【感想・ネタバレ】わたしを離さないで Never Let Me Goのレビュー

あらすじ

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸

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Posted by ブクログ

ネタバレ

終始静謐な世界観の文章。
薄曇りの空の下で浅く酩酊するように物語に没頭した。
読後にはヘールシャムが思い出のように心の中に浮かび上がり、鋭くて重い痛みが残った。
何度も読み返したいような、それも怖いような気持ちになる。
訳も素晴らしかった。
予備知識をあまり入れないで読んだほうが良い本だと思うのでネタバレにチェックをしておく。

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2026年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ページをめくる手が止まらなかった。

介護士として提供者の世話をするキャシーが、ヘールシャムで過ごした青春時代を回想するところから始まる。最初はどこにでもあるような学校生活に見えるのに、保護官との微妙な距離感や、子どもたちに何かを隠しているような雰囲気に、少しずつ違和感を覚えていく。

その違和感の正体が明らかになったとき、それまでの何気ない日常の風景がまったく違って見えた。自分の人生を選ぶこと、誰かを愛すること、生きることについて、静かに考えさせられる作品だった。

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2026年09月05日

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ネタバレ

臓器提供のために生まれたクローン人間の主人公が過去に過ごした施設での出来事や、同じ境遇の友人達との思い出を振り返っていくストーリー。

はじめは謎が多かったが、少しずつ真実が明らかになっていき、しかもその謎が割とサラッと明かされる。一瞬理解が追いつかず、一拍おいてから驚きが来るのが面白い感覚だった。

メインの登場人物(キャシー、ルース、トミー)についても単なる仲良し3人組ではなく、嫉妬や憐れみなど負の感情を何度もぶつけ合っていたので、途中読むのがしんどくなる時があった。でも彼らの置かれた立場や状況を鑑みるとそういった行動になってしまうのは仕方がないと感じた。自分が同じ境遇だったらきっと彼らのようには受け入れることは出来ないと思う。

キャシーとトミーが雑貨屋でレコードを一緒に探す際に、先に見つけたキャシーがトミーとの楽しい時間を終わらせないため、見なかったふりをしようかと迷ったシーンがクローン人間なのにとても人間臭くて印象に残った。

こんなにも人間らしい感情を持ち合わせている彼らがクローンだとしたら、人間を人間たらしめるものって一体何なのだろう?

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2026年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヘールシャム出身でない提供者は、キャシーがそこの出身と聞くと、その話を聞きたがるという。
それは提供者が自身の記憶として、ヘールシャムを思い出すことができるかもしれないから。
それ以外の提供者にはつらい記憶しかないから…。
キャシーは介護人としての12年間、多くの提供者に話して聞かせてきたのでしょう。
ヘールシャムは幸福な時代だったのかもしれません。
介護人を終えたキャシーは提供者としての運命をたどるはず。
キャシーはヘールシャムの記憶を持つ最後の提供者となるのでしょうね。
そして、その後も提供者たちは生まれ続ける…。
残酷な世界を淡々と語るこの小説を読み終え、何とも言えない感覚になりました。

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2026年08月09日

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ネタバレ

chatGPTと話してると、よくオススメされるのと、SF好きなので一度は読んでみたかった本作。
展開が遅いのと、徐々に徐々に設定が明らかにされていく構成で、あと一歩で積読になりそうだったんですが、奥歯にものが挟まったかのような書き方が逆に、これどうやって風呂敷畳むの?作者はこの作品で何を描きたいの?という疑問を増幅させ、無理やり60%くらい読み進めたところ、やっと没入できてそこからラストまでは速かったです。
で、読後感が異常なほど切ないのと、結局作者が何を描きたかったのかはバシッとわかりませんでした。
ただ、ヘールシャム〜介護人になるまでが、リアル人生でいうところの学生〜社会人 介護人〜提供者になるまでが社会人〜老後の特に終盤あたり になんとなく思えて(期間が全く違いますが)考えさせられました。
私たちも終わりが決まってるという意味では同じ。また、主人公が1人、また1人とかつての学友を見送る姿と老後の(想像ですが)自分が重なって見えてきます。
30代半ばを過ぎた今では人生の重要な分岐点が一通り終わり、キャシーが介護人として提供者を見送りながら自分の終わりにも近づいていく時間の流れと、どこか重なるものを感じました。
再読すると、もっと理解を深められそうですが、思ったよりヘビーな作品だったので当面の間はできなさそうです。

(追記)
余韻がすごくてずっと考え続けた結果、これはクローン人間という設定を使った、人生のメタファーでは?という結論に至りました。人生という大きなテーマに触れたことで、今抱えている問題への執着が少し薄れました。
でも、話自体のスケールが大きいわけじゃなくて、なんなら主人公の半径数メートル以内の話で終わる、なのに頭の中にずーっと残ってジワジワと考えさせる感じ、さすがノーベル賞受賞作家・・
「日の名残り」も気になりますが、連チャンは重そうなので何冊か挟んでからにする予定です。

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2026年07月20日

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ネタバレ

個人的にはトミーに共感することが多く、深く感情移入した。感情の爆発を抱えながらも不器用にしか生きられない彼が、どこか他人事に思えなかった。

トミーが介護人を変えてから亡くなるまでの日々が、穏やかであったらいいなと願う。キャシーのことを、静かに思い出しながら逝ったのだろうと思う。

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2026年07月05日

mac

ネタバレ 購入済み

人生の尊厳

一部ご紹介します。
・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
・すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない
・「あなた方はいい人生を送ってきました。教育も受けました。もちろん、もっとしてあげられなかったことに心残りはありますけれど」
「生徒たちを人道的で文化的な環境で育てれば、普通の人間と同じように、感受性豊かで理知的な人間に育ちうること、それを世界に示した」
「あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。追い風が吹くかに見えた時期もありましたが、それは去りました。
世の中とは、ときにそうしたものです。受け入れなければね。
人の考えや感情はあちらに行き、こちらに戻り、変わります。
あなた方は、変化する流れの中のいまに生まれたということです」
・「新しい世界が足早にやってくる。科学が発達して、効率もいい。
古い病気に新しい治療法が見つかる。すばらしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。
そこにこの少女がいた。目を固く閉じて、胸に古い世界をしっかり抱えている。
心の中では消えつつある世界だと分かっているのに、それを抱きしめて、離さないで、離さないでと懇願している」
・「俺はな、よく川の中の二人を考える。
どこかにある川で、凄く流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。
互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、最後は手を離して、別々に流される。
俺たちって、それと同じだろ?最後はな、永遠に一緒ってわけにはいかん」


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2022年09月30日

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ネタバレ

面白いよりすごいなって作品

印象に残ってるのは、最後にエミリ先生とキャシーが話すシーン。人間はどんなに正義を掲げても理念があっても、良いことをしているつもりでも1つの立場をとって発言したり行動すると、一気にエゴになるんじゃないかと思わされました。あの人たちは確かに善人で、ヘールシャムの生徒に一種の幸せを与えたと実感している。でも、求めてるのはそれじゃない。人の勝手な善意に振り回されるキャシー達を見て、絶望と虚無感と、終わりを迎えることに変わらない彼女達にとってあの人達の善意は何の意味もないと思わされるのがすごい作品だなと。

それでも思い出のヘールシャムと仲間は確かに存在はしているのに。

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2026年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても辛い内容でした。
ふんわりとわかるようでわからず色々想像しながら読み、最後の最後で全てが繋がる構成が、主人公達と同じ体験をしているような演出でしょうか。
読むたびに感想が変わり、新たな発見もありそうです。もう一度読みたくなりますが、心が持たないのでいつか機会があれば。
日の名残りがとても面白かったので、著者の他の作品も読もうと思います。

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2026年08月29日

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ネタバレ

臓器提供のためのクローンたちの物語という、色々な展開をさせられそうな突飛な設定でありながら、終始抑制のきいた文章で「人生の中で選ばなかった(選べなかった)選択肢」を見つめる主人公の胸の内を描いているのが唯一無二だと感じた。

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2026年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説に「細部まで抑制が効いた」とあるけど、本当にそんな感じ

序盤のまだ何もわからない状態での一歩進んだと思ったらまた振り返ってみたいな文章が中々きつかったのですが、施設はなんなのか、そもそも彼等はなんなのかがわかってからはスラスラ読み進められた。

読み終わってみたは彼等はしっかり「人間的」であったと思うし、ヘールシャムは「特別」だったと思う。

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2026年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔に映画を見た作品。

ようやくいまになってというのが悲しいと言うトミーの気持ちが、とてもつらい。嬉しいのに、悲しい。

自分たちが提供者として育つことに何の疑問も持たない、当たり前となっている。受け入れている。誰も取り乱さない。
クローンの性格はポシブルを反映しているのか。
キャシーがこのまま提供者になることなく、寿命を全うするとしたらどうなるのだろう。そういった人はこれまでにいたのだろうか。

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2026年08月01日

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ネタバレ

約ネバ


どんな本か忘れないためだけに書いた感想です。読まなくて大丈夫です。


提供されることが普通であると、内臓が悪くなったら“提供者”の内臓をもらえると当たり前に思えてしまう世界怖すぎる。

マダムや先生たちは、提供者たちが家畜ではなく価値のある人であることを世界に伝えるために、絵を描かせていたのね。

技術が進歩し始めた時くらい、内臓移植ができるようになったくらいの時代に、人間という、提供者という家畜のようなものが生まれなくて(日本だから知らないだけかもしれないけど)よかったと思う。
もし戦争中だったら、相手国の捕虜とかとっ捕まえて提供者にしてそうだな。

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2026年07月05日

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