ
あらすじを読まず何も前情報なしに読むのが自分流 途中まで 学校での思い出 恋愛の話なんだ とささーっと読んでて、途中から、うん、?提供者??うん!?
となり、後半は切ない気持ちになった。。
運命の残酷さがいい感じに俺に刺さった、、また読み直す時は、時間をかけて、しっかり読みたい!
Posted by ブクログ
このお話を読んだのは何年前だろう。もう優に10年ぐらいは経っているのかもしれない。
そのせいでキャラクターの名前や、展開までもが朧げだ。それでもこの話の醸し出す空気感は今でも忘れられないままで、私が数冊本を選べと言われたらこれが出てくるだろう。
それぐらい当時の私にも、今の私にも強烈な印象を残している。
まず特色として感じたのは、主人公および世界が、正常を持ち合わせていないことだ。
よくある物語では、正常の中の異常が書かれる。
つまり、異常な出来事は異常として書かれる。
「そんなのおかしい!」みたいなことを、誰かは言ってくれる。
この物語ではそんな救済はほとんどない。
主人公たちがおかしいことに気づいても、生まれながらにそういう世界で生きてきた主人公たちだ。
私たちでさえ気づくような「おかしさ」に怒りさえ覚えないままだ。
このお話にずっと続く、痛みへの麻痺感がある。
痛々しく寒々しい出来事に、ちゃんと悲しんでくれる人が1人もいない。
そしてその鎮痛剤のような空気感は、後半出てくる医療的シーンといやな親和性がある。
ずっと、温室とか、抗菌室とか、そういう「管理された安全」の空気が途切れないのは流石に名作すぎる。
あまりにも面白い。近々読み返そうと思った。
Posted by ブクログ
語れるほど本を呼んでいないけれど、今まで読んだ本では一二を争うほどの作品でした!
カズオ・イシグロは「日の名残り」を読んでとても良かったと思ったのですが、これはそれを遥かに越えた読書体験でした!
自分と他人の心の動きや、繊細で不完全な人間関係の動きが、過剰なまでの記憶の詳細な描写から知らず知らずに身にしみて、ある時ぶわっと感情があふれる瞬間があって、泣いてしまったシーンや泣きそうになったシーンがいっぱいありました。
今までどこか登場人物と読者である自分の間に見えない壁があったような気がしましたが、この作品では、主人公のキャシーの体験を一緒に体験しているかのようで、余韻がすごく、忘れられない読書体験のひとつとなりました。
人間って、フィクションのようにきれいでスマートな駆け引きや、やりとりができるわけじゃなくて、ぎこちなくて微妙な関係や、意図してないことをなぜか言ってしまったり、逆に本当に伝えたいことがまっすぐに伝えられないから遠回りしてみたり完璧じゃないから、キャシー達の物語にどこか共感してしまうと思いました。
あらすじや最初の流れから、ミステリーのような驚きの展開と衝撃を期待してしまうかもしれませんが、私にはそんなことよりも主人公キャシーと、トミーとルースの関係性の人間ドラマに心を動かされたので、そこがメインだと思いました。
読んだ後に、この話は、ネタバレ、どんでん返し云々じゃないないから、イシグロ氏はネタバレOKっていってたのかなと思いました。
私はちょーおすすめします!
Posted by ブクログ
未来の話ではなく過去であるという設定がとても気に入った。歴史を学ぶとなぜそんなことが?ということが平気で起こっている。でもそれが現在に住んでいるということ。生活そのものが不条理に包まれていることを染み込ませられながら生きていく、そこから抜け出すという発想すら無に帰すどうしようもない空気はすごくクリーンな灰色で軽やか。
キャシーは結局誰に話しかけていたんだろう。
Posted by ブクログ
カズオ・イシグロの本を読んだことがないなぁと思い、手に取ってみました。
まったく何の前知識もなく読み始めたのですが、最初は、何のことを語っているのか分からない表現があり、頭の中に、すこし「?」をもちながら読み進めました。物語は、ある種の青春群像かなと思いながら、話に引き込まれていったのですが、物語後半で、彼らが何者であるか分かったときの、ショックというか、悲しさというか、虚しさというか…
読後感は、必ずしもすごくいいものではないと思いますが、読書体験としては、他に代えがたいものがあるのではないかと思います。
Posted by ブクログ
ヘールシャムやコテージでの生活を回想するパートが、丁寧ですごく好き。外の世界について想像を巡らせたり、ちょっとしたことで激しく動揺したり、友達と険悪になったり、保護官のあれこれについて仲間と議論し合ったり…。施設で育った主人公たちの描写がリアルで、辻村深月さんの「琥珀の夏」を思い出した。
訳もきれいで、すっと入り込めて一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
苦しいほど切ない。
作中、いくつも希望が生まれては消え、展示館を通じて提供までの猶予を得られるかもしれないという最大の希望がただの噂にすぎなかったと知る。
主要な登場人物であるキャシー、トミー、ルースはそれぞれの性格が細部まで描かれており、漫画やアニメのキャラクターのような「仲良し3人組」になりきらない部分にリアルさを感じた。
全員がとても人間臭い部分を持っていて、3人それぞれに自然と感情移入してしまう。
だからこそ、終盤は物語を読み進めるのが辛くなってくる。
ヘールシャムの生徒たちも、保護官も、マダムも登場人物が優しい人ばかりで、その優しさが社会の仕組みや時代の流れにかき消されてしまうというやるせなさが表現されており、大きな力に惑わされずに本物の優しさを見極められる人でありたいと思った。
カズオ・イシグロを読んだのはこれが2作目で、1作目は癖のある文章に苦戦したが、今ではそれに慣れてむしろ心地よく感じるほどになったので、他の作品も楽しみたい。
Posted by ブクログ
クローンとは言えど、提供者という抗えない運命に生まれた彼らを思うと、どうしても「最初から真実を伝えるべきだ」というルーシーの考えに共感してしまう。でも同時に、「せめて子ども時代だけは普通の幸せを」というエミリ先生の想いも否定しきれない。どちらも人間的で、だからこそ苦しい。
キャシーとトミーも、もっと早く愛し合ってほしかったと悔やんでしまう。気づいたときにはもう遅い残酷さが胸に残る。
しかし結局、彼らと我々は与えられた時間の長さと扱いが違うだけで、誰もが終わりに向かっている。だからこそ、日々の中で大切なことや想いを分かち合いながら生きたい。何も知らない、伝えないまま終わるのではなく、不完全でもいいから、ちゃんと向き合っていたいと思った。
「わたしを離さないで」について
ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが端正な筆致で綴る、ある女性の人生の物語。
提供者を慰める介護人の職に長くついていた女性。彼女が職を辞めるにあたり、自分のこれまでの人生、特に生まれ育ったヘールシャムで仲間と過ごした日々を回顧する。
提供者、介護人など説明なく出てくる言葉の意味が、女性の回想から次第に明らかになってくるにつれ、世界の残酷な姿が浮かび上がってくる。
この世界の真実は、SF小説のファンならばすぐに見当がついてしまうだろう。
読みどころは、むしろ小説としての巧さ、人間描写の厚みの部分だ。大きな状況に翻弄される主人公たちが、小さな人間関係にすがる姿がなんとも哀しく映るのだ。
Posted by ブクログ
物語はキャシーの回想
何者として生まれたのか 保護官 提供者といった聞きなれないワードが並ぶ中…人と同じように成長する人生が端正な語りで描かれてゆく
まず第一印象は静かな長編だった。思い出の美しさ昔の宝物の箱を覗いたようなイメージが、そして物語の世界観の異様さ、これは読中も読後ももどう受け入れるべきか…倫理的問題があったと思う
物語序盤で少なからず読者は気づくのでネタバレではないと思うがクローン人間の世界ということ。しかし普通に教養をうけ青春も、何者なのかを明かされた時 息が止まってしまった。生徒たちは抗うことなく静かに飲み込んでゆく、自分だったら狂ってしまうのに静かに受け入れた彼らをどう思うのか。つまり解説にあった"作品世界を成り立たせる要素一つひとつを読者が自分で発見すべき" がそういうメッセージなんだと
仲良しのルースとのテープを渡す受け取ることの丁寧な描写に尊さを感じずにはいられない
勿論、ジュディさんの音楽が聴きたく検索し映画化されてるのを知り10年も前のコメント欄にて"寮で枕を抱きながら聴きたい"を見つけ胸がいっぱいになるそんな流れだった(この本を読んだ多くの人がそこに辿り着いてほしく思う)
青春の一瞬の煌めき、友達トミーとテープを探すシーン。ついに見つけたが、この探す時間が終わってしまう 見なかったことにしようかとか、本当は僕が見つけたかったんだとか、もう2人とも抱きしめたくなる
ラストにこの物語を引っ張ってくれてた?謎が明かされ、そしてこれも静かに受け入れてく…哀しくもどうすることもできないリアリティが一貫してあった。どのような教養をすべきだったか。静かに受け入れてくと書いたが実際は恨んでたりするともとれるかなと。ラストまでルースやトミーのことを思いうキャシーの優しさ思いの数々に視界が揺れた
最後に自分はこの世界を全く望んでない、今の技術がどれほど進んでいようが死を受け入れる時がくれば受け入れるべきだと揺るがなく思う
好きなフレーズ引用
これからテープ探しを始めようとしたあの瞬間 突然 世界の手触りが優しくなりました
Posted by ブクログ
3年前に一度読んだが、原書を読み始めたのでこちらも再読。
読んでいる間一瞬も気の抜けない小説(既に内容を知っているからかもしれないが)。キャシーが回顧するヘールシャムの日々は、管理が行き届き、大人に守られた、温かくかけがえのないものとして語られる。その一方で読者は「展示会」や「提供」の描写から作品世界の核心に近づくにつれ、胸騒ぎを感じるようになるだろう。キャシーとルース、トミーの関係性の揺れ動きもまた本作のコアであり、些細な(些細でないこともある)出来事で仲違いと仲直りを繰り返す様子が切実に描かれている。根底に深い悲しみが流れる作品だが、キャシーが自分の境遇を嘆いて自棄になる人間ではないことが個人的に救いだった。しかしながら、トミーがキャシーに放った「提供者でないから君にはわからない」という趣旨の言葉の効力はラストシーンのキャシーにとってもまだ作用しうる。キャシーが最初の提供を終えたとき、彼女はヘールシャムの輝かしい思い出を抱いて何を想うのだろうか。
ただの追記だけど、私はキャスとトミーより、キャスとルースの関係性のほうが好きなんだなあと気づいた
淡々とした中にあるインパクト
特殊な暮らしにおける日常の描写、心情が淡々と書かれているものの、ミステリーがちりばめられているよう不思議な小説でした。
人生の尊厳
一部ご紹介します。
・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
・すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない
・「あなた方はいい人生を送ってきました。教育も受けました。もちろん、もっとしてあげられなかったことに心残りはありますけれど」
「生徒たちを人道的で文化的な環境で育てれば、普通の人間と同じように、感受性豊かで理知的な人間に育ちうること、それを世界に示した」
「あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。追い風が吹くかに見えた時期もありましたが、それは去りました。
世の中とは、ときにそうしたものです。受け入れなければね。
人の考えや感情はあちらに行き、こちらに戻り、変わります。
あなた方は、変化する流れの中のいまに生まれたということです」
・「新しい世界が足早にやってくる。科学が発達して、効率もいい。
古い病気に新しい治療法が見つかる。すばらしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。
そこにこの少女がいた。目を固く閉じて、胸に古い世界をしっかり抱えている。
心の中では消えつつある世界だと分かっているのに、それを抱きしめて、離さないで、離さないでと懇願している」
・「俺はな、よく川の中の二人を考える。
どこかにある川で、凄く流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。
互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、最後は手を離して、別々に流される。
俺たちって、それと同じだろ?最後はな、永遠に一緒ってわけにはいかん」
Posted by ブクログ
chatGPTと話してると、よくオススメされるのと、SF好きなので一度は読んでみたかった本作。
展開が遅いのと、徐々に徐々に設定が明らかにされていく構成で、あと一歩で積読になりそうだったんですが、奥歯にものが挟まったかのような書き方が逆に、これどうやって風呂敷畳むの?作者はこの作品で何を描きたいの?という疑問を増幅させ、無理やり60%くらい読み進めたところ、やっと没入できてそこからラストまでは速かったです。
で、読後感が異常なほど切ないのと、結局作者が何を描きたかったのかはバシッとわかりませんでした。
ただ、ヘールシャム〜介護人になるまでが、リアル人生でいうところの学生〜社会人 介護人〜提供者になるまでが社会人〜老後の特に終盤あたり になんとなく思えて(期間が全く違いますが)考えさせられました。
私たちも終わりが決まってるという意味では同じ。また、主人公が1人、また1人とかつての学友を見送る姿と老後の(想像ですが)自分が重なって見えてきます。
30代半ばを過ぎた今では人生の重要な分岐点が一通り終わり、キャシーが介護人として提供者を見送りながら自分の終わりにも近づいていく時間の流れと、どこか重なるものを感じました。
再読すると、もっと理解を深められそうですが、思ったよりヘビーな作品だったので当面の間はできなさそうです。
(追記)
余韻がすごくてずっと考え続けた結果、これはクローン人間という設定を使った、人生のメタファーでは?という結論に至りました。人生という大きなテーマに触れたことで、今抱えている問題への執着が少し薄れました。
でも、話自体のスケールが大きいわけじゃなくて、なんなら主人公の半径数メートル以内の話で終わる、なのに頭の中にずーっと残ってジワジワと考えさせる感じ、さすがノーベル賞受賞作家・・
「日の名残り」も気になりますが、連チャンは重そうなので何冊か挟んでからにする予定です。
Posted by ブクログ
約ネバ
どんな本か忘れないためだけに書いた感想です。読まなくて大丈夫です。
提供されることが普通であると、内臓が悪くなったら“提供者”の内臓をもらえると当たり前に思えてしまう世界怖すぎる。
マダムや先生たちは、提供者たちが家畜ではなく価値のある人であることを世界に伝えるために、絵を描かせていたのね。
技術が進歩し始めた時くらい、内臓移植ができるようになったくらいの時代に、人間という、提供者という家畜のようなものが生まれなくて(日本だから知らないだけかもしれないけど)よかったと思う。
もし戦争中だったら、相手国の捕虜とかとっ捕まえて提供者にしてそうだな。
Posted by ブクログ
終盤の先生の告白がとても残酷だった。とても良い人なのだろうけれど。
キャシーを生き直せるくらい情景と感情が鮮明。
なかなか救いを見出せないので、よくドラマにしたな、と思う
Posted by ブクログ
仕事の休憩時間を使って完読。
静かに、かなり具体的な生活描写や出来事が語られる中、徐々に明らかになる事実が筋を持って物語を支えています。
共感するのはかなり難しいですが、登場人物達の境遇を受け入れた静かな生が胸を打ちました。
Posted by ブクログ
『日の名残り』を読み終えた時は、ただただ、素晴らしい読書体験だった。という感じだった。
けど、この作品は、どこに注目して感想を持ったらよいか、わからなかった。臓器移植を目的とされて作られたクローン人間の話しであることを知っていたのが悪かったのか?読んでいるときもどこが「盛り上がり」なのか、わからなかった。
でも、今、わたしなりに思うことは、どんな社会であろうと「どこに立つか」で世界は変わるということ。そう気づくと、あらゆるエピソードが「盛り上がり」だった。すごすぎ。
はぁ〜、トミー!早くキャシーを迎えにいってあげて。
Posted by ブクログ
6年ほど前から読みたいと思っててやっと読みました。
序盤では、寄宿学校での話かなーなんて思っていたらとんでもない。びっくりしました
登場人物たちは抵抗をしようとしながら、結局は自分の運命を受け入れていくのもかなしい
Posted by ブクログ
最後の盛り上がりまでが長い…読んでて単調すぎて辛くなりましたが、最後のところはまぁ良かったかなぁと。最初は施設にいるキャシー視点からずっと物語が進むとこがとても単調。キャシーたちは『臓器提供』のために生まれてきたことは薄ら分かっている。あるとき、外から自分たちがどう思われていてどう扱われているのか、キャシー達がちゃんと気づいたとき、はっとさせられました。
Posted by ブクログ
カズオ・イシグロさんの著書は2冊目でしたが、やはりクライマックスまでが長い。笑
気が短い自分なので早く結末が知りたくなってしまう。
ただ圧巻のラストでは、登場人物の運命に泣きました。
科学技術と倫理という普遍的な問いを残酷に突きつけてくる一冊でした。
Posted by ブクログ
グッとくる言い回し、作者の新奇性に富んだメッセージ、みたいなものは良い意味でない。精緻に主人公の内面が積み上げられていく過程で、物語世界も解像度が上がっていく感覚が唯一無二。遺伝子工学の発展やその倫理的問題について議論がなされる現代において、作者自身の思想や意見を表面化させずに描ききるところに感動した。あと、最終盤での昔のトミーの癇癪について触れる場面が良かった。
Posted by ブクログ
どうやって提供を受け入れたのか、、受け入れる他に選択肢がなかったから諦めたのか。愛し合う二人への猶予は与えられず、展示会はただの社会へのアピールだったなんて知ったら絶望してしまう。世論がヘールシャムの人権尊重に賛同しなくなる流れは実にリアルだった。 キャスの視点で読むと、提供者を恐ろしく思うマダムやメアリ先生に疑問と悲しみを感じるけれど、私もクローン人間ににこやかに話しかけることはできないだろう。 トミーとキャスが愛し合ってるとルース含めわかっていたのが驚いた。訳がとても自然で落ち着きのある文章で良かった
Posted by ブクログ
最初はちんぷんかんぷんやったけど、途中からは主人公キャシー、ルース、トミー3人の人間模様にやきもきしつつも共感した。最後はヘールシャムができた経緯を知って、何のために生きるのか、幸せな人生とは?を考えさせられた。
3人の哀しい運命は最初から決まっていてそれを変えることはできなかったし、先生がヘールシャムで実現したかったことはただのエゴかもしれない。それでも結果的にヘールシャムでの豊かな日々はその後のキャシーの人生を彩り、心の支えになっていたんだろうなと思う。
誰かとぶつかったり愛し合ったり共に楽しく過ごす、何気ない日々の瞬間にこそ生きる醍醐味があるのだと再認識した。
でもヘールシャムで豊かな生活が用意できたからといって、作品内の不条理な世界を許していいとはいえない。3人の残酷すぎる運命を覆せない絶望感がずっと拭えずに終わった。
Posted by ブクログ
描かれている物語は残酷なのに
登場人物は自分たちの人生に対して残酷だと思っていない
クローンであることを当たり前のこととして認識している
『運命を仕組まれた子供達』的な設定が大好きだけど
この作品はまた違った良さがあった。
話題作
ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
初めてですが読んで見ることにしました
最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います
Posted by ブクログ
感慨文学ほぼ初めて挑戦しました。
向いていないかも、、。
登場人物たちの感情がなんとなく掴みづらかった。
物語の雰囲気はとても好き。人物たちには入り込めなかったけど物語の風景とかは想像しやすかった。
いつもは人物に感情移入をして小説を楽しむけど、今回は物語に入って登場人物達を傍観してる感じで、違った楽しみ方ができました。
キャシーとトミーが一緒にテープを探すシーン大好き。
淡くてキラキラでふわふわの映像が脳に流れてきた。
Posted by ブクログ
前にドラマでありましたね。衝撃を受け全話みたのですが原作と出会えたので一読。
こんな話だったな…と思いながら独特の怖さと隣り合わせ。
こういう事はもちろん許されてはならないが、形は違えどどこかで行われてかも。と妙に現実味も感じ取れ…
誰か幸せになれなんだろうか?
Posted by ブクログ
仮に自分の将来が、誰かのために捧げられるものだと決まっていたら、どのように人生を生きれるのだろうか?
そのように、生きる意味を考えさせられる作品だった。
物語は主人公の淡々とした回想によって進んでいく。
施設で過ごした幼少期の日々や仲間たちとの交流が静かに描かれ、その穏やかな語り口だからこそ、登場人物たちに課せられた過酷な運命がより際立って感じられる。
読み終えたあとには強いやるせなさが残った。
人間らしく生きることの意味や尊厳について深く考えさせられ、読後に長く余韻を残す一冊。
Posted by ブクログ
救いようもない話だが、彼らは「不幸」だったのか?
子供時代からヘールシャム(施設)を出るまではクローンである事を除けば普通の学生達のような穏やかな青春群像だった。
時は過ぎ当時の仲間とも関係は希薄になっていきやがて「提供者」としてどんどん消えていく。
ラストで有刺鉄線を見つめる主人公が想像した世界とはどんなものだったろう。
クローンをモノとして扱う華やかな外の世界の残酷さとクローンである事も自分の運命も淡々と受け入れている彼らの対比が切ない。それでも彼らの人生には間違いなく感情という「彩り」は存在していた。「かわいそうな子たち」と切り捨てられてはたまらない。何が正解だったのか。重たい問いだけが読後に残る。
Posted by ブクログ
やっぱりカズオ・イシグロの本。情景描写が上手くてどんな風景を見ているのかよくわかる。あと登場人物が時々出てくるやつとかが多くてあれ?こいつ誰だっけと思うことがあったり。あなたも当然知ってるよねのスタンスで新キャラを出してくる。
話はかなりグレーな感じだけど、やっぱり落ち着いた雰囲気を出しながら読者に考えを出させようとする。
ほんの中には答えがありそうでない感じ最高にカズオ・イシグロ
淡々としたノスタルジー
高評価のレビューがいっぱいの中、すいません。
ノーベル文学賞を取ったというニュースで初めて知り、読んでみました。
期待が大きすぎたのか若干がっかりしました。
何の予備知識もなく、提供、3-4度目の提供で使命を終える、とのことから主人公たちがどういう子供たちなのか検討はつきました。
不思議だった施設での授業や保護官とのやりとりが後に明らかにされますが意外性や驚きがなく終わってしまいました。
こういう目的のために生まれてきた子供たちの話は日本の漫画でかなり昔にも読んでいたので、その時の衝撃が大きかったのと、内容もはるかに壮大(漫画的)だったからかもしれません。
ちなみに清水玲子の『輝夜姫』(1993)という作品になります。
ところで主人公キャシーはこの物語を誰に向かって話しているのでしょう?私たち読者?翻訳だからなのか、それは違うような感じがしながらずっと読み進んでいました。
一度読んだだけの感想としては、意外性がなくがっかり、というところですが、再読の際にはいろいろ想像力を働かせて読んでみるといいかもしれません。
語り手キャシーの一方的な思い出話は、もしかしたらトミー側、ルース側では全く違う受け取り方が出来るかもしれません。