【感想・ネタバレ】わたしを離さないで Never Let Me Goのレビュー

あらすじ

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸

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Posted by ブクログ

生まれた時から自分の使命が決まっている。見ず知らずの人のために生きて、覚悟して、自分で選択して終わりを迎える。どんな気持ちなのだろうか。
私はこれまで、自分のことは全て自分で選択してきた。それがどれだけ恵まれている環境だったのかと改めて感じた。親にも、夫にも、感謝しかない。
医学のために存在するクローンの人権についても考えさせられた。現代の医学では、「臓器だけ」だけ作る、よりも「人間」の方が作りやすいんだって。誰かが犠牲にならなくてはいけない世界。今後もより良くなることを願うばかり。研究者の方、日々ありがとうございます。

キャシーとルースは、私と親友Aにとても似ていて何度も思い出さずにはいられなかった。親友だからこその憧れ、不安、固執、妬み、僻み、だけどふとした時に思い出す、心のどこかにいる存在。もう一度私も、心から話せる日が来るといいな。今ではなく、数十年後にでも。

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2026年02月28日

Posted by ブクログ

面白かった…再読すると思う

運命に悲しくなるんだけど
青春時代を感じてどこか胸が温かくなる

ノーフォークでキャシーとトミーが2人になりテープを探すシーン
何だか私まで学生時代のきゅんきゅんした気持ちを思い出させてもらったよ…

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2026年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

希望が砕け散り、真実が明らかになっても絶望せず、平穏な日々を送り続けるトミーとキャシー。

割と中盤で彼らはクローン人間で、臓器提供の為に作られたと明かされる。が、臓器提供の為に死ぬっておかしくね?ってなるはずなのにそのまま物語が進んでいくのが少し怖いまであった。

君たちはどれだけ恵まれた人間かを説くエミリが印象に残る。諦念を避けるために全てを教えないという意見は筋が通っているが冷酷で、むしろそっちの方がルーシー先生の意見よりも理論的ではと思った。

仲間の死を見届ける役割までもクローンにやらせるという自己完結性は彼らの制限された世界を象徴していると思う。(オリジナルによる良心の呵責や罪悪感を無視できるシステム)

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2026年01月20日

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ネタバレ

キャシー、ルース、トミーの微妙な距離感は何なんだろう。ただの三角関係だろうか。トミーからキャシーまたはルースにアプローチする場面は印象に残っていない。であれば、トミーの魅力はどこにあったのだろう。目立つ子供ではあったが癇癪持ちで扱いにくく、ヘールシャムの生徒同士で尊敬を受けるバロメータである「どれだけいい作品を作れるか」という点ではからきしである。しかし、キャシーもルースも他の男性とも関係を持ちながら、最終的に大事に思っていたのはトミー。この点に限らず、本作は色々な問いを立てることができるように思う。

読書中の予想として「作品」は何かの犠牲者である生徒それぞれの記念品ではないかと考えていたが、「生徒たちに魂が、心があることが、そこに見えると思ったから」という旨の理由には踏み込んだものを感じ、圧倒された。

逆にルーシー先生が「努力してもできないなら、生み出さなくてもいい」という旨の発言をし、それがトミーを変えたのも面白い。作品を作らせるのはエミリ先生の活動のためでもあり、それによって図工が苦手なトミーは苦しんでいた。生徒たちを保護するべきなのか、それとも一般人と同様に扱うべきなのか、各人の葛藤が読み取れる。

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2026年01月06日

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ネタバレ

前情報が「信用できない語り手」しか無く、この言葉を理解できていなかったため、変に期待して読み進めてしまったためあっさりとした読後感になった。

この本は、というかカズオイシグロというかキャシーは(トミー〜ヘームシャル含め)記憶をテーマにしていて、p426に一度だけ「これをお読みの方も」と出てくる。これは、私が途中から感じていたこの回想は誰に向けての語りだろうというものの終着点であると感じた。つまりキャシーに、ヘームシャルのことを、読者である私たちが教えてもらう体験型小説のような感覚のため、没入して読めたのかもしれない。

回想形式で進められて行くためたった1人の語り手であることに気付いてからその文章の一行一行の大切さ、含まれていることの多さに気付いた時、この小説を面白いと思えた。

437
1、遠くに体育館〜 →絶対ヘールシャム(ヘールシャムはもう失ったらしいので違う)
2、地平線にポプラ並木〜 →〜の道にに違いない(これも違う)
1、2からの、スザンナ・C発見なので、これも勘違いだろう
綺麗な三段階
つまり、もうキャシー自身が、”存在して欲しい記憶”へと変えてしまっていることから、「信用できない語り手」であるといえる。

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ーとくに下側の有刺鉄線にー
キャシーは、ゴミとトミーを捨てられた存在(もう、世に必要のない存在)として重ねてしまい空想を禁じたのか
なぜ”とくに有刺鉄線に”を書きたかったのか
→トミーは(同ページゴミの表現”遠い水平線からやってくるように”)子供の時からずっと考えていた最後の希望(提供延期)を、真実を知ることにより破り捨てられた(大人になり始めての癇癪のシーンより) 。それは有刺鉄線でボロボロになったビニールのように。

など、結局考察に過ぎないが、ラストだけでもこれほどある。とても楽しい。
総じて、面白い小説と感じた。

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2026年01月16日

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無駄な装飾が無く淡々と進むのに、惹きつけられ深みのある文章だった。ある意味近代的なテーマなのに古典のような安定感がある。
また幼少期から思春期を超え、大人になるまでの登場人物の絶妙な関係性の揺らぎがものすごいバランス感覚で描かれていて、ノーベル賞作家の格の違いを感じた。

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2026年01月04日

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ネタバレ

話の中で出てくる主人公の友達に対する複雑な感情は共感できるものもあり、共感できなくても何故か懐かしい気持ちにさせられた。ハッピーエンドとは言えず、決まった運命どおりの最後を迎えることになる。最後キャシーは自分の人生をどのように振り返ったのか。後悔したのだろうか。キャシーは3人でいることの関係を強く重視していたと思う。だから自分のトミーに対する思いを封じてでも、3人でいることを選んだ。自分も含め、誰かが1人だけ除け者になることを嫌がっていた。最後のシーン。キャシーは1度だけ空想を許した。これはもっと早くトミーと一緒になりたかったという空想だったのではないだろうか。3人でいることを重視したことを後悔してしまったのだろうか、それは言い過ぎかもしれないが。

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2025年12月31日

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物語の設定、主人公たちが核心に迫る過程は勿論面白かったですが、何よりも、著者の表現力が素晴らしかったです。
情緒あふれる表現はあまり多くなく、比較的簡単で丁寧な言葉のみで語り手が思っている事、感じている事がありありと伝わってきます。また、話題にする出来事が生き生きとしています。誰しもが持つ大切な記憶を覗いているようで、ノスタルジーを感じることができました。

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2025年12月28日

「わたしを離さないで」について

ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが端正な筆致で綴る、ある女性の人生の物語。

提供者を慰める介護人の職に長くついていた女性。彼女が職を辞めるにあたり、自分のこれまでの人生、特に生まれ育ったヘールシャムで仲間と過ごした日々を回顧する。

提供者、介護人など説明なく出てくる言葉の意味が、女性の回想から次第に明らかになってくるにつれ、世界の残酷な姿が浮かび上がってくる。
この世界の真実は、SF小説のファンならばすぐに見当がついてしまうだろう。

読みどころは、むしろ小説としての巧さ、人間描写の厚みの部分だ。大きな状況に翻弄される主人公たちが、小さな人間関係にすがる姿がなんとも哀しく映るのだ。

#切ない

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2025年08月29日

購入済み

淡々とした中にあるインパクト

特殊な暮らしにおける日常の描写、心情が淡々と書かれているものの、ミステリーがちりばめられているよう不思議な小説でした。

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2022年03月18日

mac

ネタバレ 購入済み

人生の尊厳

一部ご紹介します。
・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
・すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない
・「あなた方はいい人生を送ってきました。教育も受けました。もちろん、もっとしてあげられなかったことに心残りはありますけれど」
「生徒たちを人道的で文化的な環境で育てれば、普通の人間と同じように、感受性豊かで理知的な人間に育ちうること、それを世界に示した」
「あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。追い風が吹くかに見えた時期もありましたが、それは去りました。
世の中とは、ときにそうしたものです。受け入れなければね。
人の考えや感情はあちらに行き、こちらに戻り、変わります。
あなた方は、変化する流れの中のいまに生まれたということです」
・「新しい世界が足早にやってくる。科学が発達して、効率もいい。
古い病気に新しい治療法が見つかる。すばらしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。
そこにこの少女がいた。目を固く閉じて、胸に古い世界をしっかり抱えている。
心の中では消えつつある世界だと分かっているのに、それを抱きしめて、離さないで、離さないでと懇願している」
・「俺はな、よく川の中の二人を考える。
どこかにある川で、凄く流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。
互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、最後は手を離して、別々に流される。
俺たちって、それと同じだろ?最後はな、永遠に一緒ってわけにはいかん」


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2022年09月30日

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提供者と呼ばれる人達を世話する介護人キャシーが、子供時代から現在に向かって淡々と回想を始めます。 読んでいくと奇妙な事に気がつきます。キャシー達子供は、隔離された施設で、奇妙な授業をしながら育っていきます。 本書は、一言でネタバラシできますが、早いうちに気づくと思います。感情を押し殺した文章が、本書が描く異常な世界を徐々に明らかにしていきます。文章が淡々としているのに強く惹きつけられた作品でした。

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2025年12月21日

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ネタバレ

再読。

キャシーは介護人を辞めるって言っているけど、そのあとは?
提供が始まるとも言っていないから、ルースが夢見たようにどこかオフィスで働ける未来もあるのかな?
親が事故死したりして提供の必要がなくなったら生きられるのかな?
でも他の人への提供が待っているのかなぁ。

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2026年03月01日

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面白ぇっ!!!って感じではなかったけど
暗い秘密がすぐ傍にありながら、ずっと丁寧に友達との関係性が描かれてるのが良かった。本当にちょっとした細かい描写の積み重ねが、彼らが生きた人間なんだと強く訴えてくるね…

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2026年03月01日

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淡々と残酷な真実が明らかになるような描写が上手い。
キャシー達もそれを受け入れていて、当然だと思っているのが伝わる

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2026年02月26日

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少年、少女たちの成長と心の動きが丁寧に積み重なる中、明らかになっていく事実と虚構が読み手の心をも心地よく支配していく。

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2026年02月23日

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希望も絶望もない、それは受け入れ。
介護者として働くキャシーは31歳、「この仕事は潮時だ。」と感じると同時に子供時代施設での日々を思い返す。その記憶は彼女たちには残酷な事実でした。

訳者あとがきには、この小説「ネタバレOK」と記載がありますが、やっぱり明かすには気が引けますね。
序盤に近い中盤で、彼女たちが生きる意味と謎があっけないほど唐突に明かされます。

「あなた達に夢は要りません。」
そんな彼女たちが過ごした青春時代。

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2026年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつか救いがあるかもと信じて読み進めていたので悲しくなった
もう一回読むにはかなり勇気がいると思うので、その日が来るのかはわからない

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 自分の大切な人が「提供」を必要としたときのことを考えてゾッとした。
 私たちの生はたくさんの犠牲の上に成り立っていて、その上で幸福を享受する自分の傲慢さみたいなものを自覚させられた。辛い、けど、この事実から目を背けることは許されない。向き合わなければならない

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても、苦しい。
トミーと結ばれたあとの心情があまりにも悲しい。
もっと早くこうなれていれば、という想いが常に付き纏う。提供者という運命にあるからこその苦しみ。

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

自分が生まれた意味・・・
親の顔を見たこともなければ、親は存在しないとされて育つ。
性的な雑誌の中に自分と似た人を必死に探し、「わたしを離さないで」と、赤ちゃんに見立てた毛布を抱いて揺らす。
キャシー、トミー、ルースともに言葉にはしないけれど、親、自分を無条件愛するはずの人を探している。
言葉で表現されないからか、その想いがひしひしと伝わってきて切なかった。
最後まで救われなかった。有刺鉄線の向こうの荒涼とした風景の向こうでトミーの姿が浮かんで消えた・・・

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2026年01月18日

Posted by ブクログ

登場人物たちの置かれている状況や世界観は現実に存在しない異様なものである。
その異質さによって読み手は興味をそそられるが、だんだんとその異質さが当たり前のように感じられる説得力がある語り方だった。
実際、物語が進んで彼らの置かれている状況が明確になっても、読んでいる側はそれが当たり前のように受け入れられるような作品だった。

そのような特異な状況の中で描かれるのは、登場人物たちの繊細な人間関係の描写である。
自分たちとは異なる環境で描かれる、人間関係における微妙な心の動きを描かれることで、よりリアルに感じることができた。

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2026年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章の所々にこの本の世界の残酷さが織り交ぜてあって、読み進めていくうちに世界観を理解することになる。
最終的に提供者になると分かっている環境で、逃亡する人がいないことを不思議に思った。諦めから来る義務感なのか、責任感なのか、どうなんだろう。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

お話としての面白さはそれはそうとして、読んでて印象的だったことが色々とあったので書いてみる

・読み始めた日に仕事で調べたことがあって、出てきたパソコン知恵袋みたいなページの質問者の名前が主人公の名前だった。キャシーH。これ、すさまじい偶然じゃない?しかもそれに答えてるのがAIっぽいのがまた面白すぎる。読んだことある人だったのかな?ユーザーネームとしてめっちゃセンスある。巡り巡ってこんな偶然が知らないところで生まれてるわけだし。

・1ページ目読んだ途端に、前読んだ執事のおじいさんの話の情景が浮かんできて、まぁそれは同じくカズオイシグロが書いた「日の名残り」なんだけど、
「日の名残り」とそのお話の内容が結びついてなかったから読んだこと完全に忘れてて、この本を選んだのも「日の名残りとどっちにしようかな〜ま、こっちでいいか」って買ったくらいだったのに、読んだ途端に思い出したのです。これもすごくない?文体が脳に刻み込まれてたのかな?カズオイシグロすげえってなった。

・主人公の性格というか語り口に、なんだかサークルのある後輩の子を感じた。なるほど、こういう人が主人公が長々記憶を語るタイプの小説の主人公になるのかと思った。

・小学校の頃のあの絶妙な人間関係を思い出した。仲良しグループの中のちょっとしたチクチク言葉とかいじわる、めっちゃ低俗でムカつくねんな!そんで自分だけが大人みたいな気持ちになる。その子の嫌なところ羅列できるほどあるのになんだかんだ嫌いになれないし、気づいたら何事もなかったかのようにまた遊んでるあの感じね。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中までは退屈な思い出話を聞いている感覚だったが、ヘールシャムの存在理由がわかるにつれて、自分が彼らの立場だったらどうするだろうと思い悩んでしまうような話だった。
どこか運命を受け入れつつも、愛し合おう、幸せになろうとする姿に切なくなった。失うと分かっている人を愛するのは幸せなんだろうか?

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなか残酷で悲しいお話。表紙だけ見ていると、正直こういう話だとは全く予想していなかった。

何と言えば正しいのだろう。物語が淡々と進み、淡々と悲しい事がたくさん起こる。そこに諦念や怒り、憎しみも感じづらく、年頃の子達がよくある悩みや不満をぶちまけている様子が物語の大半だ。

こういう子ども時代を過ごせることは幸運なのか、幸運とも言えるかもしれない、ただ、そもそも臓器提供をする為だけに産まれてきた子達がいる事が衝撃ではないか、その視点からみると、エミリ先生たちが行った事は、自己満足の欺瞞かもしれない。それに翻弄されたキャシー達は一体何なのか。まだ自分の中でうまく感想が言えない。

読み手によって評価も感想も180度違ってくると思う。ただ、面白い作品であることは間違いないです。一度手に取ることをオススメします。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

クララとお日さま微妙だった(ボックスとかよくわかんなくてページ進まなかった)ので文学的要素読解するのに苦手意識あったけど有名だから読んでみたくて。読みやすかった。そして意外にも関心分野だった。生命倫理とかそんな興味ないけど

結局提供で人生を終えるなら、「生徒」以外の人間と同じような感性を育むことで、より一層最後の結末の悲壮感を増すことになってしまうのに。
医学的存在として利用するなら、一貫してそのように扱った方がまだマシでは。
作品創作など、魂や心といったものに注目させる機会を通じて、人間としてしかるべき感情のあり方や感性(何かを慈しむ気持ち、自分はこれが大切だというアイデンティティの追求、愛する人とのセックスを通じたつながり)を学習させる。(学習させられなくても情動は自然発生すると思うが、提供者同士の閉鎖的な空間での生活がデフォルトだったら、感じ方もそれに合った、その中で都合が良いものに調節されるはず)
ヘールシャム出身者を羨みながら、あったかもしれない希望に想いを馳せて人生を終える提供者、提供の猶予を求めて必死で噂に縋り恋を証明しようとする提供者。結局破滅が外部から定められている短い期間に、提供という物理的役割だけでなく、人間的な感情の変動も強いられる。こっちの方がよほど残酷だと思ったけど。でも全ては作り出す側のエゴだからな。臓器提供のための便利な存在としてだけじゃなく、同じ姿形をしている同じ生物種なら、同じ心を持っていた方が安心するというエゴで作り出されたヘールシャム出身者たち。
優秀とされる遺伝子で世界が支配されていくのではないかという恐怖に怯えて、クローン人間を違う生物種として排他的に扱うのもエゴ。人間であるはずなのに自分たちと同じだという感覚を得られず生理的に湧く嫌悪感と折り合いをつけるために人権を主張するのもエゴ。
p400「こういう絵が描ける子どもたちを、どうして人間以下などと言えるでしょう…。」以上とか以下とかいう表現がしっくりこない。情動含めて存在を操作しているのは自分たちで、医学的役割に加えて精神的にも自分たちをなぞるような機能を備えようという試みをしているだけなのに、つまり舵を握っているのは自分たちなのに、その存在の新たな一面に初めて気づいたかのような演出は薄気味悪い。
p416「かわいそうな子たち」も違和感ある。マダム1人でこの世界を生み出したわけではないから、彼女を一概には責められないけど、人間が都合よく作り出したものに犠牲が生じるのは当たり前だし織り込み済みだと思うのに、悲しいとか可哀想とかいう感情すらちゃんと享受するのかというね。
エミリ先生による活動の前は、クローン人間たちの精神はどう発達したのか気になる。
人は運命という外力で人生の終末を操作されていると考えたら、クローン人間もその他の人間もそんな変わりはない気がしてくるのだけど、その外力が同じ生物種によって決められているというのが気味悪さや嫌悪感が生じる要因だろうな
エミリ先生派閥も対立派閥もどちらも正しいとかはなくて、どちらの考えの方が都合がよく、納得がいくかという、各人の嗜好の違いに感じる。
p407キャシーの発言「追い風か、逆風か。先生にはそれだけなことかもしれません。でも、そこに生まれたわたしたちには人生の全部です。」に胸が痛む私はエミリ先生の試みには反射的に反感を持ってしまう。ルーシー先生みたいに、全て現実を知らせた上で役割を全うさせようとする態度も、告知された側はそれを受け入れるしかなくて、先生が絶望とともに一緒に生きてくれるわけでもないのに、とんでもない暴力だと感じるが。
時代が変わればまたもっともらしい理由が生まれてそれが倫理的だの何だのと大層な判を押される。知的遊戯でしかないな、だがその過渡期に生まれた、古い世界にnever let me goと懇願する姿がもの悲しさを誘うのも事実で。

クローン人間としての自分達が何から生まれたのか、親やポシブルに敏感に反応する様子が途中描かれていた。
親が実際にどうであるかという真実より、真実のようなものに触れたときにそれによる印象や生じた感情で自分というものの説明が書き変わるから、
自分の存在を生んだ大元のdnaや現実というより、その情報を自分の中でどう解釈するか、の方が自己の形成に大きく関与している気がする。

何かに決定的に気づく前の潜在意識下での違和を掬い上げる感覚を表すのが上手い
対話も個人的な思考も言葉になる以前のものが大半を占めているんじゃないかと思わされた。ベールを剥いで目に見える形で明らかにする前にも確実に存在していたもの、それが水面下で自分も含めて人をコントロールしている。トミーの癇癪もそうだったよね、という考え方はおもしろい。

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2026年02月25日

購入済み

話題作

ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
初めてですが読んで見ることにしました
最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います

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2017年10月16日

Posted by ブクログ

何かおかしい、なにかを隠されてる…と疑問だったけど、それが明かされても、特に反発もなく受け入れる。なんの隔たりもないような、向こう側の世界には、どうしても行けない。生まれながらに違う世界だから。自分の運命を、自分に課された役割を、目の前のことをこなすだけ。
不思議な話だったけど、実際に生まれた環境や時代で、搾取される側の人は確実にいる。低賃金で死ぬまで働かされたり。でも、私達はそこは見て見ぬふり。人格や感情や鮮やかな人生があることを、知らない。その方が私たちの精神衛生上いいから。…そんなアイロニーかな。
繊細な生き生きとした感情描写を読めば読むほど、なんか憐憫や哀れみが浮かんでくるのは、後ろめたさからか。
途中、細かい関係性の説明ややり取りに間延び感があり、丁寧なんだけど若干読みにくかった。

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2026年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔観たドラマがすごく印象的で、当時から原作を読んでみたいなと思っていた作品。

「提供者」として生み出されたクローンのお話。
ヘールシャムは環境が整った人道的な施設だったかもしれないけど、行き着く先(提供者となる未来)が変わらないのなら「人間らしい感性」なんか育たないほうが幸せなんじゃないかと考えさせられる。
ただ、作風なのかあえてなのかは分からないけど、登場人物の感情(死への不安や恐怖、愛する悲しみ等々)がほぼ描かれないから、終始淡々としていてちょっとつまらなく感じてしまった。

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2026年02月20日

Posted by ブクログ

生命倫理・科学的な話と言うよりも、私たち誰もが感じる「もう二度と戻れない過去、思い出への回帰」が主題であると感じる。ラストのキャシーによるヘールシャムを探そうとは思わない、あの頃の思い出はあの頃のまま保存されているべきだ。といった語りが印象的であった。

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2026年01月13日

Posted by ブクログ

自分達のオリジナルのための人生。この世界の真実の方が私個人としては気になるが、その点に重きは置かれず青少年期からの人間関係がメインの小説でありました。あまり好きなタイプの小説ではありませんでしたが、まあまあ面白かったです。

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

イシグロの作品って、今にも駆け出しそうなのにずっと腕を掴まれてるような感覚に陥る。細部をしっかり見せて静かなフィナーレを迎える、そんな感じ。この本もそうだった。青空が広がっているはずの描写でさえも少し灰色がかっていて常に唯ならぬ空気を纏ってる。

ディストピアとは思わず読んだので心の準備ができておらず...。人生を全うするのが最善と言われているけど、彼らもそうなんだろうか?介護し提供するだけ人生が最善?...そんなのあまりに悲しすぎる。

私にとって死は常に意識しているわけではないから、突如その場面に出くわすと恐怖を覚える。なら彼らは?意識せずとも隣にある死と向き合いながら前向きに生きることはできるんだろうか。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

終始女性の一人称で進む物語。土の中でじっとし続け、最後の一章で飛び立つような展開でした。
境遇がわからないまま、大きくなっても子どものままのような主人公達。荒れた感情に悲しさや怖さ、色々重ねたら丸になったような独特な感覚を覚える本でした。ひどい話なのになんだか爽やかさも感じるのは、淡々としているからでしょうか。

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2026年01月24日

購入済み

淡々としたノスタルジー

高評価のレビューがいっぱいの中、すいません。
ノーベル文学賞を取ったというニュースで初めて知り、読んでみました。
期待が大きすぎたのか若干がっかりしました。

何の予備知識もなく、提供、3-4度目の提供で使命を終える、とのことから主人公たちがどういう子供たちなのか検討はつきました。
不思議だった施設での授業や保護官とのやりとりが後に明らかにされますが意外性や驚きがなく終わってしまいました。

こういう目的のために生まれてきた子供たちの話は日本の漫画でかなり昔にも読んでいたので、その時の衝撃が大きかったのと、内容もはるかに壮大(漫画的)だったからかもしれません。
ちなみに清水玲子の『輝夜姫』(1993)という作品になります。

ところで主人公キャシーはこの物語を誰に向かって話しているのでしょう?私たち読者?翻訳だからなのか、それは違うような感じがしながらずっと読み進んでいました。

一度読んだだけの感想としては、意外性がなくがっかり、というところですが、再読の際にはいろいろ想像力を働かせて読んでみるといいかもしれません。
語り手キャシーの一方的な思い出話は、もしかしたらトミー側、ルース側では全く違う受け取り方が出来るかもしれません。

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2017年11月20日

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