国内小説 - 文藝春秋作品一覧

非表示の作品があります

  • ほしのこ
    4.0
    1巻1,629円 (税込)
    わたしはひとりじゃない。 夜、見上げれば、わたしには わたしが生まれた あの赤い星の近くの星が見える。 子どもと、かつて子どもだった人へ贈る物語。 芥川賞受賞第一作! 「生きるというのは永遠に巡ってゆく 回ってゆくのだと、流れるイメージの 中でほしのこが可愛く力強く教えて くれました。天ちゃん、カッコイイ。」 のん(女優・創作あーちすと) 【出てくる人】 天――海辺の小屋で暮らす少女。父は大雨の日、山から星に帰ってしまった。 ルル――その冬はじめての雪が降った日、小屋にあらわれた女の子。 飛行機乗り――山に、飛行機が落ちてくる。飛行機乗りは、ケガをしている。
  • 星のしるし
    3.3
    1巻1,017円 (税込)
    世界はしるしに満ちていて、もろく、美しい――。『春の庭』で第151回(2014年上期)芥川賞を受賞した柴崎友香の傑作! 30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。祖父の死、占い、ヒーリング、UFO、宇宙人……。日常の中にごくあたりまえにあるいくつもの見えない「しるし」が、最後に果絵にひとつの啓示をもたらす。繊細で緻密な描写力によって、世界全体を小説に包みこむ方法を模索してきた、純文学の世界で最も注目される作家の集大成的作品です。
  • 星のように離れて雨のように散った
    3.8
    孤独をおぼえる人に光射す物語 小学生の頃に失踪した父をモデルにした創作小説と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ大学院生の私。賢治の未完の物語に導かれるように、私は押し込めていた過去の自分と向き合っていく。 そして結婚を前提に同棲を望む恋人の亜紀との関係に息苦しさを覚え始め……。 迷いや痛みを抱えるすべての人に光射す傑作小説。 解説・柴崎友香 ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 星々の悲しみ
    3.9
    1巻550円 (税込)
    喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋──。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
  • ホテル・コンシェルジュ
    3.1
    コンシェルジュは名探偵!? 名コンビ九鬼&麻奈登場 「盗まれた仏像を取り返せ」「アメリカ大使の暗殺計画を阻止せよ」。どんな難問もホテルポラリス京都のコンシェルジュがズバリ解決。
  • 炎の陰画
    4.0
    1巻550円 (税込)
    昭和二十年三月十日、空襲の劫火をくぐりぬけた戦災孤児の健は、いつしかすべてをなめつくす美しい炎の妖しい魅力にとり憑かれていた……。戦争の傷痕を背負った人間の哀しみと異常な心理を描く表題作、夜になると家族が次々に箪笥に上って座りこむ、能登の民話にヒントを得た奇譚「箪笥」ほか、摩訶不思議な世界への扉を開く異色短篇「白鳥の湖」「森の妹」「ちゃあちゃんの木」「逃げる」「散歩道の記憶」を収録。自らの体験を背景に据えて、短篇の名手が紡ぐ妖(あやか)しの世界。
  • ほむら
    4.5
    20代有吉佐和子の天才が輝く傑作短篇、復刊! 女犯の咎で寺を追われた僧侶、王昭君の肖像画を描く画家の懊悩。人間普遍の精神の血しぶきを鮮やかに描く初期傑作短篇集!
  • ホモサピエンスの瞬間
    3.0
    1巻1,119円 (税込)
    介護施設に毎週、マッサージ治療の機能訓練に通う主人公の鍼灸師。五十山田さん(仮名)のひどい首凝りをほぐすうちに浮かび上がる、日中戦争の記憶とは――? ホモサピエンスとは、人間の、人間らしさを脱ぎ捨てた姿。 「還ってしまっていいのですか? 人のかたちをした獣に」と呼びかける 幻の少女の声。 ユーモアと軽快さを武器に、異文化間の緊張をやわらげようとする試み。 整体で身体の記憶と歴史を探る、第154回芥川賞候補作!
  • ホライズン
    4.1
    1巻1,527円 (税込)
    主人公の真知子は海外企業に職を得た夫の転勤で南半球へ。 幼い娘と共に海外での新生活が始まった。 美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、暗黙のヒエラルキーがあり、夫の職業や現地の家の場所によって厳然たる階級が築かれていた。 その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ佐倉郁子、商社マンの妻の津田宏美、現地の日本人シェフと再婚した木村弓子と親しくなる。 しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく。 内気な真知子は翻弄されつつも、壊れかけた友情の糸を結び合わせながら、少しずつ自分の居場所を獲得していく…。 結婚、出産、仕事、お金…。 今、女性が「生きる」ことについて、真摯に、正面から向き合った傑作長篇。
  • ホリデー・イン
    3.9
    1巻509円 (税込)
    「初めまして、お父さん」。 元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の登場で一変! 思いもよらず突然現れた息子と暮らすことになった大和は、宅配便会社「ハニー・ビー・エクスプレス」のドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続。 宅配便会社の仲間や、ホストクラブ経営者のおかま・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜らも巻き込んでの、大騒動を描いた『ワーキング・ホリデー』が刊行されたのは2007年。その後の大和と進の物語を書いた『ウィンター・ホリデー』が2012年、同年には『ワーキング・ホリデー』が映画化され、文庫も含め「ホリデー」は人気シリーズへと成長。 本書には親子の物語ではなく、彼らを取り巻く人々の物語、いわば「ホリデー」シリーズの外伝ともいえる6つの短編が収録。 1 「ジャスミンの部屋」 …… ジャスミンが拾った謎の中年男の正体は? 2 「大東の彼女」 …… お気楽フリーターの大東の家族には実は重い過去があった 3 「雪夜の朝」 …… 完璧すぎるホストの雪夜にだってムカつく相手はいるんだ! 4 「ナナの好きなくちびる」 …… お嬢さまナナがクラブ・ジャスミンにはまった理由 5 「前へ、進」 …… まだ見ぬ父を探し当てた小学生の進の目の前には―― 6 「ジャスミンの残像」 …… ヤンキーだった大和とジャスミンの出逢いの瞬間 ハートウォーミングな6つの物語。 解説・藤田香織
  • 本売る日々
    4.2
    本を愛し知識を欲する村人たちを描く! 文政5(1822)年。月に1回、城下の店から在へ行商に出て、 20余りの村の寺や手習所、名主の家を回る本屋の「私」。 上得意先のひとり、小曾根村の名主・惣兵衛は 近頃、孫ほどの年の少女を後添えにもらったというが、 彼女に何か良い本を見繕って欲しいと言われ―― 用意した貴重な画譜(絵本)が、目を離した隙に2冊なくなっていた。(本売る日々) 村の名主たちは、本居宣長の『古事記伝』、塙保己一が編纂した『群書類従』など 高価な本を購い、書店主と語り合う。 村人が決して実用的でない知識を求めるのはなぜなのか。 徐々に彼らが知識を、特に古代や朝廷を研究する「国学」を求める 理由が分かってくる。 江戸時代の豊かさは村にこそ在り、と 考える著者が、本を行商する本屋を語り部にして 本を愛し知識を欲し人生を謳歌する 人びとの生き生きとした暮らしぶりを描いた中編集。 解説 平松洋子 単行本 2023年3月 文藝春秋刊 文庫版 2025年6月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • ほんとうの花を見せにきた
    4.3
    郷愁を誘う大河的青春吸血鬼小説! 中国の山奥からきた吸血種族バンブーは人間そっくりだが若い姿のまま歳を取らない。 マフィアによる一家皆殺しから命を救われた少年は、バンブーとその相棒の3人で暮らし始めるも、 人間との同居は彼らの掟では大罪だった。 禁断の、だが掛けがえのない日々――。 郷愁を誘う計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。 【目次】 ちいさな焦げた顔 ほんとうの花を見せにきた あなたが未来の国に行く 解説・金原瑞人
  • 本を読む旅
    3.5
    誰でも逃げたくなるときがある。仕事、家族、恋人。なにもかもうんざりしてリセットしたくなるとき、ぼくはひとりで旅に出る。その冬の終わり、ぼくは季節はずれの海辺のリゾートホテルへ出かけた。選びに選んだ、まだ読んでいない10冊の本をダッフルバッグに詰め込んで、銀色にひかる車に乗り込む。流れるのはモーツァルトのシンフォニー。3泊4日の旅のはじまりだ。魂のささやかな蘇生を描く、静かな物語。
  • 望郷と訣別を 中国で成功した男の物語
    3.8
    1巻1,008円 (税込)
    香港の社会に溶け込むことで、中堅企業の海外進出を成功させた経営者石井次郎。さらにいち早く中国進出を果たすと、日本企業の中国進出を支援するテクノセンター(日技城)を設立して、日中の架け橋となるべく活動する。その行動の源は、25歳の時に単身渡った欧州で学んだユダヤ商法と、デンマーク人から教えられた奉仕の精神にあった。閉鎖的体質といわれる日本企業の国際化のあり方と、不況下で停滞する人材の育成方法を、一人の経営者の人生を通して示した必見の作品。
  • 僕たちの保存
    3.6
    1巻1,800円 (税込)
    メモリ16KBの青春がよみがえる。サブカル満載、大人のロードノベル 語り手“ゲンさん”「胃袋だけは十年前と同じで老けてないのかな」 年上の友人・武上さん「クラウドってのは、なんなの。なんか、たまに聞くけど」 その引きこもりの甥シンスケ「昭和のオタクは、足だけは丈夫なんです」 人気漫画家の亀谷さん「すごくいい話ですね」 ――新幹線、自転車、バス、テスラに乗って、おかしな一行は旅に出る。 震災被害者の形見のMSXパソコンが過去と現在をつなぎ、思いもよらぬ光が未来を照らす。 イーロン・マスクやホリエモンにはならなかった、あのとき無数にいた「僕たち」の物語。 千葉雅也氏推薦! 「何かが残る。残らないものもある。忘れられたものが回帰する。歴史とは、「どのように保存するかの歴史」だとも言えるし、文学もそのメディアのひとつだ。長嶋有の新作は、情報とモノの置き場が劇的に変わっていったこの約半世紀、すなわち「パソコン以後の世界」の本質を、静かに描き出そうとする。」
  • 僕のなかの壊れていない部分
    3.9
    「どうして自分はあのことを忘れることができないんだろう?」 剥きだしの叫ぶが響く、著者の初期傑作。 美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。 それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。 東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。 その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。 彼の特異な過去を知った枝里子は。 「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」 切実な言葉たちが読む者の胸を貫いてロングセラーとなった傑作が文春文庫に登場。 解説・窪美澄
  • ぼくは青くて透明で
    3.8
    1巻1,700円 (税込)
    高校一年の夏、ぼくは彼に恋をした。 「ぼく」(羽田海)は、血の繋がらない継母の美佐子さんと二人暮らしをしている。 ぼくが高校一年の夏に、美佐子さんの仕事の都合で引っ越しをすることになった。 前の町で美佐子さんが勤めていた印刷会社が倒産したのだ。 幼いころは父さんと母さんがいたけれど ぼくが六歳のときに母さんは家を出ていき、 その後、美佐子さんと結婚した父さんもどこかに行ってしまった。 勉強も好きじゃないし、運動も得意じゃない。 いつか美佐子さんとも離れなくちゃいけない。 そんなとき、「ぼく」は、転校先の高校で忍と出会った……。出会ってしまった。
  • 僕は結婚しない
    3.5
    僕は34歳、独身の建築家。つき合う女はいるし、周囲からのプレッシャーもあるけれど、結婚はしない──。湘南でのヨット事故、売春シンジケイトを巡る事件、スポーツクラブで出会った美しい母子……。元祖・青春小説『太陽の季節』の著者が、息もつかせぬ展開で描く現代の恋と性。性的に放縦でありながら、倫理的とはどういうことか? 「人間がセクスにソフィスティケイションを持ちこんじまったせいで性愛の堕落が始まったんだ」。官能的でゾクリと怖い傑作中篇小説。
  • ぼくらの犯した罪の半分【文春e-Books】
    -
    1巻305円 (税込)
    ぼくと彼女は共犯関係にある――。 第一回「週刊文春」小説大賞、準大賞受賞作が電子書籍化! 発行部数65万部のNo.1週刊誌「週刊文春」と、 小説投稿サイト「エブリスタ」が夢のコラボ。 「週刊文春」小説大賞が堂々誕生! 「表の顔、裏の顔」をテーマに募った多数の作品の中から、 第一回の準大賞を受賞した「ぼくらの犯した罪の半分」を 電子書籍オリジナルコンテンツで配信いたします。 【あらすじ】 半年前に起こったある事件、ぼくはその一部始終を書き記そうとしている。 SNSで出会った顔も知らない女性・ユリアと、ふと立ち寄った花屋で働いていた香純。 二人の女性の間で起こった悲劇、そしてその時ぼくがとった行動とは――。 驚愕のサスペンス小説! 表紙イラスト・くろのくろ
  • ボナペティ! 臆病なシェフと運命のボルシチ
    3.9
    1巻800円 (税込)
    美味しい店がないなら作ればいいじゃない! 絶品料理と美味なる“謎”を召し上がれ。 仕事どん詰まり中の会社員の佳恵(食品会社勤続13年)。自らを元気づけるため、かつて愛したフレンチの名店を訪れるも、その空気が一変していたことから新しいシェフと喧嘩し、出禁になる。仲裁したシェフ見習いの青年・健司はシェフ志望で、その料理の腕は確か。佳恵は彼をスカウトし、念願のビストロを開店するが――。難問つづきの日々を無事乗り越えられるのか?
  • ボナペティ! 秘密の恋とブイヤベース
    3.5
    1巻800円 (税込)
    念願のビストロを開店して早一年。常連客もつき、 経営は順調に見えたが、徐々に客足が鈍り始めた。 新規顧客を開拓すべく立ち上がった佳恵と健司。 しかし、健司は一目惚れした花屋の女性のことで頭がいっぱいで……。 経営不振に陥った店を救う秘策はあるのか? 美味しい料理と切ない恋が心に沁みる、お料理小説シリーズ第二弾。
  • ボラード病
    3.6
    日本中を震撼させた傑作がついに文庫化! B県海塚市は、過去の厄災から蘇りつつある復興の町。 皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、 港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。 集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、 読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。 (解説・いとうせいこう) 「誰も触れたがらないきわどいポイントを錐で揉みこむように突いてみせた、とびきりスキャンダラスな作品」(松浦寿輝) 「この作品に描かれた社会が、近未来の日本に現れないことを願っている」(佐藤優) 「世界をありのままに感じることがいかに困難であるかを描きだした魂の小説」(若松英輔)
  • ポップ・フィクション
    3.7
    1巻2,000円 (税込)
    エンタメの深層をつかめ。 大正時代、出版華やかなりし頃。 「市民公論」編集部の松川は、窮地に立たされていた。 担当した企画のせいで、筆者が大学を追われることになったのだ。 奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下す。 同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、 「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとして…… 「100万部突破の常勝雑誌を作る」宿願は叶うのか? 徳川夢声、谷崎潤一郎―― 作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、 面白いものを作ろうと奮闘する様を描く。 刊行点数200冊に迫るエンタメ界のトップランナーが送る、出版お仕事小説。
  • ゲバラ覚醒 ポーラースター1【電子特典付き】
    4.0
    1~3巻1,100円 (税込)
    ゲバラ、カストロ、エビータらを活写! キューバ革命に至る壮大な物語がいま始まる。 喘息持ちだった少年エルネストは舞台女優のジャスミンとの恋など青春を謳歌しつつ、やがて医学生となる。 そして1952年、ペロン政権下の母国アルゼンチンから出発して、親友ピョートルと共に南米大陸縦断の旅へ。 そこで社会の弱者らと出会いながら、成長していく――。 ゲバラ、カストロというキューバ革命の英雄たちが躍動する著者渾身のシリーズ。 第一巻では、ゲバラ、エビータらを活写。キューバ革命に至る壮大な物語の青春編が開幕! 巻末に著者と女優・鶴田真由さんとの対談のほかに、電子版オリジナルの特典付き。 【電子特典】 全電子版共通の「あとがき」、付録(「海堂尊・全著作リスト」「作品相関図」など)のほかに、本書には以下の文章を収録。 電子版あとがき 『ポーラースター1 ゲバラ覚醒』 【関連小文】1 「キューバ・ラブワゴン」 1話「余はいかにしてキューバへたどりついたか。」 【関連小文】2 「キューバ・ラブワゴン」 2話「オラ、ハバナ」 【関連小文】3 「私の週刊食卓日記」 【関連小文】4 「ペルーに酔う」  【関連小文】5 「〈エビータ〉と〈チェ・ゲバラ〉の接点」 【関連小文】6 「テーマソングは成り行きまかせ」
  • マイ・ディア・キッチン
    3.8
    ~『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』の 大木亜希子が贈る最新作は、“人生が愛おしくなるお料理エンタメ”~ 「ずっと、人に振り回されてきた。私さ、心が空っぽなの。 これからはもっと、自分のために生きたい」 元料理人の主婦・白石葉は、夫のモラハラに耐える日々を送っていた。 財布の紐、交友関係、食事、体型まで徹底的に管理されてきたが、 ある日事件が起きる。家から逃げ出した葉が辿り着いたのは、 街の小さなレストランだった。 ☆大人気料理家・今井真実さんのレシピつき!☆ 自立とはなにか。その答えを葉とともに追う、旅のような物語――寺地はるな(作家) 食べることは、生きること。一つのお店を通して交差するいくつもの人生を追体験して、 何度も心が揺れました。――深川麻衣(女優)
  • 魔王の島
    4.4
    ――彼女のはなしは信じるな。   2019年度コニャック・ミステリ大賞受賞、 幾重もの罠を張り巡らせた真のサイコ・ミステリー。 祖母の訃報を受け、彼女は孤島に渡った。終戦直後に祖母とここで働き始めた者たちだけが住む島。本土への船が来る日までを島で過ごす彼女は、やがてこの島に漂う不吉な影に気づきはじめる。ここには何か忌まわしい過去がある。そして若き日の祖母の手記にも謎の「魔王」の影が……。 島で行われていたというナチスの実験。 この島に逗留し、やがて海で死んだ子供たち。 何かを封じた開かずの扉。 すべての核心となる「サンドリーヌの避難所」事件。 積み重なる謎。高まりゆく不安と恐怖。 誰かが誰かを欺こうとしている。 誰が誰を欺こうとしているのか? いったい何が真実なのか? 読めば読むほど深まる謎また謎。曲折しながら突進する行先不明のストーリー。反則スレスレの大驚愕。――この種の不敵なミステリーの名産地といえばフランス。そこから新たな鬼才が登場しました。不吉なイメージの乱舞と恐ろしい出来事の連打の中に編み込まれた幾重もの罠!  『その女アレックス』のルメートル、『黒い睡蓮』のビュッシ、『パリのアパルトマン』のミュッソに続くフランスの刺客、ジェローム・ルブリ。その大胆不敵な怪技をご体験ください。
  • マスク スペイン風邪をめぐる小説集
    3.8
    1巻680円 (税込)
    100年前の日本人は、疫病とどう戦ったのか? 文庫オリジナル! マスクをし、うがいをし、できるだけ外出をしない……あの文豪だって感染対策をしていた。 スペイン風邪が猛威をふるった100年前。作家の菊池寛は恰幅が良くて丈夫に見えるが、実は人一倍体が弱かった。 そこでうがいやマスクで感染予防を徹底。その様子はコロナ禍の現在となんら変わらない。スペイン風邪流行下の実体験をもとに描かれた短編「マスク」ほか8篇、心のひだを丹念に描き出す傑作小説集。 【収録作品「マスク」あらすじ】 見かけは頑健に思われているが、実は心臓も肺も、胃腸も弱い。そんな自分に医者は「流行性感冒にかかったら、助かりっこありません」と言う。だから、徹底的に感染予防に努めた。でも暖かくなったある晴れた日に、黒いマスクの男を見かけて――。 ※この電子版には辻仁成氏の解説は収録していません。
  • 増山超能力師事務所
    3.7
    1~2巻702~800円 (税込)
    日暮里駅から徒歩10分。ちょっとレトロな雑居ビルの2階にある増山超能力師事務所――。所長の増山率いる、見た目も能力も凸凹な所員たちは、浮気調査や人探しなど、依頼人の悩み解決に今日も奔走。超能力が使えても、そこは人の子。異端の苦悩や葛藤を時にユーモラスに時にビターに描く人気シリーズ第1弾。解説・城戸朱里
  • 待ってよ
    3.0
    「ねえ、私のこと、気持ち悪いと思う?」 選考委員も驚愕! 奇妙で愛しさバクハツの松本清張賞受賞作! マジシャンのベリーは興行先で、妊婦のこうこに墓を掘り起こす手伝いを求められ、激しく抵抗。しかし墓穴から連れ出された老婆・ありさは日ごとに若返っていくのだった。時がさかしまに流れる街で、ベリーとこうこの関係は一体どうなってしまうのか? 奇想天外で落涙必至の物語。
  • 松田さんの181日
    3.9
    1巻1,426円 (税込)
    人生の天才はいない。なぜか心に灯がともる、デビュー短篇集 余命わずかな役者の松田さんと遊び歩く脚本家の私。驚きの過去を知った時――オール讀物新人賞受賞作ほか、泣かされて暖まる五篇。
  • まつらひ
    3.3
    祭りの熱気に誘われるようにエロスが満ちる。傑作短編集 農家に嫁いだ舞桜子は、龍神まつりが近づくと夫と激しく交わる夢を見る。隠された忌まわしい事実とは――傑作短編集。 ※この電子書籍は2019年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 真夏の犬
    4.4
    1巻774円 (税込)
    宮本輝が紡ぐ、青春へのメッセージ 野良犬に囲まれた夏の日の恐怖、転校してきた美少女をめぐる争い、アル中の母と住んだ古アパート、奇妙な香具師が売っていた粉薬、同級生の女の子の危険なささやき……。歳月のへだたりを突き抜けてよみがえる記憶を鮮烈に刻みつけ、苦悩と慰めの交錯する人生への深い思いを浮かびあがらせた、9つの短篇。解説・森絵都 【収録作品】 真夏の犬 暑い道 駅 ホット・コーラ 階段 力道山の弟 チョコレートを盗め 赤ん坊はいつ来るか 香炉
  • 真鶴
    3.9
    失踪した夫の日記には、「真鶴」とあった 夫は10年以上前、日記に「真鶴」と記して失踪した。京は娘、母と3人暮らしをしながら、恋人と付き合い、真鶴と東京の間を往還する
  • マネー喰い 金融記者極秘ファイル
    3.0
    ネタ元との約束を守って「特落ち」に追い込まれたベテラン記者・山沢勇次郎。謎のリークが記者たちを翻弄するなか、山沢はメガバンクの巧妙な巨大損失隠しに気付く。暗躍する外資系証券会社と政界の思惑――。美人記者・秋山らと共に山沢は金融界の最深部に闘いを挑む。大型新人が放つ圧巻のエンターテイメント!
  • 真冬の大満足プレシャスパック2時間【文春e-Books】
    3.0
    セックスって、こんなに簡単なものだったっけ? 15年間、一緒に暮した元夫とのそれは、とにかく気合と努力と体力が必要な大仕事だったのに。 離婚して1年、46歳の私は、ホームセンターのパートとして働いている。その店のつかえない営業担当の男に誘われるままカラオケボックスへ行き、ソファの上でタイツと下着を脱がされて・・・。それから私と男は何度もカラオケボックスの二時間コースを利用している。お互いに一度も達していないから、セックスフレンドでさえない。中途半端で、ささやかな間柄がちょうどいい。 一年ぶりに元夫と会ったとき分かった。若い女と結婚したこの人も、カラオケ屋で若い男とイチャつく私も、前線に復帰したのだ。入籍から離婚まで、ひと通りを経験してわかった結婚生活の正体を描く。
  • 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
    3.8
    1~4巻600~799円 (税込)
    ユーモアミステリーの旗手・東川篤哉が本作で挑むのは、なんと本格ミステリーと魔法の融合! 今回難事件の解決を目指すのは、39歳独身の美人刑事『八王子市警の椿姫』こと椿木綾乃警部と、彼女に罵られることを至上の喜びとする部下・小山田聡介刑事。この名コンビが出向く事件現場には、いつもなぜか竹箒を持った謎の三つ編み美少女・マリィがいて──。三者三様の強烈なキャラクターに注目の、中篇4篇を収録した待望の新シリーズがスタート!
  • まほろ駅前狂騒曲
    4.4
    まほろ市は東京都南西部最大の町。 駅前で便利屋「多田便利軒」を営む多田啓介と、 居候になって丸二年がたつ行天春彦。 二人のもとに、かつてない依頼が…… それは、夏の間、四歳の女の子「はる」を預かること。 慣れないことに悪戦苦闘する二人に、忍び寄る「魔の手」! まほろ市内で無農薬野菜を生産販売する「家庭と健康食品協会」の幹部・沢村。 まほろの裏社会を仕切る、若きボス・星。 地元のバス会社・横浜中央交通(横中)に目を光らす岡老人。 彼らのおかげで、二人は前代未聞の大騒動に巻き込まれる! 文庫特典 短篇「サンタとトナカイはいい相棒」収録。 解説・岸本佐知子(翻訳家)。 太っ腹の全528ページ。見た目は「最厚」、中身は最高! 『まほろ駅前多田便利軒』『まほろ駅前番外地』に続く、 三浦しをんが心血をそそいだ「まほろシリーズ」 堂々の完・結・篇!
  • まほろ駅前番外地
    4.1
    映画化もされた第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の多田と行天が帰ってきた!相変わらず、汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も引き受ける多田便利軒。ルルとハイシー、星良一、岡老人、田村由良ら、お馴染みの愉快な奴らも健在。多田・行天の物語とともに、曾根田のばあちゃんの若き日のロマンス「思い出の銀幕」や岡老人の細君の視点で描く「岡夫人は観察する」など、脇役たちが主人公となるスピンアウトストーリーを収録。 ※この電子書籍は、2012年10月に文藝春秋より刊行された電子書籍の表紙を変更したもので、内容に変更はありません
  • ママがやった
    3.8
    或る家族の半世紀を描いた、愛をめぐる8つの物語。 小料理屋の女主人・百々子(79歳)と、若いころから女が切れない奇妙な魅力をもった夫・拓人(72歳)。半世紀連れ添った男を、ある日水で濡らしたタオルを顔にかぶせ、その上に枕をおき全体重で押さえ、殺した。 急きょ集まった三人の子供たちに向かって「あんたたち、お昼食べていくんでしょう」と、百々子は米をとぎはじめる。 「ママはいいわよ。べつに、刑務所に入ったって」警察に連絡するしないでもめている三人に、のんびりした口調で話す。 死体処理の相談をする姉たちは弟・創太にブルーシートを買ってくるよう命じるが、創太の足は父親との思い出の店・小鳥屋へ向いていた―― 表題作ほか、「五、六回」「ミック・ジャガーごっこ」「コネティカットの分譲霊園」「恥」「はやくうちに帰りたい」「自転車」「縦覧謝絶」の全八篇。 解説:池上冬樹
  • ままならないから私とあなた
    4.0
    あなたが見ている世界は、ほんとうに「正しい」世界なの? 天才少女の薫と平凡な雪子――二人の友情の行方は 天才少女と呼ばれ、成長に従い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。 すれ違う友情と人生の行方を描く表題作。 男が先輩の結婚式で出会った美女は、人間関係を「レンタル」で成立させる業者だった――「レンタル世界」。 既存の価値観を心地よく揺さぶる二篇を収録。 解説・小出祐介(Base Ball bear)
  • まよなかの青空
    4.0
    1巻880円 (税込)
    後ろ向きな人生に射す、ほのかな光 東京タワーで働くひかる、ブラック企業の営業マン達郎。過去から踏み出せない二人は、数少ない大切な思い出の中の人物を探し始める。 ※この電子書籍は、2019年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています
  • 真綿荘の住人たち
    3.6
    レトロな下宿で青春と恋の始まり、のはずが…… 真綿荘に集う人々の恋はどれもままならない。性別も年も想いもばらばらだけど、一つ屋根の下。そんな奇妙で切なくて暖かい下宿物語。
  • 万葉と沙羅
    3.7
    本は非常口。いつだって、逃げていいんだよ。 中学で友人関係に苦しみ不登校だった沙羅(さら)が選んだのは通信制高校。そこで再会した幼なじみの万葉(まんよう)は、古本屋でバイトする青年。「本という宝を探すにはコツがいる」と彼に教えられるうちに、沙羅も読書の奥深さに目覚めていって――。絵本や小説など著名な25冊の本が登場。大切な人と本でつながる瑞瑞(みずみず)しい青春小説。解説・若松英輔 ※この電子書籍は2021年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 麻雀放浪記1 青春篇
    4.1
    1~4巻713円 (税込)
    純文学作家「色川武大」=阿佐田哲也が戦後の焼け野原を舞台に描く、本邦ギャンブル小説の最高峰! 終戦直後、焼け野原の上野のドヤ街で「ドサ健」と出会い、一気に博打にのめりこんだ主人公の「坊や哲」。 チンチロリンや麻雀の技、いかさまの腕を磨いた哲が「出目徳」や「女衒の達」「上州虎」ら仕事師と渡り合い、生き残りをかけて激闘する阿佐田哲也のピカレスクロマンの最高傑作! 解説・先崎学
  • 見出された恋 「金閣寺」への船出
    -
    テレビでおなじみの作家・岩下尚史が描く三島由紀夫の知られざる物語。 舞台は、約50年前の東京。赤坂の一流料亭の長女として、絹に覆われ贅沢に育った19歳の満佐子は、才気あふれる一人の文士と出逢う。本来、住む世界が違うはずの二人はなぜか強く惹かれあい、逢瀬を重ねるうちに、男はある“決心”を固める。若き三島由紀夫の秘められた恋を、実話をもとに絢爛たる文体で小説に仕立てた傑作。
  • 見えないドアと鶴の空
    4.0
    妻と、妻の親友。三角関係は、まさかの場所にたどり着く――。 二年前に会社を辞め、失業中の昂一は、 妻の無二の親友・由香里の出産に立ち会い、 そこからきわどい関係を、始めてしまった。 事実を知った大手広告代理店勤めの妻・絹子は昂一を ある場所へと連れて行き、意外な言葉を口にする。 ほんとうの人間関係の重さ、繋がりの凄まじさ、奇跡の意味を描く、 傑作デビュー長篇。「文庫版あとがき」も収録。 ※この電子書籍は、2022年12月刊行の文春文庫を底本としています。
  • ミカ!
    3.7
    小学生の生活って大変だよ。ぼくはユウスケ、六年生。双子のミカは喧嘩じゃ無敵のオトコオンナだ。女はイヤ、男になりたい! 生理とかおっぱいとか、全部イヤや──と言ってる。母さんが家を出た。友達がぼくの悪口を言ってた。父さんは女友達がいるみたい。こっそり飼っていた「オトトイ」が消えた。友達のコウジはなんとミカが好きらしい……でも父さんは言う。子供には幸せになる権利があるんや。だからきっとぼくらは大丈夫。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。
  • ミカエルの鼓動
    3.9
    1巻1,700円 (税込)
    この者は、神か、悪魔か――。 気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。 あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。 「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。 そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。 大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。 天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
  • ミカ×ミカ!
    3.9
    『ミカ!』で大活躍の双子、ミカとユウスケが、中学生に。「女らしいってどういうこと?」ある日“オトコオンナ”といわれるミカが、ユウスケに聞いた。ミカは、人気の男子に告白して「もっと女っぽい子が好き」と振られたらしい。恋におち、スカートを穿いて、変化してゆくミカに戸惑うユウスケ。しかし、ユウスケにも告白してくる女の子が現れた! その上、前作で離婚した父さんまで恋をしてる? 芥川賞作家が、中学生の日々を爽やかに描く『ミカ!』第2弾。
  • 岬

    3.8
    作家の郷里・紀州の小都市を舞台に、のがれがたい血のしがらみに閉じ込められた青年の、癒せぬ渇望、愛と憎しみ、生命の模索を鮮烈な文体でえがいて圧倒的な評価を得た芥川賞受賞作。この小説は、著者独自の哀切な主題旋律を初めて文学として定着させた記念碑的作品として、広く感動を呼んだ。『枯木灘』『地の果て 至上の時』と展開して中上世界の最高峰をなす三部作の第一章に当たる。表題作の他、初期の力作「黄金比の朝」「火宅」「浄徳寺ツアー」の三篇を収める。
  • Miss You
    3.8
    有美は26歳、文芸の編集者。業界では駆け出しながら、生真面目さと熱意で仕事は軌道にのりつつある。しかし同僚の女性が殺され、元流行作家の妙な電話を受けてから有美自身も狙われはじめた。事故か。人ちがいなのか。婚約者、新人作家、流行作家などの輪が平凡なヒロインを目くるめく翻弄する。
  • 水色の娼婦
    3.5
    1巻1,500円 (税込)
    日露戦争から第二次世界大戦、激動の時代に翻弄された美貌の混血ダンサーがいた! 図らずも日本のスパイとして活躍した波乱の人生が甦る、感動のノンフィクション・ノベル。 1990年春。ベルリンの壁崩壊を取材に訪れたジャーナリストは、日本人の母親を持つという元タンゴダンサーの老女、エヴァ・ミツ・ロドリゲスと知り合う。 娼婦だった母はアルゼンチンで入水自殺を遂げ、母親の元同僚トミエに育てられたエヴァはタンゴダンサーとなる。 やがてエヴァはコンチネンタルタンゴの本場ドイツへと渡るが、欧州はナチス・ドイツにより戦火の坩堝と化していく。 その美貌とダンスでナチスの大物にもかわいがられるようになったエヴァに近づいてきたのは、日本の商社員・吉川公夫だった。 陸軍の諜報員である吉川に魅入られ恋に落ちたエヴァは、日本側の女スパイとして活動することを余儀なくされる……。
  • 水着のヴィーナス
    3.4
    瞳は高級スポーツクラブに通うマダム。ある日支配人から、自分を中傷する内容の手紙を見せられる。犯人探しをはじめると…(表題作)。上京したきりの娘と会った父親が垣間見た、短気で派手好みな娘の意外な一面(「娘の部屋」)。地方都市の主婦、不倫中のOLなど、この短篇集の主人公たちは年齢も立場も様々。ときに傷つき、ときに閉塞した日常に戻ることになりながらも恋をする。その中で思わず発揮される女のしぶとさや逞しさ。切なくおかしい全6篇。
  • 水の香り  [分冊版]
    -
    アメリカのブルーフィルムを上映している映画館で、年上の女性と出会った男子高校生の一志。彼女は脚本家で、AVの脚本を書く参考に一志の話を聞きたいという。 ※この電子書籍には、単行本「MILK」所収の短篇「水の香り」が収録されています。
  • 充ち足りた悪漢たち
    4.0
    つぶらな瞳、あどけない顔、私に似て美人の娘、俺に似た頭のいい息子、可愛くて無邪気な子供たち。しかし、彼らには大人に見せないコワイ素顔が……。高利貸を始める小学生、隠し撮りをする少年、イタズラ電話の愉快犯など、屈託なく事件を起こす子供たちの悪辣ぶりを描く傑作全6編。子供の“悪”を通して大人の世界に隠されている“悪”を暴き出す、ちびっ子版ロマン・ピカレスク!
  • 満ちたりぬ月
    3.7
    34歳の絵美子は結婚して子供が二人、幸せな主婦生活を送っていた。一方、同級生の圭は人気イラストレーターになり、お金や男にも不自由しない生活を手に入れていた。夫との離婚を決意した絵美子の目には、圭のきらびやかな生活が羨ましく映り始める。圭は“絵美子の親友”の役割を内心イラつきながら演じているが……。二人の間に、ねたみや葛藤が沸々と込み上げる。女の生々しい感情を描かせたら当代一、林真理子が「女の幸せ」を問う意欲作! ドラマ化原作。
  • ミッドナイトスワン
    4.5
    トランスジェンダーに芽生えた愛と母性の物語。 映画「ミッドナイトスワン」の監督がみずから書き下ろした感動の小説。 故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。 ある日、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることになる。 常に片隅に追いやられてきた凪沙は、孤独の中で生きてきた不幸なバレリーナの一果と出会い、母性の芽生えを自覚するが……。 切なくも美しい現代の愛を描く奇跡の物語。 草なぎ剛主演、映画「ミッドナイトスワン」の物語を、監督みずからが小説のかたちで描いた感動作。
  • ミッドナイト・バス
    3.6
    男が運転する深夜バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。 壊れた「家族」という時計は再び動き出すのか―― 家族の再出発を描く感動長篇。 第151回直木賞候補作! 故郷に戻り、深夜バスの運転手として働く利一。 子供たちも独立し、恋人との将来を考え始めた矢先、バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。 会社を辞めた長男、結婚と仕事の間で揺れる長女。 人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。 バスの乗客の人間模様を絡めながら、家族の再出発を描いた感動長篇。 解説・吉田伸子
  • 水底(みなそこ)の光
    3.7
    不倫の相手と別れ、心の痛手を抱える奈々子に、蛍を見に来ないかと京都の義姉から誘いが届く。そこである秘密を告白され…(「闇に瞬く」)。成功した写真家の夫との間に娘のある絵美子。6歳年下の画家の浩之と、ともに家庭のある者同士が溺れる、刹那の恋(表題作)。そのほか、不条理な恋の闇の中で、一筋の光を見出しながら歩む女性たちと、断ちきれない男女の関係を、「光」の風景を織り交ぜて描く。大人でなければできない恋愛の小品集、全6篇。
  • 水底フェスタ
    3.6
    自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。田舎特有の、窒息しそうな閉塞感に苛立つ高校生の広海は、突然村に戻ってきた地元出身の有名モデル・由貴美と出会い、囚われてゆく。ある晩彼女から「村への復讐に協力してほしい」と持ちかけられ、広海は求めに応じるが、実は由貴美には“真の目的”があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が二人を襲う──。新直木賞作家による傑作長篇。息を呑むラストまでページを繰る手が止まらない!
  • 南の島のティオ
    4.1
    小さな南の島に住むティオと出会った人々を中心に、つつましくも精神的には豊かな島の暮らしをさわやかに描く。 お父さんとティオが経営しているホテルに絵はがき屋さんがやってくる。島やホテルの風景の絵はがきをお客さんが買って手紙を出すと、もらった相手は、どうしてもこの景色をみたくなる。だから、このホテルに必ず人を連れてくるはがきなのだという。 この夢のような話を信じたティオに、絵ハガキ屋さんが最後におまけにくれた一枚とは? 花火で「空いっぱいの大きな絵」を描いた黒い鞄の男などの個性的な人々とティオとの出会いを通して、つつましさのなかに精神的な豊かさに溢れた島の暮らしを爽やかに、かつ鮮やかに描き出す連作短篇集。第41回小学館文学賞受賞した作品に、「海の向こうに帰った兵士たち」を加えた増補版。解説・神沢利子 ※この電子書籍は2010年11月に文藝春秋より刊行された増補版文庫を底本としています。
  • みにくいあひる
    3.0
    郷里をはなれ、好景気に沸く東京で暮らすことを選んだヒロインたち。仕事で成功すればビッチと噂され、妻子ある男との恋に傷つきながらもつい貢いでしまい、流行の車やバッグを頻繁に買い替える。華やかな日々の果てに、自分は何を求めているのか分からなくなり、ついにはすこやかな身体まで失っていく。母とは違う生き方をめざしたのに、「賢い女」になれなかった自分。それでもやがて、母親となる日が訪れ……。精一杯生きる女性たちに贈る傑作恋愛短篇集。
  • 見果てぬ王道
    3.8
    1巻2,000円 (税込)
    孫文を支え続けた日本人実業家の、スケール感溢れる一代記 映画事業で大成功をおさめ、その資金で革命家・孫文を支援し続けた梅屋庄吉。その情熱と葛藤、国境を越えた友情を直木賞作家が描く。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。 実業家・梅屋庄吉の熱き生涯!
  • 未来の自分に出会える古書店
    4.4
    1巻1,400円 (税込)
    著書発行部数1000万部を超える齋藤孝・明治大学教授がはじめて小説スタイルに挑戦。 現代版『君たちはどう生きるか」。 サッカーに熱中する中学二年生の「メッシ君」と、絵を描くことが大好きな高校二年生の「ゴッホ君」の兄弟。 二人の家の近所に、古書店「人生堂」が開店した。 その店主「サイトウさん」は、二人がさまざまな悩みを相談するたびに、さりげないアドバイスとともに、何冊かの本を教えてくれる。 コンプレックス、いじめ、進学、恋愛、身近な人の死……思春期の少年なら誰しも突き当たるような問題に、本は道しるべを与えてくれ、成長に誘ってくれる。 またそれらの本を読んでいるうち、格差社会や環境問題など、未来を生きていく上での指針も見つかるだろう。 あまり読書が好きではなかった二人だが、サイトウさんの店に通う半年弱の期間に、みるみる本が好きになっていった。 カバー絵は「漫画 君たちはどう生きるか」の羽賀翔一氏。 ポストコロナの時代を生き抜く青少年に贈る決定版の読書・人生の手引きです。
  • MILK
    3.5
    心と身体がざわつく恋愛短篇集 恋をして求め合う。その普遍的な欲求は、時にあたたかく、時にスリリングに日常を照らす。生きることの輝く半分は、ここにある――。 一人息子を妊娠して以来、夫とはセックスレス。このままでは三十代の十年間を一度もセックスしないですごすことになる、と思った皆子は、同じような境遇の男性と関係を持つことを決意する。(「アローン・トゥゲザー」) 結婚して七年になる直哉は、何気なく食事に誘ったアルバイトの女性と帰り道でキスをしてしまう。はじめ驚いていた彼女は、次の瞬間、思いもかけぬ提案をしてきた。(「いれない」) アメリカのブルーフィルムを上映している映画館で、年上の女性と出会った男子高校生の一志。彼女は脚本家で、AVの脚本を書く参考に一志の話を聞きたいという。(「水の香り」) など10篇を収録。 解説・いしいのりえ
  • ミルク・アンド・ハニー
    4.5
    1巻1,001円 (税込)
    文学賞三賞に輝いた前作『ダブル・ファンタジー』に続く、魂と官能の傑作長編小説。 脚本家・高遠奈津は、創作の鬼に導かれるようにして夫との穏やかな暮らしを捨てた。 いくつかの恋を経て、現在は物書き志望の恋人・大林一也と暮らしているが、 大林もまた奈津の心と身体を寂しくさせる男だった。自分に触れず、遊び歩くばかりの 大林に気を遣いプレゼントを捧げ続ける日々の中で、元恋人たちと逢瀬を重ねる奈津だったが―― 自由と官能、孤独と愛憎の果てに、奈津がたどり着いた果てとは? 「週刊文春」連載中から「面白過ぎる」と多くの読者・執筆者を夢中にさせた強烈な吸引力のある一冊。 解説・辻村深月 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • MILK  [分冊版]
    -
    塩をふったミルクのような――。結婚四年目で妻とセックスレスの雄吾は、同僚から自分の欲望に直結する匂いが立ちのぼるのに気づく。 ※この電子書籍には、単行本「MILK」所収の同名短篇「MILK」が収録されています。
  • ミレニアム・レター
    3.0
    笑い、涙、恐怖、切なさ満載の傑作短編集 男に届いたのは、十年前に自分へ宛てた手紙だった(ミレニアム・レター)。ミステリからホラーまで詰まった幻の短編集が遂に文庫化。
  • 殺人初心者 民間科学捜査員・桐野真衣
    3.8
    1~2巻652~680円 (税込)
    製薬会社で研究していたダニに夢中の理系女子・桐野真衣。挙式直前に婚約者に逃げられ、マンションを衝動買いした矢先にリストラされた。ドン底の真衣が、友人のツテで辿り着いたのは「民間科学捜査研究所」。警察の扱わない鑑定や調査を行うこの研究所には、一癖も二癖もある“変人”の科学捜査員たちがいた。やがて、顔に碁盤目の傷を残す「囲碁部連続殺人事件」に巻き込まれていく──。「アンフェア」シリーズ原作者が放つ、待望の文庫書き下ろし新シリーズ始動!
  • ミート・ザ・ビート
    3.3
    デリヘル嬢と、ホンダ・ビート。疾走する群像小説。 首都圏から約1時間、地方都市に住まう主人公。予備校に通いつつ地元の友人たちと遊んでいたある日、ホンダの乗用車「ビート」を譲り受ける。クルマの改造、新たな出会い、そして恋。 先日「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞を受賞した著者による、第142回芥川賞の候補にもなった快作!
  • むき出し
    4.0
    1巻1,599円 (税込)
    小さい頃から、殴って、殴られるのが普通だった。誰も本当のことを教えてくれなかった。なぜ自分だけが、こんな目にあうんだろう――上京して芸人となった石山の前に現れる、過去の全て。 ここにいるのは、出会いと決断があったから。 著者渾身の、初小説。  優しい眼差しが  純粋な言葉が  誠実な覚悟が  重要な小説を生んだ。  (又吉直樹)
  • 武曲
    3.8
    1巻968円 (税込)
    これが二十一世紀の剣豪小説だ! 無自覚な天才少年・羽田融とその「殺人刀」の血を恐れる剣道部コーチ矢田部研吾。反発と無視を乗り越えやがて二人は運命の対戦へ。
  • 武曲 II
    3.0
    1巻1,119円 (税込)
    主演・綾野剛で映画化! 青春武道小説、待望の第二弾! 恐るべき剣の才能を持つラップ少年の羽田融。 高校三年生の冬の陣。 恋と、受験と、さらなる剣の高みへ。 壮絶な果たし合いを経てさらに激しい運命が……。
  • 娘が巣立つ朝
    3.8
    1巻1,900円 (税込)
    どうしてなんだろう―― それでも人はつながろうとする 高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が噛み合わない。 真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。 そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。 智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。 娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。 父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき…… つむがれていく家族の物語。
  • 無銭横町
    4.0
    私小説への殉情、無頼派の矜持。 横浜での生活立て直しに失敗した北町貫多は再び都内に戻っていた。 そして二十歳になった彼は、その日も野良犬のように金策に奔走するが……(「無銭横町」)。 筆色冴えわたる六篇に、芥川賞選考会を前に藤澤清造の墓前にぬかずく名品「一日」を新併録。 解説・伊藤雄和(「オールディックフォギー」)
  • 胸の香り
    3.6
    1巻468円 (税込)
    ある日、入院先でふとすれ違った人に懐かしい匂いを感じた。あれは亡き夫の体から立ちのぼる、忘れがたい独特な香り。なぜ他人の体から同じ香りが…表題作。夫の不義理から、失望のあまりアルコールにおぼれ醜態を晒す母。そんな母にも譲れないプライドがあったことを、一人息子が知り…「しぐれ屋の歴史」。男と女、母と子、人それぞれの愛憎と喜び、哀しみを陰翳深く描く。長篇作家のイメージが強い著者が20年間に書いた36本の短篇のうち、珠玉の7篇を収録。
  • 村田喜代子傑作短篇集 八つの小鍋
    3.9
    生きることのたくましさと可笑しさと 九州を主な舞台に、生きることのたくましさをおおらかなユーモアで描きつづけて四十五年。黒澤映画『八月の狂詩曲』の原作になった「鍋の中」(芥川賞)、「白い山」(女流文学賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞)、「蟹女」(紫式部文学賞)、「望潮」(川端康成文学賞)など、各種文学賞の折り紙つきの傑作短篇八つを一冊に。 解説:池内紀
  • 村の名前
    3.5
    1巻478円 (税込)
    中国のはるか奥地を仕事で旅する日本人商社マンが、桃源郷の名をもつ小さな村にふと迷い込んだ。優美な村の名前からは想像もつかない奇怪な出来事が、彼の周りで次々と起こる。謎の溺死体、犬肉を食らう饗宴、つきまとう正体不明の男達……。彼も同行の日本人も、次第に調子がおかしくなってゆく。桃花の薫りがする魅力的な土地の女に導かれるように、知らず知らず村の秘密へと近づき、ついに彼が見た“真の村の姿”とは。話題の第103回芥川賞受賞作と他一篇を収録。
  • 無理(上)
    3.2
    1~2巻800円 (税込)
    「あのとき以来、自分はどこか投げやりだ。心から笑ったことは一度としてない。それどころか不意に思い出しては、惨めさと悔しさに打ち震えている」。合併で生まれた地方都市・ゆめので、鬱屈を抱えながら暮らす5人の男女。人間不信の地方公務員、東京にあこがれる女子高生、暴走族あがりのセールスマン、新興宗教にすがる中年女性、もっと大きな仕事がしたい市会議員……。縁もゆかりもなかった5人の人生が、ひょんなことから交錯し、思いもよらない事態を引き起こす。
  • ムーンナイト・ダイバー
    4.1
    慟哭の夜から救済の光さす海へ。 3・11後のフクシマを舞台に、鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作。 ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、秘密の依頼者グループの命をうけて、亡父の親友である文平とともに立入禁止の海域で引き揚げを行っていた。 光源は月光だけ――ふたりが《光のエリア》と呼ぶ、建屋周辺地域を抜けた先の海底には「あの日」がまだそのまま残されていた。 依頼者グループの会が決めたルールにそむき、直接舟作とコンタクトをとった眞部透子は、行方不明者である夫のしていた指輪を探さないでほしいと告げるのだが……。 巻末に著者によるエッセイ、「失われた命への誠実な祈り(文庫版あとがきに代えて)」を収録。
  • 明治乙女物語
    4.4
    選考会で圧倒的支持! 松本清張賞受賞作 西欧化の波が押し寄せる鹿鳴館時代。女高師で学ぶ咲と夏は、学校生活を謳歌していた。ある日、森有礼主催の華やかな舞踏会に出席した二人は爆発事件に遭遇。それは、明治を揺るがす事件の幕開けだった――。東京、横浜、下田を舞台に繰り広げられる青春ミステリー。選考委員の圧倒的支持を得た松本清張賞受賞作。解説・中島京子 *この文庫は、2017年7月刊行の単行本を底本にしています
  • メガネと放蕩娘
    4.2
    地元大好き! 寂れた商店街に活気を取り戻せ! 老舗書店のしっかり者長女のもとに十年ぶりに破天荒な妹が突然現れて!? アラサー姉妹の奮闘と成長を描く“まちづくり”エンタメ。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • メタボラ
    4.1
    1巻1,400円 (税込)
    “自由”を求めて、僕らは逃げ続ける 記憶喪失の「僕」と島を捨てた昭光の、行くあてのない逃避行。社会から疎外された若者たちを通じて現代の貧困を暴き出した問題作! ※この電子書籍は2010年7月に朝日新聞出版より刊行された朝日文庫(上・下巻)を1冊にまとめた二次文庫(2011年刊)の新装版です。
  • メトレス 愛人
    3.0
    堪能な英語を武器に外資系の会社で秘書として働く片桐修子は、二十八歳の時、広告関係の会社を経営する十七歳年上の遠野昌平と愛し合うようになった。魅力的な女性としてときに結婚を予感させる男性のアプローチも多いが、それらを振り切って遠野ひとりを慕う修子。それから四年、男が妻子を棄て、修子との結婚を決意した時、彼女の中の何かが変わった。経済的、精神的に自立して生きる女性にとって自由な愛の形とは何かを問う問題作。
  • 猛スピードで母は
    3.9
    1巻447円 (税込)
    「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。
  • もう「はい」としか言えない
    3.3
    浮気がばれて、パリへ逃げた。そこに悪夢が待っていた。 もう笑うしかない……松尾スズキ、衝撃の最新小説! 二年間の浮気が、キレイにばれた。別れたくない。二度目の結婚で、孤独な生活はこりごりだ。 妻の黒いヒールスリッパの鼻先に、海馬五郎は土下座するしかなかった……。 無条件降伏として、仕事場の解約と、毎日のセックスを、妻から宣言された。 性に淡白な海馬五郎は、追い詰められて、死すら望むものの、死ねるはずもなく、がんじがらめの日々を過ごしている。 半年ほど息苦しい生活を味わった頃、海馬五郎は、フランスのエドルアール・クレスト賞の受賞を知らされる。 「世界を代表する5人の自由人のための賞……?」 胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。 飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。 これが悪夢の旅になったのである。 表題作『もう「はい」としか言えない』の他、海馬五郎の恥ずかしい少年時代をヴィヴィッドに描いた『神様ノイローゼ』をカップリング。 天才・松尾スズキのシュールでエンタテイメント精神にあふれる、まったく新しい小説世界へようこそ! 〈著者プロフィール〉 一九六二年、福岡県出身。 一九八八年に「大人計画」を旗揚げする。主宰として多数の作・演出・出演を務めるほか、エッセイや小説の執筆、映画監督など、その活躍は多岐にわたる。 一九九七年、岸田國士戯曲賞受賞。二〇〇一年、ゴールデン・アロー賞演劇賞受賞。二〇〇六年、小説『クワイエットルームにようこそ』が芥川賞にノミネート。二〇〇八年、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の脚本で、日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。二〇一〇年、小説『老人賭博』が芥川賞にノミネート。 二〇一八年、「大人計画」は三十周年を迎えた。
  • もしも、私があなただったら
    3.3
    大企業を辞め福岡に戻った男。 東京から追ってきた、友人の妻。 人生の半ばを過ぎた二人は再出発できるのか――。 大企業を辞め、故郷の博多で小さなバーを営む藤川圭吾の前に、かつての同僚の妻・美奈が現れた。 心の通い合いを強く感じる啓吾だったが、あるひとつの疑念が頭を離れない――。 人生の半ばを過ぎた男女が再出発に向けて研ぎ澄まされていく。 企業の倫理、愛情の深淵をあますところなく描きこんだ長編恋愛小説。 解説・池上冬樹 ※この電子書籍は2006年に光文社より刊行され、文藝春秋より2020年5月に刊行した文庫版を底本としています。
  • モダン
    4.1
    モダン・アートの聖地、ニューヨーク近代美術館――MoMA。ピカソ、マティス、ルソー、ワイエスなど20世紀絵画の巨匠たちの作品が綺羅星のごとく並ぶこの美術館を舞台に、アートを愛するさまざまな人の夢や苦悩、人生の決断を描く。アート小説の名手たる著者の真骨頂にして、もっとも都会的な短編集。
  • ものがたりの賊
    4.0
    1巻2,000円 (税込)
    『宝島』から3年。お待たせしました。天才・真藤順丈による、ハチャメチャで面白い小説、出来ました 光源氏、坊っちゃん、伊豆の踊子……。文学史を彩るキャラクターたちが帝都を舞台に大立ち廻り! 日本文学至高のアベンジャーズ。
  • ものごころ
    4.1
    子供の世界へダイブする、カラフルな短篇集 植物や花、虫やさまざまな生き物が乱舞する、色鮮やかで心躍る「子供の世界」へ! 二人の少年が川原で拾った、怪我をした犬の命運は。(「心臓」) 子供が飲み込んでしまったスモモの種はいつ出てくるのか。(「種」) 「穴」で芥川賞を受賞して以来、独自の小説世界を築いてきた小山田浩子さん。近年では海外に招かれる機会も多く、「日本発のマジックリアリズム」の旗手として注目を集める著者が、言葉の奔流のような文体と、顕微鏡をのぞきこむような高精細な描写で「子供の世界」に挑む9篇。 子供の世界へ身体ごとダイブし、子供が見るように世界を見る、唯一無二のカラフルな小説集。
  • 桃色東京塔
    3.3
    警視庁捜査一課に配属されながら、事件で失敗し出世の道を閉ざされた黒田岳彦。一方、過疎の村にあるI県警上野山署捜査課係長の小倉日菜子は警官の夫を職務中に亡くしていた。捜査を通じて心を通わせてゆくが、いくつかの事件がふたりの距離を変えはじめる。悩み、葛藤する男女を描く「遠距離恋愛」警察小説。
  • 桃から生まれた桃太郎
    4.2
    桃太郎のように元気で身体も大きな娘の結婚相手は大男の日本男児と夢見ている頑固親父。だが、娘の恋人は……。抱腹の向田ドラマ 早く妻を亡くした獣医の川田竜造は娘の桃子と二人暮らし。性格も体格も男まさりの娘を父親は「桃太郎」と呼んでいる。その桃太郎もすでに年頃、父親は男っ気がないのを心配しているが、娘にはすでに相手がいた。そして実は父親にも……。善意からおこる父と娘の行き違いをユーモラスに描く向田ドラマの十八番。 文庫版 1999年8月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 森のはずれで
    3.0
    1巻1,527円 (税込)
    「九年前の祈り」で152回芥川賞を受賞した小野正嗣の原点。 異国の森のはずれに、幼い息子と住む「ぼく」。妻は第二子を出産するため実家へと旅立った。やがて森から不思議な物音が響き、次々に異形の者が現われる。妻は帰ってこない……。 在るべきものの不在、あり得べからざるものの出現、行くべき場所はなく、帰る家もない者の不安と焦燥、ささやかな慰藉。連作形式で描出される「奇妙な時間と空間の裂け目の中に生きる」父子は、私たちとどこか似てはいないか。新芥川賞作家、渾身の意欲作です。
  • 約束の冬(上)
    4.0
    1~2巻662~733円 (税込)
    十年前、留美子は見知らぬ少年から手紙を渡される。「十年後、地図の場所でお待ちしています。ぼくはその時、あなたに結婚を申し込むつもりです」。いったいなぜこんな身勝手なことを? 東京、軽井沢、総社、北海道……。さまざまな出会いと別れ、運命の転変の中で、はたして約束は果たされるのか?
  • やさしい訴え
    3.8
    女のもとへ通う夫に傷つき、山あいの別荘へ隠れすんだ「わたし」。深い森の工房でチェンバロ職人とその女弟子と知り合い、くつろいだ気持ちをとり戻すが、しだいに湧きあがる情熱が三人の関係に入りこみ──。おごそかに楽器製作にうちこむ職人のまなざし、若い女弟子が奏でる『やさしい訴え』、カリグラフィーを専門とする「わたし」の器用な手先。繊細なうごきの奥にひそむ酷い記憶と情欲。三者の不思議な関係が織りなす、かぎりなくやさしく、ときに残酷な愛の物語。
  • 矢印
    3.5
    演出家、劇作家、俳優、映画監督、小説家とマルチに活躍する松尾スズキ、三年ぶり待望の新作小説。 放送作家見習いの「俺」は、十年間師匠と仰いでいた人物が自殺した日、映画館で偶然出会った女・スミレにいきなり結婚を申し込む。スミレは離婚したばかりだった。 することのない俺とスミレは、酒浸りの日々を送るようになる。 そんな中、俺を捉えて離さないのは、師匠が手首に入れていた矢印形の刺青のことだった――。 次々と地獄の扉が開いていくような男女の転落物語でありながら、どこかに人間存在を見つめる苦い笑いがにじむ松尾ワールドの真骨頂。 (本文より) 今、自分に必要なのは、人生をなめている女だ。 酔っぱらってくれ、俺のそばで。 あと一時間でもいい。一五分でもいい。 いや、今わかった。 俺には俺より酔っ払ってくれている人間が、隣に、必要なのだ。 もう、ずっとそうだったし、きっと今日からもずっと。
  • 夜想
    3.8
    事故で妻と娘を失い、毎日を惰性で生きる雪籐(ゆきとう)。ある日落とした定期を拾ってくれた若い女性に、雪籐は胸を衝かれた。彼女は涙を流し「あんまりかわいそうなので、つい……」と言ったのだ。その女子大生・天美遙は、物に触れるとそこに籠もった“思い”を読み取る不思議な能力を持っていた。悩む人の相談にのる彼女の力をもっと広く役立てようと、雪籐は仕事をやめ、会をつくるが…これは新興宗教の誕生なのか? 魂の救済を描く、圧巻の感動巨編。
  • 八咫烏シリーズ外伝 かりんみず
    5.0
    山神さまによって開かれたと伝えられる世界・山内を舞台にしたファンタジー「八咫烏シリーズ」の外伝。 この地を つかさどる族長一家が宗家、その長が金烏である。 有力貴族の四家によって東領、西領、南領、北領が治められている。住人たちは卵で生まれ烏の姿に転身もできるが、通常は人間と同じ姿で生活を営む。 『かりんみず』の主人公は中央城下の薬種屋の次男坊・章次。高貴な姫に仕える姉が急死した。周囲の者たちはなぜか口を閉ざして…。 【この電子書籍は、「オール讀物」2024年6月号に掲載された「かりんみず 八咫烏外伝」を収録しています。】
  • 烏の緑羽 八咫烏シリーズ9
    4.2
    1巻1,699円 (税込)
    累計180万部の八咫烏シリーズ、待望の最新刊! 生まれながらに「山内」を守ることを宿命づけられた皇子。彼らの知られざる葛藤と成長を描く、大人気ファンタジーシリーズ最新刊。
  • 八咫烏シリーズ外伝 あきのあやぎぬ
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、4番目の短篇を電子化したものです。 亡くなった夫に借金が発覚し、二人の幼子を抱えて困窮する環。そんな彼女に「私のところに来るかい?」と声をかけたのは、西本家の次期当主である顕彦だった。言動からは軽薄な印象が漂い、さらには「十八人の妻がいる」という顕彦だが、環は生活のため側室入りを決意する。第一巻「烏に単は似合わない」以前のエピソード。

最近チェックした作品からのおすすめ