小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • ストリートワイズ
    -
    街を1つの大きな学習の場としてさ迷い歩くうちに獲得した知識や知恵、それがストリートワイズだ。敬愛する思想家・福田恒存との邂逅、急速に失われていく過去との繋がり、世相を映し出さないメガヒット本の登場、あいまいな日本の「戦後民主主義」など、時代と思想を縦横に網羅する鮮烈なデビュー論集。
  • やつらを高く吊せ
    3.7
    24時間、命懸け! 秘密を知るためなら、おれは地獄にでも行く。後ろ暗いスキャンダルの匂いに激しく欲情する情報屋の「おれ」は、今日も強烈な快感を求めて愛車ポルシェをぶっ飛ばす。非情な金貸しに手綱を握られ、淫らな女子高生に翻弄されながらも、アンダーグラウンドを彷徨う「おれ」の覗き屋魂は、政財界の大物たちを虎視眈々と狙い続けるのだった。疾走する連作全6編。
  • 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記(1)
    3.2
    1~2巻691~743円 (税込)
    推理作家の大御所小宮山泰三(こみやまたいぞう)の二階建てアパート幸福荘に住むことは、作家志望者の憧れ。だが住人ときたら、あやしげな者ばかり。美貌の人気少女小説家南野はるかをめぐり、男たちは天井裏を舞台に騒動を繰り広げ、あげくは密室殺人まで……どこまでが現実でどこからが虚構なのか? 極上の叙述ミステリー。
  • 死という鏡 この30年の日本文芸を読む
    -
    狂奔の1980年代から30年の小説は、みなが眼を背けてきたはずの、「死」にまみれていた――。まったく新しい視点で現代文学を読み解く、感動的なブックガイド。村上春樹『1Q84』、よしもとばなな『アムリタ』、小川洋子『博士の愛した数式』、綿矢りさ『蹴りたい背中』など、全58作品を解説。人はなぜ小説を書くのか。人はなぜ小説を読むのか。心の深いところが揺さぶられ、とてもよくわかる評論集。
  • 花曇り
    -
    囲碁のタイトル位にまつわる因縁の対決(「花曇り」)、テレビ局の女子清掃員に降りかかる受難(「クリーン・スタッフの憧憬」)、ビンゴというピンボール風のめずらしいゲーム機が呼び起こす青春の一幕(「三十年後」)など、ひねりのきいた意想外の結末と情味あふれるミステリー短編集。
  • 不倫は家庭の常備薬 新装版
    3.8
    不倫は人生の香水である。時々人生にふりかけて楽しむが、ぷんぷんと匂ってはいけない……そんな不倫哲学を持つ30代のOL、一度も浮気したことのない真面目夫、40歳で初めて不倫を成就させるかもしれない人妻、家庭円満のために浮気するという夫――7人の「視点」から不倫が語られる短編集。
  • 欲情
    -
    「自由な性にこそ男女の平等がある」と考える信夫は、妻の真奈美、女友達の早紀と、情熱とセックスを共有する喜びを夢想していた。だが、旅先のポルトガルで真奈美は漁師と運命的に惹かれ合い、夫の元を去る。性に貪欲に生き始めた真奈美と、残された信夫と早紀。人生と快楽に翻弄される男女を描く恋愛小説。
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)
    4.1
    羽音と不思議な声がすべての始まりだった……。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。
  • 名探偵の肖像
    4.0
    本格推理を愛するすべての人に捧ぐ! 探偵としてもすぐれた才能を発揮した怪盗アルセーヌ・ルパン。アリバイ崩しの鬼貫警部。密室殺人を解くヘンリー・メリヴェール卿。往年の名探偵の華麗な推理に挑戦した贋作(パスティーシュ)を含む短編5作、敬愛するJ・D・カーについての芦辺拓氏との対談、随筆を一挙収録。本格推理を愛するすべての人に捧ぐ必読の1冊。
  • 新装版 日本医家伝
    -
    シーボルトと遊女・其扇(そのおうぎ)の間に生まれ、女でありながら医学の道を志した楠本いね、「解体新書」翻訳の偉業を成し遂げた前野良沢、ロシヤ抑留中に種痘法を習得した中川五郎治など、後に著者によって長編として描かれた人物を含む、わが国近代医学の先駆者である12人の医家たちの苦難の生涯を描きだす傑作短編集。
  • 独断流「読書」必勝法
    3.5
    『坊っちゃん』『ロビンソン・クルーソー』『伊豆の踊子』『ハムレット』『罪と罰』――。文学史に燦然(さんぜん)と輝く20作品を、シミズ博士のウンチクとサイバラ画伯の過激なマンガで大胆に解釈する。名作を読まなくても楽しめる、新機軸のブックガイド。清水義範が選ぶ泣ける物語ベスト10、王道ミステリーベスト10も収録。(講談社文庫)
  • ラブファイト 聖母少女(上)
    -
    「稔ちゃんをいじめたら、オレが許さへんからな」。幼なじみの亜紀に、幼稚園入園以前からいつも守られてきた、情け無い失意の日々。弱虫で惨めな自分と訣別するため、稔はボクシング・ジムに入門した。同じ高校に進む亜紀には内緒のはずだったが「稔君の行ってるジム、見つけたからね」と言われてしまう。(講談社文庫)
  • 気高き昼寝
    3.0
    重いうつを病む夏目孝則(なつめたかのり)に、深夜、ある女性から電話がかかってきた。親友の今村の、自死の報(しら)せだった。今村が自分宛てに遺したノートを読むうち、切れ切れの過去の記憶が甦(よみがえ)る。ナツタカは彼のために「誰も傷つけない復讐」を決意した。巧みな展開、丁寧な描写で「生き続ける」ことの意味を問う、渾身の小説。(講談社文庫)
  • コッペリア
    3.7
    恋をした相手は人形だった。だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れた。人形と女優が競演を果たすとき、僕らは? 日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、初めての長編ミステリー。(講談社文庫)
  • 謎解きが終ったら 法月綸太郎ミステリー論集
    3.0
    名探偵・法月綸太郎の生みの親の著者が挑んだ、初めてのミステリー評論集。実作者としての経験と豊富な知識に裏打ちされて、中上健次からジェイムズ・エルロイまでを自在に論じた本書は、ミステリーの枠を超えた優れた文芸評論になっている。親本刊行後に発表された5編も収録した、ファン必携の「増補版」! (講談社文庫)
  • 有馬温泉殺人事件
    3.0
    光る宙吊り死体の謎に志垣&和久井が挑む! 名旅館の女将が奇怪な死体で発見された。容疑者多数! 関西有数の温泉地・有馬で大型旅館を経営する吉崎波満子は、幼なじみの志垣警部を招待する。例によって和久井をお供にいそいそ出かけた志垣だったが、夜遅く、波満子は裸身に夜光塗料で経文を書かれ、逆さ吊りの死体となって発見された。被害者は、なぜ妖しくも美しい死化粧をまとったのか。(講談社文庫)
  • 刑事長 四の告発
    4.0
    大川で背広姿の水死体が浮かんだ。男は市内の外科医で借金苦による自殺と断定された。事件にきな臭さを感じたベテラン刑事・岩切鍛治は、独自の捜査を開始する。見え隠れするパチンコ業界の利権争い、そして思いもよらぬ同僚刑事の死。岩切の行く手に暗雲が立ちこめる。好評<刑事長(デカチョウ)シリーズ>興奮の第2弾! (講談社文庫)
  • 九州新特急「つばめ」殺人事件
    4.5
    男女の死体、襲われる目撃者 十津川の捜査を阻む巨大な闇。鹿児島・指宿(いぶすき)の海岸で、男女の死体が発見された。2人は東京在住で、死因から殺人事件と断定される。所持品に搭乗券があったが、空路の時刻、特急「つばめ」の乗務員・宏子が列車内で2人を目撃していた。そして宏子に襲いかかる不可解な事故。捜査を進める十津川警部の前に、巨大な力が立ちふさがる! (講談社文庫)
  • 複製症候群
    3.3
    密閉空間で起こる酸鼻な殺人事件! 兄へのコンプレックス、大学受験、恋愛。進学校に通う下石貴樹(おろしたかき)にとって、人生の大問題とは、そういうことだった。突如、空から降りてきた七色に輝く光の幕が人生を一変させるまでは……。触れた者を複製してしまう、七色の幕に密閉された空間で起こる連続殺人。極限状態で少年達が経験する、身も凍る悪夢とは。(講談社文庫)
  • 幽界森娘異聞
    3.0
    彼女、彼女、この故人のこの活字の世界での名をいきなり「森娘」と命名する。本名森茉莉をそのまま使わないのは、私の描いているこの故人が、どう考えても本物の森茉莉とはずれた人物だから。鴎外と志けの娘、では決してないから。私が知っている森娘は、……「贅沢貧乏」という1冊の本の中に住まった1体の妖怪だ。私という作家の雑念と思い違いがそこにこごった、活字の怪でしかない。「作家は死んだ時その本の中に転生する」
  • 寝台特急「日本海」殺人事件
    5.0
    青森から大阪まで。日本海沿いをひた走る寝台特急で専務車掌が絞殺された。事件の鍵を握るのは5年前に車中で出産した若い女性。その足跡を辿ると、男女が続けて不審な死を遂げていることが判明。おまけに当人らしき女性は越前岬から投身自殺したという。強烈な謎とサスペンス、十津川の推理が冴えわたる! (講談社文庫)
  • 書物狩人
    3.6
    たかが本――だがそこに書かれたことは時として大企業を破滅に導き、国家を転覆させることもある。錚々(そうそう)たる依頼人の願いをうけ、世に出れば世界を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わずあらゆる手段を用いて入手する「書物狩人(ル・シャスール)」。歴史の闇に隠されてきたその足跡が今初めて語られる! (講談社文庫)
  • プールの底に眠る
    3.8
    夏の終わり、僕は裏山で「セミ」に出逢った。木の上で首にロープを巻き、自殺しようとしていた少女。彼女は、それでもとても美しかった。陽炎のように儚い1週間の中で、僕は彼女に恋をする。あれから13年……。僕は彼女の思い出をたどっている。「殺人」の罪を背負い、留置場の中で――。誰もが持つ、切なくも愛おしい記憶が鮮やかに蘇る。(講談社文庫)
  • パラダイス・クローズド THANATOS
    3.8
    周囲の人間に不審な死をもたらす「死神(タナトス)体質」の兄・美樹(よしき)と、発生した事件を解決する「探偵体質」の弟・真樹(まさき)。変わり者のミステリー作家が孤島に建てた館・水鱗館(すいりんかん)に向かった二人は、案の定、不可解な密室殺人事件に遭遇する。双子の少年と新米刑事が活躍する人気シリーズの第1作。第37回メフィスト賞受賞。(講談社文庫)
  • 愛の伝説・釧路湿原
    5.0
    釧路湿原のタンチョウサンクチュアリに、ボランティアを志願して、白井香織という美女が現れた。責任者の持田は、当初、冷ややかな態度をとる。一方、東京の殺人事件を追って、釧路に来た十津川警部。捜査のため、香織に接触を試みるのだが、彼女は失踪してしまう。香織の逃避行の行方は? 京太郎浪漫全開! (講談社文庫)
  • 双月高校、クイズ日和
    4.1
    たった一度きりの高校生活。一生記憶に残るような、燃えるものを探したい――けれど、それが何か分からない。そんな不安や閉塞感を抱いた生徒たちが、クイズ同好会を結成した。記憶力が致命的に劣るリーダー。テニス部を途中退部した美少女。ケンカは強いのに、じつは極端なアガリ性の不良少女etc.。個性豊かなメンバー7人が、「本当の仲間」を見つけ、全国高校クイズ大会出場を目指す! (講談社文庫)
  • ツァラトゥストラの翼
    3.8
    この本は1頁から順には読めません。あなたにささやきかける陰の声に対するあなた自身の選択と決断に従って物語が作られていきます。宝石“ツァラトゥストラの翼”を盗んだ犯人を追って、ただ1つの正解をめざしスタートして下さい。岡嶋二人が贈る、数千万、数億通りの変化が楽しめる究極のミステリー。本作品を読むにはチェックリストが必要です。手書きでも問題ありませんが、欲しい方はHP(denponyasan.com)上のPDFをプリントアウトしてご利用ください。1986年刊行。(講談社文庫)
  • タイムスリップ忠臣蔵
    4.5
    徳川綱吉が発した生類憐みの令。その推進派・吉良上野介が赤穂浪士の仇討ちを免れたため、歴史が歪んで、22世紀はイヌが支配する社会になっていた。人間はハンドと呼ばれ、お犬様の手としてお仕えする身分に。ウララたちは江戸時代にタイムスリップ。戦意喪失中の赤穂浪士に殿の仇を討たせるべく奮闘する! (講談社文庫)
  • オンエア 上
    3.3
    1~2巻691円 (税込)
    プロデューサーと不倫報道を続ける藤崎あゆみ・26歳。年下の野球選手に結婚をせがまれる水沢千広32歳。元カレのストーキングにおびえる望月結香・22歳。人気報道番組を舞台に3人の女子アナが、それぞれ予期せぬ人生の転機を迎える・・・・・・。リアルな描写で大反響を呼んだ著者初のエンターテイメント小説! (講談社文庫)
  • ナナフシの恋~Mimetic Girl~
    4.0
    一学期の終業式、彼女は教室から飛び降り自殺を図った。夏休みが終わろうとするある日、親友の沙耶は一通のメールを受け取る。それは意識不明のはずの彼女から届いたメッセージだった。「明日の昼1時、私たちの新しい教室で待ってます」。集められたのは6人のクラスメイト。誰があたしたちを呼びだした? (講談社文庫)
  • アウト&アウト
    4.1
    探偵見習いで元ヤクザ。矢能(やの)が呼び出された先で出くわしたのは、死体となった依頼主と妙な覆面を被った若い男。図らずも目撃者となり、窮地に追い込まれた矢能。しかし覆面男は意外な方法で彼を解放した。これが周到に用意した殺人計画の唯一の誤算になることも知らずに。最も危険な探偵の反撃が始まる。 (講談社文庫)
  • 虚空の逆マトリクス INVERSE OF VOID MATRIX
    3.6
    犀川&萌絵も登場! 多面性が光る短編集。西之園萌絵にとって、その夜は特別なものになるはずだった。けれどちょっとした心理の綾から、誘拐事件の謎解きをする展開となり……(「いつ入れ替わった?」)。上から読んでも下から読んでも同じ文章になる回文同好会のリリおばさんが、奇妙な殺人事件を解決(「ゲームの国」)など軽やかに飛翔する、短編7作を収録。
  • 事故係 生稲昇太の多感
    3.2
    22歳の昇太は、正義感たっぷりで直情型の愛宕南署交通課巡査。南署のマドンナ・大西碧とつきあうクールな先輩・見目とコンビを組んで交通事故の解決を目指す。だが、社会や組織の壁にぶち当たり、うまくいかないことばかりで……。これこそ警察小説の新境地! 『脳男』で乱歩賞を獲得した著者の受賞後第一作。
  • 麿の酩酊事件簿 花に舞
    2.5
    1~2巻691~733円 (税込)
    名門・勧修寺家の17代目当主にしてベンチャー企業のオーナー、文麿。31歳・独身貴族の彼は、理不尽な家訓に適う素敵な花嫁を募集中。しかし彼の前に現れる美女たちは、なぜかトラブルメーカーばかり。彼女たちが巻き込まれた事件を、酔うほどに冴える酩酊推理で解決する文麿だが、結婚への道は遥か遠く!?
  • 狂喜乱舞殺人事件
    4.0
    いつ、誰の夫がリストラされるか――大規模な人員削減に揺れる大手スーパーの社宅では、妻たちが戦々恐々とする日々を送っていた。そんな中、誰もが認めるエリート社員が思わぬリストラに遭い、妻たちの力関係も一変する。歪んだ人間関係が事件を生み、大貫警部がスーパーに怒鳴り込む! 全5編を収録。
  • ファンタズム
    3.6
    「ぼくはきみを殺した。ついに、というべきか。それとも、やっと、というべきなのか。リサだけでいいのか、殺すのは?」こうした犯人の思いから幕を開けた印南野市の連続女性殺人事件。犯人は理想の殺人を行い、追う刑事は、故意に遺された指紋と、ある遺留品に翻弄されながらも、犯人を推測するが……。
  • 101号室の女
    3.5
    サスペンス映画の傑作「サイコ」を見事に彷彿させる表題作「101号室の女」、夕暮れの公園で空のベビーカーを押す男の謎に迫る「眠れ、わが子よ」、凶暴な脱獄囚が別れた女に刻々と近づく恐怖を描く「網走まで」等、全9編を収録。巧妙な伏線とラストのどんでん返しで読者を欺く、折原マジックの集大成!
  • 湖底の光芒
    3.3
    遠沢加須子は、中部光学という夫の遺したレンズ製造会社を長野県の諏訪で経営している。親会社の倒産で苦境にたった時、手をさしのべて来たのは、ハイランド光学だった。親会社の横暴に泣く下請会社の悲哀と、加須子にのびる欲望の影、そして加須子の妹の情熱が一つの悲劇を呼ぶ……諏訪湖に沈む謎は何?
  • 掟上今日子の備忘録(文庫版)
    4.0
    1~9巻693~902円 (税込)
    眠ると記憶を失う名探偵・掟上今日子。彼女のもとに最先端の映像研究所で起きた機密データ盗難事件の依頼がもたらされる。容疑者は4人の研究者と事務員・隠館厄介。身体検査でも見つからず、現場は密室。犯人とデータはどこに消えたのか。ミステリー史上もっとも前向きな忘却探偵、「初めまして」の第1巻。(同一内容の単行本版も配信中)
  • Cocoon 修羅の目覚め
    3.6
    1~11巻693~814円 (税込)
    誰もが振り返る美貌の花魁、瑠璃。 だが、その裏の顔は江戸に現れる鬼を退治する組織「黒雲(こくうん)」の頭領。 髪結いでありながら錫杖で戦う錠吉や、料理番でありながら金剛杵を操る権三、結界をはることのできる幼い双子、豊二郎・栄二郎とともに、江戸に現れる鬼を退治する。 ある時、千住に出没する鬼を退治してほしいとの依頼が舞い込む。 どうやら、殺された男たちは皆、同じ手ぬぐいを持っていたというが……。 瑠璃は、千住の鬼を退治することができるのか? そして明かされる、瑠璃の悲しき宿命とは――。 この夏大注目のシリーズ第一弾!
  • コゴロシムラ
    3.5
    カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが…。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。 木原音瀬が挑んだ、ホラー&ミステリーの傑作。流麗な中村明日美子のイラストや、文庫オリジナルショートストーリーにも注目!
  • #柚莉愛とかくれんぼ
    3.8
    ネット炎上―― 誰もが当事者になりうる戦慄のSNSサスペンス! 第61回メフィスト賞受賞作、ついに文庫化! 3人組アイドルグループのメンバー・青山柚莉愛。 メジャーデビューを目指すも売り上げ目標を越えられず焦る日々。 ある日マネージャーの提案で動画配信ドッキリを実行し、ファンの混乱がSNSで広がっていく。 騙されたファンの怒りの矛先はマネージャーや事務所ではなく柚莉愛本人に向かってしまい――。
  • 私はあなたの瞳の林檎
    4.7
    ずっとずっと好きで仕方がない、僕の初恋の女の子。でも僕の告白はいつだって笑ってかわされる。この気持ちをどうしたらちゃんと、分かってもらえるのだろうか。表題作をはじめ、思春期のあの頃、誰もが直面したあの壁に、恋のパワーで挑む甘酸っぱすぎる作品集。
  • 青い春を数えて
    4.3
    “青春”の表も裏もすべて抱えて、少女は大人になっていく。 放送部の知咲は、本番の舞台にトラウマがある。だが、エースの有紗の様子が変で――(白線と一歩)。 怒られることが怖い優等生の細谷と、滅多に学校に来ない噂の不良少女・清水。正反対の二人の逃避行の結末は(漠然と五体)。 少女と大人の狭間で揺れ動く5人の高校生。瑞々しくも切実な感情を切り取った連作短編集。 解説・井手上漠
  • ポルシェより、フェラーリより、ロードバイクが好き 熱狂と悦楽の自転車ライフ
    3.7
    日本一おもしろい自転車エッセイ。どんな高級スポーツカーに乗るよりも自転車で走るほうが楽しい! 面白い! 気持ちいい! ――「日本一の自転車評論家」が、スポーツ自転車にハマって、20数年。総距離300kmのレースに出場すること15回、還暦を迎えてもなお、急勾配の坂を前に興奮する。どんなスポーツカーよりも乗って楽しいという、ロードバイクの魅力が存分につまった痛快エッセイ。<『ロードバイク熱中生活』に大幅に加筆し改題>
  • 黒い巨塔 最高裁判所
    値引きあり
    3.3
    いま初めて暴かれる最高裁の闇! 最高裁新任局付判事補・笹原の見た司法の聖域は、裁判官の思想統制のための牢獄(ラーゲリ)だった! 裁判官を左遷し判決の方向を差配する最高裁長官、絶大な権力を振かざす我が物顔の事務総局。司法の中枢最高裁判所内では醜悪な権力抗争が煮えたぎる。「法の支配」とは無縁の上命下服の思想統制に、司法エリートたちは次々と屈服していく。最高裁の中枢を知る元裁判官の城山三郎賞作家が、司法の真実を暴く権力小説。 解説:ノンフィクション作家 清水潔
  • 45° ここだけの話
    3.5
    カフェで、ファストフードで、教室で、ケアホームで、一見普通の人物が語りはじめる不可思議な物語。一卵性双生児、夢の暗示、記憶の改竄、自殺志願者など、ちりばめられた不穏なモチーフが導く衝撃の結末。読んでいるうちに物語に取り込まれ、世界は曖昧で確かなことなど何もないと気づかされる戦慄の9篇。
  • 100万分の1回のねこ
    3.4
    谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
  • ねこの証明
    3.9
    森村家に迷い込んできた猫が、いつの間にか居間でテレビを見ている。散歩の途中で出会った猫のしぐさにカメラを向け、俳句をひねる……。作家生活五十年を越えた森村誠一は、言わずと知れた猫好き。ミステリーに時代小説に、森村作品には猫がしばしば登場する。専門紙「ねこ新聞」に連載したエッセイを軸に、「お猫様事件」など猫小説を三篇収録。ふんだんな猫写真と俳句もちりばめ、まるごと一冊ねこずくしで送る、初の森村猫本!【解説入り】
  • ツボ押しの達人
    4.0
    放談社週刊ミライ編集部の望来は、かつて指一本で勇名を馳せた達人を取材しに山に入る。人の尊厳を一瞬で奪う筆舌に尽くしがたい凄技を操る達人から、望来は技の手ほどきを受けることに。そこへ編集長刺傷の報が。ヤクザの逆恨みか、それとも…!? 事件解決に乗り出す望来はもう、かつてのひ弱な記者ではなかった!
  • スターダストパレード
    3.2
    元暴走族のヘッド・マモルが刑務所から出所した日に、彼を無実の罪で逮捕した刑事・鷹原が迎えにきた。鷹原は、母・ジョゼットを不審な死で亡くした少女・ニノンが何者かに狙われているため、三重にいる鷹原の元妻・美里のところへ連れていくようマモルに依頼するのだが……。傷心の元暴走族ヘッドが、言葉を失った5歳の少女と逃避行へ。『東京バンドワゴン』の著者が描く極上のハートフル・ミステリー。
  • 零崎双識の人間試験
    4.0
    1~7巻693~902円 (税込)
    「零崎一賊」――それは"殺し名"の第三位に列せられる殺人鬼の一賊。その長兄にして切り込み隊長、"二十人目の地獄"にして奇怪な大鋏"自殺志願(マインドレンデル)"の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟捜しの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった! 息をもつかせぬ波乱の向こう側に双識を待つものは……!? 「人間シリーズ」第一弾!
  • 北リアス線の天使
    3.0
    生涯最後の作品を描くため、老画家・篠崎源一郎は、看護婦の田代由美子と、三陸海岸の名勝・浄土ヶ浜へ逃避行を企てる。その周辺を調べていた私立探偵が東京のホテルで毒殺され、十津川警部も三陸へ。篠崎の妻、絵のモデルとなった謎の美少女、そして女画商。女たちの欲望が渦巻く、旅情ミステリーの傑作!
  • ロック母
    3.9
    作家としての苦悩のはじまりに"しょぼんとたたずむ"忘れ難い作品、「ゆうべの神様」。シングルマザーになる覚悟で離島の実家に帰った私を待っていたのは、恐ろしいほど変わらない風景と"壊れた"母親だった。――川端康成賞受賞作、「ロック母」など、15年にわたる作家活動をあまさずとらえた傑作作品集。
  • わんぱく天国
    4.5
    戦争の影がせまる昭和10年代、横須賀にある「天国」のような塚山公園は、最高の遊び場だった。違う地域に住む少年たちは「天国」を巡り敵対していたが、めんこ対決をきっかけに、ひとつの目的に向かって走り始める。それは、大ブームだった一銭飛行機をみんなでつくること。しかも「ヒトの乗れる一銭飛行機をつくろうぜ!」というものだ。子どもたちの「遊び」が文と絵で甦り、戦争についても考えさせられる自伝的名作。
  • 藁の楯
    3.6
    2人の少女を惨殺した殺人鬼の命に10億の値がついた。いつ、どこで、誰が襲ってくるか予測のつかない中、福岡から東京までの移送を命じられた5人の警察官。命を懸けて「人間の屑」の楯となることにどんな意味があるのか? 警察官としての任務、人としての正義。その狭間で男たちは別々の道を歩き出す。 (講談社文庫)
  • ここに地終わり 海始まる(上)
    4.3
    1~2巻693~748円 (税込)
    大西洋に突き出したポルトガルのロカ岬から、18年ものあいだ結核の療養生活を送っていた天野志穂子のもとに一枚の絵葉書が舞い込んだ。一世を風靡したコーラスグループ〈サモワール〉のリーダー梶井克哉の書いた言葉が、諦念に縛られていた志穂子に奇蹟をもたらす。人間の生きる力の源泉を描いた力作長編!
  • シャドー・エコー
    4.0
    空飛ぶ電子要塞が日口国境に潜入。米空軍の極秘兵器、完全ステルス空中管制機の怖るべき標的とは!? 迫真の航空サスペンス――完全ステルス。多くの戦闘機・爆撃機を空中指揮するアメリカ空軍の極秘兵器「シャドー・エコー」。あまりに建造費用がかかるため、開発が中止されたはずの空飛ぶ電子要塞が、大統領さえ知らぬ間に、日本・ロシア国境へ忍びこんだ。日米ロ3国にまたがる国際謀略戦を、江戸川乱歩賞作家が壮大なスケールで描き出す!
  • ネヌウェンラーの密室
    3.4
    古代エジプト遺跡の宝庫「王家の谷」。新発見された王墓に足を踏み入れた大学の考古学研究室一行を待っていたのは、出口なき死の迷路であった。一人また一人と罠に落ち、血にまみれた死体と化していく。4000年の時を超えて繰り返される惨劇は、古代の呪いか、殺人者の魔の手か。本格歴史ミステリの傑作。歴史と密室、二重の謎に挑む!
  • 甲比丹
    4.0
    三方を海に囲まれた、外国人特別居留地・長崎出島。商館長(カピタン)ヘンミーのもとにおくられた遊女照葉(てりは)は蘭学者の娘。オランダ語を解するがゆえに、幕府と薩摩藩との暗闘に翻弄されるのだった。 都会の恋人たちを描いて定評のある著者が、父の勧めにより壮大なスケールで挑んだ唯一の大河時代小説。惜しまれる未完の大作で絶筆!
  • 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿
    3.3
    依頼人は可憐な17歳の少女、有美。退屈な日々をやりすごしていた探偵飛鳥井史郎は父親探しをうけおったが、その有美が失踪、高原で起きた猟奇的な連続少女殺人事件にまきこまれていた。少女たちの両親には共通の過去があり、因縁と確執がかくされていたが――。ミステリ界の論客が挑む本格長編探偵小説!電子特典掌編「御輿と黄金のパイン」収録!
  • 間諜 二葉亭四迷
    3.0
    明治の文豪・二葉亭四迷は、日本陸軍の指令を受けたスパイだったのか!? ウラジオストック、ハルビン、北京……を舞台に彼の足跡をたどり、隠された真実を明かしてゆく。日露戦争前後に繰り広げられた諜報戦や遠くポーランドの独立運動との関わりまでをも描いた、史実に基づく壮大な歴史ミステリーの傑作長編。(講談社文庫)
  • 風神雷神の殺人
    -
    風神雷神の助けでお前を殺す。謎めいた脅迫が現実になったかのように、怪異な手口で起こる連続殺人。東京、静岡についで4通の殺人予告が列島を走る。動機は何か。犯人が起こしたと豪語する余部(あまるべ)、信楽(しがらき)の列車事故の意味するものは? 捜査一課名物コンビが、凄まじい怨恨に駆けられた犯人を琵琶湖畔に追い詰める!! (講談社文庫)
  • 知床温泉殺人事件
    -
    雪まつりと知床流氷観光のバスツアーに参加した志垣警部と和久井刑事は同じバスで回っていた人気テレビ司会者の妻が流氷観光船から氷の海に転落して死亡する事故に遭遇。同じころ、東京に居残るタレントの夫は、異常なアリバイ工作を展開。はたして彼は犯人なのか? 冬の旅情も豊かに描く殺人ミステリー!(講談社文庫)
  • 殺人者志願
    3.6
    「ある人物を、殺してもらいたい」。菊池隆友と鳩子の若夫婦は、突然の話に言葉を失った。お金はないのに自由な暮らしをしたい、という好き勝手な生活ゆえに膨らんだ借金に困り果て、鳩子の親戚である会社社長に泣きついた二人は、借金を肩代わりする条件として、殺人を依頼されたのだ。背に腹はかえられない。二人はターゲットの身辺調査に取りかかる。しかし彼らを待ち受けていたのは……。息をもつかせぬ傑作長編推理。1987年刊行。(講談社文庫)
  • 旅のない
    3.0
    コロナ禍中の日々を映す4つのストーリー。 芥川賞作家・上田岳弘、初めての短篇集。川端康成文学賞受賞作「旅のない」収録! 【収録作品】 「悪口」 恋人と過ごすホテルでのゴールデンウィーク。「じゃあ、悪口の練習しよっか?」。僕は初めて彼女と会った時のことを思い出す。 「つくつく法師」 朝の散歩は4歳の息子との日課だ。午後、僕は古いPCで、昔書いた小説を読み返す。 「ボーイズ」 10歳と6歳のボーイズは、亀甲柄と市松模様のマスクでやって来た。弟の息子たちを預かることになった夫婦の夏。 「旅のない」 「作家さんなんですよね?」。出張先での車中、会話が途切れると取引先の村上さんが聞いてきた……。
  • 私、産まなくていいですか
    3.3
    鎌倉の海辺のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春。一つ年上の夫・朋希の40歳の誕生日に、ライカのカメラを奮発したことから二人の仲がぎくしゃくしはじめる。結婚するときに、子供はいらないと充分確認し合ったはずなのに、将来のために子供のことを考えたいと言い出したのだ。それからは母親の手術をきっかけに、不妊治療中の姉夫婦とも不仲になるなど、朋希との隔たりは一向に修復できないまま。そのあげく、二人は子どものことが原因で離婚に至るのだった……「独身夫婦」/結婚12年。夫が突然家を出ていき、義母と息子、友人カップルたちと鎌倉の古民家に同居することになり……「拡張家族」/再婚同士、45歳で結婚した花葉はどうしても二人のDNAをこの世に残したくなり、最新技術を求めて海外へ……「海外受精」──妊娠と出産をめぐって“女性の選択”を問いかける小説集!
  • 旅する練習
    3.8
    第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞! 中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。 2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、 ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。 ロード・ノベルの傑作! 第164回芥川賞候補作。
  • 匿名
    3.8
    秘密は、あたしを自由にしてくれる。 超人気YouTuber・ぶんけいが匿名時代の若者を描く、渾身の初小説! 覆面アーティストとして活躍するFと、ファンアカウントでFの正体を追う友香―― 渋谷の屋上で命を絶とうとしていた越智友香を救ったのは、Fの歌声だった。 Fへの思いが生きる原動力となった友香だったが、彼女は覆面アーティストだった。 Fを追い続けた友香は、衝撃の事実を知ることになる。
  • 貝に続く場所にて
    3.0
    芥川賞受賞の鮮烈デビュー作、待望の文庫化。 あの日行方不明となった彼が、ドイツの私の元を現れる。 忘却に抗う言語芸術の傑作にして、鮮烈なるデビュー小説。 第165回芥川賞受賞作 第64回群像新人文学賞受賞作 ドイツの学術都市ゲッティンゲンに暮らす私の元に、東日本大震災で行方不明になった彼が現れる。 陽に透けないほどの存在感を持つその訪問者に私は安堵するが、死者との邂逅はその街と人の様相を重層的な記憶を掘り起こすように変容させてゆく。 群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した著者のデビュー作。 解説=松永美穂(ドイツ文学者、翻訳家)
  • すらすら読める奥の細道
    4.0
    「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり」 松尾芭蕉はなぜ旅に出たのか。 三百年以上たっても、色褪せることのない芭蕉の旅。 芭蕉の身体は亡びたが、芭蕉の魂である言葉は今も時間の中を旅していて、なお永劫の未来へ向かって旅をやめようとはしないのである。ーー立松和平
  • 最高の任務
    3.0
    第162回芥川賞候補作の表題作と、傑作中篇「生き方の問題」を収録。 「手紙」と「日記」を通して、「書く」という行為の意味を問う――。 野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集!  「最高の任務」 大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。 「生き方の問題」 僕は、2歳年上の従姉に長い手紙を書き送る。幼い頃からの思慕と、一年前の久しぶりの再会について……。
  • with you
    3.7
    ☆☆☆2021年 青少年読書感想文全国コンクール課題図書  中学校の部☆☆☆ 夜のランニング中、中学三年生の悠人は公園のブランコに座っている少女・朱音と出会う。 受験を控え、自分の存在意義を見出せないでいた悠人は、 何か事情を抱えていそうな朱音に惹かれていく。 朱音が母の介護と妹の世話をしている「ヤングケアラー」だと知った悠人は、 彼女のために何かしたいと思いはじめる。
  • 檸檬の棘
    4.0
    絶縁して10年――。 私はまだ、父に囚われ続けている。 歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。 こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。 澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト) 挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
  • インフォデミック コロナ情報氾濫
    -
    テレビのワイドショー制作会社に入社した駒野しおりは、ADとして忙しい日々を送っていた。だが、コロナ報道に対する番組の姿勢や、私利私欲に走るプロデューサーたちの姿に、違和感を覚え始める。そしてしおりが2時間の生放送で曝した恐るべき「真実」とは……。元芸人の作家が2年余のコロナ禍を事実に即して描く、前代未聞の書下ろしメディア小説!
  • 瓦礫の死角
    3.8
    父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。 性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはままだ早い」の全四篇を収録。
  • 春の窓 安房直子ファンタジー
    4.5
    どこかなつかしい身近な日常からはるかな空想の時間へといざなう安房直子ファンタジー。 売れない絵かきの家を訪れた不思議な猫の魔法を描いた表題作「春の窓」をはじめ、 心を静かに整えてくれる十二編を収録。 大人の孤独や寂しさをやわらかく包み込み、 何度も読み返したくなる切なくも美しい極上の短編集。
  • この道
    3.5
    祖先、肉親、自らの死の翳を見つめながら、綴られる日々の思索と想念。死を生の内に、いにしえを現在に呼び戻す、幻視と想像力の結晶。晩年まで勁健な筆を奮い、文学の可能性を極限まで拡げつづけた古井文学の極点。
  • 作家ごはん
    3.8
    ドラマ化でも人気の『侠飯(おとこめし)』著者が、自信のお取り寄せ食材と作家経験のうんちくを全開に綴る、エンタテイメント・グルメ小説。入社ほやほやの文芸編集者・和真が担当するのは「書かずのチクリン」の異名をとる竹林賢一郎。高尾山の麓に瓦葺の一軒家に住み隠居同然の竹林は、もう何年も新作を出していない。のらりくらりの竹林は山之内が訪ねるたび、おとりよせグルメを食卓に。そして、のたまうは物故作家たちの伝説的エピソード。ご飯が美味しいのはいいけれど、いったい山之内は竹林から原稿をもぎ取ることができるのか?
  • 噛みあわない会話と、ある過去について
    4.0
    あなたの「過去」は、大丈夫? 美しい「思い出」として記憶された日々――。 その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。 無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集! 大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。 「ナベちゃんのヨメ」 国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」 人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
  • 川っぺりムコリッタ
    4.2
    川べりに建つハイツムコリッタ。家族も生き甲斐もなく、ひとりで生きたいと思っていたはずの「僕」は、図々しくて、おせっかいで、ダメ人間で、落ちこぼれで、繊細で、あたたかくて、人間らしい、このアパートの住人たちに囲まれ、少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく――。 大ヒット映画「彼らが本気で編むときは、」「かもめ食堂」の監督が贈る、新しい「つながり」の物語。 荻上直子監督最新作・映画『川っぺりムコリッタ』、2021年全国公開予定。
  • リバース
    4.2
    深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある“闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。 『夜行観覧車』『Nのために』のスタッフが結集し、本作『リバース』は2017年にドラマ化。主人公の深瀬和久には藤原竜也。恋人役には戸田恵梨香。深瀬の親友、広沢由樹には小池徹平。深瀬の大学時代のゼミ仲間には市原隼人、玉森裕太、三浦貴大など出演し話題になった。
  • 東京ドーン
    3.7
    仕事はある、恋人もいる。でも、物足りない。同じ報われない時代を生きているのに、隣のアイツらは満ちて見える。どうして僕だけ、うまくいかない――。そのむなしさを、カッコ悪さを、自分のせいだと認められるか? 就職、結婚、再会、嫉妬、劣等感。東京に生きる6人の男女の転換点を鋭く描く連作短編集。あがけ若者、あがけ私。ひれ伏せ時代!
  • アラミスと呼ばれた女
    3.5
    安政3年、坂の町、長崎。「これからの世の中、おなごが通詞になったって、罰(バチ)はあたらねェ」攘夷運動、大政奉還、戊辰戦争……一人、この時代を駆け抜けた女性がいた。男装の通詞、その生涯――安政3年、肥前・長崎。出島で働く父から、英語や仏語を習う10歳のお柳。「うち、お父ちゃんのように通詞になりたかとよ」。女人禁制の職に憧れる幼いお柳の運命は、釜次郎、のちの榎本武揚との出会いによって大きく変わっていく。攘夷運動、大政奉還から戊辰戦争へ。激動の時代に消えた一人の「男装」の通詞。
  • 初めて彼を買った日
    3.6
    もうすぐ28歳の誕生日を迎える瑞穂は、親友の里香からプレゼント代わりにあるカードをもらう。それは「クラブ・パッション」というボーイズクラブのカード。若い男の子が、1時間1万円で何でもしてくれるらしい。瑞穂は女性にとっての最高の年齢を27歳だと思いこんでいた。ところがその1年間をセックスどころかキスさえ1度もせずにあと10日で終えようとしているのだった。瑞穂は迷った末にクラブ・パッションに連絡し、ビルの高層階のレストランで相手を待った。現れたのはリョウという、大学生くらいの清潔感のある男の子だった……。大人気「娼年」シリーズのプレストーリーとなる表題作を含む9編を収めた、セックスにまつわる愉悦の世界を美しく楽しむための魅惑の短編集!
  • いのち
    3.3
    腰椎の圧迫骨折で入院し、さらに胆のうがんが見つかった。手術を即断し、秘書・モナに付き添われて寂庵に無事帰還したのは92歳のとき。頭に去来したのはなぜか98歳で亡くなった宇野千代さんや、岡本太郎氏とその秘書、そしてこれまで因縁の生じた男たちのことだった。分けても、日本を代表する女性作家となった河野多恵子氏と大庭みな子氏、二人との強固な結びつきは「作家の業」を浮かび上がらせ、死に際の別離はタイトルにふさわしい「生と死の様」を考えさせる。95歳にして最後の長編小説が結実。
  • 師弟
    5.0
    1990年代、常に巨人と優勝争いを続けたヤクルト。 戦力に恵まれないヤクルトを率い、見事、黄金時代を築いた「最強の師匠」野村克也。 その「最高の弟子」で、五輪では二度、日本代表キャプテンを務めた名選手・宮本慎也。 二人の“授業”が再び実現。 プロとして生きていくための心得とは? 弱者の戦法とは? 野球だけでなく、仕事や人生にも通じる、至高の対話。
  • 十津川警部 山手線の恋人
    4.0
    有楽町の出版社に勤める星野は、山手線で見かける美女に憧れ「山手線の恋人」と呼んでいた。星野は、物故作家の作品を再び刊行するために、その作家の娘を捜す過程で見た顔写真が「山手線の恋人」と似ていることに気づく。田町と品川間の山手線新駅工事現場近辺での脱線や、爆破予告などが続けざまに起き、そこにも彼女の影が。そして捜査にあたる十津川警部を嘲笑うかのように、新たな事件が発生する。 密かに想う女性が犯罪者なのか。「恋人」の正体は?十津川警部が 連続犯罪の真相に迫る!
  • 幸福の劇薬 医者探偵・宇賀神晃
    4.3
    夢の特効薬は、幻なのか? それとも禁断の薬か? 曙医科大学が開発した認知症治療薬「DB-1」は、臨床研究で画期的な成果を上げた。重症患者たちが、ほぼ完全に脳の機能を取り戻したのだ。国際的製薬企業のサニーがいち早く権利獲得に乗り出すが、一人の医師の自殺から浮かび上がったのは、恐るべき計画だった。曙医科大を放逐され、貧乏病院で老医師の代替医として勤める医者探偵・宇賀神晃がその謎に挑む!
  • 南部芸能事務所
    3.9
    1~5巻704~792円 (税込)
    大学2年生の新城は、親友に誘われて見た「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、その日のうちに芸人を志す。漫才の相方探しをするうちに、女芸人の津田ちゃんから、同じ大学に通う溝口を推薦されるが……。弱小お笑いプロダクションを巡る愛すべき人々を、誰にも書けない筆致で紡ぐシリーズ第1弾!
  • 繁あね 美しい女たちの物語
    -
    繁あねは女のエッセンスである。――山口瞳(作家)艶やかに、ときに凜とし、ときに意地悪く――。作家が見つめた女という生き方とは。木場の畔に暮らす作家の私。釣竿をおろす私に突然声をかけてきたのは、繁あねだった。年は十二、三、妹と二人両親に捨てられ、肌にはひどい腫れ物があり、その生い立ちのため人に対して好戦的であることから、町でもその娘を引き取る者はいなかった。少女から女に変わる途上の繁あねとの会話を通し浮かび上がる、その生の在り方や人間の美しさ。表題作「繁あね」のほか、「この女とは一緒にいてはいけない……」そう思い別れた女・おさんへの複雑な思いから、その消息をたずねる男。おさんは、移り住んだ家に次々に男を引き込んでいると聞くが……。女の生を通し、人の心、男女の想いのありようを艶やかに描き出した名作「おさん」など。女性の美しさ、その生の在り方を艶やかに描く名作七篇。
  • 産まなくても、産めなくても
    3.9
    妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語──「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。/「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。レース前、胸に去来したものは?/「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。/「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。/「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは?/「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。/「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。
  • 警視庁情報官 シークレット・オフィサー
    3.5
    1~7巻704~880円 (税込)
    警視庁情報室。それは警視庁が秘密裏に組織した情報部門のプロ集団である。情報室へ舞い込んだ1通の怪文書。エース情報官・黒田は、抜群の情報収集力と分析力で、政・官・財界そして世界的な宗教団体までもが絡む一大犯罪の疑惑を嗅ぎつけるが……。公安出身の著者による迫真の「インテリジェンス」小説。
  • 昭和探偵1
    3.0
    アイドルの水着、ディスコ・クィーン、汲み取り便所……昭和に置き忘れた謎を追え。西新宿の雑居ビルで開業22年のおっさん探偵・熱木地潮に、起死回生(?)の依頼が舞い込む。テレビ局の友人が特番「昭和探偵」に協力してくれというのだ。お題は絶世の人気を誇ったモデル、アグネス・○○が落とした水着を捜すこと! 懐かしい昭和の謎を、ユーモアたっぷりに解き明かす新シリーズ。
  • 黄金地球儀2013【電子特典付き】
    3.0
    八年ぶりに現れた悪友は言った--。「一億円、欲しくないか?」桜宮市で実家の鉄工所に勤める平沼平介のもとに旧友の久光穣治が現れ、バブル期に桜宮水族館に設置された「黄金地球儀」を強奪しようという。ちょうどそのころ、市の管財課は黄金地球儀の警備システムの一部を平沼鉄工所に委託しようとしていたが、そこにはある企みがあった。市役所VS. 町工場、痛快コンゲーム!
  • 時代ミステリ傑作選 逃亡記
    4.0
    突如、命を狙われた武士とそれを助ける女。男が明かされた自らの素性と軍用金を巡る藩内の権力闘争。大きな渦に巻き込まれた武士は……。表題作にして名作「逃亡記」、南町奉行所を舞台に、左官職人を殺めた罪で投獄された女の取り調べを行うなかで浮かび上がる深川・しじみ河岸に生きる人々の姿を鮮烈に描く「しじみ河岸」など。市井に生きる人々の息づかい、生活、そして生き様を活写した名手の筆が光る江戸ミステリの傑作六篇。
  • やがて海へと届く
    3.7
    すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。
  • 小説 昭和元禄落語心中
    4.0
    昭和初期、落語の世界に入った八雲は、同期入門の落語の天才・助六と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏は、成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎とともに、両親の死の真相に迫る。
  • 小説 透明なゆりかご (上)
    3.6
    1~2巻704~726円 (税込)
    看護学科に通う高校3年生のアオイは、夏休みに産婦人科医院で看護助手のアルバイトを始めた。中絶の現場やその後処置を目の当たりにし、初めは戸惑いながらも、出産に立ち合い、次第に命の重みや輝きを感じ始める。
  • 珠玉の短編
    3.0
    恋愛、友情、自尊心――人間の欲望の行き着く先は、グロテスクでブラックで愛おしい!主人公の奈美は、孝一と虹子という夫婦と親しくしている。しかし、孝一が出張中の雨の日を境に、三人の関係は歪み始める。川端賞受賞作「生鮮てるてる坊主」や"珠玉"という惹句に取り憑かれてた作家・夏耳漱子。やがて頭の中で珠玉たちが地位向上と種の保存を騒ぎ出し……!? 表題作「珠玉の短編」など、短篇小説の名手が贈る11編の絶品。

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