筑摩書房作品一覧

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  • 復帰50年の沖縄世論
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    沖縄では、米軍基地に対する態度と、自身のナショナル・アイデンティティの位置づけが結びつくような状況がある。2022年9月、両者の複雑な関係を明らかにするために行われた世論調査は、沖縄県民3800人を対象とし、1000人以上から回答を得た大規模なものになった。本書は、その結果から見えてきたものを示す。
  • 戦争と西洋 ――西側の「正義」とは何か
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    20世紀に世界は二度の全面戦争を経験した。主権国家が並び立つ国際秩序を確立した〈西洋〉が、外部を征服し「世界化」したそのとき、世界中を巻き込む大戦争が起こったのだ。総力戦と化した戦争は核兵器を生み、戦争は人類破滅を招きかねない「不可能」なものとなった。にも拘わらず、世界大戦終結から80年、世界はふたたび全面戦争への傾斜の上に立っている。冷戦終結が世界の平和をもたらすはずではなかったのか? なぜこうなったのかを西洋精神史を参照項に検証する。
  • 作用素環の数理〈ノイマン・コレクション〉
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    数学のアイディアは経験に由来する、というノイマンの数学観は、作用素環に関する研究にも如実に現れている。それは量子力学を数学的に記述しようとしたところから、ノイマンが数学の一分野として確立したものだ。その後、荒木不二洋、境正一郎、竹崎正道、冨田稔など日本人の著しい活動とアラン・コンヌやヴォーン・ジョーンズらの研究によりさらに発展した。本書は「作用素環について」と題された一連の論文と、終戦直後の講演「数学者」を収録。“数学はどうあるべきか”という深い洞察に裏打ちされた第一級の業績がここに。
  • となりのリブちゃん
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    1960年代の『なかよし』『りぼん』などの少女漫画雑誌や文具・小物のキャラクターグッズで「カワイイ」が大好きな女性たちから絶大な人気を誇ってきた田村セツコ。女性イラストレーターの草分け的存在である著者による幻の4コマギャグ漫画集が初の文庫化。おちゃめで夢見がち、ちょっぴりおマヌケなリブちゃんワールド。単行本未収録作を増補し96作品でお届け! 解説 細馬宏通
  • 日本群島文明史
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    日本は群島であり、日本文明は群島文明である。大陸文明的な実体系思考よりも群島文明的な非実体系思考が優勢で、そうした世界観から生命は偶発的なものという感覚や共同主観の構造、革新性をもたらす美意識などが展開され、日本文明が創り出されてきたのだ。そうした日本の歴史的動態を描きつつ、日本の群島文明を形成する東アジアの哲学を「通底哲学」として世界哲学の中に置き直し、より深い文明論として展開する。日本の知の歴史を総合的に理解する、著者独自の日本思想大全。
  • アラン ――戦争と幸福の哲学
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    アランは思想の体系化や理論化を嫌い、具体的なものを目の前にして語り、ノートを毎日持ち歩き、プロポ(哲学断片)を綴り続けた。名著『幸福論』を通じて広く親しまれてきた彼の哲学には、二度の世界大戦が影を落としている。戦争の愚劣さを体験するため、自らすすんで従軍し、危険な前線に立ったアラン。その言葉は、暗い現代を生きる私たちに何を投げかけているだろう。生涯と思想の断片をつなぎ、「考えるとは否と言うこと」というアランの声に〈いま〉耳を傾ける、第一級の評伝。
  • 海とサルデーニャ ――紀行・イタリアの島
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    「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。
  • 人生にがっかりしないための16の物語
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    劇作家であり、演出家であり、人生相談のエキスパートでもある鴻上尚史──その信念に濃い影響を与えた「とっておきの物語」だけを厳選紹介。発表から何十年の時が経とうと色褪せぬ不朽の名作は、暗がりだらけの世界にも確かな光を見出すチャンスと、毎日を生き抜く希望のヒントを届けてくれる。文庫化に際し4章分を書き下ろした完全版! あなたの道をあなたの力で歩み出すための一冊。
  • 踊念仏
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    民衆が歓喜のさまを表わす、素朴な感情表現としての踊り。そこに神事や仏教が融合し、発生したものが踊念仏である。一遍・法然研究の第一人者であった著者が、踊念仏という活動にスポットを当てることで、開祖の大きさを日本仏教史や民間信仰の体系の中で捉えなおしたのが本書である。古代における踊りの意味から掘りおこし、空也・一遍ほかの聖たちと踊念仏の盛興、他宗派からの批判、念仏踊や阿国歌舞伎など芸能に与えた影響、さらに後世の各地に継承された習俗にまで、幅広く目を配る。
  • 美学講義 ――バウムガルテンからグリーンバーグへ
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    夏目漱石、森鷗外、高山樗牛、岡倉天心、萩原朔太郎らが、ハルトマン、カント、ヘーゲル、クローチェなどの「美学」といかに対峙したかを詳述する「美学の近代」。ヴァレリーによる「制作学」を考察し作品概念の地平を拓く「美学批判をめぐって」。20世紀アメリカを代表する美術批評家グリーンバーグの「批評」に対する数々の「批判」を採り上げ、現代芸術と連動する実践的批評と美学との関係を問う「批評と美学」。「美学すること」を追求する著者畢生の美学講義。
  • スピノザ ――「変性の哲学者」の思想世界
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    スピノザは、17世紀の他の思想家に比し、人間像と思想像において際立つほど多面的に受けとめられてきた。ユダヤ教会からの「破門」によって始まった「思考する実存」としての生。著作や書簡の読解から浮かび上がる固有の「精神の運動」。それらはどのような思想世界を形づくったのか。本書は、従来のイメージにとらわれることなく、スピノザにおける倫理学と政治学、そして聖書批判の内的連関を見定め、その思想を統一的に描き出す。
  • 近代日本の中国認識 ――徳川期儒学から東亜協同体論まで
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    近代日本の思想史に映し出された中国像とはどのようなものだったのか。本書は、江戸時代の儒者や国学者らの中国観から、明治維新・日清戦争を経て、民族を超えた全体を目指す東亜協同体論が構想されるまで、代表的人物に寄り添いながら、中国理解の変遷や思考のありかたを追う。畏敬や脅威、軽侮という感情の振幅のなか、他国を正しく認識しようと苦闘した日本人の足跡。そこから、われわれは何を学べるだろうか。国家を超えた理念を呈示することはできるだろうか。日中関係史の精緻な考察は、いまもって喫緊の課題である〈他者理解〉に向けて読者の再考を促す。学殖溢れる渾身の思想史講義。
  • 禅の時代 ――栄西・夢窓・大灯・白隠
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    日本における中世から近世は、今日までのこる伝統文化が数多く創造された時代であるが、その重要な母胎となったのが禅の思想である。鎌倉仏教の祖師たちによって示された改革がその基本線を貫ききれず、中国で爛熟した大陸仏教の足跡を追うしかなかったところに、室町・南北朝時代を経て徐々に影響を脱して日本禅は完成していく。中国禅研究の第一人者であった著者が、純粋に「日本の仏教」とよべる信仰が生まれるまでを、とりわけ日本臨済禅の系譜に沿って辿り、平明な筆致でその本質を追究した一冊。
  • 検証 異次元緩和
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    日銀が黒田総裁のもと採ってきた大規模金融緩和政策は、雇用環境の改善、財政赤字の縮小など多くの成果をもたらしてきた。だがそうした事実にもかかわらず、大規模な緩和が物価の急騰、為替の暴落など様々な副作用をもたらしてきたとの批判がある。そこで本書では、客観的なデータに基づいて大規模緩和の成果を検証。大規模緩和に対する否定論が十分な事実に基づかない議論であること、緩和の副作用もありえないことを示す。あわせて今後の金融政策の採るべき道筋を示したい。
  • 数理物理学の方法〈ノイマン・コレクション〉
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    ノイマンの業績の中から、数理物理学に関する主要な論文を精選。彼の業績の筆頭に挙げられる「量子力学の数学的基礎づけ」のほか、近年初めてその価値が再評価された「量子力学におけるエルゴード定理とH‐定理の証明」、チャンドラセカールとの共著論文「星のランダムな分布から生じる重力場の統計」、そして乱流理論の回顧と展望を述べた「最近の乱流理論」を収録。全篇本邦初訳。
  • カロルス大帝伝
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    フランク国王として諸族との数多の戦いを制し、中世西ヨーロッパの大半を平定したカロルス大帝(カール、シャルルマーニュ)。ラテン語の古典文化を保護してカロリング=ルネサンスをもたらし、800年にはときの教皇レオ3世からローマ帝国皇帝に任ぜられた「ヨーロッパの父」である。本書はカロルスの廷臣エインハルドゥスによる「カロルス大帝伝」と、修道士ノトケルスによる「カロルス大帝業績録」の2作品を収録。9世紀同時代人によって記された両伝記は、大帝の生涯のみならず中世ヨーロッパについて知るための貴重な史料である。
  • カルメル山登攀
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    神との合一に到るための階梯を詳述したカトリック神秘思想を代表する作品。ヨハネは自らの詩に註解を施すかたちで神学的思索を行い、魂の浄化に向かう道を指し示す。「この山にはただ神の誉れと栄光だけが住まう」とされるカルメル山。すべてが闇の内へと沈む「暗夜」を通り抜け、山の頂きへ達するには、この世のあらゆることどもから──自分自身からさえも──逃れなければならない。魂の全き赤裸と神的一致をめぐる教説は、キリスト教徒を超えて人々に多大な影響を与えた。スペイン文学の至宝でもある古典を名訳でおくる。 解説 鶴岡賀雄
  • 中国目録学
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    書籍を分類して解題目録を作る学問・目録学。分類の意味を知るためには学術史的知識が欠かせない。なぜなら目録学は、その時代毎の文化の体系化と批判の営みであったからである。本書では、木や竹、布に記録することを始めた古代中国から、紙や印刷術の発明とともに目録学がどのような発展を遂げてきたかが縦横自在に語られる。「中国の蔵書家たち」「中国のエディション」「紙の発明と後漢の学風」など、関連文章も収録。この分野において先駆的役割を果たした書であり、中国文化の知的背景を知るにあたって紐解かれるべき名著。解説 古勝隆一
  • 筑摩書房 図書目録2025
    無料あり
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    1巻0円 (税込)
    筑摩書房刊行の単行本・選書・全集シリーズ・教科書の総合目録です。単行本はジャンルごとに著者名50音順に内容紹介と共に掲載しています。また、文庫・新書を含めた全書名・全著者名索引を巻末に掲載しています。掲載されている作品は、2024年12月時点で購入可能なものです。 ※電子書籍の目録ではありませんのでご注意ください。
  • ちくま文庫・ちくま学芸文庫 解説目録2025
    無料あり
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    1巻0円 (税込)
    ちくま文庫、ちくま日本文学・ちくま哲学の森、ちくま学芸文庫など、筑摩書房刊行の文庫の目録です。著者名50音順に内容紹介と共に掲載しています。また巻末には品切一覧表を掲載しています。掲載されている作品は、2024年12月時点で購入可能なものです。表紙絵=安野光雅 ※電子書籍の目録ではありませんのでご注意ください。
  • ちくま新書・ちくまプリマー新書 解説目録2025
    無料あり
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    1巻0円 (税込)
    筑摩書房刊行のちくま新書・ちくまプリマー新書の目録です。通し番号順に内容紹介と共に掲載しています。また、ちくま新書ジャンル別一覧、品切一覧表を掲載しています。掲載されている作品は、2024年12月時点で購入可能なものです。 ※電子書籍の目録ではありませんのでご注意ください。
  • 江戸・東京水道全史
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    徳川家康による都市建設の当初から、江戸の水道は高低差を緻密に計算し、複雑な地形を利用する形でつくられてきた。中心部の小石川上水、それを発展させた神田上水、そして玉川上水を基盤とした水道は、明治以降には近代化され引き継がれてきた。急速な工業化や関東大震災からの復興、戦後復興・高度成長を経て水道がいかに拡張され、また経営されてきたか。江戸・東京の経営史を専門とし、東京都水道局に長年勤務してきた著者による、世界屈指の都市の決定版水道史。 【目次】プロローグ/I 江戸時代/第1章 家康と水道/第2章 天下普請の時代/第3章 城下町・江戸と神田上水/第4章 玉川上水の新設/第5章 上水経営の実際/II 明治時代~現代/第7章 近代水道にいたる道のり/第8章 近代水道の成立と関東大震災──拡張の始まり/第9章 大東京と水道/第10章 拡張に次ぐ拡張の時代──戦災復興期から高度経済成長期まで/第11章 量から質へ──低成長時代から現在まで/あとがき/索引
  • 映像の発見 ――アヴァンギャルドとドキュメンタリー
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    映像を表現と主体意識、存在条件との間の緊張関係から考え、真の創造を探求した至高の映画論。1950年代に始まる転換期にあって、旧来的な映画観を転覆すべく、著者は思考を尖鋭化させていく。調和を失った社会のなか、見えなくなっているものを見えるようにすることを芸術における第一義の課題としながら──。アヴァンギャルドもドキュメンタリーも、つまり内と外に分かれた意識の方向も、見えないものに迫る方法として交差し、それを通じて新たなイメージは創り出される。初刊は1963年。映画史的直感や時代との格闘から生まれた洞察はいまも色褪せてはいない。
  • 鎌倉 鈴木屋酒店の自然派ワインとごはん
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    ワインのある暮らしは自然が近い。鎌倉で130年、「自然派ワインの聖地」とも言われる酒屋が教える、ワインと食の自由な愉しみ。家飲みがさらにおいしくなる。 【目次】はじめに/Wine の話――「家飲みをする前に」/鈴木屋酒店のごはん1 丸ごと食べる、食べ尽くす/鈴木屋酒店のごはん2 おばあちゃんが残してくれた味/鈴木屋酒店のごはん3 漬物や毎日役立つあれこれを作っておく/鈴木屋酒店のごはん4 パンを焼く/鈴木屋酒店で扱っているおいしいもの/Wine Memo この料理にはこんなワイン
  • 虚構の日米安保 ――憲法九条を棚にあげた共犯関係
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    そもそも日米安全保障条約は虚構であった。1960年の日米安保改正での岸首相とダレス国務長官の非公式合意が、今日も変わることなく継続している。日米地位協定、核密約、憲法九条の棚あげ、安保条約を再定義した日米安保共同宣言、そして日米政府間協議の実質的な最高権力化……。本書は歴代内閣と米国による日米共犯関係の戦後史をえぐり出す一方、米国の戦後一貫した安全保障政策、同盟国・米国と日本との信頼にズレが生じつつある実態を解明する。 【目次】序章 日米安保と日本国憲法/第一章 日米、異なる安保構想/第二章 被爆国にとっての核の安全保障/第三章 日米軍事一体化と憲法九条/第四章 「セキュリティ」──原点と変遷/第五章 地殻変動期に入った日米安保/終章 立憲主義の復権を目指して
  • spring プレミアムブックレット
    無料あり
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    1巻0円 (税込)
    2025年本屋大賞ノミネート! 稀代のストーリーテラー・恩田陸の新たな代表作! 一人の天才少年をめぐる、傑作長編バレエ小説『spring』のこれまでの軌跡を振り返るプレミアムブックレット。(非売品) 立ち読み感覚で、本書からの抜粋や読者が選んだ推し文を試し読みできます。登場人物の詳細なプロフィールや朝井リョウさんの感想などを紹介。本屋大賞ノミネートに寄せた著者からのメッセージ、キャリア30年を迎えた作家・恩田陸さんのデビューから現在までの作品年表なども収録。『spring』をまだ読んでいない人も、すでに読んだ人も楽しめる一冊! (筑摩書房編 恩田陸さん協力)
  • 終末論の系譜 ――初期ユダヤ教からグノーシスまで
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    この世の終わりには何が起こるのか――誰もが一度は夢想し、不安を覚えたことがあるに違いない。聖書の世界では、紀元前2世紀のユダヤ教のなかでこの不安が深まり、そして独特な終末論が生み出された。終末思想はいかにしてイエスに継承されていったのか。聖書正典のみならず外典・偽典その他の史料を渉猟し、さらにはベンヤミン、ガダマー、アガンベンなど現代思想家との対話も試みる。これまでの著者の思索を集大成した渾身の書き下ろし。
  • 経済思想入門
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    驚異的な経済成長をもたらし豊かな社会を実現する一方で、格差を常態化し、深刻な不況をくり返す資本主義。その原因はどこにあるのか――。ヒュームやスミスにはじまり、マルクスそして新古典派の登場をへて、ケインズ、ハイエク、ヴェブレンまで。経済学の巨人たちは、自らが生きた時代の課題にとりくみ、その思想を形成した。本書は、そうした現実的背景に照らしながら、かれらの理論の核心を平明に説く。さらに後半では、貨幣や消費などの重要テーマごとに経済分析のあり方を問うことで、経済思想の今日的意義を浮き彫りにする。経済という人間の営みを根底からとらえなおす、決定版入門書。
  • 国連入門 ――理念と現場からみる平和と安全
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    ウクライナ侵攻とガザ情勢の悪化以降、国連は機能不全に陥っている。国連は現在どうなっているのか。冷静沈着に国連の役割と限界を見据え、いま何ができるかを考えることが重要である。外交官として国連日本代表部に二度勤務した著者と、長年にわたり国連の理論的研究に携わってきた著者の二人が、現場での実務経験を縦糸に、研究者の体系的な理解と分析を横糸にして、国連の実像に迫る。初学者にも、学びなおす人にも、最先端の情勢と研究を知るために有益な画期的入門書。
  • 新編 意味の変容
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    <全体=内部+境界+外部>であり、境界は内部→外部、また外部→内部と意味を変容し得る──。他に類を見ない数学的・哲学的スタイルで近代日本文学の常識を覆した『意味の変容』。若き日を放浪のうちに過ごした異能の作家・森敦が、光学工場やダム建設現場での思索を結晶させた究極の私小説であり、その理論を代表作『月山』などにおいて具現化した文学論でもある。新編にあたり、空海の足跡を辿りつつ真言密教を独創的に読み解いた『マンダラ紀行』、京城で過ごした幼少期に始まる豊饒な半生をユーモラスに語り尽した『十二夜』を併録。森敦の思想の全貌を明らかにした決定版。
  • 数とは何かそして何であるべきか
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    「切断」の概念により実数の厳密な基礎付けを試みた『連続性と無理数』、そして数学的論理のみから自然数論を展開した『数とは何かそして何であるべきか?』の、デデキントの業績を代表する2篇のモノグラフを収録。付録としてエミー・ネーターとエルンスト・ツェルメロの論考に加え、デデキントの議論を補いつつ不完全性定理や連続体仮説までをも射程に入れた、訳者による「現代の視点からの数学の基礎付け」を収録。長く読み継がれてきた数学論の古典、待望の新訳!
  • 観無量寿経
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    漢文・古文の知識が必要な仏典を独学で読むのはほぼ不可能に等しい。しかし日本を代表する大作家・佐藤春夫はその筆力により、一人で経典を理解し、味わうことのできる訳を用意した。『観無量寿経』は『無量寿経』、『阿弥陀経』とともに「三部経」と称される浄土仏教の根本経典。仏や仏のいる世界を「観る」方法を説くとともに、自分の力ではいかんともしがたい人生を俯瞰し、切り抜ける方法を教えてくれる。経典の主人公はわが子アジャセに命狙われる古代インドの王妃イダイケ。なぜこのような悲劇が起こるのか説明を迫るイダイケに、シャカは因・縁・果の物語を説く。 文庫解説 阿満利麿
  • 改稿 日本文法の話〔第三版〕
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    「文法とは覚えるべきものではなく、考えるべきもの」として、日本語文法のあらましを平明に解説。話し手は「意味と意味との連合における共通の型」ともいうべきものに適応しながら、聞き手になにごとかを伝えようとする。文法が形づくられるのは、そうしたやりとりの場を通してだ。山田孝雄、橋本進吉、時枝誠記らの学説を踏まえながら、本書は日本語文の構造や単語の種類などをひとつひとつ明らかにしていく。日常のことばへの関心と正確な認識を得ることが文法学習の意義であると訴え、長年にわたり多くの読者に親しまれてきた定評ある概説書。
  • 忘れの構造 新版
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    「カラダは私の宇宙のブラック・ホールかもしれない。ブラック・ホールは光より速い速度で万物をひきよせているから見えないのだそうだ。言葉以上の速さで思考が突入する地点、それがカラダであり、思考の言葉にとってそれはナイというほかない。」人間はなぜ忘れるのだろう? “忘れ現象”に独自の光を当てて、人間が人間であることの意味を深く見つめる哲学エッセイの名著。 解説 若松英輔
  • イーサリアム創世記
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    暗号通貨はその短い歴史の中で急激な高騰と暴落を繰り返しながらも、やがて時価総額は2兆ドルを超えるに至った。ヴィタリック・ブテリンと彼の創造物――イーサリアムがなければ、暗号通貨の成長は不可能に近かっただろう。本書は、イーサリアムの誕生から、内部抗争、ハッキング事件、ICOバブルまで、暗号通貨革命の舞台裏を描いたノンフィクションである。イーサリアムの共同設立者として名を連ねた8名全員を含んだ数多くの関係者への200回を超えるインタビューのほか、SNS投稿やEメール、オンライン資料、チャットログに至るまで膨大な量の資料をもとに、生々しく描き出す。
  • 中国の思想
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    孔子・老荘ほかの諸子百家や先賢の思想を伝える漢籍は、日本では客観的知識という以上に、「尊い教えを学ぶための古典」として信奉されてきた。また、近代人文学の対象となってからは、専門化・細分化がすすみ、ときに西洋哲学の概念が安易に転用されることもあった。本書はそうした伝統や枠をこえて、各々が形成された時代背景を踏まえつつ、民族の社会・生活に根差した「総合的な知」として中国思想を描きなおす。上代から現代までの巨大な潮流を時系列で追い、この一冊で中国思想史を読みきることができる名著。
  • 比較文明学の50人
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    古くから、日本の思想や宗教はつねに自己を他者と熱心に比較してきた。そうした知的伝統から、きわめて独創的な比較文明論が数多く産み出されてきた。本書では、本居宣長、岡倉天心、鈴木大拙、賀川豊彦らを経て、現代の梅棹忠夫、伊東俊太郎、石牟礼道子、緒方貞子に至る鋭敏な比較文明的感覚を持っていた日本の50人を選出。比較文明学会に所属する17人の研究者が、日本の比較文明学とはなにかを問いつつ、50人が繰り広げる豊かな知の世界を縦横無尽に論じる。
  • 都市社会学講義 ――シカゴ学派からモビリティーズ・スタディーズへ
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    都市社会学とはどんな学問か。絶えず変調しつづける現代世界において、なおも都市という場に注目する意味とは何だろうか。20世紀初頭の「衝撃都市」シカゴに花開いた古典的な都市社会学やその批判者であるニュー・アーバン・ソシオロジー、世界経済の緊密化とともに台頭する空間論や移動論的転回。そこで何が問われ、何が見落とされてきたか。長年、都市社会学やコミュニティ研究を主導し、モビリティーズ・スタディーズの導入に尽力してきた著者が都市/都市社会学の軌跡をたどり、その現状と可能性を問う。
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ2
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    「「かすみ草」を見ていると、私はふしぎに、いま自分はひとりだという気がする。いい絵はみんなそうかもしれない」白洲正子がその審美眼に全幅の信頼を寄せた「目利き」洲之内徹。獄中「転向」によって思想の意味を見失い、その場その場を生き延びる習性を身につけた。放蕩と諦観の果てに、洲之内が見出した美への「誠意」とは──。戦前に書かれた最初期の批評を含む美術エッセイの名筆を集めたアンソロジー第2弾。
  • 閔妃暗殺 ――朝鮮王朝末期の国母
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    1895年10月8日、朝鮮駐在特命全権公使・三浦梧楼指揮の下、日本の官僚と軍人が朝鮮王朝の王宮・景福宮に乱入し、王妃を殺害するという大事件が発生した。本書はその顛末を詳述したもの。韓国でも翻訳出版され、大きな反響を得た。日本で「閔妃暗殺」と呼ばれるこの事件は韓国では「乙未事変」と呼ばれ、日本人にとっての「忠臣蔵」のように誰もが知る歴史的出来事となっている。一方、日本では歴史教科書への記載も少なく、認識している人も多くはない。いったい誰がなぜこのような凶行を計画したのか? 未来のために、日韓関係に深い傷を残したこの大事件の全容を知る。
  • 時間と死 ――不在と無のあいだで
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    過去・現在・未来という時間の様相は、言語によって作られた概念である。世界はそのつど湧き出しては消えていく“いま”の連鎖なのであり、客観的世界も客観的時間も仮象にすぎない。ならば、「私」が死ぬとは、少なくとも、私が客観的世界から消滅することではなくなる。若き日から「自分がいずれ死ぬとしたら人生には何の意味もない」という呪縛に捉われてきた著者が、本書でついに「死」という問題そのものに対峙する。そして「私の死」の裏側にはりつく過酷な意味から脱却し、「私」は単に人間として死んで終わりであるような存在ではないという地点に達する。著者の哲学的思考の到達点。
  • 天皇たちの寺社戦略 ――法隆寺・薬師寺・伊勢神宮にみる三極構造
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    古代の天皇たちが建立した社寺建築は天皇の血筋を可視化し、即位の正統性を強くアピールしていた。社寺建築の配置タイプは天皇たちの血筋に明確に対応していたのだ。聖徳太子創建の法隆寺若草伽藍は塔と金堂がタテ一列だったが、天智天皇はこれを真っ向から否定し、塔と金堂がヨコに並ぶ法隆寺西院伽藍を建立。一方、天武天皇は三極構造の薬師寺を建立し、その妻持統天皇は三極構造を伊勢神宮の社殿配置に導入した。〈タテ→ヨコ→三極〉の変遷に秘められた天皇たちの戦略を探る。
  • 中世政治思想講義 ――ヨーロッパ文化の原型
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    社会とは神が人間に与えた秩序であり、その安定と維持こそが中世キリスト教世界における政治であった。ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という二つの中心が社会的機能と責任を担う。だが、時に激しく対立し、グレゴリウス改革や叙任権闘争を極点として、統治の本質が根底から問われる事態へと発展する。聖書解釈に基づく両者の理論対決は、政治思想の錬磨を促さずにはおかない。普遍的で超越的なものを志向する意志と密接不可分な「合理性」がここに芽生え、やがてそれがヨーロッパ人の思惟構造を形づくっていくのである。中世の核心を伝えるだけでなく、近代の性格をも照らし出す類まれな講義。
  • 江戸服飾史談
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    ざっと三百年間の移り変わりを述べることに致します―。大火や幾度もの改革、風呂屋や歌舞伎の流行といった時代背景・風俗とともに語る江戸服飾史入門。明治期、学者・大槻如電が三越呉服店の依頼をうけて講談調で記した原稿に、注釈や図版を多数加え、現代人向けに編集した。金ピカの裃を着て真面目な顔でいる武士たち、ひいきの役者の紋を銀簪に彫る女たち、度重なる倹約令を経てなお新たな流行を作り出す江戸の人々の姿が活写される。当時の語りの面白さを残したユニークな書であり、着物、履物、流行りの模様、髪型、帯の締め方までを詳細に示す貴重な資料である。
  • T/S
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    1巻1,980円 (税込)
    演劇で世界は変えられるか? 未来は変えられるか? そもそも世界が演劇なのか? 未来は夢なのか? そしてぼく/わたしは何者なのか―。『cocoon』『∧∧∧かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―』『BOAT』『equal』…「マームとジプシー」を率いる演劇界の若きトップランナーが自身の演劇論と半生を率直に、かつプレイフルに綴る未曾有の自伝的フィクション!!
  • 犯罪日誌
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    昭和中期の週刊誌創刊ブームの中、トップ屋(巻頭記事を担当するフリージャーナリスト)として活躍した著者は、1962年に話題となった経済小説『黒の試走車』以来、多種多様なジャンルの小説やルポルタージュを発表し人気作家となる。本書は、1960年代後半から文芸誌に発表されたサスペンス、犯罪ものを日下三蔵の編集で贈るオリジナル作品集。愛とエロスと欲望の中で繰り広げられる“復讐”の物語。
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ1
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    「買えなければ盗んでも自分のものにしたくなるような絵なら、まちがいなくいい絵である」。かつて小林秀雄が「今一番の批評」と称賛し、美術エッセイ「気まぐれ美術館」で人気を博した洲之内徹。陰惨な戦争体験を引きずり、癒すことができない飢えを抱えながら、屈託のある達観の文を書いた。振り返られることが少なくなった異才の随想を、稀代の美術評論家・椹木野衣が選りすぐったコレクション。
  • 坂本龍馬の映画史
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    映像作品での坂本龍馬の描かれ方は大きく変わってきた。サイレント映画では阪東妻三郎や月形龍之介、榎本健一といったスターが龍馬を演じた。戦後しばらくは主役級が龍馬を演じることはなく、それを転換したのが司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』。土佐弁を喋る庶民的合理主義者として龍馬は映像化され一躍人気者となる。1970年代以降は革命家のイメージやテレビドラマでのヒーロー、パロディー作品など多様に龍馬は演じられていく。龍馬イメージの変遷に歴史観と時代の価値観の反映を見る。
  • 戦場のカント ――加害の自覚と永遠平和
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    哲学者カントが訴えた〈永遠平和〉の眼目は、敵意が終わることにある。しかし、それは人間に可能なのか――。「撫順戦犯管理所」。中国で非道を為した日本兵たちがいた場所である。ここで中国人と日本人の間で起きた事態は、カントの理念の現実性を鮮烈なまでに突きつける。撫順を経た人々に加え、本書はアウシュヴィッツ収容所の帰還者やパレスチナ紛争の被害者の声にも耳を澄ませ、人が人を赦すことの意味を問う。人間の根底に光をあてた哲学的考察。
  • 江戸の都市計画
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    東京の“原形”はどのようなものであったのだろうか。本書はまず、日本列島という「く」の字形の島国におかれた東京の地理的位置と、大型河川=利根川水系の谷間にひろがった関東平野という自然環境上の原風景に着眼する。そこからいかに、運河都市・江戸へと発達していくのか。鎌倉時代以前から東京湾地域に活動したひとびと、江戸城と江戸の町の建設プロセス、その途上で消えた「江戸前島」など、水辺を中心に据えて読み解いていく。東京史・江戸史の大家が史料と博識とを存分に注ぎ、川と海の役割を追う一冊。地図多数。
  • 公式は覚えないといけないの? ――数学が嫌いになる前に
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    数学は「どうして?」という学問なので、私たちは知らないうちに数学していることがある。先入観を捨てて世界を広げれば「わかる」ようになるし、客観的に論理の破綻なく世界中の人に説明できるのが数学の世界です。
  • 哲学の問い
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    「世界は物質だけでできているという考えは、科学的だと言えるのか」「犯罪者は、非難の対象ではなく治療の対象として扱われるべきか」「何かが本当に存在しているとは、いったいどういう意味なのか」……。哲学をすることの中心には、世界の隙間に目を向けて、自分自身の頭と言葉で問いを育てていくことがある。バラエティ豊かな24の問いを通じて、〈哲学をするとはどのようなことか〉を読者が一気につかみ取るための、生きた哲学の入門書。
  • 現代写真とは何だろう
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    「真実」を「写しとる」と書いて「写真」。しかし、テクノロジーの進化により精巧なAI画像が氾濫し、これまでの「写真」の位置づけが流動化している。もはや既存の知識や古い思考では、「現代写真」をとらえられない。写真にしかできないことを理解しない限り、コンテンポラリーアートとしての写真の魅力を語ることはできないだろう。だが、それはいったい何なのか──。90年代以降、国内外で写真展をプロデュースしてきた著者が、W・エグルストン、N・ゴールディン、ホンマタカシ、杉本博司、W・ティルマンスなど現代写真の疾走者へのインタビューを交えながら、最先端の写真表現を読み解く待望の新・写真論。
  • 中国古典小説史 ――漢初から清末にいたる小説概念の変遷
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    古代中国において「つまらぬ言説」を意味した“小説”。それが歴史のなかでいかに変貌を遂げていったかを、漢初から清末まで各時代を代表する作品を取り上げながら追っていく。小説の起源における語部と道家との関係、怪異な事件を記録する「志怪」からフィクションとしての性格を持つ「伝奇」が生まれたこと、そこにおいて僧侶が果たした役割、そして明末の長篇伝奇小説が黄色小説へと移行し、それが清初の才子佳人小説を育んでいったこと…。著者独自の視点と15のテーマを通し、中国古典小説の特色を浮かび上がらせる。
  • 人種差別撤廃提案とパリ講和会議
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    1巻1,760円 (税込)
    1919年パリ講和会議、それは日本が初めて大国として世界の檜舞台に立った瞬間だった。日本による人種差別撤廃提案は、人種差別否定という重要な世界史上の意味を持つと同時に、大国日本が国際会議で注目を浴びた最初の案件だった。本書は日本が有色人種のために利他的に人種平等を主張した提案だとことさら持ち上げるのでも、山東権益の取引材料として持ち出しただけと貶めるのでもなく、人種差別撤廃提案の真実の姿を明らかにし、その歴史的意義の正当な評価を試みるものである。
  • アメリカ大統領と大統領図書館
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    アメリカ合衆国大統領の様々な記録やゆかりの品々を収集、保存、展示、提供する稀有な施設、それが大統領図書館だ。第31代ハーバート・フーバーから第43代ジョージ・W・ブッシュまで、全米各地に現存する全13館を訪れ、それぞれの大統領の知られざる横顔とともに紹介する。大統領資料をめぐる制度や現在の大統領図書館が抱える問題はもちろん、大恐慌、第二次世界大戦、ウォーターゲート事件、ベトナム戦争、ソ連と核軍縮、9・11……「その時、大統領は何を考えたか」を描く。アメリカ現代史とそれを彩る歴代大統領を知る格好の入門書。
  • 空白の團十郎 ――十代目とその家族
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    十代目市川團十郎(本名・堀越福三郎)は、明治の名優・九代目市川團十郎の長女・實子の婿養子。「慶應」を出て銀行員として勤めたが、九代目の死後、30歳を前に歌舞伎の世界に身を投じ市川三升を襲名。1956年に75歳で亡くなる近くまで舞台に立ち続け、死後「十代目」を追贈された。これまで経歴に不明点が多く、はっきりと評価もされてこなかった十代目は。果たして「團十郎」の名跡に値しない人物だったのだろうか。「空白の團十郎」の生涯を、家族との関わりとともに描き出す。
  • 老後は上機嫌
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    人間が生きるというのは非常に面倒くさいが、どうせなら、笑って面白く、長い人生、楽しんだもん勝ち! 舌鋒鋭い生物学者と、自称「面白中毒」のイラストレーターが贈る、抱腹絶倒の人生賛歌。「つまらない」と「面白い」の違い/「発見」のよろこび/先のこと考えない/適当にAIやコンピューターに頼る/変化を歓迎する/世の中のヘンなこと、冗談を探す/マイノリティーをおそれない/首尾一貫はバカのやること/頑張るのはNG……朗らかに面白く生きるヒント満載の楽しい本。
  • 中学受験の落とし穴 ――受験する前に知っておきたいこと
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    高学歴親はわが子の将来を心配して、脳の発達の順序や成熟度を無視した早すぎる塾通いから中学受験を考えがちだ。しかし、合格しても決裂する親子関係、入学後も続く苛烈な競争に疲弊する子ども……将来の幸せどころか目の前のトラブルを抱える事例が続出している。一生涯の幸せのために重要なのは、家庭生活でしか育めない“頑丈な脳”を作ること。発達脳科学の視点から、受験を考える前に知っておくべきことをアドバイス。
  • 日本のPKO政策 ――葛藤と苦悩の60年
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    戦後、日本が国連に加盟し、冷戦終結後ついに国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣が実現して以降も、派遣の是非をめぐる論争は絶えなかった。国際社会からの要請、政治家たちの思惑、自衛隊員の安全確保――その水面下ではいかなる政治的議論がめぐらされてきたのか。歴代首相、外務省担当者などのやり取りに焦点を当て、特に現在のPKO政策の根幹となった自民党政権時代の論争を紐解き、国連加盟から約六〇年に及ぶ葛藤と苦悩の歴史を複眼的に浮かび上がらせる。
  • ファック・キャンサー ――愛と科学と免疫療法でがんに立ち向かう
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    「がんは人生最低のギフト!」仕事と子育て真っ最中のNY在住ライターが、ある日突然メラノーマ(皮膚がん)に。がん=命にかかわる厳しい現実に直面…しかし、幼い娘たちとの日常は変わらず、ユーモラスにパワフルに。―親友から届いた「ファック・キャンサー」Tシャツを着て病院へ。―頭の手術痕を膣ブラシと浣腸ボトルで夫に洗浄してもらう日々。―母娘3人、アタマジラミと格闘。―親友もがん罹患、最期の時間と別れ。…ドラマチックなのに平凡で、決して闘いなどではない、治療の日々。胸が張り裂けそうな悲しみと、感謝の気持ちを同時に感じるがん患者のリアルな心の内。最高峰のがんセンターでの手術と、がん治療を変えた免疫療法の治験の実際を含め、ユーモアを交え率直に歯切れよく語る。がんという現実を受けとめ、明るくたくましく、愛を与え合いながら生きる姿に胸を打たれるノンフィクション。
  • 絵画空間の哲学 ――思想史の中の遠近法
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    “遠近法”という表現様式は自明のものではなく、ルネッサンス期に確立したひとつの世界観である。パノフスキーらも論じてきた遠近法の成立や発展の背景を、本書は思想史的観点から深く掘り起こし、水墨画や日本絵画における表現法も引きくらべつつ、絵画の一技法という枠を越えて文化全体の文脈のなかで、その真の世界観的意義を捉えなおす。さらに、カントやヘーゲルなどのドイツ観念論における芸術理論、近代日本絵画における格闘を追いながら、美術と哲学の関わりを掬いだす。ユニークな切り口で美術史学の重要論点に切り込んだ名著。
  • 人新世と芸術
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    人新世(アントロポセン)。人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目し、近年提唱されている地質区分である。人新世は、気候変動や環境破壊をもたらし地球を危機に陥れた。では芸術はこれとどうかかわってきただろう。美術作品は環境変化にきわめて敏感であり、芸術とサイエンスをつなぐものとしてエコロジーの思想は培われてきたのではないか。そういった見通しの下、17世紀から20世紀に描かれた美術作品に焦点を当て検討する。優れた観察者で、記録者だった画家たちはその変化をどう描いただろう。新たな西洋美術の見取り図を提案する。 【目次】第1章 かつて地球は寒かった――小氷期とコロニアリズム/第2章 エコロジーとエコノミー/第3章 火山の噴火/第4章 アルプスの氷河/第5章 産業革命の表象/第6章 霧のロンドン/第7章 印象派と大気汚染
  • 岡倉天心『茶の本』の世界
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    明治時代に国を挙げて西洋化に突き進むなか、 日本美術の発展に功績を残した岡倉天心(1863‐1913)。ボストン美術館中国・日本美術部の責任者として、 東洋の美術を欧米に紹介し、1906年刊行のTHE BOOK OF TEA(『茶の本』)が全米ベストセラーとなったことで国際的に知られる。 岡倉天心の曾孫であり、近現代の国際関係史を専門とする著者が、国際文化交流の見地から『茶の本』をこれまでに知られていなかった視点をふんだんに盛り込んで徹底解説する決定版入門書。
  • 神経回路網の数理 ――脳の情報処理様式
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    脳は多数の神経細胞の集合で、その機能は複雑な神経回路網によって担われ、最高度の情報処理システムとして働いている。ここに情報の基本原理の発現を見た著者は、神経回路網理論の法則化を目指し、そのことこそが、脳の働きを解明するために本質的に意義のある有効なアプローチであると考えた。こうして「数理脳科学」は誕生した。今日のAIの隆盛を導き、同時に脳科学研究の核心的理論を生み出した理工学者による記念碑的著作。
  • 論語
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    春秋時代の魯国、周王朝の復興を唱え、政治へのあくなき情熱とともに理想を追求した人、孔子。その言行録『論語』は、古来、多くの人々に人生の指針を与えてきた。孔子が弟子たちに教えたもの、それは学問、礼の実践、徳の涵養である。中心にあるのは徳であり、わけても「仁」を至上とした。仁とは、日常生活において状況に相応しい価値を適切に選び取れることを指し、それを体得した者が君子となる。本書は、「『論語』をして『論語』を語らしめること」を主眼に置き、何晏、朱子、仁斎、徂徠など、数多の解釈を比較考量。新たな書き下し文と明快な現代語訳、詳細な注と補説を付した決定版訳注書である。
  • 訟師の中国史 ――国家の鬼子と健訟
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    1巻1,925円 (税込)
    訟師とは人びとの訴訟を助けた者たちである。彼らは狡智にたけた悪党とみなされ、清代では職業として訴状を代作しただけで、しばしば死刑一歩手前の重刑が科せられた。しかし実際には、それは中国国家が自ら生み出した鬼子であった。宋代以降、訴訟が多発する健訟社会となったのだが、伝統的な政治思想と訴訟制度そのものが逆に人びとに訟師を必要とさせたからである。また訟師には訟師であることに誇りを持つ者さえいた。訟師の全体像を中国史と世界史のなかで初めて明らかにする。 【目次】序章 訟師というカギ/第1章 悪訟師のイメージ/第2章 訟師有用論/第3章 伝統中国の訴訟制度/第4章 訴状への虚偽と誣告の書きこみ/第5章 私代書の容認から処罰へ/第6章 積慣の訟棍/第7章 名士と犯罪者のあいだ/第8章 北京への直訴/第9章 世界史のなかの訟師/第10章 江戸との相違/第11章 訟師自身による訟師観/第12章 訟師の終焉/終章 現代中国の訴訟制限/あとがき
  • 唯信鈔文意
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    南無阿弥陀仏と唱えれば来世で仏になれる。このシンプル極まりない法然の教えは庶民層から大歓迎された。しかし同時に「なぜ念仏だけでいいのか」という問いも浮上する。その問いに答えるべく、親鸞は当時よく読まれていた仏教書『唯信鈔』を解説する形で本書を執筆した。親鸞の答えはこうだ。念仏は修行などかなわない我々のために阿弥陀が用意した「行」であり、阿弥陀のはたらきそのものである。そして念仏すると阿弥陀の心が無意識下に入り込み、それが将来我々を浄土に連れていく。だから念仏の他は必要ない。『教行信証』と並ぶ代表作にして親鸞思想のエッセンスが詰まった最高の念仏入門。
  • 所有と分配の人類学 ――エチオピア農村社会から私的所有を問う
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    これは「わたしのもの」ではなかったのだろうか。調査地でのある出来事から、私的所有の感覚がゆらぐ経験をした著者は、所有への違和感を抱きつつエチオピアの農村へ向かう。畑を耕す牛、畑になる穀物、台所道具、生活する人々など、ミクロなものに目を向けて調査していくなかで見えてきたものとは? 作物は頻繁に分配され、持てる人から貧しい人に与えられる。土地を所有することと利用することの関係。国家による「土地」のコントロール。様々な角度から私的所有をめぐる謎を掘り下げていく。気鋭の文化人類学者による鮮烈なデビュー作。
  • 国家とはなにか
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    国家とはなにか、国家が存在しているとはどういうことか。こうした根本問題を透徹した思考で解き明かす。まず、国家を存立させ、その諸活動を生み出している根本要因とは何かが考察され、暴力をめぐる運動の中にそれがあることが見極められる。その上で、その根本要因からいかなる歴史的条件の下で現在のような国家のあり方が生み出されていったのかが論じられる。主権とはなにか、国民国家はいかにして形成されたのか、国家と資本主義はどのような関係にあるのか。こうした問題を一貫した視座から論じ切った記念碑的論考。
  • ヨーロッパ近代芸術論 ――「知性の美学」から「感性の詩学」へ
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    私たちの時代の感性がここに幕を開ける! 19世紀は自らの内部に新たな想像力の源泉を見つけた。美術史の碩学が自選した評論により“近代”から“現代”に至る芸術の道筋を示す決定版。
  • 金正恩の革命思想 ――北朝鮮における指導理念の変遷
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    思想が社会を規律統制し、人々の思考を規制している北朝鮮。その体制を引き継いだ金正恩は、祖父の主体思想、父の先軍思想に代わる、現在の困難を乗り越え次の展望を切り開く思想を創出する必要に迫られた。本書は、2011年末からの金正恩時代における指導理念の変遷を通史的に考察し、北朝鮮の置かれた国内・国際情勢とリンクさせつつ検証する。さらに近年、金正恩が提唱している農村における「思想革命」についても紹介。北朝鮮情勢分析の第一人者が、満を持して放つ最新研究報告。 【目次】第1章 金正日総書記の死と金正恩時代のスタート/第2章 金日成・金正日主義/第3章 独自的な指導理念の模索/第4章 人民大衆第一主義の芽生え/第5章 「十大原則」の改編/第6章 第七回党大会/第7章 人民大衆第一主義/第8章 わが国家第一主義/第9章 米朝首脳会談決裂と「正面突破戦」/第10章 コロナ禍と「自力更生」/第11章 第八回党大会と党規約改正/第12章 「人民的首領」への道と「金正恩革命思想」の登場/第13章 「農村革命綱領」=「新農村テーゼ」の提唱/第14章 「わが国家第一主義」の統治理論化/第15章 「金日成・金正日主義」の継承・深化・発展/終 章 金正恩の指導理念を振り返る/あとがき/参考文献・資料/北朝鮮の主な歩み(年表)
  • 民俗のこころ
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    長い年月をかけて積み重ねられてきた生活習慣は知らずしらずのうちにわれわれの精神や行動を規制している。家族それぞれの箸や茶碗が決まっており、自分以外はそれを使ってはならないというのはその代表例だろう。高取正男はこの日本人の無意識下にある感覚「ワタクシ」に着目し、現在の社会問題や歴史的事象の背景を探ろうとした。その際高取が重視したのは生活文化の変遷を凝視することであり、民俗調査を行い古老と向き合う中で実際に自分の内部にもひそむ日本的思考に気づくことだった。民俗学と歴史学を取り結び、新しい歴史記述のあり方を模索した記念碑的名著。
  • ローマ人の世界 ――社会と生活
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    ローマには歴史のすべてがある! 聖なるものと人間的なもの、すべてが混ざりあうことによって、ローマは「永遠の都」と呼ばれる歴史の重みをもつに至った。そこでは貴族から職人や芸術家などの市井のひとびとまで、どのような一日を過ごしていたのだろうか? ローマ人の識字率はどのくらいだったのか? 西洋古代史学の泰斗がローマの古代社会と生活について、ポンペイやカルタゴの故地なども巡りつつ、具体的な姿を掘りおこし生き生きと描きだす。ひとびとが「われらの海(マレ・ノストルム)」と呼んだ地中海世界へと読者をいざなう一冊。
  • 民主主義を疑ってみる ――自分で考えるための政治思想講義
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    近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。本書では、政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などを取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を整理していく。主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。
  • 乱数
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    「乱数」とは、サイコロを振って出る目のように「規則性のない数字(の列)」のことである。フォン・ノイマンは、コンピュータを使って乱数らしきもの(疑似乱数)を作り出す方法を考案した。疑似乱数は、数値実験や標本抽出などの統計的諸手法にとっては、数の頻度分布の「一様性」が満たされていれば十分である。本書は、このような意味での乱数列の作り方や、正規分布などの頻度分布に従う乱数列への変換法、さらに得られた乱数列が実用上許容できるものかどうかの統計的検定法を基礎的理論から実用的な計算法までをバランスよく記述した「乱数」を体系的に学べる日本でほとんど唯一の入門書。
  • 平賀源内
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    18世紀江戸。内外の品を集めて全国物産会をひらき、戯作・浄瑠璃の人気作家となり、秩父に金山を開発、油絵を描き、オランダ製の静電気発生器エレキテルを復元……と多彩に活躍した平賀源内。さぬきの地に生まれ高松藩を脱藩し、のちに杉田玄白、司馬江漢、鈴木春信、大田南畝、小田野直武ら同時代人と広く交流、刺激しあった源内の生涯は、豊かなヴィジョンと果敢な試行錯誤、そして失意と焦燥と挫折とからなっていた。「分」と「仕来り」の時代にあって、自身の志と好奇心とによって奔放に生き、殺傷事件の果てに獄中で死去したとされる「非常の人」の生涯を鮮やかに描く、評伝文学の傑作。
  • 理工学者が書いた数学の本 線形代数
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    「線形代数は理工学のすべてに通ずる基本です。その論理は、電気回路、振動、力のつりあい、微分などなど、ごく直観的に理解できる現象の中にも本質的に表れています」(「著者からひとこと」)。問題の解決にあたっては、既成の形式化した数学を当てはめるのではなく、本質的な構造に適合するように数学を創り、再構成する態度が必要であると本書は説く。“線形代数の基本概念や構造がなぜ重要であり、どういう状況で必要になるか”を工学や物理学の例を多く用いて、直観的な理解を目指すユニークな応用数学教科書。
  • 初等整数論
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    「やさしい整数のなかには思いがけないほど深く、ほとんど神秘的といってよいほど美しい様々な法則が潜んでいる」(本書「はしがき」より)。整数論には「帰納と演繹」、「構造」といった数学の柱となるような重要な概念や未解決の問題が含まれ、いちど知ったら忘れることがないくらい、鮮やかな印象を与えると著者は説く。数学を実用主義的観点から解き放し、「おもしろさ」、「楽しさ」を不可欠の要素として見直した出色の入門書。『微分と積分』と並ぶ主著。文庫版付録として「数学教育の2つの柱」を収録。
  • 聖トマス・アクィナス
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    「カトリック哲学の第一義的にして基本的な部分が、実は生の賛美、存在の賛美、世界の創造主としての神の賛美であるということを理解しない人は、誰も最初からトマス哲学、言いかえれば、カトリック哲学を理解することはできない」。文学者一流の機知とともに描かれるトマス・アクィナスの肖像。聖人の歩みをたどりながら、哲学は神学に、神学は聖性に依存することをチェスタトンは説く。鋭敏な感覚を通して築き上げられたトマスの理論体系。それは、実際的なものと不可分であるがゆえに、われわれの精神に今も近しい。専門家から無条件の賞賛を勝ち得たトマス入門の古典。
  • 東大生と学ぶ語彙力
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    数学で使われる「定義と定理」の違いや、地理で登場する「食料と食糧」の違いをきちんと理解できていますか? ことばの理解があいまいなまま勉強しても成績はなかなかあがりません。語彙力は国語だけでなく全教科において重要なのです。本書は3部構成で、「そもそも語彙力とは?」という基本から、各教科において必要な語彙力、そして実践問題までを一貫して学ぶことができます。勉強する「前」に語彙力を身につけよう! [理系科目も文系科目も、5教科すべてを網羅!] 【目次】PART1 語彙力はなぜ大事なのか/第1章 語彙力はすべての基礎である/語彙力はランニングと同じ?/意味の丸暗記は語彙力ではない/ぼんやり理解ではもったいない/第2章 実は日本語をみんな知らない/語彙力の勉強は簡単なものから!/「プレーン」ってどんな味?/「プレーン」から広がる語彙力/「信用」と「信頼」はどう違うのか?/小さな違いでニュアンスが変わる/あなたは「変化」を知っているか?/変化には「前」と「後」がある/言葉の使い方を普段から意識する/語彙の勉強は深く狭く!/PART2 5教科それぞれの重要語彙/第3章 数学の理解に欠かせない言葉/「率」という言葉を制す/「累積」ってなんだっけ?/「因数」と「約数」を理解する/「必要」条件と「十分」条件/「数学的帰納法」は「演繹法」/「定義」「定理」「公理」の違い/数学には二つの「連続」がある/第4章 理科の「ことわり」を言葉から知る/理科の理とはなにか?/理科は筋道を探究する/プラス・マイナスが「陰・陽」のワケ/「蒸発」と「沸騰」の差/頻出する「飽和」をマスターする/「不斉」の「斉」を知る/第5章 社会は用語を一つずつ理解しよう/「資源」をいくつあげられる?/「偏在」と「遍在」は真逆!/「食料」と「食糧」の使い分け/歴史で使われる「回復」は超重要/公地公民の「公」ってなに?/「冊封・朝貢」でわかる東アジア/歴史は「凋落」のくり返しだ!/第6章 英語の語彙力=暗記した単語数?/カタカナ語の元をたどる/「end」は「終わり」だけじゃない!/「フィナーレ」から経済まで/「ターム」から派生する言葉/「フォーム=形」を応用する/「vivid」の「vi」に着目/英語は接頭辞で推測できる!/PART3 実践問題で語彙力を鍛えよう/第7章 日本語↔英語の両面から学ぶ/『人間失格』を英訳してみよう/「あいつら全員同窓会」を英訳すると?/和英辞典と国語辞典を両方使おう!/翻訳の実践問題/第8章 共通テストの新傾向に備える/漢字一字を深く理解する/古語は語彙力の源泉/漢字一字が持つ複数の意味を理解する問題
  • 意味がわかるAI入門 ――自然言語処理をめぐる哲学の挑戦
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    「AIは言葉の意味を理解している」――2020年に行われた調査で、回答者の半数近くがこのように回答した。2022年に公開されたChatGPTは、当時よりいっそう自然な受け答えが可能だ。はたして現在のAIは言葉の意味を理解しているのだろうか。そもそも意味を理解するとはいかなることなのか――。AIの開発史をたどりながら、現在のAIを支える大規模言語モデルのメカニズムを解き明かし、深い霧に包まれた「意味理解」の正体に一歩ずつ迫る。哲学者によるスリリングなAI入門! 【目次】序章 哲学者、大規模言語モデルに興味を持つ/第一章 AIの歴史──心の哲学を補助線として/1 ダートマス会議にはじまる/2 第一次AIブーム──「一人で立てたよ!」/3 AIの冬(1)──「時バエは矢を好む」?/4 第二次AIブーム──「知識には力が宿っている」/5 AIの冬(2)──「あなたたち人工知能研究者はいつもそうやって噓をつく」/6 第三次AIブーム──「私たちはずっと正しかったのだ」/7 1980年代のコネクショニズム批判/8 残された疑問──ニューラルネットワークは自然言語を扱えるのか?/第二章 自然言語処理の現在──言語哲学を補助線として/1 AIは言葉の意味を理解すると思いますか?/2 意味に対する伝統的アプローチ/3 真理条件意味論に対する疑い/4 コネクショニズム化する自然言語処理/5 分布意味論の批判的検討/6 大規模言語モデルと言葉の意味理解/7 意味と意味理解についてわかったこと、まだわかっていないこと/終章 機械に心は宿るのか?
  • 東京タワーとテレビ草創期の物語 ――映画黄金期に現れた伝説的ドラマ
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    東京のシンボルとして親しまれ、数多くの映画やドラマ作品に映し出されてきた東京タワー。本書は、東京タワーが登場する現存最古のテレビドラマ『マンモスタワー』をめぐる若きテレビ産業の奮闘に迫る。この番組が放送された1958年は、映画産業が観客数の最高を記録した絶頂期である一方で、東京タワーが「史上最大の電波塔」として竣工した年でもあった。映像メディアの主役が映画からテレビへと転換していく時代において、その緊張関係を象徴する『マンモスタワー』のユニークな魅力を気鋭のメディア研究者が描き出す。
  • 辞書からみた日本語の歴史
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    「日本語の歴史」シリーズ第2弾。現代において辞書は買って使うものだが、江戸時代以前は写すことで所持し、自分で作り上げるものだった。辞書の「作り手」「使い手」の姿を通して、各時代の日本語を活写する。
  • 資本主義の〈その先〉へ
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    1巻2,420円 (税込)
    「終わり」が語られながらも、“その先”が見えてこない資本主義。資本主義の概念を大幅に刷新し、“その先”へ行くための原理を示した決定的論考! 異なる世界の可能性。
  • 霊魂の民俗学 ――日本人の霊的世界
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    出産・七五三・成人・結婚・葬送など日本人が経験する人生儀礼や、各地に伝わる習俗や祭りのなかには、いかなる「霊魂観」が反映されているのだろうか。本書は、ミロク信仰から都市伝説までの多様な事例とともに、霊魂という実在が「この世」と「あの世」のあいだを往還するという日本独特の世界像と、その移動にともなって不安定になる霊魂をおちつかせるためにも儀礼が必要とされたことを説く。迷信の一言では片づけられない、日本の生活文化にいまも息づくアニミズム的心性を解明した宮田民俗学の真髄。講演記録を中心に編集された、平明な語り口による一冊。
  • 北京の歴史 ――「中華世界」に選ばれた都城の歩み
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    1巻2,090円 (税込)
    黄河文明の辺境に位置し、江南文化とも遠く離れた長城地帯に近接する政治都市・北京。古代国家の首府でもあったこの地は、「中華世界」の拡大とともに、いかにして辺境の地から中心地へと飛躍してきたのか。古代から現代まで長きにわたるその歴史をダイナミックに描き出す。漢族と非漢族、農耕と遊牧という対立する要素が交流・融合する、坩堝としての都城が果たした役割にも注目。多民族国家中国の首都に選ばれ続けてきた波瀾万丈の歴史から、伝統中国の政治文化の本質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 文明の辺境──燕国/1 のちに「北京」と呼ばれる地域空間/2 薊城──都市「北京」の起源/3 戦国の七雄としての燕/第二章 東北の重鎮──幽州/1 郡県と封建のゆらぎ/2 諸族融合の坩堝/3 中原諸王朝の前進基地/第三章 諸族争奪の舞台/1 早すぎた大燕皇帝の登場──安史の乱/2 燕雲十六州問題──胡・漢最大の係争地/3 政治的中心地への道──遼の「南京」/第四章 中都から大都へ/1 宋朝に格下げされた「燕山府」の混乱/2 金の海陵王と「中都」遷都──はじめての帝国首都/3 クビライの「大都」建設/第五章 華夷一統のために/1 漢族王朝の再興と北京遷都/2 北京定都と嘉靖帝の都城改造/3 近世東アジアの百万都市/第六章 拡大された中華帝国/1 明清交替/2 非漢人政権にして中国の正統王朝/3 タタール・シティとチャイニーズ・シティ/第七章 皇帝の住まなくなった紫禁城/1 紫禁城──外朝と内廷/2 拡大された中華世界の三つの中心/3 円明園炎上/終章 廃墟からの再生/1 北京最後の日/2 天安門での建国セレモニー/主要参考文献/あとがき/図版出典一覧/人名索引
  • 南北戦争を戦った日本人 ――幕末の環太平洋移民史
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    南北戦争の兵役記録には2名の日本生まれの兵士の名がある──サイモン・ダン、ジョン・ウィリアムズ。英語名の彼らは誰なのか? なぜアメリカにいたのか? その人物像は? 人の移動が厳しく制限されていた日本を離れ、アメリカに生きた/生きねばならなかった彼らの消息を、日米両国の資料から丹念に探査する。漂流民、密航者、あるいは幕府使節の脱落者……海を渡った日本人移民の歴史と19世紀中頃のアメリカ社会史が、アメリカ戦史上最大の死者を記録した南北戦争で交差する。 【目次】序章 日系アメリカ人二世テリー・シマとの出会い──はじめに/1 南北戦争に従軍した日本人がいた/2 アジア・太平洋系移民と日本人移民/3 南北戦争に従軍した日本人──これまでの研究と人物像/第1章 南北戦争とマイノリティ──アジア・太平洋系移民/1 南北戦争前の移民動向/2 一八六三年連邦徴兵法/3 アジア・太平洋からの移民兵士/4 中国人兵士の記録/5 中国人兵士の表象/6 マイノリティとしての立場/第2章 日本生まれの二人に近づく──アメリカでの記録から/1 サイモン・ダン/2 ジョン・ウィリアムズ/3 報奨金とブローカー/4 さらなる探索/第3章 漂流者・密航者たち/1 漂流者たち/2 漂流者ジョセフ・ヒコ/3 漂流者の実像/4 密航者たち/第4章 幕末の日本人の移動──使節団と密航者との接点/1 幕末の使節団/2 咸臨丸の概要/3 乗組員と不明者/4 乗組員の記録──センサスと死亡統計/5 万延元年の遣米使節団/6 竹内使節団と池田使節団/7 留学生/終章 旅の終わりに/あとがき
  • 痛みを希望に変えるコミュニティデザイン
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    1巻1,870円 (税込)
    四国こどもとおとなの医療センター、遠くからでも目を引くおおらかな樹々が描かれたその病院は、いつもどこかが変わり続けている。「そこに居ること」を皆が意識できる場所づくりとは? 病院という本来、痛みが多い空間を温かい場所に変えるためには? 日本では珍しいホスピタルアートディレクターを置いた病院の挑戦と軌跡──。
  • ブルゴーニュ公国の大公たち
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    フィリップ・ル・アルディ(豪胆公)、ジャン・サン・プール(無怖公)、フィリップ・ル・ボン(善良公)、シャルル・ル・テメレール(突進公)。これら四人のヴァロワ朝ブルゴーニュ公こそ、中世末期、ヨーロッパ世界において広大な領土の獲得と燦然と輝く文化的達成を現出させた人々にほかならない。彼らの営為によってあらわれる公国の個性とは何か。ホイジンガの『中世の秋』に比肩すると言われる本書は、博捜と実証をもとに、大公たちの生涯と事績、そしてついに成し遂げられなかった夢を光彩陸離たる筆致で叙述する。ブルゴーニュ公国の歴史を包括的にまとめた書として今も揺るぎない地位を占める名著。
  • 民間企業からの震災復興 ――関東大震災を経済視点で読みなおす
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    富国強兵と殖産興業が一段落、新興帝国日本が漂流し始めた大正時代に、大災害が首都を襲った。本書は、経済活動の担い手である実業家・企業・財界の視点と活動に注目し、大震災からの復興過程を考察する。彼らが大震災に対してどのような復興構想を持ち、どこまで実現したのか。それは近代化を目指した日本社会や日本を取り巻く国際社会にどのような影響を与えたのか。植民地を含む当時の日本帝国全体の経済地図を塗り替える、もう一つの近現代史を浮き彫りにする。
  • 病が分断するアメリカ ――公衆衛生と「自由」のジレンマ
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    コロナ禍のアメリカでは、迅速な疫学調査とワクチン開発がなされたにもかかわらず、多くの死者が出た。ワクチン接種に当初から反対が根強く、マスク着用では国が分断された。アメリカの公衆衛生が抱える深刻なジレンマ――国民の健康と自由な活動という二律背反の価値のどちらを優先するかをめぐって、どんな論争があったのか。20世紀初頭以来の公衆衛生史を繙きつつ、社会格差・地域格差・人種格差などによって分断されているアメリカの諸問題を追究する。
  • メディアの生成 ――アメリカ・ラジオの動態史
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    メディアの近未来を予測するとき、ラジオの歴史から学ぶことは多い。20世紀が幕を開けた頃、電波を用いたコミュニケーション領域=無線は、最新のニュー・メディアだった。そこから徐々にラジオ放送が産業として編成され、マス・メディアとして確立し、日々絶え間なく放送される番組が人々の生活文化を形成していくことになる。本書は20世紀初頭から半ばまでのアメリカにおけるラジオの動向を通じ、メディアが経験した地殻変動や、近代社会における文化の諸相に迫る。インターネット登場前夜に書かれた名著に、新章を増補した待望の文庫版。
  • 南北朝正閏問題 ――歴史をめぐる明治末の政争
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    1巻1,595円 (税込)
    国定教科書の記述をきっかけとして起きた、日本の南北朝時代において南朝と北朝のどちらが正統かをめぐる明治末の論争は、当時の閉塞的な政治状況もあり、重大な政治問題と化した。最終的に政府は危機を乗りこえたが、深刻なダメージを負った。多様なアクターがそれぞれ自分の信念や思惑をもって活動した結果として生じた、深刻かつ複雑なこの南北朝正閏問題を、現代政治における歴史問題・皇室報道問題の原点として徹底的に掘り下げて考察。そこから浮かびあがる近代日本の特質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 南北朝正閏問題の背景/第二章 南北朝正閏問題の突発/第三章 藤沢元造の質問に向けて/第四章 大日本国体擁護団と政府弾劾決議案/第五章 桂内閣による「第一の政治決着」/第六章 南北朝正閏論争の構造/第七章 桂内閣による「第二の政治決着」/おわりに/参考文献/言説分析原典一覧/あとがき
  • 微分と積分 ──その思想と方法
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    「微分積分という学問の本質的性格をていねいに解き明かした教科書はあんがいに少ないのではあるまいか。たしかに微分積分学はきわめて広い応用範囲をもっていて、それらをすべて網羅しようとすれば、何冊あっても足りないだろう。だが、その思考法の本質にねらいを定めて解説すれば意外に簡単なものである」(本書「はしがき」より)。微分積分法をその根底にある思想から数学史に即して語り、微積のエッセンスを基本から丁寧に分かりやすく説明する。数学者数学教育者として一流であった著者による、曖昧な説明や証明の省略を一切排した微積分学最高の入門書。
  • ゴダール革命〔増補決定版〕
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    いつ炸裂するかわからない時限爆弾として映画があるとするならば、ジャン=リュック・ゴダールの作品はいかなる条件のもとにそうであるのか、あるいはそうでないのか。映画批評的/映画史的差異を捉えた者だけに現れる問題が存在する──。最初の長編『勝手にしやがれ』から遺作『イメージの本』まで、稀代の映画作家が置かれ続けた孤独。撮ることと観ることとのいまだ決着のつかない闘争の場に対峙してきた著者は、「映画はもはやゴダールなど必要としていない」と断じる勇気を持てと訴える。新たなる孤独の創造のために。ゴダールへのインタヴューなどを再録増補した決定版論集。
  • そのまま仕事で使える英語表現189
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    “Please”を使うのは上から目線? ビジネスメールの件名はどう書くのが正解? 仕事や商談での英語では、ただ伝わるだけではなく、微妙なニュアンスの使い分けが不可欠です。ビジネスメールでそのままマネしたいフレーズから、会議やプレゼンで好印象を与える英語テクニック、上手に相づちを打つ方法、そしてチームを鼓舞する言葉まで。ベストセラー『日本人の9割が間違える英語表現100』の著者が、仕事で英語を使うことになったら知っておきたい、必携フレーズをお教えします。
  • 増補改訂 帝国陸軍機甲部隊
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    機甲部隊こと機械化装甲部隊。第一次世界大戦中に登場し、近代軍備の要のひとつとなった新兵器・戦車は、どのように日本帝国陸軍に導入されていったのか。「軍の機械化」に邁進する列強各国の後塵を拝した日本陸軍は、ヴィジョンを欠いて迷走を重ねた結果、惨烈な第二次世界大戦にあって機甲部隊も真価を発揮できぬまま敗退へと向かう。本書は、戦車学校の教官もつとめた著者の実感溢れる主著であり、歴代戦車の写真・図面・年表他、豊富な資料を完備した類なき必読書である。1971年刊行の増補改訂版を底本に、初版から割愛された図版も再録した完全決定版。
  • 風土のなかの神々 ――神話から歴史の時空を行く
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    日本の神々とは日本人にとってどのような存在だったのか。神々は日本の風土のなかでどのような役割を担っているのか。日本の神は、自然を畏敬し国土の安寧を願う出雲系と、天皇による国家支配を正当化する高千穂・日向系に分かれる。高千穂・日向・出雲で景観問題の解決に奔走した著者が神話の舞台を歩き、「古事記」「日本書紀」編纂の場である飛鳥の遺跡に身を置いて、神々の来歴にひそむ謎を解く。【目次】序章 女神はなぜ洞窟に隠れたか――高千穂神話の世界から/第I部 出雲の神々の世界へ/第一章 スサノオの国づくりと和歌の起源――出雲平野の「わが心すがすがし」/第二章 斐伊川水系大治水計画――昭和・平成のオロチ退治/第三章 天下経営の大神――出雲大社表参道神門通りの道づくり/第四章 水に臨む神々――城原川流域委員会/第五章 疫病神の活躍――鞆の浦まちづくり/第II部 風土に生きる神々/第六章 巨大ナマズと戦う神々――要石とプレートテクトニクス/第七章 「ふるさと見分け」の方法――姥ヶ懐・裂田溝の危機/第八章 白き山の姫神――在地神と外来神/第九章 座問答――古代の大合併と合意形成の知恵/第十章 神々誕生の海岸――宮崎海岸侵食対策事業/第III部 神話から歴史への旅/第十一章 飛鳥にて――『古事記』『日本書紀』編纂スタートの地/第十二章 神話と歴史をめぐる三つの疑問/第十三章 飛鳥浄御原宮――神話と歴史を編む/第十四章 前例としての日本神話/第十五章 古代からの伝言――危機の時代のリスクマネジメント
  • 実証研究 東京裁判 ――被告の責任はいかに問われたか
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    従来の東京裁判論は、主に政治・外交史を基調とし、また「日本無罪論」で知られるインド代表判事パルやオランダ代表判事レーリンクによる個別反対意見をもっぱら話題とし、本来の東京判決での多数意見を軽視してきた。本書は、東京裁判の事実認定がいかになされ、責任がどう問われたのかを実証的に解明。法廷で適用された責任論や、各被告人に対する判定の根拠を体系的に分析する。判決七五周年に向けて、東京裁判を国際刑事裁判史にどう位置づけて評価すべきか、その功績と問題点とを明らかにする。【目次】まえがき/第一章 裁判の歴史的文脈と枠組み/第二章 平和に対する犯罪の争点/第三章 日本政府組織論/第四章 戦争犯罪の争点/第五章 「東京判決」――多数派判事による判決/終章 今日の国際刑事裁判にみる責任論

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