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女のもとへ通う夫に傷つき、山あいの別荘へ隠れすんだ「わたし」。深い森の工房でチェンバロ職人とその女弟子と知り合い、くつろいだ気持ちをとり戻すが、しだいに湧きあがる情熱が三人の関係に入りこみ──。おごそかに楽器製作にうちこむ職人のまなざし、若い女弟子が奏でる『やさしい訴え』、カリグラフィーを専門とする「わたし」の器用な手先。繊細なうごきの奥にひそむ酷い記憶と情欲。三者の不思議な関係が織りなす、かぎりなくやさしく、ときに残酷な愛の物語。
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Posted by ブクログ
空気感が素晴らしいです。
はっきりと書かれていないけれど、みんな、ほんとうに全員が置かれている状況を理解しています。
わかったうえで、どうすべきか、行動しています。
でも、人も動物です。
したい、触れたい、という気持ちは抑えられない。
それが限りあるものであり、失う危険もあるものだから、だからなおのこと感情が高まっていきます。
札幌行きをやめさせるための咄嗟の行動(言動)には少なからず驚きました。
でも、それは、行けばそうなる、ということがわかるから。もしも自分ならそうするだろう、そうなるだろう、ということの裏返しですね。
結論としては敢えて言わない大人の対応で新しい道を踏み出すのですが、少し寂しいです。まあ、そうなるよな、という違和感のないストーリー展開。
+++
とてもこだわりを持って作品を作られているのに、鍵盤の色が近代タイプ。別の意味があるのかしらん。。。
Posted by ブクログ
ニ短調。「やさしい訴え」は18世紀フランスの宮廷作曲家ジャン=フィイリップ・ラモーの作品。僕には判りませんがラモーにしてはしっとりとした小品だそうだ。洋子さんの創作する物語は既にここにある。誰もが平穏の中にいる。洋子さんの長編4作目はピアノを弾けない指、殺された婚約者、暴力を奮う夫。それに私が今回の登場人物。快い旋律は気分を高揚させる。それはまるで愛の営みの様に。
洋子さん節を勝手に哀妖艶愛小説って命名してますが、今回は妖と艶の部分は感じません。純愛と独占欲。結婚と愛情について問題を投げ掛けられました。今まで気付きませんでしたが発問性に惹かれているのかも。
結婚したい人と愛する人の違い。結婚したい人には相手が嫌がる自分を隠してしまう。愛する人は相手が嫌がる事まで理解し合い、逆にそれが好きだったりする。自分の全てを曝け出し、リラックスできる空間を共存し合う。一般的に互いに愛しているから結婚するんでしょうが実は互いに全ての自分を見せていないケースもあるんではないでしょうか?どこかで見えてしまうとこんな人ではなかったなんてことに。今回の主人公はちょっと自分の愛に貪欲でちょっと残酷。こんなキャラ、新鮮でした。でも根本は優しいのかな。いいわ。Myヨコフェス第19弾
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