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Posted by ブクログ
伊坂幸太郎の名前を忘れられなくなったのは、これを読んでからだった。それまで何冊か伊坂幸太郎の本を読んだことはあったけれど、作家名と結びつけて覚えるほどの印象は実のところなかった。
ストーリーは一つの試合、書いてしまうと陳腐すぎるような理由の一つの死から始まる。その死と同時に誕生した子どもは、宿命づけられたように野球の王になる。周囲に強烈な印象と不気味な予感を与えながら。
その周囲を取り巻く狂気と、その只中にいながら静かに自分の運命を辿る王求の姿に、どうしてか妙に憧れた。ここまで期待されて、淡々と一つのことだけ見ていられる人生。そういう宿命を作者と物語によって負わされたキャラクター。これだけ書くと少年マンガのよう。
しかし、綺麗事だけでは済まない部分をダークなファンタジーが支えて、不思議な現実味を持たせている。タイトルもそう。「あるキング」。これは匿名の王の物語だ。他に幾つも語られる、数多の王と同じく。
Posted by ブクログ
山田王求の野球の王様になる物語…
シェイクスピア、マクベスが物語に色濃く反映されている。マクベスは悲劇なので山田王求の物語も悲劇であることを認識しながら読み進める。
王求は野球のセンスは規格外で既に小学校の時にプロの本気速球をホームランにしてしまうという…
悲劇は
①野球を続ける為に人間が命を落としている
②愛想が悪く、人間関係に苦慮することを放棄している
③優秀な野球選手であること
両親の育成方針も王求の野球スキルレベルアップに重きを置き、王求自身も他人との協調性に欠ける成長となってしまう…
天才は天才ゆえの苦痛、生きづらさもあるだろうが人間社会で生きていく為には少なからずの協調性、人間力も不可欠であるということか…
新潮文庫の完全版もあるが、徳間文庫版が読み易いとの事で
Posted by ブクログ
読書録「あるキング」4
著者 伊坂幸太郎
出版 徳間書店
p9より引用
“ さて、そのような仙醍キングスであるか
ら、仙醍市に住むからといって、誰もが仙醍
キングスのファンとはならない。むしろ地元
の汚点、と憎んでいる者も少なくなかっ
た。が、それでもファンはいる。地味な昆虫
や味の薄い香辛料にも、どんなものにもファ
ンはいるものなのだ。”
目次より抜粋引用
“〇歳
三歳
十歳
十二歳
十三歳”
一人の天才の生涯を描いた、現代ファンタ
ジー長編小説。同社刊行作加筆修正文庫版。
地方の万年Bクラスプロ野球球団に、その
チームにはもったいない程の能力を持つ選手
が在籍していた。
しかしその選手は、周囲の考えなど意に介さ
ず、監督時代も含めた全ての野球人生を、そ
の球団に捧げた。そんな彼の、野球人生の締
めくくりの試合に…。
上記の引用は、万年Bクラス球団について
の一文。
蓼食う虫も好き好き、といったところでしょ
うか?あまり理解出来なくとも、人の物事の
好みには、口を出すのはマナー違反なのかも
しれません。
シェイクスピアの「マクベス」への言及や
引用が、作中によく見られるので、「マクベ
ス」読後である人ほど、楽しみが深まる作品
でしょう。
周囲を超越して野球に生きる主人公・山田
王求の生き様が、読むと複雑な気持ちを抱く
人を生むかも知れません。出来る人間の隣に
いるという事に、辛さを感じることもあるで
しょうから。
あまりハッピーな気分で読み進めるタイプ
の作品ではないので、気持ちに余裕があるよ
うな時の方が、読み易いのではないかと思わ
れます。
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Posted by ブクログ
“Fair is foul, and foul is fair.”
仙醍キングスという弱小野球チームに現れる「あるキング」。
彼の人生と、彼を取り巻く人間たちの人生とが絡み合う、劇的でない、でもドラマチックな物語。
連載→単行本→文庫本と改訂を重ねているあたりに、伊坂幸太郎の職人気質をすごく感じる。笑
文庫版は「わかりやすく」することを考えていたようで、だから私が理解できそうな(あくまで出来"そう"な笑)描かれ方だったのかもしれない。
きちんとマクベスを読んでいればもっと3人の魔女の描写など楽しく読めたかもしれないけれど、それでも巧妙に物語に歴史的な作品が練り込まれていて、これが文才というものかと思った。
そしてやっぱり、色んな人物が描かれているけれど、最終的にとても希望がある物語なのが伊坂幸太郎が好きな理由。
三浦春馬がいつか言っていたけれど、押し付けがましく感じない「多幸感」がある。
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小説・文芸
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