作品一覧 2022/10/28更新 経済学の壁:教科書の「前提」を問う 試し読み フォロー 経済学の宇宙 試し読み フォロー 『失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶのか 試し読み フォロー 実録・銀行 トップバンカーが見た 興亡の60年史 値引きあり 試し読み フォロー ドキュメント 銀行 金融再編の20年史─1995-2015 試し読み フォロー 1~5件目 / 5件<<<1・・・・・・・・・>>> 前田裕之の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 経済学の宇宙 岩井克人 / 前田裕之 2015年に出版された本で、前から読みたいと思っていたのですがやっと読む時間ができました。読む前の期待感はかなり高かったのですが、期待は裏切られませんでした(合理的期待形成ができました)。岩井氏の貨幣論、資本主義論、法人論は別の本でなじみがありましたが、序盤に書かれている生い立ちや少年時代、そして東...続きを読む京大学やMIT留学時の話などは「私の履歴書」を読んでいるようで新鮮でした。子供のころはじめて読んだ本が図鑑で、それが自分の思考回路を決めたと著者が述べているように、岩井氏は物事を俯瞰的に見たうえで、各人の主張を位置付ける、ということが特徴的だと思います。一言で言えば視野が恐ろしく広い、ということで、特定の主張(例えばケインズ経済学)に完全にとらわれるわけではなく、様々な人の主張をつなげることができること、また近年では経済学の範囲外にまで研究対象を広げて(言語、法など)、そこに貨幣論との共通性を見つけるようなこともされています。本書の中で、イェール大学時代からの知り合いとして哲学者の柄谷行人さんの名前が登場しますが、岩井氏と柄谷氏には、「常人には思いもよらない点と点を結びつけて線あるいは面にする力」が共通していると思います。そしてこの力は、アカデミックの極端な分業化が進んだ昨今では極めて貴重な(希少な)能力だと思います。本書は中盤から後半にかけて、主に岩井氏の研究内容の中身とその変遷が綴られていますが、わかりやすく好感を持ちました。アカデミックの人々だけでなく、一般の人々にも岩井ワールド、そして経済学の面白さを知ってもらうには最高の本だと思います。 Posted by ブクログ 経済学の宇宙 岩井克人 / 前田裕之 主流の新古典派経済学を批判する様々な学説を打ち出してきた岩井克人氏の経済学者としての人生をインタビューを基に辿る。 知的にエキサイティングな内容で、大部だがのめり込んだ。経済学者として没落したと著者は自嘲するが、著者の貨幣論をはじめとする学説にはかなり説得力を感じた。 岩井克人氏というと、高校教科書...続きを読むに載っていた『ヴェニスの商人の資本論』の印象が強く、経済思想家みたいなイメージを持っていたが、バリバリの数理経済学者だったと知り、驚いた。しかし、流石に文章がうまい。自分は数式はよくわからないが、岩井氏の定性的な説明はとてもわかりやすく、納得させられるものだった。 Posted by ブクログ ドキュメント 銀行 金融再編の20年史─1995-2015 前田裕之 副題にあるように1995年頃からの銀行をはじめとする金融機関の再編の歴史が、経営トップなどの取材などを元に描かれている。 複数の経営者の視点を取り込んでいるので、時間軸が行きつ戻りつしている部分があるが、再編の裏事情が良く分かった。 このドキュメントの部分はお勧めです。 また、数多くの本の引用が出典...続きを読むと共に記載されているので、気になった部分の原本を見ると良いだろう。 いくつか原本でおもしろそうなのもがあるが、すべて読むのはかなり大変なので、この本はそれらのエッセンスを取り入れているという意味でもお勧めです。 Posted by ブクログ 経済学の宇宙 岩井克人 / 前田裕之 経済学者が自分の人生の歩みと合わせて経済学を語っています。著者の著作に慣れ親しんだ読者であれば、読んでみる価値は十分にあるでしょう。また、タイトルだけ見ると難解な印象を受けますが、インタビュー形式で進んでいくので、専門的な注釈を除いては、わりと読みやすかったです。 今回、この文庫版で再読してみると...続きを読む、経済学者というだけでなく学者として人生をまっとうしようとする姿勢が強く伝わってきました。アメリカの有名大学での研究生活を「絶頂」、その後の東京大学への就職を(少なくとも当時は)「没落」として捉えるあたりは、学者としての氏の人生観を反映しているように読めます。この点は、氏の妻であり作家である水村美苗氏が『日本語が滅びるとき』において、欧米と日本の文化を強弱や高低(つまりは優劣)という尺度で語ろうとする姿勢と重なり合ってしまうかもしれません。 いずれにしても、学者ひいては知識人であること、あるいはそうあろうとすることの悲喜を知れる一冊であることは間違いないでしょう。天才数学者の絶頂と没落とその後を描いたイーサン・ケイニン(Ethan Canin)によるA Doubter's Almanacを再読したくなりました。 Posted by ブクログ 『失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶのか 野中郁次郎 / 前田裕之 野中さんの大きな問題意識の変化というか発展がよくわかる本でした。 内容的には、「失敗の本質」に始まる戦史研究の要約的なものが多いのですが、わたしは「失敗の本質」しか読んでないので、便利でした。 それ以上に役に立ったのは、戦史研究と経営学との関係がどうなっているのか、そして、そのことは野中さんの原...続きを読む体験と学問的なトレーニングの影響との関係も語られていて、野中さんの全体像がわかる感じでした。 戦史に限らず、野中さん入門みたいな感じで読める本ですね。(もっとも、本は1〜2冊はこれを読む前に読んだほうが、いいと思いますが) Posted by ブクログ 前田裕之のレビューをもっと見る