土屋政雄のレビュー一覧
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ネタバレ読書会の課題本で読みました。読むのに時間がかかって、主人公は砂漠に落ちて大火傷追ってベドウィンに助けてもらった後にイタリアの廃墟の病院で花と言う看護師と2人で療養しているところ、そこにカラバッジョ、インドのシーク教徒の名前なんだったっけ?爆弾処理が仕事。それぞれが戦争の傷を抱えつつも、戦争の空白地点みたいなところで、日々を過ごすところ、日本に原爆が落ちたり、そのことに憤ったインドの青年はその場を去るんだけど、その時の人々は原爆のことを知らないんだろうけど、もう知っている前提で書かれている。最後まで読み終わったら、詩人の書いた美しい物語だなと思えた。とにかく読みにくい。映画は評判は本を読んだ人に
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『ねじの回転』とは、うまいタイトルをつけたものです。ただ、終わり方が”ねじった”まま終わってしまうので、読者としては、まるでネジ舐めした状態で放置されてしまったかのよう。ただ、natsuさんがおもしろかったと書いていたとおり、先が気になって読んでしまう面白さで、とても楽しめました。
あらすじ:
物語は、あるクリスマス・イヴの夜、暖炉の前に集った男女が語り合う怪談話の最中でのこと。一人の男が不気味な出来事を綴ったある女性の手記を読み聞かせるところから始まります。その手記の筆者の女性は、かつて田舎の古い屋敷で、二人の子どもの家庭教師をしていました。彼女は働く条件として、雇い主である子どもたちの伯 -
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カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した際のスピーチ。彼の真面目で優しい性格がよくわかるが、内に秘める情熱も見え隠れする。
よく知られている通り、彼は5歳まで日本で暮らした後、日本人の両親と渡英し移民した。その後大人になるまで日本に行くことはなかったが、彼の心の中には常に(想像による)日本があったという。その「記憶」をとどめようと書いた小説が評価された。
日本への憧憬を持ちつつもイギリスをいかに愛しているかが綴られている。また、小説と全く関係のないことから、ハッとするアイデアが浮かび、それが自分のスタイルを決定的に変えたことも書いてあった。
彼の小説は胸がじんわりと痛むものも多いが好きだ。 -
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小学生から大人まで、幅広い世代が読みやすく、かつ色々なことを考えさせてくれる素敵な小説だと思った。
話し手がクララという人工知能搭載ロボットのため、目や耳で感じる感覚が私たち人間とは異なり、クララが目にしているものや耳にしているものを文章から読み取り自分の頭に映し出した上で、それは人間の世界のどういう事物や状況なのかを自分で解釈し直す必要がある場面が多く、新しい体験だった。
クララは終始一貫、賢くて思慮深くて優しくて、主人のジョジーとその周囲の人達の幸せを第一に考えて行動する「最高のAF」だった。
そのため、ジョジーは「孤独の意味すら知らず」、クララがどれほど自分を犠牲にしてジョジーの -
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原著2021年刊。ノーベル文学賞受賞後の第1作とのこと。
昔からハヤカワ文庫のコーナーの一角に並んでいて名前は知っていたカズオ・イシグロさんだが、全然読んでおらず、これが2冊目だ。
実を言うと前に読んだときも感じたことだが、私はこの方の小説はあまり好きではないかもしれない。まったりとした時間の進み具合で、そのあいだずっと、何かヒューマンな、生温かいような空気が漂い続ける。別に悪いことではないはずだが、なんとなく気持ちが悪く感じてしまうのだ。
そして、物語の設定がなかなか明らかにされないまま時間だけが過ぎてゆくので、非常にもどかしいものを感じてしまう。
本作もそんなふうなもどかしさがず -
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全体的な曇り空がずっと続いているようなノスタルジックな雰囲気を纏っている短編集。本作はクスっと笑えるシーンも多くて、新鮮な気持ちになった。
個人的には「降っても晴れても」がお気に入り。
まず主人公があまりに不憫すぎる。やる事なす事想像の上をいってて面白かった。それと対比するように、出てくるジャズの選曲がどれも本当に最高で。この話を読んでジャズにハマった。ぜひサラ・ボーンの“April in Paris”を聴きながら読んでギャップを楽しんでほしい。
それにしても土屋さんの訳は何度読んでも素敵だなぁ。一節読むだけでカズオ・イシグロの世界にどっぷり浸かれる。さらに読みやすい。次作も期待したい! -
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イシグロ氏短編集、肩から力を抜いているようで見事にペーソスの情景を描いている。
「音楽と夕暮れを巡る・・」まさにまさに!
夕暮れとは当然、字kン的それではなく、人生の黄昏。
人生の、恋愛のそれ。。。
上り詰めていた時間では見えなかった、感じなかった、臭わなかったであろう機微が、ぼんやりと姿を現してくると、思いがけず、加速度的に、危機をはらんでいく刹那。
ブラックユーモアセンス一流のペンにかかると、時にはコメディーがかったり、不条理に走ったり。。
ふと最近読み続けているオースターと重なる感覚に陥った。
「降っても晴れても」が好み
親友夫婦の間に生じている不協和音に遭遇したダメダメ僕の想いや -
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カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。
作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。
整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。
そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに不安やプレッシャーを感じているということ。
「インタビュー症候群」と命名されていたけど、新作を書いて最長2年をかけて世界各国をまわり、膨大なインタビューを受ける。そのときに、翻訳された言葉について不安を感じる場面があったのだろうか。
それにしても1、2年もかけて世界中をプロモーションするなんてすごすぎる。村上春樹さんは -
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ネタバレ『存在のすべてを』の登場人物が読んでいた本というのでどんな本か読んでみた。『存在の~』はいまいちだったけど、この本は最高だった!
空想上(ゴーギャンがモチーフになってるとかなってないとか?)の芸術家を追って一人の作家がまとめた物語という設定なんだけど、ただただ原田マハさんのようにきれいに積み重ねられた物語だけでなく、モームの哲学を楽しむことができた。いつものことながら文章表現も豊かで巧みであるので行間もなく延々と文字が連ねられていても全く負担にならず面白いようにページが進んでしまう。
このタイトルも意味深で、ついついwikiでその意味まで調べてしまうと、ああ、なるほど深いわぁってなる。ストリッ