作品一覧

  • 風姿花伝
    3.0
    「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」。神・仏に邂逅した出来事を、神事・仏事として「花」をもたらすべく再現する儀礼“猿楽能”をどのように修するか。約二十年かけて増補改訂、推敲が重ねられた世阿弥の主著。有限・無常な修者は、生涯を通して「花」を体現すべく、しぐさ、舞、物まね、音曲をどのように習い学ぶか、台本である謡曲をどのように作るか、興行はどうあるべきかなどが論じられる。そこでは幽玄論の確立とともに、日本文化史上稀有な奥行きの深い思想を展開。本書は『風姿花伝』を日本思想史の文脈のなかに位置付け、捉え直した画期的訳注書。
  • 甲陽軍鑑
    3.8
    戦国大名武田信玄、勝頼二代にわたる甲州武士の事績、心構え、軍法、合戦などが記された壮大な歴史パノラマ。戦国時代に形成された武士道の集大成ともいわれ、元和以来、武士の間で広く読まれた。また、講談や歌舞伎狂言などにも翻案され、庶民にも遍く普及し今に伝わっている。本書は、全二十巻五十九品の中から、その白眉と目される山本勘助の物語、信玄一代記、甲州法度など話題に富む十四品を収録。歴史に関心をもつ読者はもとより、広く現代において、組織の上に立つ者の必読の名著。原文に現代語訳を付す。
  • 定本 葉隠〔全訳注〕上
    4.0
    1~3巻1,485~1,705円 (税込)
    武士のありかたを説いた教訓・箴言の名著。主君の死に際して出家隠棲していた山本常朝の草庵に、職を解かれて生きる道を見失った田代陣基が訪れたことで、『葉隠』は生まれた。陣基は常朝を武士道の師と仰ぎ、宝永七年(1710)から七年にわたる聞書が始まる。全十一聞書から成り、およそ1344項の長短の説話が収められた。上巻には、「武士道と云は死ぬ事と見付たり」を含む『葉隠』の根幹をなす聞書一・二と、常朝の教訓を裏打ちした鍋島藩の歴史・家風についての知見を語った聞書三・四を収録。新出の小山信就本を底本とした原文に、詳細な注と従来にない正確な現代語訳を付した決定。
  • 故郷の風景 ――もの神・たま神と三つの時空
    -
    日本人なら誰もが、懐かしく、心地よく感じる原風景。そこには、自然や神仏と接する、三つの時間と空間がある。失われた近代日本の土俗の風物と暮らしを、美しい文章でたどり返し、体感する。
  • 親鸞入門
    3.0
    比叡山で修行の後、法然門下の若き念仏者として出発した親鸞。その長い生涯は「真にして実なる」絶対知の探求に向けて、絶えず内なる存在である自己を追求しつづけた「信」の軌跡であったといえよう。その波乱の生涯を背景に、一人の念仏者として自らを問いつづけた独自の思想の核心を読み解き、新たな親鸞の全体像に迫る。

ユーザーレビュー

  • 定本 葉隠〔全訳注〕上

    Posted by ブクログ

    武士道は死ぬことと見つけたり 武士には死ぬ覚悟が必要であると解いています。幕末をリードした鍋島藩の教え

    0
    2021年05月01日
  • 甲陽軍鑑

    Posted by ブクログ

    新田次郎氏の小説を読んで甲陽軍艦に興味を持ちました。原文と現代語訳が併記されているので、原文にあたることもできます。
    品第六では、信玄晴信公の蛤の挿話とわずか三百騎での初陣勝利の話が簡潔に述べられています。小説では、原文のほんの数行の部分をあたかもその場にいるように表現して、私たちにみせてくれているのだなあとしみじみと感じました。
    武士の心得が簡潔な文章で軽快に述べられていて、現代人も見習うべき「こころのあり方」が多くあり、座右に置きたい一冊です。

    0
    2011年09月12日
  • 甲陽軍鑑

    Posted by ブクログ

    本書に収録されているのは『甲陽軍鑑』全体のうち4分の1に満たない量であるが、それでも十分に読み応えがある。

    500年以上前に書かれたものではあるが、ここに書かれている教訓は現在でも十分に通用するものある。

    本書を読むと、高坂昌信が信玄を称え、勝頼の代になってからの武田家の行く末をいかに案じているかが読み取れる。そこには、長篠の合戦の影響もあるのだろう。

    原文をまず読んで次いで口語訳を読むというのが良いのだろうが、時間がなければ口語訳のみを読み、時間がある時に原文をじっくり読むというスタイルでも良いだろう。

    0
    2022年02月10日
  • 風姿花伝

    Posted by ブクログ

    原文、注釈、現代語訳と構成はとてもよい。古語にもだいぶ慣れた気がする。でも難しくて解説がないと自分のポンコツな頭の中にはなかなか入ってこなかった。
    能、猿楽の発祥から歴史、年代ごとの稽古について、初心忘るべからず、男時と女時などなど、能についてはもちろん、その他勝負事だったりに生きそうな部分もある。伝え聞くにいろんな人が座右の書としているだけのことはある。離見の見は花鏡という別の書なんだね。

    0
    2024年07月24日
  • 親鸞入門

    Posted by ブクログ

    親鸞の生涯と思想について、著者自身の立場から解説をおこなっている入門書です。

    著者は仏教学者ではなく日本倫理思想史の専門家であり、本書では親鸞を宗教上の聖人としてあつかう立場は意識して避けられています。このことについて「あとがき」では、「倫理は、いま、ここに現存していることの意味はなにかと問い、その問いに答えようとする営為である」と著者は語っています。本書は、このような意味での「倫理」を追求した一人の人間として親鸞を見ようとしている本だということができるでしょう。

    著者は本書の冒頭で、「親鸞の眼差が捉えるのは、外在する事物や事象ではなく、内なる存在であるところの自己である」と述べています。

    0
    2023年01月20日

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