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ジャネル・モネイやN・K・ジェミシンらが崇拝するブラックフェミニズムの伝説的SF作家による、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた表題作を含む唯一の作品集。
知っているでしょう? 人類は、私たちの卵を宿すことで、生き延びたの――
強大な力と知性を持つ節足動物「トリク」が支配する地で、トリクの保護を受けて暮らす人間たち。人間は、トリクの卵を男性の体内に宿し、育て上げるという役割を担っていた。
ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた究極の「男性妊娠小説」である「血を分けた子ども」。
言語を失い、文明が荒廃し人々が憎しみ合う世界の愛を描き、ヒューゴー賞を受賞した「話す音」。
ある日突然神が現れ、人類を救うという務めを任された女性をめぐる、著者の集大成的短篇「マーサ記」。
7つの小説と2つのエッセイを収録する、著者唯一の作品集が待望の邦訳。
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Posted by ブクログ
全体としてとても面白かったけど、どれかピックアップして読むなら『血を分けた子ども』と『恩赦』がスリリング。
以下はいくつか作品のまとめと感想。
●血を分けた子ども
テラン(人間?)が、トリクというでっかい虫みたいな生き物に、奴隷的に囲われながら暮らしいている世界の話。過去は一方的な支配だったらしいが、今は共存の道を探る一派がトリクの政権で力を持ってるらしい。とはいえ、トリクはテランの体に卵を産みつけて幼虫を孵化させないと繁殖できず、そのためにテランの体が解剖同然の大きな傷を負うことは避けられない。テランの少年がその事実を目の当たりにし、大好きなトリクの子を自分の身に宿してあげるかどうか悩む、なんとも官能的な話。好き。
●夕方と、朝と、夜と
癌の特効薬の副作用により、癌よりも酷い遺伝性の病、デュリエ=ゴード症がうまれる。2世たちの病との向き合い方について。この病気の暴力的な症状、遺伝の仕組み、発症のルール、患者に共通する特性、その中でも特別な患者の存在、発症を抑える意外な発見。それらのアイデアがどれも魅力的だし、その事実に直面する若い患者二人の葛藤の描かれ方もとてもよい。
●話す音
脳の言語野周辺を損傷するとみられる病のパンデミックにより、世界は北斗の拳状態。言葉を失い、理性レベルが下がり暴力的な人々で溢れ、殺人も日常茶飯の中、程度の軽いもの同士が出会い、ささやかな幸せを願おうとするが、それも一瞬で壊されてしまう。そんな中、病の影響を受けていない子どもたちに出会い、希望を見出す。
作者にとって、希望とは言葉そのものなんだな、と沁み入る。
●二つのエッセイ
何かに向かって頑張ってる人、特に今うまくいかなくて悩んでる人は読んだらとても元気が出ると思うし、頑張ろう!って活力がわくとおもう。そういう意味でとてもよいエッセイ。
「閃き」など忘れること。習慣のほうが当てになる。閃きがあろうとなかろうと、習慣は自分を支えてくれる。--『書くという激情』
●恩赦
地球に植民してきた異生物と共存していくに至る過程をある定点から見る話。
異生物の見た目の設定がいいし、地球に降りたってから人間を知るためにやって来たこともとても納得感があっておもしろい。それに対する人間の対応の残忍さ、愚かさの描かれ方も辛いけど、物語を重層的にしてる。
主人公はこころざしの高いすごい人物のように読めてしまうんだけど、最後にどんでん返しが待っていて、その落とされ方、絶望感というか、それもとてもよい(?)です。
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以下は、この作家のテーマを表現していると思えた部分を二つ引用。
私は貧しい黒人で、しかも女性で、私を産んだときの母は十四歳でろくに本も読めなかった。子ども時代の半分は自分の家もなかった。あなたの目には、それで底辺に見えるのかしら?--『マーサ記』
不正を働いたという証拠もないまま、人は職も自由も剥奪され、名声を踏みにじられるということに、私がまだショックを受けることができたころの出来事だ。--『恩赦』あとがき
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