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これが二十一世紀の剣豪小説だ!
無自覚な天才少年・羽田融とその「殺人刀」の血を恐れる剣道部コーチ矢田部研吾。反発と無視を乗り越えやがて二人は運命の対戦へ。
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Posted by ブクログ
武道関連の小説を読みたいと思っていたところに、書店の平台で出会った新刊文庫本。
『ラップに夢中の高校生、いきなり竹刀を握らされ…』という帯のコピーがなんとも良くって。
現代を生きる、世代の違う者たちの描き方が鮮やかでした。
舞台もたまたま身近なところで、「そんなこと」もあるかもしれないと思いながら。
細かいことを言わせてもらえば、書体についての記述がたびたびあるのだけれど、なんでも明朝体というのは、それはどうなのかしらと気になってしまいました。
読み終えて表紙のイラストをじっと見てみれば、くすぐりが効いていてそれもまた味わい深い。
しかし、こういう面白い、良い余韻の残るものを読んでしまうと、次に読むものを探すのが大変です。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作『テスカトリポカ』と『武曲』の2冊読みをしていた。藤沢周は1998年、第119回の芥川賞受賞作家である。この2作品を比べると本作品の方が圧倒的に情緒的であり、ストーリーに説得力がある。直木賞はエンターテインメント性を求められるらしいが、芥川賞作家は人心の奥深いところまでエグってくる作品が多いような気がする。
矢田部親子は剣道界隈の親子鷹であるが、不幸な事故で父は障害を負い、息子は事故の責任を引きずり深酒に溺れる日々を送るのだった。剣道部コーチ(矢田部息子)は、素人ながら剣の才能豊かな高校生羽田と出会う、彼の成長と父を重ね合わせることで、矢田部息子は自分の問題と向き合い、寺にこもり断酒に成功...一方、羽田はスラムダンクの桜木花道の様なキャラで猪突猛進、唯我独尊的な描かれ方をしていて、陰湿な剣道コーチの矢田部と対比する事でストーリーを面白くさせている。
2017年『武曲 MUKOKU』は映画化され、youtubeで無料で観れる。
熱くなる
剣道をやっている人にとって、技術的に気付かされることはあまりないかもしれませんが、スポーツとしてではない本来の剣道を考えさせられ熱くなります。私は居合もやっているのですが、精神性の上で居合と剣道を同時に稽古する意味を考えさせられました。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
羽田融はヒップホップに夢中な北鎌倉学院高校二年生。矢田部研吾はアルコール依存症で失職、今は警備員をしながら同校剣道部のコーチを務める。友人に道場に引っ張られ、渋々竹刀を握った融の姿に、研吾は「殺人刀」の遣い手と懼れられた父・将造と同じ天性の剣士を見た。剣豪小説の新時代を切り拓いた傑作。
彼是20年程剣道から遠ざかってしまいましたが、今でも燻ぶる剣士の魂。この表紙にやられて裏表紙の説明を読んだ瞬間にレジに直行していました。
現代的な若者の習俗にディープに絡む豊饒な文学的表現。さらに剣道描写も恐ろしく濃密で、味付けで剣道使った訳では無く剣道でなくては駄目な小説でした。
これだけ絢爛な文章表現を披歴すると、流れが停滞してつまらないものになりそうなのですが、この流れるような散文的表現が物語にしっかり絡んでいるのはお見事!出来れば続き読みたいけど無いだろうなあ。。。
Posted by ブクログ
真剣に剣道と向き合って己を研く矢田部研吾。それが過ぎて、研ぎすぎて薄くなった刃のようにその技は鋭く、けれど脆くもなり……いわゆる闇落ちのような状態になってしまう姿に、なぜか同情してしまいます。
真面目だけど不器用すぎて、要領よく生きられない姿がそうさせるのかもしれません。
対する羽田融。剣の技に没頭するあまり、矢田部親子と同じように殺人刀の道に落ちかけます。憶測ですが、表層的な格好よさに魅せられて自己満足に陥り、相手を殺し自分を活かすことだけを考えていたからなのかな、と(若人なら普通のことだとは思いますが)。
しかし一級審査後、その印象がガラリと変わりました。「完全な捨て身の状態であることが、最も自分自身でいられる気がした」という一文から「無防備=相手を自由にさせる」と連想し、そこから融が活人剣に目覚めたように思った次第。
それまでは悩み・混迷・惑いという要素が多く、どこか鬱屈した雰囲気が作中に漂っていたように感じられましたが、上記の一文以降は爽やかで明るい空気を感じました。年齢的に近い研吾の方により感情移入してしまいましたが、融の今後の成長も気になるところ。「武曲II」が純粋に本作の続編なら、文庫化を待たず単行本を手にとって読んでみたいくらいです。
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小説・文芸
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