作品一覧
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5.01巻1,210円 (税込)昭和・光と影 昭和20年8月15日夕刻、第五航空艦隊司令長官で沖縄特攻の責任者だった宇垣纒中将は終戦を知りながら、艦上爆撃機「彗星」11機を率いて大分海軍飛行場から出撃した。 敗戦を知りつつ、宇垣長官はなぜ自らの特攻を決意したのか。 11機を見送った人々、奇跡的な生還者たちの証言、回想をもとに明らかにされる《最後の特攻隊》の真相。 〈解説〉野村進
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-1巻1,320円 (税込)「ある日ふっとぼくの前に現れて、ぼくの一番苦しいときを助けてくれて、そしてまた突然ふっと消えていったゆう子」――九州一円を巡演する親子七人のファミリ-劇団、造形劇場の妻子ある主宰者と恋に落ち、五人の私生児を設けながら、ひたすら芝居を追い求めた女優・池ゆう子、42年の情熱の炎に包まれた生涯。 ●観客から贈られた沢山の花束を抱いてホテルに戻ったゆう子に、祐吉はさらにもう一つの小さな花束を差し出した。 「ほんとに、あれでよかったの?」 まだ上気した顔のゆう子が問い返した。 「はっきりいって、口上役は七十点だったね。ただ、「語り」とおへまには文句なしに百点をつけるよ。とうとう、ゆう子はおへま役を創造したなというのが、ぼくの正直な感想だよ。とっても自然で、愛らしくって、なによりも品があって……これだ、これがぼくが長年思い描いてきたおへまなんだと思ったもの。――勇造君にも観てもらいたかったね」 祐吉が心からそう告げたとき、花束を胸一杯に抱くゆう子の眼に不意に涙が溢れ、「パパ、ありがとう」という涙声が口を洩れていた。
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4.0
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1.01巻935円 (税込)己が意志力と能力のあらん限りを燃焼し尽くしてダム建設反対の鬼と化し、ただ一人で国家と拮抗し、ついに屈することのなかった蜂の巣城城主・室原知幸。「法には法、暴には暴」のスローガンの下、奇抜な山砦戦術、芝居っ気たっぷりな作戦。そして六法全書を武器として果敢に闘った室原の凄絶な半生を、豊富な資料と丹念な聞き書きをもとに、躍動する文体で描ききった感動の記録文学大作。
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4.01巻628円 (税込)虐殺された大杉栄、伊藤野枝の遺児の青春と自立を追う。「主義者の子」という重い十字架を背負いながら、1人の女として自己を確立していく軌跡を、克明な取材で綴った感動の記録。単なる人間ドラマで終わらない、昭和という時代を明らかにする生きた証言がある。第4回講談社ノンフィクション賞受賞作!
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5.0
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
昭和20年8月15日夕、大分飛行場より艦爆「彗星」11機が沖縄沖へ出撃、最後の特攻隊は第5航空艦隊の宇垣纒司令官が直率。
終戦を知りながら出撃した若き特攻隊員、途上故障等で不時着した機の生き残りを探し、記録の少ない特攻隊の実像を探る、元予備学生パイロット。
城山三郎「指揮官たちの特攻幸福は花びらの如く」で描かれた、隊長中津留大尉のテーマを絞ったノンフィクション。
作品執筆当時で戦後30年以上。貴重な当事者の記憶は大きく異なる。
生き残った特攻隊員の重荷と罪悪感。決して悲壮感のなかった出撃なと、戦記ノンフィクションとして屈指の作品。
再版し中央公論社のヒットであると思う。 -
Posted by ブクログ
1965年刊の随筆。緒方拳主演でドラマ化もされたベストセラー。
作者は豆腐屋を父から継いで、生来虚弱な身体に鞭打ちながら働きつつ、作歌を重ねて朝日新聞に投稿する。その四季を綴る、それだけのお話。
豆腐屋としてと言うよりは、一労働者、一表現者としての思索・発言が目に付きます。「労働」を愛し、「人」を愛そう、「モノ」を愛そうと一生懸命詠む歌の数々。僕には良し悪しはわからねど、心に響くというか、身につまされます。奥さんを題材に詠む歌のなんと美しいこと。作者が愛するものが、人が、なんと美しく優しく感じられること。
とりあげられる歌には、朝日歌壇の選者による評もついているのでわかりやすいです。だから -
Posted by ブクログ
「一年の内で今日が一番美しい日ではないだろうかーと、そんな思いに駆り立てられる」日、パートナーと犬たちとの大事な日課の散歩。川沿いを歩き、駆け回り戯れ合う犬たちを眺めながら草むらに座る。風や草々にも美しさを感じる。シンプルにスムーズに描かれるうっとりするような至福の時間。
少し寒いけれど快晴で気持ちに良い午後に、わたしも近所の川沿い、土手の上の道とその先にある広場のベンチを思い浮かべながらそんな時間を想像してみる。絶対に最高じゃないか。憧れる。ビンボー(not貧乏)でも綱渡の生活でもそんな時間があれば理想の暮らし、生活、LIFEと言えるのではないか、という気がしてくる。
勿論そこに書かれている -
Posted by ブクログ
大杉栄&伊藤野枝の四女、ルイズの半生記。
著者の松下竜一さんは、やはりいい。文章にてらいがなく、真摯な人柄が伝わってくる。
文献やインタビューをもとに、どうしたらこんなに丁寧で細かく、臨場感あふれるルポが書けるんだろう。取材ノートが見てみたい。
関東大震災後の混乱に乗じ、大杉と野枝が甥の橘宗一少年とともに憲兵隊によって殺された時、ルイズはまだ1歳3ヶ月だった。
戦中は「主義者の子」「非国民の子」、そして戦後は一変して「悲運なる革命家の子」として、つねに刺すような視線にさらされ、自分のアイデンティティはどこにあるのかともがきながら生きてきた姿が描かれている。
それでもルイズは四女だった分、ま