Posted by ブクログ
2017年03月20日
生まれてまもなく何者かによって捨てられた櫻香は、やがて尼寺に引き取られ養女となる。
聡明なうえに美しく育った櫻香は、いまの生活に何の疑問を抱くこともなく穏やかに生活していた。
しかし、見慣れぬ人たちが周辺に現れはじめてから様子は一変する。
母の知り合いだった尼寺の関係者より依頼を受け、光彦は櫻香に対...続きを読むする調査を開始する。
やがて櫻香に話しかけた胡散臭い男が殺され死体となって発見される。
事件は櫻香を中心におきていると光彦は思い始めるが…。
犯人を逮捕することが光彦の目的ではない。
これまでにも何度か光彦によって犯人と特定されながらも、警察に逮捕されなかった者もいる。
複雑な人間関係が絡みあったうえでの犯行。
櫻香の未来を思い、光彦は警察の介入を望むかどうか。
関係者たちの考えにゆだねることにする。
読みやすく、それでいてきちんと推理小説になっている。
浅見光彦のキャラクターも親しみやすく、母親との関係、兄との関係などもいつも通りで安心して読むことができた。
今回の舞台は奈良。
日本全国のあちこちで事件が起き、それぞれの物語からは土地の空気が感じられる。
そんなところも好ましい。