【感想・ネタバレ】わたしを離さないで Never Let Me Goのレビュー

あらすじ

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸

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Posted by ブクログ

ネタバレ

希望が砕け散り、真実が明らかになっても絶望せず、平穏な日々を送り続けるトミーとキャシー。

割と中盤で彼らはクローン人間で、臓器提供の為に作られたと明かされる。が、臓器提供の為に死ぬっておかしくね?ってなるはずなのにそのまま物語が進んでいくのが少し怖いまであった。

君たちはどれだけ恵まれた人間かを説くエミリが印象に残る。諦念を避けるために全てを教えないという意見は筋が通っているが冷酷で、むしろそっちの方がルーシー先生の意見よりも理論的ではと思った。

仲間の死を見届ける役割までもクローンにやらせるという自己完結性は彼らの制限された世界を象徴していると思う。(オリジナルによる良心の呵責や罪悪感を無視できるシステム)

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2026年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キャシー、ルース、トミーの微妙な距離感は何なんだろう。ただの三角関係だろうか。トミーからキャシーまたはルースにアプローチする場面は印象に残っていない。であれば、トミーの魅力はどこにあったのだろう。目立つ子供ではあったが癇癪持ちで扱いにくく、ヘールシャムの生徒同士で尊敬を受けるバロメータである「どれだけいい作品を作れるか」という点ではからきしである。しかし、キャシーもルースも他の男性とも関係を持ちながら、最終的に大事に思っていたのはトミー。この点に限らず、本作は色々な問いを立てることができるように思う。

読書中の予想として「作品」は何かの犠牲者である生徒それぞれの記念品ではないかと考えていたが、「生徒たちに魂が、心があることが、そこに見えると思ったから」という旨の理由には踏み込んだものを感じ、圧倒された。

逆にルーシー先生が「努力してもできないなら、生み出さなくてもいい」という旨の発言をし、それがトミーを変えたのも面白い。作品を作らせるのはエミリ先生の活動のためでもあり、それによって図工が苦手なトミーは苦しんでいた。生徒たちを保護するべきなのか、それとも一般人と同様に扱うべきなのか、各人の葛藤が読み取れる。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前情報が「信用できない語り手」しか無く、この言葉を理解できていなかったため、変に期待して読み進めてしまったためあっさりとした読後感になった。

この本は、というかカズオイシグロというかキャシーは(トミー〜ヘームシャル含め)記憶をテーマにしていて、p426に一度だけ「これをお読みの方も」と出てくる。これは、私が途中から感じていたこの回想は誰に向けての語りだろうというものの終着点であると感じた。つまりキャシーに、ヘームシャルのことを、読者である私たちが教えてもらう体験型小説のような感覚のため、没入して読めたのかもしれない。

回想形式で進められて行くためたった1人の語り手であることに気付いてからその文章の一行一行の大切さ、含まれていることの多さに気付いた時、この小説を面白いと思えた。

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1、遠くに体育館〜 →絶対ヘールシャム(ヘールシャムはもう失ったらしいので違う)
2、地平線にポプラ並木〜 →〜の道にに違いない(これも違う)
1、2からの、スザンナ・C発見なので、これも勘違いだろう
綺麗な三段階
つまり、もうキャシー自身が、”存在して欲しい記憶”へと変えてしまっていることから、「信用できない語り手」であるといえる。

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ーとくに下側の有刺鉄線にー
キャシーは、ゴミとトミーを捨てられた存在(もう、世に必要のない存在)として重ねてしまい空想を禁じたのか
なぜ”とくに有刺鉄線に”を書きたかったのか
→トミーは(同ページゴミの表現”遠い水平線からやってくるように”)子供の時からずっと考えていた最後の希望(提供延期)を、真実を知ることにより破り捨てられた(大人になり始めての癇癪のシーンより) 。それは有刺鉄線でボロボロになったビニールのように。

など、結局考察に過ぎないが、ラストだけでもこれほどある。とても楽しい。
総じて、面白い小説と感じた。

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2026年01月05日

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ネタバレ

話の中で出てくる主人公の友達に対する複雑な感情は共感できるものもあり、共感できなくても何故か懐かしい気持ちにさせられた。ハッピーエンドとは言えず、決まった運命どおりの最後を迎えることになる。最後キャシーは自分の人生をどのように振り返ったのか。後悔したのだろうか。キャシーは3人でいることの関係を強く重視していたと思う。だから自分のトミーに対する思いを封じてでも、3人でいることを選んだ。自分も含め、誰かが1人だけ除け者になることを嫌がっていた。最後のシーン。キャシーは1度だけ空想を許した。これはもっと早くトミーと一緒になりたかったという空想だったのではないだろうか。3人でいることを重視したことを後悔してしまったのだろうか、それは言い過ぎかもしれないが。

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2025年12月31日

mac

ネタバレ 購入済み

人生の尊厳

一部ご紹介します。
・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
・すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない
・「あなた方はいい人生を送ってきました。教育も受けました。もちろん、もっとしてあげられなかったことに心残りはありますけれど」
「生徒たちを人道的で文化的な環境で育てれば、普通の人間と同じように、感受性豊かで理知的な人間に育ちうること、それを世界に示した」
「あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。追い風が吹くかに見えた時期もありましたが、それは去りました。
世の中とは、ときにそうしたものです。受け入れなければね。
人の考えや感情はあちらに行き、こちらに戻り、変わります。
あなた方は、変化する流れの中のいまに生まれたということです」
・「新しい世界が足早にやってくる。科学が発達して、効率もいい。
古い病気に新しい治療法が見つかる。すばらしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。
そこにこの少女がいた。目を固く閉じて、胸に古い世界をしっかり抱えている。
心の中では消えつつある世界だと分かっているのに、それを抱きしめて、離さないで、離さないでと懇願している」
・「俺はな、よく川の中の二人を考える。
どこかにある川で、凄く流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。
互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、最後は手を離して、別々に流される。
俺たちって、それと同じだろ?最後はな、永遠に一緒ってわけにはいかん」


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2022年09月30日

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ネタバレ

いつか救いがあるかもと信じて読み進めていたので悲しくなった
もう一回読むにはかなり勇気がいると思うので、その日が来るのかはわからない

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2026年02月01日

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ネタバレ

 自分の大切な人が「提供」を必要としたときのことを考えてゾッとした。
 私たちの生はたくさんの犠牲の上に成り立っていて、その上で幸福を享受する自分の傲慢さみたいなものを自覚させられた。辛い、けど、この事実から目を背けることは許されない。向き合わなければならない

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2026年01月26日

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ネタバレ

とても、苦しい。
トミーと結ばれたあとの心情があまりにも悲しい。
もっと早くこうなれていれば、という想いが常に付き纏う。提供者という運命にあるからこその苦しみ。

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2026年01月25日

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ネタバレ

文章の所々にこの本の世界の残酷さが織り交ぜてあって、読み進めていくうちに世界観を理解することになる。
最終的に提供者になると分かっている環境で、逃亡する人がいないことを不思議に思った。諦めから来る義務感なのか、責任感なのか、どうなんだろう。

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2026年01月04日

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ネタバレ

途中までは退屈な思い出話を聞いている感覚だったが、ヘールシャムの存在理由がわかるにつれて、自分が彼らの立場だったらどうするだろうと思い悩んでしまうような話だった。
どこか運命を受け入れつつも、愛し合おう、幸せになろうとする姿に切なくなった。失うと分かっている人を愛するのは幸せなんだろうか?

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2025年12月18日

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ネタバレ

なかなか残酷で悲しいお話。表紙だけ見ていると、正直こういう話だとは全く予想していなかった。

何と言えば正しいのだろう。物語が淡々と進み、淡々と悲しい事がたくさん起こる。そこに諦念や怒り、憎しみも感じづらく、年頃の子達がよくある悩みや不満をぶちまけている様子が物語の大半だ。

こういう子ども時代を過ごせることは幸運なのか、幸運とも言えるかもしれない、ただ、そもそも臓器提供をする為だけに産まれてきた子達がいる事が衝撃ではないか、その視点からみると、エミリ先生たちが行った事は、自己満足の欺瞞かもしれない。それに翻弄されたキャシー達は一体何なのか。まだ自分の中でうまく感想が言えない。

読み手によって評価も感想も180度違ってくると思う。ただ、面白い作品であることは間違いないです。一度手に取ることをオススメします。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何喰ったらこんな残酷な話を思い付くのか?と言うほどに救いのない話だった。

教育を経ているとは言え、非人道的な使命を当たり前のように受け入れて疑問にも思わず反抗も逃げ出しもしないのを見るに、悲しいかな結局彼らは制御された家畜でしかないと言うことなんだろうな。作品内で"魂"について追求しつつもそれすらもコントロールされた心底悲しい存在でしかない。本当に残酷。

作品全体がキャスの回顧録と言う体裁も疑うべきもので、通常の人間と彼らが感じる外界からの刺激や情報の感じ取り方も実はまったく違うものなんじゃないかな。キャスの目から見た世界は存外優しく穏やかなものだけど、先生やマダムの働きかけやヘールシャム以外の施設の話を通して想像するに現実の彼らの扱いは決してそんなに優しいものではないんだと思う。
いわゆる"信頼できない語り手"そのもので、この作品自体がそうしたコントロールされた目線、何ならこの回顧録自体がコントロールされたものと言う作りになっていることがさらにこの世界の残酷さを際立たせている。

ほんと何も救いがなく、やるせなさや切なさすらも上書きする暗くて寒さのある作品だった。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は翻訳感が強い文章で、背景もイマイチ読めないまま外れかな、なんて感じで始まるものの、途中でだんだん引っかかるものが出てきて、その違和感がだんだん形になっていく中で一気に読んでしまった。
ある種ディストピア的でミステリ的で、最後も別に明確に終わりがあるわけではない、という点で個人的には消化不良感がある。

最終的には提供者として死んでいく。その中で幻かもしれないが人生の素晴らしさ、それは主に創作とこの小説の中ではされてると思うけど、それを味わえたことをよしとしているのか、いや残酷だというところなのか、そこの判断はある種委ねてるのかなとは思う。

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2025年11月29日

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