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川べりに建つハイツムコリッタ。家族も生き甲斐もなく、ひとりで生きたいと思っていたはずの「僕」は、図々しくて、おせっかいで、ダメ人間で、落ちこぼれで、繊細で、あたたかくて、人間らしい、このアパートの住人たちに囲まれ、少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく――。 大ヒット映画「彼らが本気で編むときは、」「かもめ食堂」の監督が贈る、新しい「つながり」の物語。 荻上直子監督最新作・映画『川っぺりムコリッタ』、2021年全国公開予定。
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「川っぺりムコリッタ」
2022年9月16日公開 出演:松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり
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Posted by ブクログ
いいお話だった。 脚本家の作品だけあって、映画をみているみたいに読むことができた。 せつな、たせつな、ろうばく、むこりった
匿名
不運の中の希望
自分の置かれた環境に文句を言い続けるか、できることからコツコツ始めるか? そんなことを問われているような気がした。 主人公は不運の星の下に生まれたのかもしれない。 クーラーのついた広い部屋には一生住めないかもしれない。 でもそれは必ずしも不幸ではない。むしろ心の平穏を保てる暮らしなのかもしれない。...続きを読む
#ハッピー #切ない #深い
どんなリセットボタンも、本人には救済措置だ。 ある程度のことは赦されるんだなあ、と読み終わったあとで思えた。 諦めずに頑張れっていう人もいるけど、諦めることも赦されるんじゃなかろうか。 諦めている間こそ、ちゃんと休んだり蓄えたりできるんだと思う。 諦めずに頑張ろうとするから、ちゃんと休むことも蓄え...続きを読むることもできないのだ。 諦めたくないことにだけピンポイントで、そのときだけ頑張ればいい。
高校生の時に母親に捨てられた主人公(山田)。 出所したら川べりに住み、何かを覚悟したように、ひっそりとつつましく過ごしたいと思っていた。 北陸地方にあるイカの塩辛工場に仕事が決まり、社長の紹介で、ムコリッタという名前の二階建て木造アパートで暮らすことになる。 時おりよみがえってくる遠い昔の記憶を無理...続きを読むやり消し去りながら、殺風景な部屋で暮らし始める様子に、せつなさがこみ上げてくる。 一風変わった、わけありの住人たちと関わりはじめる中、父親かもしれない男が孤独死したらしいので、遺骨を引き取ってほしいという連絡が入り、少しずつ少しずつ、山田の周りが変わり始める。 アパートの住人全員が家族のようにふれあったり、隣人の島田と育んだ友情に泣いたり笑ったり。 一つ一つの出来事が、映画のワンシーンのように胸に沁み込んできて、ほんのささやかなことにも生きる喜びを感じてしまう。 生き甲斐とかシアワセは、今この一瞬の中にあるのだと。 孤独の中にも、人の温かさを感じる。 この本に出会えて、ほんとに良かったと思う。
以前映画で見ましたが、原作を読んでみた。 読んでる間ずっと、あの炊飯器に入れる米の水を真剣に図る松山ケンイチが頭の中にいた。 映画よりより映像化して頭の中に浮かんできた。 南さんのそっけなさ、洋一のピアニカの音、島田さんの暑苦しさ、社長の「今、辞めんな」の一言。 とても良い。
映画を知ってから本の事も知って。迷ったけれども本から読みました。 帯に書かれている、友達でも家族でもないでも、孤独ではない登場人物達の関係。 生きるのに不器用だったり、自分にはどうにも出来ない過去を持つ人達がまた上手いとはいえない距離感で同じアパートで暮らしている。 みんな結構ギリギリな生活をしてい...続きを読むる中で互いの存在にささやかな幸せに喜びを感じ、思いやり。 映画ではその登場人物達を魅力的に俳優さん達が演じています。 コツコツと続ける。小さな幸せを感じる。 この2つを忘れなければ人は生きていけるのかもしれない。
映画監督でもあり脚本家でもある荻上直子さん。映画『かもめ食堂』が大好きで、私にしては珍しく3回も再見している。今回も彼女の世界観に酔い痴れた。 故郷の町に大きな川が流れていたからなのか、何となく川べりに惹かれる。海とは違い、川に沿って住居が立ち並び暮らし向きがかいま伺える距離感が良いのだ。 川っぺり...続きを読むに佇む築50年の「ハイツ・ムコリッタ」が物語の背景となる。まず表紙の裏にムコリッタの意味が小さな文字で説明されていた。「ムコリッタ」は「牟呼栗多」と書いて仏教用語における時間の単位のひとつ、ここでは「ささやかな幸せの時間」という意味のタイトルとなったのだろう。換算すると1ムコリッタは48分。つまり人生は長いというものの、実は48分位の短い生涯を私たちは生きているということだろうか。 「ハイツ・ムコリッタ」の住人ですでに亡くなっている岡本さんが、美しい紫色の夕暮れを見ながら呟いていた言葉が「せつな(刹那)、たせつ(多刹那)な、ろうばく(臘縛)、むこりった(牟呼栗多)」。通常使われている刹那は0.013秒とのこと! 「この紫色が生まれて消える間に、誰かが生まれて誰かが死んでゆくんだ」。歳を重ねるにつれ実感できるようになってきている。 孤独な青年・山田は、北陸の川沿いの川っぺりに建つ「ハイツ・ムコリッタ」住人の仲間入りをする。彼は刑を終えて出所したばかりで、彼の秘密を知っているのは山田が働く小さなイカの塩辛工場主だけ。川っぺりを選んだのは、自然災害で突然日常が消えることもあるかもしれないというギリギリを味わうことで、生きている実感を確かめたかったからだ。隣の島田、大家の南さんとその娘のカヨコ、201号室には墓石の訪問販売をしている溝口さんはいつも黒スーツを着ていて、息子の洋一と2人暮らし。離婚後音沙汰のなかった父親が亡くなったという知らせが山田に届く。受け入れられなかった父親を山田が徐々に認めていく過程が、ムコリッタの住人達や工場での同僚との暮らしの中で淡々と語られる。 ムコリッタに住む山田の友達でも家族でもない血縁関係者でもない住人達たちとの交流が描かれていた。私も故郷を離れ、息子らが巣立ち現在は夫との二人暮らし。最近は、年老いた隣人たちをつかず離れずの距離感を保ちながら、幾分若い自分たちが見守りあい暮らしている。規模の大きい大型団地だが共に年を重ねた住人たちとの触れ合いは捨て置けない。偶然にその場所を買い求め子育てを終え長く住み着き暮らしたもの同士が、互いに静かに見守り寄り添いながら日々を送っている。 だからか、ほどあいを守る住人同士の触れ合いを描いたストーリーは心に染み入って来る。
映画見てないのだけど、じんわり優しい時間が流れていて好きな感じだった。 刑務所から出てきた山田が、自分の人生に意味を見いだせず、身を寄せた川っぺりのハウスムコリッタ。風変わりな人達が肩を寄せるように住んでいるその場所で、山田は少しづつ自分を取り戻していく。再生の物語は沢山あるけれど、なにか劇的に変...続きを読むわるでなく、こんな風に小さい幸せを噛みしめるように生きることが救いになるのは、すごく自然な気がして、読んでて安心した。 ムコリッタって仏教の時間の単位で48分のことらしい。 何でもない1日に少しづつの変化。その変化の中にひとりじゃないと思えるひととき。そんな変化はただ生きて、積み重ねることでやってくる。 雨空の隙間の空にぴったりな小説だった。
言葉の意味を全く知らなくて、その響きだけで何やら可愛らしいものを想像して読み始めたら… 生や死についてあらためて向き合う時間になった。 自分の生きている時間を、どんな気分で生きるかは自分で決められるんだよな。 どこかほわっと温かくなる、生きる糧になる作品でした。
優しさに溢れて。 どかーんという大きなシアワセではなく、 日常に潜んでる静かなシアワセん見つけるって大事だな。
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川っぺりムコリッタ
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荻上直子
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