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小説「安楽死特区」
死にたい、と願うのはエゴですか? 生きていて、と望むのは愛ですか? ~死と向き合っている医師だから書けた、現代人のエゴイズム、そして愛と情~ このごろ、「早く日本でも安楽死を認めてほしい」という人が増えた。 その先にどんな未来が待ち受けているのか、書きたかった。(著者) あらすじ:2024年、オリンピックで疲弊した東京はすっかり元気を失っていた。 人気女流作家の名をほしいままにしていた澤井真子はアルツハイマー型認知症と診断をされ、 小説が書けなくなる前に死にたいとある決断をする。一方、補助人工心臓手術の名医として 名を上げた尾形紘は、緊急搬送された大手自動車メーカー会長の手術執刀を拒否し、心臓移植 待機中の少女の手術に向かったため、大学病院内外から批判の矢を浴びる。失意の中、医師を 辞める決意をした彼に下されたミッション。それは、安楽死特区の主治医となり自殺幇助に 加担せよ、という受け入れがたいものであった。さらに、かつての東京都知事、池端貴子は 日本初の孤独担当大臣に国から任命されると、末期がんであることを明かし、 「私が、安楽死特区の第一号として死にます」と記者会見を行う… 女と男、それぞれの「死にたい」物語が交差したとき、前代未聞の事件は起きた。 -
おにぎり処のごちそう三角
愛する妻に先立たれ、二人の思い出が詰まった店を畳んだ元料理人の秋宗。 傷心を癒やそうと料理から離れ、見知らぬ土地で一人暮らしを始めることに。 だけど、引っ越し先の御石荘に「おにぎり処 バーベナ」という看板が……。 最近になって経営者が年若い女性に変わったらしく、歪なおにぎりが並ぶこの店は潰れかけていて――? ひと口頬張れば笑顔になれる、三角の形に結ばれた幸せの物語――はらぺこの心でお召し上がりください。 -
官邸襲撃
その日、首相官邸は戦場と化した! 日本初の女性首相とアメリカ国務長官が首相官邸で会談中に、テロ集団が官邸を占拠。首相と国務長官が人質となる。女性で初めて首相付きのSPとなった明日香が、重傷を負った上司の指示のもと、たった一人でテロ集団に立ち向かうことに。官邸の外では日米の救出部隊が一枚岩になれず揉めるなか、アメリカ大統領をも巻き込むテロ集団の意外な目的が明らかになり……。政府の指示系統崩壊、アメリカ軍の介入、その混乱に乗じるテロ集団。しかし、明日香の行動が少しずつテロ集団の計画に狂いを生じさせていく。日本の安全保障政策に警鐘を鳴らす衝撃のクライシス小説。 【※本書は、2018年6月にPHP研究所から刊行された『官邸襲撃』に加筆・修正し、文庫化したものです。】 -
亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち
異世界で母になる。 不妊治療の末、離婚した「私」が見知らぬ少女の母になる――亜ノ国で。 【どんでん返し×異世界エンタテイメント!!】 第54回野間児童文芸賞作家 新作! 柏葉幸子原作『岬のマヨイガ』、2021年8月27日より全国ロードショー! ●あらすじ 不妊治療の末、夫が浮気相手と子どもを作り、離婚した塔子。帰った故郷で見つけた亡き祖父のトランクは、異世界への扉だった。魔力が支配する過酷な世界「亜ノ国」に飛ばされ、塔子は村の娘ムリュの世話係を任される。一目会ったときから、なぜかムリュに夢中になる塔子。六十年に一度城で行われる「六祝の儀」にムリュも参加するというが、それは少女たちが競い合う、命がけの儀式だった。塔子はムリュを守り、生き残れるのか。すべての母と娘に贈る感動の物語。 ● 「亜ノ国」で六十年に一度行われる、特別な少女「六祝様」を選ぶ儀式。 村の領主の妻リフェは自分の野望のために、娘ムリュが選ばれるよう画策し、異世界からやってきた塔子にムリュの世話係を任せた。 「ムリュを泣かせないで。涙のあとをつけたまま城に行くわけにはいかない」 塔子はうなずいて、ムリュのそばへしゃがみこんだ。スミレ色の瞳はもううるんでいる。 「ハリといいます」 と腕をさしのべると、ムリュは素直にすぐ塔子に体をあずけた。 この日から、塔子にとってムリュは特別な存在となった。 どんでん返し×異世界エンタテイメント!! -
神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ
神保町の一角で、駆け出しシェフの千晴が開店した喫茶ソウセキ。看板メニューは「漱石カレー」だ。イケメン新人作家として作品も大ヒットした小説家の葉山は、漱石カレーを食べて「漱石のことを何も知らない」と酷評。作り直すよう指示してくる。一方で葉山は、とある作家のことを気に病んでおり、ついには自殺願望を抱き始めるまでに……。不自然なまでに葉山の鬱病が進行していくことに疑問と不安を抱いていた千晴は、漱石カレー改良のために読んでいた『三四郎』をヒントに、真相を突き止め――。さらに、おばあさんが店に忘れていった古書の謎、名店と同じ味がするカレーの謎、そして、千晴の祖父が残した遺産の謎。カレーを作り古書を読みながら、千晴と葉山が美味しいミステリーを作ります。 -
星に祈る おいち不思議がたり
おいちの人生に急展開!? 父のような医者になりたいと願うおいちに、絶好の機会が訪れる。女の医者を育てるための医塾が開かれるというのだ。希望に胸を膨らませ、夢の実現に向けての一歩を踏み出したおいち。そんななか、深川で立て続けに、謎の行方不明事件が起きる。忽然と姿を消した四人に、共通点は何一つ見つからない――。事件のことが気にかかるおいちの許に、岡っ引の仙五朗が思いがけない情報を携えてやって来る。この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができるおいちは、仙五朗と力を合わせ、事件を解決に導くことができるのか。一方、心を寄せ合う新吉との関係も、新たな局面を迎える。おいちは、幸せをつかみ取れるのか。人気の「おいち不思議がたり」シリーズ第五弾! -
流転の中将
「なぜ、朝敵と言われなければならないのか。我らに何の罪があるというのか」幕末、火中の栗を拾うようなものと言われながらも、京都守護職を拝命した会津藩主・松平容保の弟である桑名藩主の松平定敬は、京都所司代として、兄と共に徳川家のために尽くそうとする。しかし、十五代将軍・徳川慶喜は大政奉還後、戊辰戦争が起こると容保、定敬を連れて江戸へ戻り、ひたすら新政府に恭順。慶喜に裏切られる形となった定敬らは、恭順を認めてもらうには邪魔な存在として遠ざけられてしまう。一方、上方に近い桑名藩は藩主不在の中、新政府に恭順することを決める。藩主の座を追われた定敬は、わずかな家臣と共に江戸を離れることに……。朝敵とされ、帰るところも失い、越後、箱館、そして上海にまで流浪した男は、何を感じ、何を想っていたのか――。新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞受賞作家が、哀しみを心に宿しつつ、転戦していく松平定敬の姿を感動的に描く歴史小説。 -
辰巳センセイの文学教室
応募総数10,332作品。第8回ネット小説大賞受賞作! 辰巳祐司は国語科のセンセイ。ゆえに言葉で、こじれた心と謎を解く。彼は校内の階段で負傷した女生徒を見つける。彼女はなんらかのトラブルに巻き込まれて階段から落ちてしまったようだが……。 事情を調べていくうちに見えてくる、複雑な恋愛模様や家庭事情。それはどこか、森鴎外の『舞姫』のストーリーと重なっていく。 教科書に載っている日本の名作文学と高校生活がリンクする青春恋愛ミステリー。 <WEBにおいて読者より寄せられた声> ●お話を読んで、本気で泣いて感動しました。本気で泣いたのは数年ぶりです。 ●色んな小説を読んできましたが、「小説家になろう」の内外問わず、おすすめできる作品を教えてくれと言われれば、全く全ての自信を持ってこの作品を紹介します。 ●開幕早々階段の踊り場で、血まみれで横たわる女生徒。 駆けつける辰巳先生。 ここから始まるお話で、まさか後半ボロボロと泣いている自分がいるとは想像もできませんでした。 ●本作のヒロインたちが心に抱いた透き通った恋心は、読み手の心を揺らします。心が揺らされたのなら、それはもう、この物語に「恋」をしているといってもいいのかもしれません。 ●誰もが経験する学校という環境を題材にし、現実に起こりえる物語だからこそ――感情移入しながら読み進め、同じ目線・等身大の世界を楽しめると思います! ●辰巳先生から授業を受けた生徒たちも、私と同じように心揺れ、人生を重ね、前を向いて歩むことを学んでいったのだろうと思う。 そして本書を読み進めるうち、そうした生徒たちの姿に、私はまた、自分の人生を重ね、心の底から応援せずにはいられなかった。 -
会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?
夢を抱いて地方公務員になった志帆。しかし現実は病弱な同僚の仕事を押し付けられ、朝7時前に登庁、夜は深夜まで残業三昧の日々を送っていた。ところが、あるクレームをきっかけに、志帆は同僚に消えて欲しいと願うようになり――。仕事をしないことに全力で、ミスのフォローは周囲の役目、精を出すのは噂話と陰口。そんな同僚が辿った末路とは? 表題作「会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?」、高まる自己愛が滅ぼしたのは……「あたしの幸せな生活」、社内いじめに耐えかねた新人社員が見た「夢」、縁切り神社のルーツに迫る「とある縁切り神社にて」の衝撃の全四編を収録。 -
シャトゥーン ヒグマの森
あの超人気作家、夢枕獏氏が大絶賛した、第5回『このミス』大賞優秀賞受賞作が待望の電子化! 「何年かに一度、時おり、動物パニックものの傑作が登場する。西村寿行 『滅びの笛』、吉村昭 『羆嵐』、志茂田景樹『黄色い牙』。本書、増田俊也の『シャトゥーン ヒグマの森』は、久かたぶりに出たこの手の話の傑作である」(解説より) マイナス40度も珍しくない極寒の北海道・天塩研究林。そんな土地に集まった、学者や仲間たち。そこへ雪の中を徘徊する体重350キロ、ライオンの首を一瞬でへし折るパワーをもつ巨大ヒグマ、シャトゥーンが襲いかかる! 電話も通じない孤立無援の状況下から脱出することは出来るのか!? -
麻倉玲一は信頼できない語り手
死刑が廃止されてから28年後。 日本に生存する最後の死刑囚・麻倉は、 無人島だった離島に設けられた民間経営の刑務所内の特別拘置所で、 刑を執行されることなく過ごしていた。 フリーライターの熊沢は、彼に関する本を執筆するため、麻倉本人からの指名を得て取材に向かう。 インタビューするうちに、麻倉が犯した数々の殺人事件に対して「彼らには死すべき理由があった。僕は審判なんだよ。人の命をジャッジする」とうそぶく本人の態度に、熊沢は激しい嫌悪感を抱く。 さらに驚いたことには、離島には麻倉に殺害された被害者の関係者が存在していた。 また、離島にまつわる不気味な言い伝えを聞かされた熊沢は、 この仕事の先にライターとしての成功を夢見ていた最初の気持ちが大きくぐらつくのを感じ始める。 そしてついに恐ろしい事件が起きた……。 読者の予想を覆す奇想ミステリーの問題作! -
学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録
呪いや祟りでお困りの方は、当館へ。「専門家」がご対応いたします。 北鎌倉の博物館に持ち込まれる呪いの奇奇怪怪を、天才学芸員が華麗に解き明かす伝奇ミステリ! 北鎌倉に建つアンティーク博物館に、その人はいる。眉目秀麗、博覧強記、慇懃無礼。博物館界のプリンスと呼ばれる名物学芸員・西紋寺唱真の実態は――呪いの専門家。とりわけ「実践的呪術」を追求し蒐集する、変人だ。 運の悪い大学生・宇河琴美は、西紋寺のもとで実習を受けることに。だが、実習内容は呪いにまつわるものばかり。しかも怪しい事件が次々と持ち込まれ――。憧れの学芸員資格取得のため、西紋寺の実習生兼助手(?)として呪術の謎と怪事件に挑む! -
どの口が愛を語るんだ
のたうちまわって超えていけ、愛。 『流』の直木賞作家・東山彰良が新たに挑む、自由でボーダレスな短編集! 九州の温泉街、小さな街の団地、ニューヨーク、台北、東京――。 残酷さとやさしさが隣り合わせるパッとしない世界 それでも生きていくむきだしの人間たち。 「猿を焼く」 さえない温泉街に引っ越してきた中三のぼく。無軌道な不良とよそ者の少年は、なぜ猿に火をつけたのか? 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 クレイジーな同級生カメと、そのアバズレな姉。欲求に翻弄されるぼくと彼らの団地の日常。 「恋は鳩のように」 同性婚が合法化された日、歓声に沸く群衆の中、アンディは詩人の恋人・地下室に電話をかける。 「無垢と無情」 人間じゃなくなった「やつら」から身を潜めるように、おれは画面の中のミーティングルームを訪れた。 -
錨を上げよ
著者初の自伝的小説! 『永遠の0』『海賊とよばれた男』を凌ぐ 怪物的傑作、とうとう文庫化! 一生に一作しか書けない小説。『錨を上げよ』には私のすべてが詰まっている。 ――百田尚樹 ●あらすじ 戦争が終わってちょうど十年目、空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。 不良仲間と喧嘩ばかりしていたある日、単車に乗って当てのない旅に出る。 しかし信州の山奥の村で暴漢に襲われて遭難、拾われたトラックで東京へ。 チンピラに誘われて組事務所を手伝うことになるのだが――。 激動の昭和を駆け抜ける、著者初の自伝的ピカレスクロマン。 -
手作り雑貨ゆうつづ堂 ~アイオライトの道標~
『手作り雑貨・ゆうつづ堂』は、とある海辺の田舎の町にぽつんと立つ、祖母が営む小さな雑貨店。 狭い店内には、パワーストーンを使った様々な雑貨が並べられている。 想いのこもったパワーストーンには精霊が宿り、お客さんたちの小さな一歩を後押ししてくれる。 詩乃がそんなお店でお手伝いをするようになって一か月が経ったころ、前に勤めていた会社の先輩がやってきて……? 白水晶の精霊・フクと共に、祖母の大事なお店を守っていくあたたかな物語――待望のシリーズ第二弾! -
少年十字軍
13世紀、フランス。 “天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った、アンヌ・ルー、ベッポら数多の少年少女たち。 彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。 だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む――。 直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。 -
サンドの女 三人屋
朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――志野原家の美人三姉妹が営む「三人屋」は、朝日の就職を機に、朝の店を終了、業態を転換することになった。 朝日が出勤前に焼いたパンを使い、まひるが朝からランチ時まで売る自家製の玉子サンドイッチが、見映えも良くおいしいと大評判に。かたや長女のスナックは、ラプンツェル商店街で働き、暮らす人々のサロンとしてにぎわっている。 ゲイの青年、売れない作家、女泣かせのスーパー店長など、ワケあり常連客たちが夜ごと来店、三姉妹の色恋沙汰を肴に、互いの悩みを打ち明けあったり、くだを巻いたり… 悲喜こもごも、味わい深い人間模様を描く大ヒット小説『三人屋』待望の続編! 心も体もくたくたな日は「三人屋」の新名物「玉子サンド」を召し上がれ! -
紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人
第18回『このミステリーがすごい! 』大賞・大賞受賞、読書メーター「読みたい本ランキング」第1位(単行本部門 月間(2020年1月6日~2020年2月5日))の作品が、待望の電子化! どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑 定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。 手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。ダメ元で調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井(はぶい)と出会い、意外な真相にたどり着く。 さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。 土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知り――。 -
警視庁特任捜査官グール
日本の警察機構の中――通常の捜査では手の届かない巨悪に対し、 超法規的手段で立ち向かう非公式の組織が存在した。 シンプルに「互助会」とだけ呼ばれるその組織を構成するのは、 様々な理由から殉職を偽装し、家族も戸籍も失い「死人」となった元警官たち。 そんな「死人」の一人である伊藤は、ある日互助会の元締・如月警視正から呼び出しを受ける。 そこで与えられた仕事は、新人「死人」の井上元巡査部長の教育係だった――。 死人となった警官たちが、各々の特殊技能を駆使し、社会の裏にのさばる邪悪に食らいつく! 『ガーディアン 新宿警察署特殊事案対策課』の鷹樹烏介が贈る、異色警察小説新シリーズです。 -
見えない星に耳を澄ませて
音大のピアノ科に通う曽我真尋は、たまたま参加した大学の授業で人の心を薬のように癒す音楽もあることを知り、三上先生の診療所で音楽療法士の実習を受けることにした。大人の声に耳を閉ざす少女、キラキラと飾った虚構の自分しか愛せないパーソナルスタイリスト、探し求めた愛情を見付けられず無気力に生きる中年男性……様々なクライエントと音を通じて向き合ううちに、真尋自身も自分が抱えた秘密と向き合うことになり――。 私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない。美しい旋律と共に、生き抜く強さを与えてくれる感動の一冊。 -
二人がいた食卓
良かれと思ったことが、押しつけがましさに。理想を追い求めるあまり、頑なになる。相手への気遣いが、裏目に出る。一番わかってほしい相手に限って自分の努力が伝わらない……。そんな夫婦関係の迷宮に迷いこんだ泉と旺介、きっかけはまさか、食の好みの違い……! ドリア、生姜焼き、ハンバーグ、キッシュ……出てくる料理は、「食の検定」1級を持つ著者だからこそ表現できる、読むだけで美味しそうなものばかり。だからこそ、夫婦のすれ違いのきっかけとして、鋭く鮮やかな物悲しさを湛えています。 おいしさは恋で栄養は愛? 家族として、好きを越えた関係を築いていく覚悟を持てるのか。泉と旺介、二人の選択とは。 -
鋳物屋なんでもつくれます
女性鋳物師の奮闘を描く痛快モノづくり小説。 祖父・勇三が起こした下町の町工場「清澄鋳造」で働くルカ(清澄流花)は、営業担当ながら時には自ら流し入れなどの現場作業も行う“鋳物オタク”だ。丁寧なモノづくりを信条に長年培ってきた会社の強味が時代遅れとされ、単価の引き下げや納期の短縮を求められた末に、相次いで発注を打ち切られてしまい、大ピンチに! 瀕死の会社を立て直すため、ルカは大胆な改革を考える。 今までのやり方へのこだわりや、“経験とカン”を誇るベテラン職人たちの反発。困難に立ち向かう中で、亡き祖父だったら……と思い巡らすルカ。特攻隊の生き残りにして、会社を起こし、高度成長期の中で発展させていったその足跡を辿っていくと、これまで知らなかった勇三の人生が浮かび上がってくるのだった。さらに、時代を超えて輝きを放つ、二つの“東京オリンピック”。 変わっていかないと。そう、変わり続けないと。 ルカは、新しい工法や鋳物の概念を超えた新素材の商品や、物語のモノづくりなどに挑戦していく。東京の下町を舞台に、女性鋳物師の奮闘を描き、 鋳物の新しい可能性を見せてくれる痛快モノづくり小説。 -
雨のち、シュークリーム
大好きな人を笑顔にするのは、手作りおやつ。 「シュークリームは天使だ」「苺は誘惑のプリンセスだ」 おいしそうなものを見ると、思わず語ってしまう変な「くせ」を持つ高校二年生の桐原陽平は、調理部唯一の男子部員。顔も体も四角く、全体的にごつい上に無口なため、はじめは完全に浮いていた。部活で食べ物を目の前に語りだし、部員全員を引かせたが、優しく声をかけてくれたのが希歩だった。今では仲良しカップルとなった二人の出会いだ。 陽平の入部のきっかけは、家でのごはんづくりに役立てるため。小学生の頃に母と死別し、父と八つ年下の弟・朋樹と三人で暮らす陽平は、父と交替でごはんを作っているのだ。ときどき希歩が家に遊びに来て、朋樹と三人で料理をする。朋樹が「大きくなったら希歩ちゃんに告るから」と宣言したため、兄弟は恋のライバルでもあった。 母親の記憶がない朋樹のために、料理の苦手な母がつくったごはんを再現する「お母さんの日」の揚げパン。風邪をひいた希歩のために、陽平がつくる「すりおろしタマネギのスープ」……。温かくておいしいおやつとごはんが家族と恋人をやさしく包む、ハートウォーミング青春小説。 -
月はまた昇る
「保育園がないなら、つくっちゃえ!」。ママたちの奮闘物語。 息子の保育園が見つからない会社員、娘の保育園の方針が合わない契約社員、保育園で働きたい専業主婦、孤独と不安をシェアしたい人、この指止まれ! 北村彩芽は不動産会社の街づくりプロジェクトを担当。出産後すぐに職場復帰するはずが、まだ保育園が見つからない! 思わずSNSで呟いた。 #保育園落ちた人この指止まれに、ママたちの苦悩がたくさん寄せられた。そのオフ会で知り合った2人に彩芽は目をつける。シングルマザーで経理ができる沢村敦子。子をあやすのが上手な江上梨乃。彼女たちの能力を見抜き、彩芽は一念発起する。 「保育園つくっちゃいませんか?」。動揺する2人をよそに、実現に向けて彩芽は突き進むが――。保育園に落ちた仲間同士の人生をかけたプロジェクトがはじまった。 第一章 運命の通知 第二章 保育園つくりませんか? 第三章 目覚め始める女神達 第四章 応募がない!? 第五章 それぞれの保育園 エピローグ -
恐ろしくきれいな爆弾
騙して脅してしらを切る、日本一やばい女。 この小説は、今、この時代に読んでこそのエンターテインメント! 現実と物語が頭の中で撹乱され、とてもエキサイティングな読書 時間を過ごしました。 きれいな爆弾は恐ろしくて美しい。 小泉今日子 初の内閣入りを果たした福永乙子は、就任会見の場で一席ぶった男社会への歯に衣着せぬ発言が話題になり、一躍時のひととなる。 総理経験のある政治家の養女として、3回目の当選での初入閣。メディアからは「美しすぎる奇跡の46歳」として大きくクローズアップされた。 しかし、彼女は、様々な後ろ暗い部分を抱えていた。高級コールガールや新興宗教の謎の教祖だった過去、構成員7000人といわれる反社会勢力トップとの接点。永田町に跋扈する政敵を前に、しかし、彼女は冷然とこの国の頂へ向けて、階段を昇っていく。 戦慄と衝撃の悪女エンターテインメント。 -
繋渡り
作家の父と弟と暮らす少年・未智留。 凡庸な両親に育てられた少女・残花。 自らをほんの少しだけ優れた、でも大したことのない存在と断じる二人は、取るに足らぬ同級生を見下ろしながら、卑俗で平凡な住民を横目に見ながら、生活するにはちょっと不便で色々と物足りないこの町で、ほんの少しの諦観とともに退屈で停滞したささやかな日々を過ごしていた。 けれど。 ある日の未智留の一言をきっかけに、二人の平穏な関係は唐突に終わりを迎える。 近親相姦、同性愛、虐待―― 少年が背負う過酷な真実が肌を晒した時、二人を中心とした歪な“家族”の物語が幕を開ける。 【もちぎ先生より】 この小説の登場人物は必死に生きる、ダメな思考すら持ったただの人間です。 だからそんなダメな人間を指差して非難して笑った時、自分が運良くダメじゃないというだけの事実や、自分だってダメになってしまうという事実を無視して、もっと生きづらくなる世界を歩むことになると思います。 打算も優柔不断も、依存も懐疑も、冒涜も支配も、うまくいかないコミュニケーションも、後からどうとでも言えるたられば論も、本人の中で矛盾する感情も、全部指摘するのは簡単だけど、人生ってそう簡単じゃないんだなと思って書き上げました。 【担当編集より】 もちぎさんのこれまでの人生、多くの方々との関係性の中で築いてきた自らという素材を削り、煮詰め、端整に組み上げた、彼の分身のような本。 爽やかで心地良く教訓的で、読後に万人が幸せになれる話ではなく、本を開いた瞬間に読者の心を鷲掴みし、力尽くでページを捲らせ続け、容赦なく胸を抉り消えない痕を残すような鋭利な物語。 苛烈で激烈でもちぎさんにしか、そんな彼にも一生涯で一度しか描けない初小説。 どうか魂に刻んでください。 -
臆病な都市
新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。 鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。 その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。 組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。 組織の内部を描くという点で、物凄い洞察力を持った作家だ。 ――亀山郁夫 コロナがこうなる前に書かれているというのに凄みを感じる。 ――安藤礼二 まったく、なんだってあんな根拠のないものにそうすぐ振り回されてしまうのだろう。 それとも本当に、ただ自分のあずかり知らぬところで未知の病気が広まりつつあるのではないか、とも考えてみたが、やはり実感は湧かない。 家々から漏れる灯りがそこここに生活が在ることを教えてくれる。言い知れぬ不安が、影のように自分のあとを追ってきている気がした。 ――本書より
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