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日本の隠遁者たち
ひとは、生まれてから死ぬまで他人とのかかわりにおいて生きている。しかしそれが時にはわずらわしくもあり、また時には人恋しくもなる。並はずれた才能を持ちながら世を疎み、心の葛藤を自然を愛でることと孤独に耐えることで癒しながら生きた中世以来の隠遁者たち、西行法師、鴨長明、吉田兼好、松尾芭蕉、種田山頭火、尾崎放哉らの研ぎ澄まされた感性の表現から、われわれ現代人は何を感じとり、受け継ぐことができるのか。日本人の心の系譜を読み解く力作。 -
ユダヤ陰謀説の正体
「反ユダヤ」関連本や「ナチのガス室はなかった」とする雑誌の特集記事……。「ユダヤ陰謀本」の正体はいったい何なのか? 戦前の日本人が描いたユダヤ人像、オカルティズムやUFOとユダヤ人との関連、インターネットの新たな戦場に現れたユダヤの妄説を読み解き、〈陰謀説〉の正しい読み方を提示する一冊! -
フットボールの文化史
いまや世界的なスポーツになったサッカーとラグビーの始まりは、紀元前にまでさかのぼることができる。中世に入るとキリスト教と深い関わりをもつようになり、それは民俗フットボールとよばれた。それがパブリック・スクールの教育システムに組み入れられることによって、ルールが整備され、大英帝国の建設とともに世界に広がっていく。英国社会の鏡像としてのフットボールの歴史を、エピソード豊かに物語る。 -
黒人のアメリカ ――誕生の物語
「アメリカの黒人」はどのようにして誕生したのか?奴隷解放ののち、苦難の道を経て、彼らはアメリカに留まりアメリカ社会の一員たることを選択する。著者はその誕生の時の立ちもどり、黒人たちのさまざまな「物語」のなかに彼らの「共生」の夢を探っていく。しかし真の共生はいまだに実現していない。黒人文化などさまざまな異文化が対等につくりだす「多文化」のアメリカは可能なのだろうか?著者は歴史の声に耳を傾けながら、そう問いかける。 -
落語手帖
世界に稀有な「落語」という芸が、ひとつの頂点を極めていた昭和30年代中期。落語に淫した随筆の名手が、その楽しさを愛惜をこめて描く。客席から見た、昭和の名人たちとその芸。落語があざやかに人間を描く様。服飾や食べ物、特殊な言い方など、知っていればさらに落語鑑賞の愉しみが深くなる知識。現代の落語ファンも必読の一冊。 -
熱烈応援!スポーツ天国
知れば知るほど、奥の深いマイナースポーツの世界。試合会場には「観戦症」の人々が溢れている。マイナースポーツと一口に言っても、その世界は多種多様であり、「スポーツ」そのものまで考えさせられるものもある。独自の視点を持つノンフィクションライターの著者がスポーツの楽しさと魔力をとらえた熱いレポート。人間のもつすばらしい能力のひとつである「応援」、その力がだれかを勇気づける。読んだ後に「観戦症」にかかることも!? -
市民政治50年 ――菅直人回顧録
市民運動家から首相へ波乱の政治活動を自ら語る。日本政治の複雑な歩みを証言する第一級資料。 【目次】 第1章 否定論理からは何も生まれない 1974-1976/第2章 市民ゲリラ国会に挑む 1977-1980/第3章 市民と政治 1980-1992/第4章 私は日本型「民主党」をめざす 1993-1995/第5章 大臣 1996/第6章 なぜ私は「奇兵隊」をめざすか 1996-2003/第7章 第九十四代内閣総理大臣就任 2004-2011/第8章 東電福島原発事故―総理大臣として考えたこと 2011/第9章 未完の日本改革 2011-2013 -
無量寿経
阿弥陀仏の名を称えるだけで、だれでも浄土(安楽)に生まれることができる──。法然や親鸞がその解釈に骨身を砕き、長く日本人に親しまれてきた浄土仏教の最重要経典。煩悩に縛られ、悪行をやめられぬまま、混迷を極めた世の中を生きるごく普通の人々。そうした凡夫を救うために四十八の誓願をたてた法蔵菩薩は、想像を絶する修行を経て阿弥陀仏となり、誓願のすべてを実現する。この阿弥陀仏の物語を、釈迦はいまだ悟りに到達できない阿難に向けて説く。全文の漢訳と読み下し、さらに懇切丁寧に施された解説により、万人のための宗教というその核心が鮮やかに立ち現れる。文庫オリジナル。 -
砦に拠る
己が意志力と能力のあらん限りを燃焼し尽くしてダム建設反対の鬼と化し、ただ一人で国家と拮抗し、ついに屈することのなかった蜂の巣城城主・室原知幸。「法には法、暴には暴」のスローガンの下、奇抜な山砦戦術、芝居っ気たっぷりな作戦。そして六法全書を武器として果敢に闘った室原の凄絶な半生を、豊富な資料と丹念な聞き書きをもとに、躍動する文体で描ききった感動の記録文学大作。 -
倚りかからず
1999年、73歳で刊行した詩集 詩集としては異例、累計30万部突破のベストセラー!! 「もはや/いかなる権威にも倚りかかりたくはない/ながく生きて/心底学んだのはそれぐらい/じぶんの耳目/じぶんの二本足のみで立っていて/なに不都合のことやある/倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」。強い意志とナイーヴな感受性によって紡ぎだされた詩集『倚りかからず』に「球を蹴る人」「草」「行方不明の時間」の詩3篇と高瀬省三氏のカット16点を添えて贈る決定版詩集。 【目次】 木は旅が好き 鶴 あのひとの棲む国 鄙ぶりの唄 疎開児童も お休みどころ 店の名 時代おくれ 倚りかからず 笑う能力 ピカソのぎょろ目 苦しみの日々 哀しみの日々 マザー・テレサの瞳 水の星 ある一行 球を蹴る人 草 行方不明の時間 -
孤独への道は愛で敷き詰められている
アラフォーの柳田譲に初めて生きる楽しさを教えてくれた夕子さん。 しかし、愛を求めまた与えようとする気持ちが空回りして、自ら関係を終わらせてしまう。 愛の廃墟に立ち尽くす孤独な魂の行方は――。 デビュー作『自分以外全員他人』に続く柳田サーガ第二作、待望の文庫化!! アラフォーの柳田譲の前に現れた三人の女たち。北海道の農作業バイトで出会った佐野玉恵、姉の友人のマッサージ店の同僚・関根奈々、そして、そもそも北海道に向かう原因となったかつての同棲相手・夕子さん。夕子さんとの、お互いを想う気持ちがすれ違い、自ら関係を終わらせてしまった顛末の後悔が柳田をついに捉える。 『自分以外全員他人』に続く柳田サーガ第二作! 解説 碇雪恵 -
韓国の都市伝説 ――民俗学者の怪談ノート
学校/受験/兵役/病院/死神/風水/祖先祭祀/高層アパート/タクシー/地下鉄/ネット怪談…… 近くて遠い。遠くて近い。 民俗学の第一人者が記す厳選テーマと各章解説! 海を挟んだ隣国においても「こわい噂」は絶えることがない。逢魔が時の学校、無人のトイレ、死と隣り合う病院の夜、軍隊内に伝わる囁き、密集する高層アパート、訪れる死神、祖先たちに捧げる祈り、圧政への抵抗、ネットに広がる誰かの言葉──都市伝説とは即ち社会の鏡であり、文化を知るための扉でもある。民俗学研究の第一人者が現地で採集した貴重な説話の数々を紹介&テーマ別にガイド。 ※本書は2003年刊『日本より怖い韓国の怪談』の改題・増補版です 【目次】 民俗学者、韓国で都市伝説と出会う (ちくま文庫版書き下ろし) 一冊目 学校の怪談 二冊目 受験地獄 三冊目 病院にて 四冊目 軍隊の噂 五冊目 乗っていくもの 六冊目 高層アパート 七冊目 人形たち 八冊目 あの世からの使者 九冊目 死んだはずの人なのに 十冊目 祖先祭祀 十一冊目 女の神秘と怪 十二冊目 獣の霊力、竜の祟り 十三冊目 おまじない もう一つの「都市伝説」(ちくま文庫版書き下ろし) デジタル化する都市伝説(同上) -
『観無量寿経』講義
「凡夫」のための教え 平明な訳と解説で読む浄土仏教の根本経典 浄土教の根本経典として、日本仏教に絶大な影響を与えた『観無量寿経』。平易な現代語訳とわかりやすい解説で明快な読み方を示した決定版入門書。 === 日本人に馴染み深い「念仏」。この念仏を称えよと説く浄土仏教の三つの根本経典が「浄土三部経」であり、そのうち最後に成立したとされるのが『観無量寿経』(観経)だ。ただし観経の教えの中心はあくまで浄土や仏の姿をイメージする「観想」にあり、念仏は、観想ができない者の救済手段として最後に登場するにすぎない。観経のこうした構成は何を意味するのだろうか? 本書は平明な現代語訳と解説で、理解が難しいこの経典を読みといていく。そこから見えてくるのは、宗教を求めざるをえない「凡夫」としての人間の姿と、その救済のために法然らが導き出した経典解釈の革新性だ。最良の観経入門書。 【目次】 第一章 『観無量寿経』の魅力 第二章 『観無量寿経』を読む 第三章 法然と『観無量寿経』 第四章 座談会『観無量寿経』を語る あとがき 『観無量寿経』原文 -
『ボヴァリー夫人』論〔増補決定版〕
著者の方法を全面展開した代表作、遂に文庫化! 明かされる「テクスト的な現実」 どこまでもその「テクスト的な現実」に即して『ボヴァリー夫人』を読解すること――。それによって作品は驚くほど豊かな相貌を見せることになろう。 === 「何も書かれていない書物」たることを夢見て生み出された『ボヴァリー夫人』。この作品をどこまでもその「テクスト的な現実」に即して分析したものが本書である。「エンマ・ボヴァリー」という固有名詞の不在の指摘を嚆矢として、手や足、数字といった細部の考察、さまざまなフィクション論などをめぐる批判的検討がなされる。周到かつ繊細な読解によって明らかとなる細部相互の齟齬と照応、差異と類似の共鳴。それらを通じ、テクストがまぎれもなく運動の惹起やみずからの変容、つまりは生成の流動とともにあることを読者はつぶさに知らされるだろう。蓮實批評の方法を大規模に示した代表作。 【目次】 凡例 序章 読むことの始まりにむけて Ⅰ 散文と歴史 Ⅱ 懇願と報酬 Ⅲ 署名と交通 Ⅳ 小説と物語 Ⅴ 華奢と頑丈 Ⅵ 塵埃と頭髪 註 -
生きものを探究する ――自然を観察するってどういうこと?
「研究」こそ、 自然を楽しみつくすための方法だ! === 自然との付き合い方にはいろいろあるが、最も豊かで最も刺激的なのは自然を研究対象にすることだ! 「勉強」と「研究」の違い、データの見方、ものの見方を変える知識、成果の公表の仕方など、「初心者」から「プロの研究者」まで、すべてに共通する自然研究の基礎と極意をこの一冊で伝授する。 === 自然観察の素晴らしいところは、いつでも、どこでもできてしまうことです。もちろん郊外のほうが多くの生き物が見られるのは確かですが、都会の中のちょっとした緑地も侮れません。私は長い間東京の中心近くに住んでいましたが、都会の公園で秋から春にかけてとても多くの野鳥が観察できることに驚きました。夏になるとカブトムシやタマムシなどの大型で子どもたちに人気のある昆虫もたくさん見つかります。ほとんどの人が、生き物なんて何もいないと感じるような場所でも、視点を変えて探せば多くの生き物が暮らしています。そして、生き物をよく観察していると、季節が進むにつれ、生き物の顔ぶれが移り変わることにも気づくでしょう。生き物の観察は人生を豊かにしてくれます。これほど手軽で奥の深い趣味はなかなかありません。 自然観察の楽しさはみなさんもよく知っていると思いますが、生き物を見ていて「不思議だな」とか「どうしてこうなっているんだろう」と感じたことはありませんか? もしそんな経験があれば、ぜひその疑問を自分の力で解き明かしてみませんか。(「はじめに」より) 【目次】 はじめに 「いつでも」そして「どこでも」 第1章 身近な自然から始まる研究 第2章 自分だけの研究テーマの探し方 第3章 数字からデータを読み解く 第4章 観察を発見に変える考え方 第5章 仮説と検証 第6章 終わりのない探究のサイクル -
長州ファイブ 山尾庸三の明治
日本の「工学の父」にして 障害者教育の先駆者 知られざる傑物の生涯をたどる 幕末に藩命でイギリスに密航した「長州ファイブ」の一人で、日本の「工学の父」と称される山尾庸三(1837-1917)の初めての一般向け評伝。攘夷志士として活動後、ロンドンとグラスゴーで五年間、化学と造船学を学び、帰国してからは殖産興業を担う工部省の創設に尽力し、日本初の高等工業技術学校である工部大学校を開設。一方で盲唖学校設立にも関与し、障害者教育の先駆者ともなった。地位や名誉に拘泥せず、控えめで博愛心に満ちた明治の傑物の生涯を描き出す。 【目次】 はじめに 第1章 横浜同窓会 第2章 萩から江戸へ 第3章 過激志士から密航へ 第4章 イギリス留学 第5章 工部省時代――帰国、鉄道、鉱山 第6章 続工部省――灯台、電信 第7章 釜石製鉄所の挫折と西陣の近代化 第8章 工部大学校創設 第9章 盲唖学校開設と伊沢修二 第10章 なぜ盲唖教育に献身したのか 第11章 三人の大立者――木戸、伊藤、渋沢 第12章 工部卿から臨時建築局総裁へ 終章 晩年と近年の再評価 あとがき 参考文献 年譜 人名索引 -
沈黙するドイツ ――反ユダヤ主義、ガザ、イスラエル
なぜドイツのエリートたちは ガザ攻撃を批判する市民を弾圧し イスラエルを無条件に支持するのか ――ドイツ政界の「イスラエル・ロビー」 その知られざる実態を明らかにする イスラエルによるガザ攻撃をめぐり、ドイツでは警察がパレスチナ連帯デモを弾圧し、政治家やメディアはイスラエルを批判する文化人を「反ユダヤ主義」だと糾弾してきた。ホロコーストに対するドイツの歴史的責任は、今やイスラエルへの軍事支援の正当化に持ち出されている。イスラエルの行動に自らは沈黙し、市民にも沈黙を強いるエリートの論理には愛国主義と国策が絡む。軍産複合体と反ユダヤ主義監視団体からなる「イスラエル・ロビー」、それが生み出す腐敗の実態をも明らかにする。 【目次】 序章 沈黙するドイツ 第1章 デモや集会への弾圧 第2章 大学や文化人への弾圧 第3章 イスラエルと連帯する愛国主義 第4章 闘う民主主義と「新しい反ユダヤ主義」 第5章 「イスラエルの安全保障はドイツの国家理性」演説 第6章 国際ホロコースト記憶同盟の反ユダヤ作業定義と連邦議会 第7章 弾圧の先兵 第8章 反ユダヤ主義監視活動と「検閲産業複合体」 第9章 ドイツの政軍産複合体 第10章 反ユダヤ主義監視事業の不祥事 第11章 反ユダヤ主義研究のバイアス 第12章 イスラエル・ガザ戦争に関する世論調査 第13章 政界におけるせめぎ合い 終章 言論弾圧の理由・効果・主体 参考文献 図版出典一覧 あとがき -
研究室からはるかな旅へ
魅力的な6人の研究者たちの「研究室」に行ってみた。 ◆無人島の鳥 川上和人 ◆海底の沈没船 山舩晃太郎 ◆宇宙の生命 藤島皓介 ◆北欧神話 伊藤尽 ◆縄文人のゲノム 神澤秀明 ◆土の謎 藤井一至 世界の果てまで足を運び、何億年もの時を超える、 それぞれの「謎」に迫る魅力的な研究者たち。 かれらが見る景色はとうもなく広く深い。 さあ、研究室から飛び出そう! 『ナショナルジオグラフィック』(日本版ウェブサイト)の人気連載「「研究室」に行ってみた。」書籍化、第三弾! === 【目次】 はじめに 鳥をめぐる「すごい」物語 川上和人 1 自然の中の「パーツ」としての鳥 2 外来種の駆除を保全の目的にしてはならない理由 3 「手つかず」の島の物質循環をさぐる 4 博学多才な鳥類学者はなぜ、どのように誕生したのか 5 新たな島、西之島 6 「面白い」に導かれる 世界中の沈没船や水中遺跡から見えるもの 山舩晃太郎 1 世界の海で活躍する気鋭の船舶考古学者 2 船の考古学に夢中になるまで 3 水中考古学の革命フォトグラメトリとその先に見えるもの 4 世界の沈没船の発掘現場をめぐって気づいたこと 5 「日本は一気に世界一の水中考古学大国になる」わけ 生命は地球以外にも存在するのか 藤島皓介 1 そもそも「宇宙生物学」って何ですか? 2 古細菌研究から「宇宙生物学」へ 3 生命は「二つの紐」から始まった? 4 「生命が始まる最初の瞬間」を再現したい 5 生命誕生の鍵を握る驚異の「リボソーム」 6 太陽系でほかに生命を探すとしたらどの星か 7 生物学者の宇宙研究とは 8 もし異星の生命が見つかったら バイキング・北欧神話・トールキンの世界へ 伊藤尽 1 バイキングと北欧神話とトールキンの「異世界」へようこそ 2 「エルフ語」のつくり方 3 エルフ、ドワーフ、オージン――バイキングの活躍と北欧神話の浸透 4 北欧神話の起源と写本「エッダ」発見の物語 5 日本のマンガやゲームに北欧神話が広まる 6 わたしたちはなぜこんなにも北欧の神話が好きなのか 7 行き止まりの場所のさらに先へ 古代DNAと日本人のルーツを探る 神澤秀明 1 縄文人の女性の全ゲノムを解読し、顔を復元する 2 縄文人のDNAでわかった様々な特徴 3 日本で古代DNAの研究設備を立ち上げる 4 予想より複雑だった「日本人」の起源 5 縄文人は異質で均質? 6 ゲノムで「家族」観に迫る? 7 縄文人よりずっと多様な弥生人 8 三重構造なのか? 多重構造なのか? 9 縄文人はどこからきたのだろう 「土」の謎に挑む 藤井一至 1 「世界の見え方が変わるほどの衝撃」をおぼえる土の研究 2 「地球最後の謎」に挑む土の研究者ができるまで 3 畑の劣化した土と森の健康な土はどう違うのか 4 山火事による土の劣化を解決した見事な方法とは 5 「地球最後の謎」、土を人工的につくってみよう 6 月や火星でジャガイモを作るには? 7 福島と日本の「田んぼ」の未来を切り開くには 8 スコップを持って世界をめぐる === -
世界地図と地球の時間 ――グリニッジ標準時と本初子午線
20世紀、世界は標準化された―― ロンドンの天文台が司る、巨大システム いま、この本を手に取ってくれたあなたは、地球上のどこにいるのか。それが地球上のどこであれ、正確に「ここ」と示すことができる便利な指標がある。「緯度」と「経度」である。 経度と緯度を調べれば地球上の座標が定まり、時計を見れば、今が何時かすぐわかる。経度差から外国の時間も計算できる。便利だが、あまりに当たり前で、もはや意識すらされないこの時間と空間の指標が、世界で統一されたのは、19世紀末から20世紀中頃のことであった。同時に、イギリスのグリニッジ天文台という施設を基準とした世界中を覆うこの巨大なシステムが、各地域で各民族に流れていた時空の感覚を塗り替えてきた。いつ、どうして、時計と地図は標準化されたのか。その歴史に迫る。 === 【目次】 はじめに 第一章 世界地図を編む人々――並び立つ本初子午線 1 世界の最西端 2 大西洋からパリへ 3 「この船」の現在地を知る 4 それぞれの本初子午線 第二章 グリニッジ天文台――空間と時間が交差する場所 1 地図の帝国 2 陸地測量部の設立、インドの地図化 3 海図に描かれる世界 4 時間の帝国 第三章 多様な基準線、異なる時間――本初子午線をめぐる論争 1 なぜ本初子午線の統一が必要になったのか 2 ある鉄道技師のアイデア 3 ピラミッドを基準とする 4 メートル法との駆け引き 第四章 本初子午線をめぐる外交――時間と空間の国際秩序 1 国際子午線会議の開幕 2 本初子午線と世界標準時の成立 3 合理的で科学的な判断 第五章 時間と空間の輸入――標準化への長い道のり 1 日本標準時をつくる 2 「太陽の時間」と「人工の時間」 3 標準化のゆくえ おわりに あとがき === -
世界はトラウマでできている
大切なのは、飴玉のように感情を感じ終えるまで感じること。 世界を見る目が変わる、児童精神科医による「傷つき」論。 市民権を得たようにみえる「トラウマ」という言葉ですが、その意味するところは十分に理解されていないかもしれません。本書では、人が傷ついたときどういうことが起きているのか、トラウマを否認することで何が起きるか、丁寧に解説していきます。自分とだれかの傷つきを、大切にできるようになるための一冊です。 「「トラウマ」という言葉がなくても、あたりまえに、私たちは傷つく存在であり、さまざまな傷を抱えながら生きているということを、お互いに理解し、認め合い、受け入れる世の中が来てほしいと思っています。」(本文より) === 【目次】 はじめに 「それでも人は傷つく」をあたりまえに/トラウマの理解のために/この本は「ちょうどよく」ないかもしれない/感じ終わるまで感じること 第1章 人は傷つく 「傷つく」の軽視/トラウマ元年/PTSD概念の広がり/診断名の登場/異常な状況における正常な反応 第2章 人が傷ついたとき起こること DSMによる診断基準/DSM–5–TRの特徴/議論の的となるA基準/心の傷に大小はない/B基準=侵入症状/フラッシュバックとは/きっかけになるもの/C基準=回避症状/D基準=うつ状態/自分に責任を押し付けてしまうこと/全体としてうつ状態を呈する/E基準=覚醒度と反応性/睡眠障害/F基準=仮の区切り/G基準とH基準/解離症状/遅延顕症型 第3章 トラウマという名のもとに 心理療法への影響/再演/再演の例/否定的な自分観/ポスト・トラウマティック・プレイ/解離/感情は飴玉のように/恐怖条件付け/PTSDと脳の関係/ポリヴェーガル理論/進化と発達からわかってきたこと/感情から目を逸らす/EMDRの人間くささ/私たちの外界認識/世界線が変わる/集団のなかのトラウマ/トラウマ・インフォームド・ケア登場/浸透しないTIC/医療以外の現場/精神医学は変わるのか? 第4章 トラウマを認めたくない人たち スモールtトラウマとは何か/なぜ私たちはトラウマを認めたくないのか/トラウマは擬態する/常識はなぜ保たれているのか/伝統や武勇伝/集団の都合/男性用トイレを例に/加害者の誕生/トラウマに触れると何が起こるのか/医療に潜むトラウマ/トラウマへのトラウマ/「正常」との線引き/時代とともに変わるもの/誰かのあたりまえは、誰かのトラウマかもしれない/明文化できないものを学ぶとき/被害者が加害者をかばうとき 第5章 心の傷が癒えるとき 何重にも絡まった糸/トラウマは克服しなくていい/人の「推し」を笑うな/思い残しと成仏/動物園の避難訓練/訓練の時間は終わらない/考えるな、感じろ/感じる者は救われる おわりに === -
ニッポンの大地震 ――地学でわかる予測と対策
南海トラフ地震、 首都直下地震に、 備えよ! 京大人気№1教授が贈る全国民必携の書。 日本人が地震について知っておきたいことのすべて。 今後10年“最大の危機管理”を、この一冊から。 具体的な数字と図版満載で、分かりやすく解説します。 日本全国、地震の起こらない場所はない。 南海トラフ、首都直下、日本海、内陸の活断層…… 将来の巨大地震はどのくらい危険で、どう備えるか。 「東日本大震災の15倍の被害」 「19個の地震の巣が首都直下にある」 「十数年後に起きる」という具体的な予測を、 地学の知識から、豊富な図版とともに解説する。 対策についても、ローリングストック、避難、事業継続計画(BCP)など、実際的な方法を伝授しよう。 今後10年の“最大の危機管理”のすべてが詰まった、 大地変動の時代に全国民必携の一冊。 目次より…………「地震だ!」その瞬間に考えるべきこと/「沈み込み帯」にある日本列島/いつ起きてもおかしくない首都直下地震/震源域が19か所もある/3つの地震が連動して起こる/「西日本大震災」という伝え方/「10年後の手帳」に/南海トラフ巨大地震の季節が始まった/日本海側を太平洋側のバックアップ拠点に…………………etc === 【目次】 はじめに 日本にはどのくらい地震が多いのか/「大地変動の時代」だからこその思考法/知識こそが「サバイバル」のための武器になる 第1章 地震とはどういう現象か 「地震だ!」その瞬間に考えるべきこと/ゆれはどうして起こるのか/断層とは過去の地震の記録である/地震の波と震源域/地震には縦波と横波がある/地震波は地球の内部を知るカギとなる/地震の地表波/地震はどうやって測るか/デカルトの遺産/短周期の動きと長周期の動き/マグニチュードと震度/気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュード コラム1 世界と日本の巨大地震 第2章 日本列島、地震の起こらない場所はない 地球の内部構造はゆで卵!?/地球は12枚のプレートで覆われている/リソスフェアとアセノスフェア/プレートに載って大陸はただよう/ウェゲナーの大陸移動説/地殻とプレートの違い/海洋地殻と大陸地殻を比較すると……/「沈み込み帯」にある日本列島/地震の発生を説明する「プレート・テクトニクス」 コラム2 津波はどうやって起きるか 第3章 いつ起きてもおかしくない首都直下地震 首都直下地震とは?/震源域が19か所もある/関東大震災の再来/関東大震災はどのように起こったのか/関東直下地震には周期がある/液状化と地盤流動/大量の災害廃棄物が発生/首都圏一極集中は、どう危険なのか/房総半島沖地震と巨大津波/千葉県直下にプレートが3枚/繰り返されるスロースリップ地震/房総半島を大津波が襲った延宝房総沖地震 コラム3 「災害シナリオ」で首都直下地震に備える 第4章 南海トラフ巨大地震とはどういうものか 3つの「地震の巣」がある/巨大地震の履歴/3つの巨大地震が連動して起こる/南海トラフ巨大地震の前後に増える内陸地震/活動期と静穏期から次の巨大地震を予測してみる/どのくらいの被害が想定されるか/「西日本大震災」という伝え方/緊急地震速報の仕組み/「空振り」よりも「見逃し」が怖い地震予測 コラム4 南海トラフ巨大地震の「半割れ」現象と時間差 第5章 スーパーサイクル超巨大地震への備え 超巨大地震のメカニズム/南海トラフ巨大地震、300年経過の意味/琉球海溝で発生するM9クラス巨大地震/「史上最大」の1771年八重山地震津波/「海底地滑り」で想定外の大津波が発生する/「琉球―東海巨大地震」を一連の課題とする/確率による発生予測/「地震発生確率」では伝わらない/「10年後の手帳」に/「南海トラフ地震臨時情報」が自分事になった日/南海トラフ巨大地震の季節が始まった コラム5 スーパーサイクル超巨大地震で富士山噴火の連動 第6章 日本海で起きる地震 元日の大地震/能登半島地震と活断層/次に警戒すべきは能登半島西部や佐渡沖である/数千年ぶりの地殻変動/日本海の成り立ちからわかること/そして、日本列島が陸化した/日本海東縁にはひずみ集中帯がある/日本海側を太平洋側のバックアップ拠点に コラム6 地球科学者にとっての東日本大震災 第7章 地震にどう備えればよいか――危機管理を具体的に 家庭でできる備え/非常持ち出し品と常備品/学校や会社ではどう準備するか/まず自分の命を守る/学校や会社からの帰宅はどうするか/避難所での生活をリアルにシミュレーション/情報収集と家族との連絡法/帰宅路を実際に歩いてみる/「安全」と「安心」/被害の6〜8割は事前準備で減らせる コラム7 「防災の日」に「率先避難」を考える 第8章 「大地変動の時代」だからこその思考法 「当たり前」を見直す/18世紀の破局的災害・リスボン大地震/当時の思想家たちの世界観をひっくり返した/リスボン大地震後のポルトガルから学べること/日本列島に生きる者の思考回路/地震にも「恵み」がある/豊かな都市に必要な条件/「流れ橋」に見るしなやかな生き方/「ブリコラージュ」の発想 コラム8 地学の「想定外」 第9章 地球の歴史の中で人類はどう生きるか プレート運動が石炭・石油を生んだ/地球上の自然は本来フローである/農業革命とストックへの転換/「北緯35度の逆転」と人類の居場所/都市の膨張/産業革命は地球をどう変えたか/環境問題には「逃げ場がない」/昔の生活に戻れるか?/資本主義的フローの危険性 コラム9 生命居住可能領域 おわりに 索引 === -
ちくま
筑摩書房のPR誌です。注目の新刊の書評に加え、豪華執筆陣によるエッセイ、小説、漫画などを掲載。2026年10月号! 【目次】 〈ポラポレプリリン神話 34〉 市川春子 小説翻訳とは似ても似つかない戯曲翻訳の世界(『シェイクスピア 私はこう訳してきた 悲劇篇』書評) 北村紗衣 シーモアグラスの三十年と、喫茶店の話(『喫茶店のはなし。』書評) 川口葉子 デス・リテラシーの第一歩(『欲張らない死に方』書評) 最相葉月 百貨店の記憶とまだ見ぬ未来(『写真でよみがえる昭和百貨店』著者解題) 佐藤篁之 奇妙で心地よい地獄(『孤独への道は愛で敷き詰められている』書評) 佐佐木陸 〈世界正義〉は踏みつけられても根を張り、芽吹き続ける(『増補 世界正義論』書評) 井上達夫 願いだと気づく(『みんな、普通で困ってる』) 市原真 『小説家のつくりかた』のつくりかた(『小説家のつくりかた』著者解題) 乙一 ・特別掲載 人間関係 横田創 ・連載 〈雑に歩く 9〉ペット、恋人を抜いて七位 椹木野衣 〈世の中ラボ 197〉ボーイズラブ、その秘めたるパワーを考える 斎藤美奈子 〈わたしたちが世界を止めた日 10〉第二部 レッド・ホット・チリ・ストッキング(7) ブレイディみかこ 〈山頭火 11〉町田康 〈構想力の民俗学 3〉労働組織としての「農」 中沢新一 〈ネにもつタイプ 296〉すいか 岸本佐知子 〈歴史破壊の現場から 12〉高知のホテルの片隅で──安重根の足跡(1) 安田浩一 〈最果からお届けします。 126〉からあげはかく語りき 最果タヒ 〈演技を忘れた時代に 3〉現実を生きる神話 渡辺健一郎 -
翻訳の常識 ――読解力から翻訳力へ
「翻訳の神様」が説くその極意 豊富な文例で英文解釈から翻訳までの道筋を示す 真にすぐれた翻訳とはいかなるものか。達意の訳文で知られる英文学者が、豊富な実例と解説を通じて読解から翻訳までの道筋を説く。解説 山本史郎 === 翻訳は、「与えられた英文の意味するところを正しく把握理解する作業」と「その理解しえたところをなるべく適確な日本語で言いあらわす仕事」という二つのプロセスから成る。では、真にすぐれた翻訳とはいかなるものか。本書では、達意の訳文で知られる英文学者が、読解から翻訳までの実際の道筋を説く。前半では、第二言語として英語を学習することや英文読解の秘訣について自身の体験も交えつつ大胆に語り、後半では、文学作品を中心とする例文に解説を施す形式で、英文を適切に理解し、それを翻訳する手順を懇切丁寧に論じる。すべての英語学習者が読むべき不朽の翻訳指南書。 【目次】 はしがき 第一部 読解力養成のために I. 昔ばなし II. 会話の問題 しゃべる英語 III. 読解力の養成(1) 外形的方面 IV. 読解力の養成(2) 論理的に考えるということ V. 読解力の養成(3)‘A boy is a notebook.’――柔軟な頭を VI. 一応のしめくくりと演習と 第二部 英文の解釈から翻訳へ I. 英文解釈ということ II. 文学作品の翻訳 解説(山本史郎) -
シェイクスピア 私はこう訳してきた 悲劇篇
すべて、訳した。だから、わかった。 読めば、台詞の一言一言がより深く味わえる。 全37作品を訳した第一人者による、目からうろこのシェイクスピア読本。 〇To be or not to beは、なぜ訳しにくいのか?(『ハムレット』) 〇独白と傍白はどうちがうのか?(『オセロー』) 〇なぜ台詞を金言にしてはいけないのか?(『リア王』) 〇「明けない夜はない」は正しい訳なのか?(『マクベス』) 「訳していて初めてわかったシェイクスピアのこと、翻訳の際に悩んだこと、稽古場で役者さんが台詞を言うのを見て気がついたこと――劇の台詞の一言一句をより深く味わい、ときに「難解」ともいわれるシェイクスピア演劇を鑑賞するためのガイドにもなるはずです。」(「はじめに」より) <目次> はじめに 第1章 ハムレット 前編—あいだのひと 後編—主語と独白 第2章 オセロー 前編—愚かしさの極み 後編—戯曲の翻訳は稽古場で完成する 第3章 リア王 前編—歓ばしい悲劇 後編—金言にしない 第4章 マクベス 前編—weからalone への旅 後編—先行訳への挑戦 おわりに -
写真でよみがえる昭和百貨店
昭和の時代、百貨店は“ハレの日”の特別な場所だった! 現役の老舗デパートから、かつて一世を風靡した名店まで。 消費と文化の発信地として、新しい経験と体験を与え続けてくれた あの頃の“非日常空間”を貴重写真で振り返る! 【本書で詳述する百貨店】 伊勢丹新宿店/日本橋三越本店/松屋銀座/丸井今井函館店旧店舗/藤崎本店/日本橋髙島屋/松坂屋上野店/松屋浅草/銀座三越/西武池袋本店/小田急百貨店新宿店/京王百貨店新宿店/そごう横浜店/名鉄百貨店本店/松坂屋名古屋店/大阪髙島屋/大丸心斎橋店/あべのハルカス近鉄本店/阪急うめだ本店/天満屋岡山本店/デパートリウボウ/棒二森屋/新潟三越/小網屋/東急百貨店日本橋店/松坂屋銀座店/東急百貨店東横店/三越新宿店/西武有楽町店/横浜松坂屋/江ノ電百貨店/松菱百貨店/名鉄百貨店一宮店/マルビシ百貨店/そごう心斎橋本店/丸新百貨店/とでん西武/福岡玉屋/沖縄山形屋 【内容紹介】 昭和の百貨店は現在よりもずっと特別な場所だった。家族で着飾って出かけ買い物を選び、大食堂で贅沢な食事を楽しみ、地方の特産品に舌鼓を打った。百貨店はまた昭和の代表的なレジャースポットだった。子どもは屋上遊園地の遊具に目を輝かせ、大人は美術・博物の展覧会や最新モードのファッションショーに夢中になった。本書は貴重写真をふんだんに掲載しながら、そんな“ハレの日”の特別な場所だった全国の名百貨店の絢爛な記憶と記録を描出する。 【目次】 第一部 「昭和百貨店」の世界 伊勢丹新宿店(東京都新宿区新宿) 日本橋三越本店(東京都中央区日本橋室町) 松屋銀座(東京都中央区銀座) 丸井今井函館店旧店舗(北海道函館市末広町) 藤崎本店(宮城県仙台市青葉区一番町) 日本橋髙島屋(東京都中央区日本橋) 松坂屋上野店(東京都台東区上野) 松屋浅草(東京都台東区花川戸) 銀座三越(東京都中央区銀座) 西武池袋本店(東京都豊島区南池袋) 小田急百貨店新宿店(東京都新宿区西新宿) 京王百貨店新宿店(東京都新宿区西新宿) そごう横浜店(神奈川県横浜市西区高島) 名鉄百貨店本店(愛知県名古屋市中村区名駅) 松坂屋名古屋店(愛知県名古屋市中区栄) 大阪髙島屋(大阪府大阪市中央区難波) 大丸心斎橋店(大阪府大阪市中央区心斎橋筋) あべのハルカス近鉄本店(大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋) 阪急うめだ本店(大阪府大阪市北区角田町) 天満屋岡山本店(岡山県岡山市北区表町) デパートリウボウ(沖縄県那覇市久茂地) 第二部 あの頃の百貨店 松屋浅草フロアガイド [百貨店の誕生]「座売り」から「陳列販売」へ [エレベーター/エスカレーター]“非日常空間”に誘う二つの昇降機 [エレベーターガール/マネキンガール]モダンガールたちの花形職業 [広告デザイン]美人画から始まった広告戦略 [包装紙]顧客に伝えるビジュアル・アイデンティティ [催事]イベント型コト(体験・思い出)消費の実践 [大食堂/お子様ランチ]最上階にあった愉悦の空間 [ターミナルデパート]電鉄系百貨店の隆盛と衰微 [屋上庭園/屋上遊園地]「昭和百貨店」の原風景 第三部 消えた老舗百貨店 棒二森屋(北海道函館市若松町) 新潟三越(新潟県新潟市中央区西堀通) 小網屋(茨城県土浦市川口) 東急百貨店日本橋店(東京都中央区日本橋) 松坂屋銀座店(東京都中央区銀座) 東急百貨店東横店(東京都渋谷区渋谷) 三越新宿店(東京都新宿区新宿) 西武有楽町店(東京都千代田区有楽町) 横浜松坂屋(神奈川県横浜市中区伊勢佐木町) 江ノ電百貨店(神奈川県藤沢市南藤沢) 松菱百貨店(静岡県浜松市中央区鍛冶町) 名鉄百貨店一宮店(愛知県一宮市新生) マルビシ百貨店(滋賀県彦根市銀座町) そごう心斎橋本店(大阪府大阪市中央区心斎橋筋) 丸新百貨店(徳島県徳島市東新町) とでん西武(高知県高知市南はりまや町) 福岡玉屋(福岡県福岡市博多区中洲) 沖縄山形屋(沖縄県那覇市牧志) 百貨店関係略年表 -
夜の太鼓 新版
こころが騒いで眠れぬ夜に―― 「生活」を続けるすべての人に贈るエッセイ 「私の住居は六畳一間に四畳半ほどのキッチンとやら。そのキッチンの棚、卓上、椅子も一つだけを残し、すべて印刷物の占領下にある。」長く家族を養った先で、ついに手にした自分の部屋での自分の暮し。生きる限りは鼓動が続く。傷の記憶も世の不合理も消えずとも、人と話し、ものを食べ、地を歩き、故郷とかつての日々をおもう。戦火をくぐって時代に臨んだ詩人の名随筆集。 解説 蜂飼耳 カバーデザイン 小川恵子(瀬戸内デザイン) カバー画 いぬいかずと 【目次】 Ⅰ 花いちもんめ 時の名称/しつけ糸/会社をやめたら/絵柄人柄/雪谷/気になったことふたつ 他 Ⅱ その角の向うに 運動会の空/籠の鳥/美顔/冬の案山子/梅が咲きました/子供一同/一粒の米も、私も 他 Ⅲ 松崎 「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」の頃/自作について/私の名前/思い出が着ている/悲しみと同量の喜び/伊豆と私 他 あとがき/文庫版あとがき/解説 蜂飼耳 -
日本城郭史
日本人にとって城とは何か。 先入観を打ち砕く、おどろきの城郭研究。 日本の城といえば、姫路城のような天守閣のある建築物。だが、このような形の城郭が成立したのは信長・秀吉の時代になってからである。古代の城柵から近世の御城まで、史料に現れる城をたどってみると、日本という国のかたちが見えてくる。国家の平安を乱す野蛮な軍事施設から、地域の秩序を保つ平和の要へ――。城をめぐる日本人の思考様式を探る、文献史学からみた城郭の歴史。現代人の城郭観も変わる! === 【目次】 序章 城とは何か? 第一章 古代の城郭 第二章 古代から中世へ1――東北の戦乱と王朝の城郭観 第三章 古代から中世へ2――中世城郭の出現 第四章 鎌倉時代の城郭 第五章 南北朝・室町時代の城郭 第六章 戦国時代の城郭 第七章 中世から近世へ 終章 城郭史研究のフロンティア === -
ムガル帝国 ――インド・イスラームとペルシア文化
イスラーム神秘主義の歴史 南アジアで花開いたスーフィーたちのペルシア文化とは 広大なインド亜大陸の一三世紀から一七世紀の思想史は複雑である。インドとパキスタンの分離独立など政治的な影響から、いまの南アジアは、イスラームとヒンドゥーという宗教アイデンティティーに依拠して、解説されることが多い。けれども言語に注目して歴史を概観すると、従来と異なる景色も見えてくる。本書は、西アジア、中央アジア、南アジアの文化的共通言語として一八世紀まで機能した「近世ペルシア語文献」から、ムガル帝国で花開いたスーフィーたちの神秘主義思想と、ペルシア文化を概説する。 === 【目次】 第一部 デリー・スルターン朝時代(一二〇六年~一五二六年) 第一章 デリー拠点の教団――チシュティー教団(ラージャスターン~パンジャーブ~デリー) 第二章 地方拠点の教団――スフラワルディー教団(パンジャーブ)、クブラウィー教団(カシミール)、フェルドゥスィー教団(ビハール) 第三章 スーフィーとヒンドゥー神秘主義者の思想的交流Ⅰ 第二部 ムガル帝国時代(一五二六年~一七世紀半ば) 第四章 イラン高原からの影響――救世主運動とオカルト科学 第五章 古参教団と新興教団――チシュティー教団(続)、カーディリー教団、ナクシュバンディー教団 第六章 スーフィーとヒンドゥー神秘主義者の思想的交流Ⅱ 第七章 「万人の平和」と神の宗教――アクバル皇帝(一五四二年~一六〇五年)の時代 第八章 『二つの大洋の合流』 === -
修辞的思考 ――論理でとらえきれぬもの
説得力の鍵はレトリックに有り! 《修辞的思考》は《論理的思考》と対立しない。本書は論理以外の「説得要素」として、レトリックの技巧に注目。文学作品を例に迫る。解説 円城塔 === 「《修辞的思考》は、《論理的思考》と対立するものでもなく、相互補完的なものでもない」。我々が何らかの言論に接するとき、その論理にそって分析をしがちだが、本書はそれ以外の説得要素「レトリック」に注目する。シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』、ドストエフスキー『罪と罰』、中島敦『山月記』など有名作品を例にとり、各々の中でいかなる「説得力を得る方法」が展開されているのか、著者一流の鮮やかな手つきで、レトリック上の技巧に焦点を合わせて論じきる。 【目次】 序文―修辞的思考とは何か 第一話 そして誰も論理的でなくなった:シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』 0 序論 1 「論理的」でなかったブルータス 2 アントニーが破壊しようとしたもの 3 遺言状を読まない理由 4 怒りは快楽である 第二話 逆説は通念に寄生する:ラ・ロシュフコー『マクシム』 0 序論 1 逆説は真実ではない 2 逆説は対義結合ではない 3 逆説は通念を負かさない 第三話 心の弱さと議論法:ドストエフスキー『罪と罰』 0 序論 1 第一の理論│「普通ならざる人」の権利 2 第二の理論│結果による正当化 3 なぜ理論は二つあるのか 4 ラスコーリニコフの弱さ 第四話 自己欺瞞の文法的特徴:中島敦『山月記』 0 序論 1 したことではなく、しなかったことを告白する李徴 2 緩叙法の奸計 第五話 屁理屈で取り戻した青春:伊藤整『青春について』 0 序論 1 「真の」青春のジレンマ 2 敗北者の青春論 3 誰も従わない 〈補〉 議論の型と論者の思想の関係について:R・ウィーバーの修辞理論の検討 あとがきにかえて―乳の代金を請求する母親 文庫版解説 機械の言葉、人間の言葉 円城塔 -
日本詩歌の特質
何が日本の詩や芸術を支えてきたのか 恰好の日本詩歌入門 古代から現代まで、色と色離れ、うたげと孤心、全体と個といった対立概念がいかに日本の詩歌を支えてきたかを闊達に語った名講演。 === 古代から現代まで日本の詩歌はどのようなものに支えられてきたのか。彩り豊かな表現が行われる一方、色彩のない鋭い感覚自体が色となる転換も起きる。そうした「色」と「色離れ」をはじめ、大勢の人々が集い、交歓する「うたげ」と一人でいる孤独の心「孤心」、全体の世界と個の世界といった、遠心的動きと求心的動きの振幅が時代ごとの文芸を形づくったと著者は主張する(「詩歌の読みかた」)。その他、本書には、松尾芭蕉、高浜虚子、飯田蛇笏をテーマにした講演など七つを収録。著者自身、日本文学の全体像をめぐって語るべきことを語ったと述懐する、またとない日本詩歌入門。 【目次】 Ⅰ 詩歌の読みかた Ⅱ 芭蕉について立派だと思うこと 文学・美術にみる幕末 虚子文学の意味 飯田蛇笏の文業 Ⅲ 日本詩歌の特質 『日本とヨーロッパ 一五四三~一九二九』展 あとがき 解説(中西恭子) -
織田作之助コレクション
男女、放浪、人情、孤独、デカダンス、そして死―― 文庫未収録作品多数収録 戦中戦後を駆け抜け、散った 無頼派作家の魅力とエッセンス 「織田の笑い顔は私たちを元気づける。勇気づける。 実は厳しい視線を交えて地上を丸ごと肯定する。 ほんで、どないすんねんと、問いかけるように。」(編者解説より) 【収録作】 ひとりすまう/探し人/写真の人/立志伝/家風/航路/許嫁/大人の童話/事始め/婦人/周囲/訪問客/見世物/奇妙な手記/饗宴/冴子の外泊/影絵/死神 ああこの女は身投げするに違いない──南紀白浜で遭遇した奇妙な関係の男女をめぐる心理を描いた小説第一作「ひとりすまう」、急死した一度会ったきりの許嫁のもとに駆け付ける二十歳の女性を通して人情と運命の厳しさを描く「許嫁」など全十八編。徹底して生を肯定し、戦中戦後を疾走した無頼派・織田作の新たな魅力を堪能できる、文庫未収録作品を中心とした傑作集。 編者解説 重里徹也 -
古典注釈入門 ――歴史と技法
古典と読者を結ぶいとなみの全貌 歴史と技法をわかりやすく語る、唯一無二の入門書 日本語の古典を読む際に必ず参照する「注釈」。先人の知的格闘の痕跡であるその営みの全体像を、歴史から技法に至るまで丁寧に解説した入門書。 === 日本語の古典を読む際に参照する「注釈」。それは、時代が下るごとに作品が読めなくなっていくのを何とか乗り越えようとした、先人たちの知的格闘の結晶である。本書は一条兼良、北村季吟、本居宣長といった注釈者や、室町期の『河海抄』から戦後の岩波「古典大系」にいたる注釈書をとりあげ、秘儀から実証、そして科学へという流れの下に注釈の歴史をたどる。さらに本文の確定や典拠の指摘、頭注形式といった具体的な技法にも踏み込んだうえで、将来あるべき姿を展望する。読者を古典と結びつけ、一人では到達できない地平へ導く注釈。その豊饒な世界をわかりやすく解説した、類例のない入門書。 【目次】 序章 注釈で古典を読む Ⅰ 注釈とは何か 第一章 古典を読むことの意味 第二章 注釈が目指すもの Ⅱ 注釈の歴史を辿る 第一章 古代・中世の注釈――秘儀としての注釈 第二章 近世の注釈――実証としての注釈 第三章 近現代の注釈――科学としての注釈 Ⅲ 注釈の技法 第一章 作品世界に深く分け入る 第二章 わかりやすく読むための工夫 終章 注釈の未来に向けて あとがき/文庫版あとがき -
未完の金融改革 ――池尾和人の政策実践
白川方明氏(元日銀総裁)推薦! 「池尾先生は知的誠実さと勇気の人だった」 現代日本を代表する金融経済学者・池尾和人(1953~2021)は、日本の金融システム改革を最前線で導き、大きな足跡を残した。本書は池尾の人物像を描き、その足跡に政策と経済学の変遷を重ね合わせる試みである。池尾は問題に直面した際に、何を考え、どのように行動していたのか。大きな転換の局面ごとに池尾が邂逅した政官財界・学界のキーパーソンの証言に基づき、その時々の池尾自身の発言や論考も織り込みつつ、彼が追求した金融システムの理想を探っていく。 【目次より】 はじめに 川北英隆 序章 池尾和人が活動した時代の経済と金融 1 日本経済の概観 2 資金需給の概観 3 間接金融システムと規制 4 新しい金融システムに向けて 第一章 池尾和人の足跡 1 経済学との出会いから研究へ 2 金融システムに関する政策関与 3 コーポレートガバナンス改革の実践 4 分析と啓蒙教育 第二章 金融規制と不良債権問題 1 米国における不良債権問題と日本におけるバブルの生成と崩壊 2 柳澤伯夫氏から竹中平蔵氏への金融担当大臣の交代 第三章 日本の金融システム改革 1 日本の金融制度改革の変遷(金融ビッグバン提唱前) 2 一九九六年以降の池尾が関与した金融関連の審議会 3 金融ビッグバン構想以降の提言 4 二〇〇七年以降の改革 5 公的金融システム改革とビッグバン 6 池尾の「金融システム改革」の本質 第四章 コーポレートガバナンスの進化とガバナンス・コード 1 コーポレートガバナンス概観 2 コーポレートガバナンス強化の政府・政党の動き 3 「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」での議論 第五章 世界金融危機と金融システムの将来像 1 バブルと金融危機 2 米欧の金融危機 3 世界金融危機の三つの段階 4 金融危機のメカニズム 第六章 デフレと経済政策 1 金融システムと金融政策 2 日本経済「失われた二〇年」の原因 3 日本の財政問題 4 社会保障と人口動態の変化、日本の未来 5 最後の論考・長期停滞論 参考文献 池尾和人主要研究業績 おわりに 塩入篤 比較年表 人名索引 事項索引 -
モダン都市の写真史 1923-1944 ――写真雑誌「フォトタイムス」にみる視覚の革命
日本の写真が 最も熱かった20年 関東大震災後に現れた新世界で 写真家たちは何を見て、どのように表現したか―― 関東大震災は明治以来の東京の都市空間を一夜で崩壊させた。その後に姿を現した「モダン都市」は日本写真史の新たなページを開く。それは写真を絵画から独立させ、かつてなかった新たな対象の見方をもたらす「視覚の革命」でもあった。フォトグラムやソラリゼーションをはじめとする新たな表現、都市の相貌とそこに生きる人々を撮るリアルフォト、小型カメラによるスナップ写真……。世界の写真の動静を紹介し、活発な議論や実験の場でもあった写真雑誌「フォトタイムス」の興亡と写真表現の変容をたどる、かつてなかった一冊。 【目次より】 はじめに 写真誌『フォトタイムス』が語る「視覚の革命」 第一章 関東大震災とモダン都市の出現 第二章 「視覚の革命」の始まり──モホリ=ナジ『絵画・写真・映画』と独逸国際移動写真展 第三章 新興写真の新形式──フォトグラム・フォトモンタージュ・タイポフォト 第四章 モダン都市空間とリアルフォトの模索 第五章 ライカの流行とスナップ写真時代の到来 第六章 ノイエザハリヒカイトと高速度撮影、万国博覧会の写真壁画 第七章 シュルレアリスムの夢、前衛写真の展開 第八章 対外宣伝誌──欧米各国との報道写真の競争 第九章 「大東亜戦争」下の写真の到達点──視界から読者が消えた 関連年表 主要参考文献 あとがき 人名索引 -
宣長とベルクソン
宣長とベルクソンを並行させ、交互に輪唱のように歌わせて、 ふたりのなかにあった「ひとつの哲学」を取り出し、語り直す。 「持続の直観」と「大和ごころ」 そこにふたりは何を見たのか? 人類が「知性」のみを頼りとして思考し、しかもその考えが、有用ではっきりとした行動に向けられているわけでも、日々の暮らしに役立てられているわけでもない時、必ず無用にして危険、滑稽にして酷薄な精神の機構が、社会のなかに重々しく、頑強に作り出されることとなる。そうした機構が人心を支配し、人間の歴史を左右するさまは、まことに恐るべきものだとベルクソンは考えたのである。本居宣長が「からごゝろ」と呼んで排撃したものは、まさにベルクソンが戦ったこの精神の機構と同じものを指している。この戦いを敢行するために、二人が用いた言葉、扱った事実や出来事、成し遂げることに打ち込んだ述作の体系は、限りなく隔たっている。それでも、ふたりの戦いを為さしめている根源からの力は、ほとんど完全に同じものだと言えるのである。人間の歴史には、そういうことが起こり得る。――序章より 【目次】 序章 ひとつの啓示 第一章 初めは歌の言葉から 第二章 思考を阻んで在るもの 第三章 「もののあはれ」に立つこと 第四章 変化それ自体である心 第五章 光源氏なる人 第六章 もののあはれを知らぬ人 第七章 物に触れて動く心 第八章 見る心と在る物の姿 第九章 歌を詠むにさまざまな度合のあること 第十章 「過去」なるものの無数の水準 第十一章 皇国(ミクニ)は格別(カクベツ)の子細(シサイ)あるが故に 第十二章 生物の「進化」をいかに語るか 第十三章 天地(あめつち)の初めを説く言葉 第十四章 「本能」の全体をいかに語るか 第十五章 神々が生まれ出ること 第十六章 直観と知性とはいかに浸透し合うか 第十七章 「穢れ」という物 第十八章 自然に「意図」があること 第十九章 生が死に克ち続けること 第二十章 道徳の英雄と成りゆく者 第二十一章 天が地へと降りる 第二十二章 道徳と宗教とが、二つにして一(いつ)である時 第二十三章 『古事記』に沁み渡る天降(あまくだ)りの意図 第二十四章 人だけが、なぜ物語って生きるのか 第二十五章 神が人と戦って勝つ時 第二十六章 実践する神秘家たち 第二十七章 ほどほどにあるべきかぎりのわざをして 第二十八章 機械学(ラ・メカニック)に神秘学(ラ・ミスティック)が 結章 二つの遺言状が指すもの あとがき 人名・神名索引 -
言語起源論の系譜
「言語」とは何か──すべてはそこに収斂する ヨーロッパの特異性を浮かび上がらせる傑作思想史 ヨーロッパ固有の問い、「言語の起源」。把握不能な生成の瞬間を探求した人々は何を見ようとしていたのか――。ヨーロッパの核心を穿つ傑作思想史。 === 言語の起源とは何か。それは自然と人為、いずれによるものか。古代から近代へと2500年、この問題はヨーロッパにのみ見られる足跡を遺した。ヘブライ語の失墜、新たな「自然」の創出、「起源の言語」から「言語の起源」への転換と国民国家の成立、そして「近代」に固有の逆説……。言語の生成はいかにして可能かという問いがそれらを貫いていく。傍らに一人「生まれ出ざる者」を伴いながら――。長きにわたる追求は、ついにソシュールによる起源の否定へと逢着したが、本当に問題は消えたのだろうか? 膨大な文献の渉猟とともにヨーロッパの核心を剔抉した傑作思想史。第36回サントリー学芸賞受賞。 【目次】 はじめに 序章 人類最初の言語を聞く 第I章 「神」が言語を与える――聖書の時代:中世から一五世紀まで 第II章 複数のアダムたち――国民言語勃興の時代:一六世紀から一七世紀 第III章 人間が言語を作る――「自然」創出の時代:一七世紀 第IV章 起源を証明する――「社会契約」の時代:一七世紀から一八世紀へ 第V章 起源をめぐる闘争――乱立する言語起源論の時代:一八世紀 第VI章 起源を復元する――言語学の時代:一八世紀から一九世紀へ 終章 「起源の言語」を語る天使たち 書誌 あとがき ちくま学芸文庫版あとがき 人名・作品名索引 -
武器と農具の江戸時代 ――刀狩りから幕末まで
百姓にとって自然は敵か味方か? 戦はなくなったが、百姓は鉄砲を手放さなかった。その謎を解き明かすべく、動物への対応や農耕の営みといった自然と人々との関わりを明らかにする。 === 豊臣秀吉の「刀狩り」により、すべての武器が没収され、民衆は武装解除されたといわれている。その後、江戸時代は平和となり、武器は必要とされなくなった。しかし、百姓は取り締まりからのがれて、鉄砲を所持し、使っていた形跡があったのである。生き物への慈愛を謳った綱吉、鷹狩りを復活させた吉宗。度重なる不作の危機のなか、なぜ、百姓は鉄砲を必要としたのか。鳥、猪、鹿などの獣との関わり、農耕の営みなど、百姓が自然といかに向き合ってきたのかを描いた『鉄砲を手放さなかった百姓たち』を、改題増補を加えた一冊。 【目次】 はじめに――鉄砲を手にした百姓 第1章 鉄砲改めの始まり――家綱政権(一六五一~一六八〇) 1 刀狩りの真実 2 将軍と鷹 3 鉄砲改めとは 4 使い続けるために 5 銃規制の原点 第2章 生類憐みのかげに――綱吉政権(一六八〇~一七〇九) 1 見直される生類憐み 2 紙玉の威力 3 殺生厳禁の風潮に染まって 4 憎悪を強める百姓 第3章 復活した鷹場とともに――享保の改革(一七一六~一七四五) 1 鷹将軍・吉宗 2 激減していた鳥 3 大岡忠相の登場 4 関東を鳥の禁猟区にして 5 形式だけの鉄砲管理 第4章 暗躍するアウトロー――大御所時代(一八三七~一八四一) 1 アウトローの出現 2 出まわっていく鉄砲 3 改革組合村が主体となって 4 追認された隠し鉄砲 第5章 上知令とあわせて――天保の改革(一八四一~一八四三) 1 庶民の敵・忠邦 2 事務処理に追われる大目付 3 改革を成功させるために 4 忠邦の改革プラン 終章 鉄砲を選んだ百姓 1 荒廃していた山間部 2 移動していく獣 3 雑木林を拠点に荒らす獣 4 百姓にとって鉄砲とは おわりに――“武器”から“農具”へ 補論1新たな刀狩り論へ 補論2日本人は銃とどのように向き合ってきたのか――銃社会日本の歴史 文庫版あとがき -
唐十郎傑作戯曲集
もっと毒を!もっと混乱を! 日本の沙翁(シェイクスピア)が、めくるめく世界を描いた『吸血姫』ほか、 『秘密の花園』『ジャガーの眼』『ビニールの城』の、戯曲4作品が甦る。 1960年代からカウンターカルチャーを牽引した唐十郎。現代演劇の革新は彼なくしては語れない。幻想、深い闇、哄笑に満ちた作品群と「紅テント」での上演スタイルは、いまなお後進戯作者に多大な影響を与えている。そのポリフォニーな世界に接してきた編者が推す名品『吸血姫』『秘密の花園』『ジャガーの眼』『ビニールの城』を収録! 【目次】 『吸血姫』 『秘密の花園』 『ジャガーの眼』 『ビニールの城』 解説 久保井研 -
「学問」の本筋 ――柳田國男と双極の民俗学
躓き、そして何度でも 立ち上がった。 「ここではないどこか」に魅かれる。「いまこの社会」を良くしたい。 戦争の時代と理想の時代、二つの極の間で揺れ動いた柳田の「学問」の足跡をたどる。 柳田國男の民俗学には、二つの極がある。『遠野物語』や山人論、「海上の道」に代表される、日本人の起源を求めてやまないロマン主義民俗学。そして、主権者自身を担い手とした社会の改良を志す「本筋の学問」――すなわち公民の民俗学。ここではないどこかに心誘われ、何度も挫折と失敗を繰り返しながら、人類の幸福という理念を目指し続けた柳田國男の思想をたどる。 私たちは、学問を何のためにするのか。 【目次より】 序章『炭焼日記』の人々 時局の迫れる話/三人の炭焼きたち/原始共産制と民俗学/外地に出征した弟子たち/インテリジェンスの関係者/文化映画関係者/偽史関係者/学問の応用という隘路 第一章 双極の民俗学 ロマン主義民俗学と公民の民俗学/起源論への節度/近代の生きにくさ/神経衰弱と神隠し/生存への不安/かくり世と新体詩/柳田國男のフェアリーテール/「ルーラル・エコノミー」という名/「習慣」と「私」/椰子の実一つ/社会問題の側/社会のために応用される学問/「自主」と「自助」/「古代」への断念 第二章 実験小説論と『遠野物語』 社会政策学者として/ミスチシズムと「山男」/イプセンと社会問題/クロポトキンを読む/明治文学史と自然主義/何故『蒲団』を嫌ったか/自然主義文学を酷評する/佐々木喜善の野心/お化の問屋とフェアリーテール/日露戦争と遠野物語/加減せず感じたるまゝ/理系の文学/批評する資格はない/ルウラウ・ライフと歌のわかれ 第三章 山人論の迷走 何故「ルーラル・エコノミー」なのか/新渡戸稲造とゾライズム/「民俗学」は道楽か/マイノリティの発見/先住民実在という仮説/隘勇線と山人/シャグジと隘勇線/伊能嘉矩の「原住民」統治政策/植民地政策と山人観/「山人」の分類/山人の正体/柳田國男の実験小説 第四章 田山花袋のロマン主義殺し 『蒲団』の恋の圏外/二つの樺太小説/「隣室」の観察者/柳田國男が怒った実話小説/煩悶する詩人/花袋のゾラ式実験小説/花袋のサンカ小説/暴走するロオマンス/津軽への旅/偽史とロオマンス 第五章 不戦思想の民俗学 「こんなこと」から「学問の本筋」へ/松岡三兄弟の「椰子の実」言説/起源論と沈降大陸/海洋漂泊民と人種差別撤廃問題/第一次大戦後の世界秩序/ジュネーブでの学問体験/選挙民「妄動」の危惧/不戦思想と普通選挙/憲法「人民ノ名に於テ」問題/エスノロジーのルーラル・エコノミー化 第六章 偽史のグローバリズム 雑誌『民族』の頓挫/岡正雄とナチス民俗学/柳田の「学問」のナチス民俗学的読み替え/横断面と現在学/ナチスのオカルト民俗学/大政翼賛会とムー大陸/藤沢親雄と偽史のグローバリズム/国際協調主義という理想の果て 第七章 国有信仰と魂のエコサイクル 固有信仰論のつくられ方/七生報国と魂の共同主義/柳田固有信仰論の変質/「生まれ替わり」という立論/小泉八雲の東洋の我(エゴ―) 終章 固有信仰から憲法へ 働かねばならぬ世になりぬ/戦後の三つの課題/固有信仰論のウォッシュ/枢密院顧問となる/柳田社会科とCIE/CIEの徴用リスト/民族学者と「スーパーマン」/占領軍公認の偽史/「海上の道」へ/憲法の芽を生やす あとがき -
歴史哲学最終講義
思想はここに極まる ヘーゲルの没年に行われた最後の講義。その筆記録を忠実に訳し、歴史哲学の実像を伝える。 ヘーゲル終焉の年に行われた「世界史の哲学」講義筆記録の新訳。歴史を通し精神の本質をなす自由はどう実現されたか。思想の最終到達点が示される。 === 「世界史は自由の概念の発展である」と主張し、その過程を縦横に語った講義「世界史の哲学」。長らくヘーゲルの入門書として読まれてきた『歴史哲学講義』は、恣意的な編集によって歪められたものであったため、多くの誤解を生んできた。アカデミー版全集に基づいた新訳は、真のヘーゲル像を明らかにする。10年間になされた講義のなかでも1830/31年冬学期の講義は特に重要だ。中国、インドなどの東方世界の歴史から、ギリシア、ローマ、ゲルマンへと辿り、フランス革命後の激動期を考察する。それはヘーゲル最後の国家論・政治哲学の卓抜な洞察であり、現代の自由主義論争にも大きな示唆を与える。 【目次】 訳者による序 凡例 訳注の凡例 世界史の哲学への序論 はじめに 一 世界史の哲学の普遍的な目的は客観的な目的 二 究極の目的設定の内容 三 世界史の歩み 世界史の哲学 一 地理学的三区分 二 世界史の時代区分 第一章 東方世界 一 中国 二 インド 三 ペルシア帝国 四 エジプト 第二章 ギリシア人 第一期 ギリシア世界の起源と形 第二期 ペルシア戦争からアレクサンドロス大王の東方遠征まで 第三期 ギリシアの没落 第三章 ローマ人 第一期 ローマの起源と強国への発展 第二期 第二次ポエニ戦争から帝政成立まで 第三期 帝政時代 第四章 ゲルマンの国 序 第一期 ゲルマン諸民族の登場 第二期 中世 第三期 近世 訳者あとがき 事項索引 人名索引 -
中国の戦争観 ――アヘン戦争から軍事大国化まで
「平和を熱愛する民族」がたどった 知られざる闘いの歴史とは―― 隣の大国は本当に強いのか? 力による現状変更を警戒する「中国脅威論」vs. 「中華民族酷愛和平」(中華民族は平和を熱愛する)という自己認識 なぜ中国の行動をめぐる議論はすれ違うのか? その答えは中国の歴史にあった! 中国は軍事力を増強し続け、今やアメリカに次ぐ超軍事大国となった。しかし、その戦争観は「平和を愛する民族」と「政権は銃口から生まれる」の間で、時代ごとに二転三転する。近隣諸国や米国・ロシアとの関係など、様々な問題を抱える東アジアの大国は、軍事という手段をどのように捉えてきたのか? 軍閥、党軍、徴兵制、ジェンダー、武士道、ナショナリズム、欧米や日本の侵略への抵抗から、激しい内戦を経て、軍事大国となった現在まで、戦争観の変遷を読み解く。 「一見して理解しがたいものとも見える中国の戦争や平和に対する考え方が、どのような歴史的な経緯の中で作り上げられてきたのか。そこに特徴があるとすればどのようなものなのか。本書の検討が、中国という巨大でわかりにくいものの論理を理解するために、いくばくかの手がかりを提供することができれば幸いである。」(本文より) === 【目次】 はじめに──「中華民族は平和を熱愛する」? 第一章 伝統中国との連続と断絶──清末 1 伝統中国の軍隊と社会 2 十九世紀の危機 3 清の近代化の試み 4 「尚武」の流行 第二章 「軍閥」の時代──中華民国北京政府期 1 革命戦争と新国家の模索 2 北京政府期の戦争論と平和論 第三章 政党国家体制と「党軍」──中華民国南京国民政府期 1 国民革命の展開 2 南京国民政府の軍事政策 3 日中戦争とその影響 第四章 東西冷戦と中ソ対立の下──毛沢東時代の中国 1 東西冷戦と中国の軍事 2 中ソ対立と先鋭化する中国 第五章 現代世界のなかの中国──改革開放から大国化へ 1 改革開放と中国の変容 2 中国の大国化とナショナリズムの問題 おわりに あとがき 関連年表 参考文献 === -
シュラクサイの誘惑 ――現代思想にみる無謀な精神
哲学者はなぜ政治でつまずくのか 20世紀哲学の暗部からそのもつれを解きほぐす ハイデガーやシュミットら20世紀の哲学者はなぜ専制政治を擁護したのか。思想と政治の複雑なもつれを解きほぐす。増補版あとがきを新たに訳出。 === 20世紀の哲学を語るうえで決して無視してはならないのが、ハイデガーやシュミットらのナチズムへの加担である。なぜ哲学者たちは現実政治を見誤り、ときに専制的な政治体制さえも擁護してしまうのか。哲学は、その政治との関わり合いにおいて、いかなる役割を果たしたのか。本書では、アメリカの政治哲学者マーク・リラが、20世紀の名だたる哲学者たち──ハイデガー、アーレント、ヤスパース、シュミット、ベンヤミン、コジェーヴ、フーコー、デリダ──を取り上げ、政治と哲学との複雑なもつれを丹念に解きほぐしていく。文庫化にあたり、原著改訂版より新たに「あとがき 信仰のみ」を訳出した決定版。 【目次】 日本の読者のために まえがき 第1章 マルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、カール・ヤスパース 第2章 カール・シュミット 第3章 ヴァルター・ベンヤミン 第4章 アレクサンドル・コジェーヴ 第5章 ミシェル・フーコー 第6章 ジャック・デリダ 終章 シュラクサイの誘惑 あとがき 信仰のみ(SOLA FIDE) 謝辞/旧版訳者あとがき/文庫版訳者あとがき -
『共同幻想論』に挑む ――家族人類学的考察
国家の起源にある謎とは? 国家の成り立ちをめぐって書かれた、戦後最大の思想家・吉本隆明の主著にして難解をもって知られる『共同幻想論』に、博覧強記の仏文学者・批評家が〈遡行読み〉そしてE・トッドらの家族人類学の最新の知見を武器に挑む! ロジックを追うスリルと興奮溢れる、知的刺激に満ちた1500枚に及ぶ圧倒的論考、ここに誕生!! -
ウィトゲンシュタイン〔増補新版〕 ――言語の限界
理論への誘惑を退け、思考の悪癖を断ち切る── 現代哲学を方向づけた天才の思考をたどる最良の入門書! 哲学とは、言語の限界に突き当たってできた思考の瘤を取り除くことである。ウィトゲンシュタイン哲学の核心にふれる、定評ある入門書の増補完全版! === 哲学とは、言語の限界に突き当たってできた思考の瘤を取り除くことだ。哲学者のつとめは、自らがこうした瘤や病気をもっていることを自覚しながら、それを治療することにある。ウィトゲンシュタインの哲学は、著述の特異なスタイル、そして彼の人柄と切り離すことができない。本書は、理論への誘惑を退け、思考の陥る悪癖を断ち切ろうとするウィトゲンシュタインの粘りづよい思考を、主著『論理哲学論考』や『哲学探究』のみならず、膨大な遺稿や講義録にも分け入り、その数奇な生涯をたどりながら一望する試みである。その後の解釈論争や最新研究を踏まえ、増補を施した入門書の決定版! 【目次】 まえがき 第1章 一九二九年 第2章 『論理哲学論考』とはどんな書物か(一) 第3章 『論理哲学論考』とはどんな書物か(二) 第4章 ウィーンからケンブリッジへ 第5章 否定の謎 第6章 像としての命題 第7章 語りえぬ事柄 第8章 再出発と破局 第9章 復帰までの道のり 第10章 ふたたびケンブリッジにて 第11章 現象言語 第12章 意味と検証 第13章 哲学とは何か 第14章 『哲学探究』まで(一) 第15章 『哲学探究』まで(二) 第16章 意味と理解 第17章 私的言語 第18章 数学の哲学 第19章 心理学の哲学 第20章 最期の日々 第21章 科学主義に抗して 補章 二一世紀のウィトゲンシュタイン ウィトゲンシュタイン略年譜 主要著作ダイジェスト キーワード解説 読書案内 あとがき ちくま学芸文庫版あとがき 参考文献一覧 索引 -
社会学の技法
これが社会学だ 理論とは、調査を前進させるための技法である。 ラベリング理論の提唱者がそのすべてを語りつくす 社会学がめざすべきものとは何か。そのために社会学者は何をすべきなのか。ラベリング理論の提唱者がその方法論のすべてを開陳した不朽の名著。 === 社会学を学ぶ者は、どんな問題関心をもって、何をどのように論じるべきか。社会学ならではのものの見方や考え方とはいかなるものか。本書は、シカゴ学派の中心的人物の一人であり、ラベリング理論で本邦でも広く知られるアメリカの社会学者ハワード・S・ベッカーが、長年の研究蓄積や指導実践に基づき、みずからの方法論を開陳した一冊である。分厚い経験的調査をもとに概念や理論を練り上げることでより緻密な記述をめざすアプローチは、まさに社会学的研究の王道ともいうべきものであり、いまなお多くの示唆を含んでいる。社会学のあるべき姿を指し示す不朽の名著。 【目次】 序文 第1章 技法 第2章 イメージ 1 実質的イメージ 2 科学的イメージ 第3章 サンプリング 1 何を含むべきか 2 カテゴリーを超えて――合致しないものを見出す 第4章 概念 1 概念は定義される 2 概念を定義する――いくつかの技法 3 概念は一般化である 4 概念は関係的である 5 ヴィトゲンシュタインの技法 6 概念の内包を拡大する 第5章 論理 1 大前提を発見する 2 真理表、組み合わせ、類型 むすび 旧版訳者あとがき/文庫版訳者あとがき/引用文献/索引 -
現代世界における日常生活
消費を制度化させる社会に抗して 〈日常〉を疑え! 資本主義のもと、我々の〈日常〉はどのように方向づけられているか。大量消費と官僚主義の問題を、日常生活批判が暴きだす。 解説:山本千寛 === われわれの〈日常〉は、資本主義のもと、知らぬまに支配関係の再生産のために構築され、方向づけられてしまっている。1960年代のフランスでルフェーヴルはそう告発し、「日常生活批判」を展開した。エリート層によって欲望が〈指導〉された大量消費社会は、語りの権利と日常を自らの手に取り戻すことができるのか? 五月革命へ向かう熱気のなかで書かれた本書は、その後の展開を含めた著者の理論的支柱を、あますところなく提示する。資本主義や消費社会への非難が拡大する現代の日本社会において、再注目に値する一冊。 解説 山本千寛 【目次】 第一章 探求と若干の発見物の提示 1 半世紀のうちに…… 2 哲学と日常的なるものの認識 3 第一の行程、第一の契機 4 第二の階程、第二の時期 5 現在の社会をどのように名づけるべきか 6 いったい何が起ったのか(フランスにおいて、一九五〇年と一九六〇年のあいだに) 7 第三の時期。一九六〇年以後 第二章 指導される消費の官僚主義的社会 1 統一と矛盾 2 不安の基盤 3 想像的なるもののなかへの四歩 4 いくつかの下次=体系について 第三章 言語的現象 1 座標軸の脱落 2 超言語 3 滑稽さ 第四章 テロリズムと日常性 1 テロリズムの概念 2 文章とテロリズム 3 形式の理論(再論) 4 抜け道 5 短い対話 第五章 永続文化革命に向かって 1 最初の諸結論 2 拘束の哲学と哲学の拘束 3 われわれの文化革命 -
ナチスに抗した若者たち ――その生き方を問う
愛と自由に生きた 普通の若者たちの物語 発覚すれば死が待つ活動へと 彼らを駆り立てたものは何か ナチス政権下のドイツで、ナチスに不信感を抱く若者が少数ながらいた。政権成立当時子どもだった彼らは、一九四〇年代初頭に青年期を迎え、共感しあえる同世代の仲間とグループを形成してビラ散布や市街地での落書き、秘密の勉強会などの行動で反ナチの意思を示した。彼らは、ナチス体制の何に反発したのか。発覚すれば死が待つ行動へと彼らを駆り立てたものは何か。ごく普通の若者たちの姿を通じて、「名もない人々にとってのナチス・ドイツ」がいかなる時代あったのかを描いていく。 【目次より】 まえがき 第一章 ヒトラー万歳(ハイル・ヒトラー)と言え 1 われらの時代が来た 2 生徒たちよ自律的であれ――教師エルナ・シュタールとリヒトヴァルク校の生徒たち 3 ナチスのやつらはろくでなしだ――ヘルムート・ヒュベナーと幼馴染 4 父さんは犯罪者じゃない――共産党員の親をもつ子どもたち 第二章 仲間との日々 1 新しい世界 2 教養人の自負――ハンブルク・白バラ 3エーデルワイスは自由の花だ――エーデルワイス海賊団 4 皆が知るべきこと――ヒュベナー・グループ 第三章 決断のとき 1 知性のビラと直感のビラ 2 これ以上ドイツを壊すな――エーデルワイス海賊団 3 十代の素顔――エーデルワイス海賊団 4 誰かが後を継がなければ――ハンブルク・白バラ 第四章 我らの信じた道 1 使命感と恐怖心――ハンブルク・白バラ 2 行動の意味――エーデルワイス海賊団 3 別離と再起 終章 抵抗する若者たちが残したもの おわりに 主要参考文献 図版出典一覧 事項索引 人名索引 -
国民防空 ――日本的危機対応の失敗と教訓
この国の落とし穴は 有事対応にある 「想定外」による失敗を繰り返さないために 第一次大戦後に来たるべき空襲に備え提唱され、軍・当局・国民が一丸になって進めた「国民防空」。関東大震災の経験を宣伝材料にして驚くほど急速に浸透したが、安易な想定や精神力依存、同調圧力による普及などの欠陥も多く、新技術を用いた米軍空襲には機能しなかった。この国民防空の組織や技術は、戦後の災害対策や国土計画・都市計画に引き継がれ現在に至っている。現代日本の危機対応の原点ともいえる国民防空の成立と普及過程を検証し、その教訓を未来へと伝える。 【目次より】 まえがき 第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」 1 「国民防空」の内容と展開過程 2 関東大震災と軍の教訓 3 防空研究にみる関東大震災の影響 第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習 1 大阪への震災影響と東京の動き 2 防空演習の実相 3 防空演習への批判 第三章 時間を要した防空法成立と審議過程 1 防空法成立前の経緯 2 帝国議会の審議 3 関東大震災等の影響 第四章 国民防空に関する技術の開発動向 1 軍の研究会と二つの火災実験 2 軍と学会等による研究体制 3 米国の空襲技術の開発 第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」 1 防空計画と指導要領 2 「都市の防空的構築」の構想 3 専門家による防空の都市づくりに関する提案 4 函館大火と静岡大火 第六章 防空意識の涵養 1 国民防空に関する言説 2 『国民防空読本』と『時局防空必携』 3 『写真週報』にみる防空啓発 4 東京市・都の広報と関東大震災 5 様々な媒体による防空啓発 第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」 1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟 2 防空の模範として脚光を浴びる 3 国民防空の手本になる 4 戦後への影響 第八章 「国民防空」の浸透 1 防空訓練の思い出 2 防護団・警防団と燈火管制 3 町内会・隣組と「常会」 4 生活基盤になった町内会・隣組 終章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために 1 都合よく使われた関東大震災 2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」 3 「国民防空」の目的――戦争継続のための国民統制 4 「思い込み」で進んだ国民防空 5 国民防空の失敗を繰り返さないために 6 これからの危機対応に向けて おわりに 国民防空の展開 関連年表 参考資料 -
『おくのほそ道』新考 ――自筆本からわかる芭蕉の真意
日本思想研究者による 芭蕉研究の集大成 1996年に発見された芭蕉自筆の『おくのほそ道』から、 作品に籠めた芭蕉の真意、そして「軽み」の展開を解明する。 === 【目次】 はじめに 第一章 芭蕉自筆『おくのほそ道』発見の衝撃 1 芭蕉自筆本、二百五十年ぶりの発見 2 芭蕉自筆本の執筆時期──元禄六年の盆 3 『おくのほそ道』完成までの過程──芭蕉自筆本・曾良本・素龍清書本 4 生前弟子に見せなかった理由と臨終に去来に譲る遺言 5 『おくのほそ道』の出版──元禄版から明和版・寛政版へ 6 芭蕉自筆本に基づく『おくのほそ道』のテキスト 第二章 芭蕉の俳諧の展開──出発点から奥羽行脚まで 1 伊賀時代──貞門俳諧からの出発と北村季吟との関係 2 江戸へ移住──談林調の流行を追求 3 深川隠栖──「不易」の文藝を目指して・漢詩調の俳諧 4 『野ざらし紀行』の旅と『冬の日』──蕉風形成、紀行文の成立 5 『笈の小文』の旅と『更科紀行』 第三章 奥羽行脚──元禄二年の旅で見出したもの 1 奥羽行脚の企画──「菰かぶるべき思い」 2 奥羽行脚の実際──『おくのほそ道』に書かれていないこと 3 奥羽行脚の中での悟り──「天地流行の俳諧」90 4 「軽み」の萌芽──俳諧指導の実際「翁直しの一巻」 5 旅中における芭蕉の変容 第四章 「不易流行」──『猿蓑』から『おくのほそ道』執筆までの過程 1 「不易流行」が言い出された背景 2 「軽み」の俳諧──「木のもとに」歌仙から『ひさご』へ 3 「幻住庵記」──「不易」の文藝への執念 4 「市中は」歌仙──新発見の芭蕉の修正稿から『猿蓑』へ 5 人生回顧と風雅論──「造化にしたがひ、造化にかへれ」 6 『猿蓑』の編集──「俳諧の古今集」を目指して 7 「几右日記」と『嵯峨日記』に見られる歌仙の構成 8 『笈の小文』──紀行文の書き方とその構成 9 江戸の俳諧事情と元禄六年盆の『おくのほそ道』の執筆 第五章 『おくのほそ道』の構成──序と五部構成の内容 1 序章と最後との呼応──基底となる宇宙観・人生観 2 叙述内容から見た構成──国別による区分 3 叙述内容から見た構成──月別による区分 4 自筆本当初の句数から見た構成 5 五部構成から見る『おくのほそ道』 第六章 『おくのほそ道』の文学的世界 1 『おくのほそ道』の特別な構成の背景 2 虚名と文学的な創作(フィクション) 3 古典の表現の引用──『源氏物語』から西行まで 4 五部構成の妙──対照する事柄のダイナミックな関係 5 俳諧の紀行文の完成 6 『おくのほそ道』の章段──章題と全句の構成 第七章 『おくのほそ道』完成から芭蕉の終焉まで──「軽み」の展開と清書本に籠めた思い 1 『おくのほそ道』における「軽み」の展開──句の制作時期に着目して 2 元禄六年十月──「軽み」の俳諧の摸索 3 「万世に俳風の一道を建立する」という自覚──芭蕉の俳論 4 『おくのほそ道』完成──素龍清書本 5 「軽み」の唱導──『炭俵』の世界 6 元禄七年五月、最後の帰郷 7 『続猿蓑』の編集──大改訂に籠められた思い 8 最後の大坂への旅 9 最後の一句──〈清滝や波に散り込む青松葉〉 10 『おくのほそ道』清書本を去来に譲る遺言 11 芭蕉の終焉 終章 『おくのほそ道』、不易の古典へ──広がりと研究、そして世界へ 1 蕉門の活動と『おくのほそ道』の刊行──遺作収集と俳論の記録、蕉風の伝播 2 芭蕉の復興運動──『おくのほそ道』再刊からの展開 3 近代の俳句と芭蕉の研究 4 現代の芭蕉研究の概観 5 Haikuの世界的な展開と『おくのほそ道』の外国語訳 あとがき 松尾芭蕉 略年譜 没後の芭蕉作品の扱い 松尾芭蕉関係文献 -
英語のルーツ
三単現の-sは「最後の名残り」、be動詞は「保守的」?! ルーツをたどればルールがわかる! 印欧祖語からゲルマン祖語、古英語を経て現代英語へ──。波乱万丈の歴史を知れば、複雑な規則も腑に落ちる! 読めば英語の見え方が変わる快著。 === いわゆる「三単現」の場合にだけ、なぜ一般動詞は末尾に-sが付くのだろう。be動詞はam, are, isなど色々な形をなぜ使い分けなければならないのだろう。英語には一見不可解なルールがあふれている。本書は古英語、ゲルマン祖語、果てはインド・ヨーロッパ祖語にまでルーツをさかのぼり、それらと比較しながら現代英語の特徴を解明する。完成されたインド・ヨーロッパ祖語が時代と共に崩れ、新たな形の言語に再構成されてゆく──。その波乱万丈の歴史を知れば、動詞の変化や厳格な語順、仮定法の感覚、綴りと発音のずれなど、難しいルールも腑に落ちるはずだ。読めば英語の見方が一変する快著。 【目次】 はじめに─英語の3つのルーツ 序章 英語発達史概観 第1章 インド・ヨーロッパ祖語民族の言語・文化・神話 第2章 英語の語源と印欧語比較言語学 第3章 印欧諸語の中の英語 第4章 古英語から現代英語まで 第5章 文字と綴りのルーツ あとがき/文庫版あとがき/参考文献/索引 -
啓蒙主義
時代背景と精神に迫った画期的入門書 「理性の時代」 その真の相貌を描く 理性による人類の進歩を確信した18世紀ヨーロッパ。啓蒙主義はいかなる変革を社会にもたらしたのか。時代の精神とその背景を追う格好の入門書。 === ヴォルテール、モンテスキュー、ルソーら、18世紀ヨーロッパの思想家たちは、伝統的な宗教教義を離れて人間と自然を理解することにより世界は進歩しうると信じ、知的活動を繰り広げていく。自由な理念が人類を明るい未来へと導くと確信していたその時代、啓蒙主義は本当に社会を変革できたのか、それとも批判した当の社会に吸収されてしまったのか。啓蒙主義に対する近年の批判も含め、「理性の時代」の背景とその精神に多角的な光をあてた画期的入門書。文庫版では、最新の研究動向まで総括する訳者解説と、日本語文献案内を完備する。 【目次】 第1章 啓蒙主義とはなにか 第2章 目標は人間科学 第3章 啓蒙主義の政治学 第4章 理性による宗教改革 第5章 誰が啓蒙主義者か 第6章 統一性か多様性か 第7章 運動か、それとも心性か 第8章 結論――啓蒙主義は重要であったのか 訳者解説 文庫版訳者解説 参考文献/日本語文献案内/文庫版・日本語文献案内 -
信頼
本能を呼び覚ませ 旅のなかで遭遇した事物がもたらす情動と思考 読む者の心を深い地点から揺さぶる20篇 旅のなかで遭遇した信頼のかたち。湧きあがり、おのずから増大する点で信頼は勇気に似ている。洞察と情動に満ちた哲学的旅行記。 === 跳躍とともにおのずから増大していく点で、他者への信頼は勇気に似ている──。トンブクトゥからリマ、シドニー、ラサ、カイロへ。旅先での邂逅がもたらす衝撃と驚きと発見、そして溢れ出る情動。ある地では、現代における聖性への問いが、また別の地では、正義を求めた情熱の残響があった。未知なるもののなかへ身を投じることで、人ははじめて生の力が何であるかを知る。その瞬間に際しては、精神を空にし、自我を消し、言葉を黙らせるのだ。理性を超えた感情のほとばしりやうごめきを研ぎ澄まされたまなざしでとらえた20篇の記録。 【目次】 はじめに I アラワーヌ ノーリアの歌 ファサード 知りえぬ知性 リング II 古い病院 III タイフーン サンパウロ 男 手紙 無心の歌 アディス・アベバ ラブ・ジャンキーズ IV 理解 恐ろしい神秘の晩餐 絶滅した宗教の復活 ラリベラ ヴードゥ 湧きあがる V 寡黙 注記 訳者あとがき 解説(管啓次郎) -
〈生命〉とは何か ――科学的生命観、2600年の歴史とその超克
人類にとって永遠の問いであり続ける「生命とは何か」。その核心に迫るべく、紀元前7世紀の古代ギリシアから現代までの2600年にわたり、西洋の科学が生命をどう理解してきたかをたどり直し、根本的な限界を明らかにする。その上で、存在論哲学の最高峰たるハイデガーの生命論を取り上げ、批判的に検討。これらの生命観を超克すべく、植物の生命に着目して独自の議論を展開した、渾身の書! 【目次】はじめに/第一章 古代ギリシアからデカルトまでの科学的生命観/第二章 デカルト没後から一八世紀末までの科学的生命観/第三章 一八世紀末から現代までの科学的生命観/第四章 科学的生命観の歴史的総括/第五章 ハイデガーの生命論、その批判的検討/終章 〈生命〉とは……──植物の探究をとおして/おわりに/文献注/文献一覧/あとがき/人名索引 -
禅に生きる 鈴木大拙コレクション
困難な時代を生きた仏教者の真摯な肉声 静的なイメージで語られることの多い大拙。しかし彼の仏教は、この世をよりよく生きていく力を与えるアクティブなものだった。その全貌に迫る著作選。 === 日本が生んだ世界で一番有名な仏教者・鈴木大拙。禅に関する書物を数多く英語で出版し、たびたび海外に招かれ講演を行った大拙の仏教は、日本の仏教徒のみならず、ユングやハイデガーといった西洋の思想家をはじめ、ビート・ジェネレーションと呼ばれる人々をも魅了した。本書では、今では読むことが難しい、雑誌への投稿論文や、西田幾多郎ら近しい人たちへ宛てた書簡を、編年体で収録。すべてを知ることのできる仏の智慧=「般若」と、すべての生きとし生けるものを救う仏の慈悲心=「大悲」が融合する大拙特有の「禅」がどのように作り上げられていったのか、その思想の道すじが分かる、学芸文庫オリジナル編集。 ===
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