この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います。意外性や、ハッとする展開はありません。あるのは、天才野球選手の不思議なお話。喜劇なのか悲劇なのか、寓話なのか伝記なのか。キーワードはシェイクスピアの名作「マクベス」に登場する三人の魔女、そして劇中の有名な台詞。「きれいはきたない」の原語は「Fair is foul.」フェアとファウル。野球用語が含まれているのも、偶然なのか必然なのか。バットを持った孤独な王様が、みんなのために本塁打を打つ、そういう物語。
なんとも言いようのない読後感!!
予想がつきそうでつかない、伏線があるようでないようである、まさに「Fair is foul,and foul is fair.」
この言葉が作品全体のいいスパイスとしてじわじわ効いている。一概にこの物語はこうだ、誰が悪い、などと安易な解釈ができない。こんな物語は初めてかもしれない。感服!
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2025年10月11日
Posted by ブクログ
“Fair is foul, and foul is fair.”
仙醍キングスという弱小野球チームに現れる「あるキング」。
彼の人生と、彼を取り巻く人間たちの人生とが絡み合う、劇的でない、でもドラマチックな物語。