筑摩書房作品一覧

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  • 暴走するポピュリズム
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    世界的に長い歴史と波を持つ運動であるポピュリズムは、いかにして日本に現れたのか。世界のポピュリズムの流れとの比較から、1990年代の「改革派首長」(橋本大二郎、北川正恭、田中康夫ら)や小泉改革などに現代日本のポピュリズムの淵源を求め、「橋下劇場」「小池劇場」と呼ばれる「劇場型政治家」が地方政治に現れた政治力学を分析。今後日本でも国政レベルでポピュリズム政党が台頭する可能性があるのか、そうなった場合の危険性や対処法をリベラル・デモクラシー擁護の観点から幅広く論じる。
  • 近代日本思想選 福沢諭吉
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    近代日本を代表する思想家であり、その体現者でもあった福沢諭吉。本書では、彼の思想の広がりとその今日的意義を明らかにすべく、『学問のすすめ』『文明論之概略』については最重要箇所のみの抄録とし、それ以外の多種多様な著作群から幅広く論考を精選。『通俗民権論』『国会論』などの政治論から「尚商立国論」のような商業論、「瘠我慢の説」「明治十年丁丑公論」といった時事評論、さらには天皇論や婦人論までをバランスよく配置した。政治思想史・政治哲学を専門としてきた編者ならではの観点から編みあげられた清新な福沢像。文庫初収録論考多数。
  • 哀愁新宿円舞曲 増補版
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    1950年代の新宿、青線地帯での男女の交わりを描いた人情話「娼婦の街」「歌舞伎町夜景」、日記や手紙で構成され思いもよらない結末で読ませるサスペンス「狂犬日記」「手紙の毒」他、様々な題材や形式を用いて、都会の街角で生きる人々の歓びと悲しみ、笑いを描いた鬼才・都筑道夫のエッセンスが詰まった幻の短篇集。2作品と日下三蔵氏の解説を加え、増補版として待望の文庫化。
  • 野に咲く花の生態図鑑【春夏篇】
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    オオイヌノフグリの青い瞳の花の秘策、虫を騙して命も奪うムサシアブミの花、キノコに養われる純白のギンリョウソウなど、野に生きる植物たちの美しさとしたたかさに満ちた生存戦略の数々。『したたかな植物たち』、『美しき小さな雑草の花図鑑』などの著作で人気の著者が植物への愛をこめて綴る珠玉の植物エッセイ集。
  • 宋詩選
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    唐詩の時代より、「詩」という形式が広く親しまれるようになり、作者も作品もはるかに数多かったと言われる宋代。本書では、この安定した中国的国家体制が敷かれていく時代を、北宋と南宋に大別し、おのおの約30人ずつの数作を選ぶ。自分が好きな詩に限って選んだと述べつつ、王安石、黄庭堅、蘇軾、陸游ら、偉大なる詩人たちの名作を解釈し訳出する。巻末につけられた編訳者による「解説」は、親しみやすい調子で書かれた充実の宋詩論かつ漢詩概説にもなっている。
  • 妖精悪女解剖図 増補版
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    若い男との同棲の末、殺害を決意する女の想い、喫茶店に嫌がらせの落書きを続ける女の目的、給料強盗事件の真相を知ったことで性格が豹変する女の心理――。“女性”を各作品のメインに据えたサスペンス小説集。彼女たちの行動や思惑、二面性が物語に波乱を巻き起こし予測不能の結末を用意する。単行本未収録の短篇2作を増補し、日下三蔵氏の詳細な解説を付した。鬼才・都筑道夫の隠れた名作。
  • 連帯論 ──分かち合いの論理と倫理
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    “連帯”という言葉はすでに有効性を失っているのだろうか――。人間一人ひとりは欠如を抱えているが、複数人が結合すると一人では不可能な過剰が生まれる。この欠如と過剰を往還するなかでわれわれの日々の生は形づくられる。本書は、連帯の定義・分類・歴史から始まり、経済や宗教との関わり、そして連帯それ自体が持つ困難について包括的に考察した初の論考。人間の存在構造として連帯を捉え、その可能性をいま一度問いなおす。
  • 蒋介石を救った帝国軍人 ――台湾軍事顧問団・白団の真相
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    日中戦争後、蒋介石は帝国軍人による軍事顧問団・白団を組織させた。直前まで宿敵だった者同士が手を結ぶことができたのは、なぜか。米国のフーバー研究所で公開された、蒋介石の50年を超える日記、白団の生存者たちの肉声、さらに台湾軍上層部の証言を集めた。敗戦国軍人の思い、蒋介石の真意とは。
  • 身心をひらく整体 ──快気法で気持ちよく体を変える
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    いま、IT化による目の酷使で、体は危機に瀕している。野口整体を学び、「快気法」「心道」などの技を編み出した著者が、体を解放する方法を伝授する。あくびの気持ちよさを体いっぱいに広げることで、緊張を解きほぐし、肩こり、腰痛などを取る方法ほか、不調を正す呼吸法、体操等満載! 人とのコミュニケーションにも生かせる。文庫化にあたり、新たな快気法を収録。
  • 聖母の美術全史 ――信仰を育んだイメージ
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    2020年4月、一枚の聖母像の前でフランシスコ教皇は、新型コロナと戦う連帯を全世界に呼びかけるミサを行った。今も昔も、悩み苦しむ人びとが求めるのは、「母なるもの」のイメージなのだろう。イコンをその源に持つ聖母は「受胎告知」「ピエタ」「無原罪の御宿り」など様々な主題を生み、祈りの対象としてのみならず、西洋美術史を強く牽引した。聖母像の起源から、ルネサンス、バロック、日本の南蛮美術やお掛け絵、現代美術に至るまで、その大潮流を追いかける比類なき美術史。
  • キリスト教とシャーマニズム ──なぜ韓国にはクリスチャンが多いのか
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    韓国はクリスチャン大国だ。韓国人の19.7%がプロテスタント、7.9%がカトリックで、キリスト教が第一宗教である。近代以降、伝統的なシャーマニズムが形を変えてキリスト教伸張につながった。また、その独特な布教でも知られている。こうしたキリスト教の実態はいかなるものなのか。韓国シャーマニズム研究の第一人者である著者が、自身のシャーマニズム研究と韓国社会調査をベースに、わかりやすく解説する。
  • 「ポスト・アメリカニズム」の世紀 ――転換期のキリスト教文明
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    20世紀をリードしたアメリカ文明も、近年、動揺を来すようになった。9・11同時多発テロ、ポピュリズムの台頭、COVID‐19の世界的流行、そしてGAFAに象徴されるテクノロジーの支配……。アメリカニズムは今、どこへ行こうとしているのか?そもそも、その根底には何があるのか? 現代社会を突き動かす「総かり立て体制」、社会に底流し続け、時に政治をも動かす宗教。この二つの視軸から、転換期のキリスト教文明に光を当て、「ポスト・アメリカニズム」の世紀を展望する渾身作である。
  • 古事談 上
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    鎌倉時代前期、源顕兼によって編まれた全460余話に及ぶ説話集の傑作。聖徳太子に弘法大師、藤原兼家に藤原道長、小野小町に清少納言、信西入道に西行法師、鳥羽僧正覚猷から仏師定朝など、古代以来の歴史、文学、文化史上の著名人を主とし、その人たちにまつわる隠れた逸話の一大集成。一般の古典文学や日本正史では取り上げられることのない話が数多く収録されている。本書は、ひらがな交じりに書き下した読みやすい本文に、的確な人物注と明快な現代語訳、評を初めて全話に施す。説話集というスタイルが、日本文学史上なぜ一世を風靡したのかが体験できる画期的訳注書。
  • 三八式歩兵銃 ――日本陸軍の七十五年
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    明治の創設から昭和の解体まで、本書は日本陸軍75年の歴史を描いた全史である。三八式歩兵銃は、かつての日本の若人なら誰もが一度は手にした兵器であり、軍の象徴であった。旅順の堅塁を白欅隊が肉弾突撃したとき、あるいは特攻隊将兵が爆薬もろとも敵艦に突入していったとき、日本陸軍は何をしたか。日清・日露・第一次世界大戦・日中・太平洋戦争における日本陸軍の行動を密度高く記述する。元・陸軍中佐の著者は「無数の将兵の苦闘を偲びながら、これに報いえなかった陸軍のふがいなさの因果を明らかにしようとした」と述懐する。兵器写真を多数完備した、軍事資料としても貴重な、渾身の興亡全史。
  • 私の憲法勉強 ──嵐の中に立つ日本の基本法
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    1950年代初頭、冷戦の激化を背景に起こった日本国憲法改正論。この動きに対し、シェイクスピアの翻訳で名高い英文学者が反応する。改憲派の主張は、アメリカによって押しつけられた憲法を廃し、日本人が自主的に憲法をつくることであった。しかし、かれらの主張は本当に妥当なのか。日本国憲法成立の事情を調べながら、浮かび上がった事実を平明率直にまとめたのが本書である。そこには国民がまたも騙され、個人の自由や権利が制約されることへの危機感があった。憲法という国民的利害の最も重大なものについて、われわれはどのように臨むべきなのか。著者の切実な訴えはいまも強く響く。
  • 近代日本思想選 三木清
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    活動的に哲学するとはいかなることか―。戦前日本を代表する知性として思想界を牽引した三木清。非業の死によりその哲学は未完に終わったが、それゆえに今日なお可能性を示唆してやまない。ハイデッガーからの決定的影響、マルクス主義の哲学的掘り下げ、そこから前景に浮かび上がる歴史という問題、そして同時代の政治への関与。三木の思考には時代との格闘の跡が生々しく刻印されている。本書は、主著『歴史哲学』などを中心に、1920年代の前期から30年代以降の後期まで、三木哲学の新たな読解に資するテクストを精選して構成。未来の思考を切り拓く力をいまここに伝える。
  • 紅衛兵とモンゴル人大虐殺 ――草原の文化大革命
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    1巻1,925円 (税込)
    文化大革命で、中国政府は内モンゴルのモンゴル人34万6000人を逮捕し、2万7900人を殺害した。実際には30万人が犠牲になったとの調査もある。このモンゴル人虐殺に、毛沢東の中国政府は、学生たちを中心とする紅衛兵を使った。彼らをジェノサイドに駆り立てたものは、いったいなんだったのか。ほとんど公開されていない『紅衛兵新聞』などの貴重な一次資料をもとに、内モンゴル出身の著者が大虐殺の真相を解明し、世界から無視されてきた文化大革命の負の側面に光を当てる。
  • 壊れた脳と生きる ――高次脳機能障害「名もなき苦しみ」の理解と支援
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    41歳で脳梗塞を発症し、高次脳機能障害が残った大介さん。何に不自由なのか見えにくい障害は、援助職さんにも十分に理解されていない。どうしたら当事者さんの苦しみを受け止め、前に進む支援ができるのか。専門医であるきょう子先生と、とことん考え抜きます。
  • 生の仏教 死の仏教
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    仏教は死後の救済のためのものだと思われたり、思想として知的に享受するものだと理解されることが多い。しかしそれは誤りだ。仏教はこの世を生きるための教えであり、その教えは念仏などの「行」を行うことで初めて意味を持つ。異国アメリカに仏教を広めた京極逸蔵は、仏教国でありながら仏教が根付かない日本に向け、彼の地から一つの提案をした。それが本書で説かれる「六波羅蜜」の実践だ。六波羅蜜は仏教徒の倫理規範というだけでなく、それを実践することが宗教的な目覚めへの近道ともなるからだ。専門用語に丁寧な説明をルビで付した、心底わかる仏教入門。
  • カント入門講義 ――超越論的観念論のロジック
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    我々が生きている世界は、心の中の世界=表象にすぎない。その一方で、しかし同時に「物自体」はある、とも言うカントの超越論的観念論。そのカラクリとして、基本的なものの見方・考え方の枠組みが人間の心にはあらかじめセットされているとカントは強調したわけだが、この点を強調することによって、その哲学は、後年の哲学者達の思想的転回に大きく貢献したと著者は説く。平明な筆致で知られる著者が、図解も交えてカント哲学の要点を一から説き、各ポイントが現代の哲学者に至るまでどのような影響を与えてきたかを一望することのできる一冊。
  • 持統天皇と男系継承の起源 ――古代王朝の謎を解く
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    古代の大王・天皇には男性と女性、男系と女系が入りまじっていた。それが男系ばかりになったのは、なぜか? そして、いつ、誰が、どのように? 本書がまず注目するのは、天孫降臨神話とともに成立した持統「双系」王朝である。始祖となった女性天皇は代替りをタテの血脈でおこなう天皇制システムを創出し、皇祖神を祭る伊勢神宮に永遠の更新システムを埋め込んだ。しかし持統没後、双系継承は覆る。男系継承は藤原不比等が主導した平城京遷都に仕組まれていたのだ。神話、大嘗祭、王宮や王都、終末期天皇陵から古代王朝の謎を解き明かす。
  • 『往生要集』入門 ――人間の悲惨と絶望を超える道
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    「地獄」と「極楽」を描き出した『往生要集』は、現代の宇宙論の常識をはるかに超えた無限の時空間において、人間の悲惨と絶望を超える道を見いだした。著者源信は、人間の心底を流れる真実を求める強い願いを明らかにしようとしたのだ。法然と親鸞が揺るぎなきものとした浄土仏教の源流となる世界観を、やわらかに案内する。不条理や問題に直面し、それを解決、納得しようともがきながら生きている私たちにとって示唆に富む決定版入門書である。
  • ロック入門講義 イギリス経験論の原点
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    「人間の知識の起源と確実性を探求し、あわせて信念や意見の根拠を探求することが私の目的である」。ジョン・ロックは、近代哲学の基盤というべき「認識論」において、最初のアプローチを試みた一人である。しかし、その仕事に対しては誤読が重ねられ、真意は充分に捉えられてこなかった。例えば、ロックは心の直接的対象を観念と設定したため世界へのアプローチを不可能にしてしまったという批判等だ。イギリス経験論の原点となったロックの思想の真意とはどのようなものだったのか?社会思想・政治哲学でも知られるロックの形而上学的真価に迫る。平明な筆致による、書下ろし学芸文庫オリジナル。
  • 食べちゃいたい
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    「男は私を四つ切りにすると、溶けかかった私の四分の一からたれている汁に指をべとつかせてひと口で舌の上で潰した。……歯と舌が近づいて来る。なんだかとっても幸せで安らかな感じ。至福ってあるのかしら」(柿)セクシーなじゃがいも。湯上りブロッコリー。ざくろの喜び。プリンスメロンのコンプレックス。野菜と果物を題材に、人生の官能と悲哀と愉楽を描き出す傑作ショートショート集。
  • 歌を探して ――友部正人自選エッセイ集
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    言葉の感覚の鋭さで1972年のデビュー以来、高く評価されるミュージシャンが自ら編んだエッセイ集。尖った感性の「ちんちくりん」(78年)、毎日が新鮮な「生活が好きになった」(86年)、予期せぬ国に滞在することになる『パリの友だち』(91年)、詩と音楽の日々『ニューヨークの半熟卵』(2003年)、そして未収録作や書き下ろしも。
  • 保守思想とは何だろうか ――保守的自由主義の系譜
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    一般的に、保守思想と自由主義(リベラリズム)は水と油のように相容れないとみなされる。しかし本来、正しい「保守」であれば自由主義を擁護するし、本物のリベラルであれば「保守」たらざるをえない。本書では、デヴィッド・ヒューム、福澤諭吉、フランク・ナイトという三つの偉大な知性を召喚し、歴史の転回点に立った彼らが、近現代世界の黎明期に見出した共通の主題「保守的自由主義」を抽出する。彼らが追究した思考を追体験することで、同じく歴史の転回点に立つ私たちが、二元論に惑わされずに保守思想の本質にたどり着くための道筋をさぐる。
  • マスターズ ――ゴルフ「夢の祭典」に人はなぜ感動するのか
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    一人のアマチュアの夢が、なぜ全ゴルファーのあこがれのトーナメントになっていったのか。球聖ボビー・ジョーンズが作った私的な大会がメジャーに発展していった秘密とは? 情熱と戦略、そして時代の流れ……ゴルフをしない人が読んでもおもしろい「マスターズ物語」。『書斎のゴルフ』編集長だった著者が、その成り立ち、コースの美しさと難しさ、そして数々の名勝負を解説。オーガスタナショナル全図と18ホールのコース図と攻略法、ゴルフ上達の名言も掲載。
  • 大相撲40年史 ――私のテレビ桟敷
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    北の湖・輪島ら四横綱時代から千代の富士時代、貴乃花・曙・武蔵丸の時代、さらに八百長疑惑騒動を経て、朝青龍や白鵬らモンゴル出身力士たちが角界を席巻する現在まで――四十年間の相撲界を著者自身の個人的体験を織り込んだクロニクル形式で振り返る。テレビに映し出された土俵のみならず、八百長事件など土俵外の騒動までを、著者一流の大相撲と世相への知見を盛り込んで解説。折々の幕内力士番付や部屋系統図・年寄名跡一覧などの付録も充実した、相撲ファン必携の一冊。
  • 血の日本思想史 ――穢れから生命力の象徴へ
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    古くは、日本社会は強い血族の結束を志向していなかった。「血縁」「血統」などの言葉は江戸時代の新語であり、それ以前には「血」は世代間で受け継ぐものではなく、もっぱら穢れを表す、死の象徴だった。それがなぜ江戸時代に「血」が家族のつながりを表すようになったのか。古代、中世から日本人の「血」へのまなざしの変遷をたどり、近世における宣教師の影響や、近松門左衛門の浄瑠璃における「血」という語の「発明」などに注目。日本人の生命観の変転をみる、新しい思想史の試み。
  • バロック音楽 ──豊かなる生のドラマ
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    17世紀初頭、宮廷文化が芽吹きはじめる中で、バロック音楽は開花した。華やかな祝祭が催される一方で、戦争・疫病・凶作に苛まれる不安な時代。強く激しい感情表現こそがバロック音楽の本質であり、即興的装飾と通奏低音などの技法、新様式、音楽理論がそれを支えた。本書はバッハ研究の第一人者が、荘厳な教会音楽や華麗なオペラ誕生の背景、伊独仏英各国の事情、作曲家たちの試行錯誤などに注目し、その歴史的意義を強調する。バロック音楽の全貌を平明に描きつつ、芸術史・思想史と結びつけなおした必携の入門書。
  • インドの数学 ──ゼロの発明
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    サンスクリット文化圏の数学は、多様性と創造性に溢れ、数学史においても大きな足跡を残してきた。「ゼロの発明」はとりわけ有名であるが、それにとどまらない。本書は、ヴェーダ祭式の祭場設営に由来する最古層の幾何学に始まり、ジャイナ教徒の数学と哲学・世界観との関係、数学と天文学、7世紀以降のアルゴリズム数学と代数の確立など、各時代に開花した数学を概観し、その発展の過程を探る。終章では、三角関数、ホロスコープ占星術、筆算法、和算などのトピックを通して、インドと他文化圏との数学の伝播を考える。
  • 内村鑑三交流事典
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    近代日本を代表するキリスト者・内村鑑三。一見孤高の思想家に見えながら、実は内村は、日本人のなかでは類例がないほどの文化的「山脈」を形成していた。宗教界から、教育界、文学界、社会事業界に至るまで、多くの分野に及ぶ交流のさまを追うことによって、一個の精神と時代の姿が浮かび上がってくる――。本書は、序章で質的漸進を遂げていった内村の生涯を記した後、生前に関係した人物二百数十名を対象に、両者の交流を事典形式で紹介。巻末には詳細な内村の年譜も収録する。文庫オリジナル。
  • 生物多様性を問いなおす ──世界・自然・未来との共生とSDGs
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    本書では生物多様性を、「生物資源」と、人類の「生存基盤」という二つのの価値と、さらにその両方を統合したアプローチである「地球公共財」と位置づけて考察していく。大航海時代以降の植民地・帝国主義時代からグローバル企業などによる現代のバイオテクノロジーの時代までの生物資源をめぐる先進国・途上国という構図、自然保護を目的とした国立公園で生じる軋轢や地域社会との関係。人類と自然との相利共生関係。そして近年世界的な標語となったSDGsを見据え、将来世代に引き継ぐべき「三つの共生」を提起する一書である。
  • 「日本人」力 九つの型
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    極東の島国で資源にも乏しい日本にとって、教育こそが成功と発展の礎だった。ところが今日、事なかれ主義が横行し、いじめや学力崩壊などの現象は改善されず、「教育」は機能不全に陥っている。そもそも日本人を日本人たらしめたものとは何だったのだろうか。近代日本を果敢に生きた九人の生き方と工夫の中から、「教育力」の真髄を汲みとる。
  • 精選 シーニュ
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    20世紀フランスを代表する思想家モーリス・メルロ=ポンティ(1908-61)が死の前年にまとめた論集『シーニュ』。同書には、言語学、絵画論、人類学への言及や、フッサール論、ベルクソン論、マキアヴェッリ論など、おもに中期から晩年にかけて執筆された多彩な論考が収録されており、その多中心的な思想を一望するうえで欠かせない一冊となっている。本書ではそのなかから、ニザンとサルトルとの関わりが美しく綴られた序文のほか、「間接的言語と沈黙の声」「哲学者とその影」など重要論考6本をセレクトし、新訳。清新な訳文と懇切丁寧な注釈・解説により、その真価が明らかとなる。
  • 飯舘村からの挑戦 ――自然との共生をめざして
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    学生時代に東大大学院で高エネルギー加速器物理学を研究していた著者は、福島第一原発事故に際して「被災地の放射線量はどうなっているのか」と疑問をもち、福島県飯舘村の農民と協働して再生への活動を始めた。ボランティアと研究者を結集して「ふくしま再生の会」を結成し、飯舘村で自然と人間の共生を訴える著者が、震災から十年の節目にこれまでの活動を振り返り、都市から地方への流れが進むポストコロナの時代に不可欠な、自然との共生理念とその実践の道を提示する。
  • ほとけの姿
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    ほとけとは何か。ほとけとは、どんな姿でどこにいるのか。著者は生涯をかけこのテーマを追い求めた。三十三間堂の千手観音立像千一躯や広隆寺弥勒菩薩半跏像ほか1300体を超える国宝仏の修復家であり、仏像彫刻家にして天台宗の僧侶でもある著者が、伝え遺したかった渾身の著書。挿絵70点以上を添え、やさしい言葉で語りかけるように綴った滋味深い仏教入門書。
  • 言霊と日本語
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    コトダマは、呪術的な思考や国粋的な主張と結びつくと、言霊信仰や言霊思想などと呼ばれることもあって、非科学的な発想だとされがちである。しかし情報が少なかった江戸時代の国学者の研究・分析を読みなおすと、ことばに沈潜した博学たちだからこそ、たどり着けた鋭い言説が垣間見える。そこでは学問的な蓄積がはじまっており、現代の言語学に通底する発見もあった。ことばの渉猟者たちの足跡をたどり、ことばの深奥と、詩的言語としての日本語表現に迫る一冊。
  • 飛田残月
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    飛田の旅館に出入りする私は、かつて亭主といきさつのあった娼婦・芳子と一晩をともにするが、そこで泥沼から這い上がろうとする女の狂おしくも悲しい復讐心にふれ――(「飛田残月」)。過去を秘めながら雑草のように身を寄せ合い生きる娼館の女たち。水面下で互いを守ろうとする静かな想いの正体は……(「雑草の宿」)。酷薄さとやさしさの溶けあう筆致で淪落の者たちへの愛を描き切った、直木賞作家による傑作8篇。
  • スーパーリッチ ──世界を支配する新勢力
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    現代では、上位1%が世界の富の半分近くを支配している。特に、ビリオネアと言われる超富裕層が急拡大する傾向にある。彼らが政治、経済、社会に及ぼす影響が強まっており、その動向抜きには社会の行く末は語れない。そこで、衣食住、教育、趣味の世界など、知られざる富裕層の素顔を明らかにする。コロナ禍の影響もあり、ますます格差が広がっていると言われるが、あまりに進めば、抗議活動、反発も大きくなり、社会不安は高まる。行き過ぎた分断社会の行方は?
  • 日本人の9割がじつは知らない英単語100
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    知ってるつもりの英単語でも、ネイティブが多用しながら日本人にはあまり知られていない「使える」意味、用法がある。本書は、高校英語までにおよそ出あう単語の中から、意外な・面白い意味を持つ100の英単語を集めた単語解説集です。これらを知っていれば、英語文献や英語記事、英語の動画などもすらすら理解できるはず! あなたはいくつ知っているか?!
  • 南方の志士と日本人 インドネシア独立の夢と昭和のナショナリズム
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    1巻1,485円 (税込)
    「インドネシア人」初の日本留学生、ウスマンとガウス。二人が来日したのは、一九三〇年代の日本。ナショナリズムが台頭するなか、頭山満らと出会い、大アジア主義を学び、アジア各地からの志士と交流を深めながら、インドネシア独立をひたむきに目指した。日本人女性との恋愛・結婚、特務機関への協力、独立の志士としての活動など波乱に満ちた人生を、国内外でのフィールドワークと膨大な文献から描き出す。「親日」と「反日」の間で揺れ動いた二人の軌跡から浮かび上がってくる昭和秘史。比類なき労作の誕生である。
  • 秘本大岡政談 ──井上ひさし傑作時代短篇コレクション
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    没後10年。時代小説にも多くの名作を残した著者の、単行本未収録作品を中心とした傑作短篇集。江戸城の御文庫に通い、古今東西の判例を調べ上げ、「裁き」の根拠を決める町奉行大岡忠相の姿を書物奉行の視点から描く表題作のほか、一話のみで中断した「いろはにほへと捕物帳」、「戯作者銘々伝」の番外編とも言える「質草」等の未収録作品に明治開化期を舞台にした短篇「合牢者」「帯勲車夫」を併せて収録。
  • 戦後日本を問いなおす ――日米非対称のダイナミズム
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    米日の支配・従属関係の原型は、太平洋戦争の勝者と敗者との上下・優劣関係のなかで形成された。米国主導のこの「日米非対称システム」が生んだ天皇制温存、新憲法、旧・新安保条約が戦後日本にとって何を意味するかを分析。米国優位を許す弱者日本独自の理由を考察する。また冷戦後の安保条約変容を検証。中国台頭・米国後退の中、政治的自立を欠く日本を厳しく見据える視点から、相応の軍事的負担を担いつつ民主主義を確たるものにするため、いま日本国民が何をすべきかを問う。
  • アジア主義全史
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    江戸中期~明治期日本に起源を持つアジア主義は、中国などアジア諸国と連帯して西洋列強に抵抗し、アジア解放を目指すものだった。それは1930年代以降の日本のアジア侵略に名目を与えてしまった。だが大東亜共栄圏の思想は興亜論に形を借りた脱亜論であり、決してアジア主義ではない。戦前の中国のアジア主義や、現代日本の「東アジア共同体論」などに形を変えた左右両極のアジア主義的言説にも注目。真のアジア共生への道を探るべくアジア主義の全貌を描き、その再評価を試みる。
  • 古伊万里図鑑
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    青山二郎と親交を結び、北大路魯山人に星岡茶寮を任され、柳宗悦の蒐集に協力した稀代の目利き、秦秀雄。すべての古美術に精通したが、伊万里を鑑賞の世界に引き上げた牽引役としてつとに名が高い。本書は、その秦が満を持して刊行した、究極の古伊万里鑑賞案内だ。掲載されている品々は、今も愛好家垂涎の的となっており、蒐集のスタンダードになっている。収められているのは、代表的な染付や白磁から、希少な赤絵、鉄絵、辰砂、鉄砂、瑠璃釉まで、約340点。秦秀雄の眼が射抜いた見どころを、ぜひ味わっていただきたい。幻の名著、遂に文庫化。
  • オリンピア 遺跡・祭典・競技
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    オリンピック発祥の地・オリンピア。そこは、古代ギリシアを代表する体育競技の場であっただけでなく、広く古典古代史の結節点でもあった。ゼウス神へ献ずる宗教儀礼=オリンピア祭はいかにして始まり、そこでの競技とはどのようなものであったのか。本書は、オリンピアの発掘史と遺跡の概要を述べた後、興味深い逸話を交えつつ競技祭典の実像に迫る。碩学が明快な筆致で描いた古代ギリシア史の名著。
  • プロ野球VS.オリンピック ──幻の東京五輪とベーブ・ルース監督計画
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    1931年、東京六大学対全米選抜の日米野球が成功すると、読売新聞社長の正力松太郎は三六年からのプロ野球発足を決意。同じ頃、ベルリン五輪での野球競技が決まり、アメリカはベーブ・ルースを代表監督にすると発表。さらに東京が五輪開催に名乗りをあげ、選手たちが五輪出場かプロ野球かで悩むなか、各球団による争奪戦が始まる。沢村栄治ら有望な若者はいかなる運命の選択をしたか。プロ野球草創期の秘話を掘り起こす。
  • アカシア・からたち・麦畑
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    ふり返ってみたいような、いちばんふり返りたくないような小さかった時。いじめられて泣いている私。泣き顔を見せまいと井戸端で水をガブガブ飲む私。子ども同士のずるさにムシャクシャした私。おとなの嘘をみていた私。甘味でつらかったあの頃が時のむこうで色鮮やかな細密画のように光っている。あの頃のすべてのものに声援を送ろう。がんばろうと。
  • 近代日本思想選 西田幾多郎
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    東洋思想の絶対無を根底に据え、それを理論化して西洋哲学と融け合う独自の哲学を打ち立てたとされる西田幾多郎。「純粋経験」「場所」「非連続の連続」「永遠の今の自己限定」「行為的直観」「絶対矛盾的自己同一」――。それら中心概念はいかにして生まれ、いかなる変転を遂げていったのか。その理論的変遷と射程を追跡できるように、本書には、『善の研究』をはじめ、西田哲学のエッセンスとなる最重要論考が収められる。西田におけるナショナリズムを照射する「日本文化の問題』と、生命哲学への道を開く未完の論考「生命」は文庫初収録。
  • 「超」働き方改革
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    かつて、個人が組織や集団と融合していることは、日本企業の強みとされた。しかし、工業社会から情報社会への転換によって、仕事の内容が変わり、働く人が多様になった。今、働き方改革の最重要課題は、明確な役割を持つ多様な個人が共に働く組織をつくることである――。長時間労働、男女格差、パワハラや生産性の低下まで、日本企業の根深い問題は「分ける」戦略で解決できる! 仕事、職場、キャリア、認知の四つの次元から、組織から個人を分け、その上で統合する方策を示す。
  • 日本大空襲 ──本土制空基地隊員の日記
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    太平洋戦争時、帝都防衛の任をおびていた陸軍飛行第五十三戦隊。その整備兵であった著者は、日本全土への空襲が本格化する昭和19年11月から翌年の敗戦に至るまで、手許にあった文庫本の余白にひそかに日記を書き綴っていた──。苛烈をきわめる各地への空襲とその被害の経過を定点観測のように詳細に記録しつつ、そこに疲弊していく兵士の日常や傍観者たらざるを得ない自身へのやるせなさ、膨らんでいく戦争・国家への疑念、荒廃していく国土や次々と斃れていく戦友への痛切な思いが、随所に差し挟まれていく。等身大の兵士の視点から本土空襲の全貌を綴った貴重な記録。
  • 大名庭園 ──江戸の饗宴
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    小石川後楽園、六義園、浜離宮等、大名家が誇った名園はどのように造られ、そこではどのような社交や饗宴が催されていたのだろうか。自然の地形や植生の利用、潮入りの池のような大泉水、回遊様式など、日本庭園の魅力的な特徴を備えた大名庭園。そこを舞台に繰り広げられた茶事から趣向をこらした酒宴など多様な遊興と社交に、本書は注目する。大名庭園は京の公家文化と武家社会をつなぎ、当時の芸能、芸術全体を取り込んで成立したことが明らかになる。西洋の宮殿庭園とも機能を比較する他に類をみない文化史。
  • 三越 誕生! ──帝国のデパートと近代化の夢
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    日露戦争勝利により東アジアの帝国としての地位を確立していく近代日本と軌を一にするように、三越呉服店はデパートメントストア宣言を掲げ、呉服店からの脱却をめざす。「学俗協同」を提唱し、欧米経験を持つ文化人で「流行会」を組織し、都市空間を彩るファッション、雑貨、サービスを生み出す快進撃は、当時の女性観や児童観を牽引することになった。一九〇四~一四年、帝国への道を歩む日本を映し出した「三越デパートメントストア」の草創期を、当時の文芸作品や新聞、雑誌などを通して実証的にたどる。貴重図版を多数掲載。
  • 現場力 ──強い日本企業の秘密
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    IoT、AI、インダストリー4・0――。官主導で次々に仕掛けられる潮流に飲み込まれた日本の産業界は、重要なものを見落としている。それは、日本企業の技術開発が現場で行われてきたものであり、リーダーが計画できるものではないということだ。では、真に競争力のある企業が持っている「現場力」とはなんなのか。ドイツやタイ、そして日本のものづくりの現場を歩き、従来の完成品メーカー/下請けの関係を超えて地方発の新たな取引関係を打ち立てつつある、日本企業の強さの秘密に迫る。
  • 線型代数 ──生態と意味
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    線型代数は大学教養課程で学ぶ数学の柱のひとつだが、もう一方の柱、解析学ほど学生には定着していない。これは、線型代数がどういう世界を語り、どのような生態なのか、長い歴史のある解析学と較べ、見えにくいことによる、と著者は言う。物理学や工学、化学、経済学、情報系など多くの分野で有効な武器として使われている線型代数をイメージや意味のセンスを大切にしながら、根本的な概念からひとつひとつ丁寧に説明する。「基礎」の骨格をくっきり際立たせた一味違った入門書。
  • レントゲン、CT検査 医療被ばくのリスク
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    そのレントゲン検査、本当に必要? 日本では健康診断や検査での医療被ばくがとても多い。しかし、乳房はエコー検査、胃は胃カメラなど他の方法もある。「その検査は最良の検査方法か?」を医師と相談しよう。放射線の被ばく量は通常、胸部30、乳房マンモグラフィ400、胃3100、PET4400、腹部CT6800μSvにもなる。文庫化にあたり、311以降の被ばく状況を大幅加筆。
  • 仁義なき聖書美術【新約篇】
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    「この中にわしのことを密告(チンコロ)する奴がおる」幼児大虐殺! 十字架刑! そして、やくざ王国の建設! ヤハウェ大親分から直盃を受けた(と言われる)イエスと十二人の舎弟の悲喜劇が展開される新約聖書の世界を、芸術家たちはどのように表現してきたのか。エル・グレコ〈神殿から商人を追い払うキリスト〉、レオナルド・ダ・ヴィンチ〈最後の晩餐〉、マティアス・グリューネヴァルト〈磔刑〉などの名作を、やくざ風物語と丁寧な美術鑑賞で読み解く。画期的美術読本!! 【旧約篇】と同時刊行!
  • 嫌ダッと言っても愛してやるさ!
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    日本のパンクロックの元祖・遠藤ミチロウの第一エッセイ集。著者が自著の中でも最も愛した本。「この一冊で、あの(THE STALIN)デビューから解散まで(80~85年)自分が何を考えていたのか、あらゆる角度から手にとるようにわかるのだ」。破壊的で土着的。吉本隆明との83年の対談を収録。文庫化に際し、詩、未収録エッセイも収録。【※紙書籍版に含まれる歌詞は、本電子書籍には含まれません。】
  • 危機に立つ東大 ──入試制度改革をめぐる葛藤と迷走
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    大学という場が危機に直面している。日本のリーディング大学である東大においても、秋季入学への移行、英語民間試験の活用といった問題をめぐって目的と手段の逆転した議論が進行し、本来あるべき思考の筋道が見失われている。制度改革をめぐる混乱がここまで尾を曳いたのは、日本社会を透明な霧のように包む「諦念」や「忖度」の空気が、大学という学問の府にまで浸透してしまったせいではないだろうか。本書では、教育・入試制度改革の顚末と問題に至った経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。
  • ローマ教皇史
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    ヨーロッパはむろん隣接するイスラム圏や新大陸を含めた全世界に対して、2000年にわたり計りしれない影響をあたえつづけてきたカトリック教会。その組織的・権威的中核となったのがローマ教皇庁であり、歴代ローマ教皇である。十二使徒のなかから選ばれた初代ペトロス(ペテロ)に始まり、ローマ帝国期の教会迫害から公認へという大転換を経て、各国王室に比肩する勢力でありつづけた。本書は歴代教皇に沿って、カトリック・キリスト教全史を追うことができる一冊である。
  • 志ん生の忘れもの
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    親子三人競演の『びんぼう自慢』出版記念会、りん夫人の涙、洋服嫌い、最後の改名、志ん生のネタ帳……古今亭志ん生に信頼され、名著『びんぼう自慢』の聞き手&構成者として、長年、志ん生とその家族と交流を続けてきた著者が『びんぼう自慢』に収録しきれなかったエピソードや志ん生への愛情あふれる思い出をつづる。
  • 改訂増補 古文解釈のための国文法入門
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    一語一語、その語意について豊富な用例をもとに粘り強く吟味する──。この基本姿勢に貫かれながら、古典文(主に奈良・平安期の作品)を正確に読み、親しむための基礎知識を詳述したのが本書。助動詞、助詞、敬語を中心に、個々の用例の置かれた文脈への丁寧な読み込みとともになされる解説は、優れた文学者による良質な注釈書のような趣をもつ。作品を読み進める持久力も涵養されることから、学習者の絶大な支持を得た往年の名参考書。
  • 千家尊福と出雲信仰
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    千家尊福(1845~1918)は明治のはじめ、出雲大社の祭祀をつかさどる国造(宮司)につくと、近世までの出雲信仰をもとに近代的な大社教を創立。日本全国に出向き出雲信仰を説き、神道界を二分した祭神論争では出雲派のリーダーとして活躍した。「生き神様」として絶大な人気を誇った尊福は後に政治家ともなり、埼玉・静岡・東京の府県知事、司法大臣や東京鉄道社長なども務め政財界で指導力を発揮した。出雲が生んだ希代の偉人の足跡をたどり、知られざる出雲信仰の世界を描く。
  • 長生きの方法 ○と×
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    予防、治療、そして卒業へ──。人類が経験したことがない長い「老後」において、私たちはどのように医療と付き合っていけばいいのか。自らも65歳を超えて老後の生き方を模索する医師が、巷に流布する長生きの方法、老後の生き方にまつわる思い込みを一刀両断。高齢期に生活習慣病の予防をして意味があるのか? 食べ物や運動に気をつかえば寿命が延びるのか? 定年後の地域デビューは逆効果? 最新の研究成果をもとにした、人生100年時代の健康&生き方指南!
  • ベストセラー全史【近代篇】
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    1巻1,815円 (税込)
    明治・大正期、そして昭和戦前・戦中期のベストセラー本を全て紹介。福澤諭吉『西洋事情』やスマイルズ『西国立志編』に始まる近代日本のベストセラーの歩みは、明治期に出版社‐取次‐小売の体制が整い、大正期に再販制が導入されると、昭和初年には円本ブームという革命的変化を迎えるが、やがて戦争と出版統制で停滞を余儀なくされていく。出版界の発展と、個々の本が売れた時代の背景をあまさず描く、壮大な日本文化史。
  • 微分積分学
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    『零の発見』『数学序説』『ルベグ積分入門』の著者による微分積分の教科書。構成は微分法・積分法の基本事項から初等関数(三角関数・指数関数・対数関数)の微積分、多変数の微積分、微分方程式など、大学初年度で学習すべきオーソドックスで過不足のない内容で、具体的な事柄や注意すべき点、演習問題も豊富に載っている。非常に丁寧かつ厳密に叙述された、理工系大学の微分積分学の決定版として長年読まれ続けてきた大定番の入門書。
  • S&Gグレイテスト・ヒッツ+1 ──橋本治短篇小説コレクション
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    誰かを好きだと言ってしまいたくて、誰かを嫌いだと言ってしまいたくて、でも、それがとても恐いことを招きよせてしまうような気がして──。甘えと優しさが毀れると、その向こう側には闇と憎悪がぽっかり口をあけている。サイモンとガーファンクルの名曲にのせて、80年代の「青春」の重さを描く15の物語。
  • 習近平の中国経済 ──富強と効率と公正のトリレンマ
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    改革開放の開始から四〇年。いま中国経済は重大な転機を迎えている。アメリカとの貿易戦争と成長の鈍化。習近平や李克強の指導する現政権下では、富強と効率と公正という三つの原理のトリレンマにより、改革が踏み惑っている。今後、中国はさらに飛躍を遂げ、国民統合と社会の安定が進むのか、それとも各種の社会経済的矛盾が激化して社会の混乱や政情不安をもたらすのか。長年にわたって中国経済を見つめてきた著者が、矛盾に満ちた経済発展史と今後進むべき道筋を解説する。
  • 植物はおいしい ──身近な植物の知られざる秘密
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    私たちは、毎日、いろいろな野菜や果物、穀物を食べています。本書では季節ごとの旬の食材植物から、驚きの新品種、香りの効能、認知症予防まで、「食べる植物」について「すごい」「おもしろい」「ふしぎ」と感じる「おいしい話題」を豊富に紹介します。植物たちのかしこさ、生きるためのしくみの巧みさ、私たちの健康にもたらす効能など、食材植物たちがもつ楽しい資質を、ラジオなどでおなじみの植物博士が、平明にやさしく解説する一冊です。
  • 初等整数論入門
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    「神が作った」とも言われる整数。そこには単純に見えて、実は底知れぬ深い世界が広がっている。“ポツポツ”と離散的に存在する数の中に、さまざまな「構造」が潜んでいるのだ。例えば整数を1個おきに集めると、奇数・偶数という秩序が現れる。では2個おき、3個おき……と考えると、どんなことがわかるだろうか? 本書の内容は、高等学校で学ぶユークリッドの互除法、不定方程式や循環小数などの話題から、合同式、イデアル、既約剰余群、原始根・指数のことまで。数学教育にも造詣の深い著者が、現代的な視点から系統的に整数論の初歩を解く。
  • 刺さる言葉 ──「恐山あれこれ日記」抄
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    死者を想うとはどういうことか。生きることの苦しみは何に由来するのか。曹洞禅の根本道場・永平寺に二十年、死者供養の聖地・霊場恐山に十年、“生きて在ること”の根源を問い続ける著者のブログ「恐山あれこれ日記」を精選し、編み直して一冊とする。よるべなき現代人におくる思索と洞察の書。
  • 詳講 漢詩入門
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    二千数百年の歴史をもつ中国文学。日本人にとっては、文学のみならず教養の主軸を為してきたといえるが、その中国文学の中でも、とりわけ詩歌の占める地位は高い。孔子が活躍していた春秋時代に最古の詩集『詩経』は成立したが、それ以前から中国に詩歌の歴史があったことは間違いない。その文明と共に長い歳月、詩歌は人々に愛され、その努力と工夫を蓄積しつつ歩んできたのだ。本書は、一般に「漢詩」と呼ばれる中国古典詩の、概念・テーマ・韻律上の規則・その他技巧等々について、初歩から易しく体系的に学べるものである。
  • 日本人はなぜ「頼む」のか ──結びあいの日本史
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    平安時代には父親などの「経済的庇護者」、中世には「主従制の主人」との関わりで使われた「頼む」という言葉。また、頼み頼まれる社会関係は近世に「義理」概念を生む基盤となるなど、日本史のなかで意味を変化させてきた。その変化は人と人の結びつきの変化を表している。『万葉集』『源氏物語』から「一揆契約書」「頼み証文」まで、様々な史料に現れる「頼む」の変遷を丹念に読み込み、日本人の社会的結合を描く、まったく新しい社会心性史の試み。
  • 神話学入門
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    神話は人類にとって普遍的であるが、同時に一見捉えどころのないものでもある。神々と人間の関係が疎遠になり、信仰が動揺してきたとき、神話ははじめて客観的・意識的に眺められるようになった。こうして「神話とは何か」という問いかけが、その没落とともに始まった。「神話学」の誕生である。本書はヨーロッパにおいて発達した神話学研究の系譜を丁寧に辿りつつ、定義と分類、様々な解釈を詳述し、重要な側面を余すところなく紹介する。神話とその背景としての民族・文化・社会、世界像や儀礼との関係を泰斗が解き明かす定評ある入門書。
  • 内村鑑三 ──その聖書読解と危機の時代
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    戦争と震災。この二つの危機に対し、内村鑑三はどのように立ち向かったのか。彼の戦争論はいかに変転し、震災論はどこへ行きついたか。本書は、聖書学の視点から、内村の聖書研究に基づく現実との格闘を、厖大な文章や数々の足跡に寄り添いながら追っていく。そこから浮き上がる思想的可能性と現代的射程とはいかなるものか。近代日本を代表するキリスト者の地歩を明らかにした、碩学畢生の書。
  • 官僚制と公文書 ──改竄、捏造、忖度の背景
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    官僚や官僚機構の劣化は、眼を覆いたくなるほど凄まじい。歴史への責任をともなう公文書の改竄、数々の立法および行政上のエビデンス(根拠)の捏造。エリート官僚たちによって勤勉に偽装作業が繰り返されていた事実が、次々と発覚している。いつから日本の官僚機構は、これほどまでに壊れてしまったのか。人事をふくめた組織構造、意思決定、情報公開法や公文書管理法など、官僚統制のシステムを問いなおし、「官邸主導」の暴走をえぐる。
  • 航空のゆくえ ──自由化の先にあるもの
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    戦後、欧米主導の枠組みで発展してきた航空の世界は、国防上の必要による航空の制限が時代遅れとなり、航空技術の発展に伴って20世紀末には自由化へと向かうことになった。コードシェアやアライアンスの普及、LCCの登場、運賃の多様化で運航が柔軟になり、国々が地域として一体化し多国間での航空の自由化が目指されるようになっていくなか、世界の空が行きつく先には何が待っているのだろうか。航空の発展史をひもときつつ、エアラインの世界から地球の将来を展望する。
  • 古文読解のための文法
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    「その文を構成する語句のまとまりをはっきりとつかみ、語句と語句とのかかわりをはっきりとみること、つまり、文脈をはっきりとさせることが、まず努めるべきこと」。古文の文法的読みについて、著者はこのように目標を掲げる。そのために必要な事項を平易に解説したものが本書であり、これをもって「佐伯文法」はひとつの達成をみた。用言・助動詞の活用から『徒然草』『源氏物語』の読解まで、言葉が言葉として実際に用いられる場面に即しつつ、そこにある法則が述べられる。複雑な古文の世界へ分け入るにあたり、座右に置いておきたい書。
  • 概説文語文法 改訂版
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    傑出した国語学者・言語学者であった著者による古典文法の概説書。文法がどのような組織を持っているか総体として受けとめ、たんに作品解釈のためだけではなく、それ自体、教養として学ぶことを提唱する。大きく「文」「語」「付属語」「表現」に分けて解説。
  • ともに生きる仏教 ──お寺の社会活動最前線
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    地域社会の過疎化による仏教の衰退が問題化する一方で、2000年代以降、仏教界では新しい世代による「仏教の社会活動・文化活動」の波が訪れている。本書では、子育て支援、アイドル育成、演劇活動、NPOとの協働、貧困問題、グリーフケア、ビハーラ(仏教版ホスピス)などの多種多様な活動を取り上げ、その社会活動の最前線を、当事者と研究者が協力して紹介する。現代社会に寄り添う仏教の新たな可能性を探る。
  • 中高生からの日本語の歴史
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    言葉は人々の暮らしや文化を映し出す鏡。普段何気なく使っていても、じつはそこには数々の複雑な歴史や秘密が隠されている。日本語の成り立ちや仕組みを知り、美しく使いこなすための技をやさしく学ぼう。
  • 増補 死者の救済史 ──供養と憑依の宗教学
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    数々の未練を残してこの世を去った死者たち。その無念に、残された者は何をしてあげることができるのか。この問いに日本人は古くから執心し、多種多様な解決策を練り上げてきた。祟りと祀り、穢れと祓い、供養と調伏、そして死者との直接の交流である憑依。これらをさまざまな角度から再検討し、さらに比較宗教学的な見地を織り込むことで、生者と死者とが邂逅する局面と、そこで行われる交流や対決、取引に新たな光を当ててゆく。文庫化にあたり、靖国神社を集合性と個人性との相克の場として捉えた論考「靖国信仰の個人性」を増補した決定版。
  • 宗教生活の基本形態(全) ──オーストラリアにおけるトーテム体系
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    宗教の本質的要素=宗教生活の基本形態を明らかにした古典的名著を清新な新訳で送る。上下巻を合本した「完全版」、待望の電子化。【上巻】序論「探求の目的」と、宗教の定義を検討しアミニスム、ナチュリスムなどの主要学説を批判した上でトーテミスム研究の略史を扱った第一部「前提問題」、さらに第二部「基本的信念」のうち、トーテミスムの概念を掘り下げ、その原理であるマナの概念を析出する第七章までを収録。【下巻】霊魂と精霊の概念を扱う第二部「基本的信念」の後半に続いて、禁忌の体系や供犠、また償いの儀礼や聖概念の両義性を検討する第三部「主要な儀礼的態度」を収める。「結論」では、研究結果を再検討し、共通の行為としての宗教儀礼が社会を「作り直す」根源的行為であることを解明する。詳細な訳者解説を付す。
  • 解説 百人一首
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    現代語訳と易しい語句説明、そして歴史的背景や古文の読み方、楽しみ方も根本から学べる「解説」と「余録」つき。遊びながら、寄り道しながら、子どもたちが自ら学ぶ力を養うという、受験教育とは一見対極にある方法をとりながら、灘校を第一級の進学校になるまで導いた、その授業とはいったいどんなものだったのか? 橋本流教育実践が凝縮された、古文入門の決定版。
  • こころの人類学 ──人間性の起源を探る
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    「わかちあい」「おもいやり」「いつくしみ」。人類に普遍的に見出されるこころのはたらきはどこで生まれたのか。カナダ・インディアン、北海道のアイヌ、ロシアのコリヤーク、モンゴルの遊牧民、インドのラダック、そしてチベット。人間と動物が本来的に同一だとする初原的同一性の思考にこそ「こころの起源」がある。半世紀にわたる世界中でのフィールドワークから、様々な社会に共通して見られる人間の生態とこころの本質を解明する。
  • 柳田国男論・丸山真男論
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    体液のように流れる柳田の文体と方法にかたちをあたえ、彼のえがいた稲の人としての「日本人」の鮮明な画像と、そこに見えかくれする「山人」や「アイヌ」の影に徹底した考察を加える「柳田国男論」。丸山の戦争体験の批判を入口に、『日本政治思想史研究』における徂徠学の評価の分析を軸にすえ、丸山政治学が幻想の「西欧」という虚構の立場を設定して初めて切り拓いた地平を検証する「丸山真男論」。近現代の代表的な思想家を俎上にのせ、雄勁なスケールでその核心を論じる。
  • 定本 武江年表 上
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    1~3巻1,320~1,430円 (税込)
    武蔵国江戸(武江)300年の詳細な記録。「年表」とはいっても、たんに歴史上の事件を年代順に列記した無味乾燥なものではなく、各時期の江戸の地理の沿革、坊間の風俗、事物の権輿、韵士・墨客・伎芸の動向、気象の変化など、その背景とともに生き生きと記録された、壮大な大河小説にも比肩されうる不朽の名著。本書は、斎藤月岑の刊本を底本とし、それに喜多村いん庭、関根只誠、朝倉無声の補訂を加え、さらに、校訂者今井金吾の補注・解説・詳細な索引を付して完璧を期し、全3巻としたものである。歴史や時代小説に関心ある者の必読書。上巻は、天正18年より宝暦13年まで。
  • 歴史としての東大闘争 ──ぼくたちが闘ったわけ
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    東大闘争とは何だったのか。かつて当事者であり、その後歴史家になった者の視点から、学生運動の実情と社会的・歴史的背景を捉えなおす。東大闘争においてもっとも力を持っていたノンセクト・ラディカルは当時どう考え、そして闘争後、どのようにして「新しい社会運動」へと移っていったのか。新旧左翼共通に影響を与えたスターリン主義的な思想と行動という歴史的な負の遺産はどう総括すべきなのか。安田講堂事件から50年という節目に、東大闘争を多角的に見つめなおす試み。
  • 南スーダンに平和をつくる ──「オールジャパン」の国際貢献
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    半世紀にわたる内戦を経て2011年に独立し、世界で最も新しい国連加盟国となった南スーダン。日本は国連PKOへの自衛隊派遣、JICA、国際機関との連携やNGOによる支援等、様々な形で平和構築に貢献してきた。政府と反政府勢力の衝突、現地の人々との草の根の交流。その現場では一体何が起こり、何が必要とされているのか。2015年から2017年まで駐南スーダン大使を務めた著者が、支援の最前線での経験と葛藤を伝える貴重な証言。
  • いにしえの恋歌 ──和歌と漢詩の世界
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    1巻1,595円 (税込)
    和歌と漢詩。古代東アジアに誕生した二つの傑出した言語芸術は、それぞれ共通点を持ちながらも、独自の世界をつくりあげてきた。本書は、両者の「恋歌」を入口に、その豊穣な世界を逍遙し、魅力を語る。そして古代の日本と中国に生きた人々の心情と運命に迫る。日中の文化をともによく知る気鋭の比較文学者による、渾身の一冊。
  • 英語類義語活用辞典
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    類義語・同意語・反意語の正しい使い分けが、豊富な例文から理解できる定評ある辞典。思わぬ誤解や失礼をしないための使用例が、卓越した日本語と英語の語感をもつ著者により解説される。(1)意味がほとんど同じで、どちらを使っても大した違いのないもの。mistakeとerror、bigとlargeなど。(2)使い方をまちがえるとコミュニケーションに重大な齟齬を来たすもの。doubtとsuspectなど。(3)漠然と類義語だと信じられているがその実、異質な言葉。fortunateとhappyなど。「なるほど」と腑に落ちる効果的な使い方が、わかりやすく習得できる、学生や教師・英語表現の実務家の必携書。
  • ミトラの密儀
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    ミトラ教は紀元前3世紀頃のペルシャで信仰され、ヘレニズムの文化交流によって地中海世界に伝播した。民族宗教という出自であるにもかかわらず、一時はローマ帝国でキリスト教と覇を競うほど隆盛を誇ったが、秘儀的な宗教であったがゆえ詳細の多くは謎に包まれてきた。獅子頭人身の異貌、牡牛を屠る図像の異教神が、なぜ異文化の民に受け入れられていったのか? 起源、教義、儀礼、キリスト教への影響、凋落の理由等、この密儀宗教の全貌を膨大な資料で解き明かした第一人者による古典的研究。貴重図版多数収録。
  • 上方らくごの舞台裏
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    筆者が上方落語の魅力に溺れた1970年代、その中心は俗に「四天王」と呼ばれる六代目笑福亭松鶴、桂米朝、三代目桂春團治、桂小文枝(後の五代目文枝)の四人の師匠連であった。最後のお一人となった春團治師も2016年1月9日に85歳で亡くなり、ひとつの時代が終わった感がある。本書では38の演題を厳選、懐かしい師匠たちの舞台裏噺から芸の魅力、人の魅力、お囃子さんまで、40年の思い出を語り尽くす。番外として、タモリが吉原で発見し、鶴瓶が演じ、歌舞伎になった新作落語『山名屋浦里』の裏話をお楽しみください。
  • 大坂城全史 ──歴史と構造の謎を解く
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    かつて浄土真宗の聖地として栄え、織田信長の後を承けた豊臣秀吉、徳川家康・秀忠まで、時の権力者が本拠地として修築を重ねた大坂城。豊臣家の居城として栄華を極めるが、大阪夏の陣で落城。江戸幕府に再築されるものの、幕末には大部分が焼失した。明治以降、大阪市民の支持を得て天守閣が復興、現在まで市民に愛され続けている。長きにわたり権力者たちの興亡の舞台となった名城を、最新の研究成果に基づき読み解く、通説を刷新する決定版通史。
  • 5日で学べて一生使える! レポート・論文の教科書
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    文章を書くのってむずかしいと思っているそこのあなた! この本には、そんな人のために必要なすべてが詰まっています。情報の探し方、本の読み方から、人を動かす日本語の書き方まで。日々大量の添削をこなす小川先生が徹底伝授します!
  • 西洋古典学入門 ──叙事詩から演劇詩へ
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    散在する古いテクストを集め、照合し、可能なかぎり「原典」と呼ぶにふさわしい校訂版を作ること。それが古典学の使命である。また、言語学的側面をはじめ、原典を享受するための厳密な知識の追究も行う。西洋の場合、その主対象は古代ギリシア・ローマの諸作品である。古典学の営みとはいったいどのようなものなのか──。本書では、西洋古典学の要諦を紹介しつつ、ホメーロスの叙事詩からギリシア悲劇・喜劇まで、西洋文学の源流となった作品群の構造と意味を解説する。
  • 原典訳 原始仏典 上
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    原始仏典はブッダの教えを最も忠実に伝える経典である。本書は膨大な諸経典のなかから主要なものを精選し、パーリ語・サンスクリットの原文から翻訳。ブッダの実際のすがたを浮かび上がらせるアンソロジー。上巻収録作品 仏伝に関する章句/偉大なる死(大パリニッバーナ経)/経典のことば/シンガーラへの教え/本生経(ジャータカ)/長老の詩(テーラ・ガーター)
  • 中国の強国構想 ──日清戦争後から現代まで
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    1巻1,595円 (税込)
    日清戦争での敗北以来、中国は強国としての再建を悲願としてきた。中国人が抱いた国家構想の傍には常に日本の存在があり、両国の相互作用の変遷を理解せずに、我々は今日における歴史問題や領土問題の意味を掴むことはできない。本書では、近年、変貌を遂げつつある中国の近代史観を分析しながら、中国を突き動かしてきた歴史の論理とその行方について考察する。
  • 江藤淳と大江健三郎 ──戦後日本の政治と文学
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    大江健三郎と江藤淳は、戦後文学史の宿命の敵同士として知られた。同時期に華々しく文壇に登場した二人は、何を考え、何を書き、それぞれどれだけの文学的達成をなしえたのか。また、進歩的文化人=左翼の大江と、保守派文化人=右翼であった江藤の言動から1950年代以降の日本の文壇・論壇とは一体どのようなものだったのかを浮き彫りにする。決定版ダブル伝記。

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