あらすじ
この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います。意外性や、ハッとする展開はありません。あるのは、天才野球選手の不思議なお話。喜劇なのか悲劇なのか、寓話なのか伝記なのか。キーワードはシェイクスピアの名作「マクベス」に登場する三人の魔女、そして劇中の有名な台詞。「きれいはきたない」の原語は「Fair is foul.」フェアとファウル。野球用語が含まれているのも、偶然なのか必然なのか。バットを持った孤独な王様が、みんなのために本塁打を打つ、そういう物語。
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Posted by ブクログ
2025.11.2
不治の病の患者が寛解することを示唆するシーンや、9回に主人公がホームランを打つなど、伊坂幸太郎っぽくない、ワクワク・ドキドキする展開でした。
Posted by ブクログ
シェイクスピアやべーブルースの言葉から、あらゆる事柄の二面性について考えさせられる作品。
野球少年である王求の一生とともに進むストーリーは、目覚ましい活躍とは裏腹に理不尽の連続で、不器用ながらに立ち向かう王求を応援せずにはいられない。ただただ野球が好きな少年が理不尽にその機会を奪われる。野球がしたいだけなのに。
高校で普通に野球ができていたら、プロ野球人生を全うできていたら、どんな選手になっていただろうか。南雲氏のようになっていたのだろうか。
次のキングこそ真っ当な野球人生を送れることを祈らずにはいられない。
面白いストーリーに加え、両親や津田氏、謎の魔女など要所に散りばめられたコミカルなやり取りがこれまたいいアクセントになり、どの章も楽しめる贅沢な一冊です。
綺麗は穢い、穢いは綺麗↔︎fair is foul,foul is fair.
諦めない人は負かすことはできない↔︎死ぬまで不死身だ
Posted by ブクログ
野球好きな両親から生まれた王求。天才の数奇な人生を描く。淡々と話が進むが、マクベスの引用により謎めいた部分があったが、なぜか非常に印象深い作品であった。
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伊坂幸太郎の名前を忘れられなくなったのは、これを読んでからだった。それまで何冊か伊坂幸太郎の本を読んだことはあったけれど、作家名と結びつけて覚えるほどの印象は実のところなかった。
ストーリーは一つの試合、書いてしまうと陳腐すぎるような理由の一つの死から始まる。その死と同時に誕生した子どもは、宿命づけられたように野球の王になる。周囲に強烈な印象と不気味な予感を与えながら。
その周囲を取り巻く狂気と、その只中にいながら静かに自分の運命を辿る王求の姿に、どうしてか妙に憧れた。ここまで期待されて、淡々と一つのことだけ見ていられる人生。そういう宿命を作者と物語によって負わされたキャラクター。これだけ書くと少年マンガのよう。
しかし、綺麗事だけでは済まない部分をダークなファンタジーが支えて、不思議な現実味を持たせている。タイトルもそう。「あるキング」。これは匿名の王の物語だ。他に幾つも語られる、数多の王と同じく。
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読書録「あるキング」4
著者 伊坂幸太郎
出版 徳間書店
p9より引用
“ さて、そのような仙醍キングスであるか
ら、仙醍市に住むからといって、誰もが仙醍
キングスのファンとはならない。むしろ地元
の汚点、と憎んでいる者も少なくなかっ
た。が、それでもファンはいる。地味な昆虫
や味の薄い香辛料にも、どんなものにもファ
ンはいるものなのだ。”
目次より抜粋引用
“〇歳
三歳
十歳
十二歳
十三歳”
一人の天才の生涯を描いた、現代ファンタ
ジー長編小説。同社刊行作加筆修正文庫版。
地方の万年Bクラスプロ野球球団に、その
チームにはもったいない程の能力を持つ選手
が在籍していた。
しかしその選手は、周囲の考えなど意に介さ
ず、監督時代も含めた全ての野球人生を、そ
の球団に捧げた。そんな彼の、野球人生の締
めくくりの試合に…。
上記の引用は、万年Bクラス球団について
の一文。
蓼食う虫も好き好き、といったところでしょ
うか?あまり理解出来なくとも、人の物事の
好みには、口を出すのはマナー違反なのかも
しれません。
シェイクスピアの「マクベス」への言及や
引用が、作中によく見られるので、「マクベ
ス」読後である人ほど、楽しみが深まる作品
でしょう。
周囲を超越して野球に生きる主人公・山田
王求の生き様が、読むと複雑な気持ちを抱く
人を生むかも知れません。出来る人間の隣に
いるという事に、辛さを感じることもあるで
しょうから。
あまりハッピーな気分で読み進めるタイプ
の作品ではないので、気持ちに余裕があるよ
うな時の方が、読み易いのではないかと思わ
れます。
ーーーーー
Posted by ブクログ
なんとも言いようのない読後感!!
予想がつきそうでつかない、伏線があるようでないようである、まさに「Fair is foul,and foul is fair.」
この言葉が作品全体のいいスパイスとしてじわじわ効いている。一概にこの物語はこうだ、誰が悪い、などと安易な解釈ができない。こんな物語は初めてかもしれない。感服!
Posted by ブクログ
“Fair is foul, and foul is fair.”
仙醍キングスという弱小野球チームに現れる「あるキング」。
彼の人生と、彼を取り巻く人間たちの人生とが絡み合う、劇的でない、でもドラマチックな物語。
連載→単行本→文庫本と改訂を重ねているあたりに、伊坂幸太郎の職人気質をすごく感じる。笑
文庫版は「わかりやすく」することを考えていたようで、だから私が理解できそうな(あくまで出来"そう"な笑)描かれ方だったのかもしれない。
きちんとマクベスを読んでいればもっと3人の魔女の描写など楽しく読めたかもしれないけれど、それでも巧妙に物語に歴史的な作品が練り込まれていて、これが文才というものかと思った。
そしてやっぱり、色んな人物が描かれているけれど、最終的にとても希望がある物語なのが伊坂幸太郎が好きな理由。
三浦春馬がいつか言っていたけれど、押し付けがましく感じない「多幸感」がある。
Posted by ブクログ
解説にもある通り、いつもの伊坂幸太郎作品とはテイストが異なる作品でした。マクベスを読んでみたくなったな〜。
王求に降りかかる不幸が切なかった、、、。
Posted by ブクログ
導入は仙醍という都市にある弱小プロ野球チームとそれを応援するとある家族(山田家)の話から始まります。熱烈な仙醍キングスファンの家族のもとに育つ劇的な天才野球児の話です。
仙醍なんて書いたらほぼ仙台だろって感じますが、これを読んで球団設立当初の楽天イーグルスを思い出さすには居られませんでした。仙醍キングスは弱小・常敗チーム。一方現実の仙台のチームといえば楽天ですが、新規参入の際は体制づくりがビハインドのなか、当初リーグダントツの最下位、当時の田尾監督は常にへの字口であったことを思い出します。
・・・
さて、山田家の天才野球児の王求(おおく)、名前からして(横書きで球(たま)とも読める)野球の神様から祝福されているかのような彼は、小学生時には引退したプロ野球選手の球を軽々とホームランするほど。中学時代もその名はとどろくも県大会どまり、そして高校では訳あって中退。しかし、幸運もあり仙醍キングスに入団。
そしてぼろくそに打ちまくる。ないしは敬遠か死球。結果として6割・7割打者という驚異的な成績に至る。
・・・
自分にストイック、野球にしか興味がない。
それはそれで素晴らしいことであるも、はるかに他を凌駕した才能を持つ彼。その姿勢や存在が気に食わない連中も多い。明示はされていないものの、彼はチームの監督にこっそり刺され、この世での生を20年と少しで去ることになります。
ここに私は、凡人の衆愚、嫉妬を見た気がしました。主人公山田王求への日本的出る杭は打たれる的バッシング。
・・・
実は、主人公山田王求へのバッシングは、彼の父山田亮が犯してしまった殺人にも理由がありました。
そのため彼は高校を退学せざるを得ず、またどうにかプロ野球でプレーできることになるも、常に殺人者の子として後ろ指をさされることになったわけです。
ここで気になるのは、加害者家族に人権はあるのか、という話です。被害者家族は金銭的に補償され、また精神的にもケアされるべきだと思います。加害者本人も法の下に罰せられるべきでしょう。その中にあり、加害者家族、なべてもその子どもはどれくらいの責任を負うべきなのでしょか。
作品ではこうした価値判断については一切明言はありませんでした。しかし、温厚な仙醍キングス監督が狂人じみたクレーマーの差し金を受け入れた末に山田王求を刺したことに及んだシーンから、「大衆は加害者家族を抹殺する」「大衆は加害者家族を許さない」、と感じました。もちろん、被害者家族の気持ちを離れて、大衆はうねりを作ります。
加えて、シェークスピアのマクベスから”Fair is foul, foul is fair”という文句を度々引用し、善悪の相対性、善悪は大衆による都合によって決定される、というメッセージを勝手に受け取りました。このあたりのストーリー展開、歯止めが効かない流れ、にゾクっときました。
・・・
ということで一風変わった伊坂作品でした。
天才打者の短い一生はバッドエンドで終わり、明言されない寓意が霧のように立ちこめる作品でした。その点でも、伊坂氏の純文学的エッセンスが感じられる面白い作品だったと思います。
伊坂作品のファンはもとより、野球好きの方、純文学好きの方、倫理学やジャーナリズムに興味がある方にはお勧めできる作品でした。
Posted by ブクログ
天才野球少年と3人の魔女。誰の心にも魔女がいるかも。フェアはファル、ファルはフェア。綺麗は汚い、汚いは綺麗。光と闇、闇と光。見方によって物事の良し悪しは変わる。人に良くても魔女には悪い。魔女に良くても人には悪い。マクベスを題材にした、天才野球少年の数奇な運命でした。ありそうでなさそうなお話。
Posted by ブクログ
主人公自身は野球をしているだけなのに、彼が野球を続けるために、様々な悲劇が巻き起こる。
この小説は決して気分が良いものではない。だがユーモアな文体でどんどん読み進めさせるのは、さすが伊坂幸太郎。ある天才の報われない一生と言えばそれまでなのだが、その描き方はやはり伊坂節が効いていたし、伏線の回収も綺麗にされ、天才(王)というものに対する畏怖も存分に感じられたので、こちらでの評価の低さに驚かされた。
またおそらく次の天才が生まれるのだろうが、ただこの天才のいうものが全員イコールになるわけではないのがまたおもしろい。ネタバレになるため言葉は伏せるが、南雲慎平太が引退時に言った台詞を、果たして王求は感じていたのだろうか。それこそ王のように、義務のように野球をしていただけのようにも感じられる。王とはそんなものなのかもしれない。
完全版はまた少し時を置いて読んでみたい。
Posted by ブクログ
フェアはファウル。ファウルはフェア。
マクベスを読んでいないのでところどころ意味不明なところがあったが、あとがきと解説のおかげでなんとなく著者の言いたいことが伝わったと思う。完全版はマクベス読んでから読もう。
なんとも言えない気持ちになったが、その曖昧さが心地よく、終わり方の割に爽やかな読後感だった。
転落死した下着泥棒の帽子を付け替えるシーンが印象に残った。個人的にはスタンドに入るくらいファウルだと思う。ファウルはフェア。
Posted by ブクログ
題材が野球だったので、入りやすく読みやすかった!他の伊坂作品と比べられるけど、「伊坂ブランド」の先入観を持たずに読むと、野球ファンタジーとして楽しめるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎作品の中でも異色と言われるのが頷ける作品。登場人物を愛したり、登場人物に感情移入したりする事なく読み終える。人生ってフェアかファウルか紙一重なのか、運命はかえられないのか?
私もマクベス読まなきゃ。
Posted by ブクログ
伊坂さんにしては珍しいお話だと思いました。
こんなにも上手くいかないのかと王求の人生が可哀想に思えてしまいました。3人の魔女とかが少し分かりにくかったかもです。
Posted by ブクログ
ミステリーかと思いきや寓話の様な不思議な物語だった。16年も前に書かれているのでそんな訳はないのだが、主人公の王求が大谷翔平のイメージに当てはまりすぎていて、途中から大谷翔平を想像しながら読んでしまった。面白い面白くないで括るには難しい話で好き嫌いは別れると思う。私は宮沢賢治の寓話的な話が好きなので割とすんなり読めたし、ああいう結末もありなのかなとは思った。
Posted by ブクログ
いつもの伊坂幸太郎作品とは違うと前置きがあったのでそれなりに心づもりして読んだが、多分にもれず「なんだこりゃあ???」と面食らった。伊坂さんが書きたいように書くとこんなテイストになるのかぁ。謎めいた抽象的な表現が多く理解が追いつかず、今は正直おもしろいとは思えなかったが、何年かして読んだら変わりそうです。
「マクベス」は読んだことないけれど、色んな作家さんに引用されていて、興味深い。 (なかなか食指は動かないんだが)“Fair is foul, and foul is fair.”この作品のキーでもあるが、奥の深い一文。
Posted by ブクログ
2023.05.08
フェアはファウル、ファウルはフェア 野球の天才 マクベス
最後のコーチは帝王切開で生まれた?
うーん、よくわからんかった
Posted by ブクログ
Fair is foul, and foul is fair.
良いは悪い、悪いは良い
普段は子どもの部活もテレビで観るのもサッカーですが、野球が嫌いなわけではないです。下手なりに少年野球やってたし、先日のWBCは感動もしました。
本書は天才的な野球選手が主人公の不思議な話。いつもの伊坂ワールドよりは軽めですが、冒頭の一節を「フェアはファウル、ファウルはフェア」と野球用語になぞらえて、正義と悪、真実と虚構を織り交ぜながら展開していきます。
前半はスポーツをする子どもの親目線、そして後半は、人間の温かさとか哀しさとか。そして何より、全編にわたってオマージュされているのはシェイクスピアの『マクベス』。
シェイクスピアの作品って断片的に知ってたり映像化されたものを観た程度なので、しっかり読みたくなりました。
Posted by ブクログ
久々?伊坂幸太郎作品。
著者あとがきに『いつも以上に、自分の好きなように書く』とありましたが私にとっては読みやすく楽しめる作品で、内容に何かを求めるでもなく、野球好きだからかすんなり入って来た感じでした。准えが上手いなあと感心し、全てフィクションの中ではあるものの天才野球選手のストーリーって胸熱なんですよ。野球好きだから笑
Posted by ブクログ
文庫版の裏表紙に記載された、“この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います”との文言が気になる本書。
とある天才バッターの数奇な運命が描かれております。
“常敗球団”・「仙醍キングス」の熱烈なファンである両親の元に生まれた、山田王求(おうく)。
類い稀な才能を持つ王求に、両親は情熱を注ぎこみますが・・。
“出る杭は打たれる”と言いますが、王求の場合は突出しすぎて、周りがドン引きしているような状況です。
故に、孤立しがちではあるのですが、王求自身はすべてを野球に“全振り”しているので、常に淡々としてブレずに自分軸を貫いている様が、ある意味凄みを感じますね。
このように、とんでもない才能を持った彼であるのに、王求の運命は何とも皮肉な方へ展開していきます。
その話の進め方が巧みで、読みやすさもあり、サクサク進みます。ラストは切なかったですが、独特の余韻が残るものでした。
因みに、『マクベス』の〈フェアはファウル。ファウルはフェア(良いは悪い。悪いは良い)〉という台詞が全体的なキーワードとなっているのですが、この物語は悲劇でもあり、喜劇でもあるのかな、と思った次第です。
Posted by ブクログ
私の知ってる伊坂幸太郎作品とは異なる趣だったが面白かった。野球でスターになることを運命づけられた主人公と取り巻く人物のスピード感のある心情の移り変わりのテンポが良かった。このエンディングにも関わらず清涼感のある読後感で楽しめた。
Posted by ブクログ
大好きな伊坂さんの新作。
あとがきに、ご本人自ら「いつもの僕の小説とも雰囲気の異なるものになりました」と書かれているように、今までの伊坂さんの作品とはテイストが違いました。
真の天才。
神懸かった存在。
そんな人間が実在したら。
実在しないから、何となく漠然と切望しがちなその存在の、与える影響力の大きさを感じることができました。
主人公・王求がたまに見せる平凡な人間らしさに、安堵感を抱いた読者もいるのでは?
人間、というか大人のエゴ。
いかにして私達大人がバランスを取っているのか。
当たり前という価値観の個人差。
そんなことを考えました。
凡人な自分に感謝。
ただ殺人の証拠品となった、プロ野球チームの応援グッズに「傘」を採用されたのはヤクルトファンなのでブーイング。
Posted by ブクログ
「伊坂幸太郎」のファンタジー作品『あるキング』を読みました。
『フィッシュストーリー』、『ゴールデンスランバー』、『モダンタイムス』に続き「伊坂幸太郎」作品です。
-----story-------------
天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?
野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。
「山田王求」はプロ野球「仙醍キングス」の熱烈ファンの両親のもとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。
「王求」の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって語られる。
わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。
『本とも』好評連載に大幅加筆を加えた、今最も注目される作家の最新作!!
ベストセラー作家「伊坂幸太郎」さんの最新刊は、いままでの「伊坂」作品とはひと味もふた味も違う!
『ゴールデンスランバー』や『週末のフール』のようなテイストとは違いますが、ひとりの天才が生みだされていく過程、主人公を取り巻く周囲の人々の困惑と畏れ――読み進めていくうちにどんどん引き込まれていきます。
「他の人にこういう小説を書かれたら悔しい」 「こういう作品を読みたかった」と「伊坂さん」ご自身がおっしゃるくらい、思いをこめた作品です。
新しい「伊坂ワールド」をお楽しみください!
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「伊坂幸太郎」作品って、現実と空想、現在と未来が入り混じったような独特の「伊坂ワールド」と呼ばれる雰囲気があるのですが、、、
本作品は、これまで読んだ「伊坂幸太郎」作品とは、また少し違った独特の雰囲気を持った作品でしたね。
野球選手として(それも弱小球団「仙醍キングス」の選手として)活躍することを運命付けられて、そのことを目標に育てられた天才球児「山田王求(やまだおうく)」の人生を描いた作品で、以下のとおり「王求」の成長に沿って物語が展開します。
■〇歳
■三歳
■十歳
■十二歳
■十三歳
■十四歳
■十五歳
■十七歳
■十八歳
■二十一歳
■二十二歳
■二十三歳
■〇歳
■参考文献
■文庫版あとがき
■解説 柴田元幸
弱小地方球団「仙醍キングス」の熱烈なファンである両親のもとに生まれた「山田王求」… “王が求め、王に求められる”ようにと名づけられた一人の少年は、少年時代から超人的な才能を発揮するが、天才であることが災いし、様々なトラブルに遭遇、、、
特に息子を守ろうとした父親の行動が致命的なトラブルとなり、プロ野球選手への道は断たれたかと思われたが… 偽名でプロテストを受験し、その際のプレーが球団オーナーの目に留まり「仙醍キングス」に入団する。
プロに入ってからも天才が故に、まわりに理解されず、監督からも疎まれ… それが選手生命を、そして人生そのものを短いものにしてしまう、、、
何があろうと感情に流されることなく、淡々とプレーを続けようとして、自分に与えられた運命を全うしようとする「王求」姿が印象的でしたね… ラストのバッティングシーンは感動したなぁ。
ただ、、、
何が言いたかったのかなぁ… というのは、読み終わっても解らない作品でしたね。
野球に興味のない若い世代の人には、もっと理解できないんじゃないかな、、、
私たちの世代なら、序盤は 『巨人の星』を思い出さずにはいられない展開ですけどね。
野球をテーマにしたファンタジー?
「シェイクスピア」の 『マクベス』を下地にした寓話?
ストイックに野球に打ち込む男の哀しい運命を描いた悲劇的な伝記?
まぁ、そのどれもがMIXされた不思議な作品ってことかな… よく解らないけど、なぜか強く印象の残る作品でした。
Posted by ブクログ
弱小チームのスーパープレーヤーを信仰する
両親から生まれた天才野球少年の成長を
第三者目線で語っていく一風変わった作品。
物語全体として暗い雰囲気だが、
その分バッティングセンターの津田さん、
同級生の不良乃木が頑張って野球しちゃうとこ、
ヒラメの号泣等等、
微笑ましいシーンが強く心に残った。
Posted by ブクログ
最初は野球好き夫婦のトンビが鷹を産む様な能天気な話だと思った。次第に空恐ろしい雰囲気になりました。少し狂喜じみている。小学生の子供の野球試合に両親があんな事をするなんて。後味の悪い小説でした。
Posted by ブクログ
つまらないわけではないけど、あまりに報われなく淡々と短い一生を傍観する感じが読んでいて辛かった。ラストに一筋の希望を書くことが伊坂さんは多いけれど、これには希望はなにひとつない。